言語機能が文の"自然さ"の判断に与える影響 : 発達的観点からの実験的検討
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(2) 106. 林部. 英雄・雨宮. 朋子. 6)の文も7)の文も独立には自然な文であるが,. 5)の問いに対する答えとしては6)は 7)は不自然である。このような現象はく新一旧情報〉という概念を用いて説 明される。また,つぎの8)の文の場合, 自然だが,. 8)マリがナオミに人形をくれた ナオミが話者に近しい人物,例えば話者の妹であれば自然であるが,逆にナオミよりもマ リの方が,話者に近しい人物である場合には不自然である。この現象はく話者の視点)と. いう概奉によって説明される.このことは8)の文の主語の位置に一人称のの名詞を代入 してみればさらに明らかになる。. 9)*私はナオミに人形をくれた 但し,この判断には顧著な方言差があり,. 9)の文を完全に自然だと感ずる話者もいるこ. とを付記しておこう。 このように文の自然さが,その文の話された文脈や状況等の環境に依存する場合,機能 的な問題もしくは語用論的な問題といわれる。本研究の目的は文の自然さの判断に言語機 能がどのように関わりあっているかを発達的な観点を含めて検討することにある。 2.方. 法. 2-1.被駿者 方言による差が結果に与える影響を最小限にとどめるため,被験者を横浜市内在住者に 限った。そこで横浜市内の小学校児童,. 2年生89名, 3年生84名, 4年生109名, 5年生102 名, 6年生96名,合計480名を被験者とした。但し,予備的な調査の結果,文を読んで解答. させる課題なので,小学校1年生には困難と判断し夷験の対象から除いた。また,言語に 障害をもつ児童および外国で教育を受け帰国後3年以内の帰国子女も対象からは除いてあ る。また結果の比較対象のために大学生60名にも実験を行なった。 2-2.. *[)#. 本研究では1.節の終わりに述べたく話者の視点〉を中心として刺激を作成した。これ は文脈無しの一文のみで自然さの判断が可能となるもので,言語機能が自然さの判断に与 える影響のうちでも基本的なものと考えられるからである。またその中でも,話者の視点 による制約が比較的顕著であり,簡単な刺激文の作成が可能な"授受構文竹,. "受動態文”. を用いて各項目を決定した。また,刺激文は全て,ひらがなによる分かち書きとした。 具体的な刺激は,同-の出来事を表す二丈で,述語が異なるものからなっており,被験 者はどちらがより自然な文かの判断を求められる。例えば, Gl. 1.わたしは. ようこに. みかんを. あげた. 2.わたしは. ようこに. みかんを. くれた. というような姐である。人称名詞の組合せによっていくつかのパタンが作成できるが,そ のパタンを以下に示す。.
(3) 言語機能が文のA自然さ”の判断に与える影響 GI. G2. 1. 1人称ハ. 3人称ニ. 物ヲ. あげた. 2. 1人称-. 3人称土. 物ヲ. くれた. 1. 1人称ハ. 3人称ニ. 物ヲ. あげた. 2. 3人称-. 1人称ニ. 物ヲ. もらった. J. G3. G4. G5. G6. G7. 1. l人称-. 3人称ニ. 物ヲ. もらった. 2. 3人称-. 1人称ニ. 物ヲ. くれた. 1. 3人称-. 1人称ニ. 物ヲ. くれた. 2. 3人称-. 1人称ニ. 物ヲ. あげた. 1. 3人称ハ. 3人称ニ. 物ヲ. あげた. 2. 3人称-. 3人称ニ. 物ヲ. くれた. 1. 3人称-. 3人称ニ. 物ヲ. あげた. 2. 3人称-. 3人称ニ. 物ヲ. もらった. 1. 3人称ハ. 3人称ニ. 物ヲ. もらった. 2. 3人称ハ. 3人称ニ. 物ヲ. くれた.. 107. 但し,授受動詞を含む文では,組の両者が共に視点制約に適合せず不自然な文である場合 は刺激から除いてある。以下は受動態文の組である。 Pl. P2. P3. 1.. 1人称ハ. 3人称ニ. おいかけられた. 2.. 3人称ハ. 1人称ヲ. おいかけた. 1.. 1人称-. 3人称ヲ. おいかけた. 2.. 3人称ハ. 1人称ニ. おいかけられた. 1.. 3人称-. 3人称ヲ. おいかけた. 2.. 3人称-. 3人称ニ. おいかけられた. 以上の10タイプの組を3人称の名詞を変えて, お,. 3種類ずつ計30組を刺激として用いた。な. 1人称名詞は全て「わたし+または「ぼく+である。. 2-3.手練き 実験は学級ごとの集団で行なわれた。最初に担任の教師から教示があり,その後練習問. 題を行って全員が反応の仕方について理解したところで,本項目に対する革応をさせる. 本項目は,上記の刺激文の組がA4の用紙に印刷されており,被験者は組のうちのより自 然だと判断したものに○を付すことを求められる。用紙の最初の真には教示と3組の練習 問題が印刷されている。 「上の文と下の文は. 教示は以下の通りである。 同じできごとを. どちらの文の方が. ふつうだと. どちらかを選んで. ○で. あらわしています。 おもいますか?. かこみましょう。+. 但し,漢字には全てルビがふってある。また,練習問題は以下の通りである。.
