名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository
平行平板クエット流の乱流特性と大規模縦渦構造の 解明
著者 西村 大志
学位名 博士(工学)
学位授与番号 13903甲第300号 学位授与年月日 2000‑03‑23
URL http://doi.org/10.11501/3166999
博士論文
. (
題 目) .
平行平板クエット 流の
乱流特性と大規模縦渦構造の解明
. .
指導教官 鬼頭 修己 教授
工学研究科博士後期課程 生産システム工学 専攻 平成
7
年4
月 入学(
氏名)
西村 太志目 次
記号
iii
第
1
章 緒論1
1.1
本研究の背景および意義. . . . 1
1.2
本研究の目的. . . . 2
1.3
本論文の構成. . . . 3
第
2
章 実験装置と実験方法4 2.1
実験装置. . . . 4
2.2
速度測定方法. . . . 5
2.3
壁からの距離測定. . . . 6
2.4
壁面せん断応力の測定. . . . 6
2.5
実験条件. . . . 7
2.6
流れの発達. . . . 8
第
3
章 平行平板クエット 乱流に及ぼす低レ イノルズ数の効果18 3.1
緒論. . . . 18
3.2
実験結果と考察. . . . 19
3.2.1
壁面摩擦係数. . . . 19
3.2.2
平均速度分布. . . . 19
3.2.3
渦動粘度. . . . 21
3.2.4
乱れ強さ及び高次統計量. . . . 22
3.3
結論. . . . 25
第
4
章 平行平板クエット 乱流の大規模縦渦構造37 4.1
緒論. . . . 37
4.2
実験装置と実験方法. . . . 37
4.3
基礎式. . . . 38
4.4
実験結果および考察. . . . 40
4.4.1
大規模縦渦構造の発達過程. . . . 40
4.4.2
維持領域の大規模縦渦構造. . . . 41
4.4.3
平行平板クエット乱流の3次元構造. . . . 42
4.5
結論. . . . 44
第
5
章 平行平板クエット 乱流の速度変動解析59 5.1
緒論. . . . 59
5.2
実験装置と実験方法. . . . 59
5.3
実験結果および考察. . . . 60
5.3.1
速度変動に及ぼす大規模縦渦の揺らぎの影響. . . . 60
5.3.2
速度変動の結合確率密度分布. . . . 62
5.3.3 −u
1u
2 のスキューネスとフラットネス. . . . 63
5.3.4
パワースペクトル. . . . 63
5.3.5
自己相関. . . . 64
5.4
結論. . . . 64
第
6
章 結論77
参考文献
79
謝辞
82
記号
a :
スケールパラメータb :
トランスレートパラメータA
+: Van Driest damping factor B :
対数則の付加定数, 式(3.6)
C
f:
摩擦係数
τ
w1 / 2 ρU
b2
E :
熱線の平均出力電圧F ( u
i) :
フラットネスファクタ
4
u
i4
u
i24
2 h :
流路高さK
1:
無次元渦動粘度
ν
t2 hu
∗
L : x
3 方向への波状変化の波長p :
静圧p
t:
動圧p
w:
壁面静圧Q
i:
第i
象限からのレ イノルズ応力R
12:
相関係数
−u
1u
2/ (
u
12u
22Re
∗, Re
b, Re
c:
レ イノルズ数hu
∗ν , 2 hU
bν , 2 h · 2 U
cν
R
s:
速度欠損則のこう配, 式(3.7) R
s:
速度欠損則のこう配, 式(4.7) S ( u
i) :
スキューネスファクタ
3
u
i3
u
i23
s : X
型熱線の受感部の間隔T :
乱れの時間スケールより十分大きい時間間隔,速度変動揺らぎの周期t :
時間U
b:
ベルト速度U : x
2= h
での速度U
i: x
i 方向時間平均速度u
i: x
i 方向の瞬時速度成分u
i: x
i 方向の変動速度成分u
i:
大規模渦運動による速度成分u
∗:
摩擦速度
τ
w/ρ
W
ψ( b, a ) :
ウェーブレット係数,式(5.5)W :
流路幅x
i: i
方向の座標α :
せん断応力こう配
= 1 ρ · dτ
dx
2
δ :
顕微鏡の移動距離θ
p:
プリズムの傾斜角度κ :
カルマン定数Λ :
せん断速度比d ( U
1/Ub) d ( x
2/ 2 h )
ν :
動粘度ν
t:
渦動粘度τ :
せん断応力τ
w:
壁面せん断応力φ
ii( ω ) : u
i のパワースペクトルΦ
ii( ω ) : φ
ii( ω ) / ν
Ψ
ii: ωφ
ii( ω )
ψ :
マザーウェーブレットω :
角周波数ω
i: i
方向渦度成分( ) :
時間平均< > :
スパン方向平均添字
( )
i: i
方向を表す( )
+: u
∗, ν
で無次元化した無次元量第
1
章 緒論1.1
本研究の背景および意義工業上,複数の機械要素が狭い隙間を隔てて互いに相対運動する場合がある.例えば,
ジャーナル軸受けの軸と軸受け,非接触型のピストンとシリンダー壁面,あるいは高速で 移動する列車と地面またはトンネル壁面などがあげられる.このような隙間内の流体の運 動は,主に固体壁面の運動に伴って生じるせん断応力に起因して発生するのでせん断駆動 流と呼ばれている.せん断駆動流のうち,面内で相対運動する二枚の無限平行平板間の流 れを平行平板クエット乱流という.実際には純粋なせん断駆動流は少なく,これに壁面に 平行な圧力こう配が加わり,せん断駆動と圧力駆動の流れが組み合わさった流れとなるこ とが普通である.平行平板クエット乱流に圧力こう配を加えた流れをクエット・ポアズイ ユ乱流と呼んでおり,平行平板クエット乱流はクエット・ポアズイユ乱流の特別な場合に 相当する.
