﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
iI附属学校における﹁国語科教育実習﹂指導を中心にII
世 羅
博 昭
はじめに
教師教育が学生にとって実のあるものとなるためには︑一般教
育・教科専門教育・教職専門教育・教育実習が有機的関連をもっ
て体系的に指導される必要がある︒ところが︑実際には︑それぞ
れの関連が十分に図られているとは言えない︒なかでも︑大学に
おける﹁教科教育﹂の授業と附属学校における﹁教育実習﹂指導
との関連をどのように図るべきかについては︑早急に︑そして組
織的に取り組まねばならない課題である︒
本稿では︑昭和五十八年度︑私が広島大学附属中・高等学校在
職中に取り組んだ︑国語科教育実習の指導例を紹介した上で︑大
学における﹁教科教育︶の授業と附属における﹁教育実習﹂指導
との関連をどのように図るべきかについて︑考察を加えたい︒
一、
和五十八年度広島大学附属中・高等学校における
﹁国語科教育実習﹂指導の概要
広島大学附属中・高等学校では︑広島大学教育学部・文学部・
理学部などの四年生を対象に︑前期︵六月︶︑後期︵十月︶︑それぞれ二週間ずつ教育実習を行なっている︒期間が二週間と短いの で︑各教科における授業実習だけを課している︒ 国語科の場合には︑事前に実習生が提出していた﹁実習届﹂の研究したいテーマを参考にして︑指導教官一人当たり六〜七名の実習生が割当てられ︑実習生一人当たり四〜五時間の国語科の授業を行なう︒年度当初︑時問割を組むときに︑教育実習のことを考慮して︑国語科各教官︵八名︶の授業クラスの持ち方を﹁タテ持ち﹂にしてある︒原則として︑中学校一クラス︵学年は何年でもよい︶・高等学校一︑二︑三年のクラスを持つことになっている︒一人の指導教官がいろいろな学年の︑いろいろな授業︵国語・国語1・国語H・現代文・古典など︶を持っておれば︑その指導教官グループの実習生に︑多様な実習を体験させることができるからである︒ 国語科実習指導の内容を紹介すると︑次のようである︒ω事前指導⁝⁝実習の十日〜一週間前に︑指導教官ごとに担当実 習生と事前の打ち合わせをする︒担当教材︵単元︶・担当クラ ス・時間割などを決める︒実習生の担当する教材︵単元︶は︑ ゆ め ヤ ヤ 教科書教材の中から一教材を指定したり︑自由に選択させた りするのが普通であるが︑私の場合には︑昭和五十七年度以
降︑実習生に自主的に単元を一つ編成させることにしていた︒
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
⑭実習中の指導⁝⁝実習初日︑国語科実習オリエンテーションを
教科主任が行なう︒実習が始まって︑二︑三日後に︑指導教
官一人が国語科実習生全員のために︑示範授業をする︒各指
導教官は︑実習授業前には教材研究に関する助言や指導案に
対する助言を行なう︒実習授業中は︑同じグループ員による 授業の記録︵発問↑応答・生徒の反応・板書など︶をとらせ
る︒実習授業後は︑批評会︵一時間の授業に六十分の批評会︶
を持った︒実習最終日の午後は︑実習生代表二名による研究
授業とそれをめぐっての合同批評会︵大学の教官も出席︶を
行なった︒
⑥実習後⁝⁝﹁実習を終えて﹂︵原稿用紙五枚︶と﹁教育実習授業
記録力ード﹂︵月日・時限・学年・組・教材名・目標・反省︶
とを提出させた︒私の場合は︑実習授業︵全部録音させてい
た︶の中から︑各自︑最低一時間分の授業を文字化させ︑そ
の授業反省も加えて︑提出させた︒
二︑私の﹁国語科教育実習﹂指導の場合
ω 実習指導のねらい
①国語科の授業とは何かを体験を通してつかませる︒
②国語科教育の実践的能力を育てる︒
ア 最低でも︑一斉授業形態による︑教師主導型の授業がで
きる力を育てたい︒できれば︑学習者の興味・関心や問題
意識をふまえた単元を編成し︑それを展開していくことが
できる力を育てたい︒
イ そのためには︑単元構想力︑単元編成力︑国語教材把握
力︑授業構想力︑授業展開力︑話述力︵説明力・発問力・
二
助言力・司会力など︶︑板書力などを育てる︒
③実習生一人ひとりの長所・短所を明らかにし︑各自に自らの
実践的課題をとらえさせる︒
④学習者一人ひとりを大切にする態度を養わせる︒
⑭ 指導助言内容
批評会では︑それぞれの実習生の授業内容に即した指導助言を
行なったが︑いちおう︑二週間を通じて︑次のような指導の目安
を設定していた︒
︿第−段階﹀全体的な授業の骨組み
︑○教材分析から指導目標設定への手順 ○指導目標の立て方
○指導目標達成のための指導過程のあり方 ○指導過程の構
造化・必然化
︿第n段階﹀細かな指導技術
○発問の検討 ○板書の構造化 ○生徒の発言の取り上げ方
︿第m段階﹀授業の活性化の図り方
○指導目標と活動目標との分化 ○作業化
なお︑批評会の指導助言にあたっては︑できるだけ代案を提示し︑ときには︑私ならこうすると︑二十分くらい︑具体的に授業
の仕方を示したこともある︒印象批評に止まらないよう︑配慮し
た︒㈹ 昭和五十八年度前期の私のグループの実習授業内容
昭和五十八年度前期︑私が担当した実習生は︑教育学部教科教
