就学前段階から小学校低学年の「外国につながりを持つ子ども」への言語支援 : なぜ, 小学校入学後に学習についていくことが難しいのか
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(2) 甲南女子大学大学院論集第 9号. 人間科学研究編 (20H年 3月. ). 特別支援学校,84. 3Q齢. ・ ・ .49 養 学 校 盲 護 聾. ). 盲・聾・養 護 学 校 ,51 盲・聾・養 護 学 校 .64. 25.000. 中 等 教 育 学 校 ,10. 中等教 育学校 ,25 盲・聾・養護学校 .72. 1軍 覇 『 奮 葺 桑::0. 特別支援学校,98 中 等 教 育 学 校 ,32. 中等教育学校 ,21. 盲・聾・養 護 学 校 55. 盲・聾・養護学校,50. 中 等 教 育 学 校 .15. 盲・聾・養護 学校 ,72 20,000. 181585 118,432. 15.000. 10,000. 5,000. 0 平成‖年度. 平成 :2年 度. 平成 13年 度. 平成 14年 度. 平成 15年 度. 平成 16年 度. 平成 17年 度. 平成 18年 度. 平成 19年 度. 平成20年 度. 図 1 在籍児童生徒数 資料 出典 :文 部科学 省 「 日本語指導 が必要 な外 国人児童生徒 の受 入れ状 況等 に関す る調査 (平 成 20年 度 )」 の結果 につ い て". 供 を行 い ,「 JSLカ リキ ュ ラム」 を開発 して ,2003年. 「外国につ なが りを持つ子 ども」 の増加 は近年著 しく ,. 度 に小 学校 編 ,2006年 度 に中学 校 編 が完 成 し,学 校. こ うした状 況 の もと,文 部科学省では,「 外 国につ な. 教 育 現場 に配 布 され て い る。 また ,一 部 の 母 語 支 援. が りを持つ子 ども」 を対 象 とした,い くつかの対応施. (ポ ル トガ ル語 や スペ イ ン語 な ど)や が行 われて い るケ. 策 を講 じてい る。 た とえば,2006年 度 の文部科学省 の「施策 の実施. ース もあ る。 これ まで ,「 年少者 日本語教育学研究」 にお い ては. ,. 状況」 を見てみる と,教 育現場 で通常行 われて い る. こ う した言語 施 策 に反 映 して ,1990年 代 の 外 国か ら. 「外国につ なが りを持 つ子 ども」 を在籍 クラスか ら取. の労働者 (い わゆるニ ュー カマー)の 子弟 を対 象 と し. り出 して行 う日本語教育だけではな く,「 日本語指導. た研 究が数多 く行 われて きた。 しか し近年 ,世 界的 な. が必要な児童」が 5名 以上在籍 してい る公立の小学校. 経 済不況等 の様 々 な理 由か ら,こ う した外 国人労働者. ・中学校等 にお いては,「 国際教室」 とい う名 の 日本. の 定住化 が進み ,ま た ,日 本 で マ イホ ーム を購 入す る 外 国 人家庭 も増加 してお り,「 日本で生 まれて い る 第. 語 (場 合によっては,「 外国につ なが りを持 つ子 ども」 へ の母語 )の 特別指導 クラスが行 われて い るケ ース. 2世 代 の外 国籍 の子 ども」 の増加 が顕著 にな つてい る. や,「 日本語指導等担当教員 (常 勤)」 である専任教諭. 2世 代 と して 日本. が加配 されていた り,巡 回指導が行なわれていた りす. で生 まれた「外 国につ なが りを持 つ 子 ども」や ,幼 少. ることも多い。 この他 ,「 児童生徒 の母語 を話せ る相. 期 に来 日 して 日本 で育 った「外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 の 多 くは,保 育所 や幼稚 園 な どの 日本 の就学前. 談員の派遣」や,ボ ラ ンティア指導員な どの配置が行 われていることもあるЮ また 本語 を母語 としな. 施設 に通 った後 ,小 学校 に入学す る とい う子 どもも少. い子 どもを対象 とした,教 科学習促進 のための新 しい. な くな い 。 したが って ,「 外 国 につ なが りを持 つ 子 ど. カリキュラム,「 JsL(Japanese as a Second Language). も」 の 言語支援 は ,義 務教 育段 階か ら行 うので な く. カリキュラム」が文部科学省 によって開発 されて い. 就学前段 階か ら小 学校段 階へ の接続 を踏 まえた ,長 期. る。JsLカ リキ ュ ラム とは,「 外 国につ なが りを持 つ. 的 な観点か らの言語施策 を講 じて行 く必要があ る と考. 子 ども」が「学習に参加するための学 ぶ力 の育成」 を. え られ る。. 目的 とし,「 日本語指導 と教科指導 を統合 し,学 習活. (文 部科学 省 2007)り 。 こ う した第. ,. )。. ,日. 動 に参加す るための力 の育成 を 目指 した カ リキ ュ ラ. 2.義 務教育段 階 の「外 国につ なが りを 持 つ 子 ど も」 へ の言語支援 の現状. ム」H)の ことである。 さて, ここで JSLカ リキ ュ ラムが どうい うもので あるかみてい きたい。 まず,JsLカ リキュ ラム とい う. 先述のように,外 国人労働者の定住化等の理由から. のは,先 述 の よ うに,日 本語 を母語 と しない子 ども.