さて最近の技術の進展に伴い,機械の高速化が著しく進んできた.このため隙間が小さ くても,隙間
2 h
と相対移動速度U
b で作られるレ イノルズ数Re
b= 2 hU
b/ν
が大きくな り,隙間内の流れが乱流となることがある.この場合機器の設計には平行平板クエット乱 流の平均流特性,乱れ特性,乱れの構造などに関する資料が必要となってくるが,ポアズイユ乱流 (5)∼(11) や乱流境界層(12)の場合とは異なり,平行平板クエット乱流は十分に研
究されていないのが現状である.
次に平行平板クエット乱流に関する過去の研究を概観する.
平行平板クエット乱流に関する系統的な研究は
1959
年のReichardt
(13)が最初で,広い レ イノルズ数の範囲で平均速度分布則について調べている.その後Robertson & Johnson
(14)が平均速度と乱れ特性に関して報告し,乱流コア部での特徴(乱れ生成と散逸のバラ ンス)等に言及している.El Telbany & Reynolds(15)は,クエット・ポアズイユ乱流の構 造を次元解析から導かれる相似則に基づいて平均速度分布,乱れ統計量分布を調査した.
その特別な場合として平行平板クエット乱流の詳細なデータの考察を行っているが,彼ら の実験装置は十分な発達距離をとらなかったため,特に乱れ統計量のデータの信頼性に問 題があることが指摘されている(16).彼らのデータを基に
Gibson
(17) やSchneider
(18)は 乱れエネルギの逆こう配拡散の可能性を指摘したが,これについてはその後の中林ら (19) の実験により否定されている.最近では直接数値計算(
DNS)による平行平板クエット乱流の研究がいくつか報告さ
れている.これまでのDNS
が対象とする流れのレ イノルズ数は低いが,実験では得られ ない渦の構造や詳細な乱れの統計量が示されるようになってきた.その中でも乱流コア部 に大規模縦渦構造が現れることを示したLee & Kim
(20) の報告は重要である.彼らは定常 的に流路スパン方向に並んだ互いに逆方向に回転する大規模縦渦構造の存在を初めて報 告し,それまで単純な構造と考えられてきた乱流コア部が予想以上に複雑な構造になって いることを示した.しかし,Lee & KimのDNS
はその計算領域が狭かったため,得られ た結果に疑義があった.Bech et al. (21) やKomminaho et al.
(22)は,特に流れ方向への 計算領域を拡大しDNS
を行った.その結果彼らは,瞬時瞬時にはLee & Kim
の報告し た大規模縦渦構造がスパン方向に並んで現れるが,これが時間的・空間的に揺らいでいる ため,時間平均すると縦渦構造が不明確になると指摘している.この大規模縦渦構造を実 験により直接確かめた報告はないが,Tillmark & Alfredsson (23) は横相関がスパン方向 に波状的に変化し,零に収束しないことから大規模縦渦構造が存在することを推測してい る.Dauchat & Daviaud
(24)は層流クエット流の乱流への遷移に関連し,流路内に細いワ イヤをスパン方向に張ることで流れにかく乱を与えると,あるレ イノルズ数以上ではスパ ン方向に並んだ縦渦が現れることを示しているが,平行平板クエット乱流中の大規模縦渦 構造との関連は不明である.1.2
本研究の目的以上過去の研究を概観したが,本研究においてはこれまでの研究では明らかにされてい ない平行平板クエット乱流の以下の点について実験的に解明を行う.
(1)壁領域および乱流コア部それぞれにおける平均速度分布と乱れ統計量のレ イノルズ 数依存性:
クエット乱流が狭い隙間内の流れとして現れることが多いため,流れのレ イノルズ数が 小さい場合が多い.そこで,流れに及ぼすレ イノルズ数の効果を明らかにしておくことが 必要である.壁乱流では,領域を壁領域と乱流コア部に分けて考察するが,過去の報告で は平行平板クエット乱流の壁領域の流れは,ポアズイユ乱流のものと同じであるとされ,
平行平板クエット乱流のレ イノルズ数効果に関する詳しい定量的な検討がされていない.
