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表 年以降のジカウイルス感染症報告例 (2016 年 6 月 22 日現在 ) よって行われることが多いという そのため デング熱やチクングニア熱との鑑別診断が必要となってくる 2. デング熱とは WHOでは デング熱の流行地域と患者数はこの10 年間で拡大と増加の傾向にあることを確認

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国立感染症研究所昆虫医科学部部長 

沢辺 京子

ジカウイルス感染症(ジカ熱)

・デング熱・

チクングニア熱とはどんな感染症か?

はじめに

ジカ熱は、その症状のほとんどが比較的軽 症の発熱性疾患と思われていたが、2013年の 仏領ポリネシアでの流行に際してギラン・バ レー症候群の症例が増加し、2015年以降はブ ラジルと仏領ポリネシアで小頭症等の先天異 常を有する症例の増加が報告されたことから、 世界保健機関(WHO)は2016年2月1日に小頭症 およびその他の神経障害の集団発生に関して 「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態 (PHEIC)」を宣言した。日本では、2016年2月 15日にジカウイルス感染症(病態によりジカウ イルス病、先天性ジカウイルス感染症に分類) を感染症法において4類の全数報告疾患と定め た。その直後に、我々のブラジルへの派遣が 決定した。本年8 ~ 9月に開催されるリオデジャ ネイロオリンピック・パラリンピックの開催 に伴う邦人観光客が1万人を超えるであろうと 予想され、輸入症例の増加から国内感染例が 発生する可能性が危惧されたからである。 本稿では、ジカウイルス感染症の現状把握 の目的で、本年3月7日~ 16日の期間ブラジル 北東部の都市(レシフェ市、ジョアンペソア市) とオリンピック・パラリンピック開催都市で あるリオデジャネイロ市を訪問したので、現 地の媒介蚊情報を中心に紹介する。国内での 媒介蚊対策の参考になれば幸いである。

1.ジカウイルス感染症(ジカ熱)とは

ジカウイルスは、1947年にウガンダのジカ の森で黄熱の囮として使用されたアカゲザル から初めて分離されたが、デングウイルス、 日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルスと同じフラ ビウイルス属に属すウイルスである。2000年 後半のアフリカ、アジア諸国における流行ま での報告例は10数人に過ぎなかったが、2007 年のミクロネシア連邦ヤップ島では数百人規 模に、2013年の仏領ポリネシアでは3万人に も及ぶ大流行となった。2015年以降のブラジ ルの流行は、推定患者数が約20万人(4月7日 現在)とも報道され、その後、カリブ海諸国、 メキシコまで流行域を拡大している。日本人 の感染者は2013年に仏領ポリネシアからの帰 国者が第1例となったが、2016年7月までに合 計10例の患者が報告されている。それらの多 くは南米、オセアニアからの帰国者であった (IASR,2016)(表1)。 ジカウイルス病の主な症状はデング熱に類 似 し、 頭 痛、 関 節 痛、 皮 疹 が よ く 見 ら れ る が、多くが38.5ºC以下の微熱(デング熱は多く が38.5ºC以上)であること、眼球結膜充血など がデング熱と異なる特徴である。また、不顕 性感染率はデング熱(50 ~ 60%)よりも高く、 80%以上であるとも言われている。診断は主に 血液や尿からのウイルス遺伝子の検出や、血 液を用いた抗体検査が行われるが、確立した 実験室診断がないことから、臨床的な特徴に

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よって行われることが多いという。そのため、 デング熱やチクングニア熱との鑑別診断が必 要となってくる。

