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市場適応的経営戦略の理論と適用事例 : アサヒビールの研究(その1)

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長野大学紀要 第17巻第2号 1-38頁 (121-158頁)1995

市場適応的経営戦略 の理論 と通用事例

(

1

)

Theories of Market-Adjusting Management Strateg and

a Case Analysis of Theory Application:

A C a s e S t u d y o n A S A H I B R E W E R I E S , L T D . ( N o . 1 )

Abstract

Thedevelopmentofmanagerialmarketing theoriesisreviewedfrom markeトadjusting management strategies.Four features of these theories are discussed: (1)market -oriented corporate philosophies,(2)market・ ing activitiesorganizedtofit the market

,

(3)integratedcorporateactivities,(4)strategic market・oriented organization.The case of Asahi Breweries,Ltd.,which has been successfulin the domestic market,isan・ alizedthroughthesepoints.(1)and (2)are discussedinthispaper,and(3)and(4)Will beaddressedinthefollowingone.

経営視点 に立つ マーケテ ィングの理論を発展的 に整理 し、それを市場適応的経営戦略 と位置づけ た。その特徴を、①市場志 向の企業理念 の確立、 ②市場 に直結 した企業活動 の統合、(参全社的統合 活動 、④戦略的組織 の

4

つに絞 り、本稿では、① と② について論 じた。そ して、その理論的整理 に 基づいてアサ ヒビールの事例を検証 した。 この続 きは次回の紀要で論 じる予定。

目 次

は じめに 1. 現代 のマーケテ ィング理論

Hisamitsu lhara 1-1 マーケテ ィング理論の発展 1-2 用語 に関す る若干の定義 と 「市場適応的 経営戦略」 2. マーケテ ィング ・コンセ プ ト 2-1 プ ロダク ト・ア ウ トか らマーケ ッ ト・イ ソ (理論 の整理) 2-2 プ ロダク ト・ア ウ トか ら脱却で きない理 由 (理論 の空 白) 213 アサ ヒにおけ るマーケテ ィング ・コンセ プ トの確立 (事例 の整理) 発想の転換 (精神的改革) 開発 の仕組み の変化 (組織的改革) 新 しい仮説 と検証 (創造性 と説得性) 3. マーケテ ィング ・ミックス 3-1 レーザ ーのマーケテ ィン グ ・ミ ッ ク ス (理論 の整理) 3-2 アサ ヒにおけ るマーケテ ィング ・ミック スの実践 (事例 の整理) (1) 商品力-プ ロダク ト・ミックス (2) 情報力 - コ ミュニケーシ ョン ・ミックス (3) 営葉 力-デ ィス トリビューシ ョン ・ミッ クス (4) マーケテ ィング手段 の革新性 と整合性 3-3 他社 の行動 についてのマーケテ ィング ・ ミックス的視点か ら見た考察 (1) 発売時期 の問題 (2) 販売 目標 の相違 (3) 広告宣伝費 の大幅な増大 - i

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-(4) 広告宣伝費 に比べ て低 い販売促進費

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現実の難 しさ (ま とめに代 えて) は じめに 筆者は、昨年 11月、長野大学主催 の 「長野大学 と県 内企業 との懇談会」で、 「アサ ヒスーパ ー ド ライ」 (以下、「スーパ ー ドライ」 と省略)1)の成 功を事例 に講演を行 った。 また、筆者はそれ以前 に も日経流通新 聞の コラム欄 な どでスーパ ー ドラ イの市場戦略 につ いて触れ ることがあ った2)が、 今回、 この事例 について整理 してみたい。 本稿 におけ る筆者 の主 な関心は、 マーケテ ィン グ (特 にマネ ジ リアル ・マーケテ ィング) の基本 的な概念を再度整理 して、それを経営戦略論や経 営組織論 に結 び付 け ることであ る。筆者 の理解す る ところでは、現代 のマーケテ ィング理論 の実践 には、 いわゆ るマーケテ ィングを越 えた経営努 力 を要す る。そ こに動員 され るものは、戦略的発想 か ら人事 ・教育制度、組織 ・企業風土 の改革 な ど 経営全般 の課題 を包括 している。た とえば、 マー ケテ ィングの中心的な概念は顧客志 向に基づ くマ ーケテ ィング ・コンセ プ トであ るが

、 「1

つ の組 織 においてマーケテ ィング ・コンセ プ トを確立す ることは非常 にむず か しい仕事であ り、それには かな りの計画策定、説得、教育、お よび組織 の再 編成 を必要 とす る。 したが って、 日常の活動段階 でマーケテ ィング ・コンセ プ トを実践 で きる と思 われ る会社は相対的 に少ない」と言われ てい る8)0 筆者 の第2の関心は、その よ うなマーケテ ィン グ理論の実践 が経営 ・組織全般 の戦略的課題 にな った具体的事例 として、 スーパ ー ドライの成功 と アサ ヒビール株式会社 (以下、「アサ ヒ」)の経営 ・組織上 の改革を取 り上げ、検証 してみ ることで あ る。なぜ な らば、戦後、 日本企業が必死にな っ て アメ リカか ら導入 したマーケテ ィン グ の 理 論 が、多 くの企業 と業界 において理論的要請あ るい は願望 の レベルで しか消化 されず に現実 の もの と な っていない とい う指摘4)もあ る中で、 こ うした 事例は非常に貴重 であ り、かつ注 目に値す るもの だか らであ る。それは、後述す る ビール業界 の プ ロダク ト・ア ウ ト的環境 と特殊性か ら見て も画期 的な ものであ った と言 って良いだろ う。 周知 の通 り、 スーパ ー ドライは、④ サ ン トリー 株式会社 (以下 「サ ン トリー」)と並 んでほぼ業界 最下位 の地位 に甘ん じていた アサ ヒが、一躍業界 2位の地位に躍進 した ことや、⑤ シェア60%を超 えて独 占禁止法改正下で分割議論 も出ていた ガ リ バ ー型企業 のキ リンビール株式会社 (以下 「キ リ ン」)がその市場 占有率を48% (1989年)まで下げ るな ど、 ビール業界 の勢力地 図を大 き く変えた ヒ ッ ト商品であ る。 しか し、そ の今 日的意味を再度問い直す と、 ス ーパ ー ドライの ヒッ トは単な る製品戦略的な成功 だけに留 まらなか った とい うことであ る。 アサ ヒ は、その後 も

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%前後 の市場 占有率を維持 して3 位のサ ッポ ロビール株式会社 (以下 「サ ッポ ロ」) の シェア18%前後を大 き く引 き離 して2位 の地位 を不動 の ものに している。 これはスーパ ー ドライ 発売前の アサ ヒのマーケ ッ トシェアが9%台であ った ことを考 え ると大変 な変化 であ り、それが今 日まで持続 してい るとい うことは、-製品戦略 の 成功だけ の ものではな く、そ の背後 には、 スーパ ー ドライ発売以前の企業理念 の策定、TQCやC Iの導入、企業組織や風土 の変革があ った と言わ れ てい る。 スーパ ー ドライについては、すでに- -バ ー ド 大学 の ソル ター

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教授 の監 督 と東京大学 の浅羽茂氏の協 力の もとに国領二郎 研究員に よって書かれた ケーススタデ ィ 「アサ ヒ ビール株 式会社」 (- -バ ー ド大学、1989年)が ある し、 当時のアサ ヒの状況 につ いては、石山順 也の 『〔ドキ ュメン ト〕 快進撃- の軌跡 アサ ヒ ビール の挑戦』 (日本能率協会、1988年) な どが あるが、前者は ビジネスス クールの クラス討議 の ために書かれた- -バ ー ド的 ケーススタデ ィであ り、後者 は ドキ ュメンタ リー風 に書かれた読み物 であ る。今回の試みは.、これ らの業績や新 聞 ・雑 誌記事 な どの資料 とアサ ヒ広報部 におけ る取材 を ベースに、 スーパ ー ドライの事例をマーケテ ィン グのい くつかの理論 と結び付 けなが ら市場適応的 経営戦略 の観点か ら分析す ることにある。 尚、紙 幅の関係か ら、本稿は、前半部分につい てのみ扱い、続編は次回以降 の紀要で論 じたい。

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論と適用事例

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現 代 の マ ー ケ テ イン グ理 論

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マーケテ ィング理論 の発展 まず、現代 のマーケテ ィング理論 (特 にマネ ジ 1 )アル ・マーケテ ィングとよばれ る一連 の理論) が形成 され て きた過程 とそ の主要 なポイ ン トにつ いて、筆者 な りに多少 の コメン トも試 みなが ら簡 単 に整理 してみたい。 まず、 マーケテ ィングを研究視点か ら大別す る と、周知 の通 り、社会 ・経済全体 の巨視的視点か ら流通 の仕組みな どを研究す るマ クロ ・マーケテ ィング5)と個別企業 の微視的視点にた って経営活 動 を取 り上 げ る ミクロ (マイ クロ) ・マーケテ ィ ング6)に二分 され る。 著名なバ ーテルズのマーケテ ィング学説史 の研 究 に よると、 マーケテ ィングの学問的起源 とも言 われ る