(4) 108. 林部. 英雄・雨宮. 朋子. 1.あしたは. はれでした. 2.あしたは. はれでしょう. 1.あきらは. いまから. ぼくのところへ. くる. 2.あきらは. いまから. ぼくのところへ. いく. 1.みかんは. きょうこに. 2.きょうこは. たペられた たべた. みかんを. 練習問題の1題目と2題目は反応の仕方が理解できないような場合,正解を与えて○をつ けさせるが,. 3題目は正解を与えない。このあと本項目に反応させる。時間の制限は特に. しなかったが,概ね15分程度で終了している。 果 3.籍 刺激の中には一方の文が明かに不自然であるものもあるが,独立にみれば両者とも自然. であるものも多い。即ち絶対的な正答が必ずしも存在しないわけである。そこで大学生に 行なった実験結果に従って, 2文のうち50%を越える反応があった方を仮に正答として分 析を進めることにする。以下に大学生の各項目に対する正答率を掲げる。. 2-2.刺激のG 1-P3の刺激文タイプはいずれもこの表の1番,即ち正答とした文が上になるように配 置してあることに注意されたい。 表1大学生の項目別平均反応率 項目番号. Gl. G2. G3. G4. 1. 99.4. 98.3. 56.7. 90.0. 2. 0.6. 1.7. 43.3. 10.0. G5 100 0.0. G6. G7. Pl. 83.9. 95.6. 59.4. 16.1. 4.4. 40.6. P2 100 0.0. P3 70.1. 29.9. ここで決定した正答を基に以下に授受構文全体と受動態文全体の平均正答率(図1 び各項目毎の平均正答率の年齢による推移を示す(図2 4)。 図1をみると,授受構文も受動態文も年齢の上昇に伴って,正答率が順調に上がってい. ),及. -. くことが解る。また,各項目別にみてもほとんどの項目で正答率は年齢の上昇に伴って高 くなっていく。但し,いくつかの項目で小学校6年生の正答率よりも大学生の正答率が低 くなっているものがあり,これについては特別な要因を仮定しなければならないであろう。 4.考. 察. ここでは以下のような俊設に従って考察を進めることにする。但し,以下に現われる"刺 約”や様々な"原則竹は全て現在までの言語学ないしは言語心理学の知見に基づいたもの である(久野,. 1978. ; Uyeno. 文の「自然さ+を表す指標N. et. al., 1978. ;林部, 1983,1986)0 (naturalness)は,次の各要因の重みづけられた線形な加. 算によって決定されるものと考える。.
(5) 109. 言語機能が文の"自然き廿の判断に与える影響. 也. ㌔. GI. 一oo. 一oo. G乏 G. 4. 虎愛世文 .・一・廿----・一8. ,F-I _.▲受動態文. -. _Jar. -一一一. a---・・4-・-・・-EP・. ___一-A. p・・/・A''. / ..ち. \ ヽ. ノー-.・.〟. 丘. 03. .r'''. /. 50. 50. ㌔. 2. 6. 5. 4. 3. 大学生. 6. 5. 大学生. 授受構文(1人称-3人称)の各組. 図2. 図1授受構文全体と受動態文全体の平均 正答率の学年による推移。横軸は学 年。縦軸は正答率。. 4. 3. 2. に対する正答率の学年による推移。 横軸は学年,縦軸は正答率。. ○ん P皇. too. % >. G7. G. /k・・・・・ふ・・-・・.d・・. A/. /`. ′. A. ■1..1Jゝ一一. 6与. 一oo. ゝ. pI. E). P3. 6. /P /. :I-I-・---'d. /. 50. /. dI'. / d/ ′. E>・-勺-I-廿/. 50. 2. 図3. 3. 4. 5. 6. 2. **#・. 授受構文(3人称-3人称)の各組 に対する正答率の学年による推移。 横軸は学年,縦軸は正答率。. 図4. 3. ム. 5. 6. 大学生. 受動態文の各組に対する正答率の学 年による推移。横軸は学年。縦軸は 正答率。.
