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Taro-Q&A災害時の法律実務ハン

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Academic year: 2021

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Q&A災害時の法律実務ハンドブック(平成

18 年発行)

弊社では、関東弁護士会連合会編集にて「Q&A 災害時の法律実務ハンドブック」を平成 18 年 5 に発行いたしましたが、このたびの東日本大震災復興の一助として本書の改訂を決定いたしまし た。関東弁護士会連合会編集にて本年 6 月頃の発行を予定しております。 なお、初版については在庫がございませんので、参考として平成 18 年の内容をテキストデータ でご覧いただけるようにいたしました。お役立ていただければ幸いです。 10 平成 23 年3月 25 日 新日本法規出版株式会社 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 )

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目次

目次 2 は し が き 8 第1章 災害対策関係法 9 5 ……… 1 被災者生活再建支援法 9 Q1 災害時に適用される法律 9 Q2 被災者生活再建支援法 11 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い 13 ……… 2 災害復興基本法 19 10 Q4 災害復興に関する基本法 19 Q5 災害復興基本法に盛り込むべき内容 20 第2章 建物と境界に関する問題 21 ……… 1 土砂崩れと境界 21 Q6 土砂崩れにより隣地との境界が分からなくなった場合 21 15 Q7 震災により周辺の土地にゆがみが生じた場合 23 ……… 2 建物、施設の倒壊 24 Q8 震災によりブロック塀が倒れ、隣家を壊した場合の責任 24 Q9 震災により倒れたブロック塀に手抜き工事の疑いがある場合 26 Q 10 震災のため倒れた塀を新たに建て直す場合 28 20 ……… 3 倒壊建物の解体 30 Q 11 震災後の解体工事が遅れているとき 30 Q 12 震災後の修繕工事に不満がある場合 31 Q 13 震災前からの工事が震災の影響を受けた場合 33 ……… 4 マンションの修理と建替え 34 25 Q 15 被災マンションの修繕、小規模滅失の復旧 36 Q 16 大規模滅失とその復旧 38 Q 17 被災マンションの建替え決議の手続 40 Q 18 マンションの建替え不参加者に対する買取請求 42 Q 19 マンション建替えの実行手続 44 30 Q 20 マンションの建替えと抵当権などの取扱い 46 Q 21 団地型マンションの損壊、一部滅失の問題点 48 Q 22 団地型マンションの建替え手続 50 Q 23 全部滅失の場合のマンションの再建手続 52 Q 24 耐震強度偽装事件について 54 35 Q 25 耐震強度の偽装があった場合の紛争解決 56 Q 26 耐震強度の偽装があった場合の責任追及 58 ……… 5 建物の瑕疵 60 Q 27 震災により購入した建物の壁に亀裂が入った場合の責任追及 60 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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3/280 Q 28 震災により建て替えた建物が傾いてしまった場合の責任追及 62 Q 29 平成 12 年4月1日以降に契約した建物の瑕疵担保規定の特例(住宅品質 確保促進法) 64 Q 30 瑕疵担保責任を追及するための「瑕疵」 66 5 Q 31 建築紛争の解決手段 68 第3章 借地借家に関する問題 70 ……… 1 建物が滅失した場合の借地権 70 Q 32 借地上の建物が地震で全壊した場合の借地権 70 Q 33 借地上の建物が地震で全壊した場合の建物の再築 71 10 Q 34 借地上に再築した建物の借地期間 74 Q 35 地震で一部損壊した借地上の建物の修理 76 Q 36 借地上の建物が地震で全壊した場合の借地権の対抗力 78 Q 37 借地上の建物が地震で全壊した場合の建物に設定された抵当権 80 Q 37 借地上の建物が地震で全壊した場合の建物に設定された抵当権 81 15 Q 39 借地上の建物が地震で全壊した場合の地代の減額 82 Q 40 地震で損壊した借地の復旧工事の負担者 83 ……… 2 建物が滅失した場合の借家権 84 Q 41 震災で借家が滅失した場合の賃貸借契約 84 Q 42 避難勧告が出て借家に住めない場合の家賃の支払 86 20 Q 43 震災で借家が損壊し、家主から退去を求められた場合 87 Q 44 震災で借家が損壊した場合の修理要求 89 Q 45 震災で借家が損壊し、家主から修理中の一時退去を求められた場合 90 Q 46 震災で借家が損壊し、修理中の仮住まい等の費用 91 Q 47 震災で借家が損壊したときは修繕する旨の特約がある場合 92 25 Q 48 居住不能となったときは敷金を返還しない旨の特約がある場合 93 ……… 3 罹災都市借地借家臨時処理法 94 Q 49 罹災都市法の制定経緯 94 Q 50 罹災都市法による借地権、借家権の保護 95 Q 51 地震で建物が滅失した場合の借地人の保護 96 30 Q 52 震災時借地権の残存期間が短い場合の借地人の保護 97 Q 53 建物が滅失した状態での借地権の譲渡と土地所有者の承諾 98 Q 54 土地所有者からの催告による既存借地権の消滅 99 Q 55 罹災都市法上の借家人の保護 100 Q 56 土地所有者に対する借地権設定の申出 101 35 Q 57 借地権取得の申出権者とその相手方 102 Q 58 敷金の返還を受けたときの借地権取得 103 Q 59 優先借地権の申出 105 Q 60 優先借地権の申出の要件 106 Q 61 優先借地権を土地所有者が拒絶できる場合 107 40 Q 62 優先借地権の取得時期 108 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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Q 63 優先借地権の権利内容 109 Q 64 優先借地権と法定地上権の関係 110 Q 65 借地権譲渡申出権の成立要件 111 Q 66 罹災都市法3条の借地権の譲渡が認められた場合の借地条件 112 5 Q 67 土地所有者による優先借地権の消滅請求 113 Q 68 優先借地権の消滅 114 Q 69 複数の借家人がいる場合の優先借地権の範囲 115 Q 70 複数の借家人間における優先借地権取得の優先関係 116 Q 71 優先借地権が競合する場合の裁判所による割当て 118 10 Q 72 優先借家権取得の要件 119 Q 73 優先借家権者に対する建築主からの催告 121 Q 74 中高層建物が再築された場合の借家申出 122 Q 75 複数の優先借家権申出があった場合における優先借家権と他の借家権と の関係 123 15 Q 76 裁判所への申立て方法 125 第4章 財産、保険、生活に関する問題 128 ……… 1 財産管理、相続 128 Q 77 行方不明者の財産管理 128 Q 78 行方不明の場合の相続 129 20 Q 79 死亡者の財産管理 130 Q 80 死亡の先後が分かる場合の相続 131 Q 81 同時死亡した場合の相続 133 Q 82 人身傷害に対する損害賠償 135 Q 83 震災で権利証を消失してしまった場合 138 25 Q 84 震災で登記識別情報が分からなくなってしまった場合 140 ……… 2 生命保険 142 Q 85 生命保険の仕組みと保険証券の紛失 142 Q 86 保険金の請求手続 144 Q 87 保険金の受取人が死亡した場合 146 30 Q 88 保険料が支払えない場合 148 ……… 3 損害保険 150 Q 89 地震保険と火災保険の関係 150 Q 90 地震保険の対象 151 Q 91 地震保険で支払われる保険金 152 35 Q 92 地震保険の保険金額 154 Q 93 全損・半損・一部損の判断 155 Q 94 同一敷地内の母屋と物置を対象とした地震保険契約 157 Q 95 地震保険の保険金を受け取る方法 158 Q 96 地震保険の保険金受取り後の保険契約 159 40 Q 97 マンションの所有者が結ぶ地震保険契約 160 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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5/280 Q 98 警戒宣言発令後の地震保険加入 161 Q 99 罹災証明、被災建築物応急危険度判定 162 ……… 4 住宅ローン 163 Q 100 既存住宅ローンの金利の減免、支払猶予 163 5 Q 101 震災により倒壊した場合の抵当権、住宅ローンの期限の利益の喪失等 164 Q 102 住宅の再建、補修のための公助制度、共助制度 165 Q 103 住宅の再建のための新規融資等 167 ……… 5 建物の修理等に関するトラブル 169 10 Q 104 震災後に修理業者と法外な値段の契約を結んでしまった場合(訪問販売と クーリング・オフ) 169 Q 105 震災後の屋根瓦補修工事に関するトラブルと注意点 171 Q 106 震災後に頼んでもいない商品が送られてきた場合(ネガティブ・オプショ ン、送付け商法) 173 15 Q 107 震災後に必要のない浄水器を購入してしまった場合(点検商法) 175 Q 108 高齢者を狙った震災後の悪徳商法 177 第5章 営業に関する問題 179 ……… 1 金融取引 179 Q 109 地震時の手形交換所の特例と最終処理 179 20 Q 110 手形決済ができない場合 181 Q 111 通帳、カードの紛失 184 Q 112 小切手の発行と銀行の営業停止 186 Q 113 銀行の営業停止 187 Q 114 震災時の手形の支払呈示 189 25 Q 115 手形・手形帳の行方不明 190 ……… 2 商取引 192 Q 116 リース物件の滅失 192 Q 117 株券の紛失 193 Q 118 ITインフラの破壊の影響 194 30 ……… 3 震災に起因する倒産 196 Q 119 被災により債務の返済が困難になった場合① 196 Q 120 被災により債務の返済が困難になった場合② 198 第6章 雇用に関する問題 202 Q 121 震災を理由とした採用内定の取消し 202 35 Q 122 震災を理由とした労働者の欠勤 203 Q 123 震災を原因とした欠勤による労働者に対する不利益処分 204 Q 124 震災でケガをした労働者が休職扱いになった場合 205 Q 125 震災のため給与の支払が困難な場合 206 Q 126 震災と給料支払の前倒し 207 40 Q 127 震災のため時間外労働や休日出勤を命じたい場合 208 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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Q 128 一時帰休(レイオフ)を命じられた場合 209 Q 129 震災による会社の資金繰りが悪化した場合の労働者の解雇 210 Q 130 震災による会社の倒産した場合の労働者の解雇 211 Q 131 業務中に被災しケガをした場合 212 5 Q 132 通勤中に被災した場合 213 Q 133 通勤中に被災し、救護活動中にケガをした場合 214 Q 134 通勤中ないし業務中に被災し、労災保険の給付を受けられる場合の給付 内容 215 第7章 税金に関する問題 216 10 Q 135 被災者に対する租税の減免措置① 216 Q 136 被災者に対する租税の減免措置② 219 Q 137 被災者に対する租税の緩和措置 221 第8章 環境に関する問題 224 Q 139 工場等から有害物質が流出した場合 224 15 第9章 支援を必要とする人に関する問題 229 ……… 1 高齢者、障害者への支援 229 Q 141 地域防災計画 229 Q 142 地域防災計画における災害時要援護者への配慮 231 Q 143 要援護者の個人情報の第三者提供 233 20 Q 144 倒壊した有料老人ホームからの入居保証金の返還 235 Q 145 高齢者円滑入居賃貸住宅に登録した住宅の家賃債務保証制度 238 Q 146 避難先での介護保険の利用 240 Q 147 年金担保貸付、災害支援制度 242 Q 148 災害時要援護者への支援 245 25 Q 149 災害時要援護者に対する避難情報 247 Q 150 災害時要援護者の把握 249 Q 151 避難所における災害時要援護者支援 251 ……… 2 外国人への支援 253 Q 152 震災で負傷し、家族による長期看護が必要になった場合 253 30 Q 153 震災によるパスポートの紛失 254 Q 154 震災により在留期間の更新期限を徒過した場合 255 Q 155 留学生に稼働する必要が生じた場合 256 Q 156 震災により帰国する場合の支援 257 Q 157 震災後のオーバーステイ 258 35 Q 158 震災により解雇された場合の雇用保険給付 259 Q 159 在留資格がないときの外国人の生活保護 260 Q 160 震災により負傷し治療を受けた場合 262 Q 161 震災により本人または親族が死傷した場合 263 Q 162 震災により住居が消失してしまった場合 264 40 Q 163 震災に伴う義捐金の受給 265 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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7/280 Q 164 在留資格がない場合の相談先 266 Q 165 日本語が分からないときの通訳の依頼 267 Q 166 震災時における外国人が受ける不利益 268 Q 167 震災時における外国人の安全確保 269 5 ……… 3 子どもに対する支援 270 Q 168 被災時の子どもの引渡し 270 Q 169 震災後の休学、転入学などの取扱い 271 Q 170 震災により両親を失った場合 273 第 10 章 弁護士等の役割 275 10 ……… 1 日本弁護士連合会および関東弁護士会連合会の施策 275 Q 171 日本弁護士連合会および関東弁護士会連合会の施策 275 ……… 2 弁護士、まちづくり支援機構の役割 277 Q 172 阪神・淡路まちづくり支援機構 277 Q 173 発災前のまちづくり支援機構の設立 278 15 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 目次

