• 検索結果がありません。

国際交流室と学生の海外派遣の推進 菅 原 隆 行

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "国際交流室と学生の海外派遣の推進 菅 原 隆 行"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1. はじめに

 本校が国際交流を始めるきっかけとなったのは,

平成20年 6 月にリール A 技術短期大学と本校とが 交流協定を締結し,学生や教員間の相互交流が可能 になったことだった。その後,高専機構が「海外イ ンターンシッププログラム」,「シンガポール技術英 語研修」等の海外短期派遣プログラムを開始,さら に平成26年度から低学年(本科 3 学年)を海外へ短 期間派遣する「シンガポール語学研修」プログラム を本校独自にたちあげた。このように,以前に比べる と学生が海外へ短期留学する機会が飛躍的に増えた。

 国際交流室が設置されたのは平成22年 5 月。それ 以来本校在学生の海外派遣,海外教育機関出身の学 生の受け入れに対するサポートなどさまざまな活動 を 5 年間にわたって行ってきた。本論では,フラン ス・リール地区技術短期大学やフィンランド・トゥ ルク応用科学大学,ヘルシンキメトロポリア応用科 学大学との学生交流,高専機構主催の「海外インター ンシッププログラム」, 「シンガポール技術英語研修」

への本校の学生派遣状況,本校独自プログラム「シ ンガポール語学研修」の立案・準備段階の状況と現 地での研修内容等を,学生の派遣と受け入れという

観点からこれまでの国際交流室の活動をまとめる。

そして最後に本校の学生の海外派遣に関する今後の 課題を述べて本論を締めくくる。

2. フランス・フィンランド高等教育機関との学生 交流

2.1 フランス・リール地区技術短期大学とフィン ランド・応用科学大学からの学生受け入れ  平成20年 6 月にリール A 技術短期大学と本校と が交流協定を締結したことに伴い,次年度の平成21 年度から 4 月~ 6 月の 3 ヵ月間,リール A 技術短期 大学からの学生を短期留学生として受け入れた。そ の後,平成23年 3 月11日に起こった東日本大震災が 原因で平成23年度の受け入れ時期が平成23年11月~

平成24年 1 月の 3 ヵ月間へずれることがあったもの の,基本的には毎年 4 月~ 6 月の 3 ヶ月間の受け入 れが定着した。その後,東北地区単位で連携して国 際交流事業を推進する方向へと動き始め,さらに平 成24年 2 月 3 日に東北地区 6 高専とフィンランド・

ヘルシンキメトロポリア応用科学大学,トゥルク応 用科学大学との包括協定が締結,また平成24年度か らフランス・カレー技術短期大学,ベトゥーヌ技術

国際交流室と学生の海外派遣の推進

菅 原 隆 行

International exchanging section at ANCT and some activities on delegation of the students for abroad

Takayuki S

UGAWARA

 

(平成27年11月30日受理)  

  This thesis deals with several activities on international exchanges between Akita National  College of Technology(ANCT)and institutes located in abroad, mainly aiming at focusing  on  students’   delegation  for  abroad. The  story  starts  with  the  overview  of  the  students’  

exchanges among Technological Colleges in France, Universities of Applied Science in Finland  and ANCT. This thesis also touches on the history of the Internship Program, managed by  National Institute of Technology. The article reports our own short internship program for  third-year students: Singapore English Workshop program. Final section briefly argues some  problems and remaining issues on the international exchange at ANCT.

