• 検索結果がありません。

方法としての人類学 

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "方法としての人類学 "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

【レビュー・エッセイ】

2013年度九州人類学研究会オータムセミナー報告

『九州人類学会報』41:5-6 (2014.7.9 発行) ISSN 1881-7092 セッション B 

方法としての人類学 

 

飯嶋秀治(九州大学)・白川琢磨(福岡大学)・竹川大介(北九州市立大学) 

 

Ⅰ  企図 

  本セッション「方法としての人類学」のタイトルを聞けば、「目的としての人類学」のなかで人類学 の再生産を自明化してきた研究者には挑発的な響きを持つかもしれない。しかし、あらゆる学問には、

その学問が登場する以前の状態があるのであるから、人類学もまた後生大事にその目的と方法を既定の ものとして再生産する必然性はあるまい。 

だから本セッション「方法としての人類学」が目指すのは、既定の方法としての人類学のノウ・ハウ を呈示することを目指すものでは全くない。むしろこれまでの人類学の蓄積の中から使える手持ちの技 芸を「部分的方法」として携えて、目的も、対象も、文脈も、これまで人類学の領域でオーソドックス とされていたものから離れて駆動させ、その使い勝手を試してみることにある。そうすることで本セッ ションでは、複数の新たな人類学 anthropologies の可能性を照らすことを狙っている。 

発表者として、これまでそれぞれ宗教人類学(白川琢磨)、医療人類学(池田光穂)、生態人類学(竹 川大介)の領域で研究を蓄積させながら、その中で過剰で特異な動き方をしてきた研究者に集まってい ただき、コメンテーターには、もともとこのセッションのタイトルをしばしば口にしてきた関一敏に依 頼した。冒頭のセッション趣旨では、オータムセミナーが本来は大学院生の企画であったのにも関わら ずその企画が痩せ細っていることを指摘したうえで、以上の趣旨を説明した。以下に各発表の概略を報 告しておく。 

 

Ⅱ  各報告 

白川琢磨(福岡大学)による「方法としての人類学―親鸞の嫌いな宗教学者・柳田の嫌いな民俗学者」

では、副題にあるような研究者に人類学しか「行き場・ゆくあてのないこと」の意味を託し、近代的価 値を相対化する視座を通じて、新たなネイティブ人類学へ展開する期待を寄せていることを発表してい ただいた。 

池田光穂(大阪大学)による「ペダゴジー?アンドラゴジー?−自ら学ぶ技としての人類学」では、

「方法=レシピ=手順書」と捉えて本セッションの企図をかわし、むしろニホンザルから出発しラテン アメリカにいたるフィールドワークのキャリアから、目的/方法の間の距離を隣同士のものと捉える発 表をしていただいた。 

竹川大介(北九州市立大学)による「フィールドワークの余剰生産物―豊饒なあそび」では、言葉で

「方法としての人類学」についての考察を説明するよりも、漁師見習いとしてなにもわからぬまま船に 乗せられた最初のフィールドにはじまり旦過市場で大学堂を開くキャリアの具体的体験からその豊か さと面白さを示す発表に重点をおいていただいた。 

(2)

『九州人類学会報』第41号

6

以上の発表に対し、関一敏(九州大学)からはそれぞれの発表の勘所を一問ずつ問われた。 

 

Ⅲ  総括と今後の展望 

こうして、ある意味で企図の目的を意識的に外す行為は、「方法としての人類学」という問題設定を 研究者がいかにかわしたがるか、ということを示していたように思われる。その意味では企図者の意図 が聴衆に充分に伝わったか否かは心許なかった。 

とはいえ、今一つの企図は、オータムセミナーの場を後続の若手研究者に再度拓くことにあり、この 場で次のセッションを院生に打診できたことで一応の目標を達しえたと言えよう。 

なお、この報告は、セッション企画者(飯嶋秀治)が草稿を書き、発表者に加筆を提案し、加筆者に は連名に入っていただくという仕組みをとった。これは以前、『文化人類学』で行ったネットワーク形 成原稿の延長線上にある[飯嶋ら 2013]。このように原稿をまとめてみて改めて思ったが、院生中心で行 ってきた企画であり、報告原稿も執筆するのに、査読もなく、エッセイ扱いにされてしまうのは大変や りがいのないことであろう。このことは引き続き運営委員会で工夫していかなければならないと思う。 

 

【参照文献】 

飯嶋秀治、清水貴夫、小泉潤二、今中亮介、亀井伸孝、國弘暁子、鈴木伸枝、井本由紀、山本真鳥  2013「国際人類学民族科学連合中間会議 2012  報告」『文化人類学』78(2):278-283. 

 

      (2014 年 6 月 28 日  原稿掲載承認) 

参照

関連したドキュメント

たって迎救された荻村昭典氏「服装社会学入門」は、服装文化研究に、人類学や心理学ともかかわる新しい視点を導入した。

セリーヌ風の罵詈雑言に近い独白を多用しつつ描いた作品である。凱旋門の立

[r]

と記されているように,時代・文化の差異を超えて「東洋哲学」を貫く理

その家庭の女の子に、 「お誕生日はいつ」と訪ねたところ、来年度から小学校に入学する学齢で

されつつある状況で した。 日本 の研究は、有名な第五世代 コンピュータ一 ・システム ( FGCS) ・プ ロジェク ト を踏襲 した もので した oFGC Sは 、1 982

[r]

[r]