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世紀初頭 のマーケテ ィングは 「``流 通 産 莱" として知 られ ていた ものを取 り扱 う大学 の講 座」7)で行なわれ ていた。 また、 日本で も、 深見 義一

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の 「配給 な る語の起源 については、 色 々の説があ るが、大腰、大正 の中葉 の頃 よ り用 い出 された この語、之を私 は、 アメ リカのマーケ ッテ ィング8) に相嘗す る語 として、 今は用 いて 居 る」9)の よ うに、昭和初期 の向井 (1928)10)辛 福 田

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の研究が起源 とされ るマーケテ ィ ング研究を 「配給諭」 と呼ぶ ことが多か った。つ ま り、 マ-ケテ ィγグは、そ の初期 の発展段階 に おいて、流通機構 な ど扱 うマ クロ ・マーケテ ィン グの視点を もっていたのであ る12)。 初期 のマーケテ ィング研究には、

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年 の期間を通 じて--・発展 した--商 品的接近法、 制度的接近法、機能的接近法」18) とい う3つ の代 表的な研究 アプ ローチがあ るが、 これ らも基本的 にはマ クロ ・マーケテ ィングの手法 といえ る。初 期 のマーケテ ィングは、R.S.バ トラー (Ralph S.Butler)

、 A.

W.

シ ョー

(

A.

W .Shaw)

M.T.コープラン ド(MelvinT.Copeland)ら に よって

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年代 までには一応 の体系化がほか ら れ るが、 こ うした前段階的なマ クロ ・マーケテ ィ ングにおいては、 (その体系的 ・総合的な試みに もかかわ らず)流通経路 に したが って ビジネス活 動を連続的で平面的に取 り扱 った り、商品 ・制度 ・機能 な どを平板 に分類 した り、広告 ・信用思想 123 ・セールスマ ンシ ップな どを個別に切 り離 して取 り上げた りす る傾 向があ った訳であ る14)。 ところが、第2次世界大戦後のアメ リカでは、 マーケテ ィングを経営機能の中心 に置 くマネ ジ リ アル ・マーケテ ィング (経営者的マー ケ テ ィ ン グ)が台頭 して、 マ クロ ・マーケテ ィングか ら ミ クロ (マイ クロ) ・マーケテ ィングに大 きな転換 がはか られた。村 田昭治

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は、 「第二次世 界大戦 にいた り、 かの "マーケテ ィング論 の性格 議論" に端を発 して、 マーケテ ィング理論は "マ ーケテ ィング ・ミックス理論"へ と進展をみ るこ とにな った。 こ うして、 マーケテ ィング政策 の各 側面が、従来 の よ うにば らば らに研究 され るので はな く、総合的なマーケテ ィング ・マネ ジメン ト の観点か ら統一的なマネ ジメン ト原則 の探求 とし てみなお され るよ うになった」 と述べ てい る15)O す なわ ち、 マーケテ ィング ・ミックス理論を始 め として、以下 に述べ るよ うなマーケテ ィング ・コ ンセプ ト、 トータル ・マーケテ ィング、 ターゲ ッ ト・マーケテ ィング、 な どの諸概念 に基づ く理論 的構築があ った訳で、その結果、 マーケテ ィング が、企業活動 の中枢 に置かれ る主要経営機能であ る とい う認識が出来上が り、それ までの平板で個 別的 ・断片的な研究か ら立体的で体系的 ・包括的 な研究- と発展 した訳であ る。 しか し

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年代以降 にな る と、 石油危機、為 替変動 な ど個別 の市場動 向の調査では対処 で きな い企業環境 の ドラステ ィックな変化 が見 られ、 フ ァイナ ンス理論の発展 もあ ってポー トフォ リオ理 論 に基づいた PPM (productportfolio man・ agement)や PIMS (the proBtimpactof marketstrategy)な どの理論が発達 した。また、 ポーター (M.Portor)の競争戦略理論 の よ うに 事業全体や SBU (strategicbusinessunit)レ ベルの戦略的マーケテ ィング (この用 語の補足説 明は後述)が注 目され るよ うにな った。 わが国では、戦後 しば ら くは 「日本特有 ない し 独 自なマーケテ ィングはあ りえない」 とい う意見 の もとにアメ 1)カ流 マーケテ ィングの導入 に構極 的ではなか った と言われ る16)が

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年 の 日本生 産性本部 の米国視察17)を始 め とす る米国経営手法 の積極 的導入 の流れ の中で、一般企業 に もマーケ テ ィング理論が取 り入れ られ るよ うにな った。そ -

(4)

3-の際、積極 的に導入 されたマーケテ ィ ン グ 手 法 は、経営的視点に立 ったマネ ジ リアル ・マーケテ ィングを中核 とす る一連 の理論 と手法 であ った訳 で、今 日一般 に 「マーケテ ィング」 と呼ばれ るも のは、マネ ジ リアル ・マーケテ ィングを指す こと が多い。

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用語 に関す る若干 の定義 と 「市場適応的 経営戦略」 この よ うな発展過程を通 じて、 マーケテ ィング は、市場適応を前提 として全社 的な統合 (総合) 活動 として捉え られ るよ うにな り、今 日では経営 戦略 とはぼ 同義語 とも言え るもの とな ってい る訳 だが、その経営者視点 にた った マ-ケ テ ィ ン グ (マネ ジ リアル ・マーケテ ィング) について、本 稿では 「市場適応的経営戦略」 とい う用語を用 い てみたい。それは、 マネ ジ リアル ・マーケテ ィン グとい う用語 自体が さまざまな レベルで解釈 され 誤解 を生 じ易いか らである。 マネ ジ リアル ・マーケテ ィングは、既述 の よ う に、1960年代 に体系 的な理論が出来上が った訳だ が、 マーケテ ィング ・ミックス論を中心 とした 自 己完結的な理論体系 を もつため、それだけに焦点 が当て られ て企業 の内部管理 のための 「職能 レベ ルのマーケテ ィングを効率的にすすめ るためのマ ネ ジメン ト活動」18)として位置づけ られ る債 向 も あ った。今 日で も、 マネ ジ リアル ・マーケテ ィン グを この よ うな管理 のためのマーケテ ィング手法 と位置づけてい る場合 も多 い。 また、 マネ ジ リア ル ・マーケテ ィングと同 じよ うな意味でマーケテ ィング ・マネ ジメン トとい う用語 も使 わ れ て い る。 この点に関 して、荒川 (1974)は、 マーケテ ィ ング ・マネ ジメン ト論を 「マーケテ ィング諸手段 の統合的管理技法」である とし、 マネ ジ リアル ・ マーケテ ィング論は 「企業 の対市場積極 的対応行 動 の統合体系 としての、 しか も経営者 に よ り構築 され るべ きもの」 としてい る19)。筆者 も、 この荒 川 の考 え方 に沿 って この2つ の用語を区別 して理 解 してお り、本稿では、一層 明確 にす るため、 マ ーケテ ィング ・マネ ジメン トを職能 レベルの管理 技法 と位置づけ、 マネ ジ リアル ・マーケテ ィング は、 トップ経営者 に よる全社的な経営戦略 と位置 づけたい20)。 同様 に、 「マーケテ ィング戦略」 とい う用語 に ついて もさまざまな レベルで使われ てい るので、 ここでその点 について明かに したい。拙稿 「花王 の研究 (その1)

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1

)」で も整理 した よ うに、一般 に 「環境 ・自社分析-標 的市場 の設定- マーケテ ィ ング ・ミックスの策定」 の枠組みを もつ戦略理論 を 「マーケテ ィング戦略」 と呼ぶ。 しか し、その よ うなマーケテ ィング戦略 の 理 論 を 嶋 口 充 輝 (1984)は 「マーケテ ィング ・マネ ジメン ト戦略」 として、 「ソー シャル ・マーケテ ィング戦略」や 「競争市場戦略」 を含む 「戦略的 マーケテ ィング」 と区別 してい る22)。筆者 も、伝統 的な 「マーケテ ィング戦略」 は (マーケテ ィング ・ミックス論を 中心 とす る意味で) マーケテ ィング ・マネ ジメン トの理論体系 と直結す るもの と考えてお り、その 意味を強調すれば 「マーケテ ィング ・マネ ジメン ト戦略」 とすべ きであろ うが、 「マーケテ ィング ・マネ ジメン ト戦略」 とい う用語 よ り 「マーケテ ィング戦略」 と呼ぶ方が一般的 と思われ るので、 そ う呼びたい。 また、 「戦略的マーケテ ィング」 が嶋 口のい うよ うにマーケテ ィング ・ミックス論 以外 の市場戦略的理論を含む用語 とすれば、上記 の歴史的考察 の中で説 明 した よ うに、1970年代以 降 のポー トフォ リオ理論 ・競争戦略 の活用を踏 ま えた総合的 な市場戦略 の理論 も 「戦略的マーケテ ィング」 と呼ぶべ きではないか と考 えてい る。 また、嶋 口 (1986)は、 この 「戦略的マーケテ ィング」 とほぼ 同義 と思われ る用語 として 「統合 市場戦略」 とい う表現 も用 いてい る。嶋 口に よる と、 「市場 に合わせた方 向づげのなかに有効 な組 織、管理 システムを構築 し、それ に合わせ て適切 な経営資源 の配分を考えてい く-・-組織全体 の市 場- の統合的 システムづ く り」が 「統 合 市 場 戦 略」 であ る28)。筆者 も、既述 の よ うに、 マーケテ ィング理論を経営戦略 レベルで理解 してお り、 マ ネ ジ リアル ・マーケテ ィングの理論を実践 す るた めには、お のず と組織 ・管理 システム ・経営理念 ・風土 ・教育制度 な ど広範囲な企業 の改革が必要 にな って くる と考 えてい る。 しか し、 マーケテ ィ ングの既成概念を越 えた理論の構築 のために も個 別 の事例を検証 したい とい うのが筆者 の現段階 の アプ ローチであ るので、嶋 口の理論をそのままの

