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大気環境中における硝酸及びアンモニアのガス・微小粒子・粗大粒子間の分配 利用統計を見る

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ガス・微小粒子・粗大粒子間の分配

3DUWLWLRQRIQLWULFDFLGDQGDPPRQLDDPRQJWKHJDVSKDVHILQHSDUWLFOHV

DQGFRDUVHSDUWLFOHVLQWKHDPELHQWDWPRVSKHUH

1.緒言 11.窒素循環と人間活動  窒素(12)は地球大気の中で最も大きな割合(モル比で大気の78%)を占めており、生態系への窒 素成分の供給源となっている。しかし12を直接利用できる生物は少ない。12は、窒素固定細菌や藍 藻といった特定の生物によりアンモニア(1+3)に変換され、さらに1+3は硝化細菌により硝化され 硝酸塩になる。また雷放電や燃焼過程により、12は窒素酸化物(12[=12+122)へと酸化される。 12[は大気中で、また雲や降水中で酸化され、硝酸(+123)や硝酸塩となり地表へ降下する。この ように12は、地球表層の生物地球化学的循環において1+3や+123、及びこれらの塩など、多くの 生物に利用可能な固定態窒素へと変換され、生態系の生産を支えている。  一方人類は、大気中の12を用いて1+3を生成する工業的窒素固定(ハーバーボッシュ法)を確立し、 窒素肥料の生産・使用によって食糧生産量を増大させてきた。今日、世界人口のおよそ48は工業的 窒素固定によって維持されているとの試算もある1)。さらに、化石燃料の使用や焼き畑などの燃焼過 程により12[を大量に放出している。これらは、人類による新たな窒素固定が行われていることを意 味している。  これら人為起源の固定態窒素が窒素循環に大量に加わることにより、今後生態系や気候にどのよう な影響が現れるか懸念されている。例えば、一酸化二窒素(122)は窒素肥料の使用量の増加に伴い 大気中の濃度が近年急速に増加し、温室効果ガスの一つとして、二酸化炭素やメタンなどと並んで注 目されている。さらにその一部は成層圏にまで輸送され、オゾン層の破壊に関与すると考えられてい る。また固定態窒素の生態系への過剰な負荷は、水圏の富栄養化や土壌酸性化などの問題も引き起こ す。人間活動は地球が長い時間をかけて築き上げてきた物質循環や気候システムに大きな改変を強い ていると考えることができ、その影響の評価は現在危急の課題といえるだろう。 12.大気中の固定態窒素  大気中の+123は、主に12[の酸化により光化学的に生成される気体成分である。大気中の12[ の主な起源としては、化石燃料燃焼、バイオマス燃焼、土壌からの放出があげられる。中でも化石燃 料燃焼の寄与が大きく、特に都市域ではその多くが自動車の排気ガス由来である。バイオマス燃焼に