(6) 110. Pr. 林部. 英雄・雨宮. 朋子. 動詞の視点制約 一部の動詞には視点の置かれる位置に制約のあるものがある.例えば,授受動詞の 場合で, 「あげる+は主語の位置に視点が置かれることを要求するが, 「くれる+で は与格目的語の位置に視点が置かれなければならないo但し,受動態文においては, 受身の主掛こ視点が置かれることを要求すると促走することにする。この場合も授 受動詞と同様方言差が存在するようである。. Pt. 主題文頭原則. 主題は文頭に置かれなければならないo但し,主題がどのようなものであるかは, この原則が本実験に直接関係のないものであることもあって,ここでは議論しない ことにする。 Pv. 視点文頭原則 視点の置かれた名詞は文頭に置かなければならか-。. Ps. 起点文頭原則 物の移動を表現する動詞を含む文において,移動の起点を表す名詞は文頭に置かれ なければならない。. Pa. 行為者文頭原則 動作の行為者を表す名詞は文頭に置かれなければならない。. 即ち・各要因の重みをwr,. wt,. --,. waとし,各原則に従っている場合,. Pi-1,従って. いない場合をPi-0とすると, N-wrPr+wtPt+. --・+waPa. となるo但し・ここでは表記の簡噺ヒのために, しくは0の値をとる,即ち,. Piに重みも含ませてしまい,. Piがw.かも. Pi-w.またはPi-0とすれば,. N-Pr+Pt+--・+Pa. と書けるo発達的に考えると,ある原則の習得が始まったがまだ定着はしていないという 段階が考えられるから,. wl≧Pi≧0と考えておいてよいであろう。二丈の自然さを比較し て・より自然な方を選択させる課題を与えたとき,それぞれの文の自然さをNl, N2とすれ ば, Nl>N2であれば1の文が自然だと判断し, Nl<N2であれば2の文が自然だと判断す. ることになる。これも発達的に考えると,同一の年齢でも被験者によって各要因の習得の 度合が異なることが考えられ特定の文に対するNの値は個人によって異なることになる。 そこで当該の集団の平均のNl,. N2をそれぞれNlmean,. N2mean,また平均正答率をRで. 表し,確率水準を0.5とすると, Nlmean-N2mean-R-0.5. となるo但し,この式が成立するためには,恐らくかなり厳しくて自然ではか一仮定をつ け加えなければならないであろう。本研究では厳密なモデルを作成することが目的ではな いので,モデルの吟味は他の機会にまわすことにし,この式を用いてさらに議論を進める ことにするoまた, Nlmean, N2meanは紛れのないときには,それぞれNl, N2と書くこ とにする。 次に,各項目に用いられた文が従っている原則と従っていない原則とを考慮して各文の.