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論と適用事例 形で受け入れ ていない現状では、嶋 ロの言 う 「戦 略的 マーケテ ィング」や 「統合市場戦略」 とい う 用語をそのまま使 う訳 にはいかない。 したが って、 マネ ジ リアル ・マーケテ ィングの 理論を実践す るために必要 な市場適応的な経営戦 略を、本稿では 「市場適応的経営戦略」 と呼びた い。それは、大 きな観点 に立 てば、 「マーケテ ィ ング ・マネ ジメン ト」 の レベルではな く 「マネ ジ リアル ・マーケテ ィング」 の レベルの 問 題 で あ り、 「マーケテ ィング戦略」 よ り 「戦略的マーケ テ ィング」 レベルの問題であ り、嶋 口の言 う 「統 合市場戦略」 に近い概念であ る。 そ こで、上 記で規定 した市場適応的 経 営 戦 略 (広義 のマネ ジ リアル ・マーケテ ィング) の理論 であ るが、 まず は、三滑 (1991) のマネ ジ リアル ・マーケテ ィングに関す る以下 の よ うな特徴24)を ベ ースに (あるいは ヒン トに して)みたい。 (1) 企業 の存続、成長 の カギをにぎるもの として の、消費者 の戦略的地位 の認識 (2) 製品を基礎 とし、価格、流通経路、広告、販 売員活動、 さらに物的流通 な どに及ぶマーケテ ィング諸活動 の統合的管理 (3) マーケテ ィング諸活動 のみでな く、生産、財 務、人事、研究 ・開発 な どを含む、企業活動全 体 のマーケテ ィング的視点か らす る統合、調整 (4) 特定の企業を競争対象 として指定 し た 上 で の、 「戦略」概念を軸 とした統合 筆者は、 これ ら4つの特徴を以下 の ようにまと めてみたO (1) 市場志 向の企業理念 の確立 (マーケテ ィング ・コンセ プ トの確立) 市場を志 向す る企業理念が なければ市場適応的 経営戦略は生 まれ ない。市場 の要請 を創造的に 受け入れ る理念は マーケ ッ ト・イ ンの発想であ るが、 「市場 -社会」 とすれば社会 の要請 も積 極的に受け とめていかなければな らない。それ は、顧客 の満足や社会- の貢献を第一義 とす る 企業理念 の確立で もあ り、顧客志 向 ・社会志 向 のマーケテ ィング ・コンセプ トの確 立 で も あ る。 (2) 市場に直結す る活動の統合 (マーケテ ィング ・ミックス) 市場 に直結 して顧客 に直接 見える活動は同 じ方 125 向性 に基づいて統合 され、各活動が相乗効果を 生む よ うに展開 され なければな ら な い。 と れ は、 マーケテ ィング ・ミックスの実践 に他 な ら ない。 このマーケテ ィング ・ミックスの代表的 な例 に 「マ ッカー シーの

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」や 「レーザ ーの 3つ の ミックス」があ るが、本稿では、 ビール 業界 の事例 に則 して 「レーザ ーの3つの ミック ス」 を取 り上 げ る。尚、筆者は このマーケテ ィ ング諸手段 の統合を 「第 1の トータル ・マーケ テ ィング」 と呼 んでい る。 (3) 全社的統合活動 (第2の トータル ・マーケテ ィング) マーケテ ィング諸活動 の統合的管理 (第

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の ト ータル ・マーケテ ィング) は、必然的に他 の企 業活動 の統合を要す る。生産、購買、研究開発 を始 め として、 ヒ ト・モノ ・カネ ・ジ ョウホ ウ のあ らゆ る分野 にわた って統合活動が不可欠 と な り、人事、経理 な ども含めた全社的統合活動 が必要 になって くる。 この よ うな全社的統 合を 主要 な概念 とす るために、 マーケテ ィングは ト ップの課題 に昇華 され マネ ジ リアル ・マーケテ ィングと呼ばれ る訳 である。 この よ うな全社的 統合活動を筆者は、 「第

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の トータル ・マーケ テ ィング」 と呼びたい。尚、 この点は次回の紀 要 の主要 なテーマ として述べ てい きたい。 (4) 戦略的組織 三浦が指摘す る第4の特徴は 「戦略」概念であ る。企業 の市場適応 の努力の過程は戦略 の立案 と修正 の過程 で もあ る。それは、標的 とす る市 場を 明確 にす ること、競争関係-配 慮 す る こ と、 目標 に対す る適切 な手段を選択す ることな どであ るが、同時に立案 された戦略計画が実行 の過程で どの よ うに修正 され てい くか も重要で あ る。それは組織全体が どの よ うに市場 と関わ りを もってい るかに も関連す る。それは、第1 の トータル ・マーケテ ィングと第2の トータル ・マーケテ ィングを繁 く小鍵で もあ る。 この点 に ついて も次回のテーマ としたい。 以下、各項 目ごとにその具体的な説 明を加 え、 これ らの特徴 に したがいなが ら、 スーパ ー ドライ の事例 について検証 してい きたい。 -

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マ ー ケ テ イン グ ・コ ンセ プ ト

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プ E]ダク ト ・アウ トか らマーケ ッ ト ・イ ン (理論 の整理) マーケテ ィング ・コンセ プ トとい う用 語 は、

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年 にゼネ ラル ・エ レク トリック社 で初めて採 用 された もの とされ るが

、0.

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フェ - レ ル と

W.

プライ ドは彼 らの著書 の中で、 このマー ケ テ ィング ・コンセ プ トを 「マーケテ ィング ・コンセ プ トは、企業 の全体的な活動 に対す る考 え方 あ る いは理念であ る。 この理念が導入 され る時、それ はマーケテ ィング活動ばか りでな く、すべ ての経 営努力に影響を与 える」 と述べ ている25)。 すなわ ち、 マーケテ ィング ・コンセ プ トは 「企 業 の全体的な活動 に対す る考 え方」 であ るため、 マーケテ ィング活動 に関す る考 え方 に 留 ま ら ず 「経営理念」そ の ものを意味す る場合があ る。 こ の点につ いて、 レーザ ー (W .Lager)は、「マー ケテ ィングに対す る トップ ・マネ ジメン トの姿勢 と、 マーケテ ィング諸活動それ 自体 の遂行 とを明 確 に区別すべ き」 として前者 に対す る 「マーケテ ィング理念」 と後者 におけ る 「マーケテ ィング ・ コンセプ ト」を区別 してい る。 しか し、多 くの文 献を整理 し解説 してい る加藤 (1982)は、 「マー ケテ ィング文献 の多 くでは、 この2つの用語は区 別 な く使われ てい る」26)として、 マーケテ ィング ・コンセプ トを 「企業経営 に関す る1つの基本的 な フ ィロソフ ィ、 姿勢 (posture)、 または感度 (attitude)であ り、あ らゆ る経営部 門にかかわ る もの」27) と定義 している。 筆者 も、 (詳細は次回の論文で詳述す るが)全 社的統合活動 (筆者の言葉 では第

