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<資料>新卒看護師の職場ストレスと対処行動 : 就職後6ヶ月間の変化 利用統計を見る

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臨床現場の多重課題の優先度を考えながら時間内に業 務を終えるなどの能力を基礎教育の中で身に付けるの は極めて困難であり,新人看護職員の研修の対策を指 摘している。このため就職したばかりの新卒看護師の 職場適応に至るストレスは多い。 リアリティショックとは数年間の専門教育と訓練を 受け,卒後の実社会で実践準備ができたにも関わらず, 実際に職場に出たとき,まだ準備ができていないと感 じる新卒専門者の現象や特定のショック反応である5) 新卒看護師は経験したことのない病気や治療法に遭遇 し,職場の人間関係に戸惑い,多くのストレスを抱え ていると報告されている6)-8) 実際の臨床現場では新卒看護師を迎える準備として, 就職前の技術トレーニングや,新卒看護師に関わる看 護師のための研修会などが行なわれている。就職後は プリセプター制度を導入するなど取り組みはされてい るものの,新卒看護師のストレスを理解し関われてい るかは明確ではない。また,新卒業生を迎えるにあた り配属部署の希望を聴取する施設が多いが,希望部署 の配慮が新卒者の職場適応に有効であるかは明らかで ない。そのため,新卒看護師の職場ストレス,対処行 動を明らかにすること,さらに配属希望による適応も 受理日:2009 年 01 月 14 日 1) 山梨大学医学部附属病院

University of Yamanashi Hospital

2) 山梨大学大学院医学工学総合研究部(臨床看護学講座) Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering (Clinical Nursing), University of Yamanashi

新卒看護師の職場ストレスと対処行動

−就職後 6 ヶ月間の変化−

Stress and Coping Behaviors in Newly Graduated Nurses

− Changes at the 6th Month after Employment −

小林知津子

1)

,中村美知子

2) KOBAYASHI Chizuko, NAKAMURA Michiko

要 旨

新卒看護師の就職後半年間の職場ストレスと対処行動を明らかにすることを目的に, A 病院に採用された 新卒看護師 37 名を対象に,職場ストレスは「職場ストレッサー尺度・ストレス反応尺度」,対処行動は,「職 場用コーピング尺度」を使用し,就職後 1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ月に調査した。その結果,新卒看護師のストレッ サーは,『過度の圧迫感』の「どこにいても仕事のことが頭から離れない」や『能力の欠如感』の「職場での時間を 自分で適切に配分できない」など,6 ヶ月間を通し高く,ストレス反応は,『疲労』の「仕事を終えたとき疲れきっ ている」,『対人場面での緊張感』の「見知らぬ場所にいくと非常に落ち着きがなくなる」で高く,いずれも 3 ヶ 月時に上昇する傾向があった。対処行動は,『積極的行動・認知』の「問題が何であるかについて考えた」や「友人・ 家族・職場の人に相談した」,『症状対処』の「睡眠や休息をとった」などが高く,『消極的行動・認知』では,唯 一「この状況をがまんした」が高い特徴があった。 キーワード 新卒看護師,職場ストレス,対処行動 Key Words Newly Graduated Nurse, Stress, Coping

Ⅰ . はじめに

看護師は一般的にストレスの多い職種といわれ,職 場の主要なストレッサーとしては仕事量の多さ,医師 とのジレンマ,サポ−ト体制の不備などが指摘されて いる1)2)。なかでも新卒看護師は,「2004 年新卒看護職 員の早期離職等の実態調査」3)によると,2003 年度に採 用された新卒者の採用年度内離職率は平均 8.8% と報告 された。新卒看護職員の定着を困難としている要因と して,「基礎教育終了時点の能力と,看護現場で求めら れている能力のギャップ」が 76.2% と最も多く,厚生労 働省「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討 会」4)においては,医療技術の進歩や,患者の高齢化, 重症化,平均在院日数の短縮化等により,看護の役割は, 複雑多様化し,その業務密度も高まっている。その上,

(2)

含めて分析し,新卒看護師の早期職場適応に役立てる 意義は大きいと考える。

Ⅱ . 目的

新卒看護師の職場ストレスと対処行動について調査 を行い,就職後 6 ヶ月までの変化を明らかにし,新卒 看護師が早期に職場適応できるための管理者や指導者 の役割を示唆する。