Keywords : 国際交流室,海外教育機関との学生交流,高専機構主催海外インターンシッププログ

ラム,シンガポール技術英語研修,シンガポール語学研修

(2)

短期大学,そしてランス技術短期大学の 3 校との新 たな学生交流が始まったこともあり,平成24年度か ら海外所属機関からの留学生受け入れ数が急激に増 加することとなった。その後,平成26年度から新た にフランス・ヴァランシエンヌ技術短期大学との学 生交流が始まり,現在に至っている。

 海外からの短期留学生受け入れに関する取り決め は,基本的に機械工学科,電気情報工学科,物質工 学科,環境都市工学科とも最大 2 名まで,本校とし ては最大 8 名までの受け入れとすることとした。手 続きの順序としては,はじめに寮務主事と,次年度 寮が短期留学生に提供できる寮の部屋数について相 談した。海外からの短期留学生は基本的に寮で生活 することになるため,この数字が最終的に本校の次 年度短期留学生受け入れ数となった。その後,フラ ンスの各技術短期大学との国際交流に関する取りま とめをしていた八戸高専,フィンランドのトゥルク 応用科学大学・ヘルシンキメトロポリア応用科学大 学の取りまとめを担っていた仙台高専広瀬キャンパ スに本校の受け入れ総数と,各学科 2 名までという 本校の受け入れ基本方針を伝えた。それに従い,八 戸高専,仙台高専広瀬キャンパスから候補となりう る学生の履歴書が本校に送られ,その学生が所属す るのに適切な学科の学科主任と相談して研究指導を するのにふさわしい教員を選び,本校の短期留学受 け入れ学生が決定した。

 本校がこれまで短期留学生として受け入れた年度 ごとの人数,出身校,並びに各学科が受け入れた留 学生の人数はそれぞれ上の表のようになる。

 これらの表をみると,学科間で短期留学生受け入 れ人数に差があることがわかるが,これには 2 つの 要因がある。まず第 1 に,本校と交流協定を結んで いるフランス 5 技術短期大学とフィンランド 2 応用 科学大学のうち,環境都市工学科に該当する学科が 設置されている高等教育機関が 2 校しかないのに対 して,電気情報工学科(特に情報処理系)は 7 校す べてに存在しているため,そもそも東北地区の高専 に短期留学を希望する学生数に占める所属学科の比 率が電気情報学科は高く,反対に環境都市工学科が 低いことがある。そして第 2 の要因として挙げられ るのは,フランスやフィンランドの学生が日本で短 期留学を希望する理由に見ることができる。現在,

海外から留学生として東北地区の高専に来る学生は 日本のゲームやマンガ,日本製の車に興味を持って いる場合が多く,学生たちの希望する研究プロジェ クトも,コンピュータシュミレーションやゲームプ ロクラムの作成,製図に関するものが多い。したがっ て,短期留学生が所属を希望する学科に偏りが出て しまうため,結果的に学科間での短期留学生受け入 れ人数に差がでることになる。

 海外から受け入れた短期留学生は基本的に指導教 員の研究室に所属し,3 ヶ月間で 1 つのプロジェク トを完成させるプログラムを行った。また,本科 3 学年でアジアからの留学生を対象に開講されている 日本語教育に参加し,日本語と日本文化について学 んだ。また,フランスからの留学生に対しては,所 属技術短期大学から例年 6 月下旬に東北地区の 1 高 専にフランス人短期留学生が集まり,日本滞在期間 に各々が行った研究成果を発表するプレゼンテー ションが課された。

表 1 短期留学生として受け入れた学生の出身校と人数 年度 短期受け入れ学生の出身校 人数

21 フランス・リール A技術短期大学 3 22 フランス・リール A技術短期大学 1 23 フランス・リール A技術短期大学 1 24 フランス・リール A技術短期大学 1 フランス・ベトゥーヌ技術短期大学 1 フランス・カレー技術短期大学 2 フィンランド・トゥルク応用科学大学 2 25 フランス・リール A技術短期大学 2 フランス・ベトゥーヌ技術短期大学 1 フィンランド・ヘルシンキメトロポリア

応用科学大学

注1)

2

26 フランス・リール A技術短期大学 2 フランス・ヴァランシエンヌ技術短期大学 2 フィンランド・トゥルク応用科学大学 1 27 フランス・リール A技術短期大学 2 フランス・ヴァランシエンヌ技術短期大学 2 フィンランド・トゥルク応用科学大学 2

