一一総 説一一
193
高 分 子 と く す り
杉 山
男ホ
M a c r o m o l e c u l e s a n d D r u g s Kazuo SUGIY AMA
l 緒 言
近年,特異な機能を賦与した材料として,機能性高分 1‑5)
子の開発が注目を集めている。 なかで、も医用高分子は,
機能性高分子に関する研究の主要目的の一つであり,ラ イフサイエンスに関連した多くの学際領域における知見 の集約として,さらに発展が期待される分野である。こ こではとくに薬理活性を示す高分子に焦点を合わせ, 30 年ぐらいまえから現在民至るくすりの高分子化について の研究の解説を試みた。
きて,くすりは深刻な副作用や消化器官への刺激を与 えるものが多L、。また,嫌な味ゃにおい,注射時の痛みノ
なども伴う。そのため,従来からオブラートに包んで服 用したり,マイクロカプセJレ化して薬効に持続性を与え たり,界面活性剤に混ぜてくすりの体内分散や吸収速度 を調節するなどいろんな工夫がなされている。また,投 与方法も経口投与,坐薬,注射,噴霧,塗布,貼布など が必要に応じて採用される。しかし,乙れらは便宜的な 場合が多い。くすりのマイナス面の根本的な改善にはく すりそのものに化学修飾の手を加えることが有効であろ う
i
〉既知のくすりを有効な誘導体に化学修飾する試みは 新薬開発の出発点でもある。たとえば,サリチル酸の強 い胃腸障害がアセチル化で、改良され,アスピリンとしてα /
び α
/
広く用いられている。さらに,アスピリンアルミニウム は腸管内で始めて分解して2分子のアスピリンぞ放出する ので副作用は一層減少する。このように化学修飾は薬理 活性物質中のOH,NHゎCOOH,SHなどの官能基を利 用して実施されることが多い。
本稿では修飾基に天然および合成高分子を用いてくす りを修飾する,いいかえればくすりを高分子化する意義 や構造と薬効の関係について高分子合成の立場から概観 する。また関連して,高分子自身がくすりとなる薬用高 分子についてもふれる。すでに医薬品と高分子に関する 総説7,8)や成書9‑13)があるので合わせて参照されたい。 ノ
昭和58年12月2日受理
*工学部工業化学科
2 薬理活性高分子の設計
薬理活性物質を高分子イじする目的はa)高分子が薬剤ユ ニットのキャリア一分子としてくすりを担持できる, b) 薬剤ユニットを徐放することで薬効の持続性と安定性の 向上をはかりうることにある。すなわち,目的の生体部 位まで輸送された高分子化医薬は加水分解や酵素による 分解をうけ薬剤ユニットを放出する。乙の放出速度をく すりの高分子化で制御しようとするのである。これによ って薬効の安定化や毒性の軽減が期待される。乙のとき,
ただ単にくすりをゆっくりと放出するのではなく単位時 間当り一定量を放出する乙とが要求される。これをZero
14)
order releaseと呼ぶ。 そのためキャリアーとなる高 分子はa)生体内を移動で き, b)生体との親和性があり,
c)特異的にターゲットに向かつて生理活性物質を命令通
194 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 N. o17
りに放出きれなければならなし、。そ乙で、高分子自身はa) 時的にキャリア一分子に固定されている。乙のように目 溶解性(水溶性または脂溶性)であること, b)無毒はも 的を果たしたあと修飾基は不用となってはずれるような,
ちろんアレJレギーを起こしたり,発ガン性がない乙と, 一時的な結合でくすりを化学修飾した誘導体はプロドラ c)排泊され,蓄積されないこと, d)体内で分解しても分 ッグ(Prodrug)と呼ばれるぞ
解生成物が無毒であることなどが必要である。きてキャ Ringsdorfらは高分子プロドラッグの基本的な構造 リアー高分子でくすりを化学修飾するとき,くすりはーノ のモデルを示した!ちキーム1である。それは8つのブ
/
2
P o l y m e r b a c k b o n e ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ b i o d e g r a d a b l e o r b i o s t a b l e
3N o n t o x i c , w a t e r o r l i p i d s o l u b l e
s e
4LPa
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・ 可
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E E P 3 白
﹂ 白
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﹄
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p =
W ・
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d
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ununH nH
︑
1・ ・1EHunUHv
nu
‑‑ .
. .
︑ ︐
・n μ P3可
t ‑
m v d
O﹄HnHPし
nV
‑1
‑
Scheme 1 /
ロックからなる。第一のブロックはポリマードラッグ全 体を無毒にし水溶性や脂溶性にする部分,第二のブロッ
クは医薬ユニットを直接またはスペーサー基(接続基) を介在させて固定し,加水分解などで放出する部分,第 三のブロックはポリマードラッグを目的の生体部位まで 輸送し吸着させる部分である。
以上の目的や条件を考慮して,高分子プロドラッグ化 は実施されるが,ほとんどの場合既知の医薬品を手がか りに設計が進められる。そしてくすりを物理的あるいはノ
11 .
