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水稲の晩播、晩植栽培と稚苗

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Academic year: 2022

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(1)

Kyushu University Institutional Repository

水稲の晩播、晩植栽培と稚苗

立野, 喜代太

九州大学農学部

松尾, 恒喜

九州大学農学部

https://doi.org/10.15017/14117

出版情報:九州大学農学部農場研究資料. 4, pp.8-13, 1977-06. 九州大学農学部附属農場 バージョン:

権利関係:

(2)

8

水稲の.二二、晩植栽培と稚苗

       立野喜代太。松尾恒喜

 水稲を晩播して育苗の日数を変えると, その結果生育や出穂などにどのような影響があるか。

また,桿長,穂長,穂数や稔実性がどのように変化するか。そのばらつきはどうかなどを調査し,

晩播,晩植栽培における稚苗移植一移植時期を早めること一の重要性を明らかにした。

 1.材料と試験の方法

(1)品種:金南風,アリァケ,KUIn ar i

(2)播種:昭和45年7月15日

(3)移植:7.月25日(19日苗),8月2目(20日苗)・8月て2日(・50日苗)・8月22

     日(40日苗)

(4)施肥その他:基肥重点,その他管理は普通期栽培に準ずるg  2.試験の結果

(1)草丈澄よび分げつ数の推移

 草丈はいずれの移植時期に澄いてもS字状の生長曲線を描くが,第1〜5図で明らかなように・

育苗日数が長くなるほど,移植当初の草丈は稚苗に優っているが,その後ρ伸長が著しく遅く,40 日苗では稚苗との差が極端である。:Kumariは育苗日数の違いによる草丈伸長の差が,金南風 ア リアケ,2品種のそれより大きい。

 分けつ数は第4〜6図に示すように,移植時期の早い三一稚苗一ほど初期の分けつが旺盛で,

ことに10日苗の最高分けつ数が5品種とも20本(株当り)を越えているのに対して,40日苗 では移植初期の分けつが極めて緩慢で,生育後期に至るまで最高10本を越.えることはない。20

日苗,50日苗はそれぞれ両者の中間的な推移をたどる。さらに10日苗は5品種とも無効茎の発 生がみられるのに対し,20日以上の日数を経過した苗では,:Kumariの20日苗をのぞいて,そ れがみられない。

(2)桿長,穂長および回数

 弓長は移植時期が旧くれるほど一育苗日数が長くなるほど一短くなる。第7図に示されるよ

・うに,アリアケ,金南風では10日苗移植の弓長が60磁程度であるのに対し,移植の時期が遅れ るに従って短桿化の度合いを増し,40日苗では10日苗移植の丁丁の約1/2程度にまで短かく

なっている。

 穂長(第8図)は5品種とも,移植が遅れるほど短かくなる傾向が認められるものの,品種問で その榛相をいく分異にし,Kumariの短縮化が著しいのに対して,金南風ではあまりかわらない。『

アリアケは両品種の中間的な変化を示している。

(3)

第1図

   120    100

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   20

       第4図

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第2図

  120   100  草

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       第5図

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0 20 40

第3図

  120   100  草

   30

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一方,穂高(第9図)は10日苗より20日薪に移植が遅れる時期の減少が著しい。それより遅 く移植すると,さらに回数が減る品種(金南風 :Kumari)とそうでないもの(アリアケ)とがある。

(4)

10

立野喜代太・松尾恒喜

第7図

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  30

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・一一・ アリアケ

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第10図

着粒数および不稔歩合

0 10 ZO 30 4・0

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80 60

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20

金南島

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第8図

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第11図

三塁数および不稔歩合

0 10  20 30 40

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20

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第9図

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鯛着粒旧び不稔歩合

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(3)着粒数お・よび不稔歩合

 第10〜12図をみると,金南風 アリアケは20β苗移植の着粒数が多く,10日苗,50日

苗移植がや\減少し,40日苗移植が最も劣っそいる。また,:Kumar iは10日苗移植の粒数を最

(5)

高に,移植時期が遅れるほど急激に減少している。一方,不稔歩合は着粒数とは逆に,移植時期が 遅れるほど増加して憤り,その傾向は図に明らかなように,金南風ではS応手に,アリアケは縦軸 を軸とする放物線状に,・また,Ku皿ariは横軸を軸とする放物線状に増加している・金南風アリ アケでは,早い時期に移植(10日診よび20日苗)したものの不稔歩合がそれぞれ20〜50%,