2.デング熱とは

WHOでは、デング熱の流行地域と患者数は この10年間で拡大と増加の傾向にあることを 確認し、再興感染症の中でもマラリアと共に 世界的にもっとも重要な疾患の一つとして監 視している感染症である。フラビウイルス属 に属すデングウイルスは血清型に4型があり、 初感染ではデング熱(軽症)を発症するが、2度 目に異なる血清型のウイルスに感染するとデ ング出血熱(重症)となることが多い。基本的 には、自然に回復する軽症の感染症であるが、 主な症状は高熱・発疹・全身のだるさと骨や 筋肉、関節の痛みである。デングウイルスは ネッタイシマカやヒトスジシマカ等ヤブカの 吸血によって媒介されるため、デング熱はヤ ブカが多く生息する熱帯・亜熱帯地域に広く 認められる。推定では年間約4億人がデング熱 を、約25万人がデング出血熱を発症している (そのうちの約10%が死亡)。現在、デングワク チンは一部の国で使用されているが、4型すべ てに効果的なワクチンはなく、対症療法がそ の治療の中心となる。 わが国では1942年から3年間で20万人以上と もいわれる大流行が記録されたが、それ以降 はすべて輸入症例であった。2010年以降は輸 入症例数が増加し、2013年はこれまでの最高 の249例が報告された。2013年には、8月中旬 から下旬にかけて日本国内を旅行したドイツ 人女性の国内感染が強く疑われ、翌2014年に は東京都内を中心に162名の国内感染例が発生 表1 2016年以降のジカウイルス感染症報告例(2016年6月22日現在)

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したことは記憶に新しい。詳しくは他者の項 に譲る。

3.チクングニア熱とは

チクングニア熱は、トガウイルス科アルファ ウイルス属のチクングニアウイルスによって 起こる感染症であり、1953年にタンザニアで 初めてウイルスが分離されて以来、アフリカ やアジアでその流行が報告されている。発熱・ 関節炎・発疹が3主徴である。時に出血傾向 を呈するため、デング熱と鑑別することが求 められる。デング熱と同様に、主にネッタイ シマカやヒトスジシマカ等のヤブカの吸血に よって媒介される。わが国では2006年にスリ ランカ在住の日本人女性が帰国後にチクング ニアウイルス感染が確認され、1例目の輸入症 例となった。それ以降も毎年10名を超す輸入 症例が発生しており、2015年9月までに合計67 名の患者数が報告されている。2011年に4類感 染症に指定された。 2005 ~ 2006年に仏領レユニオン島で27万 人が感染し、そのうち約250人が死亡した流行 は、ヒトスジシマカ体内でネッタイシマカよ りも約100倍も増殖するウイルスの突然変異株 (A226V)が出現し、より強毒化したことで大 規模になったと考えられた。ヒトスジシマカ によるチクングニア熱の流行は2007年にイタ リアで、2005 ~ 2006年にはインド洋島嶼国で 大きな流行が起きている。また、2011年には フランス地中海沿岸部で2例の国内感染症(デ ング熱2名)も報告された。アジア諸国、特に ヒトスジシマカしか生息しない日本へのこの 変異株のウイルスの侵入は脅威となるに違い ない。詳しくは他者の項に譲る。

4.ブラジル視察報告

1)ブラジルの概況 では、話をブラジルに戻すことにする。ブ ラジルではここ数年、ジカウイルス感染症だ けでなく、推定患者数が年間150万人を超すと もいわれるデング熱の流行が依然として続い ており、地域によっては数万人規模のチクン グニア熱も流行している。近年、黄熱ワクチ ンの接種が免除されていたサンパウロ市内で 久しぶりに黄熱の患者が発生した。このよう に、ブラジルは種々蚊媒介感染症が同時に流 行している世界でも稀有な地域である。 2014年のブラジルの人口は約2億40万人で 世界第5位の大国である。公用語はポルトガル 語、通貨はレアル。国民1人当たりのGNP(国 民総生産)は11,613米ドル(世界銀行2014年資 料)で、中所得国に分類される。しかし、人口 の1%にも満たない約200万人の富裕層の世帯 収入の合計と、人口の約半数(約1億人以上)と いわれる貧困層の世帯収入の合計がほぼ一致 するという、世界一貧富の差がある国とも言 われている。事実、都市部には先進国と同様 に高層ビルが連なり、病院では高度医療、心 臓移植等が行われるのに対し、幹線道路から 丘に向かってファヴェーラと呼ばれるスラム 街が広がり、未だに下痢・肺炎・栄養失調で 多くの子どもが命を落としているという。 2)北東部のレシフェとジョアンペソアの状況 我々がまず向かったのは、ブラジル北東部 の大都市レシフェ市である。レシフェ市はペ ルナンブコ州の州都であり、熱帯地域に分類 される。人口は約250万人、北東部ではサル ヴァドールに次ぐ第二の都市である。2016年 3月7日から約1週間、ペルナンブコ連邦大学に 附属するLIKA(ケイゾー・アサミ免疫病理学)