(3) 栃原 玲子 :就 学前段階から小学校低学年の「外国につ なが りを持つ子 ども」へ の言語支援. めの カ リキ ュ ラムで あ る。 学習 のための 日本語 能力が. 口 関東 圏 B市 の教育委員会 と児童福祉課 を対 象 と し て行 ったインタビュー調査 の結果 ,「 外国につ なが り. 十分 で な い子 どもが ,学 習活動 に参加 す るため には. を持 つ子 ども」へ の言語支援. が ,教 科 の学習活動 に参加 で きる よ うな力 を育 て るた. ,. (日. 本語支援 ・母語支. 「具体 物 の操作 ,絵 や写真 な どの 活用 ,授 業 の流 れ を. 援)の 実施 はいずれ もなされてお らず,そ の必要性す. 明確 にす る こ と,日 本語 がで きる子 ど もと共 同作業す. ら認識 されてい ないのが現状であ った。 また,「 外 国. る場面 を用意す るこ とな どに よって ,日 本語が よ く分. につ なが りを持 つ子 ども」の人数す ら把握 されてい な. か らな くて も,そ こで起 こってい る こ と,す べ きこ と. い とい う状況 であ つた (栃 原 2005)閣 。 こ うした現状. が わ か る よ う に積 極 的 か つ 手 厚 くサ ポ ー トす る こ. に対 し,栃 原 0山 根 (2005)は. と」Dが 重 要 で あ る と言 われ て い る。 カ リキ ュ ラ ム を 開始 す る時期 につ い て は ,佐 藤 ・斎藤 ・高木 (2005). 段階か らの言語支援体制 を整 えていかな くてはならな い と指摘 してい るゆ。. に よる と,最 低 限 の 日本語 での コ ミュニ ケ ー シ ョンカ. では,い ったい保育 の現場 では,実 際に どの ように. が必 要 で あ り0,「 JSLカ リキ ュ ラ ムで は教 師 の基 本. 「外 国につ なが りを持 つ子 ども」 に対応 してい るのだ ろ うか。2004年 に,筆 者が 「外 国 につ なが りを持 つ. 的 な指示 や注意 を理解 で きる最小 限 の初期指導 を終 え た子 ども」が対象 とされて い る国。. ,今 後,早 急 に就学前. 子 ども」が多 く入所 してい る関西 圏の公立の A市 保. ここで注 目す べ きこ とは,JSLカ リキ ュ ラムの対 象. 育所 にお い て行 ったインタビュー調査 で は,筆 者 の. 者 は「初期指導」 を終 えた子 どもを前 提 と して い る こ. 「外 国人幼児 は,ど の程度 日本語が話せ るのか」 との. とであ る。通 常 の 日本語教育 にお ける「初期指導」 と. 問い に対 し,保 育所側 は,「 あ くまで 日本語 の習得 は. は,「 ひ らが な 0カ タカナ ・数字 の 読 み書 きや学校 生. 子 ども個人の問題 であ り,日 本語習得 は家庭 で行 なう べ きもの」 とい う姿勢 で,子 どもの 日本語能力につい. 活 で必 要 な会話」 の 指導 と,「 日本 の 学校 の基本 的 な きま りについ て」 の指導 同を行 う。 したが って ,子 ど. てのオ 巴握 は全 くなされてい なか った。 また,「 日本語. もた ちは JSLカ リキ ュ ラ ム を用 い た 日本語教 育 を受. が話せ ない外 国人幼児 に対 して特別 な配慮 はあ るの. ける以前 に,ま ず ,ひ らが なや カタカ ナな どの文字 を. か。」 との問い に対 しては,特 別な配慮 は全 く行 って. 習得 し,あ る程度 の 日本語会話能力 を備 えてお く必要. い ない とい うことで あ った。 この A保 育所 では,イ. が あ る と言 える。そ して ,子 どもが「教室 で学習 に参. ス ラム教徒 の子 どもが数名入所 してい るとの ことで. 加す るための重 要 な力」 を育 て るため には,「 話 し こ. 「食 」や 「衣服」 な どの異文化 面 へ の特 別 な配慮 は. と│ゴ (聞 く/話 す )」 か ら「書 き こ とば (読 む /書. 重 々になされていたが ,「 外 国につ なが りを持 つ子 ど も」へ の言語支援 については,多 くの「外国につ なが. く)」 へ 移 行 を行 ってい く必要が あ る と指摘 され て い る耐。子 どもたちへ の 日本語教育 は 階 的 に 日本語. ,段. ,. りを持 つ子 ども」 の受け入れ経験がある保育所 である. 能力 を育 てて い く必要 が あ り,「 話 しこ とば (聞 く/ 話 す )」 が で きる よ う になってか ら,ひ らが な ・ カ タ. の に も関わ らず ,「 就学前段 階 の子 どもであ るか ら. カナな どの 文字学習 を行 い ,JSLカ リキ ュ ラム等 を用. なされてい なか った (栃 原 2004)20。. い て ,本 格 的 な「書 き言葉 (読 む/書 く)」 へ とつ な げ て い く必要が あ る と考 え られ る。. (日. 本人 も外国人 も同 じ)」 とい う理由で,言 語支援 は. 以上の ことか らも明 らかなよ うに,就 学前段 階 の 「外 国につ なが りを持 つ子 ども」へ の言語支援 は,行 政において も,そ して保育 の現場 において も行われて. 3.就 学前段 階 の「外 国 につ なが りを持 つ. い ないのであ る。 この点に関 しては,国 立 国語研究所. 子 ども」 へ の言語支援 の現状. の野山 (2008)も ,「 JSLカ リキ ュ ラムは就学 して い る子 どもを主 に対 象 とした ものである。換言すれ ば ,. 語 支援 が行 われ て い た り,文 部 科 学 省 に よって JSL. 現状 の教育制度 ・政策 の 中では,就 学前の子 どもの言 語生活や環境 の充実へ 向けた方策 については,ほ とん 力 と ど何 も展開されてい ない とい うのが実情 指摘 し. カ リキ ュ ラムが作成 ・配布 され るな ど,言 語支援体 制. てい る。. 先述 の よ うに,義 務教育段 階 の「外 国 につ なが りを 持 つ 子 ども」 につ い ては,日 本語教育 だ け でな く,母. )」. が整 いつつ あ る。で は,一 方 の就学前段 階 の「外 国 に. で は,な ぜ ,就 学前段 階 の「外 国 につ なが りを持 つ. つなが りを持つ子 ども」への言語支援 はどのように行 われているのだろうか。. 子 ど も」 を対 象 と した言語 支援 が行 われ て い な い の. 筆者が 2004年 度 と2005年 度に,関 西圏の A市 と. か。 こうした就学前段階の「外国につなが りを持つ子 ども」への言語支援が行われていない背景には,就 学.