育学科国語専攻生四名と︑教育学科生二名︑心理学科生一名︑計
七名であった︒実習生が行なった授業内容と担当の仕方を紹介す
ると︑次のようであった︒
○中学一年B組︵国語・週四時間︶
●小説﹁形﹂︑︵菊池寛︶⁝自主教材︒四時問を一名で担当
●小説﹁わな﹂︵井上靖︶教科書教材︒四時間を一名で担当︒
○高校−年三組︵国語1・週四時問︶
●単元﹁愛−情熱の発酵ー﹂⁝実習生の作った単元︒現代文
︵報道文・評論︶と古典︵物語・和歌︶とを組み合わせた
単元︒十二時間を三名で担当︒
○高校H年五組︵国語H︿古典﹀・週三時問︶
●単元﹁兼好と清少納言の自然観を探る﹂⁝⁝教科書教材を
ふまえて実習生が作ったミニ単元︒随筆﹁徒然草﹂︵第十九
段・﹁折節のうつりかはるこそ﹂︶と枕草子﹁枕草子﹂︵第一
段・﹁春はあけぼの﹂︶とを組み合わせたもの︒六時間を二
名で担当︒
○高校皿年選択古典クラス︵古典・週二時間︶
●﹁宇治十帖物語−薫と大君の物語1﹂︵源氏物語︶⁝私が﹁源
氏物語﹂を自主的に教材化していたもの︒﹁橋姫﹂の巻の一
部を二名で四時間担当︒
実習生全員が四時間ずつ授業を担当した︒実習生七名のうち︑
二名は︑高1と高m︑高Hと高mを︑それぞれ掛け持ちした︒
なお︑この前期の実習期間は︑六月十五日〜二十八日であった︒
㈲ 実習生の指導した単元﹁愛−情熱の発酵ー﹂
教育実習が始まる十一日前︵六月四日︶に︑私の担当する実習
生七名と事前の打ち合わせ会を持った︒各自の担当クラス・時間・
教材などについて話し合ったときに︑私の実践した︑主題を軸と パ ユレして現代文と古典を合わせた単元例を紹介した︒そして︑高校−
年三組の﹁国語1﹂︵週五時間︶はまとまった時間がとれるので︑ みんなで協力して︑こんな単元を編成したらどうか︑と勧めた︒これを受けて︑実習生が作ったのが単元﹁愛 情熱の発酵1﹂である︒
︑この単元が編成される過程︑指導の実際︑指導後の実習生の反
省と課題を︑実習生が実習終了三か月後︵九月下旬︶に提出した
冊子﹃単元﹁愛 情熱の発酵1﹂の実践記録﹄︵一七〇ぺージ︶
を参考にして紹介していきたい︒
参考までに︑その目次を挙げると︑次のようである︒
第一章授業の準備
1単元の準備 2単元の構成 3単元の構想 4教材第二章授業の実際
1﹁世間体﹂の場合 2﹁芥河﹂の場合 3﹁但馬皇女物
語﹂の場合 4﹁人生の目的とは何か﹂の場合
︵注︶いずれも各授業時問の指導案・板書案・授業記録
︵録音の文字化・板書︶・批評会の記録が載せられて
いる︒第三章実践を振り返って
1各教材と単元全体の関わりについて 2その他の留意点︵①準備②教材選択③テクニック
④人生教訓的・道徳的授業に陥る危険性 ⑤古典と現代
文を組み合わせる意義︶
① 単元の準備
﹃実践記録﹄によると︑六月六日︑﹁笑い﹂・﹁旅﹂・﹁愛の諸相﹂・
﹁愛と形式﹂という︑四つの単元案を持って︑大学の教科教育担
﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
三
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
四
当の先生の所を尋ね︑指導を受けている︒四つの単元案のうち︑
二つの案を紹介する︒
o単元名﹁旅﹂⁝⁝︿単元のねらい﹀さまざまな旅人の姿をとら
えることによって︑旅について考え︑人生について考えさせ
る︒︿教材﹀1西行の歌 2土佐日記 3伊勢物語︵第九段︶
4更級日記︵冒頭︶ 5おくのほそ道 6杜甫の詩 7若山
牧水の歌 8﹁旅について﹂︵三木清︶ 9﹁豆の葉と太陽﹂
︵柳田国男︶
o単元﹁愛の諸相﹂⁝⁝︿単元のねらい﹀極限状況にある愛のあ
りようを読み︑愛について深く考えさせる︒特に︑愛の尊厳
や深さに気づかせさせる︒ ︿教材﹀ 1万葉集 2古事記 3伊勢物語 4大和物語
5﹁恋愛論﹂︵亀井勝一郎︶ 6﹁レモン哀歌﹂︵高村光太郎︶
大学の先生の指導は︑単元編成にあたっては︑単元主題への切り
込みの視点を明確にすること︑核となる教材を決めること︑他の
教材と核教材との関連を明確にさせることなどであったという︒
これを受けて︑実習生は六月七︑八︑九日と相談を重ね︑﹁﹃愛﹄というテーマは︑高校一年生にとって非常に身近なものである︒
かといって全て知りつくしているわけでもなく︑常にとまどいと
不安を抱いているといった微妙な性格を持ったものである︒また︑
事前に学習者の方から︑﹃愛﹄の単元を扱ってほしいという希望が
出ていた﹂という理由から︑単元主題を﹁愛﹂に決定している︒
この後︑実習生は︑大学の先生の﹁﹃暴走族の座談会﹄を読んで︑
彼らの考えに驚いた﹂という話をヒントにして︑﹁そういった現代
の不毛な愛を代弁するものと古典とを比較するのがよいのではな
いか﹂ということになり︑話し合って︑次のような単元案を作っ た︒
単元名﹁愛の諸相﹂⁝⁝︿単元のねらい﹀さまざまな愛の姿 を見ることによって深く広い愛の本質を理解させる︒
︿教材と時問配分﹀
32
1﹁暴走族の座談会﹂
﹁芥河﹂︵伊勢物語︶・﹁サホヒメ物語﹂
古
事 記
)
一 時 間
﹁万鷺蕪購嚇皇峯四時問
4﹁レモン哀歌﹂及び高校生の作った詩:
5恋愛論①﹁愛情セミナi﹂︵遠藤周作︶