Ⅲ . 用語の操作的定義

新卒看護師:2007 年 3 月,看護基礎教育終了後, A 病 院へ新採用された看護師。 職場ストレス:ストレッサーとして,過度の圧迫感, 役割の不明瞭性,能力の欠如感,過度の負担感で 構成される。ストレス反応として,怒り,循環器 系の不調,対人場面での緊張感,疲労,過敏,抑 うつで構成される(島津他,小杉)9)。 対処行動:積極的行動・認知(外的環境に働きかけてス トレッサーをなくすか,少なくする行動的対処), 消極的行動・認知(ストレッサーはそのままである がその受け止め方を変える認知的対処),症状対処 (ストレス反応の結果生じてしまった心身の不調感 の改善を目的とする症状対処ないしは気晴らしの 対処)で構成される(庄司・庄司)10)。

Ⅳ . 方法

1. 調査期間 2007 年 5 月∼ 10 月 2. 対象 A 病院に 2007 年 3 月卒業,同年 4 月に新採用として 就職した新卒看護師のうち,研究承諾の得られた 37 名 を対象とする。卒後社会人経験や,臨床経験があるも のは除く。 3. 測定用具とデータ収集方法 1) 基本的属性:年齢,性別,看護の最終教育課程, 病棟配属部署の希望の有無。 2) 職場ストレス:職場ストレスを測定する調査票に は,職場ストレッサー尺度・ストレス反応尺度(島 津他,小杉)9)を使用する。ストレッサー尺度は 4 つの下位尺度『過度の圧迫感,役割の不明瞭性,能 力の欠如感,過度の負担感』で 28 項目,ストレス 反応尺度は 6 つの下位尺度『怒り,循環器系の不調, 対人場面での緊張感,疲労,過敏,抑うつ』で 37 項目から成る。各項目「よくあてはまる∼まったく あてはまらない」の 5 件法で測定した。 3) 対処行動:職場用コ−ピング尺度(庄司・庄司)10) を 使用する。3 つの下位尺度『積極的行動・認知』で 11 項目,『消極的行動・認知』9 項目,『症状対処』 11 項目の 30 項目から成る。各項目「かなり用いた ∼用いなかった」の 4 件法で測定した。 4) 測定用具の信頼性の検討:職場ストレッサー・ス トレス反応尺度の全下位尺度のα係数は 0.638 ∼ 0.909 である。職場コーピング尺度の下位尺度のα 係数が 0.861 ∼ 0.91 と信頼性は確保されている。尺 度の使用にあたっては,著作者に使用目的・方法 を説明し,使用許可を得ている。 5) 以上の質問紙調査を,就職後 1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ 月に行なう。  6) 施設の看護部長に本研究の主旨を伝え,同意を得 たあと,対象者に直接,研究主旨を伝え,同意を 得られた者に,3 回分の調査票を配布し,調査用紙 の回収は 2 週間の留め置き法とし,調査者が直接 回収した。以下 1 ヶ月をⅠ期,3 ヶ月をⅡ期,6 ヶ 月をⅢ期で示す。 4. 分析方法 1) ストレッサー・ストレス反応 ストレッサー・ストレス反応の下位尺度および項目 ごとの平均値と標準偏差を算出し,1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ 月の差を比較した。また,病棟配属希望別に群わけし, 1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ月の差を比較した。検定には一元 配置分散分析後,多重比較には Tukey を用いた。 2) 対処行動 対処行動の下位尺度および項目ごとの平均値と標準 偏差を算出し,1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ月の差を比較した。 また,病棟配属希望別に群わけし,1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ 月の差を比較した。検定には一元配置分散分析後,多 重比較には Tukey を用いた。 統 計 処 理 ソ フ ト に は 統 計 解 析 ソ フ ト SPSS for WINDOWS ver.11.0J を使用した。 5. 倫理的配慮 研究の対象者には,研究の趣旨と内容,方法,結果 の取り扱い,匿名性の保持,中断の保証について,口頭, 文章で説明し,同意が得られた者について署名を得た。 本研究は山梨大学倫理委員会の承認を得た。

Ⅴ . 結果

A 病院に 2007 年 4 月に新採用とし就職した看護師 42 名に対し,就職後 1 ヶ月,3 ヶ月,6 ヶ月に調査を行なっ た。回収率は 1 ヶ月 41 名(97.6%),3 ヶ月 40 名(95.2%),