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の トータル ・ マーケテ ィング)はマーケテ ィン グ ・ミ ッ ク ス (第1の トータル ・マーケテ ィング) と一体であ り、 これを結ぶ企業哲理 ・使命 ・理念 と日常 のマ ーケテ ィング活動上 の姿勢 ・態度 ・信条は一貫 し てい るべ きもの と考 えてい る。そ して、そ の よ う な一貫性が実現 された時にのみ最終的な統合 (第 3の トータル ・マーケテ ィング)が達成 され る と 考 え るので、 マーケテ ィング ・コンセ プ トを 「経 営上 の基本的な考 え方」 として、 マーケテ ィング 理念 (あ るいはマーケテ ィング ・フ ィロソフ ィ) と同 じ意味で捉えたい。筆者 の考 えでは、そ もそ も 「マーケテ ィング ・コンセ プ ト (marketing concept)」 にあ る 「コンセ プ ト (concept)」 と は 「概念」 と訳すべ きものではな く 「理念」 とし て捉え るべ きもの と思われ る28)。そ して、 マーケ テ ィング ・コンセ プ トを 「経営理念 の レベル」 ま で含めて考 え る ところに こそ、経営者視点のマー ケテ ィング (-マネ ジ リアル ・マーケテ ィング) た る第1の特徴があ ると考えてい るのであ る。 このマーケテ ィング ・コンセ プ トとしてほ、 フ ィリップ ・コ トラ- (Philip Kotler)らが歴史 的な発展 の中で整理 した、以下 の5つのマーケテ ィング ・コンセプ トが代表的であ る29)。 ① 生産志 向 コンセ プ ト---消費者は捉供 された 製品を歓迎 して受け入れ るのだか ら、生産 の向 上や流通 の効率化が主要課題であ る とす るマネ ジメン トの考 え方 ② 製品志 向 コンセ プ ト --消費者は価格 に比 し て一番晶質 の よい製品を好む のだか ら、企業は 製品の晶質 向上 に全力を注 ぐべ きだ とい うマネ ジメン トの考え方 ③ 販売志 向 コンセ プ ト ・-・企業が製品- の興味 を刺激す る相 当な努力を しなければ、消費者は その製品を買わ ないか、買 って も十分 な量 では ない とい うマネ ジメン トの考え方 ④ マーケテ ィング志 向 コンセ プ ト--・組織体 の 最 も重要 な課題 は ターゲ ッ ト市場 の ニーズ とウ ォンツを明確 に把捉 し、組織体 を適応 させ て競 争企業 よ り効果的かつ効率的に これを満足 させ ることだ とす るマネ ジメン トの考 え方 ⑨ 社会志 向 コンセプ ト-・・・マーケテ ィング志 向 コンセプ トと同 じであ るが、それを消費者や社 会 の福祉を保護 し、 向上 させ る よ うな方法で行 うとい う考 え方 これ ら5つのマネジメン トの基本的 な 考 え 方 (コソセ プ h) に関 しては、 ケイス (RobertJ. Keith)の ピルスベ リー社 (Pillsbury,Inc.)に おけ る経営理念 の変遷80)とい う先駆的 業 績 が あ る。ケイスは、小麦粉 ・ケーキ材料 ・動物飼料な どの製造業者であ る ピルスベ リー社 の経営者であ ったが、 同社 の経営理念が歴史 を通 じて、生産 ・ 製品志 向

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年代)-販売志 向

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年代)- マーケテ ィング志 向

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年)- マーケテ ィ ン グ ・カ ン パ ニ ー 時 代

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論と適用事例

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年以降) と変化 した ことを説 明 してい る。 ケイスに よる と、 「製品が比較的不足 していた 時代」 には 「会社 としての もっ とも重要 な機能は 生産」であったが、供給が需要を上 回 るよ うにな る と 「外に出て行 って顧客を獲得」 しなければな らず 「プ ロモー シ ョンを行な うことが極 めて重要 な問題 になって きた。」ここに、生産志 向か ら販売 志 向- の移行が見 られ る。 ところが、販売 の増大 とともに、生産 ・市場調査 ・調達 ・販売 の努力を 調整す る必要が生 じて 「広告部 門 とセ ールス .プ ロモーシ ョン部 門は、 1つの政策決定調整部門に 溶け込 んでい くことにな る。」 ここにマーケテ ィ ング部 門を中心に したマーケテ ィング志 向の時代 が到来す るが、 マーケテ ィング部 門の 「短期的計 画設定は十分 に効果をあげない」状況 の中で 「会 社全体 の努力はマーケテ ィング志 向の理念に よっ て導かれ

「あ らゆ る会社 の活動は、顧客 に満足 を与 え るよ う組織化 しなければな らない」 とい う のであ る。そ して、 この よ うな顧客志 向に基づ く マーケテ ィング ・コンセプ トの確立 を、 ケイスは 「マーケテ ィング革命」 と呼 んだ のである。 それは、 まさに 「革命」 に相応 しい もので、大 きな歴史観に立 てば、大恐慌 の後 ニュー ・デ ィー ルで も克服で きなか った生産過剰 (デ フレ ・ギ ャ ップ)を第二次世界大戦が よ うや く解 消 した81)時 に、 マーケテ ィングが研究者が辿 り着 いた コペル ニクス的な発想転換だ った と言え よ う。 この点 に 関 して、 マネ ジ リアル ・マーケテ ィングの先駆 的 な業績 を残 した- ソセ ン

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は、 「作 った ものをいかに売 るか」 で は な く、 「売れ るものをいかに作 るか」であ る として、 プ ロダク ト・ア ウ トか らマーケ ッ ト・イ ンへの発想 転換が必要 であ ることを指摘 して い る82)。 つ ま り、既存 の製品を どの よ うに して市場 に吐 き出す かではな く、市場 の動 向を取 り入れた製品を新 し く創 り出すかが重要だ と指摘 してい るのであ る。 これを既述 の5つのマーケテ ィング ・コンセプ トに照 らしてみ る と、確かに、上記 の①生産 ・② 製 品 ・③販売志 向の コンセ プ トは、結 局 の と こ ろ、企業 内都 の製品 (プ ロダク ト) を如何に市場 に送 り出す (ア ウ トす る) か とい う意味で、 プ ロ ダク ト・ア ウ ト的な コンセプ トといえ る。何 よ り も重要 な点は、製 品は市場 に先だ って存在 してい 127 ること (製品の先在性)であ る。 したが って、製 品が先在 してい る以上、問題 の焦点は製品を如何 に市場に送 り出すかにな り、そのために大量生産 方式な どで コス トダウンをはか って 「安 く大量 に 供給す る (生産志 向)」 か、「作 り手か ら見た品質 改善を行 う (製品志 向)」か、「広告 ・販売技術な どで顧客 の購買を刺激す る (販売志 向)」かが大 き な課題 となって くる訳であ る。 ところが、次に登場す る④ マーケテ ィング志 向 の コンセプ トや⑤社会意 向の コンセ プ トは、 これ と正反対 の発想 に立 ってい る。企業外 部 の 市 場 (マーケ ッ ト) の要請を如何 に取 り入れ る (イ ン す る) か とい うマーケ ッ ト・イ ンの発想であ る。 ここで重要 な ことは、市場が製品に先立つ とい う 市場 の先在性 と優先性であ り、製品は常 に創造 さ れ るべ きもので、そ うした市場 の要請を受けて創 られた製品は新 たな市場を創造す る と い う考 え (市場 の先在性-製品の創造性一市場 の創造性) である。そ して、 さらに、市場 の要請が社会 の要 請 として受け とめ られ る時に社会志 向のマーケテ ィング ・コンセ プ トが生 まれ るのであ る。すなわ ち、 コ トラーの定義を筆者 な りに表 現 す れ ば、 「市場 の ニーズ とウォンツを把握 してそれを満足 す ること」つ ま り

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そ の もの」が マー ケテ ィング志 向の コンセプ トであ り、 「マーケテ ィング志 向をベ ースに社会 の要語 を受けてそれ に 応え ること」 すなわ ち

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33) の発想」 に立脚 してい るのが社会志 向の コンセ プ トと言え よ う。 なお、 この プ ロダク ト・ア ウ トとマーケ ッ ト・ イ ンの違 いについては、多少異 な る解釈34)もある が、筆者は- ソセ ソの定義を基 に、 「製品か ら発 図表1 プロダク ト・アウ トとマーケット・イン プ ■コタpク ト ・ア ウ ト

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三)

マ - ケ ッ ト ・イ ン I _」 世 .___ 7

(8)

-想す るコンセ プ ト」を プ ロダク ト・ア ウ ト、「(礼 会を含めた)市場か ら発想す る コンセ プ ト」 をマ ーケ ッ ト・イ ンと考 えている。参考 までに、 この ことを簡単に図式化 したのが図表 1であ る。

2

-2

プ ロダク ト ・アウ トか ら脱却 で きない理 由 (理論 の空 白) ところが、お客様第-主義を唱えなが ら、実際 には プ ロダク ト・ア ウ トの発想か ら抜け切れ ない 企業や業界が少な くない。その理 由をい くつか考 えてみ よ う。 まず、それは、 ケイスや コ トラーがマーケテ ィ ング ・コンセプ トを歴史的な発展 の中で捉えてい るに もかかわ らず、現実 には、それぞれが独立 し た異 な った企業理念 として受け とめ られ てい るか らであ る。生産志 向は 「よ り安 い品を よ り多 く提 供す ること」を企業 の使命 としてお り、製品志 向 は 「(売 り手か ら見て) よ り良い品を提供す るこ と」 とい って良いだろ う。経営者か ら見れば、 い ずれ の コンセ プ トも顧客 に奉仕す る企業哲理 に受 け とめ られ易いD 「安 くす ることは顧客 に奉仕す ること」 であ り、 「良い品を提供す ることこそ企 業 の使命」 とい う考え方であ る。販売志 向に して も、広告宣伝や販売活動を通 じて 「製品を消費者 に知 らせ る」 こ とを重視 してい る訳で、その告知 とコ ミュニケーシ ョンの結果必要 な需要が喚起 さ れ る とした ら顧客の利益 に繋が るコンセプ トに見 える。 しか し、繰 り返 しになるが、 これ らの コン セプ トは、結局は プ ロダク ト・ア ウ トの コンセ プ トに過 ぎない。 第