(7) 111. 言語機能が文の"自然さ”の判断に与える影響. N,及び各項目より得られるNl-N2が以下のように決定できる。 授受構文 Gl.. 1.. 1-3. あげる. Nl-Pr+Pv+Ps. 2.. 1-3. くれる. N2-. Ps. Nl-N2-Pr十Pv. G2.. 1.. 1-3. あげる. Nl-Pr+Pv+Ps. 2.. 3→1. もらう. N2-. Pv +Ps. Nl-N2-Pr G3.. 1.. 1-3. もらう. Nl-Pr+Pv. 2.. 3-1. くれる. N2-Pr. /. +Ps PvIPs. Nl-N2-. G4.. 1.. 3-1. くれる. Nl-Pr. 2.. 3-1. あげる. N2-. 十Ps Pr+Ps. Nl-N2-Pr-Pv -∫-∫-′-′-′-r-r---.---,-,-,-.-.-.-,-,-.-,-,-,-,-,-,---,-.-一-一-∫-′-■-∫-∫-∫-′一-∫-∫-∫-一-一-∫-一-∫-∫-一-∫-′-∫-∫-∫-′-′-■-■-′-∫. G5.. 1.. 3-3. あげる. Nl-Pr+Pv+Ps. 2.. 3-3. くれる. N2-Pr. +Ps Pv. Nl-N2G6.. 1.. 3-3. あげる. Nl-Pr+Pv+Ps. 2.. 3-3. もらう. N2-Pr+Pv Ps. Nl-N2-. G7.. 1.. 3-3. もらう. Nl-Pr+Pv. 2.. 3→3. くれる. N2-Pr. Ps. Nl-N2-. PvIPs. 受動態文 Pl.. 1.. 1→3. おいかけられた. Nl. 2.. 3-1. おいかけた. N2. -. Pr. +Pv. =. Pv. Nl-N2-Pr p2.. -Pa. 1.. 1-3. おいかけた. Nl-Pr+Pv+Pa. 2.. 3-1. おいかけられた. N2Nl-N2-Pr. p3.. 3-3. おいかけた. Nl-Pr十Pv+Pa. 2.. 3-3. おいかけられた. N2-Pr+Pv. これらの式を連立させて解き,. Pr,. Pv,. Ps,. Pv +Pa. 1.. Nl-N2-. + Pa. Pa. Paの値を推定することができる。但し,.
(8) 112. 林部. 英雄・雨宮. 朋子. 授受構文で1人称-. 3人称の組合せのものはPrを含むが, 3人称-3人称のものはPrを 含まないので別に扱った。また, Psの値は,連立のさせかたによって2種の推定ができる。 ここでは便宜的にPvとG2から得られた値を用いた。前述の通り,モデルが必ずしも距離 尺度を保つ構造になっていない可酸性もあるので,これらの値の絶対的比較はするべきで ないかもしれか-。高々,順序性が問題にできる程度であることに注意を要する.しかし その意味では,. 2種の方法で得られたPsの値に整合性があったことを付記しておく0 Pr. 0.5. o.5. ..4・.・・.ふ・・-・4・.・・・” A--..-・h・・+'. Pp' ′`. ′ ∫ト・-・⊂ト. ..El. ′. I ′一. A.. d' ・・. A. ・. I. ・・A・・.・・・.血、.. ・t・<:一・ h・-瓜・、_ P. T. 0. 2. 3. 4. 6. 5\. 大事生. 6. *f*. \ P. \LIY/・D. 図5. I. 授受構文(1人称-3人称)の正答 Pv, 率から推定されたPr, Psの学 年による推移。横軸は学年,縦軸は Piの値。. 図6. 授受構文(3人称-3人称)の正答 率から推定されたPv, Psの学年によ る推移。横軸は学年,縦軸はPiの値。. 0.S. P. r. ムp. a/. ○ 2. 国7. 図5. 3. S. 4. 6. 大事生. 受動態文の正答率から推定された Pr, Paの学年による推移。横軸は学 年,縦軸はPiの値。 -. 7にそれぞれ1人称を含む授受構文,. から推定されたPr,. Pv,. Ps,. 3人称のみ(c)授受構文及び受動態文の項目 Paの値の年齢による推移を示す。図5からは最終的にはPr.
(9) 113. 言語機能が文の"自然さ''の判断に与える影響. がかなり大きく,. Pv,. Psはさほど大きくないことが解る。また本来これらが負の値をとる. ことはありえないはずであるが,上述の通りモデルが吟味されたものではないので得られ た値をそのまま掲げた。PvとPsを比較すると全体としてはPvの方がPsよりも高くなっ ていることは図6からもうかがえる。図7からは,最初のうちPaが高いが徐々にPrが高 くなるように見受けられる。しかし,最終的にも受動態文のPrは授受構文のPr程高くは ならないことが解る。 Py. 図8-1仮想的なPx, 齢による変化. Py,. Pzの習得率の年. 図8-2. Ⅰ. Py, 促想的なPx, 齢による変化ⅠⅠ. Pzの習得率の年. Py. Fli. Py P1. P1. Py, 図9-1俊想的なPx, Pzが自然さの判断に Ⅰ 与える影響の年齢による変化. 図9-2. Py, 仮想的なPx, Pzが自然さの判断に 与える影響の年齢による変化ⅠⅠ. 言葉を換えると,授受構文にあっては,最終的に動詞の制約が一番強く,次いで視点文 頭原則,起点文頭原則の順になる。年齢の低い方では,視点文頭原則と起点文頭原則の優 劣が逆転している可能性もある。また受動態文にあっては,年齢の下の方では行為者文頭. 原則が優勢であるが,最終的には受身の視点制約の方が強くなる。しかし受身の視点制約 と授受動詞の視点制約とを比較すると授受動詞の制約の方がかなり強いものと見ることが できる。. 各原則の習得の時期について推測するにはもう少し低い年齢の被験者を対象として実験 をおこなわなければならないと思われるが,受動態文については低学年でPr,Paとも値が. oに近いことから,小学校期に,初め行為者文頭原則の習得が起こり,その後受身の視点 制約が習得されるとも考えられる。しかし,多くの先行研究の結果からみても(例えば,.