②﹁恋愛論﹂︵亀井勝一郎︶⁝ :一時間
・一時間・二時間
この案を持って︑大学の先生の所に二度目の指導を受けに行って
いる︒先生から︑﹁①単元を組むときの注意事項として︑各教材を
組み合わせることによって︑それぞれの違いが浮かびあがるよう
にすること︑どういう国語の学力をつけたいのかをはっきりさせ
ておくこと︑②教材研究のときの注意事項として︑必ず読み深め
なければならない点を具体的に挙げておくこと︑読み誤まりそう
な所・とり違えそうな所を押さえておくこと﹂などの指導を受け
ている︒ 六月十一日︑実習生は︑最終案作成の相談をしている︒単元の
ねらいがあまりに広くて漢然としているので焦点化を図ることと︑
教材の内容と分量を検討することを中心に︑意見交換し︑次のよ
うな最終案を作成した︒
単元名﹁愛の諸相﹂⁝⁝︿単元のねらい﹀障害をのりこえる
ことによって深まり︑豊かになってゆく愛の本質を感得し︑
さらに広く人生とかかわらせて考えさせる︒
︿教材と時間配分﹀
2 1 3
﹁世間体﹂︵﹃いま学校で﹄︶←ここで
ついて考えるという姿勢をつくる︒
﹁芥河﹂︵伊勢物語︶
﹁但馬皇女物語﹂︵万葉集︶ ﹁愛﹂
:一時間 に
三二時間:三時問
←古典にあらわれた愛を読むとともに古典の読
み方や面白さを理解させる︒
4﹁青春論﹂⁝⁝:⁝⁝⁝:・⁝⁝⁝:⁝⁝:・::⁝三時間
←まとめとして人生とかかわらせて考えさせる︒ 六月十三日︑右の案を持って︑実習生が私の所に相談に来た︒私は︑実習生の単元構想を高く評価した上で︑①なぜこの単元の中で古典を読ませるのか︑②なぜ2と3は時代順が逆になっているのか︑という点について問うた︒この単元のねらいのもとで︑古典学習の意義をどう考えるのか︑また︑教材配列にどのような必然性があるのかを問うことによって︑単元の構想を明確にさせようとしたのである︒ 後者の問いに対して︑実習生は﹁2と3が時代的に逆になっていることを指摘され︑ここで私たちは単元の構想を意識した︒つまり︑3で歌物語をつくることにしていること︑そのためには︑先に歌物語の例として伊勢物語を扱っておいた方が良いということである︒﹂ ︵﹃実践記録﹄5ぺ︶と記している︒ 若干の手直しをした上で︑単元名を﹁愛 情熱の発酵ー﹂と
決定した︒副題名は﹁青春論﹂の中からとったものである︒
別表1
指 導 計 画 単元名
4 3 2 1 次
一 一 一 一
愛
但 芥 世
馬 教
あ全るの︵女亀性目 白王
(間 1
(女 ( 朝 情
井へ的勝のと一議は些⊥禦 万物 伊河 日体 熱
量五
豊 勢一 新一 材
の発
集︶
……五
社︶ 酵1
理 解 理解・表現 理 解 理 解 単 元
現代文 古文 古文 現代文 領
設 定の趣旨
評 論 詩 歌 物語 報道文 域 得r現
3 3 3 1 時間 せ一は愛代は一馬
2。 1, aa1.3.2。1. a1. さ 愛
論考こ 句一和 古r表 文本 ら障一
理えれ 切連歌 語芥現 体文 に害が のさま れのに や河に のの を皮 展せで や和こ 助一即 特内 広の相 開るみ 倒歌め 詞にし 徴容 くり的 を。て 置をら おて をを 人こに
と き の想れ 助け 考読 生えと
ら た 効像た 動る物 えみ とるら え 愛 果力心 詞愛語 さと かこえ る の をを情 ののを せら かとら こ 諸 理働を 意姿イ 、せ わにれ と 相 解か 味をメ 筆 目 らよる に を させ表 を理1 者恋 せつ傾 よ 踏 せて現 文解ジ の愛 てて向
つ ま る読に 脈さ豊 意に 考 を
て え、 、 oむ即にせか 図つ え深も
こし 即 に をい さまつ
筆 さ とて し愛読 理て せり。
者 ら に深 てのみ 解の て豊 の に よく 理本と さ自 いか 物 そ つ読 解質ら せ分 きに の れ てみ さにせ るの たな 見 を と せつる 。考 いつ 方 自 一ら るい。 え oて
分 つせ oて 方 い
考 の のる 考 、 標 く
え 生 物。 え 感 Q
方 き 語 さ じ そ
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﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
五
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
②単元設定の趣旨と指導計画 単元﹁愛−情熱の発酵ー﹂の単元設定の趣旨と指導計画を実
習生は︑別表1︵前ぺージ︶のようにまとめた︒③単元構想
実習生は︑﹁単元構想﹂を次のように記している︒
単元の導入として︑﹁いま学校で 高校生﹃世間体﹄﹂を扱う︒本
教材には︑現代の高校生の恋愛や結婚に対する考え方の一端が示
されている︒これは︑学習者にとって身近な問題としてとらえや
すいと思われる︒そこで︑これと比較することによって︑学習者
の愛に対する考え方を意識させることができるのではないかと考
えた︒さらに︑愛について考えていこうとする姿勢をもたせたい︒
第二には︑﹁伊勢物語﹃芥河﹄﹂を配した︒ここで古典教材を扱
うことにしたのは︑数百年もの問読みつがれてきた古典のなかには︑時代を越えた愛の本質があらわれているのではないか︑と考