S p e c i f i c t o b i o l o g i c a l t a r g e t s V a r i a t i o n o f t h e b o d y d i s t r i ‑ b u t i o n o f p o l y m e r s
化学的にキャリア一分子に担持させる方法がL、ろいろ工 夫される。イオン交換樹脂民高分子塩として固定する方 法,くすりと高分子化合物を単に混合・圧縮して複合体 とする方法,さらに高分子合成の立場からポリマードラ ッグを設計・合成する方法などがある。有機化学的はく すりを高分子修飾するにはつぎの 3種の手法がある。
i)は主鎖に医薬ユニットを組み込む方法であり, ii)は 高分子反応で、医薬ユニットを側鎖にペンダントさせる方 法である。このとき,直接医薬ユニット在国定すると薬
x +庄豆│ r W i t h o u t
X S p a c e r
﹃ 凶
111
F'
nu
‑
円
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nk
一u
u‑
Fし
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‑
= R U M
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﹄
︐EE
H n
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CH2=S~
• S p a c e r I D r u g l
P o l y m e r i z a t i o n
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u‑
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‑F SH
‑ 一
n υ
一
円/﹄llli1
FEM
4
‑ F
Scheme 2
W i t h S p a c e r
W i t h o u t
S p a c e r W i t h S p a c e r
高 分 子 と く す り 195 効が失われたり,また,医薬ユニットの放出が困難なと
きはスペーサーを介在させる。jjj)は医薬ユニットを重合 性のモノマーに誘導して単独重合や共重合によって医薬 ユニットをポリマーに組み込む方法で、ある。この場合も 必要に応じてスペーサーを介在させることがある。
一方,くすりをプロドラッグ化した高分子医薬とは異 なって,薬効のわかった特別な医薬ユニットを含まない のに薬理活性をもっ高分子医薬が多数あり,主としてス クリーニングによって活性が検索される。乙れらは本稿 の主題から離れるが,新薬開発の観点から重要と考えら れるので,まず高分子医薬から話をすすめる。
8 高分子自身がくすりとなるもの
もともと,プラスチックス,接着剤,糊剤,顔料分散 剤などに用いられている高分子が分子量,共重合組成比,
あるいは架橋度を調節したり,親水性にするなどある種 の化学修飾を加えると特定の薬理活性を示すようになる。
乙れらを構造別に例を挙げよう。
3.1 ピニル系
分子量8万程度のポリピニルピロリドン
1
は血柴エキ スパンダー(増量剤)として知られている。しかし現在一十
CH
2‑CH →
γーふ o
一十
CH
2ーCH 「 →
。 NH
23
の
2
一 tCH
2‑CH ‑ t
γ一
CONH
24
はもっぱら分散剤ゃけんだく剤として製剤に使用される。
なお ,1は赤血球を凍結乾燥するときに受ける損傷から 赤血球を保護する役割をもち, 4 %生理食塩水溶液の状 態で市販されていた。ポリピニJレピリジンNーオキサイ
ド2も代用血柴に用いられるが,珪肺治療にも効果があ る。ポリアミノスチレン8は消化器系の潰窮民有効であ る。また,ポリアクリJレアミド4とシクロヘキシJレスJレ ファミン酸ナトリウム,サッカリン,砂糖,香料の複合 体は胃や十二指腸の潰鹿治療に用いられる。
一方,アリJレメタクリラートーメチJレメタクリラート 共重合体でゆるく架橋したポリアクリル酸5やポリメタ
CH
3ー十
CH
2‑CH →
n 一十CH
2‑C → 了 一
COOH COOH
5 6
クリJレ酸6,また,砂糖のポリアリーJレエーテJレで、架橋 17,18)
した水溶性の5は緩下剤K用いられる。' 乙れらは酸性 では変化しないが中性やアルカリ性の水溶液中では数倍 に膨潤する。すなわち,胃では変化しないが腸で膨潤す るため緩下剤となる。さらに5と6は抗ウイルス性を示 し1,9)5のナトリウム塩はWalkerガン256K躍ったマウ
20)
スの寿命を延ばすといわれる。アクリル酸,メタクリJレ 酸,無水マレイン酸,フマJレ酸モノエチルなど不飽和カ ルボ ン酸をジピニJレグリコールやジビ、ニルベンゼンなど のはしかけ剤でゆるく架橋した樹脂は下痢止め剤として 有効である
1 1
〉無水マレイン酸とαーオレフィン,R
ーCH
=CH
2(R=C
l'' ' ' ̲ ' C
sのアルキル基またはC
1"",̲,C
3のアJレ コキシ基)との共重合体をクロトン酸ピニルで橋かけし22)
た樹脂も下痢止めになる。さらにエチレンー無水マレイ ン酸共重合体は抗腫虜性を示すという
1 0 )
一十
CH
2一 CH →
γ ー十CH
2ーCH →
TC=O 〆'n N‑R
‑、N
→O ( C H
2)2( 0 N )
7
8
~卜 CH2ーCH 寸「ーイト CH2ーCH →了
0 ← 中 。 N(CH 3
)2S 0 3 N a
9 10
モJレホリンをペンダントしたポリマ‑ 7や Nーオキシ 23) ドのポリマー8,9は抗ガン性が認められている。また 水に難溶のポリスチレンスJレホン酸ナトリウム10やカル シウム塩は腸内のカリウムイオンと結合して,体外lζ排
196 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 N o.17
植する作用があるため,急性・慢性の腎不全による高カ リウム血症治療に用いられる。
きて,虫歯を予防するためにフッ素イオンを含んだ飲 料水,練り歯磨き,口撤ぎなどが用いられる。乙れらは 歯用剤からフッ素イオンが放出され歯の構造中にとどま り虫歯を予防すると信じられている。最もポピュラーな 化合物はフッ化ナトリウム,フッ化スズ,フッ化アミン 類であるが,これらは余り有機化合物にとけない。しか もフッ素イオンの放出を制御できない。そ乙でメタクリ ル酸フロリド(MF)とメタクリル酸メチル(MMA)の共 重合体11を歯用剤とする試みがなされた!日6)11のフイ