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6 ヶ月 39 名(92.9%)で,1 ヶ月から 6 ヶ月までの有効回 答率は 37 名(88.1%)であった。 1. 対象者の特徴 対象は A 病院新卒看護師 37 名を対象とし,性別は, 女性 35 名(94.6%),男性 2 名(5.4%)であった。配属希 望部署別では,第 1 希望 13 名(35.1%),第 2 希望 9 名 (24.3%),第 3 希望他 15 名(40.5%),平均年齢は 22.1 ± 2.2 歳であった。 2. ストレッサー・ストレス反応の下位尺度の変化(Ⅰ 期∼Ⅲ期) ストレッサー・ストレス反応の下位尺度の変化を表 1 に示す。ストレッサーの『過度の圧迫感』のⅡ期で若干 の上昇変化があったが,その他の項目はⅡ期,Ⅲ期に おいての変化はなく,有意な差もなかった。ストレス 反応のⅠ期では,『疲労』『過敏』『対人場面での緊張感』 『抑うつ』の順で高く,『循環器系の不調』は低かった。 Ⅰ期からⅢ期までの特徴的な変化はなく,有意な差は なかった。 3. 対処行動の下位尺度の変化(Ⅰ期∼Ⅲ期) 対処行動の下位尺度の変化を表 1 に示す。対処行動 のⅠ期では,『積極的行動・認知』が 6 ヶ月間を通し高く, Ⅰ期からⅢ期を通し変化はなく,『消極的行動・認知』 は低い傾向があり,Ⅱ期にⅢ期においてやや上昇傾向 にあった。症状対処はⅠ期からⅢ期を通し変化はなく 有意な差は認めなかった。 4. 職場ストレスの項目別変化(Ⅰ期∼Ⅲ期) 職場ストレスのⅠ期からⅢ期までの項目別変化を,表 2 に示す。ストレッサー・ストレス反応の下位尺度のう ち質問項目の特徴のあったものを抜粋したものであり, Ⅰ期からⅢ期の変化を示す。ストレッサーにおいて, 高値を示したものは,「どこにいても仕事のことが頭か ら離れない」,「今の仕事はとても難しく複雑だ」,「職 場での時間を自分で適切に配分できない」などで,6 ヶ 月間を通し高かった。一方低いものは,「今の仕事は退 屈である」であり 6 ヶ月間の変化はみられなかった。「ど こにいても仕事のことが頭から離れない」のⅡ期が最も 高く,Ⅰ期とⅢ期との間に有意な差を認めた。ストレ ス反応において,高値を示したものは,「見知らぬ場所 にいくと非常に落ち着きがなくなる」,「仕事を終えた とき疲れきっている」,「批判されると非常に気になる」 などでⅠ期からⅢ期を通し高かった。一方,低いものは, 「指示されると腹が立つ」などであった。いずれも有意 差は認めなかった。 5. 対処行動の項目別変化(Ⅰ期∼Ⅲ期) 対処行動におけるⅠ期からⅢ期までの項目別変化を 表 2 に示す。対処行動において,下位尺度のうち特徴 のあった質問項目を抜粋した。高値なものは,「問題が 表 1 ストレッサー・ストレス反応 Ⅰ期∼Ⅲ期の変化 (n=37) Ⅰ期1) Ⅱ期1) Ⅲ期1)   有意差2)

項目(項目数) Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD ス ト レ ッ サ ー 過度の圧迫感 (6) 2.9 ± 0.5 3.1 ± 0.5 2.9 ± 0.5 n.s. 役割の不明瞭性 (6) 2.6 ± 0.6 2.8 ± 0.5 2.7 ± 0.5 n.s. 能力の欠如感 (9) 2.9 ± 0.4 2.9 ± 0.5 2.8 ± 0.4 n.s. 過度の負担感 (7) 2.7 ± 0.5 2.9 ± 0.5 2.9 ± 0.5 n.s. ス ト レ ス 反 応 怒り (6) 2.7 ± 0.7 2.9 ± 0.8 2.9 ± 0.9 n.s. 循環器系の不調 (5) 2.4 ± 0.9 2.4 ± 1.1 2.6 ± 1.0 n.s. 対人場面での緊張感 (7) 3.2 ± 0.5 3.3 ± 0.7 3.2 ± 0.5 n.s. 疲労 (5) 3.8 ± 0.8 4.0 ± 0.6 3.8 ± 0.7 n.s. 過敏 (4) 3.4 ± 0.7 3.5 ± 0.7 3.4 ± 0.6 n.s. 抑うつ (10) 3.0 ± 0.8 3.1 ± 0.7 3.1 ± 0.7 n.s. 対処行動  Ⅰ期∼Ⅲ期の変化 (n=37) Ⅰ期1) Ⅱ期1) Ⅲ期1) 有意差2)