表 2 年度ごとの各学科が受け入れた短期留学生の人数 年度 機械 電気情報 物質 環境都市

21 1 1 1 0

22 0 0 1 0

23 0 1 0 0

24 1 2 2 1

25 1 2 1 1

26 2 2 1 0

27 1 4 1 0

(3)

2.2 本校からフランス・リール地区技術短期大学 への学生派遣

 本校では,平成22年度からフランス・リール地区 への学生海外派遣を開始した。本来であれば,平成

24年度から交流協定を結んだフィンランド 2 応用科

学大学への派遣も可能であったのだが,フィンラン ドとの協定において日本人学生のフィンランドへの 派遣期間は最低 3 ヶ月であることが求められていた ため,制度上 2 ヶ月程度が限度となっている本校の カリキュラムでは対応できなかった。そのため,本 校はフランス・リール地区への学生海外派遣のみと なっている。

 フランスへ派遣する期間と対象学年も変化した。

派遣初年度である平成22年度の派遣期間は 1 ヶ月で あった。当時夏季休業期間が 8 月中旬から 9 月下旬 の期間であったため,派遣期間を夏季休業期間中で ある 9 月の 1 ヶ月に設定し,派遣対象学年を本科 5 年生と専攻科 1 年にした。派遣先であるフランスで の学習内容は,基礎フランス語,英会話演習,そし て 1 つの研究プロジェクトを完成させるプログラ ムであった。しかしながら,①フランス・リール A 技術短期大学側から,本校派遣学生に研究課題を与 え,何らかの成果を出すためには 1 ヶ月の受け入れ 期間では短すぎるという苦情が入ったこと,②本校 の教育カリキュラムをチェックする外部評価委員か ら,1 ヶ月という留学期間ではその教育効果があま り期待できないのではないかという意見があったこ と,の 2 点により次年度の平成23年度からは 9 月~

10月の 2 ヶ月の派遣期間となり,それに伴い派遣対 象学年を専攻科1学年のみとした。

 本校がこれまで短期留学生として派遣した年度ご との人数,派遣校,並びに各学科がフランスへ派遣 した学生の人数はそれぞれ次の表のようになる。

 本校からフランスへ短期留学生として派遣した学 生の出身学科を調べると,表 4 から見て取れるよう に学科ごとに差があることがわかる。これは主に学

生の英語力の差が派遣者数の差に投影されていると 言うことができる。フランス側からの要請として,

日本からの派遣学生は英語力として TOEIC スコア が500点程度以上であることが要求されている。本 校ではそれに沿う形で,フランス短期留学を希望す る場合,TOEICスコア450点以上を有していること を条件としていた。その為,専攻科へ進学する学生 の中でこの条件を満たす学生が限られている上,さ らに学生の英語力が比較的低い機械工学科と環境都 市工学科でこの条件に該当する学生が電気情報工学 科や物質工学科よりも少ないことが,フランスへの 短期派遣学生数の差に映し出されていると思われる。

 フランスへの短期派遣が決定した学生に対して は,国際交流室として次のようなサポートを行った。

  ①航空機チケット,TGV チケット購入のサポート   ②フランスの文化,慣習についてのオリエンテー

ション

  ③派遣先高等教育機関との連絡   ④フランス語会話講義の提供   ⑤英会話演習の提供

  ⑥英語版健康診断書が取得できる医療機関の斡旋   ⑦フランス語版住民票の作成

注2)

  ⑧海外保険加入のサポート

  ⑨海外留学先での緊急連絡体制に関するオリエン テーション

3. 高専機構主催プログラムへの派遣 3.1 海外インターンシッププログラム

 平成20年度から高専機構では,国際的に活躍でき る素養を持つ実践的技術者の養成を行うこと,及び そのための共同教育の促進を図ることを目的とし て,すべての国立高専を対象とする「海外インター ンシッププログラム」の実施をはじめた。これは全 高専からの応募者の中から選抜された学生が日本企 業の海外事業所等で 2 ~ 3 週間の期間就業体験する ものである。本校も平成21年度からこのプログラム 参加募集を開始した。