事実,次元解析によると壁領域の速度分布は,ポアズイユ乱流では
U
1+= f ( x
2+, Re
∗, µ ) (1.1)
となるのに対し,平行平板クエット乱流ではU
1+= f ( x
2+, Re
∗) (1.2)
となり,パラメータに対する依存性が両者で異なってくる.ここで
µ
は無次元せん断応力こう配で
µ = ρ u
∗3ν / dτ
dx
2 である.一方,乱流コア部ではポアズイユ乱流と異なり,速度 欠損則がレ イノルズ数に依存することが報告されているが(13)(19),研究者ごとにその傾向 が異なっている点等,不明な点が多い.(2)乱流コア部に現れる大規模縦渦構造の生成・維持メカニズムとこの縦渦の存在によ るクエット乱流の乱流特性への影響:
平行平板クエット乱流中の大規模縦渦構造の存在については実験的に確かめられてはい ないが,上述のように
DNS
によりその存在が示されている.このような大規模縦渦構造 の生成はせん断乱流に特有の現象で,例えば一様せん断乱流中にもせん断が強い場合に 縦渦が発生するとの報告がLee et al.
(25) によってされているが,これらとの関連につい ては明らかではない.さらに,この縦渦の存在により流れ場の3次元化,大規模縦渦の時 間・空間的な揺らぎによる速度変動への影響など 未解明の点が多く残されている.1.3
本論文の構成本論文は六つの章から構成されている.第1章では本論文の持つ背景と意義目的を述べ た.第2章では研究に用いた実験装置並びに実験方法について述べる.第3章では平行平 板クエット乱流の平均速度,乱れ強さ,高次統計量に及ぼす低レ イノルズ数の効果につい て考察する.第4章では平行平板クエット乱流の大規模縦渦構造について,大規模縦渦構 造の維持メカニズムや平均速度や乱れ強さに及ぼす影響を考察する.第5章では平行平 板クエット乱流の乱流中に現れる速度変動についてパワースペクトルやウェーブレット解 析および大規模縦渦との関連について考察する.そして第6章では本研究の結果をまと める.
第
2
章 実験装置と実験方法2.1
実験装置本研究で用いた実験装置概略を,図
2.1
に示す.エアフィルター1
を通過して送風機4
から出た空気は直径200 mm
の送風管を通り,流路上流のディフューザ9
に送り込ま れる.送風機4
の電動機2
はインバータ制御3
により回転数を可変できる.それによ り送風機4
の送風量を調節できる.送風管の途中には流量を測るためにオリフィス流量 計6
が設置してあり,流量をモニタできる.空気はデ ィフューザ9
で流路幅880 mm
×
高さ250 mm
まで広げられる.さらに二次元ノズル10
によって高さ250 mm
から供 試流路高さまで収縮され,ノズル出口に設置されたせん断流発生格子27
を通り供試流路 にはいる.供試流路を出た空気は出口ノズル18
を通り大気に放出される.せん断流発生格子の詳細を図
2.2
に示す.せん断流発生格子は,完全発達したクエッ ト乱流を短い助走距離で得るために設置した.格子の枠はアルミ合金と鋼板でできてお り,空気が流れる部分にはMcCarthy
(26) の理論に基づき,流路中央部のせん断速度比Λ ≡ d ( U
1/U
b) /d ( x
2/ 2 h ) = 0 . 38
となるように直径1 mm
のステンレスワイヤが図に示さ れた間隔で長手方向に平行に張ってある.図2.3
にせん断流発生格子直後の速度分布を示 す.図中の直線はΛ = 0 . 38
の分布を示している.得られた速度分布はこの直線にほぼ一 致している.図
2.4
に供試流路部の詳細と座標系を示す.本研究で用いた流路の全長(
前後部ロー ラ回転軸間距離)
は5 . 12 m
であり,流路高さ2 h
は27 mm
あるいは47 mm
,流路 幅W
は880 mm
である.アスペクト比( = W/ 2 h )
は,32. 6(2 h =27 mm )
あるいは18 . 7(2 h =47 mm )
である.流路の側壁はU
字型ジュラルミン材を流路幅W =880 mm
になるように平行に固定してつくられている.固定壁は,板厚10 mm