項目(項目数) Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD 対 処 行 動 積極的行動・認知(11) 2.7 ± 0.4 2.7 ± 0.4 2.7 ± 0.5 n.s. 消極的行動・認知(9) 1.9 ± 0.4 2.1 ± 0.6 2.1 ± 0.5 n.s. 症状対処(11) 2.4 ± 0.4 2.5 ± 0.5 2.5 ± 0.5 n.s. 注)1) Ⅰ期:就職後 1 ヶ月 Ⅱ期:就職後 3 ヶ月 Ⅲ期:就職後 6 ヶ月 注)2) Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期の差の検定は一元配置分散分析後多重比較には Tukey を使用

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何であるかについて考えた」,「睡眠をとった」であり, Ⅰ期からⅢ期を通し高かった。一方,低かったものは, 「問題解決のための計画を作った」,「この問題とは別の ことに没頭した」,「この問題の責任は自分以外にある と考えた」などであり,Ⅰ期からⅢ期を通し低かった。 「この状況をがまんした」ではⅡ期だけ上昇を示した。 「この状況でできる限り問題解決のための行動をとっ た」では,Ⅱ期が低くⅠ期との間に有意な差を認めた。 6. 職場ストレスの配属希望部署別の比較 職場ストレスにおける第 1 希望群,第 2 希望群,第 3 希望とその他の群における比較を表 3 に示す。各期の 表 2 職場ストレスと対処行動の項目別変化(Ⅰ期∼Ⅲ期) 抜粋 (n=37) Ⅰ期1) Ⅱ期1) Ⅲ期1) 有意差2)

職場ストレス Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD

︿ ス ト レ ッ サ ー ﹀ 『過度の圧迫感』 どこにいても仕事のことが頭から離れない 3.7 ± 1.1 4.5 ± 0.6 3.6 ± 1.0 *1*2 有給休暇がとれない 3.2 ± 0.8 3.7 ± 1.0 3.6 ± 1.1 今の仕事はとても難しく複雑だ 3.9 ± 1.0 3.8 ± 1.0 3.7 ± 0.9 『役割の不明瞭性』 今の仕事は退屈である 1.8 ± 0.9 2.0 ± 0.9 1.9 ± 0.9 複数の上司の指示にくい違いが多い 3.3 ± 0.8 3.5 ± 0.8 3.4 ± 0.8 『能力の欠如感』 職場での時間を自分で適切に配分できない 3.8 ± 0.9 3.8 ± 1.0 3.5 ± 1.0 『過度の負担感』 数多くの仕事をこなさなければならない 3.8 ± 1.0 3.9 ± 0.9 4.0 ± 0.9 ︿ ス ト レ ス 反 応 ﹀ 『怒り』 指示されると腹が立つ 2.1 ± 0.9 2.4 ± 0.9 2.5 ± 0.8 ちょっとしたことで感情を害し易い 3.6 ± 0.9 3.5 ± 1.0 3.3 ± 0.9 『対人場面での緊張感』 見知らぬ場所にいくと非常に落ち着きがなくなる 3.6 ± 0.9 3.6 ± 1.0 3.5 ± 0.9 『疲労』 いつも緊張している 4.0 ± 1.0 3.9 ± 1.0 3.7 ± 1.0 仕事を終えたとき疲れきっている 4.2 ± 1.1 4.4 ± 0.7 4.2 ± 1.0 仕事を少ししただけで疲れる 3.2 ± 1.1 3.5 ± 0.9 3.5 ± 1.1 疲れてぐったりすることがよくある 4.2 ± 0.9 4.4 ± 0.6 4.3 ± 0.5 朝起きたときから疲れきっている 3.5 ± 1.0 3.9 ± 1.1 3.7 ± 0.8 『過敏』 批判されると非常に気になる 4.3 ± 0.8 4.4 ± 0.5 4.2 ± 0.7 『抑鬱』 ゆううつな気分である 3.7 ± 1.0 3.7 ± 1.0 3.6 ± 1.1 今までの生き方は間違っていたと思う 2.1 ± 0.9 2.4 ± 0.9 2.5 ± 1.0 Ⅰ期1) Ⅱ期1) Ⅲ期1) 有意差2)