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は し が き

本書は、関東大震災から 83 年、阪神・淡路大震災から 11 年、新潟県中越地震から2年経過し た現在、関東弁護士会連合会管内である東京に万一直下型大地震が起こった場合、弁護士が 5 その後に生ずる法律問題に対応する際にご利用いただくことを想定して作成しました。 東京直下型大地震は、高い確率で発生することが予測されています。東京は、関東大震災時に 比べ都市構造が高度化されており、極端な大消費地となり、外国人も多数居住し、高齢者と少子 化の問題を抱える大都市となっています。 また、阪神・淡路大震災の阪神・淡路の被災地に比べ、より大型都市であり、新潟県中越地震の 10 被災地に比べて、社会の連帯が薄く人間関係の希薄な地域です。そして、司法の世界に目を移 せば大立法時代を終えたばかりです。 こうした状況を踏まえ、本書の企画、執筆は関東弁護士会連合会の平成 18 年度シンポジウム 委員会(委員長 高井和伸)が担当したものです。 本書の先達である近畿弁護士会連合会編『地震に伴う法律問題Q&A』(商事法務研究会、平 15 7)を上記視点から乗り越えようと試みた結果、大地震未体験の者による執筆であることから、設 問は大・中・小の様々な視点から設定され、古典的な設問から抽象的な設問まで網羅することに なりました。また、これに対する回答は、関東弁護士会連合会に所属する弁護士が現時点にお ける考えを示したものであることをお断りしておきます。 しかし、本書は、近畿弁護士会連合会の先の労作や災害弱者をめぐるシンポジウムを構築する 20 ための基礎事実を調査する段階で寄せられたご意見や兵庫県弁護士会をはじめ、シンポジウム 委員会での特別講演の各講師等多くの方々のご指導、ご協力によるところが大ですが、耐震強 度、環境面への配慮、要援護者への支援など現代的な問題点をも併せ考えて執筆されたもので す。 本書が、関係者の皆様に広く利用され、少しでも実務のお役に立つことを願う次第です。 25 平成 18 年9月 関東弁護士会連合会 理事長 楠 本 博 志 30 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) は し が き

