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内生的価格分布 :概観 (上) - 異 時 点 間 の価 格 設 定-

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内生的価格分布 :概観 ( 上)

‑ 異 時 点 間 の価 格 設 定‑

並 河 永

キーワー ド:産業範織論,流通,価格分布,戦略的価格決定,耐久財独占

要 約

価格をめ ぐる 「 流通問題」を理解す る た め に は,同一の財が 2 種類以上の価格を付け られ る, とい う結論が得 られ る状況に注意を集中す ること が有益である。 この論文では伝統的なエ ッジワー ス =ベル トラソ均衡モデル と,異時点間で価格が 変化するモデル群について検討が加え られ るO価 格分布を導 くモデルはすべて何 らかの形で,企業 に取 って独占販売の機会が 0% でも 1 0 0% でもな い確率で訪れ ることを仮定 していることが示 され る。

1 . は じ め に

私が この分野の研究を始めた ころ,流通論 とい うのは非常に守備範囲の狭い各論である, とい う イメージを率直にぶつけ られ た こ とが何 度 か あ る。 しか し実際にはその道であって,流通論の名 のもとに実に様 々な内容の講義をす ることができ る。業種 としての流通業を分 析 の中心 に据 えた

「 流通業論」 とでも言 うべ きア プ ローチ もあ る し,経済史の各論 としての 「 流通史」を講 じるア プローチ もある。あるいは各種の規制,中小企業 のための融資制度,旧百貨店 法や大 店 法 な どの

「 流通政策論」を展開す ることもできる.では,‑

近代経済学者が流通論に分担 してもらいたい課題 は何であろ うか。 一

市場の完全性が満たされる限 り,流通について

明示的に考える必要はない, と近代経済学者は考 えているように思われる。すべての経済主体がす べての財について取引磯会を持 っていて,市場全 体に対 して裁定が働いていれば,ひとつの財につ いて 2 種類以上の価格が付 くことはあ りえない。

市場全体での価格水準が生産費に比べて異常に 高いとすれば,生産段階での独占 ・寡 占をまず疑 うのが 自然であろ う。卸ない し小売店が著 しい独 占力を持 った場合のためにモデルを書 き換えるの は容易であ るし,その場合の処方毒 も生産段階で の独占 ・寡占と同じく , 「 競争者の参入を促す」

とい うものであろ う。市場が不完全であるとして ち, もしそれが資本市場の不完全性や労働市場の 不完全性であれば,消費財の流通段階には他の市 場の不完全性の影が落ちているに過 ぎない。

一物多価が生 じた り,時系列的に価格が変わ っ て 「 一掃セール」が生 じた り,ある主体間の組み 合わせの取引が不可能になった りして初めて,疏 通段階について独 自の分析が意味を持つ ようにな る。 しか しこの場合 もまだ,分析を生産段階の問 題にとどめる方法がある。品質差別化モデルのさ まざまなバ リエーションを使 うのである。

例えば系列小売店での電器製品の価格は量販店

よ り高いとしても,系列小売店で売 られる電界製

品には付加的なサービスや,迅速な修理の保証代

金が含まれている, と考えることもできる。つま

り両者は異なる財であるが故に異なる価格がつい

ているのだ, と説明す るのである。 このモデルに

4 5

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い くぶんかの予測力を与えるためには,それぞれ の財 の差異を示す指標が うま くとれなければな ら ないが, ここでは この問題は問身 っない ことに しよ ラ( 1 ) 。差別化 モデルは,広 い範囲の事柄を統一的 な枠組みで扱えるとい う点が確かに優れている。

差別化のための コス トと需要予測を見比べて, 最適な晶質差別化の程度を決め る意志決定は,坐 産者が行 って も流通業者が行 って もか まわない。

とい うよ り, このモデルでは流通業者固有の役割 は何 もない。量販店 どうし,系列小売店 ど うLが 利潤が出な くな るまで競争 していれば,系列小売 店や量販店が 自営業者であろ うとメーカー所有店 舗であろ うと同 じことである( 2 ) 0

こうして考え方を ここでは「 差別化パ ラダイム」

と呼ぶ ことに しよ う。 この考え方に 「 取引機会の 確保」を加えると,先にあげた。流通論が解 くべ き問題のほ とん どは (おそ らく一掃セールの問題 を除いて)解けて しま う。差別化パ ラダイムの も とでは,流通段階で要求 され るのは取引機会の確 保 であ り,その確保 のための費用 の低 さが流通の 効率性の尺度 となる差別化に よって正当化 されな い内外価格差が残 っている場合,合理的な流通業 者の参入を促 し,裁定取引をさせ るべ きであ る。

取引機会を制限す る系列取引な ど論外である。

「 差別化パ ラダイム」 では流通活動 (必ず しも 流通業者が行 うとほ限 らない)の対価がすべて財 の価格に含まれ ることにな り,その付加サー ビス のための部分をは ぎ取 ると,個性 のない一般的な

「 流通業者」が残 る (あるいは,なに も残 らない) ことにな る。 しか し水平的な外部性や規模の経済 性を持つ活動や,流通業者に裁量権のある活動を め く 小 るメーカー,卸,小売の間での交渉は流通業 者の個性を作 り出さずにはいない し,それが系列 化の度合い と言 った流通機構 の外観を左右す る。