対処行動 Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD 行 動・ 認 知 積 極 的 問題が何であるかについて考えた 3.1 ± 0.7 3.2 ± 0.6 3.1 ± 0.7 この状況でできる限り問題解決のための行動をとった 3.2 ± 0.6 2.8 ± 0.7 3.0 ± 0.7 *1 この問題と直接関係のない友人・家族などに相談した 3.0 ± 1.1 2.9 ± 1.1 2.8 ± 1.0 問題解決のための計画を作った 1.6 ± 0.9 1.8 ± 0.9 2.0 ± 0.9 行 動・ 認 知 消 極 的 この問題とは別のことに没頭した 1.7 ± 0.7 1.8 ± 0.8 2.0 ± 0.8 問題となった状況をさけるようにした 1.9 ± 0.7 2.0 ± 0.9 2.0 ± 0.9 この状況をがまんした 2.8 ± 0.8 3.1 ± 0.8 2.8 ± 0.9 この問題の責任は自分以外にあると考えた 1.6 ± 0.8 1.7 ± 0.8 1.8 ± 0.9 症 状 対 処 睡眠をとった 3.1 ± 0.8 3.0 ± 0.7 3.1 ± 0.7 休息をとった 3.1 ± 1.0 2.9 ± 1.1 3.1 ± 0.7 酒を飲んだ 1.7 ± 1.0 1.7 ± 1.1 1.8 ± 1.0 親しい人(友人・家族など)と時間を過ごした 3.2 ± 0.8 3.1 ± 1.0 2.9 ± 0.9 注)1) Ⅰ期:就職後 1 ヶ月・Ⅱ期:就職後 3 ヶ月・Ⅲ期:就職後 6 ヶ月 注)2) Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期の差の検定には一元配置分散分析後多重比較 Tukey を使用 *p <.05  *1 Ⅰ期とⅡ期  *2 Ⅱ期とⅢ期

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ストレッサー・ストレス反応の特徴のあったものを抜 粋した。第 1 希望群がストレッサー,ストレス反応と も高い傾向があった。なかでも,「今の仕事はとても難 しく複雑だ」が高く,第 2 第 3 希望群と間に有意な差が あった。「複数の上司の指示にくい違いが多い」でも高 く,第 3 希望他群の間に有意な差があった。「仕事でよ い結果を出すよう期待されている」でも高く,第 2 希望 群との間に有意な差があった。 7. 対処行動の配属希望部署別の比較 対処行動における第 1 希望群,第 2 希望群,第 3 希 望とその他の群の比較を表 3 に示す。対処行動の特徴 があったものを抜粋した。対処行動の『積極的行動・認 知』において,「問題が何であるかについて考えた」,「こ の状況でできる限り問題解決のための行動をとった」で あり,第 2 希望群が高く,第 3 希望他群との間に有意 な差があった。「この問題と直接関係のない友人・家族 などに相談した」では第 1 希望群が高く,第 3 希望他群 との間に有意な差があった。「問題の原因や自分の行動 ややり方を考えた」では第 2 希望群,第 1 希望群の順で 高く,それぞれ第 3 希望他群との間に有意な差があった。 『消極的行動・認知』『症状対処』においては特徴的なも のはなかった。

Ⅵ . 考察

1. 新卒看護師のストレッサーについて 本調査で,新卒看護師のストレッサーは「今の仕事は 表 3 職場ストレスと対処行動 配属希望部署別の比較(Ⅰ期∼Ⅲ期) 抜粋 第 1 希望群 第 2 希望群 第 3 希望他群 ストレッサー・ストレス反応 (n= 13) (n= 9) (n= 15)

Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD 有意差1)

『過度の圧迫感』 今の仕事はとても難しく複雑だ(Ⅲ期) 4.3 ± 0.6 3.3 ± 0.8 3.3 ± 0.9 *1*2 『役割の不明瞭性』 複数の上司の指示にくい違いが多い(Ⅱ期) 4.0 ± 0.6 3.6 ± 0.7 3.1 ± 0.9 *2 『過度の負担感』 仕事でよい結果を出すよう期待されている(Ⅱ期) 3.0 ± 0.6 2.3 ± 0.7 2.5 ± 0.8 *1 『抑うつ』 今までの生き方は間違っていたと思う(Ⅲ期) 3.0 ± 1.1 2.4 ± 0.7 2.1 ± 0.8 *2 第 1 希望群 第 2 希望群 第 3 希望他群 対処行動 (n= 13) (n= 9) (n= 15)

Mean ± SD Mean ± SD Mean ± SD 有意差1)