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研究所を訪問した。ジカウイルス感染症の現 状は深刻であり、疑い例は約20万人を超えた という(うち確定症例は約6千人)。特に2月第 1週は1万6千人を超す疑い例が記録された。 レシフェ市滞在中に隣のパライバ州の州都で あるジョアンペソア市を訪問した。人口は約 67万人。ブラジル北東部のこの両都市で小頭 症の発生が2015年に入り急増した。2010年~ 2014年の小頭症の発生は年間139名~ 175名で あったが、2015年は推定3,580名と20倍以上に 増加し、2016年4月には、小頭症疑い例が7千 人を超えた(死亡例は57)。 レシフェ市内から車で1時間も走ると赤い色 合いの風景になり、道路から丘の上までファ ヴェーラと呼ばれるスラム街が広がる。ほと んどすべての家には雨水を溜める青色のタン クが見えるのは、停電や停水が頻繁に起きる からである。ジョアンペソア市では、州立の

産科病院(Candida Vargas Institute)と障害者 トレーニングセンターを訪問し、小頭症診断 の説明と早期リハビリプログラムの現場を見 せてもらった。その後、パライバ連邦大学に 移動し構内の藪で蚊の調査を行った。ちょう ど乾季が終わり雨季に入る頃であった(図1)。 ヒトスジシマカの成虫、幼虫ともに採集され たが、ネッタイシマカは捕集できなかった。 3)リオデジャネイロの状況 3月12日午後、レシフェから空路で3時間、 リオデジャネイロに移動した。リオデジャネ イロ市の人口は600万人以上で、サンパウロ市 (1,100万人以上)に次いで大きいが、言うまで もなくブラジルで最も有名な都市である。今 夏にオリンピック・パラリンピックが開催さ れる。到着した翌日はちょうど日曜日であっ たため、ブラジルに来て少しだけ観光気分に 浸ることができた。リオデジャネイロで観光 図1 東京とブラジル2都市の月平均気温と降水量の比較

