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Academic year: 2021

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論文内容要旨

自閉症スペクトラム障害における社交不安の神経解剖学的相関

:Voxel-Based Morphometryを用いた予備的研究 昭和学士会雑誌 第81巻第3号2021年6月掲載予定

内科系精神医学専攻 澤登洋輔

社交不安は自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder, 以下ASD)の主要 な併存症状の一つであるが、その神経解剖学的基盤は未だに十分に研究されていない。

本研究では、成人ASDの社交不安の神経解剖学的相関を神経学的定型群(Neurotypical Control, 以下NC)と比較して検討した。対象は、20109月から201212月の期間 における昭和大学附属烏山病院の外来患者の内、精神障害者の診断と統計マニュアル第 4版改訂版でASDと診断された40名の男性(平均年齢31.1歳、標準偏差7.9歳)と、

病院の医療従事者の親族または知人から募集した健常者43名のNC男性(平均年齢31.4 歳、標準偏差7.2歳)であった。婚姻状況、雇用状況、現在の喫煙習慣、現在の飲酒習 慣、精神障害の過去の病歴、および現在使用している場合は現在の薬を含む社会統計学 的および臨床的特徴を収集し,リーボヴィッツ社交不安尺度日本語版(Liebowitz Social Anxiety Scale, 以下LSAS-J),自閉症スペクトラム指数,ウェクスラー知能検 査第3版を用いて,それぞれ社交不安の重症度,ASD症状,知的プロフィールを評価し た。全脳1.5T磁気共鳴画像法スキャンを実施した。LSAS-Jスコアの神経解剖学的相関 を調べるために、Voxel-based morphometry解析を行った。ASD群とNC群において、ロ ジスティック回帰解析の結果、社会的・臨床的尺度が及ぼす影響はなかった。また、両 群において、LSAS-J の高不安群(30<)と低不安群(30>)の間で、社会行動学的変数 や臨床的変数に有意な差は認められなかった。ASD 群では LSAS-J スコアが左上側頭回 および右感覚運動野の灰白質密度(Gray Matter Density, 以下 GMD)とそれぞれ正と 負の相関を示した。一方、NC群ではLSAS-Jスコアが両側前頭極および左被殻のGMD それぞれ正と負の相関を示した。関心領域解析を行った結果、上記4領域のうち、左上 側頭回以外の右感覚運動野、左前頭極および左被殻における平均GMDLSAS-Jと群要 因の交互作用を認めた。これらの結果から、ASDでは元来の前頭葉機能の弱さを側頭葉 機能で代償していることが示唆された。本研究により、ASDは、NCと比較して、社交不 安の神経解剖学的相関に特徴があり、社交不安の高まりに対する代償メカニズムに違い についての有用な所見が得られたと考えられる。(1047字)

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