のアクリル板製で,歪まないように等辺アングル鋼を用いて補強されている.測定部の上壁には,ピトー管や 熱線プローブを
x
3 方向に移動できるように幅16 mm
の溝が切ってある.流路の下壁(
移動壁)
は,搬送面が熱可塑性ポリウレタンでできたポリエステル芯体層を持つハバジット社製
TYPE HAU-12E
高性能コンベアベルトである.この移動壁は,インバータ制御される可変速モータによってローラを回転することにより,一定速度
U
b で動く.また,このベルト面の振動は速度の測定に影響しないほど 小さい(27).ベルトに等間隔に張り付 けられた反射テープを光学式のピックアップにより感知し,1秒あたりのテープの通過数 からベルト速度を測定した.座標系は,流路入口より流れ方向に
x
1軸,静止壁から垂直方向に
x
2 軸,流路中央よりスパン方向にx
3 軸をとる.2.2
速度測定方法速度の測定には熱線流速計とピトー管を用いた.熱線流速計は司測研製定温度型熱線流
速計
HC-30
であり,温度変化による出力変化を小さくするために同社製温度補償ユニットを用いた.また熱線プローブには自作の
I
型熱線プローブ(図2.5
)とX
型熱線プロー ブ(図2.6
)を用いた.X 型熱線プローブは,u
1− u
2 速度測定用とu
1− u
3 速度測定用の 二種類を用意した.それぞれの感知部について,I型熱線プローブの感知部は直径5 µm
, 長さ0 . 8 mm
,X型熱線プローブは直径3 µm
,長さ0 . 5 mm
間隔0 . 5 mm
とした.I
型熱線による測定について,検定風洞で得られた速度-電圧の関係に流速計の出力電圧 をあてはめ,瞬時の速度を得る.X 型熱線による測定はLueptow
らが提案しているルッ クアップテーブル方式 (28) の原理を採用した.具体的な計算手法については加藤の方法(29)に従い,瞬時の
( u
1, u
2)
または( u
1, u
3)
速度を得た.速度-電圧の検定の例を図2.7
に 示す.これは一様な流れ場の各速度において,ピッチ角ψ
を− 30 ∼ 30˚に変化させたと
きの二本の熱線出力電圧をプロットしたものである.壁近傍の乱れ強さがもっとも大きい 場合でもψ < 30˚であるので( 確率 90 %),
検定のピッチ角はψ = − 30 ∼ 30˚で十分で
ある.u
1− u
3 速度測定用X
型熱線プローブからの出力電圧を用いてU
1, U
3 を求める際に,得 られた結果は平均速度こう配dU
1/dx
2が大きい壁近傍で,速度こう配の影響を強く受ける.この
X
型熱線プローブの二本の熱線は熱線間隔s
を隔てて壁に平行に張られているため,壁に近いほうの熱線は,もう一方の熱線に対し
U =
dUdx12
s
だけ遅い速度場におかれる.これに対し熱線の検定は一様速度場のもとで行われるので,検定結果をそのままこの
X
型熱線出力に適用すると速度こう配の影響による測定誤差が現れる.この影響を避けるた め,それぞれの熱線の出力電圧を次のように補正して平均速度を求めた.このプローブが 壁からの距離x
20にある時,それぞれの熱線はx
2+
= x
20+
s2, x
2−
= x
20−
s2の距離 にある.二本の熱線の平均出力電圧E
1, E
2をx
2 の関数となるように多項式( E
i= f
i( x
2))
で近似する.この近似式にプローブの壁からの距離x
20 を代入すると,その位置での熱 線の出力E
1, E
2 が求まり,平均速度こう配dU
1/dx
2 の影響を取り除くことができる.こ の熱線出力の補正法は,時間平均速度に対してのみ有効である.このため,乱れの瞬時速 度やレイノルズ応力−ρu
1u
3 ついてはこれに基づく誤差を含んでいる.しかし,壁近傍を のぞいた領域では速度こう配dU
1/dx
2 が小さいので,これによる誤差は無視できる.以 下の考察で,u
1- u
3 速度用プローブから求められる平均速度u
3についてはこの補正を施 した.熱線からの出力は,パソコンに取り付けられた
A/D
変換器でサンプリング周波数10kHz
で120
秒間測定し ,測定データは光磁気ディスクに記録した.測定データからワークステーションにより平均速度,乱れ統計量等を計算した.