『積極的行動・認知』 問題が何であるかについて考えた(Ⅱ期)         〃      (Ⅲ期)   2.9 ± 0.9 3.4 ± 0.5 2.2 ± 0.9 *3 2.9 ± 0.9 3.4 ± 0.5 2.2 ± 0.9 *3 この状況でできる限り問題解決のための行動をとった(Ⅱ期)         〃      (Ⅲ期)   3.0 ± 0.5 3.3 ± 0.5 2.3 ± 1.0 *3 3.0 ± 0.6 3.3 ± 0.5 2.3 ± 1.0 *3 この問題と直接関係のない友人・家族などに相談した(Ⅱ期)         〃      (Ⅲ期)   3.0 ± 1.0 2.6 ± 1.0 1.9 ± 0.8 *2 3.0 ± 1.0 2.7 ± 1.0 1.9 ± 0.8 *2 問題の原因や自分の行動ややり方を考えた(Ⅱ期)         〃      (Ⅲ期)   2.9 ± 0.6 3.1 ± 0.8 2.1 ± 1.0 *2*3 2.9 ± 0.6 3.1 ± 0.8 2.1 ± 1.0 *2*3 この状況をひとつの試練と考えた(Ⅱ期)         〃      (Ⅲ期)   2.2 ± 0.7 3.0 ± 0.7 1.8 ± 1.1 *3 2.2 ± 0.7 3.0 ± 0.7 1.8 ± 1.1 *3 問題解決のための計画を作った(Ⅰ期) 1.3 ± 0.8 2.2 ± 0.8 1.5 ± 0.8 *1 注)1) 第1希望群・第 2 希望群・第 3 希望他群の差の検定には一元配置分散分析後多重比較 Tukey を使用 *p <.05 *1 第 1 希望群と第 2 希望群 *2 第 1 希望群と第 3 希望他群 *3 第 2 希望群と第 3 希望他群

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とても難しく複雑だ」や「職場内での自分の時間を適切 に配分できない」「私の仕事は一人で行なうには多すぎ る」など,就職後 6 ヶ月間を通し高値を示した。ストレ スになっていることは仕事に対する力量不足や,知識 や看護技術の未熟さ,業務過多であり7)8)11),数多くの ストレスを抱えていることが特徴である。新人看護師 のストレス調査12)においても,就職後 1 ヶ月の新卒看 護師と一般職の新卒者とを比較したところ,ストレス 状況は「仕事の量・コントロール」で全国平均を超えて おり,中村らの調査13)では,新人,主任,看護師,看 護師長の順でストレスが高いことを報告している。こ れらの結果からも,新卒看護師は看護職のなかでもス トレスが高く,就職後 6 ヶ月間を通しストレッサーが 高い特徴がある。特に,3 ヶ月時に上昇した「どこにい ても仕事のことが頭から離れない」では,古市らの新人 看護師の 3 ヶ月時の調査14)でも,「病院のことが頭から 離れない」と同様の結果を示した。その要因として,新 卒看護師は,基本的な看護技術の習得が十分できない 状況で就職していること,就職後も看護技術の 7 割弱 を一人で実施できないにもかかわらず,半数以上が夜 勤をはじめている6)。しかし,看護技術が熟達すると他 のストレスへ変化するため,看護技術に関する苦痛の 軽減は重要な鍵となる。臨床現場でも新卒看護師を対 象とした技術トレーニングは行なわれているものの, 短期間であり,体験するまでの内容が多く,実際は臨 床現場で経験を積みながら習得しているのが現状であ る。新しい病棟,人々,業務の導入は徐々にすること, 精神的安楽のレベルに到達した時点で,はじめて知識 は吸収される5)ということからも,トレーニング時期や 内容は徐々に行う配慮が必要となる。新卒看護師の指 導を担当する管理者や指導者は,新卒看護師のストレ ス対処を熟知して,時間をかけて的確に行動できるよ うに指導にあたることが重要である。 2. 新卒看護師のストレス反応について 新卒看護師のストレス反応は,特に「仕事を終えたと き疲れきっている」,「疲れてぐったりすることがよくあ る」が 6 ヶ月間を通し,どの時期においても高値を示して いる。新卒看護師は労働ストレスが高く,就職後 1 ヶ月 に体調不良を約 30% が訴えており,平均 2.4 時間の超過 勤務があり,慣れない環境や厳しい業務の中で,疲労を 強く感じている6)8)。新卒看護師のストレス要因は,不十 分な休息,不規則な勤務体制が言われており15),新卒看 護師の疲労が強いことが特徴であった。また,「見知ら ぬ場所や,見知らぬ人にあうと落ち着かない」などが高 値を示したが,患者との関係やスタッフとの人間関係が うまくいかない,人間関係に緊張している13)14)16),また 人間関係がうまくいかないと,リアリティショックに大 きく影響する報告7)もあり,新しい職場環境におかれ, 緊張も強いなか,人間関係を構築していくことのストレ スは強いことが言える。 本調査において,新卒看護師のストレッサー・スト レス反応は,就職後 3 ヶ月に上昇する傾向があった。 就職後 3 ヶ月の精神健康調査は悪く,特に「不安と不眠」 の症状が強く,就職後リアリティショックに陥ってい ると思われる者は 3 ヶ月時 65.2% であったと言われ7), 新卒看護師のストレス状態は 3 ヶ月が高くなることが 変化の特徴である。    新卒看護師はさまざまなストレスを抱えながら仕事 を体得する。看護技術を習得するといったプロセスの 中には,職場での人間関係は切り離せないことであり, 調査結果や過去の報告7)15)16)からも人間関係がうまくい かないことは,新卒看護師にとって,多大なストレス となるという報告が多いことからも,新卒看護師のそ の時,その場のストレスを理解し,対応していくこと が必要である。さらに,怖い上司,先輩の存在や傷つ く言葉,新卒看護師の自信のなさも加わり,言えない 環境,聞けない環境をつくりだすような悪循環の人間 関係は,離職願望へもつながるため16),新卒看護師の 考えや気持ちを早期から十分受け入れていく必要があ る。新卒看護師が言葉を発する,心を開くことのでき る環境を整えることも重要な課題である。 3. 新卒看護師の対処行動について 新卒看護師の対処行動は,「問題が何であるかについ て考えた」,「この問題と直接関係のない友人・家族など に相談した」,「親しい人(友人・家族など)と時間を過ご した」,「睡眠,休息をとった」などの対処行動を多くとっ ていた。他の報告によると,就職後 3 ヶ月調査において, 職場を辞めたいと思った時やストレス対処方法の工夫と して,リフレッシュなど気分転換,問題解決のための相 談(家族・友人・同僚),休息をとる17),といった同様の 結果であった。新卒看護師は,リフレッシュや休息,相 談や問題解決で前向きに対処していたが,「この状況を がまんした」の消極的な対処行動も認めた。1 ヶ月から 6 ヶ 月を通し特徴的な変化はなかった。藤原ら18)は,新卒看 護師のストレス認知の変化はあるものの,対処行動に関 しては 1 年間変化がなく,ストレスに対する対処は,短 期間での個人内変化が起こりにくいといわれ,6 ヶ月間 では対処行動の変化は表面化しない可能性がある。しか し,「この状況をがまんした」,「問題となった状況をさけ るようにした」などの,回避的な対処行動を継続すると, 離職に至る可能性が高いことも報告されている19)ことか ら,対処行動によっては,離職の前兆となるため,病棟 管理者や指導者は新卒看護師のストレス対処方法の特徴 を理解しておくことが必要と考える。