(4) 甲南女子大学大学 院論集 第 9号. 人間科学研究編 (20H年 3月. ). それほど顕著にならない年齢 であること,② 一般的 に. Aの 国際学級 の教諭 に よる と,「 日本 人児童 の場 合 ,お お よそ 9割 の子 どもは,小 学校入学前 に生 活 の 中 で 頻繁 に使 われ るこ とばや ,絵 本 な どの ひ らが なを 理解」 してお り,ま た,「 中 には,ひ らが なの 50音 を. 自然に言語 を習得 で きる時期なので,あ えて 日本語教. 全 て書 くことので きる児童 もい る」。 一 方 で ,「 家庭 に. 育 を行わな くて もよい とされていること,③ 学習のベ. お い て 日本語 で はな く,諸 外 国語 を使 って生 活 して い. ース となる日本語能力不足 の問題が この時期には表面. る外 国人児童 は,入 学直後 は,ほ ぼ全 員が ひ らが なす. 化 しに くいこと,ま た,④ 就学前段階の子 どもは,発. ら読 め な い 。」 との こ とで ,A小 学 校 の 国 際 学 級 で. 達途上 であるがゆえに,き め細か い指導が必要 で あ. は,入 学 した 1年 生 に対 して ,特 に文 字学習 の補助 に. り,保 育 の現場 では,個 人個人に向けた対応が難 しい. 力 を入 れて い る との こ とで あ った。. とい う要因が考 えられる (栃 原 2004)“ 更 に,就 学 前段階の子 どもへ の言語支援体制が整 わない理 由 とし. ンテ ィア と して関 わ らせ て も らって い た ,市 立 Bガ ヽ. ては,幼 稚園 ・保育所 といった就学前施設が,文 部科. 学校 の ケ ースで も同様 に,就 学以前 に保 育所 に通 って. 学省 と厚生労働省に分かれて管轄 されてい ることも少. い た とい う流暢 な 日本語 を話 す小 学 1年 生. なか らず影響 してい ると考え られる. 生. 前段階の子どもは,成 人日本語学習者や義務教育段階 の 日本語学習者 と比べ,① 日常生活において,日 本語 が 母 語 の 子 ど も と比 較 して も 日本語 能 力 の レベ ル差 が. 少年. また ,筆 者が 2006年 度 と 2007年 度 に言語支援 ボ ラ. )。. (栃. 原 2010)2〕 。. cと 2年. Dは ,国 際教 室 で 文字 学 習 の 指 導 を受 け て い た。. 国際教室 の教諭 は ,「 前 々か ら文 字指導 の必 要性 を感. 「 日本 人の子 ども」 と「外 国に つ なが りを持 つ 子 ども」 との文字. じて い る。 (小 学校 入学 の )事 前 に ,ひ らが な ,せ め. 4。. (日. て名前 だけで も書 ける よ うに学 んで 欲 しい と思 ってい. 本語 )学 習 開始時期 の違 い. るが ,保 育所 とは連 携が な く,特 にイ ン ター ナ シ ョナ ルの場 合 は,連 携 が ほ とん どな い ので ,子 どもに事前. これ まで見て きた ように,就 学前段 階 の「外 国 につ. に (文 字 を)学 んで きて もらうの は難 しい 」 とい い. ,. なが りを持 つ 子 ども」 へ の 言語支援 は,行 政 にお い て. 本来 な らば,小 学校 に入学す る前 に文 字学習 をス ター. も,保 育 の現場 にお い て も,そ の 必要性 す ら認 め られ. トさせ た 方が ,子 どものため には よい のだが ,現 実 的. てお らず ,か れ らに対す る特 別 な言語支援 はほ とん ど. には難 しい とい う指摘 を して い る。 別 のケー ス と しては,小 学校 3年 生 の子 どもの「書. 何 も行 われて きて い な い。 で は ,就 学 前段 階 の 「 外 国 に つ なが りを持 つ 子 ど. く力 」 に つ い て の 研 究 を行 った 東 川 (2003)に よる. も」 へ の言語支援 は,本 当に必要 な いの だろ うか。 そ. と5,滞 在年数が 8∼ 9年. こで ,小 学校 に入 学す る前 か ら,日 本 で生 活 して い る. の「書 く力」 の 観察 を行 った結果 ,「 特殊音 の 表記や. 小学校低学年 の「外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 の 日. ひ らが な 0カ タカナ ・漢字 の どれで書 くのか とい った. 本語習得 の状 況か ら,そ の 点 につ い て 考察 を行 ってい. 日本語 の基 本的 な部分が まだ習得段 階 で あ り,書 字力. きた い 。. が 全般 的 に不 足 して い る。」 と指摘 して い る。 また. 2002年 ,筆 者 は兵庫 県 の 市立 A刀 ヽ 学校 の 国際学級. 東 川 は ,少 年. (日. 本 で生 まれた)の 少年 L ,. ,. Lを 含 め 小 学 3年 生 7名 の 子 ど もを対. で 参与観察 を行 った2」 。 この小学校 の 周 囲 には ,厚 生. 象 と して,「 書 く力」 の観察 を行 ってい るが ,「 どの児. 労働 省管轄 の 雇用促進住宅宿舎や工 場 が 多 く建 ち並 ん. 童 も日常生活 に 関す る 日本語 に問題 は見 らなか った 」. でお り,「 外 国につ なが りを持 つ 子 ども」 の親 た ちは. が ,「 漢字 の不足 以外 に書字力が十分 で ない … (中 略 ). ,. これ らの工場 で働 い て い る との こ とであ った。 国際学 級 での観察 を行 った際 ,日 本人 の子 どもと変 わ らな い. A(小 学. 1年 生 )は. な ど,様 々 な問題が観察 された。」 と述 べ て い る。 以上 ,筆 者 のケー スや東川 (2003)の ケ ース を総合. ,両 親. して考 えてみ る と,日 本 で生 まれた子 どもや ,幼 少期. は南米 の人だが ,彼 自身 は 日本生 まれ の 日本育 ち との. に 来 日 して ,日 本 の 保 育所 な どに通 った こ との あ る. こ とで あ った。小学校 入学以前 は,両 親が共働 きのた. 「外 国 につ なが りを持 つ 子 ど も」 の 多 くは ,日 常 生 活. め に,早 くか ら市立の 保育所 に通 っていた とい う。 し. 場面 で 使用す る「 聞 く/話 す」 日本語 につ い ては,特. か しなが ら,日 本語 能力 に一 見何 の 問題 もな い 少 年. 段 に問題が見 られ ない が ,小 学校 に入 学 してか ら時 間. Aで あ つたが ,所 属学級 のみの学 習 で は,「 文字 の 習 得」が困難 で あ るため ,放 課後 な どに 国際学級 にや つ. が経過 したの ち,文 字 に関 しての習得が十分 にな され. て きて ,日 本語 を学 んで い る との こ とであ った。 この. 子 どもと同様 にで きない ため に,学 年が 上が るに連れ. 流暢 な 日本語 を話 す 少 年. て い な い こ とが 多 く,「 読 む/書 く」 こ とが 日本 人 の.
