博 士 ( 工 学 ) 野 尻 芳 郎 学 位 論 文 題 名
静止,走行時の車両重量測定法に関する研究
学位論文内容の要旨
交通手 段であ る自 動車・ 貨車, 航空機 の重 量測定 は運行 上の安 全性を 保持 するため機能の低下 を防ぐ 目的で なされ てい る。貨 物自動 車の過 積載に よる 操舵性 とブレ ーキ性 能の低下や貨車の偏 積載に よる競 合脱線 の防 止,航 空機の 離陸前 の重心 位置 確認の 上から 必要不 可欠である。貨物自 動車に よる輸 送は, 鉄道 輸送に 比ベ, 直接, 産地か ら消 費地に 流通さ せる効 果的な輸送手段であ り,経 済発展 に大き な貢 献をし てきた 。それ にとも なっ て大容 量,高 速化, 長距離輸送へと進化 するに っれて 道路を 通行 する大 型貨物 自動車 数が飛 躍的 に増大 してい る。こ れらの車両のなかに 過積載 車が混 入して おり ,その 通行に よって 道路, 橋梁 の損傷 や,自 然,生 活環境破壊を引き起 こし て い る 。 道路 舗 装 の 磨耗 はトラ ックの 輪重が2倍 になれ ばその4乗 で促進 する といわ れ同時 に騒音 ,排気 ガス, 路盤 振動に よって 環境, 社会問 題と なって いる。 しかし ,物流の利便性に大 きな効 果のあ る自動 車輸 送にっ いて, 道路公 共施設 ,環 境保全 との調 和をは かるため道路法ては 通行 車 両 の 牽 由重 を10ト ン以 下 , 総 重 量で20ト ン 以下 と 車 両 重 量の 上 限が 定めら れてい る。
欧米に おいて も, 各国や 各州が 陸路で 結ば れてお り,自 国籍以 外の過 積載 車によって道路の損 傷が急 速に進 行する ため ,走行 中の過 積載車 を不特 定多 数の車 両の中 から車 両重量を計測発見し て,排 除する 方法の シス テムや ,運転 車自身 が法規 を遵 守し, 自主的 に積載 重量計測によって過 積載を 防止す る装置 (自 重計) の開発,広域にわたって通行している過積載車の重量を計沮lJする ために ,定位 置に据 付け られた トラッ ク秤量 機にか わっ て移動 可能な 軽量の 重量測定装置で道路 上で軸 重30トン 程度 の計測 法が必 要にな った 。
本 論 文 は ,6章38節か ら 構成 されて いる。 第1章は緒 論であ り, 本研究 の目的 と意義 を述 べ,
さらに ,各章 の内容 を具 体的に 説明し ている 。
第2章 では, 車両に 取付 けた計 測器で ,その 車両 に積載 した貨 物重量 を車軸 に取 付けた ひずみ ゲージ でセン シング し, 測定す る方法 を述べ ている 。自 車に取 付けた 計測器 による積載重量の測 定法の 範疇で は,ダ ンプ トラッ クの荷 台昇降 用の油 圧ジ ャッキ 圧カが 積載重 量に比例して上昇す るので ,その 圧カか ら測 定する 方法が ある。 この測 定法 で倣ダ ンプ車 のみに 可能であって一般の
貨 物自動 車には 使用 できな い。貨 物自動 車で は試験 的に, シャー シスプ リン グのたわみが積載重 量 に比例 するの で, たわみ をしゅ う動抵抗型ポテンショメ一夕の電気信号に変換して沮lJ定するこ と が行わ れたが ,シ ャーシ スプル ングの 板間 摩擦の ため荷 重の増 減でヒ ステ リシスが大きく発生 し ,荷重 誤差が 大き く実用 にはい たって いな い。本 研究で は,車 両の一 部で ある駆動軸のデファ レ ンシャ ルハウ ジン グ側板 のひず みが積 載荷 重に比 例する ことに 着目し ,ひ ずみゲージによって 電 気信号 に変換 し, 測定す るトラ ック自 重計 を提案 した。 ひずみ ゲージ がト ラック整備工場で容 易 に取付 けられ るよ うに考 案され ,厳し い車 軸周囲 の雰囲 気でも 十分な 耐久 性をもつ構造にし,
基 準積載 重量を 負荷 して測 定精度 を調査 した 。さら に,営 業車両 を用い て10万kmまで走行し実用 上 での測 定精度 を評 価して いるト ラック の構 造部材 である 車軸を 用い, 外部 から特定の検出器を 装 着する 必要が なく コスト が安価 で,一 般の 貨物自 動車に 使用で き,従 来の ダンプトラックのみ で の重量 測定を 大幅 に拡大 してい る。
第3章は, 可搬型 車両重 量計 測装置 の開発 研究に っいて 述べ ている 。主と して広 域に わたっ て 一 般道路 を通行 して いる過 積載車 両の重量損lJ定を,軽量な検出器を道路に敷いてその上に車輪を 載 せて測 定し, 警宮 による 過積載 車取締 りに 利用し ている 。車軸 ごとに 計量 されるため,測定時 の 車両の 傾斜は 測定 誤差を 招くの で,荷重検出器の高さを30mmにして,かつ,輪荷重15tfが載り,