熱線による測定誤差について,I 型熱線を用いた
U
1 測定の場合,測定値の± 1%
以内,X
型熱線を用いたu
1,u
2,u
3 および
u
i2 測定の場合,測定値の± 5%
以内である.クエット流中央部のスパン方向への速度分布
U
c( x
3)
測定には,ピトー管( 外径φ = 1 . 5 mm
,内径φ = 1 . 0 mm
)を用いた.ピトー管からの全圧と壁面で測定した静圧との差 を柴田科学機器製の精密微差圧計ISP-3-20S
( 測定精度1/100 mm Aq
)を用いて動圧p
tを測定し,その64
秒間の平均値から次式により速度を求めた.U =
2 p
tρ (2.1)
壁面静圧の測定には流路アクリル壁面上に
φ 0 . 8
の静圧孔を設け,基準位置と任意の位置 の差圧を精密微差圧計により求めた.2.3
壁からの距離測定摩擦速度
u
∗ を推定するため壁近傍の速度を正確に測定する必要があり,このため熱線 の壁面からの距離を1 / 100 mm
の精度で測定しなければならない.熱線の壁からの距離測 定は,プリズムと実体顕微鏡を用いて行った.この測定の原理を図2.8
に示す.プリズム を角度( θ
p)
でベルト面上に置いた.このプリズムと顕微鏡で熱線の先端を観察した.こ の顕微鏡はトラバース装置(ディジタルマイクロメータ(読みとり単位0 . 001 mm
)付属)により移動できる.実体顕微鏡の視野には熱線プローブの実像とアクリル壁面に映った虚 像が見える(図
2.8
右側).この実像と虚像にそれぞれ顕微鏡の十字線をあわせ,その移 動距離δ
をマイクロメータから読みとる.壁からの距離x
20と顕微鏡の移動距離δ
との 関係は光路解析より次のように与えられる.x
20= 1 2
δ
sin(2 θ
p) (2.2)
上式より,熱線の壁からの距離を求める.I 型熱線の場合( 図
2.8
右上側),受感部任意 の数カ所の平均値,X 型熱線の場合(図2.8
右下側),受感部先端の虚像・実像が4組現 れるので,その4組の平均値を式(2.2
) のδ
とした.2.4
壁面せん断応力の測定壁面せん断応力の測定方法は,フローティングエレ メントにかかる力から求める方法
(30) や,速度分布を対数法則に一致させる
Clauser
法等様々あるが,本研究ではNagano et al.
(31) の方法を採用した.この方法の原理を説明する.熱線流速計の出力電圧は熱線プローブの受感部が空気の流 れにより冷却され,その冷却に比例して電圧を出力するようになっている.しかし,壁近
傍では壁への冷却により実際の流速よりも大きな出力電圧が現れる.この見かけ上の出力 電圧に対する速度を壁面摩擦速度
u
∗ と動粘度ν
を用いて無次元化すれば,壁と熱線の材 質および熱線の形状が変わらなければ,圧力こう配やレ イノルズ数の影響を受けずその熱 線固有の分布となる(31).この速度分布を次式で表す.U
+= f ( x
2+) (2.3)
式
(2.3)
のf ( x
2+)
をu
∗がわかっている流れの速度分布から得る.本研究では式(2.3)
の 普遍分布を得るために専用の検定風洞を用いた.この検定風洞は流路のアスペクト比が35
で,ほぼ理想的な二次元ポアズイユ流れが得られるように作られている(29).二次元ポ アズイユ流においてはN-S
式より流れ方向静圧こう配dp
w/dx
1が高さ方向のせん断応力 こう配dτ /dx
2 に等しい.よってdp
w/dx
1 からこの流れの壁面せん断応力τ
w を求める ことができる.このτ
w を用いて式(2.3)
の速度分布を得る.この速度分布の実例を三つ のレ イノルズ数Re
c=56000 , 32000 , 20000
に対して示したのが図2.9
である.いずれのRe
c においても同一の速度分布になっている.図中の実線は壁近傍( x
2+= 2 ∼ 8)
の平 均速度分布を3次式で最小自乗近似した線である.この分布に,クエット流れの実験で得 られた速度分布がx
2+= 2 ∼ 8
の範囲でもっともよく一致するようにu
∗ を探すことで摩 擦速度を決定した.2.5
実験条件クエット乱流の測定はレ イノルズ数
Re
b=20000 , 15000 , 10000 , 7000 , 5000 , 3000
で行 った.平行平板クエット乱流の条件として,(i)流れ方向の圧力こう配
dp
w/dx
1がゼロになる こと,( 例としてRe
b=15000
の場合のp
w のx
1 方向圧力分布を図2.10
に示す.ただし 図中の誤差棒は読みとりの変動の幅を表す),(ii)x
2 方向のせん断応力τ
が一定になる こと,(iii) 流路の中心x
2/ 2 h = 0 . 5
で流れ方向速度U
c がベルト速度U
b の半分になるこ とがあげられる.このうち(i)
については低レ イノルズ数の場合,dp
w/dx
2 を測定するに は微差圧計の分解能(1/100 mm Aq)
では不十分である.(ii) については第4章で述べて いるような大規模縦渦の存在によりせん断応力がx
2 方向に必ずしも一定でない場合があ る.よって本実験において,クエット流を設定する条件として(iii)
の方法を採用した.具 体的には以下のように行った.図
2.11
で示すように大規模縦渦運動のため中央面での速度U
c がスパン方向に周期的 に変化している.そこでU
c の1周期分の平均値L1L0U
cdx
3 が 12U
b の誤差± 1%
以内で一 致するようにクエット流れを設定した.2.6
流れの発達中林ら(16) によれば,平行平板クエット乱流は,
x
1/ 2 h ≥ 60
で平均速度,乱れ強さが 下流方向に変化しない発達した流れが得られると報告している.図2.12 ∼ 2.15
に平均速 度U
1/U
b,u
1 の乱れ強さ,スキューネス,フラットネスの分布の発達状況を2 h =27 mm , Re
b=10000
について示す.平均速度分布は上流( x
1/ 2 h =39 . 6)
から変化がみられない.しかし,乱れ強さや高次統計量分布ではこれより下流
( x
1/ 2 h ≥ 72 . 2)
から変化がなくな る.以上よりx
1/ 2 h ≥ 72 . 2
で流れはほぼ完全発達であることがわかる.本実験装置は中 林ら(16)と同じ実験装置の流路入り口部にせん断発生格子を取り付けたものであるが,平 均速度分布,乱れ強さ分布の下流方向変化は中林ら(16) と同じである.ここではこの条 件を考慮し,クエット乱流の測定をx
1/ 2 h =90 . 2 (2 h =47 mm )
あるいはx
1/ 2 h =157 . 0
(2 h =27 mm )
の断面で行った.Fig. 2.1: Experimental apparatus.