えたからである︒ここでは︑作品を表現に即してイメージ豊かに
読みとらせることによって︑﹁男﹂の一途な愛の姿を浮き彫りにし
ていきたい︒また︑愛するがゆえの行為が逆に女を死なせてしま
うといった愛の悲劇性にも気づかせ︑愛の本質について考えさせ
たい︒ 第三には︑万葉集から選んだ︑但馬皇女の歌四首と穂積皇子の
歌三首とを配した︒ここでは︑和歌三十一文字のなかに凝縮され
た思いを︑状況を想像するなかで読み深めさせたい︒このとき︑
先に歌物語を学習したことが役立つのではないかと考えられる︒
また︑グループ内の討論をとおして︑鑑賞を深めさせたい︒さら
に他のグループの発表を聞きながら︑学習者一人ひとりが︑歌相
互の関連をはかりつつ︑二人の恋愛の姿を想象し︑物語の世界を
別表豆
ノ、山
楽しんで思い描けることをねらった︒学習者は︑学習の過程のな
かで︑愛の激しさ︑苦しさを実感し︑愛とは何かという考えを深
めるであろう︒
最後に︑亀井勝一郎の﹁青春論﹃人生の目的とは何かーある
女性への手紙ー﹂という評論を扱う︒本教材は︑単元のまとめとしての性格をもつ︒ここでは︑これまでの学習を通して︑一人
ひとりが考えてきた愛の本質をふまえ︑その本質を自己の生き方
に関わらせて︑より深くとらえさせようと考えた︒さらに︑愛の
本質というものには︑人間の生き方に通じるものがあることに気
づかせ︑自己の生き方を見つめさせたい︒﹂
この単元構想をさらに整理して︑実習生は次のような単元構成
図︵別表11︶を作成した︒ここには︑学習者の﹁愛﹂に対する認
識を深めるために︑四つの教材を並列的に取り上げるのではなく︑
三段階の指導過程が構想されている︒この表を作成して︑実習生
は単元の全体像が明確になったようである︒
︵1︶ ︵H︶ ︵皿︶ 「いま学校で」代の高校生の恋愛や結婚に対
る考え方の一端
○愛に対する考え方を意識化 愛にっいて考えていこうと する姿勢をもたせる
吻古 典(時代を越えた愛の姿)「伊勢物語」
一途な愛 の悲劇性
「万葉集」
の激しさ・苦しさ
zO障害をのりこえて深まると
いう愛の本質に気づく
青春論」勿
快楽には努力と苦痛が伴う
まとめと発展
愛の本質を自分の生き方に 関わらせる
自分の生き方を見つめさせる
③授業の実際と私の指導
最初の計画では十時間で終わる予定であったが︑結局︑十二時
間かかってしまった︒﹃実践記録﹄には︑各時間ごとの指導案と授
業記録︵時間の経過・教師のはたらきかけ・生徒の反応・板書など︑すべて文字化︶︑批評会の記録︵授業者の反省・観察者からの
気づき・指導教官の指導助言︶が載せられているが︑ここでは︑
各教材ごとの指導目標と批評会における私の指導助言を中心に述
べていくことにする︒ 実習生の実習の授業が始まる前日の六月十五日に︑単元﹁愛
−情熱の発酵1﹂の第一教材﹁世問体﹂をはじめとして︑中一
﹁形﹂・高n﹁折節のうつりかはるこそ﹂︵徒然草・第十九段︶・高
m﹁薫︑宇治姫君を垣間見る﹂︵源氏物語・橋姫︶︑それぞれの指
導案を検討する会を持った︒その場で︑個々の指導案に即しなが
ら︑指導目標︵価値目標・技能目標・態度目標︶の立て方︑指導
目標と指導過程との有機的関連の必要性︑学習目標の明確化︑指
導︵学習︶過程の構造化と必然化など︑授業を組み立てる上で留
意すべき点について指導し︑各自の指導案の修正を求めた︒
1﹁世間体﹂︵朝日新聞社﹃いま学校で︑高校生﹄︶︵一時問・6/
16)
︿指導目標﹀
1 単元構想を理解させる︒
2 ﹁世問体﹂の指導目標は︑次のとおり︒ ①本文の内容を読みとらせ︑恋愛についての自分の考え
方・感じ方をまとめさせる︒ ②問題提起のためのインタビュー記事の特徴を読みとらせ
る︒ ③身近な例から恋愛について考えようとする姿勢を育てる︒︿授業展開﹀ 一斉授業形態の授業︒発問・応答の形で授業が進められ︑最後の段階で女子高校生の考えに対する感想を書かせた︒︿主な指導助言﹀ ○早口になると語尾が不明確になること︒ o単元全体の構想の紹介が不十分であったこと︒複数教材から 成る単元を編成したときの︑導入の大切さを強調した︒ ○授業の展開の節目が明確でないこと︒ ○本文中の︑女子高校生の考えに対する賛否両論をもっと引き 出す工夫をすべきであったこと︒その引き出し方の一例を示 した︒2﹁芥河﹂︵伊勢物語・第六段︶︵四時間・6/18・20・班・23︶︿指導目標V 1 ことばに即して︑﹁男﹂の心情を中心に︑登場人物の心情を イメージ豊かに読みとらせる︒ 2 そのことを通して︑﹁芥河﹂の愛の悲劇性を理解し︑愛につ いて考えさせるとともに︑古典に親しむ態度を身につけさせ る︒ 3 ﹁今昔物語﹂と比べ読みすることによって︑この作品の文 学性を感じとらせる︒ 4 主要な語句・助動詞・助詞を文︐脈に即して読みとる力をつ ける︒︿授業展開﹀ 当初︑実習生二人が担当し︑三時間で終える予定であったが︑
前半担当者が少し時間を取りすぎて︑四時間かかった︒二人とも
﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
七