Jレムを370C.リン酸パッファー(pH6.98)中に浸し,フ ッ素イオンの放出速度が調べられている。共重合体の組 成比と1日当りのフッ素イオンの放出量を表1にまとめ る。 11はフッ素イオンを徐放するので充分実用化しうる
歯用剤となろう。なおフッ素イオンを放出したあと.11 は酸無水物12となる。
2ーメタクロイルオキシエチJレトリエチJレアンモニウ ムブロミドとNービニルピロリドンの共重合体13は抗菌 性があり,トリエチルアンモニウムやIθの濃度が高く
27)
なると抗菌性も増す。 また,スズ右含むピニルモノマ一 類がスチレン,無水マレイン酸と8元共重合された??こ
CH
3CH
3一一一
CH
2ーC
一一一……CH
2ーC
一一一C=O C=O
F OC 見
1 1
一 O H
一
︑
C / f
‑
︑ X│C/
一 比
0 ロ C
/
¥
活¥︿
│ 〆 C { n m o
C
CH
3CH
3CH
3CH
3一 一
CH
2一C
一一一CH
2一C
一→ ー CH
2ーC
一一一CH
2ーC
一一一→ O=CF O=CF O=C‑OH O=C‑F
CH
3一一
CH
2ーCH
一 一CH
2一C
人 己 00CH
2CH
2N ( C
2H
s)3 B r
8( i = 0 又は I
匂1 3
CH
3一一
CH
2‑CH o
一 一CH
2一C d = O M
一一一一一CH‑CH ム o
一一一I ' " /
o 0 Sn(CH
3h
Table 1 In vitro release of ions from various copolymer a) films Mole fraction of
F8 content in weight/are FG released/ day at M F units in the steady lo state in %of polymer the polymer (%) in mg・cm2
total load 0.225 4.39 2.79 0.03 0.368 7.31 2.13 0.04 0.494 9.97 2.28 0.06 0.663 13.67 7.19 0.19
1.000 2.43 0.52
a) copolymer of methyl methacrylate and methacrylic
f 1
uoride.高 分 子 と く す り 197
とえば14である。 14はStaphylococcusauγ'eus
,
Escherichiαcoli,
Bαcillus subtilisなどに抗菌活性 29) をもっ。また, 15も抗菌性ポリマーとして開発された。‑f‑ CH
2 ‑CH →
γ氏 H
2吋 (CH
3)2R
R= ‑CH(CH
3)2,‑CH
2CH
2CH
2CH
31 5
3.2 付加縮合系原素・ホJレムアJレデヒド樹脂で水にはあまりとけない
I OH I OH
+←十 CH
2→ 十 十 一CH
2I X I X I n 1 6
性が検討されており,殺菌性界面活性剤として期待され ている。 17のモデ、ル化合物であるダイマー型オリゴマー
18の抗菌性も検討されている
3 2 )
Q OE ‑ ‑ CH
C
9H
19OE CH
2一 一 ト k
r X C
9H
1911 E=
十CH
2CH
20
台ヨ百H
X=̲̲;̲CH
2C l
,‑N0
2,‑CHO
,‑NH
2O ‑ t CH
2CH
20 ‑ t n H 0 キ CH
2CH
20 → τH R ハ 一 一 CH
2ーA R
A T 1 A
R R
1 8
R=t‑C"H
9, n‑C"H
9, n‑C
6H
13A = CHO , N0
2, NH
2が無色,粉末のオリコ。マーは t<Anaflex"の商品名で市 販されており,ニキピ,尿道炎,鼻炎の治療に有効であ る。フェノールとホルマリンからノボラック樹指をっく り,乙れにエタノール,
nC
16H
33NHCH
ゎ ヨ ウ 化 メ チ Jレなどを反応させて得られる樹指16は殺菌性樹脂として 病原菌を含んだ汚水処理民有効である。乙の樹脂の0.5%水溶液はStaphylococcusaureusの99.99% 以 上 .̲ .. ̲ 30)
を殺すとL、う。
高分子界面活性剤(ポリソープ)は通常の界面活性剤 (モノソープ)より表面張力低下能や浸透作用は劣るが 可溶化力や分散力に優れている。オリコeマー型界面活性 剤は両方の性質を兼備しかっ低毒性であることが知られ ている。そ乙で, p ‑ノニルフェノールとパラホルムア ルデヒドから得たフェノール・ホルムアJレデヒド樹脂に クロロメチル基などを導入してオリゴマー型界面活性剤 17を得た。31)17は大腸菌など12種の菌に対する抗菌
CH
3(CHA 一 S t k
)mmA8CH
3X= H
,C l
,R= CH
3,C
16H
33m=1‑‑9 , A=Br , I
3.3 重付加重合系
ポリマー19は抗ガン性があり, Saγcomα180, Ehγlichガン腫,Leτρis肺ガン腫を移植したマウスに
23)
対して抗ガン性を示す。 19は2種の置換基が種々の割合
H N R + H
FUH
Fし
nvHHFU
(一︺ OIC
H C
H
FU1 0 0 1
I
11r 一¥
11→ + C H
2CH
2ーC‑N N‑C‑CH
2ーCH
2←
I L/
1I
R い
19 R= ‑ t CH
2今ilCH
3: ーCH
2CH
20H
1 0 ‑ ‑ 3 0 必 :9
ト7 0 %
‑CH
2一 C
6H
s:ーCH
2CH
20H
1 0 ‑ ‑ 5 0必: 9 0 ‑ ‑ 5 0必 キ CH
2七CH
3: ー CH
2CH
20H
1 0 ‑ ‑ 5 0
必 :9 0 ‑ ‑ 5 0
~ちーや
CH
2九 CH
3 : ーCH
2CH
2N(CH
3)21 0 ‑ ‑ 3 0 必: 9 0 ‑ ‑ 7 0 9
ぢ198 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 陥 17
で導入されている。 20と21もまた抗腫鹿剤として開発さ れた
? M 4
〉O r
CH 2 CH 2 ‑C‑N N 十一
1 1
¥̲一/ I
o Jn
r
0 0
寸I r¥
11, ¥
11I
ー ト N N‑CH 2 CH 2
ーC‑N N‑C‑CH 2 CH2 十
I ¥ ̲ / ¥ ̲ / い
21
1.1ージメチルヒドラジンを主鎖lと含むポリマー22も 得られている。35)
CH
3CH
3CH
2= C ‑C‑N ‑C‑C = CH
2+ HS
ーR‑SH
一 一 歩 11
1 11
o N 0
/ ............
