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車両感知器データによる旅行時間の推定

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Academic year: 2022

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(1)IV-394. 車両感知器データによる旅行時間の推定 室蘭工業大学大学院建設システム工学専攻 豊田工業高等専門学校環境都市工学科 豊田工業高等専門学校環境都市工学科. ○学生員 正会員 正会員. 大森 荻野 野田. 洋介 弘 宏治. (財)豊田都市交通研究所. 正会員. 山崎. 基浩. 1.研究目的 今日,我々の自動車交通への依存度は非常に高く,一方, 全国的な社会動向として IT 革命による情報化社会の形成 が急速に進んでいる.自動車交通が主体の道路交通では, 情報化社会に対応した道路交通体系の確立が求められて いる.豊田市では平成 11 年 10 月から IT 技術を利用し, 安全で快適な道路交通の実現を目指した「高度道路交通シ ステム(Intelligent Transport System:以下 ITS と称す)」 の導入実験を行っている.本研究では,この実験における 車両走行実験データを基に,一般道路における目的地まで の旅行時間の推定モデルを確立しようとするものである.. 表‑2. 光ビーコンからのアップリンクデータ. 内番号 感知番号 走行車線 受信日付 受信時刻 車両固定ID※ 1056 32 1 8/23/211/1/1/3/5 1999/9/21 8:20:59 1056 32 1 8/23/211/1/2/3/5 1999/9/21 8:31:40 ※業種/県番/事業者/営業者/ID/車種/車載. 表‑3. 区間距離( km) 8:15 8:30 9:30 9:45 10:45 1 45 1 47 1 53 0 24 0 22 旅行時間( 分・ 秒) 1-2 0.2 1 14 1 12 1 12 0 0 0 0 停止時間( 分・ 秒) 1 1 1 0 0 停止回数( 回) 表‑4 時間帯. 2.実験データ 実験データは「 ITSモデル地区実験・IN 豊田」の実験に協 力した事業主体から提供してもらったものを使用した.調査. 8. の概要について以下に示す. ① 調査日時 調査日については表‑1に示す通りであり,いずれの曜日も. ノード毎の旅行時間調査結果. 車両感知器データ. 交通量(台)占有率(%) 速度(km) 154 10 30 152 9 34 140 9 32 150 9 34. 休日やイベントが開催され,路線の各所で交通混雑が予想さ. ③ 調査対象経路 調査対象経路は都心部周辺の幹線道路を網羅するように合. れた曜日である.また,調査時間は各日午前 7 時から午後7 時までの合計 12 時間である.. 計 11 経路が設定されている.この中から,朝夕の通勤時に. 平日 休日 イベント開催 ITS導入後 平日 休日 ITS導入前. 調査日. 平成11年 9月 9日(日) 00 平成11年 9月21日(火) 7: 〜 平成11年10月24日(日) 19: 00 平成11年11月14日(日) ( 12時間) 平成11年11月16日(火). よる交通混雑や周辺都市からの流入交通量により交通流の変 動が大きい路線を 2 経路選択し旅行時間の推定を行う. 3.旅行時間の推定 3.1. ② 調査方法 調査対象路線上に設置された光ビーコンと車載機との間で 送受信された車両 ID 番号や通過時刻の情報(以下アップリ. 光ビーコンによる旅行時間の推定. 実測旅行時間(秒). 表‑1. 2500 1500 1000 500 0 0. ンクデータと称す)を収集する.アップリンクデータはバス・ タクシーといった一日中一定区間を確実に走行する商業用自 動車及び, 一般のモニター車両に取り付けたものを使用する. 本研究では,各調査日にそれぞれ異なる ID を持つ車両を 15 分間毎に随時走行させ,アップリンクデータを収集した.ま た,同時に経路中のノード(信号交差点)毎に旅行時間,停 止時間,停止回数をそれぞれ計測した.更に,車両感知器か ら時間交通量,時間平均速度,オキュパンシー( Occupancy; 以下 Ot と称する)といった地点交通情報を 15 分間毎に平均 化し収集した.表−2にはアップリンクデータを,表−3に はノード毎の各計測データを,そして表−4には地点交通デ ータである車両感知器データの一部をそれぞれ示す.. R 2 = 0.978. 2000. 図‑1. 500 1000 1500 2000 アップリンク旅行時間(秒). 2500. アップリンクと実測旅行時間の比較. 光ビーコンのアップリンクデータから算定した旅行時間の 有用性を示すため,15 分毎に走行し計測した旅行時間(以後, 実測旅行時間と称す)との比較を行う.図‑1には,調査対象 経路の比較結果の一部を示した.図より,両者の相関が非常 に高いことから,容易に旅行時間の計測ができるアップリン クデータを実測旅行時間として利用できることが分かった. 