2

の理 由は、企業は成功体験 に基づ いて行動 し易 いため、それぞれ の強みに蘇ろ うとす るか ら であ る。規模 の利益で成功 した企業は量産効果 に 頼 り、技術 の優れた企業は技術 に頼 り、販売 に強 い企業 は販売力に頼 り、広告宣伝 の うまい企業は 広告宣伝 に頼 る傾 向があ る85)。 こ うした強みに蘇 る傾 向が、結果的に プ ロダク ト・ア ウ トの発想か ら抜け出せない状況を作 りだ してい る と考 え られ る。 特定 の企業や業界でマーケ ッ ト・イ ンの発想が 育ちに くい、第3の理 由は、全 ての産 業 に お い て、 ケイスが ピルスベ リー社 で経験 し た よ うな (「生産 ・製品志 向-販売志 向- マーケテ ィング志 向」 とい う)発展的な状況が生 じる とは限 らない か らである。 どの産業や業界で も、需給関係が変 化 して、生産過少 (売手市場)か ら生産過剰 (質 手市場)- の変化が生 じる とは限 らな い の で あ る。 また、必ず しも全 ての業界が 自由競争市場 に ないため、激 しい競争 に よって製品が顧客の選別 を受け る訳で もない。 さらに、製品の種類 に よっ ては、市場調査 な どに よって顧客 の声を聞 くこと が困難 な業界 もあ る。 この よ うな点を整理す る と、次 の よ うな産業や 市場ではマーケ ッ ト・イソの発想は育 ちに くい と 考え られ る。 ① 寡 占市場 -競争が制限 され てい る場合 マーケ ッ ト・イ ンの発想は不要 にな りが ちであ る ② 技術志 向 ・品質志 向の強い業界 -作 り手 に 自 信が強す ぎてマーケ ッ ト・インの発想が生 まれ に くい ⑨ 成熟市場 -製品差別化が困難 な製品や顧客が 製品の違 いを認識で きない場合は マーケ ッ ト・ イ ンの発想はあ ま り意味を もた ない な どが考 え られ る。 た とえば、石油産業 な どが一つ の例であろ う。 この市場は、 メジャー と呼ばれ る国際資本が市場 を独 占 してい る し、石油探査 ・採掘 とい う技術 の 必要な産業であ る。 また、製品であ る石油の晶質 を顧客が選別 ・区別す ることは困難 であ り、 この よ うな業界では、 マーケ ッ ト・イ ンの発想 自体が 育 ちに くい と考 え られ る。 この点について さらに考察を進 め る と、 これ ら ①寡 占②技術③成熟 とい う3つの市場 の特性は、 相互 に図表2の よ うな関係を もって関連 しあ って い る と考 え られ る。 まず第1に、寡 占市場 と技術 志 向の強い業界は、技術や設備の導入 にかかわ る 高い参入障壁 を もって相互 に関連 を もち易い。第 図表2 プロダク ト・アウ トになりやすい市場や業界

/

摩 、

高い参入障壁

少ない流動性

ブ レークスルーな し

(井原作図)

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論 と適用事例 2に、技術志 向の強い業界で、新 しい革新 的技術 (ブレークスル ー)が生 まれ ない場合には、市場 は成熟化 しやすい債 向を もつ。そ して、第3に、 成熟市場は、一般 に強者や先発企業 に有利で一層 寡 占化が進みやすい傾 向を持 ってい る。 とい った 具合である。 この よ うに見てみ る と、 ビール業界は、典型的 な プ ロダク ト.ア ウ ト型 の産業 と言 え よ う。 ま ず、技術や設備上 の参入障壁 に加 えて酒税や免許 制 な どの関係で制度上 の制限 もあ り、少数 の企業 が市場を構成す る寡 占市場 にあ る。スーパー ドラ イが発売 され るまで 「シェアを一気に覆す よ うな 地殻変動 を起 こす商品が一度 も出現 していなか っ た」86)の も寡 占市場だ ったか ら と言 え よ う。第2 に、 ビール メーカーは各社 とも 「品質第-」を社 是 として技術 に 自信を もってい る。 これは一般論 だが、技術 に 自信のあ る企業は ど顧客 の声 に耳を 懐けない ものであ る

「技術 の

○○

」 と誇 らしげ に唱える企業ほ どプ ロダク ト・ア ウ トの落 し穴に 陥 ることが多い。 この ことは、今世紀初頭 の

T

型 フォー ドの事例 な どで も明 らかで あ る87)。 第 3 に、 スーパ ー ドライが発売 され る以前 の1980年代 前半 か ら半ばにかけての ビール市場は、容器戦争 で も消費を喚起す ることがで きず、焼酎 ブームな どで需要が頭打 ちになった成熟市場 にあ った。 また、 ビールは僅かの味の差 しかな く差別化 し に くく消費者 もそ の製品の差異を明確 に認識 しに くい と言われ てい る。 さらに、 ビールは 日本酒 と 違 って、 もともと海外か ら伝来 した ものだけに、 顧客 の側には っき りした味の基準がない とされ て きた。 したが って、 メーカーが ドイ ツな どの 「本 場」 の味を提供す る立場にな りがちだ った

「技 術者や醸造 マ ンのエ リー トたちが ビールの先進 国 に留学 し、そ こで新 しい ビールの もとにな る "チ クニカル ・シーズ"を見つけて くる。そ して持 ち 帰 った "檀"を原点に して、新商品を開発す る。 そ んなや り方が普通 であ った。」 と 言 わ れ て い る8㌔ っ ま り、 メーカーの訓練 された味見の専 門 家が消費者に代わ って味を選別 し、 メーカーが消 費者 に代わ って本当の味を追求す る、 とい う姿勢 であるが、 これ こそが プ ロダク ト・アウ トの発想 と言え よ う。 既述 の 「成功体験 の踏襲か ら抜け出せない」 と 129 い う仮説 に立 って も、 ビール業界 のプ ロダク ト・ ア ウ ト的体質が指摘 で きる。キ リンは生化 ・缶化 とい う市場 の トレン ドに最後 まで抵抗 したが、そ れは (ラガー瓶 ビール の量産 メ リッ トに固執す る か らで)生産志 向の コンセ プ トを もっていた と思 われ る し、 「品質本位」を社是 とす る製 品志 向型 の企業である。サ ッポ ロも味 (品質) に こだわ り を持つ企業であ り、 アサ ヒも品質第一 の信条を掲 げ 「承場 ドイ ツに負けない」 ビール作 りを 目指 し ていた とい う点で製品志 向の強い企業 と 言 え よ う39)。 また、 ビール業界に最後発で参入 したサ ン トリーは大量 の広告宣伝や販売促進 に よって シェ アを徐 々に向上 して来た実績があ り、 そ の 強 み (販売志 向) に顕 る傾 向が見 られ る。 こ うした傾 向は、個別企業だけではな く業界全 体 に も言え ることで、酒販店 も含め業界全体 とし て、殿様商売的な メーカー とメーカーに宿 る酒販 店 の相互依存関係や、前例主義や過去 の経験則 に 頼 る保守的な体質を持 っている とされ ている40)。 本稿で も、 スーパ ー ドライが発売 された当時の ア サ ヒ以外 の

3

社 の対応を

3- 3

項 で取 り上 げ る が、その際の 「共通 の市場見通 し」 な ども、過去 の経験則 に こだわ った例 と言 えるだ ろ う。 多少長 くな ったが、本項で 「プ ロダク ト・ア ウ トの発想か ら抜け出せない企業や業界」 について 説 明 したのは、従来 のマーケテ ィング理論が、 マ ーケテ ィング ・コンセプ トの必要性を論 じなが ら も、 なぜ (why)、 どの よ うに して (how) マ ー ケテ ィング ・コンセプ トが確立 してい くか とい う 説 明を欠 いてい るよ うに思 えるか らであ る。つ ま り、 マーケテ ィング ・コンセ プ トが確立す る、そ の必然性について、説得ある理論が (コ トラーや ケイスの言 う)一般 的な歴史的発展論以外 に見 ら れ ない ことが第1の疑問であ り、実際に多い プ ロ ダク ト・アウ ト的企業や業界に対 して、 マーケテ ィング ・コンセプ トの確立を促す理論が 明確 にな い とい うのが第2の論点であ る。 筆者が、今回の よ うな事例研究を重視す るの も、 この よ うな理論的空 自を埋め るものを見つけたい とい う関心か らであ る。では、典型的に プ ロダク ト・ア ウ ト的な業界であ る ビール業界 にあ って、 なぜ(why)どの よ うに して (how)アサ ヒはマー ケテ ィング・コンセ プ トを確立 した のであろ うか。 9