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者が必ず行く場所はコルコバードの丘である。 市内の気温は30度近く、途中は雨模様で非常 に蒸し暑かった。男性も女性もノースリーブ にショートパンツの観光客ばかりであったが、 中には虫よけ剤を片手に見物している人もい た。次に、市内にあるオリンピック施設をい くつか回った。コパカバーナにあるボート競 技場ではネッタイシマカの成虫が捕集された。 Barraにある選手村はまだ建築の最中で、工事 用具が散乱していた。事務所のフロントが一 か所だけ開いていたが、デスクの下に蚊がた くさん飛んでいると困っていた。そこではネッ タイシマカが多数捕集された。観光の最後に 行ったマラカナンスタジアムは、有名サッカー クラブがホームグラウンドとしている古いが 整然とした競技場であり、オリンピックの開 会式が行われることになっている。金網のフェ ンスの支柱が抜いてある穴には水が溜まって おり、多数の幼虫が生息していた。そこから ヒトスジシマカとネッタイシマカが採取され たが、残念なことに同じ穴に生息していたの かは確認しなかった。オリンピック会場の多 くは新たに開発された場所であるため、敷地 内の整備はまだ途中であったが、オリンピッ ク開催時には概ねきれいになるはずであり、 幼虫発生源の心配はそれほどなさそうである。 しかし、競技場との境のフェンスの外にはファ ヴェーラが迫っていた。 4)媒介蚊対策の現状 媒介蚊対策において、成虫駆除には主に有 機リン系のマラチオンの煙霧が行われていた。 日本を含めて世界で最も多く使用されている 殺虫剤はピレスロイド剤であるが、ブラジル ではピレスロイド剤に対してすでに抵抗性を 発達させた蚊が多数を占めており、ほとんど 殺虫効果が望めない状況であるという。化学 的な成虫対策では効果があまり得られないこ とから、新しい試みとして、人為的に作り出 したGM蚊(OX513A致死性遺伝子を保有する 雄蚊)を野外に放し、野外の雌蚊と交配させる ことで野外集団を縮小させる試みが行われて いる。また、共生細菌の一種であるWolbachia を保有する種類の蚊はウイルスの伝搬を阻止 することが知られているため、Wolbachia保有 の雄蚊を人為的に作出して野外の雌蚊と交配 させ、野外のヤブカの集団をWolbachia保有蚊 集団に置き換える試みも行われている。しか しながら、実施から2年ほどが経過した現在で も、大きな成果は得られていないようである。 ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、幼虫 発生源の大掃除を国を挙げて実施すると宣言 し、幼虫対策に最も力を入れているという。 IGR剤(昆虫成長制御剤)や、生物農薬として Bti剤も使用されている。しかし、小頭症の流 行地で飲料水にもIGR剤が投与された事例も多 かったようで、小頭症の発生が急増したこと とIGR使用との因果関係が強く疑われたため、 ブラジルではIGR剤の使用はあまり好まれてい ないようだ。一方、Bti剤は、日本ではユスリ カや農業害虫へは使用されているものの、医 薬品として認可されていないため蚊の幼虫駆 除剤としては使われていない。しかし、ブラ ジルをはじめ、諸外国では生物農薬として一 般的に使用されている。 このように、ブラジル政府は、様々な試み や対策を行っているものの、ジカウイルス感 染症は期待通りに減少してはいない。蚊媒介 感染症のみならず、その他多くの感染症対策、 公衆衛生上の問題を考える上で、ファヴェー ラの存在が大きいと感じた。

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5.これまでの流行におけるジカウイル

ス感染症の媒介蚊

1947年にジカの森でジカウイルスが発見 された際、媒介蚊調査も同時に行われ、囮ザ ルの檻が設置された森の樹冠部で採集された Aedes africanusからジカウイルスが分離され

た(Dick et al., 1952, Haddow, 1964)。1980年 代までのアフリカでは、1969年にナイジェリ アの森林部で捕集されたAe. luteocephalusか らジカウイルスが分離され(Lee and Moore, 1972)、さらに、流行地で優占種であったこ とから、本種に加えAe. vittatusも媒介蚊であ ると考えられた。一方、都市部では、ジカウ イルスは分離されなかったものの、同様の疫 学調査から、ネッタイシマカとヒトスジシマ カが主に関わったと推察されている。2007 ~ 2010年のガボンでのデング熱、チクングニア 熱の流行に際し、その間に捕集された蚊を後 方視野的に調査した結果、2007年に捕集され たヒトスジシマカから初めてジカウイルスが 分離された(Grand et al., 2014)。アジア地域 においては、マレーシアのネッタイシマカか らジカウイルスが分離され(Marchette et al., 1969)、1977 ~ 78年のパキスタン、インドネ シア、マレーシアでの小規模な流行にネッタ イシマカとヒトスジシマカが関与したと考え られた。 2007年 の ヤ ッ プ 島 で は、 媒 介 蚊 調 査 で 捕 集された蚊からウイルスは分離されなかった が、Ae. hensilliの個体数が多いこと、デング 熱を媒介した可能性が高いと推察されたこと から、ジカウイルスの媒介も本種によるもの と推察された(Duffy et al., 2009)。後年、Ae.

hensilliへのジカウイルス、チクングニア、デ ングウイルスの実験室感染実験が行われ、す べてのウイルスに感受性があることが確認さ れている(Ledermann et al., 2014)。2013年の 仏領ポリネシアの大流行でも捕集蚊からウイ 図2 ジカウイルス感染症流行地における媒介蚊

