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石炭フライアッシュの有害元素溶出に関するマネジメント手法の開発および検討

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Academic year: 2021

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(1)

石炭フライアッシュの有害元素溶出に関するマネジ

メント手法の開発および検討

著者

関 亜美

64

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

環博第136号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00129716

(2)

せき つぐみ

関 亜美

博士(環境科学)

学 位 記 番 号

学 位 授 与 年 月 日

令和

2 年 3 月 25 日

学位授与の根拠法規 学位規則第

4 条第 1 項

研究科,専攻の名称 東北大学大学院環境科学研究科(博士課程)先進社会環境学専攻

学 位 論 文 題 目

石炭フライアッシュの有害元素溶出に関するマネジメント手法の

開発および検討

員 東北大学教授 井上 千弘

論 文 審 査 委 員

主査 東北大学教授 井上 千弘

東北大学教授 柴田 悦郎

東北大学教授 駒井 武秋

他大学准教授 小川 泰正

(秋田大学)

論 文 内 容 要 旨

本論文では,CFA の安全な有効利用促進に向け,試料によって様々な性質を示す CFA に対し,安全もしくは有害性を示すCFA の判別法を確立し,マネジメント手法を提示する ことを目的とした.CFA からの溶出が確認されている重金属類のなかでも,世界的に環境 規制物質として溶出が懸念されているB, As, および Se をターゲットとして,CFA そのも のからの溶出の程度,エージング処理によるB, As, Se 溶出濃度変化,そのメカニズムを検 討し,安全性(有害性)に対する分類法を考案したのち,実用化に向けた検討を行った. 本論文は,全6 章で構成され,第 1 章 序論,第 2 章 CFA 特性およびエージング効果の 評価,第 3 章 エージングメカニズムの検討,第 4 章 安全な有効利用促進に向けたグル ーピング手法の提案,第5 章 グルーピングの応用 − 実用化に向けた検討− ,第 6 章 結 論である.各章の概要を以下に記す. 第2 章 CFA 特性およびエージング効果の評価では,日本由来の CFA 試料 78 種に対し て,全含有量分析と,エージング前後の溶出試験による溶出液のpH, B, As, Se の溶出濃度 を測定した.分析結果より,CFA 試料 78 種のエージング処理による B, As, Se 溶出濃度変 化や溶出量基準値を用いて比較し,また,B, As, Se の溶出性を考察した.含有量分析の結 果より,As と Se の含有量は,環境基準である 150 mg/kg に対して,全試料基準値以下で あった.溶出濃度は,港湾用途溶出量基準であるB 20 mg/L, As および Se 0.3 mg/L と比較 すると, CFA では B は全試料基準値を満たし,As は 3 割,Se は 8 割が基準値を超過した. Aged-CFA では,B は 1 試料,As は 2 割,Se は 5 割が基準値を超過した.エージング処理

(3)

によって,B, As, Se ともに溶出濃度の平均値および中央値は低減したが,エージングが逆 効果に作用した試料は,78 試料中,B 18 試料,As 13 試料,Se 17 試料と,2 割程度はで あり,一定数存在することが明らかとなった. 以上の結果より,土木現場における「エージング灰」の有効利用に関しても,「エージン グ」によって重金属類の溶出濃度が高くなるCFA 試料は一定数存在すると考えられる.CFA による環境汚染問題の発生を防ぐため,CFA の有効利用の際には,十分な事前検査等によ る安全性評価や,CFA の特性に応じた適切な対策が必要である. 第3 章 エージングメカニズムの検討では,エージング処理による B, As, Se 溶出抑制効 果について,第2 章よりその効果は CFA 試料によって異なり,逆効果を示す試料も一定数 存在していたことから,試料間の性質の違いと,エージング期間に起こる化学変化のメカ ニズムを考察した.エージング処理によってB, As, Se が不溶化した CFA 試料は,CFA と 水が接触するとpH は瞬時にアルカリ性を呈し,エージング期間中に Ca 二次化合物が生成 し,その生成過程においてB, As, Se が固定化されたことで,B, As, Se が不溶化したメカニ ズムが有力であった.一方で,エージング効果は見られたが十分ではなかった試料は,CFA, Age-CFA ともに Al の溶出性はガラス質粒子由来の挙動を示し,エージング効果が顕著に見 られた試料とは Al の溶出挙動が異なっていた.エージング効果の大きさには,Ca 二次化 合物の生成されやすさとAl の溶出挙動が大きく影響すると考えられる.一方で,エージン グ処理によりB, As, Se の溶出が促進した CFA 試料は,CFA が水に接触すると pH は酸性 または中性を示した.これらのCFA 試料は,エージング処理の水添加によって,pH は徐々 に高くなり,連動して非晶質K, Na, Ca 固溶 aluminosilicate が溶解し,これらの粒子表面 などに存在していたB, As, Se も溶解した.さらに,エージングの静置期間中は B, As, Se を固定するCa 化合物が十分に生成されなかったため,溶出濃度が増大したメカニズムが有 力である. 以上の考察より,エージング効果の有無には,溶出液のpH, CFA の CaO 含有量,非晶 質K, Na, Ca 固溶 aluminosilicate の安定性に依存すると考えられる.