1RULR0$68'$

7DNDVKL1$.$12

増 田 紀 雄

中 野 隆 志

***

+LURVKL.2%$<$6+,

小 林   拓

**

.L\RVKL0$7680272

松 本   潔

山梨大学教育人間科学部  山梨大学大学院医学工学総合研究部  山梨県環境科学研究所

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伴い放出される12[は、熱帯域では多いと見積もられている。土壌中では、微生物による脱窒・硝化 作用の中間産物として12[が生成・放出される。全球的にみれば、化石燃料起源の12[の放出量は バイオマス燃焼と土壌からの放出量に匹敵する2)  +123ガスは以下に示す反応(1)により粒子化してエアロゾルとなり、粒径1∼2ƫPより小さい 微小粒子領域に硝酸塩を生成する。一方、海塩や土壌粒子など粒径1∼2ƫPより大きい粗大粒子へ の取り込みよっても粒子化する。例えば、海塩粒子には反応(2)によって取り込まれる。   +123(気体)+1+3(気体) ⇄ 1+4123(微小粒子) (1)   +123(気体)+1D&O(粗大粒子) → 1D123(粗大粒子)++&O(気体) (2)  大気中の1+3は、主に肥料や家畜の排泄物から放出される3),4)。1+3ガスは、反応(1)や以下の反 応(3)、(4)によって粒子化し、微小粒子領域にアンモニウム塩を生成する。   1+3(気体)++2624(微小粒子) → (1+4)2624(微小粒子) (3)   1+3(気体)++&O(気体) ⇄ 1+4&O(微小粒子) (4) 13.大気化学成分の滞留時間と環境影響  大気中の化学種が、ガスとして存在するのかエアロゾルとして存在するのか、またエアロゾルとし て存在する場合その粒径は、化学種の生態系への影響を考える上で非常に重要である。なぜなら、ガス、 微小粒子、粗大粒子によって大気中の滞留時間が異なるからである。  通常、エアロゾルの滞留時間はその粒径に大きく依存する。粗大粒子がその大きさのために重力沈 降し易いのに対して、微小粒子の質量の大部分を占める粒径01∼2—Pの粒子の滞留時間は長い。一方、 ガス態の+123と1+3は、一般にエアロゾル中の硝酸塩やアンモニウム塩より早く沈着すると報告さ れている5),6)  従って、例えば発生源近傍の+123や1+3が大気中を輸送されることを考えた場合、ガス態の +123や1+3は滞留時間が短いため発生源からあまり輸送されずに沈着する可能性が高いが、これら が微小粒子に含まれると外洋など遠隔地まで輸送される可能性がある。河口近くでは河川から栄養分 が供給されるが外洋までは届きにくいことから、これら窒素成分の外洋への輸送は、海洋生態系、さ らに地球規模での物質循環に与える影響を考えたとき、大変重要である。 14.本研究の目的  固定態窒素成分である+123または硝酸塩(以降、+123ガスとエアロゾル中硝酸塩をあわせて「全 硝酸」と表記する)、1+3またはアンモニウム塩(以降、1+3ガスとエアロゾル中アンモニウム塩を あわせて「全アンモニア」と表記する)は、大気中にガス、微小粒子、粗大粒子として存在するが、 それぞれの滞留時間はその存在形態によって異なる。よってこれらの存在形態間での分配は、近年大 気環境中で濃度増加傾向にある固定態窒素種の生態系への影響の時間的空間的変動性を評価する上で 重要である。  本研究は、大気環境中の全硝酸及び全アンモニアの、ガス・微小粒子・粗大粒子間の分配は何によっ て決まるのか、これら存在形態間の分配を決める支配因子の解明を目的とした。 2.研究方法 21.試料採取地点及び期間  エアロゾルとその前駆ガスの採取を、甲府市の山梨大学甲府キャンパス屋上(地上約17P、以降「甲 府」と表記する)、及び富士吉田市の山梨県環境科学研究所屋上(地上約11P、以降「吉田」と表記する) の2地点で行った。山梨大学は市の中心部から北に約2NP離れたところに位置し、周辺は住宅地で