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ルスは分離されなかったが、ヒトの吸血嗜好 性が高く、生息数が多いネッタイシマカとAe. polynesiensisが媒介蚊であったと考えられた (Faye et al., 2013)。2015年のブラジルから始 まった、カリブ海諸国、メキシコでの流行にも、 ネッタイシマカとヒトスジシマカの両種が関 与していると推察された(Haddow et al., 2012, Gatherer & Kohl, 2015)。図2にジカウイルス 感染症の流行が報告された地域と推定された 媒介蚊をまとめた。

6.ヒトスジシマカのジカウイルス感受性

これまでにウイルスの媒介を確認、あるい は媒介蚊であると推定された蚊種はすべてヤ ブカ属であり、特に都市部においては、ネッ タイシマカとヒトスジシマカがジカウイルス 感染症の主要な媒介蚊と認識されている。し かし、最近実施された蚊へのウイルス感染実 験では、シンガポールのヒトスジシマカとネッ タイシマカはともにジカウイルスを非常によ く増殖させることができるが、それ以外の実 験では、両種ともに増殖性が低いか、あるい はネッタイシマカの方が少し高いという結果 であった。 ヒトスジシマカは、米国には1985年に日本 から東南アジア経由で輸出された古タイヤに 付着した卵が持ち込まれて定着したと考えら れており、その後、イタリアには1992年に米 国経由で侵入したと推察されている。また、 ブラジルでは1986年にリオデジャネイロとサ ンパウロで発見されており、これらも米国と 同様に日本から輸出された可能性の高いアジ ア産といえる。ヒトスジシマカのウイルス増 殖性については、さらなる情報の蓄積が望ま れるが、現時点で分かっていることは、シン ガポールに代表されるアジアのヒトスジシマ カ(北南米大陸、欧州を含む)は、おそらくジ カウイルスを増殖させることができるという ことである。このことから、国内の輸入症例 が増加すれば、2014年のデング熱国内感染例 表2 忌避剤の種類と特徴

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の発生と同様に、ジカウイルス感染症の国内 感染が発生する可能性は否定できない。今後 も継続した媒介蚊対策が望まれる。

さいごに

ジカウイルス感染症に関する情報には未だ 不明な点が多く、科学的な知見も十分ではな い。国立感染症研究所が2016年6月16日付けで 更新した「ジカウイルス感染症のリスクアセス メント第7版」では、①妊婦及び妊娠の可能性 がある人の流行地への渡航は控えるとともに、 流行地への渡航者に対して、ジカウイルス感 染症の情報提供と防蚊対策の徹底を周知する こと。②性行為感染及び母子感染のリスクを 考慮し、流行地に滞在中の男女は、症状の有 無に関わらず、性行為の際にコンドームを使 用するか、性行為を控えること。③流行地か ら入国(帰国を含む)した男女は、ジカウイル ス病の発症の有無に関わらず、最低8週間(パー トナーが妊婦の場合は妊娠期間中)は性行為の 際にコンドームを使用するか、性行為を控え ること。以上を推奨するとしている。今後、 追加される情報を注視するとともに、長袖・ 長ズボンに忌避剤を使用するなど、個人的防 御を習慣づけることも重要である。本年9月に は、高濃度含有率の忌避剤(ディート剤30%ま で、イカリジン剤15%まで)が、承認される予 定であることを追加する(表2)。

参考文献

1) 国立感染症研究所(2016)<特集>蚊媒介ウ イルス感染症:ジカウイルス感染症・チク ングニア熱・デング熱,2011年~ 2016年6月, 病原微生物検出情報(IASR),37: 119-120. 2) Dick,G.W., Kitchen, S.F., Haddow,

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3) Haddow, A. J., William, M.C., Woodall, J.P., Simpson, D.I., Goma, L.K. 1964. Twelve isolations of Zika virus from

Aedes (Stegomya) africanus (Theobald)

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参照

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