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第1章 災害対策関係法

被災者生活再建支援法

Q1 災害時に適用される法律

5 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震に匹敵する規模の大災害が起きた場合に対処するために 制定されている法律には、どのようなものがありますか。 A 災害救助法、激甚災害法、災害弔慰金の支給等に関する法律、被災者生活再建支援法、 権利保全特別措置法、罹災都市法、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法 律などがあります。 10 解 説 災害応急対策や災害復旧に関しては様々な法律がありますが、主なものを挙げると次のとおり です。なお、いずれの法律についても発災により当然に法律の適用を受けるわけではなく、政令 による災害指定・地域指定を受けることが必要であることに注意してください。

1 災害救助法

15 災害救助法は、災害に際して、国が地方公共団体や日本赤十字社や国民の協力の下に、応急 的に必要な救助を行うことを定めた法律です。救助の内容としては、①避難所や応急仮設住宅 の供与、②炊出し等による食品の給与や飲料水の供給、③被服、寝具等生活必需品の供与ま たは貸与、④医療および助産、⑤被災者の救出、⑥被災住宅の応急修理、⑦生業に必要な資 金等の貸与、⑧学用品の給与、⑨埋葬などです(災救 23 ①)。このうち⑥に関しては、半壊住宅 20 で1か月以内に修理可能な場合に、世帯あたり 51 万円を限度として応急修理費が支給されま す。また⑦は、災害のため生業の手段を失った世帯に対し、1か月以内に機械や資材の購入費 用(3万円が限度)を貸与するものです(平 12 ・3・ 31 厚告 144 )。

2 激甚災害法(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律)

激甚災害として政令で指定されると、復興費用に充てられる国庫補助金の割合が1、2割ほど引 25 き上げられ、より手厚い財政措置が講じられます。これにより、公共施設等の復旧事業経費など 地方公共団体の財政負担が軽減されます。また、一般の災害復旧事業補助や災害復旧貸付等 の支援措置に加えて、中小企業に対する資金の融通や、被災により事業所が休業し就労できな い場合に失業とみなして基本手当を受給できるなど、様々な特例措置が適用されます。

3 災害弔慰金の支給等に関する法律

30 災害弔慰金の支給等に関する法律は、主に生命身体の被害に対する金銭的援助を定めた法律 です。災害により死亡した者の遺族に対して支給される災害弔慰金(最高 500 万円)、災害によ り精神や身体に著しい障害を受けた者に対して支給される災害障害見舞金(最高 250 万円)が あります(災害弔慰金3・8、災害弔慰金令1の2・2の2)。また、世帯主が負傷し療養に1か月以 上要する場合などに、生活の立直しを援助するために、災害により被害を受けた世帯の世帯主 35 に対して貸し付ける災害援護資金もあります(限度額は 350 万円)(災害弔慰金 10 、災害弔慰 金令7①)。

4 被災者生活再建支援法

被災者生活再建支援法については、次の設問(Q2)を参照してください。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q1 災害時に適用される法律

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権利保全特別措置法(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特

別措置に関する法律)

権利保全特別措置法は、被災者の権利利益の保全を目的とした法律です。①行政上の権利利 益に係る満了日の延長(特定非常災害3)、②履行されなかった義務に係る免責(特定非常災害 5 4)、③法人の破産手続開始の決定の特例(特定非常災害5)、④民事調停法による調停の申立 て手数料の特例(特定非常災害6)、⑤建築基準法および景観法による応急仮設住宅の存続期 間の特例(特定非常災害7・8)があります。このうち③については、被災により債務完済不能とな った法人に対しても一定期間破産手続開始決定を行わないとするものです(特定非常災害5)。 また、④については借地借家関係など被災に起因する民事紛争について調停申立手数料を免 10 除するものです(特定非常災害6)。

6 罹災都市法(罹災都市借地借家臨時処理法)

罹災都市法は、既存の借地権の保護や、滅失した建物の借家人の保護を目的とした法律です。 ①借地権の対抗力存続(建物が滅失しても5年間は対抗力が与えられる)(罹災都市 10 ・ 25 の 2)、②借地権の残存期間延長(借地権の残存期間が 10 年未満であったとしても 10 年に延長さ 15 れる)(罹災都市 11 ・ 25 の2)、③借家人の敷地優先賃借権(滅失した建物の借家人は、建物 敷地の所有者に対し敷地の賃借の申出をすれば、他人に優先して借地権を取得できる(罹災都 市2①)。既に借地人がいる場合には、申出によって他人に優先して借地権を譲り受けることもで きる(罹災都市3)。)、④借家人の建物優先賃借権(滅失した建物の借家人は、その土地に新た に築造された建物について賃借の申出をすれば、他人に優先して賃借できる)(罹災都市 14 )な 20 どがその内容となっています。

7 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律

これは、国税の軽減・免除や徴収の猶予を定めた法律です。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q1 災害時に適用される法律

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Q2 被災者生活再建支援法

住居の確保は、被災者の生活を維持し地域の崩壊を防ぐために不可欠ですが、個人の住宅再 建に関する援助を国から受けることができますか。 A 被災者生活再建支援法により、生活再建費用として最高 100 万円、住宅安定費用として 5 最高 200 万円の支援金を受けることができます。 解 説

1 被災者生活再建支援法の目的

被災者生活再建支援法は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた場合に、自立した生 活の再開と生活の立直しのための支援を目的とした法律です。議員立法により平成 10 年5月に 10 制定されました。平成 16 年4月1日の改正法においては、支給対象や支給額、支給方法などが 拡充されています。

2 被災者生活再建支援法の内容

(1) 支給対象 自然災害による全壊 10 世帯以上の市町村などに適用されます。また、それら隣接する市町村 15 (人口 10 万人未満に限ります。)であっても5世帯以上の全壊がある場合には適用となります (被災再建令1)。 対象は、住宅が全壊もしくは倒壊防止のため住宅を解体した世帯が原則です。ただし、大規模半 壊世帯(住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ住宅に居住することが困難である場合)に も、「全壊に準ずる程度」の被災として支給対象となります(被災再建令2)。 20 (2) 支給金額 大きく分けて、①生活再建に関する経費と②居住安定に関する経費に対して支給されます。 ①生活再建に関する経費とは、被災に関して生じた物品購入費、医療費、交通費、賃貸住宅を 利用する場合の礼金です(被災再建令3①一~六)。複数(2人以上)世帯の場合に最高で 100 万円が支給されます(被災再建令4①一、被災再建規7①)。ただし、単数世帯の場合には限度 25 額がその4分の3となりますし、年収 500 万円を超える世帯も支給条件や支給額が制限されま す(被災再建3二、被災再建規7①)。 ②居住安定に関する経費とは、民間賃貸住宅を利用する場合の家賃(限度額は、複数世帯で 50 万円)(被災再建規8①二)、住宅の解体撤去費用、住宅建設・購入・補修のための借入金の 利子や保証料等です(被災再建令3①七・八・九・十一)。複数世帯の場合に最高で 200 万円支 30 給されます(被災再建令4①三、被災再建規8②)。単数世帯や年収 500 万円以上の世帯につ いては、①と同様の支給制限があります(被災再建3二、被災再建規8②一)。また、他の都道府 県に移転する場合には限度額が2分の1となります(被災再建規9④)。ただし、長期避難世帯(3 年以上経過後に避難指示が解除された場合)については、避難解除後必要となる移転費等につ き、①および②の支給上限の範囲内で最高で 70 万円支給されます(被災再建規7②)。 35 これら①および②は概算支給(前払い)を受けることも可能です(被災再建令4③)。 なお、大規模半壊世帯も支給対象となることは前述しましたが、その範囲は②で、しかも 100 万 円が限度です(被災再建令3②二・三・五・4①四、被災再建規9③)。

