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有害物質に対する「制御」を考える

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

有害物質に対する「制御」を考える

岡山大学環境管理センター

センター長 川本 克也

「環境制御」という誌名から連想しまして、また、私たち環境管理センターの業務の 一つでもあるPCB(ポリ塩化ビフェニル:各種異性体の混合製品は油状)を含む廃棄物 の処理に関して、いまどのような状況になっているのかを軸に、有害物質の制御に関す る若干の私見を述べたいと思います。 簡単におさらいをしますと、電気的絶縁性や熱特性等の優れた PCB は、トランスや コンデンサ等の電気機器をはじめとして1950 年から 1960 年代を中心に多分野の工業化 学品として使用され、累積の生産量はおよそ 55,000 トンに達しました。よく知られる カネミ油症事件(PCB が食用油中に混入し、人体へのばく露が生じた)をきっかけに、 国内では「化学物質の審査及び規制等に関する法律」の制定につながり、新規の生産や 輸入等が禁じられました。国際的にも PCB の環境残留性、生物への高濃縮性、毒性等 の知見が明らかになります。そこで、PCB を含む各種の廃棄物が生まれることとなり、 この処理・処分が現実的な大問題となります。当初、国は高温焼却の安全性を確認して その実施を考えますが、施設の立地がまったくできませんでした。そこで、金属ナトリ ウムを用いた脱塩素処理等の化学的処理の適用に方針転換をしたわけです。全国を5 つ の地域に分けて5 施設を設け、現在の中間貯蔵・環境安全事業(株)による処理実施体 制に至り、トランス、コンデンサを中心に処理は進められてきました。ポリ塩化ビフェ ニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の枠組みに沿って処理開始から 10 年前後経過しましたが、さまざまな要因で遅れが生じたのも事実で、このため年限が延 長され、処理の完了期限は、事業地域によって異なりますが最後は平成36 年 3 月まで とされています。なお、PCB 処理の背景には、環境残留性有機汚染物質(POPs)の国 際的な削減を定めたPOPs 条約の存在があります。 一方、概要を表面的に眺めるだけでは見えてこないこともあります。現在使用中の PCB 使用機器も存在し、それは廃棄物でないため処理の場に出てきにくく、これらの実 態把握と対処が完了に向けての課題です。また、トランス等の廃PCB は%オーダーの高 濃度ですが、数十ppm 程度の低濃度の含有となるいわゆる低濃度 PCB 廃棄物なる液状・ 固体状廃棄物が膨大な量存在します。これらに対しては、一定の技術的基準を満たす焼 却処理や洗浄処理等が施設の認定を経て認められていますが、量に照らすと一層の処理 の加速が必要です。このように、広く社会に分布した負の遺産の処理にはさまざまな面 での課題が生じます。技術面だけでなく、行政制度や実際の施策についての問題を伴い − 1 −

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ます。 PCB に匹敵するような量と問題をもつ有害物質はいまのところ見当たりませんが、あ る有害物質が規制されると代替物質が適用され、これがまた新たな課題を持つことはオ ゾン層破壊のフロンで経験をしています。処理技術の開発だけでなく、有害物質となる ことを物質の設計段階で予測・回避する科学的知見、有害性をいち早くかつ容易に見出 す(モニタリングする)技術、あるいは政策的な意思決定手法等、知恵が求められるこ とは山ほどあります。過去の苦い経験の蓄積から、今後の賢明な環境制御をなし得るも のと期待しています。 − 2 −

参照

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