ひ とくちに言 って,流通でいちばん面 白 く,いち ばん 日常 の経験 ・観察 と関わ りのある部分が,一 般化のための犠牲 となって狭 い範囲に押 し込め ら れているのである。

財 A が財 B よ り高いのは財 A が高級品だか ら だ, とい う単純な説明が当てはまるケースは多い であろ う. しか し最初に述べた よ うに,我 々が流

通を分析す る目的は,市場の完全性が満たされな いケースを分析す ることにある。財 の市場の完全 性す ら満た されない ときに,内容の明確 さや裁定 機会でむ しろ劣 る流通サー ビスについて市場価格 が成立す るとい うのは,現実的な仮定 とは思えな い。

流通活動を財 の中に繰 り込んで しま う 「 差別化 パ ラダイム」 に対 して,財が同質的であることを 前提 とす るアプローチを 「同質性パ ラダイム」 と 呼ぶ ことに しよ う。特定 の商標をつけて大量生産 された工業製品がいちばん分か りやすい例であろ う。 こ うした商標品は,流通段階でさまざまな小 売店に置かれ,小売価格は 必 ず し も同 じでは な い。 メーカー段階では同質 性 を確 認 で き る もの が,流通段階では ど うしてさまざまな価格で売 ら れ ることにな るのか. これが 「 流通」をキー ワー ドに研究を進める上で妥当な 「 価格分布の問題」

の定義であるように思われ る。

例えば流通系列化は価格維持のためのシステム であると一般に言われ る。それに対 して,系列店 に よって行われてい るサー ビスを評価 して欲 しい とい う反論 もまた よく聞かれ る。 しか しここで, 系列店 と量販店 の価格差がサー ビスの対価 として 妥当であるか ど うか, とい う疑問に答えるために 紘,価格差 とは別にサー ビスの供給量の尺度を外 か ら持 って くるか,サー ビスを付加 しな くて も価 格差がつ くか ど うかを理論的に確かめるか,いず れかであろ う。前者はいわゆ る‑ ドニック ・アプ ローチに通 じるものがあ り , 「 差別化パ ラダイム」

的な考え方である。後者が本稿 で試み られ る方向 である。

筆者は これか ら 「同質 性 パ ラ ダ イ ム」に従 っ て,一物多価現象を従来のモデルで どこまで説 明 できるのかを検討 してみたい。 これ らは身近に観 察できる問題で もあ り, また 「 不当廉売 」 「お と り廉売」等のキー ワー ドで政治的な問題 とされ る ことも多い。 しか しこの検討の最大の狙いは,流 通機能の差に よる価格 のば らつ きを,流通機能抜 きで説 明できる価格のば らつ きか ら分離す ること にある。

この論文の前編では異時点間の価格分布,後編

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では同時点での企業間の価格分布に付いてサーベ イを行いたい( 8 ) .

2 . 伝統的なモデルの特殊ケースと して の価格分布

伝統的な経済 モデルでは,①それぞれの企業の 決定す る価格や生産量は直ちに消費者全体に知 ら され,②消費者は取引相手を (存在す るか ぎ り) コス ト無 しで 自由に選べ る。また,③企業に取 っ て需要曲線は既知である。 これ らを逆 に見れば, 消費者や企業が情報を集め る具体的な手続 きは明 示 されていない とい うことである。

クール ノー競争,ベル トラン競争,エ ッジワー ス =ベル トラソ競争 とい う 3 つの代表的な価格 ・ 数量決定 モデルは,すべて この カ テ ゴ リに 属 す

る。市場全体の需要をまかなえる企業同士が価格 競争す るベル トラン競争では,価格 ‑限界費用 の 対称均衡の唯一の均衡である。各企業が生産量を 決め,需要曲線 と総生産量か ら市場価格がただひ とつ決まるクール ノー競争では正の利潤が生 じる が,価格は独占価格 と限界 費 用 の 中 間 で あ り, n‑‑の とき限界費用 に近づいてい くO どち らも 価格分布は生 まない。 これ らのモデルの包括的な 概観論文 としては Sha pi r o[ 1 9 8 9 ]がある。

ェ ッジワース =ベル トラン競争は生産能力に制 約があ り , 1企業で全需要をカバーできない とき のベル トラン競争である。あ る生産能力の範囲で 紘, このゲームには純戦略均衡がない。企業の付 けた価格が異なるとき,留保価格の違 う需要を企 業間に どう割 り当てるか, とい う定式化に よって 均衡戦略は異なって くるが,混合戦略均衡の存在 そのものは,ゆ るやかな仮定の もとで証明す るこ

とができる ( Ma s ki n [ 1 9 8 6 ] ) 0

この混合戦略を直ちに価格分布の説 明として用 いるには, 3 つの問題点がある.第 1 に ,n 社の 企業が供給側にいるとき,価格 ‑限界費用 の とき の全需要を (n ‑1 ) 個 の 企業でまかな うことが できれば, どの企業 も単独で限界費用以上 の価格 を付けて も正の需要を得 られないか ら ( B一 o c k &