(5) 栃原 玲子 :就 学前段階か ら小学校低学年 の「外国につ なが りを持 つ子 ども」へ の言語支援 て ,学 習 に 困難 を きた して い る傾 向が あ る と言 え る。. るようになってい るのではないか と考え られる。そ こ. 西原 (1996)が 「外国人児童」の 日本語能力につい. で,筆 者 は 2009年 3月 に,小 学校 の 1年 生 を受 け持. て,「 彼 らの言語習得 上の問題点が 日常言語の流暢 さ 20と. つ 3名 の教諭. (内. 2名 はイ ンタビュー時点で 1年 生の. 指摘 してい. 担任 であ り,1名 は一昨年 に 1年 生 を担任 )を 対象に. るように,就 学前か ら日本 で暮 らしてい る子 どもの多. イ ンタビュー調査 を行 った。その結果,や は り,ほ と. くは,流 暢に日本語 を話す ことがで きるために,日 本. んどの 日本人の子 どもが小学校入学以前か ら,子 ども. 人の子 どもと同様に扱 われて しまい,彼 らの 日本語能. 自身の名前が読めるなど,何 らかのひらがなの読 み書. 力が特別に問題視 されないのである。 よって,流 暢な 日本語 を話 す「外国につ なが りを持つ子 ども」が,小. きがで きる とい う。教諭 3名 の話 をまとめてみる と 「入学時点 で,全 く読 めない ・書 けない子 はクラスに. 学校入学後に学習についてい けない場合 は,子 ども個. 1,2名 い るかい ないか」であ り,「 ある程度 ,ひ らが. 人の学習能力 の問題 として捉 えられて しまうケースが. なを読んだ り書 いた りで きる ことを前提に授業」 を進. 多 くあ る。. めてお り,「 授業 を進めるス ピー ドは,ひ らがな習熟. の陰に隠れて見えに くくなっている。」. 日本人 の子 どもと比べ て,「 外国につ なが りを持 つ 子 ども (幼 年期 か ら長期 滞在 して い る)」 の場合 は. ,. ,. 度が真ん中 くらいの子 どもたちに合わせて授業 を進め てい る」 との ことで,「 読み書 きが苦手な子 には,個. 「聞 く/話 す」能力 は 日本 の子 どもと比較 して もそれ. 人学習 をさせてい る。昼休 み とか給食の前 とかに,み. 程変 わ らないが,「 読む/書 く」能力 は大変低 く,小. るときもあるけど時間がない。宿題にするか,家 で練. 学校 に入学 し,学 年 が上が るに連れて「読 む/書 く」. 習 ノー トを して きて もらう。」 とのことであつた。以. が出来ないことか ら,学 習 に困難 をきた して しまって. 上のことか ら,現 実的には,読 み書 きが全 くで きずに. い る。 しか し,一 体 どうしてこの ような現象が起 こる. 小学校 に入学す る日本人の子 どもは非常 に稀 であ り. のだろ うか。つ まり,就 学前 か ら,も しくは生 まれた. 教諭 も小学校 に入学 した時点で,あ る程度の読み書 き. ときか ら日本 にい る「外 国につ なが りを持 つ子 ど も」. がで きるであろうとい う前提 の もと,授 業 を進めてい. の場合 は,多 くが 日本の保育所などに通ってお り,日. るとい うことが明 らかになった。. ,. 本人の子 どもと変 わ らない流暢な日本語 を話す ことが. 流暢 な 日本語 を話す「外 国につ なが りを持 つ 子 ど. 可能である し,日 本人の子 どもも「外国 につ なが りを 持つ子 ども」 も,共 に小学校 に入学 してか ら「読み/. も」が,小 学校入学後 に「日本人の子 ども」 と比較 し. 書 き」 の学習 を始めてい くはずなので,本 来ならば両. て「読み/書 き」能力が低 い とい うことの第 2の 要因 としては,教 育 カリキュラム上の問題が「外国につ な. 者 の「読み/書 き」能力には,違 いがない はず である。. が りを持つ子 ども」に影響 してい るのではないか と考. この要 因 として考 え られるのは,第 1に. ,先 述 の. A小 学校 の 国際学級 の教諭が指摘 して い る よ うに. ,. えられる。 とい うのは,就 学前 と小学校入学後 のカリ キュラムの接続 に,ズ レが生 じてい ると考えられるか. 人差があるものの,ほ とん どの子 どもが既 にある程度. らである。そ こで,『 保育所保育指針』 と 『幼稚 園教 「文字」に 育要領』,『 小学校指導要領』 の「ことば」・. の文字 の読み書 きを習得 してお り,日 本語 の「読む/. 関連す る箇所 について見 てみることとする。. 書 く」が全 く出来ない とい う「外国につ なが りを持つ 子 ども」 との間に差が見 られるか らである。 国立国語. まず,保 育所 で「文字」 はどのように捉 えられてい るのか。保 育 の 基準 となる 『保 育所保育指針』2"の. 研究所 (1972)が 行 った 日本 の幼児 の読み書 き能力 の. 「六歳児の保育 の内容」 の「言葉」 の箇所 を見てみ る. 日本人の子 どもの多 くは,小 学校 に入学以前か ら,個. 習得調査 によると,5歳 児 クラスで 1字 も読めない幼. と,以 下 のように記 されてい る。. 児 は,わ ずか全体 の 1.1%に す ぎず,逆 に「60文 字以 上読 める幼児 は 63.9%」 を占めてい る 。 また,1字 2つ. も書けない幼児 は全体 の. 5。. 3%の みであ り,反 対 に,21. 文字以上正 しく書 ける幼児が全体 の 56.7%を 占めて. (8)身 近 にある文 字や記号 な どに興味や関心 を持 ち,そ れを使お うとす る。. い る29。 既 に,こ の調査か ら 40年 近 くが経過 してお り,現 代 は子 どもの 身近 に絵本やテ レビ,DVD,パ. 「文字指導」 に関す る記述 は 『保育所保育指針』 に. ソコンなどが溢れてお り,加 えて幼児教室 に通ってい. は見 られない。つ まり,子 どもが 自発的に「文字や記. る子 どもも少な くない。 したが って,さ らに大多数の. 号」 を使お う とす るの をサポ ー トす るが ,保 育所 で. 日本人の子 どもが,小 学校入学以前 に読み書 きがで き. は,「 文字指導」その ものは行 われてい ないのである。.
(6) 甲南 女子大学大学 院論集 第 9号. 人間科学研究編 (20H年 3月. ). 一方,教 育施設 とい う意味合いの強い就学前施設の幼 Ю)の 稚園の場合 はどうだろ うか。『幼稚園教育要領』 場. 針』や 『幼稚園教育要領』 を見た限 りでは,小 学校入. 合,「 言葉」 の領域 の 中に「文字」 に関連する箇所が. 学以降に「系統的な文字指導」がなされるので,就 学. 明示 されてい る。記述 のある箇所 は,「 言葉」 の領域. 前施設では,直 接的な文字指導 を行 う必要 はな く,む しろ,子 どもの 自発的な「文字」へ の興味 ・関心 を育. の. [内 容. (8),(10)]及 び. [内 容 の取扱 い. (4)]の 部. 以上の ことか らも明 らかなように,『 保育所保育指. てることに重点が置かれてい る。. 分である。. では,『 小学校指導要領』3"で は「文字」 に関する記. [内 容]. (9)絵 本や物語 な どに親 しみ,興 味 をもって聞 き ,. 想像 をす る楽 しさを味わう。 (10)日 常生活 の 中で,文 字な どで伝 える楽 しさを. 