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企業によるビジネス・アーキテクチャの研究

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神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第13 2009年

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月 149

■ 修士論文要旨

企業によるビジネス・ アーキテクチャの研究

一 日本 と中国のデジタル家電産業の一考察‑

Astudyofenterprisebusneissal・Chitecture

‑ ConsiderationofdigitalapplianceindustryinJapanandChina一

神 奈 川 大 学 大 学 院 経 営学 研 究 科 国際経営専攻 博士前期課程

写雪

ZENGYANG

「失われた10年」 といわれ る低迷期 を脱却 した 日本 の産業 界 において、2000年 以降、 自動車 や デジタル家電産業が景気回復の牽引役 となってい る。高 いレベルでの増収増益 を達成 している。そ の中での 日本の家電企業の強みはどこにあるのか を究 明 した とき、「垂直統合型の組織 を持ち、 コ ア技術やキーパ ーツを内製 し、素材か ら部品、そ して完成 品 に至 るプ ロセス をブ ラ ックボ ックス 化す ることで競 争力 を高 めて きた」 をあげるこ とがで きる。 また、「部品の開発に して も完成品 メーカーと部品メーカーとが協力 し合 い、オ リジ ナ リテ ィーと差別化 を部品段階か ら追及 している ことが多

」 と指摘 されてい る。一方、中国や韓 国などの家電企業の コス トカ と低価格 を軸 とした 参入 ・追い上 げが激 しく展開 されてい る。特に、

「デ ジタル家電の顔」 といわれ る薄型 テ レビの場 合、価格の下落が激 しくそのス ピー ドも非常に速 い。 2、 3年前の高性能で高価格であったモデル も、 あっとい う間 に30%か ら40%の価 格下落が 起 こる。

そ うした要 因の1つ に、中国、韓国や台湾 メー カーに よる低価格戦 略 が功 を奏 して い る。 デジ タル家電 は、部 品 のモ ジュール 化、標 準化 が進

む と、それほど高度 な技術 を持 ち合 わ さな くて も、

ある程度の完成品 レベル を達成 で きる。 コモデ ィ テ ィ化 した製品であればあるほど、量産 しコス ト を下 げる効率が鍵 となるOグローバルな世界戦略 とい う観点か らす ると、単 に付加価値の高い製品 戦略のみでは競争優位 に立つ ことは難 しい。 この 点、 中国 メ ーカ ーな どの モ ジュ ラー型 の ビジネ ス ・アーキテクチ ャと低価格の製品戦略は、 日本 の家電企業 がグローバルな戦略の中でよ り競争力 を高めてい くための極 めて有益 なモデル とな りう る。 また、そうしたアジアメーカーとの連携戦略 あるいはパ ー トナー戦略 も必要 となって きている と考 えられ る。

一方、 インテグ ラル型の ビジネス ・アーキテク チャを強み とす る日本家電企業 は、付加価値 が高 く高性能 ・高機能の製品で優位 に立 とうす る戦略 が中心である。重要 なキーパ ーツを内製化す るこ とで差別化 と付加価値 を高め、そこで強み を発揮 す るスタイルである。社内に限 らず部材 メーカー との間で 「擦 り合 わせ」 を図 ることで、独 自性や 付加価値 を高めることもある。 日本企業の全般 的 な強み として、部品や製造装置 といった領域 にお いては、技術的優位性 が発揮 されて きた。液晶テ

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レビを例にとると、キーパ ーツとなる液晶パ ネル やそのパ ネル を構成 す る部材 (カラーフィル ター、

ガラス基板、偏光板 な ど)、 さらには関連 す る製 造装置など、 日本企業の独壇場である場合 が多い。

完成品メーカーが価格競争で厳 しい環境下 に置か れ るなか、部材 メーカーの中には売上高営業利益 率 で10%を超 えるメ ーカーが数 多 くある。付加 価値 が高 くしか も独 自性のある完成品で競争優位 にたってお り、その源泉 はインテグラル型 のアー キテクチャにあるとい える。 シャープや松下 など の薄型テ レビはその典型 といえる。

これ までは、ハ イエ ン ド市場で 「擦 り合 わせ」

の優位 を発揮 す る 日本 企業 とローエ ン ド市場 で

「組み合 わせ」の強み を発揮 して きた中国や台湾 企業 との ビジネス ・アーキテクチ ャ戦略がぶつか り合 って きたが、最近の特徴 として、双方 が統合 化 して きていると筆者 は認識 している。す なわち、