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-2-3 アサ ヒにおけるマーケテ ィング ・コンセ プ トの確立 (事例 の整理) マーケテ ィング ・コンセプ トに関 しては、企業 内部 の事情 であ る し、特 に製 品開発 とい うヴ ェー ルに包 まれた部分 と深 く関連す るだけに、外部か ら推 し量 ることは容易ではない。 しか し、少 な く とも、 コクとキ レを主張 した 「アサ ヒ生 ビール」 のモデルチ ェンジ とスーパ ー ドライの開発過程 に 関 しては、多 くの公開資料があ るので、 これ らか らアサ ヒにおけ るマーケテ ィング ・コンセ プ トの 確立 について整理 してみたい。以下は、公表 され た資料 (主 に 『アサ ヒビールの挑戦』、『奇跡- の 挑戦』、 ポケ ッ ト社史 『アサ ヒビール』) か ら整理 した歴史的 な流れであ る。 まず、大 きな流れは、村井勉社長が就任早 々に 着手 した1982年 の 「経営理念」 の制定 か ら 始 ま る。はば同時に部長会 ・経営会議 メンバ ーに よっ て長期経営計画が立案 され るが、 ここで消費者志 向の原点に立つ ことが 明文化 され確認 された。 この 「消費者 ニーズに添 った商品づ く りに徹す る」 とい う経営理念 に従 って、1983年 頃 よ り新 ビ ール開発 に向けての試験醸造が、商品開発部 と研 究所で開始 された。 また、経営理念制定-長期経 営計画策定 とい う トップダウンの方策 と 並 行 し て、 ミドル ・マネ ジメン トか ら現場 まで巻 き込む

AQC

(アサ ヒにおけ る

TQC

-全社 的 品 質 管 理)運動が展開 され、品質 (-味) の見直 し論議 が高 まってい った。その よ うな中で、 マーケテ ィ ング部が中心 となって、1984年秋 よ り5,000人 を 対象 とした噂好 ・味覚調査 の プ レ調査が行 なわれ てい る。 また、 当時大阪支店長だ った松井康雄氏 が営業サ イ ドにあ って独 自のマーケ ッ ト・イ ン的 理論を温めていた。 一方で、CIの導入が準備委貞会 (-CI導入 実務委員会-Cl本部) で検討 され て い た が、 1985年夏か ら秋 にかけて、 5,000人対象 の味覚調 査 の結果が (松井理論 と整合性を もった形 で) 出 た こと、松井が マーケテ ィング部副部長 に就任 し た ことな どか ら

、 「

CI

で会社 を変身 させ よ うと す るな ら、 この際、味 も変えなければ」 とい うこ とで、 ラベルの変更 に味 の変更 も加 え る とい う議 論が高 まった。 この よ うに、経営理念制定 ・長期経営計画

・A

QC

と進め られた味 の見直 しの流れ と

、CI

に端 を発す るラベルの変更 の流れが、 5,000人調査や 松井理論を通 じて統合 され て、全社的課題 にな っ た訳 であ る。そ して、1986年1月に新 しい ラベル (CI導入)が発表 され、 2月に コクとキ レを強 調 した 「アサ ヒ生 ビール」が発売 された。 ところで、 アサ ヒは1983年 に ドイ ツの レ-ベ ン ブ ロイ社 とライセ ンス生産契約を結 んでい るが、 そ の過程で、キ レ味 に酵母がかかわ ってい ること を発見 し酵母 の研究が進め られ ていた。 テ クニカ ル ・シーズがあ った訳であ る。松井理論 のポイ ン トは、キ レ味 に重点をお く世代が ど-ル の中核的 客層 としてターゲ ッ トになる とい う仮 説 に あ っ た。 この 「年齢 と噂好 の変化」 とい う世代交代仮 説は、マーケテ ィング部 ・生産 プ ロジ ェク ト部 ・ 中央研究所商品開発部 門か ら集 まった勉強会 で も 検討 され、 5,000人対象 の味覚調査 で も確認 され た。つ ま り、キ レ味 の コンセプ トは最初か らあ っ たが、従来の商品 とかけ離れ過 ぎてい ることと主 力商品変更 に伴 うリス クを考えて、 中間 の コク ・ キ レビール (「アサ ヒ生 ビール」)を まず発売 した と言 うことである41)。 スーパ ー ドライの商品開発は、 コク ・キ レビー ルの開発過程で酵母選定な どがはば終 了 していた ため、 コク ・キ レビール発売直後 の1986年6月に 試作 品が経営会議 に提案 された。 この時は、味 の 改良を求め られ て不採用だ ったが、 同年10月 「地 域 を関東地 区に限定 して発売す る」 ことで経営会 議 の承認が下 りて、翌1987年3月スーパ ー ドライ は発売 された。 以上が公表資料を通 じて知 り得 るス ーパ ー ドラ イの開発過程であるが、筆者は、 この よ うな開発 の過程 か ら、 マーケテ ィング ・コンセ プ トの確立 のために、 (1)発想の転換 (精 神的改革) (2) 開発の仕組みの変化 (組織的改革) (3)新 しい仮説 と検証 (創造性 と説得性) の3つ の要素が、少 な くともアサ ヒの場合、必要 であ ったのではないか と考 え る。 (1) 発想の転換 (精神的改革) まず、第 1に、 マーケテ ィング ・コンセ プ トの 確立 にはそれ までの精神風土 を変え る基本的な発 想 の転換が必要 である。だが、一 口に 「プ ロダク

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論と適用事例 ト・アウ トか らマーケ ッ ト・インへ」 とい うが、 現実に企業体が組織 として新たな精神風土を獲得 す ることは容易ではない。そ こで、 ア サ ヒ の 場 合、 どの ように して、新 たな精神風土を獲得 して いったのかを ここで検討 したい。 筆者は、それを①顧客志向の明言②企業存亡の 危機意識の高揚③ 自社製品に対す る積極的反省④ 全社的な意識改革運動の

4

つにそのルー ツを求め たい。 ①顧客志向の明言 既述の よ うに、 スーパー ドライ開発 の1つのル ーーツほ、村井社長の命 じた経営理念の 策 定 に あ る。 これは

「1.消費者志 向、2.品質志向、3.人 間性尊重

、4

.

労使協調

、5

.

共存共栄

、6

.

社会的責 任」 の6項 目か らなるもので、 「内容的には と り たてて 目新 しい ものではない 」42)か も 知 れ な い が、筆者か ら見れば、 ビール メーカーな ら、 まず 掲げ るであろ う 「晶質志 向」 の前に、 「消費者志 向」を置いて、それを第一に掲げた ところに大 き なポイン トがあった と思われ る。 その、経営理念の第-項 目 「消費者志 向」は「わ が社は、消費者の心をわが心 として、新 しい時代 の生活感覚に適 した商品づ くりに努め、消費者の ニーズ と期待に応える」 となっている。第二項 目 の 「晶質志 向」 において も 「わが社は、消費者の 品質評価を謙虚に受け止めて、つねに品質 の向上 と技術 の研 さんに努め、業界最高の商品を供給す る」 (傍点筆者) となってお り、消費者の評価を 謙虚 に受け止め る姿勢 (消費者志向)が強調 され ている。 また、同時に制定 された社員の 「行動規範」に おいて も、商品知識、品質管理 な ど十項 目の第-に 「需要開発」を掲げている

「消費者 ニーズの 把瞳 に努め、進んで市場や商品の開発 に 参 加 す る」 とい うことだが、 これ こそは、 マーケテ ィン グでい う 「市場創造」 の概念であ り、全体に言葉 で表現 した もの としてほマーケテ ィング ・コンセ プ トに近い経営指針だ った と言え よう。つ ま り、 経営理念、行動規範において村井が明文化 した こ とは、そのまま 「マーケ ッ ト・イソの精神」を言 葉の上で明確に した ことに他な らない。 また、村井は、 「④全社的な意識改革運動の項 目」で後述す るように、TQC(全社的品質管理) 131 の手法を取 り入れ るが、 このTQCで も、 「マー ケ ッ ト・インの心で、謙虚 に相手の身になって行 動す る顧客志 向」 とい う活動方針を第1番 目に掲 げている43)0 同様 に、CI(コーポ レー ト・アイデンテ ィテ ィ) の導入にあた っても、 「マーケ ッ ト・イソの 精神」が強調 され る。ア サ ヒ の場 合、Clは、 「マイ ン ド、 ど-イ ビア、 ビジュアルの3要素の 相互相乗作用 に よる企業文化 の具体的革新 と、そ こか ら生み出され る具体的変化事実の戦略的 コ ミ ュニケーシ ョンに よ り、企業 と新 しい時代 の顧客 との新 しい信頼関係の構築を指向」 して展開 され た44)が、 マイン ド (心) の部分は経営理念を凝縮 して既述の顧客志 向の精神が盛 り込 まれ てお り、 ど-イ ビア (行動) の部分で も、村井は 「消費者 ニーズに沿 った商品づ くりに徹す る」 と 「ひ とび との信頼をかち とる行動 に徹す る」 の2つをあげ て消費者志向の重要性を強調 した とされ る45)0 ②危機意識の高揚 と味変更の決定 この よ うに、村井の貢献は、経営理念の策定-TQC ・C1の導入 とい う手順の中で、顧客志 向 の大切 さを 「言葉 として明確 に した」ことであ る。 しか し、泉谷 も指摘 しているよ うに、 こ う し た ス ローガン的な 「マーケ ッ ト・インの精神」は、 「言葉の一人歩 き