述が どのようになされてい るのだろ うか。現行 の小学 第 1学 年及 び第 2学 年〕 に 校 の学習指導要領国語 の 〔 ある「文字に関する事項」には. ,. 味 わ う。 文字 に関す る事項. イ. )平 仮 名 及 び片仮 名 を読 み ,書 くこ と。 また. [内 容 の取扱 い]. (ア. (4)幼 児が 日常生活 の 中で,文 字 な どを使 い なが ら. 片仮 名 で書 く語 を文や文章の 中 で使 う こ と。. 思 った こ とや 考 えた こ とを伝 える喜 びや 楽 しさを味. )第 1学 年 にお い ては,別 表 の学年 別漢 字 配 当 表 (以 下 「 学年 別漢字配 当表 」 とい う。)の 第 1学 年 に配 当 されて い る漢 字 を読み ,漸 次書 くよ うにす. わ い ,文 字 に対す る興味や関心 を もつ よ うにす るこ と。. ,. (イ. る こ と。. この点について,『 幼稚園教育要領解説書』m)の [内. と記 されてお り,ひ らがなだけでな く,漢 字の読み. 容 の取扱 い (4)]に は. ,. ,. 教 師 は ,文 字 につ い て 直接 指導 す るので は な く ,. 幼児 の話 した い ,表 現 した い ,伝 えた い とい う気持. そして書 くことも出来るようになることが求められて いる。また,小 学校 の新学習指導要領国語錦)の 〔 第1 学年及び第 2学 年〕の [2.内 容]に は ,. ちを受 け止 め つつ ,幼 児が 日常生活 の 中 で触 れて き た文字 を使 うこ とで ,文 字 を通 して何 らかの意味が 伝 わ ってい く面 白 さや楽 しさが感 じられ る よ う に. 書 くこと. ,. 日 ごろの保育 の 中 で伝 える喜 びや 楽 しさを味 わえる. (1)書 くこ との 能力 を育て るため ,次 の事項 につ い て指導す る。. よ うにす るこ とが 大切 で あ る。 ア. とを決 め ,書 こ う とす る題材 に必 要 な事柄 を. と記述 されてお り,「 文字」その ものを直接指導 し て読 ませた り,書 かせた りするわけではな く,ま ず文 字 に「興味 ・関心 を持 つ こと」,「 楽 しさを味 わ う こ と」 に重点が置かれてい る。 また,『 幼稚園教育要領』 の 134頁 には,次 のように,文 字指導 は小学校入学以 降 に行われるのだ とい うことが強調 されてい る。 (下. 経験 した こ とや 想像 した こ とな どか ら書 くこ. 集 め るこ と。 イ. 自分 の 考 えが明確 になる よ うに,事 柄 の順序 に沿 って 簡単 な構 成 を考 える こ と。. ウ. 語 と語 や文 と文 との続 き方 に注意 しなが ら. ,. つ なが りのあ る文や 文章 を書 くこ と。 工. 線 の強調部分 は筆者 による。 ). 文章 を読み返す習慣 を付 ける とと もに,間 違 い な どに気付 き,正 す こ と。. オ 一 人一 人の幼児の文字 に対す る興味や関心 ,出 会. 書 い た もの を読み合 い ,よ い ところ を見付 け て 感想 を伝 え合 うこ と。. い を基盤 に して ,小 学校 以降 にお い て文 字 に関す る. (2)(1)に 示す事項 につい ては,例 えば,次 の よ う. 系統 的 な指導が適切 に行 われ る こ とを保護者や小学. な言語活動 を通 して指導す る もの とす る。. 校 関係者 に も理解 され る よ うさらに働 き掛 けて い く. ア. こ とが大切 で あ る。. 想像 した こ とな どを文章 に書 くこ と。. イ 経験 した こ とを報告す る文章や観 察 した こ と.
(7) 栃原. 玲子 :就 学前段 階か ら小 学校低学 年 の 「外国につ なが りを持 つ子 ども」へ の言語支援. を記録す る文章 な どを書 くこ と。. い う日本語 の言語 に どっぶ りと浸 か った環境 で過 ご し. 身近 な事物 を簡単 に説明す る文章 な どを書 く. て い る。 また ,親 は もち ろんの こ と,親 戚 や 周 りの. こ と。. 人 々 も「 日本語」 を使 って話 した り,書 い た りして い. 紹介 した い こ とをメモ に まとめた り,文 章 に. る。 だか らこそ ,自 然 とひ らが なな どの文字 に興 味 ・. 書 い た りす る こと。. 関心 を持 つ ことがで き,読 め る よ うにな った り,書 け. 伝 えた い こ とを簡単 な手紙 に書 くこと。. る よ うになった りして い る と考 え られ る。 また,親 の なか には,ひ らが な文字 そ の もの を直接 的 に教 えて い. という記述があり,文 字を習得したうえで,手 紙やメ モ,文 章を書けるようになることが目標 とされてい. 時 間 の 中 で比 較 的家庭 で過 ごす時 間が長 い ため,家 庭. る。. での 文字学習が小学校 入学後 に影響 して い る こ とも少. 以上 の こ とか ら,就 学前施設 にお い ては,体 系 的 な. る親 もい るか も しれ ない 。就 学前段 階 の場合 ,1日 の. な くない と考 え られ る。. 文字学習が行 われて い な いの に も関わ らず ,い きな り. 一 方 の「外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 の 場 合 は. 小学校 入学後 に文字学習が ス ター トす るのであ る。 カ. 就学前施設 にお い て 日本語 を聞 い た り,話 した りす る. リキ ユ ラム上 は,小 学校 一 年 生か ら系統 的 な文字学 習. こ とに よって,日 本 人の子 どもと変 わ らない流暢 な 日. を初 めて始 め るわ けで あ るが ,実 際 には,子 どもたち. 本語 を話せ る よ うになるが ,保 育所 にお い て も幼稚 園. の文字習得 時期 は予想 以上 に早 く,小 学校 入学以前 か. にお い て も,直 接 的 な文字指導 は行 われてお らず ,か. らひ らが なの読み書 きを習得 して い る とい う現実 が あ. つ 家庭 や 日常生活 にお い ての 日本語環境が ,明 らか に. る (大 庭 2003)30。 月、 学校 1年 生 で ,鉛 筆 の 持 ち方 を. 日本 の子 どもた ち とは異 なるため に,小 学校 入学以前. 習 い ,ひ らが な文字 だ けで な く,漢 字 ,そ して文字 を. に ,日 本 語 の 文 字 に興 味 ・ 関心 を持 ち難 い と考 え ら. 使 って文章 を書 くこ とが 要求 されて い るが ,子 ど もた. れ ,文 字 の習得 の機会が得 られて い ない まま小学校 に. ちに,1年 ∼ 2年 の 間 で これ だけの こ とが 出来 る よ う. 入学 して しま ってい るのではない か と考 え られ る。 ま. に要 求す るの は,『保 育所保 育指針』 や 『幼稚 園教 育. た ,「 外 国 につ なが りを持 つ 子 ど も」 の在籍者 数 が わ. 要領』 の「 文字」 に 関す る内容 か ら考 えてみ た場 合. ず かで ,「 国際教室」 が設置 され て い ない よ うな多 く. ,. ,. 