Sc he i nkma n [ 1 9 8 5 ] ) , 企業数があ る 程度多けれ

ぱ混合戦略均衡 の範囲は十分に狭 く,特に流通の 分野では政策上のイソプ リケ‑シ ョソは弱い とも 考え られ る。

第 2 の問題点は, このゲームを反復 した場合, 混合戦略は無数に考え られ る均衡のひ とつで しか ない とい うことである。 よ く知 られ て い る よ う に,割引率が十分低 い ときに これ らを無限回繰 り 返 し, しか も将来の行動を任意の t期にわた る戦 略 としてい ま決 め て しま え る とす れ ば, Fol k‑

The o r e m に よって, 独 占利潤か らゼ ロまでの任 意の結合利潤を 得 られ るよ うな, Se l f ‑ Enf o r c i ng なカル テルの均衡戦略の組を見つけ ることができ る( 5 ) 0

第 3 の問題点 として,混合戦略均衡の存在は証 明できて も,具体的な混合 戦 略 を解 析 的 に求 め ることはできない, とい う問題 が あ る。 これ は Da vi ds o n & De ne c ke r e[ 1 9 8 6 ]で明らかにされ ている。均衡戦略に求め られ る必要条件を積み上 げてい くと,高次の微分方程式が現れ,関数形や 外生変数の値を与えて数値解を求め るしか方法が な くな って しま うのである。そ うなると観測 され たデータか ら理論を検証す る道はほ とん ど絶たれ て しま うことにな る。

以上の ように,エ ッジワース =ベル トラン競争 を基礎 とす るモデルでは,内生的に価格分布が生 じるケースは限定 され る。価格のば らつ きや 「 一 掃セール」が小売段階の一般的な特徴であるとす れば,小売市場を小売市場 た ら しめ て い る要 素 が, これ らの簡単な仮定 の中にはまだ含まれてい ない, といえる( 6 ' 。

3 . 耐久財独 占と異時点間の価格差別化

今期に売 らずに在庫 しておけ る財を独 占企業が 持 っている。需要 曲線は右下が りでいろいろな留 保価格の消費者がいる。独 占企業は高い価格か ら 出発 して価格を差別化に よって消費者余剰を吸い 上げたい。消費者は正の時 間 選 好 率 を持 って い て,同 じ価格な らば早 く手にいれたいが,価格の 引 き下げ幅が大 きい と購入 を 先 に伸 ば して しま

う。

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St o ke y [ 1 9 7 9 ], Bul o w [ 19 8 2 ]な どに始まる Dur a bl e Goo d s Mo no po l y の文脈は こうした状 況を扱 っている。

St o ke y のモデルは 次 の よ うな設定 で あ る。

Uni tde ma nd( 価格が留保価格 ∬以下な ら1 単位 買 うが , ガを超えばまった く買わない)の消費者 が大勢お り , ガ の密度関数 ′(〟) は全員に取 っ て既知であ り,最小値 0と最大値 X を持つ.取引 は連続的な時間 [ To ,Tl ] のあいだ可能であ り, 独占企業は もし望むな ら連続的に価格を変化 させ てい くこともできる。

消費者は正の時間選好率 r を持つ oT. ‑O と模 準化す ると,消費者の時点 tでの留保価格は,

( 3, 1 ) p‑e r L ・ U ( t , x)

e r lは支払が i時点まで延びることを評価 し, Uの引数 t は消費が i時点まで延びることを評価 している。消費が引き延ばされても正の効用はあ るものとして,

% < o ・ % ,0

と仮定 しよう。 ここで St o ke yは,次のようにU を t とxの分離型 と仮定 したO

( 3 . 2) U( i , x) ‑g ( i )x

このとき,変分法を使 って独占企業の利潤を最 大にする価格曲 線 P( i )を求めるO ただ し消費者 は,

( 3. 3 ) W ( t , x)‑U( t , x)‑er ' p( i )

を最大にす るよ うに 自分 の購 入 時 点 T( x)を選 ぶ。企業の利潤関数は, 時点 0 ‑To で評価す る

と,

( 3 . 4 ) n(P( i ) )‑ i

x

x 2 t e ‑ r T ̀ ̀ ' p ( I( x) )‑C )I( x) dx である. ただ し x2は ,P( i ) を所与 とした とき, 最終時点 Tlで購入 してもしな くても無差別にな るようなガ,つま り取引の成立す る下限のガを指 す 。 C は限界費用で一定 と仮定 される。

このとき次のような結果が得 られた。

・限界費用が 0で一定 の と き, 独占企業は常 に ,♪( 〜 ) を一定 として値下げをせず, 時点 0ですべてを売 りつ くす ことが最適である

・限界費用が正で, しか も急速に下がってい く 4 8

と仮定す ると,P( i )を切 り下げてい くことが 独占企業に とって有利になることがある。

つま り,量産効果や学習曲線 と言った別の要素 を持ち出して こない限 り,独占企業に とって価格 を切 り下げてい くことは 常に損になる。 ( St o 汝e y [ 1 9 7 9 ])