中国、台湾企業 などはキーパ ーツを内製 しょうと す る戦略 をとり、ハ イエ ン ドモデルのデジタル製 品 も手掛 けている。 また、 日本企業 は台湾、中国 メーカーなどと提携関係 を結び、その コス トカ を 戦略的に活用 しなが らの新 しい ビジネス ・アーキ テクチャ戦略 を進めているように思われ る。 イン テグ ラル型 とモジュラー型のアーキテクチ ャを統 合化 させ る新たな戦略で、 イノベ ーシ ョンを達成 しよ うとす る動 きを見て取 ることができる。 イン テグラル型 に特化す る、 あるいはモジュラー型 に 特化 といった二者択一 的な戦略だけが有効 とい う わけではな く、統合化す る共生型 ビジネスモデル が必要 とされているといえる。

さて、今後、変動が激 しいデジタル家電産業に おいて、それぞれの ビジネス ・アーキテクチ ャの 特性 を持つ 日中両国の企業は、 どのよ うに対応 し てい くのだろうか。 この疑問に対 して、明確 な回 答 を与 えることは容易ではない。各企業が置かれ た歴史の条件、各企業の組織能力、 また市場の動 向などを個別に見極 めてい く必要 があろう。特に、

変化の激 しい中国で活動す る日本企業 に とって、

その事業分野における今後のアーキテクチ ャ ・シ ナ リオをまずは見極 めることが「アーキテクチ ャ・

ベースの中国戦略」の前提であるとい うのが、筆 者の立場である。

インテグラル (擦 り合 わせ)型 アーキテクチャ の競争優位 を生 か した 日本企業 は、デジタル家電 分野の技術開発や製品化で世界 を リー ドして きた が、 「擦 り合 わせ要素 がカプセル化 され た」 中核 デバ イスの外販 によって、デジタル家電の製品 ・ 工程 ア‑キテクチャがモジュラー型へ移行 し、急 速に中国や台湾 などのセ ッ トメーカーにキャッチ ア ップ され る製品分野が急増 したOその結果 とし て、 日本企業 は莫大 な先行投資 を投 じたが、デジ タル家電のコモデ ィテ ィ化によって十分な利益の 価値獲得 には結びつ きに くくなって きた。

一方、モ ジュラー (組み合わせ)型 アーキテク チャの指向が強い中国地場企業 は、先進国で開発 された基幹部品 ・中核 デバ イスを外部調達 (主 に 日本、韓国、台湾の企業 を中心に) し、早 い段階 で、それ らの部品 ・デバ イスを組み合わせ ノウハ ウを工夫 し、デジタル家電の完成 品組立事業へ比 較的容易に参入 して きた。 しか し、多数企業の新 規参入により、低 付加価値の類似商品の氾濫、激 しい価格競争 を招 き、それが利益率の向上や次世 代製品の研究開発の原資その もの を破壊 す る、 と い う悪循環への ロックインは根強い ものがある。

この ような背景 において、本稿 の結論 と して提 示す るのは、擦 り合 わせ型 アーキテクチ ャの 日本 企業 と組み合 わせ型 アーキテクチ ャの中国企業の 相互補完関係 を想定 し、 日中の棲み分けの可能性 を探 り、 中 ・長期 的な視点で、BRICsをは じめ とす る新興国市場 に向けた共生型 ビジネスモデル を構想す ること。

今や、中国は世界最大の家電生産供給基地であ ると共 に、世界最大の消 費市場である。 日本企業 にとって、中国市場での成否は極 めて重要 な意味 を持 って きてい る。今 までの 日本企業 は、中国を 輸出生産拠点 として指向す ると同時に現地市場 も 指向す るとい う複合的な目的を持 ちなが ら対中投 資 を行ってきた。 しか し、輸出向けを別にすれば、

総体的には、中国市場 と向 き合 った ビジネスにお いて、期待通 りの成果 を収めて きたとは言 い難い。

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そ して、 日本企業 は、今 までにおいて技循供与や 合弁生産 を通 して、中国での経験 を蓄積 し、学習 効果 を得ているとはいえ、中国企業 との連携 に関 して、 とりわけ同一の市場で競合 してい る状況で 相互の 目的 を達成す るために互 いに リスクを分担 し合 う連携の経験 は決 して多 くない。技術水準の 格差があって、資本関係のない連携におけるマネ ジメン トは決 してや さしい ものではない。現時点 では、 日本企業にとって、 日中企業間の連携の要 綿 として、中国企業が得意 とし、部品のモジュラー 化で重要 になって きたローエ ン ド・組み合わせ型 アーキテクチ ャの ノウハ ウを活かす とい う点にあ ると思われ る。

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