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IRUCAA@TDC : 泌尿器科学の継承と発展

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

泌尿器科学の継承と発展

Author(s)

丸茂, 健

Journal

歯科学報, 109(4): 348-349

URL

http://hdl.handle.net/10130/1661

(2)

はじめに 市川総合病院泌尿器科は筑波大学講師石川博通が 平成3年4月に助教授として,翌年の平成4年6月 には慶應義塾大学助教授畠 亮が教授として着任 し,当院泌尿器科の礎を築いた。畠 亮は優れた臨 床医かつ研究者で,平成19年5月に市川総合病院病 院長を退任して退職するまでの15年間にわたり臨 床,教育,研究および病院管理に力を注いだ。畠 亮は泌尿器科学全般に加えて,腎移植を専門とし, 昭和46年3月より米国テキサス大学に2年間留学し て帰国後,慶應義塾大学,防衛医科大学校,東京歯 科大学市川総合病院で,主に臓器移植,腫瘍免疫学 の研究などを通して,多くの後輩を指導した。 泌尿器科の継承 畠 亮は市川総合病院泌尿器科のスタッフの充実 と育成に絶えず励んだ。現在の慶應義塾大学専任講 師である中川健は腎移植を専門とするが,もう一つ の専門領域は体腔鏡手術である。中川は畠 亮の環 境づくりによって,平成4年5月に市川総合病院に 着任した当時としては,未だ泌尿器科医が取り組も うとしていない時代に,体腔鏡手術の技術習得をス タートした。平成10年1月に講師として着任した早 川邦弘は,畠 亮の指導を受けて,腎移植と血液透 析の臨床と研究を重ね,平成17年4月に藤田保健衛 生大学助教授に就任し,星長清隆教授とともに大学 の発展に力を尽くしている。平成8年10月に着任し た青柳貞一郎は平成14年12月に東京医科大学講師 に,平成20年より東京医科大学霞ヶ浦病院教授に就 任し,地域の医療に貢献している。 泌尿器科の現況 筆者は平成17年4月に市川総合病院の泌尿器科部 長として着任した。現在のスタッフは丸茂 健,石 川博通,花輪靖雅,松本真由子,萩生田純の5人で あり,泌尿器科外来(2診制/日),リプロダクショ ンセンター外来(泌尿器科担当は1診制/日),病棟 管理,透析センター,手術,X 線検査・処置を分担 して行っている。平成20年度の手術件数は悪性腫瘍 (腎,膀胱,前立腺,精巣)が134件,前立腺肥大症 42件,尿路結石症(腎,尿管,膀胱)が98件,ブラッ ドアクセス(血液透析のための血管手術)が64件,そ の他73件,合計411件であった。 泌尿器科の発展 医療機器の進歩,新たな治療薬の開発などに伴っ て,医学分野における新しい概念を取り入れていく 事は泌尿器科の発展の条件である。最近の1年間を たどれば,軟性膀胱鏡と軟性尿管鏡の採用により, 患者の負担の軽減と従来不可能であった上部尿路へ のアプローチを,またホルミウム・ヤグレーザーの 採用によって,それまで困難であった上部尿路結石 の治療を可能にした。進行腎癌の治療においては, 近年開発された分子標的薬の臨床応用をいち早く取 り入れたが,一方で前立腺癌患者のアンドロゲン遮 断療法中に発生する骨粗鬆症の早期発見と積極的な 治療は市川総合病院が日本をリードしている領域で あり,高齢化社会のすすむ市川市では重要なテーマ の一つである。 泌尿器科学が目指す低侵襲治療 1.経尿道的前立腺切除 前立腺肥大症は55歳以上の男性に発症し,排尿障 害のために患者の QOL を著しく低下させる。保存 的治療法としてα1遮断薬の経口投与が行われる。 しかし,尿道抵抗を減少させて排尿状態を改善する が,前立腺容積を縮小させることはない。α1遮断 薬が無効な症例において,開腹することなく,内視 鏡的に行われる経尿道的前立腺切除は,観血的治療 として前立腺肥大症のゴールドスタンダードであ り,当科で最も件数の多い手術の一つである(図1)。 2.経尿道的膀胱腫瘍切除 表在性膀胱癌に対して,内視鏡下に癌の切除を行

泌尿器科学の継承と発展

丸 茂

市川総合病院泌尿器科 348 ― 4 ―

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尿道括約筋 前立腺 う。膀胱癌の膀胱内への再発率は約60%と高率で, 再発予防を目的として術後に BCG の膀胱内注入治 療を行う。BCG は歴史的には結核の予防として用 いられてきた薬剤であるが,局所の抗腫瘍免疫能を 亢進させると考えられている。 3.体外衝撃波尿路結石破砕 腎結石,尿管結石に対して,体外より衝撃波を結 石に焦点を定めて発射し,結石を破砕する非観血的 治療である。皮膚より体内に入った衝撃波は結石に 到達する。衝撃波は人体の軟部組織と結石の接点で 両者のインピーダンスの差によってエネルギーを発 生し,結石を細かい粒子状に破砕する(図2)。 4.経尿道的尿路結石レーザー砕石 腎結石,尿管結石に対して,外尿道口から細径の ファイバースコープを尿管または,さらに腎まで挿 入する。内視鏡下にホルミウム・ヤグレーザー光線 を結石に照射し破砕を行う。体外衝撃波によって破 砕が困難な硬度の高い結石に対して応用される。本 法の導入によって,当科にける尿結石治療の守備範 囲が大きく広がった。 5.臓器機能温存手術 腎癌の根治的手術は歴史的には周囲の筋膜を含め て腎全体を摘出する根治的腎摘出が採用されてい た。近年は癌のサイズが4cm 以下であれば,腫瘍 を中心とした周囲の健常部分を含めて腎を部分切除 することによって,可能な限り腎機能を温存し,し かも根治的腎摘出に匹敵する治療成績が得られるこ とが明らかになった。我々の現場においても腎癌患 者の約10%が腎部分切除の適応となっている。 学生教育 歯学を習得するために,全身のホメオスターシス を司る尿路の生理と泌尿器科的疾患を学習すること は重要であり,尿路・性器の生理学,基本的泌尿器 科疾患,人工臓器の領域として慢性腎不全に対する 血液透析,加えて臓器移植の講義を行っている。泌 尿器科学に対する学生の興味は高く,講義に対する 学生の良好な評価を得ていることを自負している。 泌尿器科学の実習は6∼7人を1グループとして, 精巧に作られた模型を使用しながら,個々の学生が 実際に導尿の技術を習得する(図3)。また透析セン ターの見学を通して腎不全患者を受け持った時の, 患者管理を学ばせている。導尿の技術は,歯科口腔 外科医となる学生にとっても将来,入院患者を受け 持った時に必要となる。すなわち侵襲の大きな手術 の後に膀胱にカテーテルを留置して尿量を測定し, 患者の腎機能を監視する場で経験が役立つ。 おわりに 筆者が泌尿器科部長として残された時間は5年た らずである。将来のある有能な人材を擁している 我々のセクションであり,互いに助け合い,切磋琢 磨する精神は他科に負けていない。多くの方々のご 協力のもと,泌尿器科の発展と市川総合病院のさら なる飛躍に尽くしたい。 図1 経尿道的前立腺切除術 図2 体外衝撃波尿路結石砕石術 図3 導尿訓練用のモデル 歯科学報 Vol.109,No.4(2009) 349 ― 5 ―

参照

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