Fig. 2.2: Shear generating grid.
0 . 5 1 1 . 5
0 0 . 5 1
U
1/ U c x
2/2 h
Λ = 0 . 3 8
Fig. 2.3: Streamwise velocity distribution behind the grid.
2 h U
bx
1Measuring station
Nozzle
Stationary wall Hot-wire probe
Nozzle
Belt Shear generating grid
x
3x
1x
2Fig. 2.4: Co-ordinate system.
Fig. 2.5: I-type wire probe.
Fig. 2.6: X-type wire probe.
0 2 4 6 0
2 4 6
E
2[V]
E
1[V]
U=7 [m/s]
= 0 [deg]
= 30 [deg]
= –30 [deg]
Each 5 [deg]
U=0.8 [m/s]
Fig. 2.7: Caribration curve of X-type hot wire.
Fig. 2.8: Measuring system of a distance form wall.
1 0 0 1 0 1
0 5 1 0
x 2 +
U 1 + R e
c’
5 6 0 0 0 3 2 0 0 0 2 0 0 0 0
D N S ( H o r i u t i : R e
*= 1 8 0 ) P o i s e u i l l e f l o w
R e
*3 4 3 2 1 0 1 3 7
U
1 += f ( x
2 +)
Fig. 2.9: Streamwise velocity distribution measured with I-type hot wire.
0 1 0 0 2 0 0 – 0 . 0 2
– 0 . 0 1 0 0 . 0 1 0 . 0 2
x
1/ 2 h
△ p
w/( 1 /2 ρ U
b)R e b= 1 5 0 0 0
T e s t s e c t i o n : x 1/ 2 h = 1 5 7 R e f . t a p : x 1/ 2 h = 1 7 1
Fig. 2.10: Wall pressure distribution.
– 1 0 0
0 . 9 5 1 1 . 0 5
x
3/ 2 h
U
c/( 1/ 2) U
b x 1/ 2 h = 1 5 7R e b 1 5 0 0 0 2 h = 2 7 ( m m )
Fig. 2.11: Spanwise distribution of U
c0 0 . 5 1 0
0 . 5 1
U
1/ U
bx
2/2 h
R e b= 1 0 0 0 0x 1/ 2 h 3 9 . 6 5 5 . 2 7 2 . 2 8 9 . 3 1 0 6 . 3 1 2 3 . 0 1 4 0 . 0 1 5 7 . 0
Fig. 2.12: U
1distribution.
0 0 . 5 1
0 0 . 0 5 0 . 1
x
2/ 2 h u ’
1/U
bR e b = 1 0 0 0 0 x 1/ 2 h
3 9 . 6 5 5 . 2 7 2 . 2 8 9 . 3
1 0 6 . 3 1 2 3 . 0 1 4 0 . 0 1 5 7 . 0 x 1/ 2 h
Fig. 2.13: Turbulence intensity of u
1.
0 0 . 5 1 – 0 . 5
0 0 . 5
x
2/ 2 h S( u ’
1)
R e b = 1 0 0 0 0 x 1/ 2 h 3 9 . 6 5 5 . 2 7 2 . 2 8 9 . 3
1 0 6 . 3 1 2 3 . 0 1 4 0 . 0 1 5 7 . 0
Fig. 2.14: Skewness factor of u
1.
0 0 . 5 1
0 1 2 3 4 5
x
2/ 2 h F( u ’
1)
R e b = 1 0 0 0 0 x1/ 2 h 3 9 . 6 5 5 . 2 7 2 . 2 8 9 . 3
1 0 6 . 3 1 2 3 . 0 1 4 0 . 0 1 5 7 . 0
Fig. 2.15: Flatness factor of u
1.
第
3
章 平行平板クエット 乱流に及ぼす低 レ イノルズ数の効果(1)(2)3.1
緒論平板クエット乱流の速度分布則や乱れ特性については
Reichardt
(13)やRobertson & John- son
(14)の先駆的研究以降,実験的研究報告はあまりなされていない(32).これまでの報告 によれば,クエット乱流は壁領域においてはポアズイユ乱流と乱流構造がほぼ同じである が,乱流コア部ではポアズイユ乱流と著しく相違すること,さらに長い二点縦相関を持っ ていることが明らかにされてきた.最近では,直接数値シミュレーション(DNS)
により,クエット乱流に現れる大規模な縦渦構造や,乱れの詳細な構造に研究が向けられている
(20) (22).