(4)

(a)エージング処理によって B, As, Se 不溶化

(b)エージング処理によって B, As, Se 溶出促進

Fig. 1 エージング処理による(a)B, As, Se 不溶化,(b)溶出促進メカニズムの推定模式図

第4 章 安全な有効利用促進に向けたグルーピング手法の提案では,CFA 溶出液の pH, CaO 含有量と,Al を含むガラス質の溶解性を軸としたグルーピング手法を検討した.CFA 1 ~ 10 の 10 種を用いて検討した結果,CFA 溶出液の pH 11 と Al の酸・アルカリ可溶性比 0.1 を基準とした 2 つの軸より,Group A ~ D に分類する手法を提案した.CFA 溶出液が pH≦11 を示す試料のうち,酸・アルカリ可溶 Al 比が > 0.1 を示す試料は Group A, ≦0.1 を示す試料はGroup B であり,CFA 溶出液が pH > 11 を示す試料のうち,酸・アルカリ可 溶Al 比が > 0.1 を示す試料は Group D, ≦0.1 を示す試料は Group C である.第 2 章のエ ージング処理によるB, As, Se 溶出性変化の評価結果や,第 3 章の 6 時間水溶出の経時変化 の結果より,各グループの有害・安全性を検討し,Group A は有害性が高く,Group C は 安全な試料であると定義した. 実現場では,CFA を用いた材料の環境安全性は,CFA 混合材料を用いた含有量と,6 時 間溶出試験による重金属類の溶出濃度が基準として用いられている.それらの評価は,試 験時の測定値のみが対象となり,時間経過に伴う溶出性変化等は考慮されていない.本研 究で提案したグルーピング手法は,エージング処理によるB, As, Se 溶出性変化に影響する 33 3, )4 ) 4 )4 ( ) 2 , , 8 - , ,-, >

(5)

要素であるpH と Al の溶出性を軸とした簡便な手法である.実現場において,一般的な 6 時間溶出試験によって基準値を超過した試料に対して,本グルーピング手法のCFA 溶出液 のpH と Al 溶出性を評価することは,「エージング灰」にすると重金属類の溶出濃度が低減 する試料,促進する試料,または溶出量基準値を満たす試料,超過する試料の判別法とし ても有用であると考えられる.また,提案したグルーピング手法の考え方やプロセスにつ いて,CFA の他にも,ボトムアッシュ,一般焼却灰をはじめとする環境材料にも応用可能 であると考えられ,環境科学研究の一助となることが期待できる. 第5 章 グルーピングの応用 − 実用化に向けた検討− では,第 4 章で提案したグルーピ ング手法に基づき,CFA 試料 78 種を適用した.分類は,酸性 CFA の 3 試料を除いて全試 料Group A ~ D にグルーピングされた.また,安全または有害な試料の判別法としての有 用性を,(1) Group A ~D を用いたコンクリート加工溶出試験,Group C と Group A を用い た (2) 好気・嫌気性長期溶出試験,(3) 100 年分の擬似酸性雨を用いた溶出試験によって評 価した.Group A, B, D は有害性があると判定され,Group C のみ安全性が高い試料が分類 されていた.Group C は,Aged-CFA とコンクリート供試体の B, As, Se 溶出濃度が低く, 9 割が基準を満たしていた.好気・嫌気性長期溶出試験では,B, As, Se 溶出性は相対的に Group C < Group A であり,Group C は安全な CFA 試料が分類されていた.擬似酸性雨溶 出試験では,Group C, A ともに高い B, As, Se 溶出性を示し,Group C のなかでも Group A と同程度の溶出性を示す試料も存在したが,全体としては Group C≒Group A, または Group C≦Group A であった.以上の結果より,第 4 章で提案したグルーピング手法によ って,Group C は安全な試料,Group A, B, D は B, As, Se 溶出性が高い試料としてスクリ ーニング可能であることを確認した. 第5 章より,Group A ~ D の安全生または有害性が明確になり,大部分の CFA 試料は本 スクリーニング手法によって判別可能であった.特に,B, As, Se 溶出性が高い Group A, B, D の CFA 試料は,エージングによって重金属類の溶出濃度が促進する試料または基準値を 満たさない試料である.これらが特定できれば,エージング処理が逆効果となるCFA 試料 に対してはエージングの工程を省略し,適切な処理や対策を行うプロセスへの切り替えが 可能となる.本スクリーニング手法は,CFA 利用における工程の効率化,低コスト化,そ して環境安全にも貢献できると確信している.