『小学校 指導要領』 の 内容 との 間 に大 きなギ ャ ップが. の小学校 で は,入 学後 に「読 む/書 く」 こ とがで きな. あ り,い ささか無理が生 じて い るので はない か と考 え. い場合 ,日 本 人の「読み /書 き」が苦手 な子 どもと同. られ る。. 様 に,「 文字 の練 習」 は宿題 と して家庭 での 課題 とさ. た だ し,先 述 の よ うに,日 本 人の子 ど もの場合 は. ,. れて い るこ とが 多 い とみ られ ,外 国人 であ る親 に外 国. おお よそ 9割 以上が ,就 学前施設 で体系 的 な文字指 導. 語 で あ る 日本語 の文字 の指導が任 されて い る可能性 が. を受 けて い な い に も関 わ らず ,実 際 に は ,ひ らが な. あ り,そ の 点 につい て も問題が あ るのではない か と考. (中. には漢 字 も)が 読 めた り,書 けた りす るのであ る。. え られ る。. そ して ,1年 生 の授 業 は ,あ る程 度 の 「 読 む/書 く」. 「外国につ なが りを持つ子 ども」へ の 言語支援 をどのように考 えればよいか。. が 出来 る こ とを前提 に授 業 が進 め られ て い る。 実 際. 5。. に,小 学校 1年 生 の 国語科 「上 」 の教科書 を見 てみ る と,書 字学習 のペ ー ジ よ り以前 に,ひ らが なで書 かれ た文が記 されてお り,子 どもたちは授 業 の 中で ,そ の. 「外 国 につ なが りを持 つ 子 ど も」 は ,家 庭 にお い て. 書かれ た ひ らが なの文字 を,ひ らが な を習 う前 に音読. も,保 育所 や幼 稚 園 にお い て も,「 文 字 の 読 み書 き」. す る こ とがで きるので あ る。. を学 ぶ機会 に乏 しく,実 際 には小学校 に入学す る まで. 日本 の 子 ど もた ち は ,小 学校 入 学 前 に 「 読 む /書. 学 ぶ 機会 を得 られて い な い 。 そ して ,小 学校 入学 後. ,. く」能力 を家庭 や 日常生活 の 中で 身 につ け て い る もの. 「 文字 の 読 み書 き」能力 が十分 で な いの に,抽 象 的 な. と考 え られ ,だ か らこそ小 学校 の教諭 たちは,子 ども. 言語能力 を必要 とされ ,学 年 が上が るに連れて,さ ら. たちにひ らが なの文字指導 だ けで な く,漢 字指導 や文. に学 習 が 困難 に な って い って しま う とい う状 況 にあ. 章 を書 かせ た りす る ところ まで ,わ ずか な期 間 で指導. る。. で きて い るのだ と考 え られ る。 日本 人 の 子 ど もの場 合 は ,小 学校 に入 学 す る まで に,「 家庭 で も日本語 」,「 就 学前施設 で も日本語 」 と. 「保 育 の 国際化 」 につ い ての調査 に よる と,保 護 者 か ら日本語 学習 に関す る相 談 を受 け た保 育士 は,わ ず か. 10。. 4%り あ り,流 暢 に 日本語 が話せ る我 が子 の 日本.
(8) 甲南女子大学大学院論集第 9号. 人間科学研究編 (2011年 3月. ). 語 能 力 に ,親 はそ れ ほ ど心 配 して い な い こ とが 覗 え. れ ほ ど重 要 視 す る必 要 が な い と考 え られ る。 山 田. る。 しか し,「 外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 が ,ど. (2007)も ,「 学習言語 の習得 は一般 的 には,学 校教育. れだけ流暢 に 日本語 を話せ るか らとい って も,小 学校. の 中 で 教科 の 学 習 を通 じて な され る と考 え られ ます。. に入学す れば,学 習 の場 で は,対 話 に よって授業 が進. つ ま り,多 くは小学校 に入 学 しさまざまな教科 を学 び. め られ る。そ して ,対 話 に よる経験 ・知識 ・情報 の 交. なが ら副 次的 に 身 に つ け る もの」 と指摘 して い る 。. 換 が行 われ ,「 文字」 を媒 介 と した知識 の 交換 が行 な. す なわち,小 学校入学前 に十分 な文字 の学習 さえな さ. われ る こ ととなる。 したが って ,「 書 き こ とば 」 の 習. れて い れば,小 学校 入学後 に,日 本 の子 どもたち と共. 学校 得 が重要 で あ る とい う こ とは言 うまで も無 い。月ヽ. に「学習言語 」 を育 てて い くこ とがで きるので は と考. に入学 後 ,突 如 「 書 き こ とば 」 の 能 力 を求 め られ て. え られ る。. も,す ぐに「書 きこ とば」 を習得す る こ とは 困難 で あ. 3つ. 無藤 (1992)は ,子 どもの 文字学習 に関 して ,「 文. る と考 え られ ,「 書 き こ とば」 が ,教 科学 習 を行 う際. 字 の 学 習 は,単 に い ろ い ろな ところに文字 が あれ ば. の抽 象的 な理解 の基 本 となる こ とは い うまで もな く. それ に接 して覚 える とい う こ となのではな く,も う少. まず は「 文字」 を習得 し,そ こか ら「書 きことば」 ヘ. し立 ち入 って ,そ の 子 どもた ちに とつて文字が重要 ・. と発展 させ て い くこ とが重 要 であ る と考 え られ る。 し. 必要 であ る,あ るい は親 しみが持 て る とい った要素 が. たが って ,就 学前段 階 の「外 国につ なが りを持 つ 子 ど. 3紳 必要」 で あ る と指摘 して い る。 家庭 にお い て ,日 本. も」 へ は ,ま ず ,「 文字」 の 学 習 ,そ して「書 き こ と. 語 の文 字 に触 れ る機 会 の少 な い 「外 国につ なが りを持. ば」 の習得 に力 を入れた言語支援 を行 うべ きであ る。. つ 子 ど も」 の 場 合 ,意 図的 に文 字 の 重 要性 に気 付 か. カナ ダの言語研 究者 であ る Jo Cummins(1980)は. せ ,楽 しみ なが ら文字 に触 れ ,学 んで い ける よ うな環. ,. ,. ,. ヒカ に は ,BICs(Interpersonal Communication 吾育 言言. 境 を提供 して い く必要があ る。 しか し,だ か らとい っ. Skills)と CALP(Cognitive Academic Languagc Profi―. て早期教育 だ と批判 されて い る よ うな,た だ読 み書 き. この 2つ は. の ドリル を しただけで は,そ れ は子 どもに とって苦痛. ciency)の 2つ があ る と指摘 して い る. 36。. ,. 日本 では一 般 的 に 「生 活言語」 と「学習言語」 と呼 ば. で しか な い。「幼稚 園 の 下駄箱 に貼 られた 自分 の 名前」. れてお り,前 者 を「 日常 の や り取 りを通 して,自 然 に. を確 認 した り,「 手紙」 を読 んだ り,書 い た り,作 品. 習得 され る話 し言葉」,後 者 を「学校 での教科学 習 の. に名前 を書 い た り,幼 児 は楽 しみ なが ら文 字 を習得 し. 場面 で 使 われ る抽 象的 で 非 コンテ クス ト化 された概念. て い くもので あ る。 