クエット型の流れは工業的には狭いすきま内の流れとして現れることが多く,低レ イノ ルズ数域のものが多い.しかしながら,これまでの研究において,速度分布等に及ぼす低 レ イノルズ数の影響については調べられていない.本章では,低レイノルズ数域も含め広 いレ イノルズ数の範囲
3000 ≤ Re
b(=2 hU
b/ν ) ≤ 20000
で実験的に速度分布,乱れ特性に 及ぼすレ イノルズ数の影響を解明する.具体的には以下の三点について検討する.
(1)
壁法則に及ぼすレ イノルズ数の影響壁領域でクエット乱流と類似の流れを持つポアズイユ乱流の速度を壁変数を用いて表す と(15)
U
1+(= U
1/u
∗) = f
1( x
2+, Re
∗, µ ) (3.1)
ここで,Re
∗(= u
∗h/ν ), µ (= u
2∗/
1ρdτdyν/u
∗)
は無次元せん断応力こう配である.ポアズイユ乱流 では,Re
∗= −µ
の関係があるので,通常,U
1+ の分布はRe
∗ のみに依存するとしている.しかし,実際は
Re
∗ を変えると,Re
∗, µ
がともに変化するため,二つのパラメータの影 響が混合して現れ,Re
∗ だけの影響を知ることができない.クエット乱流ではdτ /dx
2= 0
のためµ → ∞
であり,U
1+ はU
1+= f
2( x
2+, Re
∗) (3.2)
と表され,U
1+ の分布は,Re
∗ のみに依存する.よってクエット乱流のRe
∗ 依存性を調 査することにより,壁法則に及ぼすRe
∗ の影響を調べることができる.(2)
乱流コア部の流れに及ぼすレ イノルズ数の影響乱流コア部の速度分布は,欠損則で表される.欠損則に及ぼす
Re
∗ の影響から,乱流 コア部のRe
∗ の依存性を考察する.(3)
乱れ統計諸量分布に及ぼすレ イノルズ数の影響と乱れ構造乱れ統計量( 乱れ強さ,相関係数,スキューネス,フラットネス,四象限分解)から,
高次統計量に現れる
Re
∗ の影響と乱れ構造の特徴を調べる.3.2
実験結果と考察ここでの実験条件を表
3.1
に示す.実験装置は図2.4
と同じである.3.2.1
壁面摩擦係数図
3.1
は次式(3.3)
で定義される壁面摩擦係数である.C
f= τ
w1 2 ρU
b2(3.3)
図中の実線は層流の場合の理論式
C
f= 2 Re
b(3.4)
を表し,破線はRobertson & Johnson
(14)の乱流の経験式C
f= 2 { 0 . 095 / log( Re
b/ 4) }
2(3.5)
である.本実験の結果は低レ イノルズ数まで,この経験式に良く一致している.Tillmark& Alfredsson
(33)によると平行平板クエット流の乱流への遷移レ イノルズ数は,Re
b= 1440 ± 40
である.本実験の最小のレ イノルズ数(Re
b=3000)はこの遷移レ イノルズ数
のおよそ2倍であり,完全乱流である.3.2.2
平均速度分布壁法則
図
3.2
は壁変数で無次元化した平均速度分布である.x
2+> 40
で,図中にはHussain
& Reynolds
(5) のポアズイユ乱流も参考のために示してある.いずれのレ イノルズ数に対しても対数速度分布
U
1+= 1
κ ln x
2++ B (3.6)
が成り立つ.図
3.7
から対数領域を求め,その範囲で式(3.6)
に最小自乗近似した結果,対数領域のカルマン定数
κ
は本実験のすべての条件で0 . 40
である.しかし,付加定数B
はレ イノルズ数により若干変化する.図
3.3
は対数則の付加定数B
をレ イノルズ数Re
∗に対してプロットしたものである.図中には比較のため
Patel & Head
(34)による平行平板ポアズイユ乱流の結果,および円 管ポアズイユ乱流の結果( 一点鎖線)が示してある.ポアズイユ乱流では,Re
∗が小さく なるにつれB
は大きくなる.一方,クエット乱流ではRe
∗が小さくなるとB
は小さくな る.クエット乱流での壁法則は,式(3.2)
からわかるようにRe
∗ のみに依存するため,こ のB
の減少は壁法則に対する低レイノルズ数の影響であると結論づけられる.Re
∗≥ 200
では,B
はレ イノルズ数に依らず,B = 5 . 5 ∼ 5 . 7
である.ポアズイユ乱流で,Re
∗低下 によりB
が増大するのは,式(3.1)
に示したパラメータRe
∗, µ
のうち,µ
の影響である ことが中林ら(35)により報告されている.クエット乱流において,低レ イノルズ数の影響 によりB
が低下するのは,バッファ領域の流れが低レ イノルズ数効果により変化するた めであることが,図3.7