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ある。一方、山梨県環境科学研究所は森林に囲まれている。  試料採取は、甲府では2009年12月28日から2010年12月27日まで、吉田では2009年12月28日から 2010年12月28日まで、約1週間間隔で行った。 22.試料採取方法  エアロゾルの採取は多段式インパクター法、ガス成分の採取は薬液含浸フィルター法によって行っ た。インパクター2段(50%有効カットオフ径=10ƫP,2ƫP)とバックアップフィルターステージ 2段のニールフィルターホルダーを2つ用意し、一方のフィルターホルダーには、採取口側から順番 に、テフロン繊維フィルター(3)100,外径47PP,内径20PP,7R\R)、テフロン繊維フィルター (3)100,外径47PP,内径20PP,7R\R)、テフロン繊維フィルター(3)040,外径47PP,7R\R)、ア ルカリ含浸フィルター2枚1組を順に配した。もう一方のフィルターホルダーには、採取口側から順 番に、石英繊維フィルター(45100,外径47PP,内径20PP,7R\R)、石英繊維フィルター(45100, 外径47PP,内径20PP,7R\R)、石英繊維フィルター(45100,外径47PP,7R\R)、酸含浸フィル ター2枚1組を順に配した。なお、アルカリ含浸フィルターは2%炭酸ナトリウム+1%グリセリン 溶液を、酸含浸フィルターは2%リン酸+1%グリセリン溶液を、それぞれセルロース繊維フィルター (5$,外径47PP,7R\R)に含浸、乾燥して作成した。吸引流速200/PLQにおいて、採取口側から順 番に、それぞれ粒径10ƫP以上のエアロゾル、10∼2ƫPのエアロゾル(粗大粒子)、粒径2ƫP以下の エアロゾル(微小粒子)を、4段目のアルカリ含浸フィルターでは+123、+122、622、+&O、酸含 浸フィルターでは1+3の各ガス成分を採取した。 23.分析方法  ガス成分を採取したセルロース繊維フィルターは、2枚1組で超純水40PO中において30分間超 音波抽出を行った。抽出後、抽出液を孔径045ƫPの37)(メンブランフィルター(',60,&13+3, 7R\R)で濾過し、1+4、&O、122、123、6242をイオンクロマトグラフ(';120,'LRQH[)によ り定量した。  エアロゾルを採取したテフロン繊維フィルターは、精密分析用エタノール1POにて親水処理後、更 に超純水9POを加え、30分間超音波抽出を行った。抽出液を同様に濾過後、イオンクロマトグラフに より1D、1+4、.、0J2、&D2、&O、12 3、6242を定量した。 3.結果と考察 31.全硝酸のガス・エアロゾル分配の支配因子  全硝酸に対する+123ガスの濃度比と気温との関係を図1に示す。気温が高くなるとエアロゾル中 の硝酸塩が減少し、+123ガスが増加する傾向が認められる。これは微小粒子中に含まれる1+4123 を生成する反応(1)の化学平衡が気温に依存しており、気温が高くなると微小粒子中に1+4123が 生成されにくく+123ガスとして存在し易くなるためと考えられ、過去の研究においても報告されて いる7)。しかしばらつきは大きく、気温以外にガス・エアロゾル分配に影響を与える因子の存在が示 唆される。そこで、まず気温20℃以上の条件(以降「高温条件」と表記する)における気温以外の支 配因子について考察する。なお、気温20℃以下の条件(以降「低温条件」と表記する)におけるばら つきの原因については33章で考察する。図2は、全硝酸に対する微小粒子中硝酸塩の濃度比、及び エアロゾル中硝酸塩に対する粗大粒子中硝酸塩の濃度比と気温との関係を示したものである。高温条 件では、図1よりエアロゾル中の硝酸塩が+123ガスに転換していることがわかるが、図2からはこ の条件下では微小粒子中の硝酸塩が減少していること、その一方で粗大粒子中の硝酸塩は増加してい