3 被災者再建支援法の問題点

同法施行後多くの自然災害(地震のみならず台風豪雨、噴火など)において被災者に対する支 40 援金の支給が行われています。その意味で、同法は被災者の生活再建に資する重要な役割を Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q2 被災者生活再建支援法

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果たしています。 しかし、未だ問題点があります。そもそも現行の支給限度額が再建のために決して十分であると はいえない上、支給対象地域や対象世帯もさらなる充実が求められます。また、自然災害は無 差別に住民を襲うものでありながら、収入により支給制限が行われることは疑問です。さらに、② 5 居住安定費に関しては、住宅の解体撤去費や住宅立替・補修費の借入金の利息等の周辺経費 だけでなく、住宅本体の建築費・補修費をも対象としなければ再建に困難が生じます。 住宅再建支援は個人資産の回復を認めることとなるとの見解も根強く残っていますが、自然災害 による被害で自助努力が困難な被災者に対しては、国や行政が積極的に公的支援を行うのが 憲法 25 条の精神です。日本弁護士連合会、関東弁護士連合会、新潟県弁護士会および兵庫 10 県弁護士会は、平成 16 年に共同で改正を求める要望書を提出しています。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q2 被災者生活再建支援法

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Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

受任している事件の期日や、民法等の法定期間などは、発災時どのように取り扱われるのでしょ うか。 A 阪神・淡路大震災のような大規模災害の場合には、裁判所において、法定期間等の遵守 5 への配慮や期日変更等への柔軟な対応がなされる可能性もあります。 解 説 阪神・淡路大震災においては、日本弁護士連合会より最高裁判所に対し、被災地裁判所の係属 事件について訴訟手続の遂行が不能もしくは著しく困難となっているので、法令の定めにより遵 守すべき法定期間等に関し、期間伸長、訴訟行為追完、上訴権回復等法令に従った対応その他 10 の配慮を求める要望を行いました。そして、最高裁判所の検討結果が資料です(最高裁判所事 務総局から高等裁判所長官宛てに連絡があり、かつ日本弁護士連合会に対して通知されたもの です。原文の内容をそのまま掲載しておりますので、震災当時の条文によったものであることに 注意してください。)。法定期間の遵守に関しては適用可能な規定がある場合にはそれを援用 し、またそうでない場合にも当事者等の不利益にならないように配慮すべき旨、そして期日変更 15 等の手続についても柔軟に対応すべき旨記載されています。 したがって、今後の災害についても同様の措置がなされる可能性があります。ただし、災害の規 模や被害の程度にもよりますし、また同様の措置がなされる場合においても具体的事案に応じて 判断されるので、安易な見通しを立てるべきではなく、可能な限りは法定期間や期日を遵守すべ きであると思われます。 20 〔資料〕 平成7年1月 24 日 高等裁判所長官 殿 最高裁判所事務総局総務局長 涌 井 紀 夫 拝啓 時下ますます御清祥のこととお喜び申し上げます。 25 さて、本年1月 17 日に発生した兵庫県南部地震による被害の甚大さにかんがみると、法令の定 めにより遵守すべき法定期間等について、当事者等の不利益にならないように、受訴裁判所の 判断により、期間の伸長、訴訟行為の追完、上訴権回復等の法令に従った適切な対応(別紙第 1参照)をとることが求められているものと考えられるところであり、日本弁護士連合会事務総長 からも、別添のとおり同旨の要望書が提出されています。また、期日変更等の手続についても別 30 紙第2のような配慮が必要なものと考えられます。 ついては、裁判官その他の関係職員にこの趣旨を適宜の方法によりお伝えいただくようお願いし ます。 なお、資料、文献等を調査の上、更に必要な場合には、民事局、刑事局、行政局及び家庭局に 御照会ください。 35 おって、管内の地方裁判所長及び家庭裁判所長に対しても、この趣旨を御連絡ください。 敬 具 (別紙第1) 法定期間の遵守等に関して配慮を要する事項 第1 民事・行政関係 40 期間の遵守に関係する典型的な規定を掲げた。 なお、これらはあくまで例示であるから、実際の執務に当たっては、具体的事案に応じ、適用可 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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能な規定の有無等を必ず確認するよう注意されたい。 1 民事訴訟手続 (1) 期間一般 期間の伸長等(民事訴訟法第 158 条) 5 訴訟行為の追完(同法第 159 条) (2) 法定期間(不変期間を含む。) 控訴期間(同法第 366 条) 上告期間(同法第 396 条) 上告理由書提出期間(同法第 398 条第1項、民事訴訟規則第 50 条) 10 即時抗告期間(同法第 415 条) 訴えの取下げに対する同意の擬制期間(同法第 236 条第6項)など (3) 裁定期間 訴状の補正期間(同法第 228 条第1項)など 2 督促手続 15 法定期間(不変期間を含む。) 仮執行宣言前の異議申立期間(同法第 435 条、第 438 条第1項) 支払命令の失効期間(同法第 439 条) 仮執行宣言後の異議申立期間(同法第 440 条)など 3 民事保全手続 20 (1) 期間一般 民事保全手続に関しては、特別の定めがある場合を除いて、民事訴訟法の規定が準用される (民事保全法第7条)ことから、民事保全手続に関する期間の規定についても、期間の伸長等 (民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用される場合がある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 25 保全命令申立てを却下する裁判に対する即時抗告期間(民事保全法第 19 条第1項) 保全抗告期間(同法第 41 条第1項)など (3) 裁定期間 保全命令の担保を立てるべき期間(同法第 14 条第1項) 保全異議の申立てにおいて決定をするための担保を立てるべき期間(同法第 32 条第2項) 30 担保権利者に対して権利行使をすべき旨の催告期間(民事訴訟法第 115 条第3項)など 4 民事調停手続 (1) 期間一般 民事調停手続に関しては、特別の定めがある場合を除いて、非訟事件手続法第一編の規定が 準用され(民事調停法第 22 条)、非訟事件手続法においては、期間について民事訴訟法の規 35 定が準用される(非訟事件手続法第 10 条)ことから、民事調停手続に関する期間の規定につい ても、期間の伸長等(民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用 される場合がある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 調停に代わる決定に対する異議申立期間(民事調停法第 18 条第1項)など 40 5 非訟手続 (1) 期間一般 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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15/280 非訟事件の手続の期間に関しては、民事訴訟法の規定が準用される(非訟事件手続法第 10 条)ことから、期間の伸長等(民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定 が準用される場合がある。 抗告期間経過後の追完の規定もある(非訟事件手続法第 22 条)。 