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
八
一斉授業形態の授業であったが︑後半担当者は︑第六段の後段に
書かれている史実を補充するために系図や年表を用意したり︑こ
の作品の文学性を浮き彫りにするために︑﹁在原業平中将女被轍鬼
語﹂︵今昔物語︶を資料化︵本文・頭注・口語訳付き︶し︑両者を
比べるための﹁学習の手引き﹂も作成したりするといった工夫を
凝らした︒
︿前半の授業者に対する主な指導助言﹀
○表現に即してイメージ豊かに古典を読むだけでなく︑その方
法をも示した︑よい授業であったこと︒
○落ち着いた安定した授業であったが︑もっと授業にテンポと
変化が欲しいこと︒授業の山場をつくる工夫を課題とした︒
○指導︵学習︶過程の一部に必然的な展開になっていない箇所
があること︒その箇所を具体的に指摘し︑代案をも示した︒
○生徒の読みを発表させた後︑その根拠を表現に即して挙げさ
せる授業の進め方はよいが︑文法の押え方がまだ内容を深く
読みとることに役立っていないことを指摘した︒
○発問の中に誘導尋問的発問があること︒
○誤答こそこの上ない教材であること︒誤答から正答を得る過
程を授業の中に組織することの大切さを強調し︑授業の実例
に即して︑その手順を示した︒
︿後半の授業者に対する主な指導助言﹀
○やや早口で︑声がときどき聞きとれないところがある︒もっ
と話し方に強弱・抑揚をつけたい︒
○系図や年表︑さらには﹁今昔物語﹂の文章を教材化するなど︑
意欲的な姿勢は高く評価できるが︑文学作品を読むときの︑
史実の導入の仕方や︑伊勢物語の文学性を浮き彫りにするた めの今昔物語導入の是非については再考の余地があること︒ なぜここでこの教材か︑指導者は常に単元全体を見通しなが ら教材化を図ることが大切であることを強調した︒ ○伊勢物語と今昔物語との︑描き方の違いを比べる﹁学習の手 引き﹂︵プリント︶が役立って︑生徒が自主的に発言したこ とQ O板書はかなり構造化されているが︑もっと生徒の発言を板書 に位置づける必要があること︒3﹁但馬皇女物語﹂︵万葉集︶ ︵四時問・6/24・25・27・28︶︿指導目標﹀ 1 和歌にこめられている作品の心情を︑表現に即して深く読 みとることができるようにさせる︒ 2 一連の和歌をイメージ豊かに読みとることによって︑それ らを一つの物語として思い描くことができるようにさせる︒ 3 句切れや倒置法の表現効果を理解することができるように させる︒ 4 グループ討議を通して︑古典に親しむ態度を養う︒︿授業展開﹀ 当初は三時間で終わる予定であったが︑四時間かかった︒はじめに︑教材﹁世問体﹂・﹁芥川﹂とのつながりを明らかにした上で︑
﹁但馬皇女物語﹂の授業構想を紹介した︒その後︑指導者が但馬
皇女の歌︑一首を取り上げて︑発表資料に即して︑その歌︵A︶
の﹁語釈﹂・﹁口語訳﹂・﹁鑑賞﹂を発表した︒︵←次のグループ学習
及び発表のための手本を示すこともねらったもの︒︶次に︑但馬皇
女の歌三首︵B・C・D︶︑穂積皇子の歌三首︵E・F・G︶︑そ
れぞれの歌の担当班を︑生徒の希望を生かして決定し︑グループ
ごとにその歌について学習させ︑発表資料を作らせた︒︵二時間︶
なお︑生徒は﹁グループ学習のための手引き﹂︵討議の方法・資料
の作成方法・発表方法・発表を聞く際の注意が細かく書かれてい
る︒プリント一枚︶を参考にして学習を進めた︒
○但馬皇女の歌︵三首︶︑高市皇子の歌︵三首︶︑それぞれに一時 間かけて︑担当班が発表資料︵各一枚︶に即して発表し︑討議を深めた︒︵二時間︶ 次の学習指導案は︑第四時間目のものである︒この授業は︑実習生の研究授業の一つとして実践された︒
国語科学習指導案
〈本時の目標〉1.それぞれの歌に描かれている但馬皇女と穂積皇子の心情を読みとらせる。
2.二つ以上の歌を関連づけて、イメージ豊かに読みとる力をつけさせる。
3.文脈に即して、内容を読みとる力をつけさせる。
4.イメージ豊かに楽しむことによって、古典に親しむ態度を養わせる。
〈本時の指導過程〉
指導上の留意点
・1つ1つの歌を読み取り、それらを関連づけながら 想像の世界を思い描くことを明示する。
活動
学 習
・「言痛かりとも」「君に寄りなな」に注目させ、皇女の 願望の強さを確認させる。
・前時に提出させたカードメモをもとにして発言させる。
・「行かましものを」からAと比べて但馬皇女が弱気に なっていることを導き出す。
・B「追ひ及かむ」から皇女の願望・積極性を導き出す。
・C「朝川渡る」から皇女の大胆さ、信念を導き出す。
・(1×2×3)をまとめ、但馬皇女の心が揺れていることを説 明する。
・A「言痛かりとも」C「人言を繁み言痛み」D「言繁き」
に注目させ、世間の批判が強かったことを導き出す。
・Bの発表資料をもとにして、考えさせる。
・2人の社会的立場を説明する。〈異母兄妹であること。
三角関係に陥っていること。年令差について。>
・社会的地位は、愛を縄ることがあることを説明する。
・発表を聞きながら、疑問点や気づき、新たに発見した ことをカードメモに記入させる。
・語釈・口語訳が終った時点で質問させ、次に鑑賞が 終わった時点で、その内容について質問させる。