急 ブレー キをか けて も破損 しない 構造を もつ 荷重検 出器を 開発し た。指 示・ 記録装置には実測重 量 ,重量 超過率 を印 字記録 できる ように ,自 動演算 機能を もたせ ,使用 者の 誤操作や,計算間違 い を 防 止 し てい る 。 こ の 装置 を 道 路 上 に敷 い て2軸車 ,3軸車,4軸 車で基 準軸重 を負 荷して 測 定 誤差を 求めた 。現 在まで は,幹 線道路 の定 位置に トラッ ク秤量 機を設 置し ,その位置まで警官 が 過積載 車を誘 導し て計量 してい たが,設置台数が少なく測定できる過積載車は極く僅かであり,
ま た,そ の位置 を避 けて通 行する 過積載 車が 多く見 受けら れた。 広域に わた って通行する車両の 重 量測定 には, 軸重 が約30tfまで計 量可能 で,移 動でき る測 定装置 が必要 になり本装置により大 き な効果 を持つ 。
第4章 で は , 走行 中 の 車 両 重 量測 定 (WIM: Weighing in Motion) の 研 究 に っい て 述 べ て い る。こ の目的 は道 路を通 行中の 多数の 車両 のなか から, 道路法 に規定 され ている軸重値に対し て 超過し ている 過積 載車の 軸重を 測定し ,発 見する ために 用いる もので ある 。走行時の車両重量 は 車軸が 路面に 加え る軸カ によっ て測定される。車両が定速度で走行しているときの,並進運動,
ピ ッチン グ運動 の場 合にっ いて路 面に加 える 軸カの 理論式 を求め ,路面 舗装 内に設置した軸重検 出 器によ って走 行中 の軸重 を実測 し,同 時に ,車両 のばね 上加速 度を測 定し て,質量との積(変 動 軸重) を求め ,そ の値に 静止軸 重を加 えた ものが 理論値 に一致 するこ とを 実験によって確かめ
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た。走 行時の 変動軸 重を少 なく して, 静止荷 重に近 い値 で得る ために ,多く の道路に軸重検出器 を設 置 し , そ の上 を 軸 重 が 約10tfで2,3,4軸車 ,およ び, 軸間距 離の異 なるト ラッ クを用 い て通過 させ, 走行中 の軸重 と, 同時に,ばね上加速度を測定して相関を調査した。開発した損lJ定 方法で ,変動 軸重を 土l tf以 内にす るた めの道 路側の 条件車 両の特 性, 積載重量をばね上質量加 速度で 評価し ている 。走行 時の 車両重 量測定 はわが 国に おいて は,実 用に供 されたのは本研究に よるも のが最 初であ り,海 外で も,まだ実用段階にいたっていない。この開発研究による重量損lJ 定法は 高速道 路を通 行する 過積 載車の 軸重を 料金所 入車線でiIJ定し,発見するシステムとして確 立され た。
第5章 では 実 用 化 し たWIMシ ス テム の 開 発 研 究を 述 べ て い る。 本 測 定装 置の軸 重検 出器を 舗 装厚さ の範囲 で設置 可能に し, 耐久性 にっい ては実 際の 通過車 両数と 比較し て十分であることを 検討し た。ま た,測 定信号 の演 算処理 法を改 良して 測定 精度の 向上を はかっ た。本装置は高速道 路の入 車線で 料金所 の手前 に軸 重検出 器を路 面に設 置し ,車輪 がこの 上を通 過する瞬間に軸重を 計測す る。規 定値以 上の軸 重で あれば ,直ち に演算 処理 し,そ の結果 を運転 者に通告して退出さ せる。 同時に 測定結 果をデ ー夕 処理し て,道 路補修 の規 模や期 間を決 める情 報とする。軸重計測 装置の 軸重信 号を撮 影装置 に転 送して ,過積 載車の 車両 番号が 合まれ ている 車両前部を写真撮影 する軸 重計測 システムも完成し,主に,部市圏の高速道路に用いられる。この計沮I亅システムを道 路管理 者は各 インタ ーチェ ンジ の料金 所に設 置して ,通 行中に 車両の 軸重計 測を行うことに使用 し, 日本に おけ る高速 道路の 拡大に 伴って ,約900台 が使用 され, 現在も ,年 間約60台 が各道 路 公団, 都道府 県,連 絡橋公 団で 設置さ れてい る。
第6章は ,本研 究を 総括し た結論 であり ,各 章で得 られた 成果を 要約し ,本 研究を 取りま とめ ている 。
学位論文審査の要旨
自動 車など 車両の 重量 測定は ,車両 構造上 ,運 行上の 安全性 の保持 のため極めて重要視されて いる 。特に 近年, 貨物自 動車 による 輸送が ,大容 量,高 速, 長距離 化するにっれて,道路を通行 する 大型貨 物自動 車数は 飛躍 的に増 大して いる。 これら の車 両のな かに混入している過積載車に よる 道路, 橋梁の 損傷や 自然 ,生活 環境破 壊の回 避,な らび に過積 載による操舵性とブレーキ性 能 の 低 下 に よ る 事 故 発 生 の 防 止 の た め に , 車 両 重 量 測 定 法 の 確 立 が 急 務 とさ れ て い る 。 本論 文は, 静止, 走行 時にお ける車 両重量 測定 法の開 発・実 用化を 目的として行った研究結果 をま とめた もので あり,6章38節か ら構成 されて いる。
