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口すぼめ呼吸の生理学的検証 -オシレーション法を用いた呼吸インピーダンスの測定-

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Academic year: 2021

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(1)

口すぼめ呼吸の生理学的検証 -オシレーション法を

用いた呼吸インピーダンスの測定-著者

佐野 裕子

90

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/23014

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

晒裕

の野

さ佐

子(山形県)

博士(障害科学)

医博(障)

平成18年3

第90号

月24日

学位規則第4条第!項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)障害科学専攻

口すぼめ呼吸の生理学的検証

一オシレーション法を用いた呼吸インピーダンス

の測定一

論文審査委員

(主査)

教授上月

正博教授飛田渉

教授出江紳一

一561一

(3)

論文内容要旨

口すぼめ呼吸(Pursed-lipbreathing;PLB)は慢性閉塞性肺疾患(ChronicObstructive PulmonaryDisease;COPD)における診断的意義がよく知られ,また,呼吸リハビリテーショ ンでは呼吸トレーニングのひとつとして定着している。本研究はPLBの奏功機序について,生 理的に検証することを目的として安静換気およびPLB時における健常成人とCOPD患者の呼気 時の呼吸インピーダンス(Zrs)の変化を測定し,合わせて,その際のノーズクリップ(Nose clip;NC)の装着の影響の有無を検討した。 対象は健常成人10名(男性3名,女性7名),COPD患者10名(男性9名,女性1名),追加 実験の内視鏡での観察は,健常ボランティア1名,および耳鼻咽喉科外来患者9名(男性8名, 女性2名)の計10名,のべ総計30名とした。実験に先立ち,PLBの方法について指導を行なっ た。IE比は1:2以上としたほかは,安楽なように呼吸パターンは被験者の自由にまかせた。Zrs の測定はオシレーション法を用いて坐位で行なった。オシレーションの周波数は3Hzとした。 測定は,①NC装着・紙マウスピース・非PLB,②NC装着・フェイスマスク装着・PLB, ③NC非装着・マスク・PLB,④NC非装着・マスク・非PLB,の順で行なった。Zrs測定後, スパイロメトリーを施行した。これらの結果を受けた追加実験として,経鼻内視鏡下に鼻咽頭部 を観察した。坐位にて,①安静換気,②発声(ma-ma-ma),③PLB,の3つを観察条件とし, 軟口蓋の形態変化をデジタルビデオにて記録した。 PLBによる呼吸パターンは,健常成人,COPDともに呼吸数は減少,IE比は増加した。これ らの呼吸パターン変化で,健常成人,COPD患者間で有意差はなかった。健常成人におけるZrs の推移は,3.8±L3cmH10/1/secから8.8±LgcmH20/1/secと有意に増加した。NC非装着下の PLBでも8.8±3.OcmH20/1/secとほぼ同じ抵抗値を示した。COPDにおいては,健常成人と同 じような値を示し推移したもの,非PLBとPLBでは同じような値を示したもの,PLBをする と健常人とは逆にZrsが低下するもの,など大きく分けて3つの傾向が見られ,これらの変化は COPDの重症度と有意に相関していた。本研究のZrsの推移より推定される鼻咽頭閉鎖機構を 実際に内視鏡下で確認した。安静換気時に鼻咽頭腔は大きくスペースが開いていたが,PLB時 には軟口蓋が挙上し,咽頭壁も密着するように狭まり,完全に鼻咽頭腔が閉塞することがわかっ た。 結論として,口腔開口部の換気抵抗を形成することによりCOPDで増大している末梢気道抵 抗を低減する,との従来の想定されていたPLBの作用機序を支持する研究結果と考える。また, 内視鏡を用いた観察からは,軟口蓋の麻痺などがなければ,PLBにおいてはNCなどの鼻腔閉 鎖をしなくても十分に効果が得られることが確認された。 一562一

(4)

審査結果の要旨

本研究は口すぼめ呼吸(Pursed-1ipbreathing;PLB)を換気力学的な面からその奏功機序を 明らかにしょうとしたものである。PLBは慢性閉塞性肺疾患(ChronicObstructivePulmo-1/aryDisease;COPD)において呼吸困難を緩和することが経験的によく知られていたが,その 予想される生理機転が確かめられていたわけではなかった。また,PLB時には鼻クリップなど で鼻腔を閉塞しなくても鼻腔から呼気が漏れない。本研究では,PLB時の気道の生理学的特性 を明らかにするために安静換気およびPLB時における健常成人とCOPD患者の呼気時の呼吸イ ンピーダンス(Zrs)の変化を測定したものである。また,Zrsの変化が確かに鼻咽頭閉塞を示 唆するものであったことから,実際に鼻咽頭閉塞をファイバースコープで観察している。 健常成人10名,COPD10名でZrsを測定し,他の健常10名でファイバースコープ観察を行ってい る。Zrs測定はオシレーション法を用いて坐位で行ない,周波数は3Hzである。健常成人における Zrsの推移は,安静換気時には3.8±L3cmH20/1/secからPLB時には8.8±1.9cmH、O/1/secと 有意に増加した。COPDにおいては,健常成人と同じような値を示し推移したもの,非PLBと PLBでは同じような値を示したもの,PLBをすると健常人とは逆にZrsが低下するもの,など 大きく分けて3つの傾向が見られ,これらの変化はCOPDの重症度と有意に相関していた。ま た,鼻咽頭閉鎖機構を実際に内視鏡下で確認した。安静換気時に鼻咽頭腔は大きくスペースが開 いていたが,PLB時には軟口蓋が挙上し,咽頭壁も密着するように狭まり,完全に鼻咽頭腔が 閉塞することがわかった。 これらは,口腔開口部の換気抵抗を形成することによりCOPDで増大している末梢気道抵抗 を低減する,との従来の想定されていたPLBの作用機序を支持する研究結果をはじめて示した ものである。また,内視鏡的に,PLBにおいてはNCなどの鼻腔閉鎖をしなくても十分に効果 が得られることをはじめて肉眼的に確認した点も初めてのものである。 よって,本論文は博士(医学)の学位論文として合格と認める。 一563一一

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