CH
3CH
3TH CH S‑R‑S‑CH2
ーCH‑C‑N‑C‑CH‑CH 汁
1 1
1 1 1 1
o N 0
10/ ........ 、 、 」 一
22
‑R
ー : 十CH , ‑ ぺ 0 ‑ ,
ー ひ CH2 , o ‑ ‑
‑ o ‑ CH2CH2 ‑ D ‑
3.4 糖およびポリペプチド系
直鎖状グJレカンのパキマラン(Pachymaran)やレン チナン(Lentinan)はすぐれた抗腫鹿性を示す?〉また,
分子量7.5""10万のデキストラン(とくに Bacterial dextranという)23は血液エキスパンダー(増量剤) として知られている。これは細菌や酵素で生産されたデ キストランを希酸で部分分解したものを生理食塩水に6
%溶解させ殺菌したものである。また硫酸エステルは血
CH
2H fi‑一仏 H
qEEJLO
ーCH
2OH
"'卜一一一γ
lH OH I ; I /'ナー O"H
ト, OH H Y
ーO OH
寸一一一一γ
OH
23
液凝固防止剤としてヘパリンの代用に用いられる。さら に鉄との複合体は鉄欠乏性貧血に用いられているoデキ ストリン類似グJレカンとして,無水Dークツレコースから ポリリン酸エステJレとの反応で得た無色粉末の水溶性グ
Jレカンは酸化を受けておらず,ショ糖の硫酸エステルア ルミニウム塩が整腸剤として用いられているように医薬
7部)
品の担体として利用される可能性がある。
ポリペプチドで欄を示すものがあるグ}ポリーαーアミ ノ酸ジカJレボン酸エステル(たとえば,ポリメチJレーαー ポリーLークツレタメート,ポリメチJレー
α
ーポリ一DLーア ミドアジペート)やポリアミノジカルボン酸無水物(た とえば無水ーポリージアJレキJレエチレンジアミン)とジア ミン(たとえばエチレンジアミン,s‑
ジアルキルエチレンジアミン)から得られるポリペプチドである。典型 例として,ポリメチルーαーポリ‑Lークソレタメートとエ チレンジアミンから得られるポリペプチドの塩酸塩24は
0
‑NH‑CH ‑C‑ n (CH
2)2C=O
NH( CH2 ) 2 N H2 .HCl
24"Polyaηth仇"と呼ばれ結核菌,ブドウ状球菌に対し抗 菌活性がある
1 9 )
4 天然高分子と医薬品の複合体
医薬品を担持した高分子医薬品は生体内で薬物の放出 が終了するとともに担体である高分子の存在は不要とな るので,生体適合性とともに生体消化性を有するキャリ アー高分子材料の開発が望まれている。アルブミン,コ ラーゲンのような天然のタンパク質や合成ポリアミノ酸 (ポリペプチド)をキャリア一分子とする研究がこの範 ちゅうに入るものとして多くの研究者によって行なわれ て い 社42)すなわち乙れらが生体内の代謝経路氏従って
高 分 子 と く す り
消化されるためである。以下に例をあげよう。ポリ(L
‑アラニン),ポリ(
r ‑
ベンジJレーL‑ク、、ルタマート),ポリ(
r ‑
メチルーLークツレタマート)と男性ホルモンテス トステロンの複合体は, in vitroやinvivoでテスト ステロンの溶出速度やペプシンなどの消化酵素によるキ ャリアーの消化性が検討されており,ポリ (r‑ベンジJレーL‑クツレタマート)との複合体が特に優れていることが 43)
わかった。また,塩酸ブレオマイシン,マイトマイシン C. 5‑フJレオロウラシルなどの制ガン剤と人血清アルブ ミンやグロブリンなどのタンパク質との複合体について 制ガン剤の徐放性やタンパク質分解酵素存在下での放出 速度が検討されている。同様に,加圧一加熱溶融で得た44)
アルブ、ミンやグロブリンとテストステロンの複合体につ いても調べられている。さらに人血清アルブ、ミンやコラ45)
ーゲンと 2‑ヒドロキシエチルメタクリラートなど2.3 のビ、ニJレモノマーからなる高分子を担体とした塩酸ブレ オマイシンの複合体についても,その徐放性や酵素分解
46) 性が検討されている。
同様の研究はポリ酪酸と制ガン剤であるシクロホスフ アミドやcis‑ジクロロジアミン白金(n)錯 体 と の 膜 状
47) 複合体がラットをつかって徐放性が調べられている。
また.5‑フJレオロウラシJレとポリグリコール酸との複合 体でも制ガン剤の緩除な放出が確認されている。48)
5 イオン交換樹脂を担体とする高分子医薬
カチオン交換樹指やアニオン交換樹脂に医薬品を固定 化し,徐放性を期待した高分子医薬が多数アメリカ特許 に登録されている。乙の場合医薬成分はイオン交換樹脂 と高分子塩の状態で固定イじされている。
5.1 カルポン酸型カチオン交換樹脂
橋かけしたカルボン酸型カチオン交換樹脂(例えば Amberlite IRC‑50)に鎮遮剤のアトロピンやホモアト ロピンを高分子塩として固定した例,鎮咳性のアザフェ ノチアジン25をAmberliteMicro XE・64HK固定
。 :
。 。 一 日 一 ?‑CH3 NH2
2 5
O‑TH‑TH
ーCH 3 OH NHCH 3
27
CH
3‑N ー「てlI'i
fγγ""'OCH 3 I l . . . . ノ 一 一 0
OH 28
199
イじしたもの
1 0
覚醒剤アンフェタミン2 6 .
気管支けいれん 緩解剤エフェドリン2 7 .
および鎮痛・鎮咳剤コデイン2 8
を固定化したイオン交換樹脂もある
i l )
コバルトを含むカ 52) ルボン酸型樹脂は糸状菌などの感染防止に効果があり,銅を含むものは皮膚炎に有効でローション,クリーム,
軟乙うとして用いられる?)