ただ し独占企業の時間選好率が消費者 よ り低い 場合は,独占企業に取って価格を切 り下げて行 く ほ うが有利になる 。 ( La nd s be r ge r & Me i l i j s o n [ 1 9 8 5 ] Ra nd) この例を新 しいオーデ ィオ製品で 考えてみる。新製品は普及につれて値下げされて い くことを消費者は知 っている。それでも待ちき れずに新 しい もの に飛 びつ く ( 一部の)消費者 が, メーカーのこういった価格設定を支える。 も し消費者のすべてが十分に我慢強い とメーカーが 考えていれば, メーカーには無益な駆け引きのた めに 自分の収入を先に延ばす理由はない。

Sa l a nt [ 1 9 8 9 ]ほ これについて次のような説明 を与えている 。(4) 式で限界費用 C は一定である だけでな く,割引されていない。つま り生産費用 は販売時点に関わ らず最初の期に生 じると仮定 さ れている。いっぼ う ( 3 . 3 ) を tで微分 してゼロと おき ,( 3 . 4 ) に代入す ると,

・ 3 ・ 5 )∩( P( t , ,‑ S x x 2 ほ 等 三一書 芸 ‑ C)・

f( x) dx

とな り, Tの単調減少関数になって しま うのであ る。 したが って上記のような端点解が生 じ , 1 階 の条件は満たされないO も L cにも割引要素がか か っていれば , Cの減少に よって十分小さな tに 対 しては口は増加 して,内点解が現れたか もしれ ない。

ただ しこれ らは独占企業が最初に将来の価格ま でコ ミッ トできると仮定 しての話であって,付け 続け ようとした価格 と限界費用の間に留保価格が くるような消費者がいるのであれば,独占企業は 2 期 日に価格を引き下げるインセンティブを持 っ ているし , 3 期 日以降 も同様の ロジックで残 りの 需要を引きつけたほ うが利益になる。つま り価格 を一定に保つ ことは完全均衡戦略ではない。

したがってこのモデルでは,長期に渡って価格

(5)

を コ ミッ トしておけ るは ど独 占企業に取 って有利 である。価格を コ ミッ トできる期間を限 りな くゼ ロに近づけて行けば,独占企業 も完全均衡では限 界費用に等 しい価格を付けなければな らな くなる であろ う。 これが有名な Co a s eConj e c t ur eであ り,現在 では一定の仮定 の も とで証 明 され て い る。( Ti r ol e[ 1 9 8 8 ]pp.8 0 ‑ 8 5;St o ke y [ 1 9 8 1 ]) St o ke y [ 1 9 7 9 ]でも示唆 され, Sa l a ntの コメ ン トに もあった よ うに,独 占企業が将来時点での 利潤を大 きく,費用 を小 さ く評価す るよ うな理 由 がなにか見つかれば,価格差別化を内生的に導 き やす くなる。 もし将来時点での需要が大 き くなる と仮定できれば,同様の理 由で価格差別化が起 こ ることが予想できる。次に述べ るのはその ような モデルである。

Co nl i s k, Ge r s t l e r & So be l[ 1 9 8 4 ] と So be l [ 1 9 8 4 ]のモデルでは, 新 しい 消費者の コーホー

トが毎期市場に現れ,需要が満た され るまで とど まると仮定 されている点が耐久財独占のモデル と 異なっている。 この場合, ときお り「 一掃セール」

を行 って留保価格の低い需要をみた し,それ以外 の時期には もっと高い価格を維持す る, とい うメ ーカーの均衡戦略が現れ る.

Co nl i s k,Ge r s t l e r& So be l[ 1 98 4 ] のモデルは 独占企業のモデルで,消費者はその留保価格に よ って 2 種類に分け られ る。均衡では,留保価格の 低いほ うの消費者は 「 一掃 セール」 の ときのみ, 留保価格で取 り引 きす る。留保価格の高い方の消 費者はそれぞれ登場 した期 の うちに買い物を済 ま せ る。ただ し消費者は現在価値 で無差別な らば, なるべ く早 い時期に買い物を済 ませ ると仮定 され ている。留保価格の高い消費者が一掃セールまで 待 って も,その期に買い物を して も無差別な よ う に価格が設定 され るため,価格はセールの時期に 向か って少 しずつ下が っていき,セールの直後に 最高価格に戻 る。

So be l[ 1 9 8 4 ]は独占タイプのモデルを複数企業 モデルに拡張 しよ うとした もので, これ までに述 べてきたモデルや,本稿 の後編で検討す る予定の サーチモデル と関連す る結果 として興味深い。複 数企業 モデルに した場合,単に価格競争をす るの

では,価格 ‑限界費用 のベル トラン均衡 の結果を 避けることができない。

そ こで So be l は,留保価格の高い方の消費者を

「固定客」 と解釈 して,価格比較を しない と仮定 した。つ ま り1 企業あた り∽ 人の留保価格 帆 の 消費者がいるとすれば, Ⅵ 以下の価格な ら 粥 の uni tde ma nd , 抗 を越 える価格な ら需要はゼ ロで あ り, 抗 よ り価格を小 さ くしても, このタイプ の消費者の需要は他の企業か ら奪えない とした。

価格に応 じて動 くのは,留保価格の低い も うひ と つのタイプの消費者だけ だ, と仮 定 した の で あ る。

この場合,高い留保価格の消費者は異時点間の 価格比較 もしないで,セールに向けて価格がゆる やかに下が った りはせず,一定間隔を置いて 1 期 だけ価格が下が り,すべての積み重なった需要が 満た されて,次のサイクルが始 まる。

この 「固定客」は地域独占力の結果 とも,突発 的に生 じる緊急の需要をあ らわす もの とも解釈で きる。後述す るサーチモデルでも,価格分布が起 こることを予想す るモデルには,消費者がある確 率で,あるいは最初か ら一部の消費者がサーチ コ ス トが高い と仮定 されて,ただひ とつの企業 しか 選べないケースがたいてい含まれている. この問 題には後で もう一度戻 って くることに しよ う.