(10) 114. 林部. Hayasbibe,. 英雄・雨宮. 朋子. 1975)単純に行為者が文頭にある文が理解し易いという現象は低年齢の幼児期. から見られるので,さらに検討する必要があろう。ここでは習得の時期を推測する手がか りとして一つのモデルを提示するにとどめておこう。 ある原則の習得の時期が正規分布的にばらついているとすると,その原則を習得した子 供の割合は累積曲線で現わされることになる。そして,各原則の習得時期が異なるとする と,原則を独立なものとして曲線を描けば図8-1もしくは8-2のようになるであろう。曲線 の最終的な高さは直感的な解り易さのために,原則の優劣,即ち重みまでを加味したいと いう気持ちを現わしているが,論理的にはかなり無理のある図であることをお断りしてお く。さて,それらを線形に加算して,ある範囲内に納めたとすると,図9-1もしくは図9-2 のようになるであろう。この図は,ある年齢においてある原則が文の自然さの判断にどの 程度の役割を果しているかということを示す図ということになる。これが図5-7のモデ ルというわけで,条件を様々に変化させるとある程度合致させることができるであろう。 5.おわ. り に. 結果として,ここで問題にしたような文の自然さの判断は,多くの場合児童期に発達が 進み,定着して行くものであることが明らかになったものと思われる。 考察では一つのモデルを示したがこれはいわばアイデアに過ぎないものであり,実際に モデルとして機能するためには決して充分なものとはいえず,今後の検討にまたなければ ならない部分が多い。考察において指摘したものもあるが,特に文の自然さが各要因の線 形な加算によって決定されるというのがモデルの本質でありかつ最も検討の必要のあると ころであろう。おそらくはこの考え方は少々単純に過ぎて変更の要があると思われる。こ こで仮定した各要因が完全に独立であろうとは思われないし,そうなれば根本的な見直し をせまられることになろう。またこれに関連して,各原則の整理の必要もあろう。本論文 でとり上げた原則の全てが質的に同じものとは言えない。特に動詞の制約とそれ以外の原 則は異質のものである。これらを整理することが上記のモデルの適合性を高めることにも. なろう。また主題文頭原則は,かなり優勢な原則だと考えられるが,今回は全く検討の対 象としなかった。 最終的には,統語的な原則や意味的な原則との関連も考察しなければならないであろう。. それは実際上,言語学の方法革そのものを踏襲することになってしまいかねか-.言語心 理学の立場としては,それらと機能的な原則との間の境界をどこに定めるかということを 明らかにしなければならないものと思われる。いずれにしても今後の研究の課題となろう。 謝. 辞. 本研究の資料を得るにあたって,横浜市立美しが丘小学校の諸先生方の多大なご協力を 得たことに深く謝意を表する。また,実験の被験者となった児童諸君の健やかな成長をお 祈り申し上げる次第である。 献. 6.文 Hayashibe, Word. H.. order. 1975. alld particles. :. A developmental. study. in. Japanese.. Descriptive. and. Applied.
(11) 115. 言語機能が文の”自然さ”の判断に与える影響. 地主垂主!茎(ICU),8. ,. 林. 部. 英. 1-18.. 1983. 雄. 心理学研究. 文における新一旧情報の弁別に関する発達的研究 林. 部. 英. 雄. 野. 横浜国立大学教育紀要. 26,195-203.. 障. 鼓話の文法 Uyeno,. ,135-138.. 1986. 日本語における語順の決定について 久. 54(2). 大修館. T., Yamada,. Comprehension 14,237-262.. HリHayashibe, of complement. H.. and. R.. Aoki,. constructions. in. 1980. Tokyo), Japanese.旦聖些L塾些些空こ(Univ..
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