5.2 スルホン酸型力チオン交換樹脂
スJレホン酸型カチオン交換樹脂ζlネオマイシン硫酸塩 54)
を担持させたものは抗菌活性がある。 Keatingは 多 数 の塩基性窒素を含む医薬品をスJレホン酸型カチオン交換 樹脂に結合させ,経口投与したのち薬効の維持や毒性の 低下を期待し
T F T
ことえばエフェドリン,プロマジン,コデイン,メトポン,アトロピン,あるいは抗ヒスタミ ン剤ピペラミン29.ピリベンズアミンを固定化した高分 子塩は食欲抑制,血圧降下,抗ヒスタミン性,泌尿器系
H C O
H 1
Jd︑c f
﹄
N t
﹁
m u
H H C C 弘 一
ClN ヘ
ヨ
の鎮痛,鎮痛や鎮咳,ケイレン緩和,筋肉弛緩などの生 理活性を示す。同様にモルヒネ型の麻酔薬や抗ヒスタミ ン剤の高分子塩が開発されている。 7.......,8%はしかけし たスjレホン酸型カチオン交換樹脂を20""50メッシュの粉 末にしこれにモルヒネ,コデイン,ジヒドロコデインを 作用させて高分子塩としたものは鎮痛期間の延長が認め
56) られている。
5.3 アニオン交換樹脂
ゲンチアナの根中に分布する解熱鎮痛薬ゲンチシン酸 30.ホモゲンチシン酸31をポリアミンーアJレデヒド(また
ω l s H o b o H 30
:
か ONa
32
200 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 No. 17
はケトン)型アニオン交換樹脂XE‑581ζ 担持させた高 57)
分子塩はリウマチ性関節炎に効く。'また,ツピニルベン ゼンではしかけしたポリスチレン型強アニオン交換樹指 に催眠剤,'¥ルピツーJレ酸32類,たとえばアミロパルピト ン,チオパルピトン,キナJレパJレピトンのナトリウム塩 を担持した高好塩が合成されている?〉さらに,アンバ ーライト lRA400やDowex型アニオン交換樹脂にペ ニシリン類のカリウム塩ぞ担持させた複合体は薬剤ユニ ツトの徐放性が優れている?)
6 主鎖に薬剤ユニットを組み込んだもの
主鎖中ζl薬理活性成分を含み,酵素分解や加水分解で 薬剤ユニットぞ徐放する医薬高分子がある。このように 化学修飾された高分子医薬は主鎖が分解し低分子となる のでキャリア分子は体内にとどまる乙とが少ないと考え
られる。
きて,イソシアナートと第一級アミンを反応させると 尿素結合を生じる。尿素結合はさらに第2のイソシアナ
R H
N J
則
一 M
o l e
‑ a
‑ 白 ト
V
H K N I
R
町o
一pし
N
一 一R
o 0
R"‑N=C=O 11 11
R‑NH‑C‑N‑C‑NHR"
1 1
R
' b i u r e t b o n d
一トが反応してビ、ュレット結合になる。この反応はポリ ウレタン合成反応の末期に重要となる。 Voglらはこの 反応を利用して抗マラリア剤プリマキン(Primaquine) の高分子化を試みた
! O )
オリゴマー33はプリマキンとジフェニルメタンジイソシアナートまたはヘキサメチレンジ イソシアナートから得た高分子抗マラリア剤である。乙 のときプリマキンの第一級アミンのみが反応して第2級 アミンは反応に関与しない。 33の固有粘度[η]はO.1
H N
斗砲
H
円 し'T 3
︑ J H H
A︑
N C l C
γ
目且ヘ一へ 〆
l N
〆 ー ︑
H
¥O H C
+O=C=N‑R‑N=C=O
一一一一+‑N‑C‑NH‑R‑NH‑C‑
(CH
2)sCHCH 3
b NH ぅ CH
3。
‑ R 一: ‑ Q ‑ CH2‑ Q ‑ . 刊 H2 九
dl/g (DMSO中.0.5%)で,加水分解するとプリマキ ン,二酸化炭素,ジアミンとなる。また,インフルエン
ザAP:抗ウイルス性を示し,パーキンソン病治療薬でも 60) あるアマンタジンもピュレット結合で341<:高分子化された。
スルホンアミドやスJレホンとジメチロール尿素とのオ
̲ .61‑66)
リコ、、マ‑35は抗マラリア性を示す。 スルホンアミド
時 H
20
A
11[ 1 1
+ HO‑CH2 ‑NH
ーC‑NHCH 2 0H S02R
R;‑NH2 ,NH‑J‑CH3'‑NHJO,
‑4‑ 叫 咽
高 分 子 と く す り 201 にはスルファニルアミド,スルファアセトアミド,スル
ファベンズアミド,スルファピリジン,スルファチアソ
‑)レ,スJレファメタジンが適用され,スルホンには4‑
アミノ‑4'‑ニトロジフェニルスルホンと4,4'ージアミノ ジフェニJレスルホンが用いられた。 8種のオリゴマー35
はStaphylococcuspyogenes, Escherichia coli, Aerobαcteγαeγogeγ'es
,
Pseudomonas Iと対する抗64‑66)
菌試験も行なわれ好成績であった。 同様にスJレホン アミドやスルホンとホJレムアルデヒドからなる樹脂
3 6
も66) 合成され,抗菌活性が調べられている。
NH
2中叩 0 ‑ ‑
‑‑‑‑;,S02R
止 R : 一 ζ ひ〉肌一咽 N
悶H
一
‑NH 工 ‑ Q
一 悶 肌 叩C ∞ 0‑( 色 〉
7 個IJ鎖に医薬ユニットをペンダントしたもの 機能性高分子を合成する重要な手段の1つに高分子反 能がある。乙れは高分子構造中のとくに側鎖の適当な官 能基を用いて合目的な誘導体とする方法である?)乙の高 分子反応を薬理活性物質に適用し,側鎖ζlぺンダントさ せる。乙のとき直接ペンダントすると薬効が失われる場 合にはスペーサー基を介在させる。以下ζlキャリア一分 子の構造別に例を挙げる。
Z 1 ポリピニル系
抗不整脈薬キニジンがN‑ビニJレピロリドン』無水マレ イン酸共重合体ζl直接C37a)あるいはスペーサーを介し
68,69)
てC37b)ペンダントされた。 37はホワイトマウスを 使って急性毒性テストが行なわれている。他にもミオカ イン,抗腫鹿剤メJレファランが同じ共重合体にぺンダン
68) トされている。
抗ガン剤メトトレキサート(Methotrexate)38がポ リビ、ニルアルコーJレ,ジピニルエーテJレー無水マレイン 酸共重合体あるいはポリイミノエチレン托ペンダントさ れ,白血病に躍ったマウスに対してその効果が調べられ
70)
た。ポリ‑LーリシンやカルボキシメチJレセルロースにも38 はペンダントされている。