5 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 即時抗告期間(同法第 25 条による民事訴訟法第 415 条第1項の準用、借地借家法第 48 条第 1項)など 6 執行手続 (1) 期間一般 10 民事執行手続に関しては、特別の定めがある場合を除いて、民事訴訟法の規定が準用される (民事執行法第 20 条)ことから、民事執行手続に関する期間の規定についても、期間の伸長等 (民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用される場合がある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 執行抗告期間(民事執行法第 10 条第2項) 15 剰余を生ずる見込みの有無の確認期間(同法第 63 条第2項) 引渡命令申立期間(同法第 83 条2項) 配当異議の訴え等を提起したことの証明書等の提出期間(同法第 90 条第6項)など (3) 裁定期間 配当要求終期(同法第 49 条第1項) 20 代金納付期限(同法第 78 条第1項、民事執行規則第 56 条第1項) 入札期間(同規則第 46 条) 特別売却期限(同規則第 51 条第1項)など 7 破産手続 (1) 期間一般 25 破産手続に関しては、破産法に別段の定めがないときは民事訴訟法が準用される(破産法第 108 条)ことから、破産手続に関する期間の規定についても、期間の伸長等(民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用される場合がある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 即時抗告期間(破産法第 112 条、民事訴訟法第 415 条)など 30 (3) 裁定期間 債権届出期間(破産法第 142 条)など 8 和議手続 (1) 期間一般 和議手続に関しては、和議法に別段の定めがないときは民事訴訟法が準用される(和議法第 11 35 条第2項)ことから、和議手続に関する期間の規定についても、期間の伸長等(民事訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用される場合がある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 即時抗告期間(和議法第7条、民事訴訟法第 415 条)など (3) 裁定期間 40 債権届出期間(和議法第 27 条)など 9 会社更生手続 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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(1) 期間一般 会社更生手続に関しては、会社更生法に特別の規定がないときは民事訴訟法が準用される(会 社更生法第8条)ことから、会社更生手続に関する期間の規定についても、期間の伸長等(民事 訴訟法第 158 条)、訴訟行為の追完(同法第 159 条)の規定が準用される場合がある。 5 更生債権者又は更生担保権者がその責に帰することのできない事由によって裁判所の定めた 届出期間内に届出をすることができなかった場合の届出の追完に関する規定(会社更生法第 127 条第1項)もある。 (2) 法定期間(不変期間を含む。) 即時抗告期間(同法第 11 条、民事訴訟法第 415 条)など 10 10 行政事件訴訟手続 (1) 期間一般 民事訴訟手続の例による(行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第 158 条、第 159 条)。 (2) 不変期間 取消訴訟の出訴期間(行政事件訴訟法第 14 条)は不変期間である(同条第2項)から、これを伸 15 長すること(民事訴訟法第 158 条第1項)はできないが、一定の要件を備える場合には、附加期 間(同条第2項)を定め、訴訟行為の追完(民事訴訟法第 159 条)を認めることができる。 行政事件訴訟法第 34 条、第 40 条、第 43 条第1項参照(公職選挙法第 203 条、第 204 条、独 占禁止法第 77 条、特許法第 178 条第3項、地方自治法第 242 条の2第2項などに行政事件訴 訟法第 14 条の特例を定める例がある。) 20 11 民事実体法 (1) 民事法 時効の停止(民法第 161 条)など (2) 商事法 手形呈示期間の伸長(手形法第 54 条、小切手法第 47 条等)など 25 第2 刑事関係 1 上訴権回復 刑事訴訟法第 362 条は、上訴権者等が、その責に帰することができない事由によって、上訴提 起期間内に上訴することができなかったときは、原裁判所に上訴権回復請求することができる旨 規定している(なお、略式命令に対する正式裁判の請求についても、同法第 467 条で準用され 30 ている。)。 2 控訴趣意書、上告趣意書の提出期間 控訴趣意書等をその期間内に提出できなくても、その遅延がやむを得ない事情に基づく場合に は、期間内に差し出されたものとすることが可能である(刑事訴訟規則第 238 条、第 266 条)。 もっとも、受訴裁判所が職権で控訴趣意書提出期間等を延長することも考えられる。 35 3 法定期間の延長 刑事訴訟法第 56 条、刑事訴訟規則第 66 条、第 66 条の2によると、交通通信の便宜等を考慮 し、法定期間(公判廷において宣告された裁判の上訴提起期間については適用されない。)を延 長することが可能である。 第3 家事関係 40 1 家事審判の抗告期間との関係 抗告期間2週間(家事審判法第 14 条)については、天災等の不可抗力により遵守できなかった Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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17/280 場合には、その事由が止んだ後1週間に限りその追完をなすことができる(同法第7条、非訟事 件手続法第 22 条)。天災の具体的な判例として、非訟事件手続法第 22 条と同趣旨の民事訴 訟法第 159 条につき、関東大震災のため通信途絶の場合に追完を認めた例がある(大審院判 決大正 13.6.13 ・法律新聞 2335 号)。 5 2 家事事件手続上の期間との関係 (1) 典型的な例としては、相続放棄の申述(自己のために相続の放棄を知った時から3か月- 民法第 915 条第1項)や家庭裁判所に対する財産分与の申立て(離婚の時から2年―同法第 768 条第2項)が考えられる。 (2) これらの期間については、その性質に反しない限り民事訴訟法が準用され(家事審判法 10 第7条、非訟事件手続法第 10 条)、期間の計算(民事訴訟法第 156 条)、期間の始期(同法第 157 条)、期間の伸縮・付加期間(同法第 158 条)、不変期間の追完(同法第 159 条)などが準 用される。 その結果、天災等の不可抗力により、当該期間が遵守できなかった場合には、その事由が止ん だ後1週間に限りその追完をなすことができる(同法第 159 条)。 15 (3) なお、相続放棄については、事前の申立てを要するが、期間の伸長の制度がある(民法 第 915 条第1項但書、家事審判法第9条第1項甲類第 24 号)。 3 実体法上の時効や除斥期間との関係 (1) 家事事件においても、一般調停事件において、実体法上の時効や除斥期間が問題となる 場合があり得る。典型的な例としては、離婚慰謝料請求と3年の消滅時効( 20 年の除斥期間) 20 (民法第 724 条)、遺留分減殺請求と1年の消滅時効( 10 年の除斥期間)(同法第 1042 条)な どが考えられる。 (2) 時効期間については、天災その他の事変による時効の停止により(同法第 161 条)、時効 の期間満了時に天災その他不可避の事変により時効を中断することができないときは、その事 情が止んだ時から2週間は時効が完成しない。 25 除斥期間については、一般的に中断を観念し得ないから停止はないと言われているが、時効の 停止を類推適用するとの有力な学説もある(我妻「民法講義」 437 頁)。 第4 少年関係 1 少年保護事件、準少年保護事件における抗告期間(少年法第 32 条) 抗告申立権者の責に帰することができない事由によって申立期間内に抗告できなかった場合 30 に、刑事訴訟法第 362 条を類推適用し、抗告権の回復請求ができると解されよう。 2 少年補償事件における変更の申出の期間(少年の保護事件に係る補償に関する法律第5条 第3項)及び特別関係者からの申出の期間(同法第6条) この点について明確に解釈を示したものはないが、法定期間の延長に関する刑事訴訟法第 56 条、刑事訴訟規則第 66 条を類推適用すると解釈されよう。 35 (別紙第2) 期日変更の手続等において配慮を要する事項 1 口頭弁論期日の変更(民事訴訟法第 152 条) 公判期日の変更(刑事訴訟法第 276 条)、 家事審判期日の変更(家事審判法第7条、非訟事件手続法第 10 条、民事訴訟法第 152 条)及 び少年審判期日の変更等に当たっては、地震により郵便事情が悪化していることや、相当数の 40 弁護士事務所及び当事者の家屋が被害を受けていること等にかんがみ、一律に期日変更申請 書の提出を求めるなどの対応を取ることなく、事情に応じて職権による期日変更を行うなど柔軟 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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な対応が必要とされる。 2 当事者、代理人等が期日に出頭して来ない場合も、その不出頭の事由等を十分考慮し、こ れらの当事者等の不利益にならないよう配慮することが必要である。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 1 被災者生活再建支援法 Q3 通常法規における法定期間等に関する取扱い

