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キャリア移動特性を用いた放射線検出器の特性評価

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Academic year: 2022

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キャリア移動特性を用いた放射線検出器の特性評価

著者 中川 央也

発行年 2018‑12

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00026675

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(課程博士・様式7)(Doctoral qualification by coursework,Form 7) 

学 位 論 文 要

Abstract of Doctoral Thesis 

専 攻:ナノビジョン工学専攻 氏 名 : 中 川 央 也

Course :  Name: 

論文題目:キャリア移動特性を用いた放射線検出器の特性評価 Title of  Thesis: 

論文要旨:

Abstract: 

ヒ 2

本論文は,半導体放射線検出器においてキャリア移動の観点からその特性評価に関する 研究である.放射線検出器には主にシンチレーション検出器や半導体検出器がある.シン チレーション検出器は放射線を光に変換し,光電子増倍菅やフォトダイオードなどでその 光を検出するため,光の拡散によって空間分解能が低下する.一方で,半導体検出器では 放射線を直接,電気信号として扱うため,空間分解能の劣化を防ぐことができる.半導体 検出器ではこれまで一般的に, Siや Ge検出器が用いられている.しかしながら, Siは原 子番号,密度が小さく高エネルギーX線の検出に適さない.また, Geはバンドギャップが 小さく,冷却を必要とする CdTe半導体放射線検出器は,原子番号,密度が大きく, X 線の検出に適している.また,広いバンド、ギャッフ。を持つことから熱雑音の低減ができ,

室温動作が可能である.そのため 室温動作が可能な X線半導体放射線検出器として期待 されている.しかしながら,これらの優れた物性を持っているにもかかわらず, CdTe検出 器は長時間利用での不安定性が報告されており, CdTe検出器の課題となっている.この不 安定性は,推定される原因からポラリゼーションと呼ばれており,ダイオード構造を持つ 検出器でのみ発生が確認されている.CdTe検出器のポラリゼーションは,電荷蓄積モデ、ル で説明されることが多いが,オーミック型検出器で発生しないなどの説明ができておらず,

ポラリゼーションは未だに議論の対象となっている.

半導体放射線検出器では,半導体内で発生したキャリアの移動が極めて重要であるがポ ラリゼーション下でのキャリア移動の計測は,多くおこなわれていない.そこで, CdTe放 射線検出器においてキャリア移動特性に着目し,ポラリゼーション下でのキャリア移動時 間の計測を行い,評価した.一般的なエネルギースペクトル測定では電荷有感型増幅器か らの出力信号を波形成形することでエネルギースペクトル測定を行う. しかしながら,波 形成形の際に,キャリアの移動時間の情報が失われてしまう.そのため,キャリア移動時 間の計測のために波形成形を行わず電荷有感型増幅器の出力信号を直接扱える装置を開発

(3)

した.本装置では,検出エネルギーで、ある波高値に加え,検出信号の立ち上がり時間も同 時に計測を行うことが可能である.

ポラリゼーション下でのCdTeショットキー検出器のキャリア移動時間は,まず,時間経 過とともに徐々に長くなることが確認されたが さらに時間が経過するとキャリア移動時 間が短くなることが確認された.この傾向は電界分布の変化だけでなく,空乏層厚の減少 を意味していると考えた.

次に 241A mエネルギースベクトルからによる空乏層厚の減少の経時変化を推定した.空 乏層の減少はキャリア移動時間が短くなる点で開始されていたことが確認できた.したが って, CdTeショッ トキー検出器のポラ リゼーション下でのキャリア移動特性において,電 界分布に加え空乏層厚の変化が極めて重要であると考えられる.また,電荷蓄積モデルか ら提案されている電界分布を用いてモデ、ルでのキャ リア移動時間の時間変化の計算を行っ た.結果として,実験から得られたキャ リア移動時間の時間変化は,電荷蓄積モデルから 計算したキャ リア移動時間の時間変化と同様の傾向を示した.

次にショッ トキー検出器との比較のために CdTeオーミック検出器でも同様の測定を行 った.オーミック検出器では,エネルギースベクトルのみならず,キャリア移動時間の経 時変化も確認できなかった.これらの結果から,オーミック型の CdTe検出器では時間経過 による電界分布の変化がなく電荷収集効率の低下が起こらないことを示唆する.CdTeショ ットキー検出器と CdTeオーミック検出器の大きな違いは有感属領域となる空乏層の存在 であり, 空乏層の有無がポラリゼーションの発生に大きく影響を与えることが示唆された.

これらの結果から CdTe放射線検出器のポラ リゼーションの推定モデ、/レの妥当性が確認 できた.放射線検出器の特性評価において,キャリア移動特性の解析は極めて有効である.

今後,空乏層領域の時間変化,深いアクセプタの時間変化などを行うことでポラ リゼーシ ョンの原因究明につながると考えている.

参照

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