(6)

(別紙)

論文審査結果の要旨及びその担当者

論文提出者氏名 関 亜美 論 文 題 目 石炭フライアッシュの有害元素溶出に関するマネジメント手法の開発および検討 論文審査担当者 主査 教授 井上 千弘 教授 駒井 武 教授 柴田 悦郎 准教授 小川 泰正 (秋田大学)

論文審査結果の要旨

石炭フライアッシュ(Coal Fly Ash, 以下 CFA)は石炭火力発電所で発生する石炭灰のうち電気集塵器に捕集され るもので、日本では年間 1300 万トン近く産生している。CFA は SiO2や Al2O3を主成分として Fe, Ca, Mg 等の無機酸

化物で構成されるが、微量成分として原料炭由来のヒ素、セレン、ホウ素などの有害成分を含有することが多く、そ の有効利用および埋め立て処分の際に問題となっている。特に近年では原料炭の品質低下に伴い有害成分を含む石 炭灰への対応が世界的な問題となってきている。本論文では、CFA の安全な有効利用促進に向け、試料によって様々 な性質を示す CFA に対し安全な CFA の判別法を確立し、トータルマネジメント手法を提示することを目的とし CFA からの有害元素の溶出挙動、エージング処理の効果とそのメカニズムを検討し、安全性に対する分類法を考案した上 でその実用化に向けた提言を行ったものであり、全 5 章で構成されている。 第 1 章は序論であり、本研究に関わる背景や研究目的について述べている。 第 2 章「CFA 特性およびエージング効果の評価」では、日本由来の CFA 試料 78 種に対して、全含有量分析と水 溶出試験による pH および溶出液中の B, As, Se の溶出を評価している。また、エージング処理を行った CFA 試料に 対しても同様に溶出試験を実施し、その効果を評価している。 第 3 章「エージングメカニズムの検討」では、第 2 章の結果よりエージング処理によって B, As, Se 溶出が抑制も しくは促進される試料のそれぞれについて、SEM-EDX による粒子の表面分析、XRD および MLA による含有鉱物 の同定および組成分析、水溶出による溶出性の経時変化を評価し、B, As, Se の不溶化および溶出促進の要因およびメ カニズムを解明している。 第 4 章「安全な有効利用促進に向けたグルーピング手法の提案」では、水溶出試験により得られた溶出液の pH と、 酸・アルカリ溶出試験により得られた Al, Si 溶出性の 2 つの評価軸より、CFA 試料を安全に有効利用できるものとそ うでないものに分類する方法を考案している。また関連して CFA 中の酸・アルカリ溶解性 Al, Si と CFA の有害性と の関係を考察している。 第 5 章「グルーピングの応用:実用化に向けた評価」では、第 4 章で提案したグルーピング手法により国内から入 手した 78 種の CFA 試料が分類できることを示すとともに、CFA 試料をセメント混合材として用いた場合の溶出試 験と、エージング処理後の CFA に対する長期溶出試験(好気・嫌気)、100 年分の擬似酸性雨を溶媒とした溶出試験 を実施し、B, As, Se 溶出に対するグルーピングの妥当性を評価している。 第 6 章は結論であり、各章における研究成果を総括するとともに、本論文全般の結論について述べている。 以上、本論文では石炭火力発電所から大量に発生する石炭灰の有効利用に向けて、現場レベルで迅速に有効利用の 際に問題となる石炭灰を判別する方法論を提示するとともに、石炭灰に対する「エージング処理」による有害元素固 定のメカニズムを解明しており、世界中で大量に発生している石炭灰の安全な有効利用の促進に貢献するとともに、 環境科学および環境工学への学術面での貢献も大きいと考えられる。 よって,本論文は博士(環境科学)の学位論文として合格と認める。

Fig. 1 エージング処理による(a) B, As, Se 不溶化, (b)溶出促進メカニズムの推定模式図

参照

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