一時的なスペーサーを用いると薬剤ユニットを容易に 放出でき,薬効の持続性が向上すると言われている。精 神病治療薬メスカリン
3 9
をジペプチド‑gly‑leu
ー を スペーサーとしてN‑ビニルピロリドンーアクリル酸共重 合体に固定したポリマ‑40は薬効の持続性の向上が認め‑CH 2
ーCH 一一 C H ‑ C H ー ‑CH2 ‑CH
一一一CH
一 一CH
一一OCH
3Q: 。 "‑/""‑.CH‑ υ ふ
1 1 1 /N , COOH COOQ
/ ト
O
w i t h s p a c e r 37 a
NH
2 /i"'也1 1 1
, N¥ COOH C=O
(>=0 1
¥.̲̲J
NH
(CH
2)sCOOQ w i t h o u t s p a c e r
37b 上 町 /CH2 ‑N ーイト C‑NH‑C‑CH2 CH2 COOH N‑‑Y
.l'lγ 1
'==11 1 1
H2N/~~N-.J
CH
30 COOH
38
,OCH
3H2 N‑CH 2 CH2 ー イ ラ ー OCH
3(=Mes) OCH
339
202 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 地 17
‑CH
2‑CH ‑CH
2‑CH‑CH
2‑CH‑
, N 、 COOH C=O
( ト
=0 I
¥ ̲ j gly
leu
4 0 Mes
られた最初の例であろう。
3 9
自体の投与では20時間以内 に体外へ排泊されてしまうが,共重合体40ではメスカリ7 ,172) ン成分は17日聞にわたって排泊される。,
ペニシリンをぺンダントした例がある~3)Ushakov は
酢酸ピニJレ‑NービニJレフタJレイミド共重合体をヒドラジ ンで処理して得たビ、ニJレアルコールービ、ニルアミン型共 重合体ζlぺニシリンを反応させ高分子ペニシリン剤41を 得た。
‑CH
2‑CH ‑CH
2一 CH‑CH
2‑CH
ーOH NH OH
ι 。 p
I C
C H ‑ N " " " ' ‑ ¥
CH 人 / ¥
,/CH‑NHCOR
う C 、 ~CH
CH
3〆
"
S /
R : 一品台 ‑ω‑0
また.Ushakovらは結核治療薬pーアミノサリチル酸 (PAS)をポリビニJレアルコールに担持させた注射用高分 子医薬42を合成した
4 :
〉COOH C O C l
f f NH
80C12 k" / ' / " PVA kr2
NH
2H H
e l l o
出 H
C 0
一
O / H
= v l / H
c j
o i
e ‑
r l
N
H C
H H
FU lz nu
H
pu
42
42は水溶性でウサギを用いた実験でPAS自身より排 植に時間がかかり,またinvitroですぐれた抗結核性 を示すとL、う。
ビタミンB}(チアミン)43の高分子化も行なわれて 75)
いる。 ポリN‑アクリロイルシスティン,ポリピニJレチ
CH
3亡 己 ; : コ ヨ
⑦'-'~~プ ω H
オーJレ,デンプンジメチルカプトトリアリJレエーテJ,レ N‑アクリロイルおよびNーメタクロイJレシスティンなど チオール基をもっビニJレモノマーとスチレンやメタクリ
Jレ酸メチルからなる種々の共重合体に高分子反応でチア ミンを結合させた。これら高分子ビタミンB}剤の安全性 や体内吸収性が検討されている。その結果,チアミン塩 酸塩に比べて高分子誘導体は体内吸収性が良好であった。
さらに,医薬品ではないが,各種害虫駆除剤がスチレ 76.77) ンー無水マレイン酸共重合体にペンダントされている
α
Li)。。 人 介 。
。
← 01=O
…合 O H O ‑ N = 叩
S
叫また,白血病治療薬5‑フッ化ウラシJレ(5・Fu)がポリ グリシジルエーテルに担持された。45は薬理活性を保持
78) したまま毒性を抑えることを目的としている。
高 分 子 と く す り 203
CH
35~Fu
→ CH
2‑C → 了
COOCH
2一 CH‑CH
2¥0/
o
CH
3HN ヘ , / F
十 印
2 4 寸 JV
COOCH
2一 CH‑CH
2OH 45
Z2 ポリエーテル系前出の抗マラリア剤でマラリア原虫に抗生殖体作用が 強いプリマキンがポリエピクロルヒドリンにペンダント
60) された。 46である。
ポリエチレングリコール(PEG)は溶解性にすぐれ,
人体に全く無害で、かついろんな重合度のものが入手しや すいため低分子医薬品のキャリア一分子として非常に有
1 .
COCz I 2 .
procaineHO t ‑ CH
2ーCH
20 七 CH
2CH
20H
Table 2 Rabit eye correal anethesis of 47
CH30 、~ ~ 十‑C
H
2CH
ー0 → τ + L
~J
可~、 N"
CH
2C l
ll~HNCH(CH
2hNH
2CH
3Pri
→ CH
2‑CH‑0 サ十CH
2一 CH ート
YDMF
I I
~
CH
2CH
2C l
Pri46
用である。重合度4と400のPEGK局部麻酔薬プロカイ ンをペンダントした麻酔薬47が開発され,薬効がウサギ
79)
の角膜に対して調べられている。 47の水溶液を点眼し たのち目を刺激して,マパタキをするかどうかで麻酔効 果一一薬効の持続性を確認している。
結果を表2にまとめる。PEGはもちろん麻酔作用はな いがプロカインでは15分で麻酔はきれている。一方47の 場合,麻酔の作用期間が明らかに長くなっている。乙乙
O=C
ーO
十CH
2CH
20 , . + CH
2CH
20‑C=O
NH NH
中 中 C=O C=O
o 0
CH
2CH
2CH
2CH
2N(CH
2CH
3)2N(CH
2CH
3)24 7
substance Grade a) at min.5 10 15 30 45 60 Procaine
。
1 2 2 2 PEG alone 2 2 2 2 2 Procaine/PEG 400 1。。
1 2 Procaine/PEG 4。。。。
1a) Gradiation of blink response
o
is no blink, ie., anesthesis 1is sl,
luinggish response k 2 is blink, ie., no anesthesisqhqrM円Gqru
204 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告
N o .