次に, Sa l o p & St i gl i t z[ 1 9 8 2 ]の 2 期 モデル を取 り上げ よ う。 このモデルでは,消費者 (1種 類 しかいない)が 1 ではな く2 の需要を持 ってい る。消費者は各期に ランダムに企業を選ぶ。 1 期 日に飛び込んだ企業で 2 単位を買 って も良い し, 全然買わな くて も, また 1 単 位 だ け 買 って も良 い。 1 期 日はサーチ コス トが か か らな い もの と

し , 2 期 日のサーチ コス トは C , 1期 日に 2 単位 買 った場合の保管費用 を Zとす る.

企業数は所与 とし,利潤は必ず しもゼ ロではな いが全企業で等 しくなければな らない とす る。た だ し,期待消費者余剰が非負でなければ消費者は 退出して しま うので均衡ではない, とす る。

消費者が 2 個 の財を買 うか , 1 個 の財 で済 ませ

るかが無差別にな る価格を PT とお く。♪Tよ り低

い価格をつけて も 2 個売れ ることは PT と同 じな

4 9

(6)

号 ので ,P T よ り低い 価格をつけることは企業に取

って損であるo PTよ り高い価格をつけれ ばせ い ぜい 1 個 しか売れないのだか ら,消費者の留保価 格まで価格を引き上げるのが企業に取 って合理的 であるO したがって,均衡では PT と留保価格 V

の両方が付 くか,あるいはその一方だけの 1 価格 均衡になるか, どち らかである。

結論は次の通 りである。

( i ) C ‑ 0のとき

Z<V / 3 な らば 2 価格均衡のみ Z≧V / 3 な らば p‑V の 1 価格均衡のみ ( i i ) C > 0の とき

Z ≦( V ‑C ) / 3な らば 2 価格均衡のみ それ以外では消費者が 2 期 日に買い物 し ない

保管費用 とサーチコス トが低いほ ど ,2 価格均 衡が現れやすい, とい うことが読み取れ る 。ど ‑0 の場合, どの企業でも同じ価格 しかついていない とわかっていれば,消費者に保管費用を払 うイソ セソティブほない。 しか し消費者が 1 個の財 しか 買わない とすれば,企業は PT ではな くVをつけ る。 したがって, 1価格均衡は ♪‑ 〝 しかない0 2‑V / 3 のとき ,V ‑ PT ‑ Zが成立 し , 2 価格均衡 を仮定 して求めた高価格の企葉の比率がち ょうど

1 になる。

C >O の場合, 企業に消費者が 来た時点でサー チコス トはサ ソクされているか ら,企業はやは り

♪‑V を提示 し, 消費者は これを 受けざるを得な い。 これでは期待消費者余剰はマイナスになるの で,消費者は最初か らサーチしない。第 1 期 日に 正のサーチ コス トがかかるとすれば, 2 価格均衡 が成立 しないパラメータでは,最初か ら消費者が 参入 しない ことになる 。 2 価格均衡の成立するパ ラメータでも,数量割引を認めることにすれば, 企業 としては 1 個だけ財を買 う消費者 ( ‑2 期 日 の消費者)には V ,2 個な ら PTを提示す ること ができ ,C > 0な らやは り消費者は退出してしま

う。

数量割引によって消費者に 自己選抜させ,消費 者に付いての情報を 読 み と る, とい う筋書 きは Spe nc e[ 1 9 7 7 ]にあるが,Sa l o p & St i gl i t zでは

5 0

意志決定のタイ ミソグか ら一部の費用がサンクさ れる, とい う要素が絡んで こうした結果 となって いる。

書籍の‑‑ ドカバーと文庫本は有名な例である が,多 くの耐久消費財では発売以降少 しずつ実売 価格が下が ってい く。 メーカーが表向き価格を維 持 しようとす る理由も,その反面 メーカーの黙認 に よる安売 りがな くな らない理由もこのモデルの 中に含まれていると言える。

メーカーの時間選好率が低い場合を除 くと,潤 費者のタイプを見分け,特定 タイプの消費者にだ け財を購入させるような 自己選抜 メカニズムが組 めるか どうかが, この種の価格変化が現れるか ど うかの鍵 となった。 これを流通に当てはめると, 一部の小売店に対 してだけ出荷価格を安 くす るこ とが これに当たるか も知れない。特定のタイプの 消費者を引きつける特定の流通業者がいれば, メ ーカーはその流通業者に対する取引条件を変える ことで,そのタイプの消費者のみに対 して異なっ た価格をつけることができる。