20%以下と低いのに対して,40目苗の移植ではいずれも100%の不稔率に近い。また,:Ku mar iでは不稔歩合が比較的高く,10日苗移植でも・40%を越え・20日苗移植で80%に近

く,50〜40日苗の移植になると,100%に近い不稔率となる。

(4)稗長,穂長詮よび着陣数のぱらつき

 弓長のばらつき程度を標準偏差で示したのが第15図である。同図で明らかなように,移植時期 が遅れるほど桿長のぱらつきが増大している。金南風の20日苗移植で偏差値のいく分おちこみが みられるものの全般的には増大の傾向をたどる。な蛤,この図では標準偏差がぱらつきの指標とし て示されたが,これを変異係数(C・V)でかりに示したとすると,移植時期が遅れるに従って程 長(平均値)の短縮化が認められることから・ぱらつきの増大傾向がさらに明瞭に薫ることが予期 できる。組長(第14図)も桿長と同様に,移植時期が遅れるほどばらつきが増大している。金南 風,アリァケで40日苗移植がいく分ばらつき程度のおちこみが認められるものの,前述したよう に,これを変異係数で示せば,およそ直線的なぱらつきの増大傾向が図示される。

 これに対して,1穂着丁数のばらつき程度は20日苗移植を最大に,それ以前 または以後の移植 で減少する傾向を示している(第15図)。同図の曲線は・:Kumafiを除いて霧粒数(平均値)の 曲線(第10〜12図)とよく似ていることから,これを変異係数で示すと,5品種とも移植時期 の違いによる差はあまの大きくないことが予想されるが,事実いずれも20〜32,5%にとど ま

り,その中でも20日苗、50日苗移植でいく分高い値が得られる。

(5)出穂まで日数

 播種後出穂までの日数は,第16〜18図に示すように,移植時期が遅れるほど長くなり,しか も,出穂始めから出穂揃いまでの日数が長くなっている。このことはつまり,移植時期が遅れるほ ど出穂が遅延し,生育期聞がのびるばかりでなく,出穂の時期がだらだらと不揃いになりがちにな ることを示している。例えば,金南風,アリアケの出穂始め日をみると,10日苗移植と40日苗 移植との聞の出穂遅延日数は診よそ10日以上であり・出穂始めから揃いまでの日数は10日苗移 植が両品種とも5〜.6日であるのに対して,40日苗移植が10日以上の期間を要している。さら に,Kumariでは穂ばらみが認めちれるものの出穂しないままに終ったけつ子が50揖苗以後の移 植で出現し,穂揃い程度が極めて悪いことを示している。

(6)

恒喜

尾 松 太

代 喜 野 ユ山 12

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第16図

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30 菊 20 10 第15図

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稗長の標準偏差

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第17図 出 loo

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1o 第14図

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穂長の標準偏差

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第18図

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出穂まで日数

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第15図

25

@20 −5 10

5

︸穂着粒数の標準偏差

30 舶 lo zo

30 和 20 0 一0

9

(7)

 5 考   察

 水稲の晩播,晩植栽培は個別経営農家ジまたは共同育苗施設利用協業農家でしばしばとられる様 式である。例えば,水田を高度に利用するために裏作作物を導入して水稲の晩期栽培を積極的に進 めようとする場合や,洪水などによる不慮の災害,直描栽培での雀害その他による出芽障害の結果,

やむなく栽培方式の変更をせ まられることがある。また,共同施設の高度利用をはかるために,育 苗時期が遅れるなどの諸条件によっている。

 このような,晩播晩植栽培では生育後期の気象条件一特に気温,日照一が次第に規制される ことから,移植初期の草丈や分けつをできるだけ旺盛にし,生育日数を短縮化することが必要であ る。本試験の結果からすると,幽逡c期間を短かくし,移植時期をなるべく早めにして本田期間をで きるだけ長くすることが望ましい。このことによって,移植初期の草丈の伸長や分けつの増加を旺 盛にし,生育期悶を短縮することができ,同時に,収穫時の程長,穂長の短かくなるのを防ぎ,穂 数を確保しながら着粒数も可能なかぎり多くすることができる。しかも,これら諸形質のばらつき

が小さく,斉一となる。その結果,普通期栽培に近い高い収量をあげることが期待できる。

 ・また,品種の選択も極めて肝要なことで,本試験の結果からすると,品種間の1穂着粒数の差よ りも,穂数の差の方がより晩期栽培では収量性に影響があるように思われる。したがって,偏穂数 型に属する金南風の方が,穂重型品種のアリアケよりも稚苗移植による収量性は高い・

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