17 lζ,重合度4の方が400のものより持続性の向上がみら れるが,乙れは分子量の問題以外民生体膜への透過性や 分配係数の差に依ると考えられている。
7
.
3 ポリジク口口ホスファゼン水溶性のキャリア一分子としてポリホスファゼンは優 れている。ヘキサクロロトリホスファゼン48は重合して
C l C l
"'~/
f ' " "
N ' N C l
11
11
2 5 0
0 ̲ ̲J
P P
ー十N=P →
7 /I-~__/- \~c r / " N ' ¥ ' C l C l C l C l 4 9
4 8
ゴム状の無機高分子ポリ塩化ニトリルを与えるが架橋前 に反応を停止して得られる溶媒可溶(宮町やトルエン)の ポリジクロロホスファゼン49はナトリウムトリフルオロ
) ̲ . 80
エトキシド,'メチルアミン,イミダゾールやグリニヤ ー試薬83)と反応させると塩素原子が置換したポリマ一回,
5
1 .
52, 53が得られる。とくに引は塩酸塩であるため極 めて水に易溶で,その水溶液は塩基性(pH'8‑‑91 %w/v) である。このように49の cl原子はL、ろんな官能基とおOCH
2CF
3ー 十
N=P →
7OCH
2CF
35 0
NHCH
3 一+N=P →
7NHCH
35 1
I D
‑
→ ‑N=P
一寸τ
凸
52
I OR' R I
I I I I
JNhM1 I I
OR' OR' R=Me , E t .
n‑P r
o,
n‑BUR'=CH
2CF
3, Me , Ph
53きかえうるので薬理活性分子を結合させることによって,
活性成分の目的部位までの輸送や放出速度の制御が可能 な高分子医薬を合成しうる。
84)
7
. 4
アミノ酸アルキルエステルの導入491とグリシンエチルエステルやアラニンメチルエステ ルを導入したポリマー54.55,56は加水分解で無毒のア ミノ酸,リン酸およびアンモニアに分解することが確か められている。とくに55は水K可溶であり,代用血衆や さらに別の医薬品ユニットのキャリアーとして利用でき る。他民ロイシンやフェニルアラニンを導入したものも
NH CH
2COOC J l
s 一一十N=P
NHCH
2COOC
2H
s5 4
NHCH
3NH CH
2COOC
2H
s‑ ‑ ← N=P N=P
)0NHCH
355 NHCH
3‑+N=P
NHCH‑COOCH
3CH
356
NHCH
3得られている。これらのポリマーはフィルム形成能があ る。 56はpH7.4で速やかにグリシンを放出すると,ま た54もリン酸バッファーpH7.5中.250C K数週間浸し ておくと少しずつグリシンを遊離する乙とが確かめられ ている。
85) 6.2 プロカイン誘導体の導入
局部麻酔薬として知られるプロカイン57,ベンゾカイ ン58,クロロプロカイン59,ブチルーpーアミノベンゾエ
m‑OcomcH 〈 : : : : :
57
高 分 子 と く す り
H C
口 叫
o o
円 しC 8
合 5
N H
C l
H , N‑ O ‑ CO
叫CH 〈 : : :
削‑Q‑ COOCH2ω
(
ト 一 一 ← N=P NHR 一一→ τ
NHR
61
62N= 7 C H ヤ トP NHR ‑ ‑ ‑ t : ‑ t N= N P
I I
I I
ート60および2‑アミノー4‑ピコリン61を担持させたポ リマードラッグ62および63が合成されている。
ここに62.63中のRは麻酔薬残基である。
62と63は有機溶媒に可溶である。 62は水には難溶で あるが酸性の水にはとける。一方,63は極めて水にとけ やすL、。乙れらポリマーの平均分子量は4X 105......, 5 X
105程度で63のx:y:zは31PNMRから1:1: 1である ことがわかった。即ちP(NHCH3)z, P(NHCH3HNH R),およびP(NHR)zの31pNMRのケミカJレシフトは
8.5.および2.5ppm にありこれらの吸収が単純で等価 である。
82) Z 6 カルポキシル基をもっ医薬品の導入
ポリホスファゼン骨格に簡単なビタミンであるニコチ ン酸64.N‑アセチルグリシン65.抗ウイルス剤Nーアセ チル一DL‑ぺニシルアミン66.利尿剤p‑ジプロピルスJレ
P C O O H CH
3CONHCH 2 COOH 65
205
NHCOCH
3(CH
3)2C‑CH‑COOH SH 66
O
(CUCH2)2N‑j‑O‑COOH O
Cl‑( 下 ‑OCH2 COOH
、
C l
ファモイJレ安息香酸67.および除草剤2.4‑ジクロロフエ ノキシ酢酸68を導入した高分子医薬69が合成されてい る。合成経路をつぎに示す。乙乙で,カルボン酸誘導体 はペプチド合成に用いられる手法でジシクロヘキシJレカ
Jレボジイミド(DCC)によって付加させた。
I OPh C l I
NaOPh
I I J I
49--~̲ 斗← N=P→ァ十N=P寸τトー NaCl
I .
I
AI .