日本語 での「書 く」活動 に子 ども. を思 考 ・操 作 す るため の 言語 」 と解 釈 で きる。 前 者. を積極 的 に参加 させ るため には ,楽 しみ を持 たせ て. は ,比 較 的習得が容 易 で 子 ど もの 場 合 ,1∼ 2年 で 習. なぜ 文字 を書 くのか ,文 字 を書 くこ とに よって ど うい. 得が可能 であ り,後 者 は,比 較 的難 しく習得 には 5年. う楽 しみがあ るのか を子 どもたちに感 じて もらう必要. 以上 を要す る とされてお り,現 在 の年少者 日本語教育. があ る。 特 に,就 学前段 階 の子 どもたちは,成 人 の 日. 学研 究 で は ,「 い か に子 どもに学 習言語 を習 得 させ る. 本語学習者 の よ うに,日 本語 を学 ぶ ために 日本語 を勉. か」 とい う「学習言語」 に着 目 した研 究が盛 んに行 わ. 強す るのではない 。 自発的 に 日本語 を使 って何 か を し. れて い る。「外 国 につ なが りを持 つ 子 ど も」 へ の 言 語. た い とい う よ うな こ とが あ るか らこそ ,日 本語 を使 う. 支援 は,「 生 活言語」 だけで な く,「 学習言語」 の 両方. ので あ る。. ,. を支援 して い く必要が あ る と考 え られ る。 ただ し,就. 「言語 」 は ,人 が 人 と して学 び生 きて い く中 で ,必. 学前段 階 の子 どもの場 合 は,日 本 人の子 どもであ って. 要不可 欠な もので あ る。 しか し現在 ,日 本 にい る多 く. も,「 学習言語」 は完全 には確 立 して い な い。 つ ま り. の「外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 は,親 との コ ミュ. 4∼ 5歳 は ,二 次概 念 の 獲 得 な どに よって ,具 体 的 な. ニ ケ ー シ ョンに必要 な母語 や ,小 学校入学 以 後 に必要. 場面 を離 れた話 な どを,漸 く理解 した り,話 した りす. な学 ぶ ための 日本語 (文 字 の読 み書 きな ど)を ,十 分. るこ とが 出来 る様 にな って くる とい う時期 で あ り,い. に就学前 に身 につ ける機会 に乏 しく,知 的活動 を行 う. ずれ に して も,抽 象的 で非 コンテ クス ト化 された言語. ための「言語 」習得 が ない まま放置 された状態 にな っ. の理解 は,完 全ではない と言 える。 よって,学 習す る. て しまってい る。「 外 国 につ なが りを持 つ 子 ども」 が. ため に必要 な「学習言語」 の形成 のため に,非 コ ンテ. 小学校 入学 と同時 に,日 本 人の子 どもと共 に楽 しく学. クス ト化 された事 象 に対す る言語能力 を高め る こ とも. んで い ける よ う,彼 らの言語習 得 を就学前 か ら支援 し. もちろ ん無視 で きな い が ,就 学前段 階 の「外 国 につ な. て い くこ とが重 要 なので はない だろ うか。年齢が 上が. が りを持 つ 子 ども」 へ の 言語支援 を考 える上 で は,そ. れば上が るほ ど,語 彙 の 数 は増 え続 け,学 ばな けれ ば. ,. ,.
(9) 栃原 玲子 :就 学前段階か ら小学校低学年 の 「外国につ なが りを持 つ子 ども」へ の言語支援 な らな い 学 習 内容 も増 えて い き,日 本 人 の 子 ど もとの 間 に ,日 本 語 や知 識 レベ ル に差 が広 が って い って しま. う。 日本語での言語能力にさほど差がない就学前 の時 期 に,日 本語支援 を行 なってい くことがで きれば,小 学校入学 と同時に教科学習 をス ター トす ることがで き,多 くのことを小学校 の授業 の中で学 んでい くこと. 6)宮 島喬 ,『 共 に生 きられ る 日本 ヘ ー外 国人施 策 とその 課題』,有 斐 閣選書 ,2003を 参 照 。宮 島 に よる と,「 公 立 学 校 に 学 ぶ ニ ュ ー カマ ー の 子 ど もは現 在. 7)参 考. :文 部科学省「CLARINET」 http:〃www.mextogo.jp. /社 menu/shotou/clarincプ main7_a2.htm(2010/09/20現. 「外国 につ なが りを持 つ子 ども」 にとっては,日 本 語 だけでな く,認 知発達面な どか ら考えた場合,母 語. 在). 8)「 平 成 21年 度 帰 国 ・外 国 人児 童 生 徒 受 入促 進事 業 に 係 る報 告書 の概 要. がで きるのではないか と筆者 は考える。. 6万 人 程. 度」。. (甲. 賀市 )」 な どを参照 。http://www.. mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/1294689。. htm. (2010/09/20現 在 ). 9)文 部科学省 ,「 (別 添 1)定 住外 国人 の 子 ど もに対 す る. の獲得 も重要 な課題である。白川 (2004)が ,「 家庭. 緊急 支援 ∼ 定住外 国人子 ど も緊急 支 援 プ ラ ン∼ 平 成 21. で母語 の習得 ,幼 稚園や保育所 で 日本語習得 といった. 年 」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/004/. 家庭 と連携 したバ イリンガルな言語習得プログラムの. 1296672.htm(2010/09/20現 在 ). ようなものが考えられなければならないであろう。保 育所や幼稚園 には外国人幼児の言語 を知ってい る保育 士や教師 と,幼 児の 日本語教育に精通 した 日本語教師. がぜひとも必要である。 」 と指摘 しているように,今 後,ま すます増加す ると考えられる「外国につなが り 3り. 「就学前施設」一 を持つ子 ども」に対 して,「 家庭」一 「小学校」が共に連携 し合い,き め細かい言語支援 を 就学前段階から行なっていけるような体制を,早 急に 作 り上げてい く必要性があるのではないだろうか。. 10)文 部科学 省 ,「 日本語 指導 が必要 な外 国人児 童生徒 の Ъイ 犬況」,2006,http:〃 wwwomext.goojp/b_menu/houdou 受入 オ /19/08/07062955/001/001.htm(2010/09/20現 在 ). H)文 部 科 学 省 ,「 JSLカ. リキ ユ ラ ム 開 発 の基 本 構 想 」 ,. 「『学校教育 にお ける JSLカ リキ ュ ラ ムの 開発 につ い て』 (最 終報告 )小 学校編」http:〃wwwomext.gojp/社 menu/sho― tou/chrineヴ. 003/001/008/001.htm(2010/09/20現 在 ). 12)佐 藤郡衛 ・齋藤 ひろみ ・高木 光 太郎 ,『小学校 JSLカ リキ ュ ラム「解 説」 』,2005,ス リーエ ー ネ ッ トワー ク p.46. 13)前 掲書 12),p.41 14)前 掲書 12),p.46 15)岩 倉 市 日本 語 初 期 指 導. http://wwwoiwakuraoed.jp/ni―. hongo/syokisidou 3.pdf (2010/10/02現 在 ) )王. 1)政 府 は,「 外 国人児童 ・生徒 」 とい う用語 を用 い て い るが ,本 論 文 で は「 外 国 に つ なが りを持 つ 子 ど も」 と い う用語 を用 い る。 