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ることがわかる。  以上の結果より、高温条件では微小粒子中に硝酸塩 は生成されにくく+123ガスとして存在する傾向にあ ると同時に、その一部は粗大粒子に取り込まれること が考えられる。反応(2)に示したように、+123ガス は海塩や土壌粒子などとの反応を通して粗大粒子に取 り込まれることで、粗大粒子中の硝酸塩になると考え られる。  そこで図3には、全硝酸に対する粗大粒子中硝酸塩 の濃度比と海塩粒子の指標である粗大粒子中ナトリウ ムイオン(1D)の濃度の関係を、高温条件の試料につ いて示す。両者には正の相関が認められる。このこと から、海塩粒子の存在量が+123ガスから粗大粒子中 硝酸塩への転換を支配していると考えられる。  以上の結果から、気温が低い条件においては微小粒 子中に硝酸塩は生成され易いが、気温が高い条件下で は多くは+123ガスとして存在し、その+123ガスの一部は海塩粒子と反応して粗大粒子に取り込ま れる傾向にあることがわかった。 32.全アンモニアのガス・エアロゾル分配の支配因子  エアロゾル中アンモニウム塩はそのほとんどが微小粒子中に検出され、その量的傾向は観測期間を 通して一定だった。これは、粗大粒子中にアンモニウム塩を生成する反応過程がほとんどないためで ある。従ってここでの議論においては、粗大粒子への分配は考慮しないこととする。  全アンモニアに対する1+3ガスの濃度比と気温との関係を図4に示した。気温の上昇に伴い1+3 ガスとして存在する割合が高くなる傾向がみられる。これは全硝酸の場合と類似しており、気温が高 い条件下では微小粒子中に1+4123が生成されにくく1+3ガスとして存在する割合が高くなるため 図1.全硝酸に対するHNO3ガスの濃度比と 気温との関係。○は甲府、+は吉田の値。 実線は甲府、破線は吉田の回帰直線(相 関係数はそれぞれ0.71、0.20)。 図2.全硝酸に対する微小粒子中硝酸塩の濃度比(左)、及びエアロゾル中硝酸塩に対する粗大粒子 中硝酸塩の濃度比(右)と気温との関係。○は甲府、+は吉田の値。実線は甲府、破線は吉田の回 帰直線(相関係数は、左図ではそれぞれ−0.79、−0.51、右図ではそれぞれ0.78、0.53)。

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と考えられる。しかし全硝酸の場合と同様に全体的にばらつきがみられ、ガス・エアロゾル分配を支 配する気温以外の因子の存在が考えられる。  1+3ガスは大気中において数少ない塩基性ガス成分であり、大気中の酸性成分である硫酸(+2624)、 硝酸(+123)、塩化水素(+&O)と反応することにより、エアロゾル中に硫酸アンモニウム((1+4)2 624)、硫酸水素アンモニウム(1+4+624)、硝酸アンモニウム(1+4123)、塩化アンモニウム(1+4&O) などを生成する。1+4123や1+4&O に比べ(1+4)2624や1+4+624は熱力学的に安定であり、この ため1+3ガスの濃度が低い条件下では主にこれら硫酸塩を生成する傾向にある8)。図5には、高温条 件及び低温条件それぞれにおける全アンモニアに対する1+3ガスの濃度比と微小粒子中の非海塩起 源硫酸塩濃度との関係を示した。エアロゾル中には海塩由来の硫酸塩が含まれているが、これは 1+3 図3.高温条件における全硝酸に対する粗大粒 子中硝酸塩の濃度比と粗大粒子中Na+濃度と の関係。○は甲府、+は吉田の値。実線は甲府、 破線は吉田の回帰直線(相関係数はそれぞれ 0.73、0.82)。 図4.全アンモニアに対するNH3ガスの濃度比 と気温との関係。○は甲府、+は吉田の値。 実線は甲府、破線は吉田の回帰直線(相関係 数はそれぞれ0.58、0.69)。 図5.高温条件下(左)及び低温条件下(右)における全アンモニアに対するNH3ガスの濃度比と微 小粒子中非海塩起源SO42-濃度との関係。○は甲府、+は吉田の値。実線は甲府、破線は吉田の回 帰直線(相関係数は、高温条件下ではそれぞれ0.85、0.77、低温条件下ではそれぞれ0.50、0.17)。