・新たにGの歌で感じた穂積皇子の心情もふまえながら 考えるよう指示する。
・F班の歌を紹介させ、その立場から、Eの歌について コメントさせる。
社会的に許されない2人の愛を想像させ、それぞれの 心情をまとめさせる。
・全体を通してふくらませたイメージをもとに、物語を 作ることを課題とする。
・次は「青春論」を扱うことをいう。
1.本時の学習目標を明らかに する。
2.但馬皇女の歌について、前 時の発表をふまえて、まと める。
(1)Aの歌にこめられた但馬 皇女の心情を確認する。
(2)Dの歌にこめられた但馬 皇女の心情を考える。
3)B・Cの歌にこめられた 但馬皇女の心情を考える。
4〉A B CとDの比較を通して
①但馬皇女の揺れる心を 確認する。
②なぜ、心の揺れるのか を考える。
5)世間の批判が強かった理 由を考える。
6胆馬皇女の歌についてま とめる中で、愛について
考える。
3.穂積皇子の歌の発表を聞き 但馬皇女の歌と関連づけな がら、穂積皇子の心情を想 像する。
(1〉G班の発表を聞き、質疑 応答する。
(2)E班の発表を聞き、質疑 応答する。
4.本時のまとめをする
5.次時の予告をする。
﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
九
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号一〇
︿﹁但馬皇女物語﹂第一〜三時の授業に対する主な指導助言﹀ ○﹁但馬皇女物語﹂の授業構想の徹底が今一歩不十分であった
こと︒今から︑何のために︑何を︑どのように学習するのか
を生徒が把握していると︑生徒は学習に意欲的に取り組むも
のであることを強調した︒
○生徒の希望を生かしたグループ編成をしたことを評価した上で︑
グループ学習を展開するときの留意点を示した︒班員全員に
作業スケジュールとそれぞれの役割を徹底させておくことの
必要性︑指導者は個々の班へ目を向けて助言するとともに︑
常に全体を見ることの大切さ︑早く作業のできた班への指導︑
グループ学習記録のつけさせ方など︒
○グループの鑑賞文を書かせるに当たっては︑まず生徒一人ひ
とりに三行感想をカードに書かせ︑その共通点と相違点とを
明らかにした上で討議し︑読みを深め︑最後に︑四〇〇字程
度の鑑賞文をまとめさせるように指導した︒班員全員がグ
ループ学習に参加せざるを得ないようにする工夫の一端を示
した︒
○グループ学習の結果を発表させる授業に当たっては︑発表グ
ループには事前に発表のための練習をさせておくこと︑発表
を聞く側には自分らの担当した歌の内容と関連させながら聞
きとらせ︑疑問や気づきをメモさせることなどに配慮させた︒
○誤答が出たら︑それを大事にし︑なぜ間違ったのかを明らか
にしていくことの大切さを指摘した︒
︿﹁但馬皇女物語﹂第四時︑研究授業に対する指導助言V O声にメリハリをつけること︒話し方の勉強の必要性︒
○単元を組むことの難しさを体験すると同時に︑それがいかに やりがいのある仕事であるか︑実感したと思う︒それを大切 にすること︒ o基本的事項の押えられた︑よい授業であったが︑﹁学習の手引 き﹂の視点に今一つ配慮が望まれる︒ ○﹁但馬皇女物語﹂は教材として少し難しかったのではないか︒ 高市皇子像がもっと浮き彫りにされる必要がある︒年譜を 作って︑︑その中に組み込んでいく方法もあろう︒ ︵以上︑大学の先生の助言︒︶4﹁人生の目的とは何かーある女性への手紙ー﹂︵亀井勝一郎﹃青 春論﹄︶ ︵二時問・6/30・7/1︶︿指導目標﹀ 1 これまでみてきた愛の諸相を踏まえ︑さらにそれを自分の 生き方とかかわらせて深く考えさせる︒ ︑ 2 大きく論の展開をとらえさせることによって︑筆者のもの の見方・考え方を理解することができるようにさせる︒︿授業展開﹀ はじめに︑今までに学習したことを確認し︑本教材学習のねらいについて説明した︒本文通読後︑生徒一人ひとりに︑筆者の考え方で︑共感できる部分と批判的な部分を発表させた︒筆者のいう﹁快楽﹂の本質について理解を深める指導を展開していった︒最後に︑﹁世間体﹂の高校生の考え方と亀井勝一郎の考え方を比較して︑それに対する感想を述べさせた︒︿主な指導助言V O指導者の声が小さいこと︒ o今︑何のために︑何をしているのかを︑常に生徒に自覚させ ておきたい︒今は読解指導をしているのか︑それとも生徒の意
見を述べさせているのかを︑はっきりさせるべきであった︒
○生徒の意見を発表させるときには︑出された意見の要点を板
書し︑集中した討論ができるように配慮するとよい︒
○単元全体のまとめとしての︑本教材の扱い方が︑今一つ不十
分であった︒④実習生の反省と課題
前にも述べたように︑実習生は︑実習のまとめとして﹃単元﹁愛
−情熱の発酵1﹂の実践記録﹄という冊子︵一七〇ぺージ︶を提
出した︒その中で︑実習生は︑とくに︑単元学習を振り返って︑
次のような反省と課題を挙げている︒
ア まず︑単元学習を行なうためには︑生徒の興味・関心といっ
た︑学習するための内的必然性を作っておくことが不可欠で
ある︒今回の単元では︑最初の教材﹁世問体﹂は生徒の﹁愛﹂