YI OPh OPhl I
si n d i o x a n e
L "n 11 ' v ~ ~~Nao‑
Q‑
CNi n d i o x a n e
0‑(
ちーCN
?Ph I
'==dN=P‑ →了寸ー N=P OPh OPh
NaBH4まIこlま NaAIH4 THF,ー780C
0‑( 下 一CH
2NH
z~Ph ¥
'==d
N=P
一寸τ
一十N=P
OPh OPh
206 近 畿 大 学 工 学 部 研 究 報 告 Nn 17
RCOOH, DCC, OOC
‑HzO, in THF
0‑(
下 一
CHzNHCOR~Ph I
'==1N=P‑ → ‑ ; ; ‑ + N = P
OPh OPh
ポリマー691<:1ま医薬ユニットは34%導入されている。
86,87) Z 7 ステロイドの導入
生体系でゆっくりと加水分解され,ステロイドを放出 するならば医薬品やプロドラッグとして有用となろう。
6種のステロイドがポリホスファゼ、ン骨格に導入された。
デソキソエストロン70,エストラジオールー3ーメチルエ ーテル71,1,4‑ジヒドロエストラジオールー8ーメチルエ ーテJレ72,エストロン73および17
s ‑
エストラジオーJレ74と17αーエチニJレエストラジオール75がとりあげら
H O ρ
s t > r W >
〉 ζ
72 73
広~_Æ5CSCH
7 4 7 5
れた。ステロイド類の導入はステロイドのナトリウム塩 とし49と反応させて行なわれ,さらにポリマーを水溶性 lとするためモノメチルアミノ化された。即ちステロイド のTHF溶液に過剰のNaHを加えてRONa( Rはステロ イド残基)とし乙れに49のTHF溶液を滴下してステロ イドをペンダン卜した水溶液のポリホスファゼン76を得 た。76は柔軟でフィルム形成能を有し,空気中で安定で
1 OR Cl
RONa
I
1 1I
4 9 ‑ ‑
‑NaCl ‑3>斗←l ' N=P‑ l' ←
x‑+N=P → ー + ー
、
1 .
Y1
in THF
L
Cl ClJ
nI
OR NHCH3CH3NHz
I ̲ ̲ ̲ 1 1 一 工特 N=P →
τ‑← N=P‑+.:
‑HCl 1
1 " I'Y L
NHCH3 NHCH31 n
76
ある。 76の重合度と良溶媒を表8にまとめる。
また, 76のモデ)レ化合物として77も合成された。
Table 3 Degree of polymerization of polymer 46 ROH
壬
‑NP(OR)x (NHCHx y 3)yうτGPCMw solvent70 0.10 1.90 1 X 106 EtOH, H20 74 0.26 1.74 1 X 106 EtOH, H20 74 0.70 1.30 1 X 106 THF 75 0.20 1.80 1 X 106 THF,EtOH 71 0.024 1.976 1 X 104 EtOH, H20 71 0.10 1.90 1 X 106 THF,H20 71 0.25 1.75 1 X 105 THF, EtOH, H20
高 分 子 と く す り
H 3 C H H C N H 一 N V H N l p
¥ 7
( /
¥ / 7
P N H ¥
〆
︑
q N 1 1 P 日 一
/H ヨ
H
抑
U { N H H 一 C
FU
Z8 白金錯体の導入
白金錯体の抗ガン性は Rosenbergが最初したヂ)し かしcis‑Pt
H
(NH3hC12のような白金錯体の臨床試験の 結果は著しい治療効果を示したが脊髄障害を与える副作
89,90)
用を伴うのが問題であった。 この激しい副作用を抑 えるためにいろんな工夫はなされているが.今まで完全 な成果はあがっていなし、。副作用の原因は低分子錯体の 場合腎臓の半透膜を通じて速やかに排泊されることによ ると考えられている。そ乙でキャリアーに高分子を用い るとポリマーは半透膜を通過できないので排油の速度を 遅くすることができる。このようなポリマーは水溶性で 無毒であることと白金を結合させるための配位サイトを 有していることが必要である。また,高い抗ガン性を示 すためには2つのシス塩素原子を含むことが重要である。
これらの諸条件を満足させる高分子としてポリ〔ピス(メ チルアミノ)ホスファゼン)51カ5ある。 51とK2PtC14 を18‑クラウン‑6‑エーテJレ存在下に反応さて一般式 (PtC12)x [NP(NHCH3h
J
n 78で表わせる高分子白金91)
錯体を得た。ここにx: n=1 : 17程度であり,柔軟な 熱可塑性のプラスチックで水に可溶である。ところでパ ックボーンの51は抗血栓性がある。 78の構造はモデル 化合物としてホスファゼンのテトラマー79とK2PtC14 との錯体PtC12[N4P4 (NHCH3)s
J
を合成して決定さ れた。 NHCH3NHCH31 1
CH3NH‑P =N‑P‑NHCH3
1 11
N N
1 I
1
CH3NH‑P ‑N=P‑NHCH3
1 1
NHCH3 NHCH3 79
C l p
N ど ヘ
f コ ̲ . : p
~I
、Pく
CHsNH、
1 /
CHsNH/、、よ/
"NHCa: P
CHs N 問 、 N
CH3NH
〆¥ー p l
N‑::::=戸,:::::::=‑~
I
"NH C H3 NHCH380
207
X線解析から錯体は骨格のN原子ICPtが配位した構 造80であった。したがって78も同様の配位をした高分子 と信じられており, 78と80の抗ガン性が試験されてい る。
Z9 デンプンおよびセルロース
p‑アミノサリチJレ酸(PAS)は結核治療薬として周 知であるが副作用が激しいので作用の緩和と副作用の軽 減を期待して,pASを徐放しうる高分子医薬81がジアJレ
、h
,
90
の4仏 80
z
q
b
比tId』3
w J
UEE A
b、角
~~>L。
NH2
+ 本 OH
C=O
│
ONa
H 。 か HO~
•
•
•
•
•
4 5 6 7 8 9 TIME ‑hours
F ig. 1 Rate of passage of NaPAS from a compound through a filter paper barrier when bathed in simulated gastrointestinal fluids.