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災害復興基本法

Q4 災害復興に関する基本法

災害からの復興について基本となる法律はありますか。 A 現状では存在しません。災害復興を円滑に進める上で、災害復興基本法の制定が求めら 5 れます。 解 説

1 災害対策基本法の内容と復興に関する法律

災害対策基本法は、災害復興について国および公共団体の努力目標を定めています(災害基8 ③)が、具体的な復興の方策については、個別の法律、例えば、激甚災害に対処するための特 10 別の財政援助等に関する法律、被災市街地復興特別措置法、被災者生活再建支援法等、多数 の法律に委ねられています(第1章のQ1参照)。

2 災害復興基本法不存在の問題点

実際に災害が発生した場合に、別々の法律に規定されていたのでは、現場の公共団体として も、どの法律のどの制度を使って支援を受けたらよいのかが分かりにくいというデメリットがあり 15 ます。 また、現状の法制度では復興の概念が明確でなく、ともすれば被災者の生活再建より都市の復 興に主眼がおかれていたように思います。 さらに、法律上、復興を担当する明確な組織が存在しないことから、縦割り行政において、統一 的で継続性のある復興の実施が困難な面もあります。しかも、現行法制度上、国と地方との役割 20 分担も明確ではないという問題もあり、復興について最も的確に判断可能と思われる被災地公 共団体に財源を伴う十分な権限が保障されていません。 災害復興を円滑に進める上で、復興についてトータルに規定した基本的な法律の制定が求めら れます。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 2 災害復興基本法 Q4 災害復興に関する基本法

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Q5 災害復興基本法に盛り込むべき内容

災害復興基本法はどのような内容とすべきですか。 A 「復興」の概念を明確化し、住民の生活再建が主眼とされなければなりません。 解 説 5 まず、法律の目的である「復興」の概念を明確にする必要がありますが、その際には、住民の生 活の再建の為にどのようなまちづくりがよいかという観点、すなわち、住民の生活再建を主眼とし た新たなまちづくりを考える必要があります。「復興」は「復旧」とは異なる概念であり、まちの原状 回復が図られればよいというわけではありません。住民が生活を再建できなければ、真の意味で の復興が図れたことにはなりません。 10 また、災害を受けた後の復興ですので、災害に強いまちづくりも求められます。 それらを含めた「復興」の概念を明確にした上で、住民の生活再建が真に図れるよう、統一的で 継続性のある復興を可能とする組織作りや、国から地方への権限委譲を含めた役割分担を明確 に規定する必要があると思います。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第1章 災害対策関係法 2 災害復興基本法 Q5 災害復興基本法に盛り込むべき内容

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第2章 建物と境界に関する問題

土砂崩れと境界

Q6 土砂崩れにより隣地との境界が分からなくなった場合

5 地震により土砂崩れが発生し、隣地との境界が不明になってしまいました。境界をはっきりさせる ためには、どのような手続がありますか。また、隣人から、測量費用として 40 万円を請求された のですが、本当にそんなにかかるのでしょうか。 A 当事者間の話合いで解決できればそれが一番ですが、それでも解決がつかない場合の 裁判手続としては、調停、訴訟があります。いずれの場合も、測量をすることになった場合は、測 10 量費用の負担が問題となります。なお、簡易迅速な手続として、平成 17 年度にできた筆界特定 制度が注目されています。 解 説

1 はじめに

15 「境界」には、①公法上の境界(登記された一筆の土地の範囲を示すもの)と②私法上の境界 (所有権の範囲を示すもの)があります。①②はおおむね一致しているものですが、概念上は全く 別物です。①②をよく区別していただく必要があります。 相談にいらっしゃる方は、②の意味での境界についてお悩みだと思いますので、まずは②の意味 での境界問題から説明します。 20

2 私法上の境界について

②の意味での境界について争いが生じた場合、私人の所有権の範囲については、私人間の合 意で決定することが可能です。したがって、当事者間の話合いによって解決できればそれに越し たことはありません。 しかし、残念ながら合意が成立しない場合は、簡易裁判所に対して「所有権の範囲を確認する」 25 民事調停の申立てをすることになります。 調停を申し立てた場合、双方が、互いに自らの主張する境界線を根拠づける資料(いわゆる 17 条地図・公図等の地図や境界標の位置など)を提出し、調停委員を介して話し合うことになりま す。 なお、通常の場合、土地の現況を正確に把握するため、双方立ち会いの下で測量を行い、その 30 測量図を提出することが必要となります。測量の費用は、対象となる土地の面積にもよります が、数十万円になることも珍しくありません。測量費用の負担については、民法 224 条ただし書 に「土地の広狭に応じて分担する」と規定されておりますが、一般的には折半もしくは測量を申し 入れた方が全額負担する場合が多いようです。境界について争うか否か決断する際には、測量 費用およびその負担が大きな問題となりますので、あらかじめよく検討しておくことが重要です。 35 残念ながら、調停段階で和解成立に至らず、さらに争いを続ける場合は、地方裁判所に訴訟提 起することになります。この場合の訴訟は、所有権確認の訴えと、後述する境界確定の訴えを併 せた形で提起することもあります。境界には2つの意味があるため後日の紛争の蒸し返しを防ぐ 必要があること、境界確定訴訟には後述のような特長があることがその理由です。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 1 土砂崩れと境界 Q6 土砂崩れにより隣地との境界が分からなくなった場合

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3 公法上の境界について

次に、①の意味での境界について争いが生じた場合について、参考までに述べます。 ①の意味での境界は、公の意味の境界ですから、私人間で勝手に取り決めることはできません。 したがって、当事者間の話合いで解決できる問題ではありませんし、当事者間の話合いをベース 5 にする調停を申し立てることもできません。①の意味での境界を決めるためには、境界確定訴訟 を提起する必要があります。 境界確定訴訟は、通常の訴訟と異なり、裁判所は当事者の主張に拘束されずに境界線を定める ことができ、また裁判所は原告の請求を棄却することができず必ず境界線を定めなければならな い、といった特質があります。したがって、仮に、自らの主張する境界線を根拠づける資料を提出 10 できなかった場合でも、(自らの主張が通るかどうかは別として)最終的には境界線が決まるとい うメリットがあります。そこで、②の意味での境界について訴訟提起する場合、境界確定訴訟を併 せて提起することがあるのです。

4 筆界特定制度について

最後に、①の意味の境界について、平成 17 年に不動産登記法の一部が改正されて「筆界特定 15 制度」が誕生し、境界確定訴訟に比べて簡易迅速な解決が可能となりました。この制度は、土地 家屋調査士等の専門家から選任される調査委員の調査や意見により、簡易迅速に境界を特定 する手続です。ただ、この手続は、筆界(境界)を新設・形成するものではなく、また、結果に不服 がある者は、従前どおり境界確定訴訟を提起することもできます。この制度は①の意味の境界に 関するものではありますが、②の意味での境界を決める参考資料になりますので、この制度の利 20 用を検討するのも1つの方法だと思われます。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 1 土砂崩れと境界 Q6 土砂崩れにより隣地との境界が分からなくなった場合