ここで当然,その 「 一部の小売店」に需要が集 中 しないのはなぜか, とい う疑問が起 こるであろ う。そ こで,時間的に差 し迫 った需要 とそ うでな い需要,移動費用の異なる消費者な どを区別する 意味が生 じて くる。異 なった 需 要 か ら異 な った (それぞれ合理的な)価格を導 くことは困難では ない。 これは後編のサーチモデルの中で取 り扱 う 予定である。

4. 需要関数のパラメータを知 るための 試験販売

需要関数のパラメータが企業に取 って未知であ

る場合,まずい くらかの量を市場に出して消費者

の反応を確かめ,そののちに利潤を最大にす る価

格を付ける, とい う企業の選択が考えられる。 こ

の場合,価格を低 く付けると試行期間中の販売量

が大 きくな りす ぎ,のちの利潤磯会が失われるた

め,試行販売中の価格はむ しろ高 め に 設定 され

る。 したがって価格は取引期間の途中で切 り下げ

(7)

られ ることにな る。

La z e a r[ 1 9 8 6 ]のモデルは こうした状況を扱 っ ている。 このモデルでは, Uni tde ma ndの消費 者が各期にひ と りずつ企業 の前にあ らわれ,最初 の取引が成立す るとゲームが終了す る。財は 1 単 位 しか生産 されていない。各期 の消費者はそれぞ れ独立に, しか し同 じ分布の中か ら選ばれて くる

ところがポイン トである。

消費者の 留保価格の 企業に 取 っての 事前分布 が,[ 0 , 1 ]の一様分布であった とす るo l期 ゲー ムであれば,価格 R をパ ラメータとす る企業 の利 潤関数は R( 1‑F( R))にな る. ここで F(・ )は 留保価格の分布関数 で あ る。 これを最大化 して R‑1 /2を得 る0

2 期 ゲームの ときは , 1 期 日の価格 Rlで売れ

こ ' : i t : ' 1‑ ; :‡ 詰 し! 書: ' ' . . I ; : ‑ 〜 ; ; ≡: : I ̲ i' F ' L l :: r ・ ̲ ‑言 ∴ 言

∴ : ‑ ̲ ;‑ ‑ :̲ : ∴ 二 ‑ I : : ‑ ∴ I

i ( 4. 1 ) n2 ≡芸崇 二言; 5芸] ' ]

‑I :̲ : : ‑ i‑ ̲ : : 三 ∵ t I :‑ ̲ : : ̲: I ‑ 喜 =: : : I ̲ : ‑ ‑ : :三 ( 4. 2 ) 口‑R2 [ 1‑F( R l ) ] + R2 [ 1‑F2 ( R2 ) ]

F( R l )

( 4 . 2)か ら RBと F2 (・ )を消去 して, Rlにつ いて最大化す ると ,R

1

‑2 / 3 ,R2 ‑1 /3を得 るo l期 ゲームの ときよ り1期 日は高 く,売れ残 った ときの2 期 日は安 くな っている。

一見す ると,消費者は 1 期 日に財を買 うことは 不合理であるように 見えるo La z e a rは これにつ いて,消費者が〃人いるとすれば, 2 期 日に うま く通 りかか って安 くなった財を手に入れ る確率は 1 / Ⅳ にす ぎず , Ⅳ が十分大 きい ときは消費者の 買い控 えは考えな くて良い, と説 明している。

したが って このタイプのモデルでは, もし需要 の任意の一部分を試験販売 して需要 曲線を推定で きるな ら,独 占企業はわずかな量での試行錯誤を 繰 り返 して需要曲線を探 り当て,供給量 のほ とん どすべてを真の需要曲線に対応 した独 占企業 で売

って しま う, とい う結論にな る。( Ti r o l e[ 1 9 8 8 ] , p. 7 4)

では,来店 した消費者に対 して価格交渉ができ るとした ら,結論は どう変わ るであろ うか。Ri l e y

& Ze c kha us e r[ 1 9 8 3 ]は一定の グループ内の消費 者が次 々に来店 し, グループ全体に関す る留保価 格の分布が企業に とって明 らかになってい く状況 をモデル化 している。留保価格 の事前分布は上限 1 と下限 0を持つが一様分布でな くて も良い。た だ し時間選好率を掛ける代わ りに,新 しい消費者 を迎えるには企業に取 って費用 C がかか る, とし ている。 2 著聞交渉の手) 断 まは っき りとは決まっ ていないが,企業は どんな戦略で もコ ミッ トで き る, と仮定 されている。 したが って事実上,企業 が任意に交渉 の手順を決めることができる。

この とき,企業の提示 した価格 R. Iで取引が成 立 しな くて も , i人 目の消費者の留保価格 V, ・を 明 らかに させ る メカニズムが 存在す る。 「 買い手 が R

i

を拒否 した ときは,買い手に価格mを逆提 案 させ るが,企業はそれを α 桝の確率で受け入れ る」 とい う戦略を コ ミッ トす るのである。 この と き消費者の 期待利潤は α m( vr m) とな るので, 消費者を まそれを 最大化す る m ‑V. I / 2)を 提 示 す る 。 α を任意に小 さ くすれば,企業は任意に小 さ い負担で V. ・を推定す ることができる.