のx
2+dU
1+/dx
2+ 分布から推測できる.すなわち,5≤ x
2+≤ 60
のバッファ領域で,Re
b≥ 7000
の分布はほぼ同じであるが,これより低いレ イノルズ数 ではこの分布より下にずれる.ずれ始めるx
2+ の下限は,Re
b が下がるにつれ小さくな り,低レ イノルズ数の影響がx
2+の小さい範囲に拡大していることがわかる.バッファ領 域の流れはVan Driest damping factor A
+ の値(35)により特徴づけられるので,次にA
+ のレ イノルズ数依存性を調べてみよう.図3.4
はA
+ をRe
∗に対してプロットしたもの である.比較のため図中にはHuffman & Bradshaw
(36) のポアズイユ乱流の結果も示し てある.彼らは,レ イノルズ数が低くなるとポアズイユ乱流のA
+は大きくなり,これが せん断応力こう配( dτ
+/dx
2+)
に依存していると報告している.これに対し,クエット乱 流では,Re
∗が小さくなるとA
+も小さくなる.A
+とB
のRe
∗依存性は同じ傾向である が,それはA
+とB
が密接に関係しているためである.A
+ とB
の結果から,壁法則が 低レ イノルズ数の影響を受ける臨界レ イノルズ数Re
∗はおよそ200
であることがわかる.速度欠損則
乱流コア部では後に示すように渦動粘度
ν
t がx
2 方向に一定となるので,速度分布は 次式で示す速度欠損則で表される.U
c− U
u
∗= 1
1 /Re
∗+ K
1
1 − x
2h
= R
s
1 − x
2h
(3.7)
ここで,R
s= 1 / (1 /Re
∗+ K
1) = ( u
∗/h )
−1/ ( dU/dx
2)
−1 である.R
sは欠損則表示した場 合の速度こう配であり,平均速度せん断の時間スケールに対する代表的な乱れの時間ス ケールの割合(19)を表す.R
sが大きいほど ,乱れに及ぼす速度こう配の影響は大きい.図3.5
は測定結果を速度欠損表示したものである.いずれのRe
∗ においても流路中央部に欠損則に従う領域がみられる.欠損則のこう配
R
s はRe
∗ により異なっている.このこう 配R
sを図3.6
にRe
∗に対してプロットする.研究者によりデータ間に大きな相違が見ら れる.特にRobertson & Johnson
(14)の結果は,他の研究者の傾向と逆にRe
∗ の増大と ともにR
s が低下しているが,現在のところその理由は不明である.しかしRobertson &
Johnson
の結果を除けば,全体としてR
sはRe
∗ とともに増大している.特にRe
∗≤ 250
では,DNSの結果を含め筆者の結果は,R
s はRe
∗ とともに増大することを支持してい る.Re
∗> 500
ではR
sは一定値に近づくようであるが,データ数が少なくその傾向につ いては明確には分からない.このようにRe
∗ とともにR
s が増大することは,レ イノル ズ数が大きいほど 乱れに及ぼす平均速度せん断の影響が強くなることを表している.式( 3.7)
からわかるようにR
s のRe
∗依存性は,Re
∗が大きい場合,K
1のRe
∗による変化に 基づいている.領域分け
速度分布の領域分けをするため
x
2+dU
1+dx
2+ のx
2+に対する分布を図3.7
に示す.粘性底 層( x
2+= U
1+),対数則 (式 (3.6)),速度欠損則 (式 (3.7))
をx
2+で微分し,両辺にx
2+ を 掛けるとそれぞれ次式を得る.x
2+dU
1+dx
2+= x
2+ ( 粘性底層)(3.8) x
2+dU
1+dx
2+= 1
κ
( 対数則)(3.9) x
2+dU
1+dx
2+= R
sRe
∗x
2+ ( 欠損則)(3.10)
図中の線分は,式(3.8) ∼ (3.10)
の関係をRe
b=5000
の実験結果に合うように描いたも のである.これらの線分と実測結果が一致する範囲から,図中に示すように流れを直線領 域,バッファ領域,対数領域,速度欠損領域に分けることができる.データにはばらつき があるが,Re
b=5000
の場合,42≤ x
2+≤ 60
の範囲に対数領域が存在することがわか る.Re
b=3000
では,対数則の式(3.9)
に対応するのはx
2+≈ 40
近傍の狭い範囲に限ら れており,Re
b=3000
は対数領域が存在する下限である.3.2.3
渦動粘度図
3.8
に無次元渦動粘度K
1= ν
t/ (2 hu
∗)
の分布を示す.参考のため図中にはポアズイユ乱流 (5) (37)の結果も示してある.図中の実線は対数領域で成立する式