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Q7 震災により周辺の土地にゆがみが生じた場合

地震の後、私の土地の周辺の地域全体にゆがみが生じてしまいました。正式な測量はまだです が、隣の土地との境界標がもともと私の土地だった位置に食い込んでおり、私の土地の面積が 減っているような気がします。しかし、隣の土地の人は、そのまた隣の土地との境界標が自分の 5 土地に食い込んできているから、お互い様だと言っています。本格的な話合いはこれからです が、話合いがうまくいかなかった場合、どのようになるのでしょうか。 A 通常の手続では、多額の測量費用を負担せざるを得ない場合があります。問題となってい る土地の買取り等、様々な解決方法を検討する必要があるでしょう。 解 説 10

1 通常の手続による場合

震災の後に周辺の土地一帯の境界がずれることはしばしばみられる現象です。まずは隣の土地 の所有者と話し合い、必要に応じて双方立会いのもとで測量し、双方納得の上で新しい境界線を 決められればそれに超したことはありません。しかし、話合いがつかなければ、やむを得ず調停 手続において話合いをすることになります。 15 ここで注意しなければならないのは、仮に、相談者が、地震による影響を受けていない境界標を 基準とすることを希望する場合、その境界標がある場所までの土地の所有者全てを調停の相手 方にしなければならず、場合によっては周辺の土地全てを測量しなければならなくなることです。 周辺の土地の所有者全員が調停手続に協力的とは限りません。その場合、測量費用は、やむを 得ず申立人負担となるでしょうから、相当の出費を覚悟せざるを得ないことになるでしょう。実際 20 上は、ゆがんでいる土地上にあろうとも、今ある境界標を基準とせざるを得ない場合が多いと思 われます。

2 買い取りによる解決方法

なお、地方においては、土地の値段が安いこともあり、境界標の現状の位置を尊重し、それまで の土地の面積を基準として、差の部分を買い取るという方法がしばしば取られます(もともとの境 25 界線:①②。地震後の境界標の位置:③④。①②と③④の間の土地について、 A さんに買い取っ てもらう。)。その地域の地価および対象となる土地の面積にもよりますが、買取価格が測量費用 を下回ることもままありますので、検討する価値はあるでしょう。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 1 土砂崩れと境界 Q7 震災により周辺の土地にゆがみが生じた場合

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建物、施設の倒壊

Q8 震災によりブロック塀が倒れ、隣家を壊した場合の責任

地震により、自己所有地内に建っていたブロック塀が倒れ、隣の家の壁が傷ついてしまいまし た。隣人に修理費を支払わなければならないのでしょうか 5 A 一般的に、その地震が震度5以下であれば修理費を支払わなければならず、震度6以上 であれば不可抗力によるものとして支払を免れられると考えられます。しかし、震度6以上の地震 は増えており、今後の判例の動向が注目されます。 解 説

1 問題の所在

10 隣人の所有地内のブロック塀は土地の工作物にあたりますので、工作物責任(民 717 ①)の問 題となります。他に、震災時に特に問題となる土地の工作物として、建物の一部(屋根など)、崖 の擁壁、石垣、造成地などが考えられます。新潟県中越地震では、隣の土地の庭に設置されて いた灯油タンクが破損し、自己所有地に大量の灯油が流れ込み、農作物が駄目になってしまっ たという相談が寄せられましたが、これも工作物責任の問題と考えられます。 15

2 原則と例外

土地の工作物の設置または保存に「瑕疵」(その物がその種類において本来備えているべき(特 に安全性に関する)性状・設備を欠いていること)があった場合、その瑕疵による損害の賠償責 任は、一次的には占有者に、占有者に注意義務違反がない場合は所有者の責任となります(民 717 ①)。所有者の責任は無過失責任とされており、「瑕疵」につき何の落ち度がなくとも責任を 20 負わなければならないのが原則です。 それでは、予測不可能な大きな地震が原因の場合でも、所有者は常に損害賠償責任を負わな ければならないのでしょうか。前述のとおり、土地工作物責任における瑕疵とは、安全性に関す る性状・設備を欠いていることですから、たとえ地震により倒壊したとしても、工作物が通常要求 される安全性を備えていた場合は、「不可抗力」に基づくものとして、損害賠償責任を免れる可能 25 性があります。

3 裁判例

それでは、どのような場合に、損害賠償責任を免れるのでしょうか。 この問題についてよく引用されるのは、昭和 53 年6月に発生した宮城県沖地震に関する判例で す(仙台地判昭 56 ・5・8判時 1007 ・ 30 )。この判決は、地震によりブロック塀が倒壊して通行 30 人が死亡した事故に関し、「地震そのものの規模に加えて当該建築物の建てられている地盤、地 質の状況及び当該建築物の構造、施行方法、管理状況など」を総合し、「本件ブロック塀の安全 性を考えるについても、仙台市近郊において過去に発生した地震のうちの最大級のものに耐え られるか否かを基準とすれば足りる」とし、「ブロック塀が、築造された当時、通常発生することが 予測可能な震度5の地震動に耐えうる安全性を有していたか」を基準とした上で、「本件では、未 35 だ右瑕疵があったとは認められない」として、ブロック塀の所有者の損害賠償責任を否定しまし た。 また、宮城県地震での宅地造成工事に関する事件において仙台地裁平成4年4月8日判決(判 時 1446 号 98 頁)は、「従来発生した地震の回数頻度、規模、程度のほか時代ごとに法令上要 求される地上、地下構造物の所在場所、地質、地形、強度などの諸要素を考慮し、一般常識的 40 見地から少なくとも震度5程度の地震に対して安全性の有無を基準として判断するのが相当であ Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 2 建物、施設の倒壊 Q8 震災によりブロック塀が倒れ、隣家を壊した場合の

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25/280 る」としています。 そして、ブロック塀の施行方法および構造に関する法的規制は、 1970 年 12 月2日に建築基準 法施行令 62 条の8に新条項が設けられ、 1971 年1月1日から施行されたので、当該ブロック塀 が 1971 年に築造されたものであれば、この規定の適用を受けます。そのため、本件ブロック塀 5 が基礎、鉄筋の使用などにおいて基準に合致しているか調査する必要があります。 現在の目安としては、建築基準法施行令 62 条の8は、震度5までは壊れないブロック塀の基準 を定めていますので、その他の法令などを遵守した工事をしていれば、震度6から7程度の地震 により、崩壊・倒壊した場合には、隣家の住人に対する責任は免れると考えられます。

4 結

10 これらの判例や建築基準法施行令から、工作物責任の問題については、一般的に、震度5以下 であれば損害賠償責任を免れず、震度6以上であれば不可抗力に基づくものとして責任を免れ ると考えられているようです(近畿弁護士会連合会編『地震に伴う法律問題Q&A』 156 頁(商事 法務研究会、平7)、塩崎勤・澤野順彦編『裁判実務大系 28 震災関係訴訟法』 488 頁(青林書 院、平 10 ))。 15 しかし、阪神・淡路大震災以降平成 18 年2月末日現在まで、震度6弱以上の地震は、(新潟県 中 越 地 震 を 1 回 と し て も ) 少 な く と も 15 回 は 発 生 し て お り ( 気 象 庁 の HP http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/index.html )、日本において、もはや震度6以上の地震が予 測不可能とはいえない状況ではないかと思われます。しかし、一方で、工作物の所有者に、震度 6以上の地震に耐え得る安全性を備えた性状・設備を要求するのも酷であるという考えもありま 20 す。 設問に対しては、「震度5以下であれば修理費を支払わなければならないが、震度6以上であれ ば不可抗力として支払い義務を免れる」というのが一般的な回答ですが、今後の判例の動向が 注目されます。

