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図書館の徹底活用術⑯

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Academic year: 2021

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図書館運営委員からの寄稿

 皆さんの学習支援の為に、図書館サービス の有用な活用方策についての近接領域を毎回 紹介をしています。前回は、デューイ(John Dewey)の著書『民主主義と教育(

Democracy in Education

)』 で 強 調 さ れ た「 共 有 さ れ た 関心の範囲の拡大」や、「多様な個人の可能性

(capacities)の多様性の解放」、また、「様々な 関心が相互に強まり作用」することなどに端的 に現れる「経験から学ぶ力」を踏まえつつ、佐 藤学の「学びの共同体」という観点から図書館 サービスの在り方に関して言及しました。

 今回はこのような共同体内での活動の中で、

利用者の成長と図書館員のサービス提供の専門 性形成に着眼したいと思います。その際に、第7 回目の『「対話」という経験を通した学習支援:「行 為の中の省察」の観点から』で着眼したドナルド・

ショーン(Donald A. Schön)の専門性形成を 再度、引き合いに出しながら言及したいと思い ます。

 Schönは専門性形成の際の重要な中心概念と して「行為の中の省察」に着眼して以下の3つの 点を強調しています。それらは、①「行為の中 の知(knowing in action)」、②「行為の中の省 察(reflection in action)」、③「状況との対話

(conversation with situation」 で す。 こ の3 つの観点を念頭に置いて専門職、或いは、専門家 を「反省的実践者(reflective practitioner)」

という概念で説明しています。

 この言葉自体は、デューイ(John Dewey)

の『 思 考 の 方 法(How We Think)』(1910)

で 提 示 さ れ た「 反 省 的 思 考(reflective thinking)」に由来してると考えることができま すが、Schönは、現代の科学技術に基づく新し い専門家の登場を「技術的合理性(technical rationality)」に基づく「技術的熟達者(technical expert)」から「行為の中の省察(reflection in

action)」に基づく「反省的実践家(reflective practitioner)」として提示しています。この「反 省的実践家」に於ける実践活動は、もともと存在 する既成概念としての所与の科学的技術の適応 としてはみなしていないということを特徴とし て挙げることができます。ここでSchönが提唱 している「反省的実践家」とは、クライアント が抱える複雑で複合的な問題に、「状況との対話

(conversation with situation)」に基づく「行 為の中の省察(reflection in action)」として 特徴付けられる特有の実践的認識論(practical epistemology)によって対処し、クライアント と共により本質的でより複合的な問題に立ち向 かう実践を遂行しようとする内面的な姿勢とし て特徴付けられています。

 学びと経験の中での新たなものの創造、行為 し変化しながらの省察は、Schönの思想の根幹 を形成しているということができます。ですか ら、「技術的熟達者(technical expert)」とは、

現実の問題に対処する為に、専門的知識や科学 的技術を合理的に適応する実践者として専門家 を捉える観点であるということができます。

 このことを図書館サービスでの、利用者の学 習の熟達(成長)とそれを支援する図書館員の 専門性形成とに当て嵌めて考えると、前回の「学 びの共同体」の内実の活動内容がより鮮明に浮 き彫りになると思います。

 次回は、この専門性形成と関連して、 ネイザン・

グレイザー(Nathan Glazer)が提唱する専門 家に着眼し、その中で図書館員がどのように位 置付けられているのかを念頭に置きながら、更 に専門性形成に関して考察を深めて行きたいと 思います。

えだもと ますひろ(准教授・図書館学・教育学)

図書館の徹底活用術⑯

枝元 益祐

図書館サービスと専門性形成に関する一考察

Donald A. Schönの「反省的実践者(reflective practitioner)」になぞらえて

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