第1章 倣 緒 論で あ り , 本 研究 の 目 的 と 意 義を 述 ベ , さ らに , 各 章 の 概要 を 説 明 し てい る 。 第2章で は,車 両の一 部であ る駆 動軸の デファ レンシ ャル ハウジ ング側 板に生 じるひ ずみ が積 載荷 重に比 例する ことに 着目 し,ひ ずみゲ ージ応 用セン サー によっ て電気信号に変換し測定する トラ ック自 重計を 提案し てい る。セ ンサー が卜ラ ック整 備工 場で容 易に取付けられるように考案 し, 厳しい 車軸周 囲の状 況で も十分な耐久性をもつ構造であり,基準積載重量を負荷して損lJ定精 度を 調査し ている 。さら に, 長距離 走行に より実 用上の 測定 精度評 価を行って,重量測定の一方 法を 確立し ている 。
第3章は ,可搬 型車両 重量計 測装 置の開 発研究 にっい て述 べてい る。主 として 広域に わた って 一般 道路を 通行し ている 過積 載車両 の重量 を,軽 量な検 出器 を道路 に敷いてその上に車輪を載せ て測 定する もので ある。 測定 時に車両の傾斜があると沮lJ定誤差が生ずるので,荷重検出器の高さ を30mmに して ,かっ ,最大15トン の輪荷 重に耐 え,そ の上で 車両 に急制 動をかけても破損しない 構造 をもつ 荷重検 出器を 開発 してい る。指 示・記 録装置 に自 動演算 機能をもたせ実測重量,重量 超過 率を印 字記録 できる よう にした ため, 広域に わたっ て通 行する 車両に対する移動可能な重量 測定 装置と して大 きな効 果を あげて いる。
第4章 で は , 走 行 時 の 車 両 重量 測 定 (WIM;Weighing in Motion) の 研 究 に っい て 述 べ て いる 。走行 時の車 両重量 は車 軸が路 面に加 える軸 カによ って 測定さ れる。定速度走行時の車両の
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彦 好
元 次
忠
隆
良
内
飼
田
塲
金 鵜
山 大
授
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教
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査
査
査
査
主
副
副
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並 進運動 ,ピッ チング 運動 の場合 にっい て路面 に加 える軸 カの理 論式を 導き,走行時の軸重が静 止 軸重と 変動軸 重(質 量と 加速度 の積) の和で ある ことを 示し, 一方, 舗装路面内に設置した軸 重 検出器 によっ て走行 時の 軸重と 車両の ばね上 加速 度を測 定して 変動荷 重を求めるとともに,実 測 値から も確か めてい る。 多くの 道路に 軸重検 出器 を設置 し,そ の上を 各種のトラックを通過さ せ ,走行 中の軸 重と同 時に ばね上 加速度 を測定 し, 変動軸 重の大 きさが 走行速度と路面状態によ り 規制で きるこ とを見 出し ,実用 化の基 礎的問 題を 解決し ている 。
第5章 で は , 実 用 化し たWIMシ ス テ ム の 開発 研 究 を 述 べ てい る 。舗 装厚さ の範 囲で路 面に設 置 可能な 薄型軸 重検出 器を もつ走 行車両 重量計 を新 たに開 発して いる。 耐久性にっいては実際の 通 過車両 数と比 較して 十分 であることを確認し,また,損lJ定信号の演算処理法を改良して測定精 度 の向上 を計っ ている 。本 装置は ,高速 道路の 入車 線で料 金所の 手前路 面に設置した軸重検出器 の 上を, 車輪が 通過す る瞬 間に軸 重を測 定,直 ちに 演算処 理し規 定値以 上の軸重であれば,その 結 果を運 転者に 通告し て退 出させ るとと もに,iIJ定結果をデー夕処理して道路補修の規模や期間 を 決める 情報と するも ので ある。 さらに ,軸重 計測 装置の 軸重信 号を撮 影装置に転送して,過積 載 車の車 両番号 が含ま れて いる車 両前部 を写真 撮影 する軸 重計測 システ ムも完成し,わが国にお い て最初 の実用 化に成 功し ている 。
第6章 は,本 研究を 総括 した結 論であ り,各 章で得 られ た成果 を要約 し,本 研究 を取り まとめ て いる。
こ れを要 する に,本 論文は ,従来 困難と され ,また ,精度 上問題 があった静止,走行時の車両 重 量測定 法に関し,実用上,多くの新知見を与えており,車両工学および計illl]工学上寄与すると こ ろ 大 で あ る 。 よ っ て, 著 者 は 博 士 (工 学 ) の 学 位を 授 与 さ れ る資 格 あ る も のと 認 め る 。
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