「美文」 に終わ って しま う可 能性があ る46)。 この点、村井は、ぬ るま湯的な体 質にあ った アサ ヒ社員 に 本当の危機意識を もた せ、その結果 として具体的な行動を迫 っている。 ぬ るま湯的体質 と表現 したが、それは客観的情 勢を踏 まえなが ら、伝統あ る企業 としての名門意 識を加味 して推察 した当時のアサ ヒの 体 質 で あ る。 アサ ヒは長期的な低落傾向にあった ものの、 欠損は出 していなか った。十全会に よる株の買い 占め問題47)も乗 り越えた し、住友銀行や住友 グル ープの支援 もある。社 内では、毎年の よ うに原価 低減運動が展開 されて精一杯の努力が続け られて いた。 この よ うな状況が、危機的状況にあ りなが ら社 内ではそれを本当の危機 として認識で きない 体質を作 っていたのではないか と推察 され るOだ が、煮蛙の話48)の ように、危機 に慣れた状態が本 当の危機であ る。 この よ うな状況 にあって、村井の社長 としての 最大の決断は、恐 らく 「味 の変更」を決定 した こ - iJH

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-とであろ う。既述 の よ うに ビール業界は保守的で 過去の経験則 に こだわ る債 向があ る。味を変 え る こと自体が 冒険 なのに、1985年 当時は、 コカ ・コ ーラが味を変 えて失敗 した事例 49)があった. しか し、拙稿 「製品戦略 の底流」50)で指摘 した よ うに、 コカ ・コーラの失敗はマーケ ッ ト・リー ダーに とっての教訓だ ったのであ る。逆 に、 自社 の味が マイナーな支持 しか受けていないマーケ ッ ト・チ ャレンジャーは、積極的に味 の変更を行な うべ きか も知れないのであ る。但 し、そ の 場 合 は、保守的な企業体質があ ってほな らない。その 味 の変更が失敗すれば、 マイノ リテ ィの支持す ら 失 って しま うか らである。当時、 アサ ヒは シェア 10%ではば最下位 の弱小 メーカーだ った訳であ る か ら、味 の変更は 冒険だ ったに違 い な い。つ ま り、村井が社 内で賛否両論だ った主力製品の味 の 変更 に ゴーサ インを出 した ことで、 アサ ヒは捨 て 身 にな って最後 の勝を しなければな らな くな った と言 って も過言ではないだろ う。それは、ぬ るま 湯的な体質か ら脱却 して徹底的 にチ ャレンジャー の姿勢にな らねばな らない ことを意味 していた。 ③ 自社製 品に対す る積極 的反省 このチ ャレンジャーの論理 を一層明確 に言い当 てたのは松井 の発言 とされ るものである。松井は マーケテ ィング副部長 として本社 に復帰 した直後 に 「なぜ、 アサ ヒビールは シェア ・ダウンを して きたのか。それは、売れ ないか らだ。売れ ないの は、 なぜか。それ は、人気がないか ら だ。」 と 語 った とされ る51)。 ここで重要 な ことは、その真偽 や誰が言 った とい うことよ り、 この 「シェア ・ダ ウンの原因は不人気」 とい う積極 的反省 の弁 に対 す る社 内の反応 であ る。 アサ ヒの シェア ・ダウンにつ いては、それ まで 「"分割 の後遺症で東 日本 に販売網を もて な か っ たか らだ" とか "サ ン トリーに販売網を貸 したか らだ"」 の よ うに理屈をつけて分析 されて きた。し か し、 「それは付帯的な理 由で しかな く

「本質 的には人気がないか ら売れ ないのだ」52)とい う、 その単刀直入 な原因指摘 に多 くのアサ ヒ従業員が 目か ら鱗が落 ち る思 いを したのではな い だ ろ う か。 この発言を関係者が共感 を覚 えて支持 した に せ よ、反発 して奮闘努力 したにせ よ、 「味を ど う す るのか とい った具体的な論議が にわかにCI論 議 の中心に据 え られ るよ うにな った」58)と言われ てい る。 当然 の ことなが ら、積極 的 自己反省は-現状 の 否定 につ なが る。現状を否定す る と-従来 のや り 方を見直 して白紙 に戻 してみ よ うとい う発想が生 まれ る。そ こに こそ、原点回帰 のスター ト、つ ま り基本 に戻 ってお客様 の声 (市場 の ニーズ) に謙 虚 に耳を傾けてみ よ うとい う発想が 自然 と生 まれ て くるものであ る。 ④全社的な意識改革 この よ うに、 アサ ヒの場合、言葉 としての経営 理念一味 の変更 に伴 う具体 的行動- 自社製品の否 定か らくる原点回帰 とい うプ ロセスで 「マーケ ッ ト・イ ンの精 神」が現実 の もの として獲得 されて い った と考 え られ るが、それが、一部 の商品開発 グル ープだけではな く、全社的 レベルで も実践 さ れ るためには、全社的な意識改革が必要 である。 いや、 アサ ヒの事例を検証す る と、全社的意識改 革が味 の見直 し議論を呼 んで本格的なマーケ ッ ト ・イ ン型商品開発が実現 した面 もあ る。 全社的な意識改革はTQC(全社的品質管理) に始 まる。村井は、 このTQCの導入 にあた って 「QCは科学的合理性 と、人 の心を大切 にす る、 とい う両側面か ら成 り立 ってい る手法で」 これ に よって 「人 の心 に火をつけ、 チ ャレンジ精神やバ ーバ リズムを、行動 の中に発揮す るよ うな風土を つ ちか う」狙 いを もってい る54)と述べ てい る。つ ま り、TQCを明確 に意識改革 の レベルで捉えて い るのであ る。 このTQC活動 の中で、1983年か ら 「部課長研 修会」が課長以上 の全管理職を対象に行なわれ、 約百名づつ 6回の合宿が3泊4日の 日程で実施 さ れた。 この研修会 で、営業部 門 と生産部門の管理 者が寝食を共 に し、共通 のテーマで議論で きた こ とが良い体験 にな って、営業 と生産部 門の コ ミュ ニケーシ ョンが 円滑 になった とされ る55)。実際、 このTQCの導入を境 に 「皆が物事を素直に見る よ うにな り、 お互 いが謙虚 になった」 と言われて お り56)マーケ ッ ト・イ ンの精神を獲得す るのに大 きな貢献を した と思われ る。 しか し、TQC-精神的改革 ではない。いすゞ 自動車 の事例 で もTQCの幣害が現われていた と ころに 「乗用車部 門か らの撤退」 とい う社長 の決

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井原久光 市場適応的経営戦略の理論と適用事例 断に よって精神的改革が進 んだ とされ てい る57)。 繰 り返 しになるが、 アサ ヒの場合、①顧客志 向の ス ローガ ン、②危機意識 の高揚 と味 の変更 とい う 決断、③ 自社製品に対す る積極的反省 と同時 にT QC活動が展開 された とい う点が重要である。 (2) 開発 の仕組みの変化 (組織的改革) しか し、精神的改革だけでは真 のマーケテ ィン グ ・コンセ プ トは確立 しない。市場 の ニーズを確 実 に捉えて製品に組み込 んでい く仕組みがで きな ければな らないか らであ る。既述 の よ うに、 アサ ヒでは、1983年頃 よ り消費者志 向の経営理念 に従 って、新 ビール開発 に向けての試験醸造が、商品 開発部 と研究所 で行 なわれ ていた。 また、 マーケ テ ィング部では5,000人 を対象 とした味覚調査を 独 自に実施 してい るが、それ らの動 きがそ のまま 新製品に結実 してい る訳ではない。 これ らの動 き は、 「各部 門の "自発的な意思" に よるもので、 全社的にオー ソライズされた ものではなか った」 と言われ る58)。 松井 のマーケテ ィング部就任 に よるマーケテ ィ ング部 の主導力の強化やCI委員会 とい う トップ 直結 の組織での味 の論議、味を見直すための プ ロ ジェク トチームの設置 な どを通 じて全社 的な検討 課題 に上 って来たのであ る59)。そ して、それが、 具体的な商品開発 のステ ップ として組織 的に展開 され たか らこそ実際 にマーケ ッ ト・イ ン型 の製品 開発が可能にな ったのであ る。 その代表的な例は、1982年9月の商品開発部 と 技術開発部 の設置 に始 まる開発体制 の一体化 の試 みであ る。 これ らの部署 は1984年8月に、それぞ れ マーケテ ィング部 と生産 プ ロジ ェク ト室 (その 後生産 プ ロジェク ト部) に改称 され るが、 「それ ぞれ営業部 門 と生産部門の中に設け られた開発 グ ル ープ とい う位置づげで活動 してい く こ と にな る」60)