現在収集されているアップリンクデータは,特定の固定 ID 番号を持った登録車両と,VICS 対応のカーナビゲーション システムを備え,更に光ビーコン用アンテナを搭載した車両. -788-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) IV-394. からしかアップリンクデータが収集されないことが問題点で. 3.3. ある.その為,光ビーコンが設置された特定の区間でした実 測旅行時間は計測できない.. 旅行時間の推定には前節の方法で得た速度を用いて,図‑ 4より算定する.調査対象経路中の始点から終点までの旅行. そこで,本研究では個々の車両に搭載されている車載機の. 時間は,区間毎に算定した流行時間を累計することで得られ. 有無に関係なく,常時交通情報を収集できる車両感知器デー タを用いて旅行時間の推定を行った.. る.また,本研究では前節で論じた方法を基に,推定モデル を4つ定めた.各想定モデルについては表-5に示す.. 3.2. 車両感知器データによる旅行時間の推定. 旅行時間は,交通流の変化に大きく支配されるものである. その為,路線上の交通量,交通密度,平均速度といった巨視 的な状態量を把握する必要がある.本研究では,車両感知器 から収集した速度と Ot についての関係を見出し,旅行時間 の推定モデルを検討する. 第一に,線形近似と多項式近似による回帰分析 をそれぞれ. 推定方法. 区間距離 (感知器勢力範囲) 区間速度 (時間平均速度). L1. L2. Ln. V1. V2. Vn. V1. V2. T1 =. 区間旅行時間. Tn =. T2 = L2. L1. Ln. L T =. 推定時間 (推定旅行時間). 行った.図‑2には,調査対象経路中のある区間の車両感知器 から収集した結果の一部を示したが,両者の間に非常に高い. 図‑4. 相関が成立することが分かる.従って,このような路線では. 表‑5. 速度を Otの関数として定義し旅行時間の推定を行う. なお, 用いる回帰式はモデルを簡略化する為に線形近似による線形. Ti = i=1. Vn. i=1. i. Vi. 旅行時間の推定方法. タイプ別旅行時間推定モデル. モ デ ル N o .. モ デ ル 名 称. 適 用 モ デ ル. 第Ⅰモデル. 終日型. 関数モデル. 回帰式を用いる.. 第Ⅱモデル. 昼夜型. 関数モデル. 第Ⅲモデル. 昼型. 関数モデル. ここで,図の凡例中の「昼間」は調査時間でもある7時か ら 19 時とし, 「夜間」を 19 時から 24 時,そして「早朝」を. 第Ⅳモデル. 昼型. 関数・平均速度モデル. 速度 (km/h/15min). 24 時から7時までとしている.. 4.旅行時間の推定結果とまとめ これまで論じた速度と Ot と速度の関係から,表‑5で定め たモデルより実際に推定した旅行時間の推定結果の一部を図. 60 昼間. 夜間. 早朝. ‑5に示した.なお,推定モデルの有用性を知る為に実測旅行. 40. 時間を用いて,次式に示す相対誤差からその検討を行った.. 線形式 ;R2 = 0.8593 多項式 ;R2 = 0.9151. 推定誤差 =. 20. 推定旅行時間 − 実測旅行時間 × 実測旅行時間. 50. 0. 20. 図‑2. 40. Ot (%). 60. 相対度数(%). 0 80. 速度と Ot の相関関係. 100(%). 第Ⅰモデル 第Ⅱモデル 第Ⅲモデル 第Ⅳモデル. 40 30 20 10 0 -60. 一方,図‑2とは異なり一日の交通量も少なく,速度と Ot の変化も小さい区間があった. 図‑3には,その一例を示した.. -40. 図‑5. -20 0 20 推定誤差(%). 40. 60. 旅行時間推定結果. このような区間では,早朝の時間帯に多少の速度変化が見. 図より,関数モデルと平均速度モデルを組み合わせた第Ⅳ. られるものの,本研究では,その区間での規制速度を用いて 旅行時間の推定を行うものとした.. モデルが他のモデルに比較して旅行時間の推定誤差が小さく なった.また,どの推定モデルにも共通する事は,実測旅行. 速度 (km/h/15min). 時間に対して 10%から 20%程度「短い」旅行時間が推定さ 60 昼間. 夜間. れた.推定した経路では,調査時間帯の実測旅行時間は約15 分から 20 分程度となっていることから,約 3 分から 4 分程. 早朝. 40. 度の推定誤差が生じる.. 20. 今後の課題としては,旅行時間に影響を与える信号停止条 件を組み込み,推定誤差が最小となるような推定モデルの構 築が必要であろう.. 0. 謝辞 0. 図‑3. 10. 20. 30. 40 50 Ot(%). 60. 70. 80. 本研究を行うにあたり,資料提供等でお世話となった愛知県警交 通管制課,豊田市役所総合交通対策課に感謝する次第です.. 終日速度と Ot の変化が少ない区間. -789-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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