取引の終わ りに企業が V . Iを 確実に知 ることが できるとすれば, この ときの企業 の最適戦略は, ある値以上の 〝の消費者 とは1 0 0% 取引が成立 し, それを下回る消費者 とは決 して取引が成立 しない

よ うな もので あ る こ と を Ri l e y & Ze c kha us e r [ 1 9 8 3 ]が示 している.つ ま り R , ・ ほ i番 目の消費 者に対す る掛け値無 しの提示であ り,交渉の余地 はない ( 正確に言えば αV, /2 の確率で値切れ るの だが) とい うことにな る。

5. 中間のまとめ

エ ッジワース =ベル トラン競争を正面か ら分析

す ることに よって価格分布を ( 混合戦略 として)

説 明す ることは非常に望みが薄 く,できた として

も実際の問題に適用 できそ うに もない。それな ら

51

(8)

ばベル トラン競争 にな らない価 格競争 のル ールを 見つけ て くる必要があ るわ けだが, Sobe l の分析 の よ うに,そ のためには結局 なん らか の独 占的な 商 圏や独 占販売 の可能性 (例 えば確率的に生 じる 緊急 の需要) を仮定 しなければな らない。 「 差 別 化 パ ラダイ ム」 の もとであれ ば, これ らは消費者 の効用 関数 ない し需要 関数 のパ ラメータの一部 と して現れた であろ う。 「同質性 パ ラダイム」 では それ らが別建 ての制約 として現れ る よ うな モデル を選 ぶ ことにな るが,結局行われ てい る ことは価 格差別化 に他 な らず,価格分布 をそれ以外 の誘 因 か ら説 明す ることは困難 な よ うであ る。

Lazea r のモデルで も, いち ど出会 った 消費者 が も う一度取 引の機 会を得 る ことはほ とん ど考 え られ ない, とい う仮定 が,消費者 に真 の選好 を明 か に さ庫るため の仕掛 にな っていた。一部 の消費 者 に対 して独 占企業 として振 る舞 え る よ うな仮定 を置 くと,企業 の価 格設定 のバ リエ ーシ ョンほ と た んに豊か にな る よ うに思われ る。特定 の商 圏を 持 ってい る こと,特定 の有利 な位置 を 占めてい る ことに よって,一定 の固定 客を持 ってい る ことが 小売店 の行動を特徴づけてい る とすれ ば, この検 討結果 は うなず け よ う。逆 に,消費者が市場 の ど の部分 に も同 じ費用 で ア クセ ス で き る の で あ れ ば,付随サ ー ビスの提供 を除 いて,流通業者 の存 在意義 はない と言 え よ う。

また,商 品知識 の普及や,技術進歩 (所得 の伸 びに比べた価格 の低下) に よって,固定客が非 固 定客 に変 わ って行けば,それは流通 サ ー ビスに付 け られ る価格 の変化を越 えて,小売店 に取 っての 最適 な価格設定 を変化 させ る ことにな る。例 えば Sobe l のモデルでは, 固定 客 と非 固定客 の比率が セ ールの頻度 に影響 した ( 8 ) .

こ うした 固定客 ・固定商圏 の存在を無 視 で きる か ど うかが,市場取 引の世界 と流通 の世界 を区切 るのに都合 の良い境界 であ る よ うに思われ る。商 品知識が行 き渡 り,取 引費用 が下が り,裁定 の機 会が増大す るにつれ て,そ の財 の流通 は 1 箇所 で の市場取 引に近 くな って行 く。 しか しそれ で も, 少 な くとも物理 的な距離があ る限 り,価格 はそ の 影響を受 け続 け るであろ う。

≪注 ≫

(1) ひとつの財は各種の属性 (自動車であれば快適 さ,速度,燃費など)の集合体である,とい うへ ドニックアプローチは,以前か らこの問題に取 り 組 んでい るといえよう。例 えば Ro s e n [ 1 9 7 4 ] , Ep pl e[ 1 9 8 7 ]およびその参考文献を参照。

(2) もっとも,競争者のいない分野に先着できた場 合には,より少ない種類の財を競争者が中間に入 ってこない樫度に 「まばら」に配置することで, 財の種類を増やすときの固定費用を節約してプラ スの利潤を上げることが出来る,とする理論モデ ルが知 られている 。Sc hma l e ns e e[ 1 9 8 2 ]参照。

(3) 本稿で取 り上げない価格分布に対する説明とし て ,Me nuCo s tの存在 を強調す る, マク。経 済学の文脈 に属す るモデルが あ る 。 ( Fi s hma n [ 1 9 9 2 ] )インフレーションによって寡占企業が名

目価格を変更する必要が生じたが,価格変更には 一定の費用がかかるとする。このときは最適な価 格と現在の価格のもとでの利潤の差が価格変更費 用を償 うようになるまで,価格変更が遅れる。イ ンフレーションが間断な く続き,かつ価格変更の タイ ミングが企業ごとにずれていれば,どの時点 をとっても価格分布が観察される。