年 少 者 日本 語 教 育 学 の 中で は「 外 国 人 児 童 」 や 「外 国 に ル ー ツ を持 つ 児 童 生 徒 (子 ど も)」 ,「 外 国 に つ なが る児 童生 徒 (子 ど も)」 と様 々 な. 16)前 掲書 12),p.73 17)幼 稚 園 と保 育 所 の 管 轄 が 分 か れ て い るた め に ,教 育 委員会 と児童福祉 課 を対 象 にイ ンタビュー を行 った。. 18)栃 原玲 子 ,「 就 学前段 階 の外 国 人児童 に対 す る 日本 語 教育 の現状 」,『 日本語教 育学 会大 会予稿 集』,日 本語教 千妻錯生 , 2005,pp.176-179. 用語 が用 い られ て い る。 しか し,本 研 究 で 扱 う対 象者 は,義 務 教 育段 階 の 児 童 。生 徒 だ け で な く,就 学 前 の. 19)栃 `ヽ 原玲 子 ・ 山根耕 平 ,「 就学前 の外 国人児童 へ の 言語. 幼 児 も研 究 の 対 象者 と して扱 って お り,ま た ,国 際結. 童教育学科『児童教育学研 究』第 24号 ,2005,pp.106-115 20)栃 原玲 子 ,「 日本語教 育 の 現状 一幼 児期 を中心 と して. 婚等 に よって生 まれ た ,日 本 国籍 を保 持 して い る子 ど も も含 まれ るた め ,「 外 国 人」 とは 言 え な い 。 そ こで. ,. 本論 文 で は ,積 極 的 な意 味 で 「外 国 に つ なが りを持 つ 子 ども」 と した。. 2)現 在 ,日 本 の 結 婚 の 約 6%が 国際結 婚 とい わ れ て い る。厚 生 労働 省 ,「 第 31回 社 会 保 障 審 議 会 児 童 部 会 議 事釘 , 2008, http:〃 www.mhlw.goojp/shingi/2008/10/txt/s t」. 1014-1.txt(2010/09/20現 在 ). 3)文 部科 学省 ,「『 日本 語 指 導 が 必 要 な外 国 人児 童 生 徒 の 受 入 れ状 況等 に関 す る調 査 (平 成 20年 度 )』 の 結 果 につ い て」http:〃 www.mext.goojp/b_menu/houdou/21/07/_ _icsFiles/afieldfile/2009/07/03/1279262_1_1.pdf(2010/09/21. 現在 ). 4)前 掲書 3),p.2 5)川 上郁 雄 ,「 年 少者 日本語教 育 にお け る 『 日本語 能力 測定』 に関す る観 点 と方法 」,『 早稲 田 日本語教 育研 究』 第. 2号 ,早 稲 田大 学 大 学 院 日本 語 教 育 研 究 科 ,2003,. pp.1-16. 支援体制 の必 要性 と今 後 の 課 題」,神 戸親和 女 子大 学 児. 一」,『 日本教 育実践学 会第 7回 研 究大 会予稿 集』,2004, pp。. 155-156. 21)野 山広 ,「 就学 前 日本語教 育 と リテ ラシ ー教 育 の重 要 性 ―母親が 日本語非母語話者 の子 どもの場合」,『 日本 語教育学会春季大会予稿集』,2008,p.233. 22)前 掲書 20),pp.155-156 23)栃 原玲子 ,「『外 国につ なが りの ある子 ども』 へ の言 語支援 一就 学前段 階か ら小 学校 低 学年 を対 象 と して 一」,『 日本乳幼児教育学会第 20回 大会研 究発表論文 き 夕 』, 2010,p.129. 24)2002年 7月 ,筆 者 はまず加配教 員 に対 し電話 による イ ンタビュー調査 を行 い,そ の後 ,9月 に 2回 に渡 つ て,市 立 Aガ ヽ 学校 を訪問 し,国 際学級 の参与観察 を行 なった。. 25)東 川祥子 ,『 日本語指導 の必要 な「定住型児童」に対 す る日本語教育 ―書 く力か ら学習言語 の育成 を考 える 一』,早 稲田大学大学院 日本語教育研究科修士論文 (概.
(10) 甲南女子大学大学 院論集 第 9号. ワ 署), 2003,p.2. 人間科学研 究編. (20H年 3月. ). (2010/09/20現 在 ). 26)西 原鈴子 ,「 外国人児童生徒 のための 日本語教育 の あ. 生 とその変 化」,『 上越教 育大学研 究紀 要』,第 22巻 第 2. り方」,『 日本語学 2月 号』,第 15号 ,1996,pp.67-74. 27)国 立国語研究所 ,『 幼児 の読 み書 き能力』,東 京書籍. 34)大 庭重 治 ,「 就 学前 後 の 平 仮 名書 字 にお け る誤 字 の 発. ,. f計. , 2003,pp.529-537. 35)日 本保育協 会,『 保 育 の 国際化 に関す る調 査研 究報告. 1972,p.79. 28)甫有事 蒙27), p.100 局是. 書』,2008,p.129,http:〃 www.nippo.orjp/research/pd食 /2008. 29)厚 生 省 ,『 保 育所 保 育指針 一平 成 ‖ 年改訂』,フ レー. _02/2008_02.pdf(2010ノ 09/20現 在 ). ベ ル館 ,1999を 参照。. 36)Cummins,J。. 30)文 部科学省 ,「 幼稚 園教 育要領」http:〃 wwwomext.go.jp /b_menu/shuppan/sono性 ゴ990301a.htm#2(2010/09/20現 在 ). 31)文 部 科 学 省 ,「 幼 稚 園教 育 要 領 解 説 」 http://www. mextogoojp/a_menu/shotou/new― cs/youryou/youkaisetsu.pdf. 32)文 部科学 省 ,「 小学校指導要領」http:〃 wwwomext.gojp /b_menu/shuppan/sonota/990301b/990301d.htm(2010/09/20. 密 に 2つ に区分 す る ことは難 しい と指摘 して い る。. 37)山 田泉 ,「 ニ ュー カマ ーの 子 ど もた ちの発 達 と言 語」 ,. 会資料』,2007,p.13. 38)無 藤 隆,『 子 ど もの生 活 にお け る発達 と学 習』,ミ ネ ル ヴ ァ書房 ,1992,p.89. ). 33)文 部 科 学 省 ,「 新 しい 学 習 指 導 要 領 」 http://www. mext.go.jp/a_menu/shotou/ncw―. Nadond Associadon of BilhguJ Educadon。 後 に,彼 は厳. 『第 1回 多文化 共生社 会 にお け る 日本語教 育研 究会全体. (2010/09/20現 在 ). 現在. (1980)。 The cntry and exit fallacy in bilin―. gual education.NA3正 ;Jθ 夕rη α′ , 4, 25-60。 Washington DC:. cs/youryou/syo/koku.htm. 39)白 川蓉子 ,「 国際化 と多文化保 育 の 課題 」,『 育 ちあ う 乳幼児教育保育』,2004,有 斐 閣,pp.246-247.
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