のあり方に対する問題意識を喚起するのにある程度の成功を
おさめたが︑その問題意識を後の教材でさらに深めていくと
いうことが思うようにはいかなかった︒
イ 今回の単元では︑﹁但馬皇女物語﹂と﹁人生の目的は何か﹂
という二つの教材は︑高校一年生にはむずかしすぎたのでは
ないか︒単にすぐれた教材というだけでなく︑生徒の発達段
階︵興味や能力︶に合った教材を選ぶことの必要性を痛感し
たQ ウ ﹁芥河﹂の後半部と﹁今昔物語﹂を補充教材として取り入
れたが︑﹁愛﹂について考えさせるという単元のねらいから
すれば︑不自然さが残った︒単元全体を見通した中で教材を
選定する必要がある︒この失敗から︑かえって︑主題単元の
場合には︑その教材が単元主題の側面からのみ読まれて︑作 品そのもののもつよさを読み味わうという点でやや問題があ ることがわたった︒ 工 主題単元の学習では︑主題追求のために内容中心の授業と なり︑語句の意味の読みとりや文法指導が十分にはできな かった︒今︑どんな国語学力をつけようとしているのかを︑ 指導者は常に考えておくことが大切である︒ オ 今回の単元では︑﹁愛﹂のもつ美しさ︑清浄さというものを 強調するあまり︑拒絶反応を示す生徒がいた︒主題単元の学 習では︑人生教訓的︑道徳的授業に陥らないように注意しな ければならない︒ 力 自分たちが﹁現代国語﹂﹁古文﹂﹁漢文﹂を切り離すた形で しか学習したことがなかったので︑この古典と現代文を合わ ママ せる方法は魅力的であった︒古典の持つ現代性に気ずかせる ことができる︑現代の文化が歴史の中で形づくられることに ママ 気ずかせることができる︑各時代の文化の特性に気ずかせる ことができる︑−などの積極的評価ができる一方で︑古典文法 や漢文訓読法などを身につけさせる指導をどのように組み込 むとよいか︑問題が残った︒ある程度︑古典をまとめて学習 する単元も必要である︒ 主題単元学習の長所と短所を鋭く見すえた︑反省と課題である︒これらの反省と課題は︑古典と現代文の総合化や︑表現と理解の総合化が志向されている﹁国語1・H﹂の実践の場に臨んだときには︑すぐに生かされていくであろう︒一般になされている一つの教材を取り上げて授業していく実習からは得ることのできない収穫である︒
いろいろな反省と課題は残ったが︑実習生の実践としては︑か
﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連一一
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
なり高度なレベルの実践であったと︑高く評価できる︒
三︑︐大学における﹁教科教育﹂関係の授業内容
昭和五十八年度前期の実習生が︑あれほどの主題単元を編成し︑
授業を展開することができた力は︑大学の授業の中でどのように
形成されていったのであろうか︒
この疑問を解くために︑昭和五十八年度の実習生が一年から三
年の間にどのような国語科教育関係の授業を受けていたかを︑彼
らのノートやプリント類をもとにたどってみたい︒
彼らが受けた国語科教育関係の授業は︑次のとおりである︒
一年後期︵ニセメ︶
二年前期︵三セメ︶
二年後期︵四セメ︶
三年前期︵五セメ︶
三年前期︵五セメ︶
三年後期︵六セメ︶
三年後期︵六セメ︶ :﹁教科授業研究1﹂︿二単位・選択﹀ ︵附小の授業参観・研究協議⁝四回︶−﹁教科授業研究H﹂︿二単位・必修﹀ ︵附中高の授業参観・研究協議⁝四回︶:﹁国語科教科課程論﹂︿二単位・準必修﹀・﹁国語科教育学概論1﹂︿二単位・必修﹀・﹁国語科教材構成論﹂︿二単位・準必修﹀・﹁国語科教育学概論n﹂︿二単位・必修﹀
・﹁国語科教育方法論﹂︿二単位・準必
修﹀
二
三年後期﹁国語教育史﹂
これらのうち︑紙幅の関係で︑﹁国語教育方法学﹂関係の授業の
概要を示すと︑次のようである︒
1︿国語科教科課程論﹀︵二年後期︶︐ 序章ことばと人間1ことばの機能ー
1ことばの発生 2ことばと認識 第一章国語科の構造
1言語と言語活動 2国語教育と国語科教育
3国語科教育の構造 第二章言語教育の内容
1音声・音韻 2文字・表記法 3語句・語彙 4文 法5言語理論
第三章 言語活動教育の内容 1読みの指導内容⁝説明文︑論説・評論文︑文学
2表現指導の内容
終 章 指導内容の到達目標化 1目標の立て方と評価 2国語科の到達目標
3﹁言語﹂・﹁理解﹂・﹁表現﹂の到達目標
︿国語科教材構成論V︵三年前期︶
一、
校古典数育の現状と問題点
二︑高校古典数育の意義と目標
三︑高校古典数育の教材
ω新教材の発掘⑭教材のとらえ直し
四︑五︑
六︑ 教材研究の方法 ω作品研究 ⑭指導研究 ︿実例1﹀ことばを掘り下げる︵徒然草・第七十一段︶ ︿実例2﹀想像力をはたらかせて︵伊勢物語.第六段︶単元構成の方法 ①単元の組み方⁝主題別・ジャンル別.比べ読み他 ⑭単元のねらい⁝生徒の実態・教材観.指導観 ㈹教材研究⁝教材分析・ここをこそ! ㈲指導の要点⁝︵箇条書き︶
演習︵発表と討議︶ ︿発表資料﹀1対象︵学年︶ 2時期︵学期.月︶ 3
単元目標 4教材観 5指導計画︵全体計画.各時間
の略案︶ 6本時の展開︵目標・密案︶ 7補助資料
︿発表方法﹀発表40〜50分︑討論30分︑助言20分