それ まで、 ビールの開発は、商品開発部 と中央 研究所で行なわれ ていたが、実際には、商品開発 室部が容器 な ど外観に関す る商品作 りを担 当 し、 味については中央研究所が中心 になる とい う 「棲 み分け」が なされ ていた と言われ る61)。す なわ ち、 実質的 には、 中央研究所が製品開発 の主導的役割 を果た していた訳で、 「商品をつ くるのは製造部 隊

「つ くった商品を売 るのは営業部隊」 とい う 133 画然 とした色分けが伝統 としてあった62)ことにな る。 こ うした生坂分離 の状態 を統合 した のが マー ケテ ィング部 の新設だ った訳であ る。 また、 コンセ プ トワー ドを技術用語に翻訳す る 部 門 として、 いわば営業 と生産 の仲立 ちをす る部 門 として生産 プ ロジ ェク ト部が設立 され、 これ以 降、商品開発は、 マーケテ ィング部 ・生産 プ ロジ ェク ト部 ・中央研究所 の 3部署が一体 となって実 施 され るよ うになった と言われ てい る63)。 尚、 この問題は、筆者 の考 え る第2の トータル ・マーケテ ィングの主要課題であ るので、次回の 紀要論文で さらに深 く検討 してみたい。 (3) 新 しい仮説 と検証 (創造性 と説得性) しか し、①精神的改革や②組織的な改革だけで は プ ロダク ト・ア ウ トか らマーケ ッ ト・イ ンへ の 転換 は出来 ない。それは、 消費者志 向を心掛けて も消費者は明確 な答を用意 して くれ ないか らであ り、組織を改革 して も新 しい コンセ プ ト自体は生 まれ ないか らであ る。言 うまで もない ことだが、 市場創造は、 消費者 に新 たな提案をす ることか ら 始 まるo新 たな提案は、消費者 自身が与 えるもの ではな く、 メーカーが仮説 と検証 に よって生みだ す ものであ る。 アサ ヒの場合、 マーケ ッ ト・イ ン 型製品開発を実現す るために この コンセ プ ト・ワ ーキ ングが重要 な要素を 占めている。 た とえば、5,000人対象 の味覚調査は、そ れ ま で200-300人程度 の調査が多か った とされ る市場 調査 に対 して5,000人 とい うサ ンプル数を とった こと自体が画期的だ ったが、 同時に調 査 方 法 に 「新たな発 見」 を生む仮説があ った。つ ま り、 そ れ までの市場調査は 「消費者 に各社 の ビールを 目 隠 しして飲 んで もらい、銘柄 当てを した り、 どの ビールが うまいかを調査す る」 ものだ った と言わ れ てい る64)が、その よ うなや り方は、すでに決 ま った味 の確認調査 (む しろ調査 とい うよ り確認作 莱) で しかなか った訳で、 消費者 の ニーズをつか む とい う真 の市場調査 ではなか った。生産 サイ ド が プランニングす る 「生産主導型 の調査」だ った こともあ り、 「質問の仕方 で 自分 に都合 の よいデ ータもとれ る」 ものだ った とい うのであ る65)0 しか し、5,000人対象 の味覚調査 で は、最初、 東京 と大阪で500人づつの プ レ調査 を行 なって、 消費者が ビールを飲 んだ時 に使 う "言葉遊 び"を - 1

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3-行な ってい る。そ して、調査用紙がで きる と、社 員の中か ら一般 の消費者 に近 い飲み方をす る者を 選 んで何回 もテス トを繰 り返 して、実際の本調査 (東京、大 阪で各

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人、合計

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人)を実施 してい る66)。つ ま り

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人調査 は、消費 者 の 言葉探 しとい うマーケ ッ ト・イ ンの発想 に基づ く 新 しい調査方法 と、それを検証す る 規 模

(

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人) の調査 か ら成 り立 ってい るのであ る。 そ こには明 らかに プ ロダク ト・ア ウ トか らマー ケ ッ ト・イ ン- の発想転換があ る。そ れ ま で は 「消費者 には味が分か らない」 とい う暗黙 の前提 があ ったか らこそ確認作業的調査で済 んで しまっ ていた訳で、それを白紙 の言葉選びか ら始め よ う とい うのは 「消費者は ビールの味が分か る」 とい う仮説か ら出発 していたか らであ る。 これ に加 え られたのが、松井が立 てた と言われ る味に関す る別の仮説 (生理的快感仮説)であ る。 松井は、本社清涼飲料部 門か ら

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年 に大阪支店 次長 として ビール販売 の最前線 に転 出

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月に本社 マーケテ ィング部副部長 になる と、大阪 時代 か ら温めていた仮説を実行 に移 した と言われ てい る67)。す なわ ち「ビールの場合 "うまい"とい って も、一般 の食 品の よ うな "うまさ"ではな く、 一種 の生理 的快感 の ともな う ``うまさ"でなけれ ばな らないのではないか」88)とい う仮説 である。 これは換言すれば 「ビールの味は 口で(味覚で) 分か るものではない」 とい う仮説であ り、少量 の ビールを ロに含 んで味比べをす る従来 の味覚調査 を否定す るものであ る。筆者 の勝手 な表現だが、 これは、 「ビールは酒 よ りも、清涼飲料水や スポ ー ツ ・ドリンクに近い」 と置 き換 え ることが可能 な仮説 の よ うに も思 え る。何故 な らば、清涼飲料 水 の中核的 コンセ プ ト89)は、味 よ りも 「清涼感」 にあ り、 スポーツ ・ドリンクも、 口の中の味わ い よ り身体全体 で感 じる生理的な快感が重要 と考え られ るか らであ る。 これが別 の仮説 と結 びつ く

「飲み ごたえがあ って しか も飲 みやすい」 とい うのがス-パ ー ドラ イの広告 コピーだが、 "バ イタ- トリンケ ン (繰 り返 して飲む ことがで きる)" とい うのは生 理 的 快感仮説に基づ くもので、それ が大量 に一度に ビ ールを飲む 「- ビーユーザ ー (-通 の) ビール」 に通 じる とい う訳であ る。 アサ ヒでは、毎年 「ビ -ル購 買実態調査」を実施 してい るが、その調査 に よる と、概ね以下 の よ うな状況 にあ ると言われ てい る。 出典 :アサヒビー

ル 「

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年 ビール購買実態調査」 より これは

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年 の調査結果であ るが、 当時 も状況 は同 じで、約1割の- ビーユーザ ーが全体市場 の 約5割を消費 し、 ミ ドルユーザ ー層 も 加 え る と (消費量で)市場 の約

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を 占めていた と言われ てい る。 この中核市場をキ リンに独 占 さ れ て い て、 アサ ヒは ライ トユーザ ー層の市場で しか勝負 で きていなか ったので シェアが上が らなか った と い う仮説であ る70)。 最後 の仮説 は、上記の開発過程 の説 明の中で も 触れた 「世代交代 の仮説」 であ る。た とえば、 明 治 ・大正生 まれ の世代 と戦後世代 では育 った時代 の食生活が違 うのだか ら、味覚が違 って もおか し くない とい う考 え方であるが、そ こには、若 い頃 獲得 した食生活 の習慣や噂好は生涯 を通 じて変わ らない とい う仮説 も含 まれ てい る。同時 にキ リン の シェアが

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年を ピークに低下傾 向にあ るの も 戦後世代が市場 の中核 を 占め るよ うにな ったか ら だ とい う仮説 も提示 された と言われ る71)。 以上 は、公表 された資料 の中か ら整理 した もの であ るが、実際 には これ以上 の仮説が立 て られた と考え られ る。そ して、それ らを検証す る調査 も 行 なわれ てい る。た とえば、学校給食研究会 の調 査結果 も使われた と言われ る。それに よる と肉を 好む子供が増 えてい ることが「子供 の好 きな献立」 か ら分か るが、濃厚 な味を伴 う肉を食べ る と飲み 物はあ っさ りした ものを求め るよ うになる と言わ れ てい る。同研究会 の調査 では、子供 の噂好決定 要因を調べたデータか らも 「あ っさ りしてい る」 「ス カ ッとしてい る」 な どが上位 にあ って、 これ を裏付けてい る、 と言われ る72)。食生活は習慣だ

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