5 その他の「瑕疵」の判断要素について

25 なお、震度5以下の場合の「瑕疵」があったことの判断要素ですが、「設置の瑕疵」につき、土地 の擁壁、石垣などについては、宅地造成等規制法により指定された宅地造成工事規制区域(宅 造規制3①)、砂防法による指定土地(砂防2)において法の定める強度を満たしていたかがポイ ントとなります。擁壁、石垣以外の工作物でも、建築基準法の基準を満たしていたかチェックする 必要があるでしょう。 30 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 2 建物、施設の倒壊 Q8 震災によりブロック塀が倒れ、隣家を壊した場合の

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Q9 震災により倒れたブロック塀に手抜き工事の疑いがある場合

私の住んでいる地域の震度は6強でした。隣人のブロック塀が倒れて損害を被ったとしても、賠 償請求は難しいということですが、隣人のブロック塀以外の塀などは倒れていないのに、納得い きません。仮に、隣人のブロック塀に手抜き工事がされていたとしても、結論は変わらないのでし 5 ょうか。 A 手抜き工事がなければブロック塀が倒れなかったという立証ができれば、賠償請求は可 能と考えられます。ただし、その立証は大変困難だと思われます。 解 説

1 問題の所在

10 一般的に、工作物に「瑕疵」があり、地震が震度5以下であれば、損害賠償請求ができることにな ります(Q8参照)。 それでは、震度6~7の場合は、全く損害賠償請求できないのでしょうか。 これについては、①仮に手抜き工事等の事情がなかったとしても、震度6~7の地震で崩壊・倒 壊したと考えられる場合と、②仮に手抜き工事等の事情がなければ、震度6~7の地震でも崩壊 15 ・倒壊しなかったと考えられる場合に、分けて考えることができます。

2 手抜き工事がなくても震災で塀が倒壊した場合

この場合は、手抜き工事がなくても倒壊したというのですから、損害との因果関係が認められず、 原則として損害賠償は不可能ということになるでしょう。

3 手抜き工事がなければ震災で塀が倒壊しなかった場合

20 この場合は、損害との因果関係が認められ、損害賠償請求が可能ということができます。しかし、 その立証は相当困難ではないかと思われます。一般的には、工作物の構造等における瑕疵や、 周辺の工作物の被害状況との差などを主張・立証することになるでしょう。工作物の判断基準と しては、仙台地裁平成8年6月 11 日判決(判時 1625 号 85 頁)の以下の基準が参考となります (①その地域でそれまでに発生した地震の回数、頻度、震度などから見て、将来その地域で通常 25 発生する可能性が経験的に予測される規模の地震に対する耐震性を具備していたか。②予測さ れる規模を超える規模の地震に耐震性を具備する住宅の造成を目的とする地盤条件の調査お よび調査の結果に基づく工法についての基準または一般経験則がある場合にはそれに適合し ていたか。③当時の通常の技術水準に適合すれば、予測される規模を超える規模の地震に対 する耐震性を具備する住宅を造成することが可能な場合には、その技術水準に適合していた 30 か。)。また、どのような主張・立証をすべきかについては、以下の判例が参考になると思います。 (1) 損害賠償請求が認められた裁判例I まず、阪神・淡路大震災によりホテルが崩落し、崩落部分の下敷きとなって宿泊客が死亡した事 案についての判例があります(神戸地判平 10 ・6・ 16 判タ 1009 ・ 207 )。 この判例は、「本件建物付近の兵庫県南部地震による震度は6であり、本件建物の近隣の古い 35 木造の家屋も多数が倒壊を免れている」と事実認定し、「被災増床は、その増築手法の結果、地 震の際にその接合部が破壊され易いという構造的な危険性を有することになっていたものであ り、本件建物は、被災増床において、地震に耐えて崩落・倒壊を免れ、もって建物内を安全な移 住空間として保つという通常要求される強度を保持していないことが明らかであり、その設置に 瑕疵があるといわざるをえない」として、ホテルの所有者の損害賠償責任を認めました。 40 増築した際の接合部に構造的な危険性があったと認められたことと、近隣の古い木造の建物が Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 2 建物、施設の倒壊 Q9 震災により倒れたブロック塀に手抜き工事の疑いが

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27/280 倒壊を免れていることがポイントだと思われます。 (2) 損害賠償請求が認められた裁判例 II また、賃貸マンションの一階部分が倒壊し、一階部分の賃借人が死亡した事故につき、所有者 の工作物責任を認めた判例もあります(神戸地判平 11 ・9・ 20 判時 1716 ・ 105 )。 5 この判決は、「本件地震は行政の設計震度をも上回る揺れの地震であったのであるから、本件 建物が仮に建築当時の設計震度による最低限の耐震性を有していたとしても、本件建物は本件 地震により倒壊していたと推認することができるし、逆に、本件地震が建築当時想定されていた 水平震度程度の揺れの地震であったとしても、本件建物は倒壊していたと推認することができ る」とした上で、「しかし、本件建物は、結局は本件地震により倒壊する運命にあったとしても、仮 10 に建築当時の基準により通常有すべき安全性を備えていたとすれば、その倒壊の状況は、壁の 倒れる順序・方向、建物倒壊までの時間等の点で本件の実際の倒壊状況と同様であったとまで 推測することはできず、実際の施工の不備の点を考慮すると、むしろ大いに異なるものとなって いたと考えるのが自然であって、本件賃借人らの死傷の原因となった、一階部分が完全に押しつ ぶされる形での倒壊には至らなかった可能性もあり、現に本件建物倒壊によっても本件地震の 15 際に本件建物一階に居た者全員が死亡したわけではないことを併せ考えると、本件賃借人らの 死傷は、本件建物という不可抗力によるものとはいえず、本件建物自体の設置の瑕疵と想定外 の揺れの本件地震とが、競合してその原因となっているものと認めるのが相当である」と判示し、 所有者の工作物責任を認めました。 その上で、損害賠償額の算定にあたり、「ただ、本件のように建物の設置の瑕疵と想定外の自然 20 力とが競合して損害発生の原因となっている場合には、損害の公平な分担という損害賠償制度 の趣旨からすれば、損害賠償額の算定に当たって、右自然力の損害発生への寄与度を割合的 に斟酌するのが相当である」とし、地震による損害発生への寄与度を5割と認定し、所有者に5 割の損害賠償義務を認めました。

4 結

25 ご質問については、手抜き工事等がなければ震度6の地震でも倒れなかったということにつき立 証に成功すれば、損害賠償請求が可能といえるでしょう。ただ、ブロック塀の構造についての知 識や、周辺の被害状況の調査が必要になりますので、その立証は相当困難だということに注意 すべきでしょう。 Q & A 災 害 時 の 法 律 実 務 ハ ン ド ブ ッ ク ( 平 成 一 八 年 発 行 ) 第2章 建物と境界に関する問題 2 建物、施設の倒壊 Q9 震災により倒れたブロック塀に手抜き工事の疑いが

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