(7)

4. 配属部署希望別の職場ストレスについて 配属希望別の結果においては,第 1 希望群の 6 ヶ月 時では「今の仕事はとても難しく複雑だ」 が他群より高 値を示した。配属希望通りに配置されても,新卒看護 師のストレスに差はない調査結果10)もある。本調査の 結果のように,希望した職場や仕事につき 6 ヶ月経過 した頃,現実の仕事の複雑さや困難さを認識し始める ことを管理者や指導者は理解して,指導を行っていく 必要がある。 5. 配属部署希望別の対処行動について 配属希望別の対処行動では,第 2 希望群が「問題が何 であるかについて考えた」や「この状況でできる限り問 題解決のための行動をとった」など,前向きな対処行動 をとっている傾向があった。今回の結果から,第 1 希 望に配属された者が必ずしも前向きな対処行動をとっ ているわけではないことから,入職時の職場選択の理 由が明確であるか,事前に希望調査を行う意義や方法 を再検討する必要があると考える。

Ⅶ . 結論

1. 新卒看護師のストレッサーの特徴は,『過度の圧迫 感』の「どこにいても仕事のことが頭から離れな い」,「数多くの仕事をこなさなければならない」や 『能力の欠如感』の「職場での時間を自分で適切に配 分できない」など全ての項目において高値を示し, 6 ヶ月間を通し高く,特に 3 ヶ月時に上昇する傾向 があった。 2. 新卒看護師のストレス反応の特徴は,『疲労』の「仕 事を終えたとき疲れきっている」,「いつも緊張し ている」が非常に高く,『対人場面での緊張感』の「見 知らぬ場所にいくと非常に落ち着きがなくなる」な どが高く,『循環器系の不調』を除いて,3 ヶ月時に 上昇する傾向であった。 3. 新卒看護師の対処行動として多かったのは,『積極 的行動・認知』の「問題が何であるかについて考え た」,「この問題と直接関係のない友人・家族など に相談した」,『症状対処』の「睡眠や休息をとった」 などであり,『消極的行動・認知』では,唯一「この 状況をがまんした」が高い特徴があった。対処行動 の 6 ヶ月間の変化はほとんどなかった。ストレス の対処行動として「問題をさける」「がまんする」と いった消極的な対処行動の継続は離職の前兆とし て注意をはらう必要がある。 4. 新卒看護師の配属希望別のストレッサーは,たと え第 1 希望に配属されたとしてもストレッサーが 少ないわけではない。対処行動においては,第 2 希望群が前向きな対処行動をとっている傾向が あったため,入職時の職場選択の理由が明確であ るか,事前に希望調査を行う意義や方法を再検討 する必要がある。