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ガスとの反応に関与しないため、ここではこれを除いた非海塩起源の硫酸について考える必要がある。 高温条件においてこの濃度比は微小粒子中の非海塩起源硫酸塩の濃度と相関がよいことがわかる。こ れは1+3ガスが微小粒子中の非海塩起源硫酸と反応して微小粒子中にアンモニウム塩を生成してい るためと考えられる。しかし低温条件においては両者には相関が認められなかった。気温が低い条件 下では、これまで述べたように1+3ガスは+123ガスと反応して微小粒子中に1+4123を生成し易 い。1+3ガスが十分存在する場合は、+123ガスの濃度も、非海塩起源硫酸とあわせて全アンモニア のガス・エアロゾル分配を考える上で重要な成分といえる。従って全アンモニアに対して、1+3ガス と反応し得る酸性成分である+2624、+123がどれだけ存在しているかが、全アンモニアのガス・エ アロゾル分配に重要であることが推測される。  そこで、1+3ガスと反応し得る+123ガス及び反応した結果塩となった微小粒子中の硝酸塩、微小 粒子中の非海塩起源硫酸塩の和を酸性成分と考え、これらと反応する1+3ガス及び反応した結果生 じる微小粒子中のアンモニウム塩の和をアンモニア成分とし、両者の当量濃度の割合と全アンモニア に対する1+3ガスの濃度比との関係を図6に示す。ここで微小粒子中の非海塩起源硫酸塩には、1+3 ガスと反応し得る+2624と反応して生じた硫酸塩が含まれる。なお本研究では、+&Oガスに由来する 微小粒子中の非海塩起源塩化物の濃度が低かったため、これらは無視した。両者には非常によい相関 がみられた。酸性成分に比べてアンモニア成分がより多く存在すると、1+3ガスとして存在する比率 が高まると考えられる。以上の結果より、全アンモニアのガス・エアロゾル分配の支配因子として、 アンモニア成分と酸性成分の濃度比が重要であることが明らかになった。 33.低温条件における全硝酸のガス・エアロゾル分配の支配因子  図3に示したように、高温条件では海塩粒子の存在量が +123ガスから粗大粒子中硝酸塩への転換 を支配していることが明らかになった。図7は、図3と同様の解析を低温条件についても行なった ものである。この場合でも両者には正の相関が認められる。このことから、気温が低い条件下でも +123ガスの一部は海塩粒子と反応して粗大粒子中の硝酸塩へ転換していることがわかる。従って、 図6.全アンモニアに対するNH3ガスの濃度比 とアンモニア成分に対する酸性成分の当量濃 度比との関係。○は甲府、+は吉田の値。実 線は甲府、破線は吉田の回帰直線(相関係数 はそれぞれ0.81、0.97)。 図7.低温条件における全硝酸に対する粗大粒 子中硝酸塩の濃度比と粗大粒子中Na+濃度と の関係。○は甲府、+は吉田の値。実線は甲府、 破線は吉田の回帰直線(相関係数はそれぞれ 0.78、0.79)。