このモデルをサーベイの対象からはずす理由は ふたつある。まず,このモデルは広い範囲での代 替財の価格付けを扱 うもので,特定企業の特定の 財の価格がばらつ く,とい う現象の説明には適さ ない。そして,このモデルは外生的な条件が変化 したときの市場メカニズムによる調整を扱 うもの で,たとえ価格分布が恒常的にみ られ るとして も,それは外生的な条件が不断に変化することの 結果に過ぎない。つま り Fi s hma nの分析する価 格分布は,価格の硬直性 ( Ri gi di t y)か ら派生し てくるものである。

価格の調整に時間がかかった り,価格変更にと もな う費用の存在から小刻みな調整がかえって不 利になった りするモデルは,経済政策の有効性を 巡ってマクロ経済学で大きな含意を持つ。こうし たモデルのサーベイとしては Ma nki w [ 1 9 9 0 ] が ある。

(4) Br e s hna ha n & Re i s s[ 1 9 9 1 ]はアメリカの同 規模の都市の小売店数と価格水準の関係を実証的 に調べた論文だが,それによると競争的な価格が つ くには 2‑ 3 軒の大規模小売店 で十分だ とい

う。

(5) 上記の場合,余剰販売能力はカルテルが破れた

場合の競争を激 しくするので,カルテルが破れた

場合の脅 しを大 きくし,カルテルを守 りやす くす

る効果がある。割引率が Fol kThe or e m を成立

させないほど高い場合にも,参入の増加 ・販売能

力の増大によって,維持できるカルテルの範囲が

広がることを Br oc k & Sc he i nkma n [ 1 9 8 5 ]は

示 している。長期的な戦略にコミットできるとき

(9)

は,互いにより大 きな販売能力を持つことが,か えって価格競争を抑制する効果 が あ るわ け で あ る。

需要に不確実性がない場合,カルテルは誰かが 破ると互いに増産ないし値下げを始めるとい う脅 しだけで維持され,実際には破 られずにすむ。し かし,需要に不確実性があると,偶然によって需 要量が大 きく増えた り価格が下がった りして,そ れが均衡か らの離脱 と同じ状態をもた らし,脅 し が実行されてしま うことが一定の確率で生 じる, とするモデルもある。それでも,一定の仮定のも とでは,それが期待利潤を最 も大 きくす る戦略な のである 。( Gr e e n & Por t e r[ 1 9 8 4 ])

(6) エ ッジワース‑ベル トラソ競争では,企業は価 格のみを提示 して,生産能力の許す限 りすべての 注文に対 してその価格を適用する。こ れ に 対 し て,企業に価格 とともに取引数量を 0f fe r させる モデルも発表されている。Di xo n[ 1 9 8 6 ][ 1 9 9 2 ] , Gr os s ma n [ 1 9 8 1 ] ,Kl e mpe r e r & Me ye r[ 1 9 8 9 ] な どである。 Di xo n [ 1 9 8 6 ][ 1 99 2 ]を除 く後 2 着は,企業が数量 と価格の対応表,つま り供給曲 線を 0f fe I . するようになっている。ただ しこれ ら は右上が りの文字通 りの供給曲線であ り,数量割 引の 0 f fe r で互いに競争す るようなモデルではな

い。

また,Kr e ps & Sc he i nkma n [ 1 9 8 3 ]のモデル は,各企業にまず生産能力を選ばせ,それか らエ ッジワース =ベル トラン競争をさせるとい うもの である。彼 らに よると,その結果はクール ノー均 衡 と同じものになる. しかし Da vi ds o n & De ne ‑ c ke r e[ 1 9 86 ]は,満たされない需要が ど うい う 規則で他の企業に振 り向け られるか, とい う Ra ‑ t i oni ngRul eの選択によって, これ以外の 結果

も生 じることを示 している。

(7) Ti r o l e[ 1 9 8 8 ]は,耐久財を リースして各期 ご とに契約を更新す ることにすれば,実質的に各期 の価格をコミッ トするのと同じ効果が得 られる, と指摘 している。

(8) こうした小売店に取 っての条件 変化 へ の対応 は,小売店の企業規模の大小 とは直接対応するも のではないように思われる。アメ リカの 自動車の ディーラーが同一の敷地内に各社 ・各ディビジ ョ ソ (プラソ ド)の売 り場 とそれぞれの専用設備を 並列させる 「メガディーラー」 とい う業態は有名 であるが, 日本でも家電量販店のパ ソコンの売 り 場はしば しはメーカー別になっているO相談販売 が効果的で単価の高い財は, メーカーか らみても 大規模小売店か らみても,専門のチームを作 った 分が効率が よいであろ う。これに対 して,商品と して十分に成熟 して単価の下がった一般家電製品 は,大 きさや価格帯でグループ分けされて展示 さ れている。

≪参 考 文 献≫

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(11)

~Summary~

Endogenous Price Dispersion: A Survey --Part I : Dynamic Models--

This paper surveys the medels which explain price dispersion, including those

III

which it occurs as a secondary implication. In order to derive policy implication on distribution system, it is meaningful to examine general conditions for dispersion in homogenous good or intra-brand competition. We found in every model which explains intertemporal price dispersion, some notion of 'the chance of monopoly' is included as a crucial assumption.

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参照

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