1︿国語科教育方法論V︵三年後期︶ 序説中・高国語科授業の問題点
① 授業以前の状況 ⑭ 墓地のような沈黙
⑥ 学力格差の問題 ㈲ 学習主体の未確立
第一章 国語科授業の成立 ω 教材への取り組みを通して学力を育てる
⑭ 学習者相互のかかわり合いを組織する
第二章 国語科授業の方法 D ラ ⑫ ⑬ 作業法︵﹁学習の手引き﹂作成の方法︶
﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実習﹂指導との関連
他
発問︵﹁清兵衛とひょうたん﹂の発問例とその検討︶
話し合い︵話し合い学習を成立させる具体的方法︶
第 董
3)(2〉(1)早
演習の方法
資料の作り方︵単元編成︶
略表と密案の書き方
発表のしかた︵模擬授業か説明60分︑討議40分︶
︵注︶三年後期の﹁国語科教育学概論H﹂は︑作文教育に絞っ
て授業がなされている︒
これらの内容を参考にして︑大学の国語科教育関係の授業内容
をみると︑一年後期と二年前期に附属小・中・高の国語科授業を
参観させて︑国語科教育に対する問題意識を育て︑その上に立っ
て︑﹁国語科教育課程論﹂・﹁国語科教育学概論﹂のような国語科教
育の基礎理論や﹁国語教育史﹂の学習を通して︑国語科教育の全
体像をとらえさせるとともに︑現在の国語科教育の課題を発見さ
せようとしている︒そして︑それらの課題の解決を図るために︑
﹁国語科教材構成論﹂や﹁国語科教育方法論﹂の学習を通して︑
教材研究の方法︑単元構成の方法︑授業づくりの方法︑指導案作
成のプロセス︑さらには模擬授業といった︑実践に役立つ演習が パま レ行われている︒
国語科教師教育カリキュラム及びその授業内容として︑必要か
つ十分なものであり︑学ぶべき点が多い︒
四︑大学における﹁教科教育﹂の授業と附属における私の
﹁教育実習﹂指導との関連
結論から言えば︑大学と附属との間で︑国語科教師教育のあり
方について︑直接話し合う場を設けたことは︑まったくなかった︒しかし︑ある一つの主題を設定して︑その主題のもとに単元を編
一三
長崎大学教育学部教科教育学研究報告 第一〇号
四
成して授業を展開させていくという実習指導は︑実習としてはか
なり高度なレベルの実習であったにもかかわらず︑意外に︑スムー
ズに進めることができた︒
なぜ︑このようにスムーズに進めることができたのであろうか︒
その理由としては︑次の三点を挙げることができよう︒①大学の﹁教科教育﹂担当者と附属の﹁教育実習﹂担当者との
間に︑直接の話し合いはしていなかったが︑国語科授業を生き
生きとさせるためには︑生徒の興味・関心や問題意識をふまえ
た単元を編成し︑生徒の認識の深化・拡充を図るとともに︑そ
の過程で言語能力を身につけさせる授業を展開する必要がある︑
という共通の考え方があったと思える︒②大学における国語科教育の授業が︑単なる国語科教育の理論 学習にとどまらないで︑既に述べたように︑国語科授業実践に
役立つ演習がなされていた︒それゆえに︑ある一つの主題のも
とに教材を集めて単元を編成し︑学習指導案を書き︑授業を展
開していく能力の素地が︑すでに耕されていたのである︒③それにしても︑実習が始まる前︑一週問あまりで︑一つの単 元を編成したのには驚いた︒これは︑大学の講義や演習によっ
て培われた力もさることながら︑実習生自身の意欲とその底力
があったことも挙げる必要がある︒ 大学における﹁教科教育﹂の授業と附属における﹁教育実習﹂
指導との関連を考えるに当たっては︑とくに︑②に注目する必要
がある︒やはり︑大学における﹁教科教育﹂の授業は︑大槻和夫
氏も言われるように︑﹁大学の授業であるかぎり︑﹃学﹄を志向し
たも⑳でなければならないが︑それと同時に︑教育実習に接続し パ レうる実践的性格をもっていなければならない﹂であろう︒︿理論﹀ ←︿演習﹀←︿実習﹀という道筋をたどったときに︑教育実習の成果は上がる︒教育実習前に演習を通して単元編成や授業展開の手順・方法がある程度実感的にとらえられていれば︑実習の成果が上がるのも当然であろう︒
おわりに
以上︑大学の﹁教科教育﹂担当者と附属の﹁教育実習﹂担当者
が︑国語科教師教育のあり方について事前に話し合って︑それぞ
れが実践した事例ではなかったが︑大学における﹁教科教育﹂の
授業と附属における﹁教育実習﹂指導との関連の︑一つのあり方
を提示することができたのではないかと考える︒
おわりに︑この昭和五十八年度の実践例をふまえて︑大学にお
ける﹁教科教育﹂の授業と附属における﹁教育実習﹂指導との関
連を図るに当たっての基本的な課題を挙げると︑次のようになる
であろう︒
①各教科の教師として備えるべき知識・能力・態度とは何か︒
②これらの知識・能力・態度を﹁教科教育﹂の授業と﹁教育実
習﹂指導を通して︑どのように形成していくか︒
ア その関連性と独自性
o両者ともに指導しなければならない内容は何か︒
○大学あるいは附属それぞれで︑とくに指導しなければな
らない内容は何か︒
イ それぞれの指導内容の精選と系統化
○限られた時問や単位の中で︑大学あるいは附属それぞれ
が指導内容をどのように精選し︑どのように系統化する
か︒