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多くが+123ガスとして存在している気温が高い条件 下だけでなく、気温が低い条件下でも微小粒子を形成 しなかった+123ガスが存在する場合には、+123ガス は海塩粒子と反応することで粗大粒子中の硝酸塩とな る。いずれの条件下においても、海塩粒子の存在量が +123ガスから粗大粒子中硝酸塩への転換を支配してい るといえる。  しかしこのことは、微小粒子中に1+4123として硝 酸塩を生成し易い低温条件においても+123ガスが微 小粒子を生成せず存在する場合があり、気温以外に微小 粒子中硝酸塩の生成を支配する因子の存在を意味する。 先に述べたように、1+3ガスは濃度が低い条件下では 熱力学的に安定な硫酸塩を生成し易い。従って、非海 塩起源硫酸塩に比して過剰に1+3ガスが存在したとき、 +123ガスとの反応により微小粒子中に硝酸塩を生成す る傾向にある9)。よって、非海塩起源硫酸塩に対する過 剰な1+3ガスの存在量が、低温条件における全硝酸の ガス・エアロゾル分配に影響を及ぼす可能性が考えられる。  そこでこの可能性を検証するために、低温条件において1+3ガスの当量濃度から非海塩起源硫酸塩 の当量濃度を差し引いた値、すなわち非海塩起源硫酸に比する1+3ガスの過剰量と全硝酸に対する微 小粒子中硝酸塩の濃度比の関係を図8に示す。  図8から、非海塩起源硫酸に比して1+3ガスが過剰に存在するとき、微小粒子中に硝酸塩が生成 され易いことがわかる。従って低温条件では、海塩粒子の存在量に加えて、非海塩起源硫酸に比する 1+3ガスの過剰量が、ガス・エアロゾル分配を決める重要な支配因子であることが明らかになった。 4.結論  全硝酸のガス・エアロゾル分配の支配因子としては、これまでの研究では気温の影響が注目されて きた。しかし本研究より、海塩粒子の存在量、及び非海塩起源硫酸に比する1+3ガスの過剰量も重 要であることが明らかになった。一方全アンモニアのガス・エアロゾル分配の支配因子については、 +2624、+123といった1+3ガスと反応し得る酸性成分の存在量が重要であることが明らかになった。 また気温が高い条件下では、特に非海塩起源硫酸の存在量が重要であることも明らかになった。  既報の知見に本研究から得られた知見を加えることにより、大気中の全硝酸及び全アンモニアのガ ス・エアロゾル分配について、以下のようにまとめることができる。  気相中の+123ガスは、1+3ガスとの反応により粒子化し、微小粒子中に硝酸塩を生成する。また、 海塩粒子・土壌粒子などの粗大粒子との不均質反応によっても粒子化し、粗大粒子中に硝酸塩を生成 する。微小粒子中硝酸塩の生成は気温が低い条件下で進行し易く、その場合、非海塩起源硫酸に比し て1+3ガスが過剰に存在することが重要になる。1+3ガスが非海塩起源硫酸に比して欠乏した環境 では、低温条件においても微小粒子中に硝酸塩は生成されにくい。一方、気温が高い条件下では微小 粒子中硝酸塩の生成は進行しにくい。微小粒子中に硝酸塩が生成されにくく +123ガスの存在量が増 加した場合、その一部は海塩粒子との反応により粗大粒子中硝酸塩となる。この場合、海塩粒子の存 在量が粗大粒子中硝酸塩の生成の支配因子となる。これは高温条件、低温条件のいずれにおいても当 図8.低温条件における全硝酸に対する微 小粒子中硝酸塩の濃度比とNH3と微小粒 子中非海塩起源SO42-の濃度差との関係。 ○は甲府、+は吉田の値。実線は甲府、 破線は吉田の回帰直線(相関係数はそれ ぞれ0.30、0.40)。

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てはまる。すなわち、全硝酸のガス・エアロゾル分配を決める支配因子の一つは気温であり、さらに 低温条件では非海塩起源硫酸に比して1+3ガスが過剰に存在すること、また高温条件、低温条件のい ずれにおいても海塩粒子の存在量も重要である。  一方、気相中の1+3ガスは+2624、+123などの酸性成分と反応して微小粒子中にアンモニウム塩 を生成する。アンモニアのガス・エアロゾル分配を決める支配因子は大気中におけるこれら酸性成分 の存在量であり、全アンモニアに対して、これら酸性成分が多く存在するとエアロゾルになり易い。 なお、気温が高い条件下では微小粒子中に熱力学的に安定な(1+4)2624や1+4+624のみが生成され るため、非海塩起源硫酸の存在量のみが重要となる。 謝辞  山梨大学大学院医学工学総合教育部の石井勇希氏、山本裕也氏、同大学教育人間科学部の北村梨紗 氏には、試料の採取及び分析において協力を頂いた。記して謝意を表する。 引用文献 1)-:(ULVPDQ0$6XWWRQ-*DOORZD\=.OLPRQW::LQLZDUWHU+RZDFHQWXU\RIDPPRQLDV\QWKHVLVFKDQJHG WKHZRUOG1DWXUH*HRVFLHQFH1636639(2008) 2)小川利紘大気の物理化学−新しい大気環境科学入門−S59103東京堂出版(1991)

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