Ⅷ . 研究の限界と今後の課題

本 研 究 の 限 界 は, 調 査 対 象 が 1 施 設 に 限 ら れ る た め,一般化は困難であり,今後は対象施設を増やして いく必要がある。また,職場ストレスの尺度として, ストレッサー尺度,ストレス反応尺度は一般就労者を 対象に作製されたものであるため,新卒看護師には回 答しにくい内容もあったことより,今後は新卒看護師 に限定した問いを使用する必要がある。 本調査は男性が 2 名であり,新卒看護師として性別 を考慮せず行ったが,男性看護師が多くなる場合には 性差の視点も考慮する必要があろう。

謝辞

本研究の調査にご協力いただきました病院の看護部 長をはじめ看護師長の皆様,研究協力に貴重な時間を さいていただきました,新卒看護師の皆様方に,心よ り感謝いたします。 文献 1) 原谷隆史(1995)看護婦のストレス . ストレス科学,12(4):160 − 164. 2) 中島朱美(2005)医療・福祉従事者の職場ストレスとコーピング −対人援助を業とする職域間・職種間比較− . 介護福祉学,第 12(1):63 − 73.  3) 社団法人日本看護協会(2004)新卒看護職員の早期離職等の実態 調査 . 4) 厚生労働省(2004)新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する 報告書 . 5) 前田マスヨ(1995)アメリカンアカデミー編,マグネットホスピ タル【魅力ある病院づくりと看護管理】.資料編 . メヂカルフレ ンド社,東京,129.141 6) 吉田典子,川口貞親,他(2004)新採用看護師における労働スト レスの経年変化とその関連要因 . 久留米大学健康・スポ−ツ科 学センター紀要,11(1):59 − 63. 7) 水田真由美,上坂良子,他(2004)新卒看護師の精神健康度と離 職願望 . 和歌山県立医科大学短期大学紀要,7:21 − 27. 8) 森恵子(2001)就職後 1 ヶ月後の新人看護婦の抱えるストレスの 実態調査 . 岡山大学医学部保健学科紀要,11:71 − 76. 9) 島津明人,小杉正太郎(2001)職場ストレッサー尺度・ストレス 反応尺度 . 心理測定尺度集Ⅱ(吉田富二雄編).サイエンス社, 東京,311 − 318.

(8)

10) 庄司正文,庄司一子(2001)職場用コーピング尺度 . 心理測定尺 度集Ⅱ(吉田富二雄編). サイエンス社,東京,319 − 323. 11)豊増功次,原田悟史,他(2004)医療従事者に対するストレス調 査と個人面接の有用性について . 久留米大学健康・スポーツ科 学センター研究紀要,12(1):47 − 53. 12)小竹友子,福田直子,他(2003)新人看護師のストレス調査 . 日 本看護学会論文集 看護管理,34:45 − 49. 13)中村令子,村田千代,他(2006)新卒看護師の職場適応に向けた 支援に関する研究 . 職場ストレスの職位別傾向に関する実態調 査 . 弘前学院大学看護紀要,1:41 − 50. 14)古市清美,鹿村眞理子,他(2006)新人看護師の職場適応 . 群馬 パース大学紀要,3:31 − 36. 15)榊原かおり,牧野有里子,他(2003)新卒看護師のストレス要因 とコーピングについて .1・2 年目看護師による面接調査 . 日本 看護学会論文集 看護管理,34:142 − 144. 16)石井京子,星和美,他(2003)中堅看護師の職務ストレス認知が うつ傾向に及ぼす要因分析に関する研究 . 新人看護師と比較し て . 日本看護研究学会雑誌,26(4):21 − 29. 17)久保江里,前田ひとみ,他(2007)新卒看護師の仕事に対する予 想とのギャップと対処の実態 . 就職後 3 ヶ月後と 6 ヶ月後の縦 断的調査から . 南九州看護研究誌,5(1):45 − 52. 18)藤原千恵子,本田育美,他(2001)新人看護婦の職務ストレス認 知に関する縦断研究 . 同一対象の就職後の時系列変化 . 日本看 護研究学会誌,24(3):383. 19)山本加代子,橘 朱美,他(2003)新規採用看護師の就職後のス トレス対処パターンとその影響要因 . 日本看護研究学会誌,26 (3):175.

参照

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