表 3 本校が学生を派遣した派遣先と人数 年度 本校が派遣した高等教育機関 人数

22 フランス・リール A技術短期大学 3 23 フランス・リール A技術短期大学 2 24 フランス・ベトゥーヌ技術短期大学 2 フランス・ランス技術短期大学 1 25 フランス・リール A技術短期大学 3 26 フランス・リール A技術短期大学 1 27 フランス・ヴァランシエンヌ技術短期大学 2 フランス・ベトゥーヌ技術短期大学 1

表 4 各学科がフランスへ派遣した学生の人数 年度 機械 電気情報 物質 環境都市

22 0 0 2 1

23 0 2 0 0

24 0 3 0 0

25 2 0 1 0

26 0 0 1 0

27 1 1 1 0

(4)

 この海外インターンシッププログラムは,夏季プ ログラム(8 月~ 9 月の派遣期間のもの)と春季プ ログラム(2 月~ 3 月の派遣期間のもの)の 2 種類 あり,派遣時期によって派遣企業先(つまりインター ンシップをする国)が異なっている。応募条件とし

ては TOEIC スコアが400点以上であるが,イギリ

ス,アメリカ,カナダなど,高専学生にとって魅力 的な国に在籍している海外企業が募集する時期の競 争倍率は激しく,特にイギリスに在籍している企業 のインターンシップの通過ラインは,場合によって

は TOEIC スコア700点以上になる。逆に,高専学生

にとって魅力のない国に在籍している海外企業が募 集する時期の競争倍率は低く,時には TOEIC スコ ア450点程度でインターンシップ派遣学生に決定す るケースが見受けられる。

 また,平成21年度まではあまりこの制度に対する 認知度や関心が低かったせいか,他高専があまり応 募せず結果的に競争倍率が低かったことも本校に とっては功を奏して,1 人の学生をスイスに在籍す る企業「森精機 International SA」に派遣すること ができたが,翌年の平成22年度以降になると競争倍 率が急激に上昇し,このプロクラムに学生を派遣す ることがかなり難しい状況になった。それでもなお,

平成24年度に「カネカマレーシア」へ 1 人派遣する ことができ,さらに平成25年度には,タイの政情不 安が拡大し治安が急速に悪化したため,最終的に派 遣中止となったが,専攻科 1 年の学生 1 人がタイに 拠点を持つ「NEC Thailand Ltd.」への海外インター ンシップ派遣が決定していた。

 これらの学生に関する海外派遣までの事務的手続 きはおもに高専機構と本人とのやりとりとなったた め,国際交流室の対応としては双方のやりとりがス ムーズに進むようサポートをし,英会話を練習する 機会の提供を行った。

3.2 シンガポール技術英語・シンガポールポリテ クニック 研修プログラム

 シンガポール技術英語研修プログラムは,平成23

年度から高専機構で始めたもので,全高専からの応 募者の中から20名程の学生が選抜され,シンガポー ル・テマセクポリテクニックにおいて約 2 週間の期 間,参加学生の卒業論文の概要を英文にし,英語で プレゼンテーションするトレーニングを受けるプロ グラムである。

 このプログラムに関しては,現在までのところ幸 運にも毎年本校からの派遣者を出している。このプ ログラムへの応募条件は,TOEICスコアが400点以 上であること,そして平成23年度は本科 4 学年以上 となっていたが,その後本科 4 学年の場合は卒業研 究がほとんど進んでいないため,本科 4 学年参加者 に卒業研究の概要をあらかじめこのプログラムに参 加する前に準備させるのは大変であるということが 考慮され,次年度の平成24年度からは本科 5 学年以 上の学生に参加資格が変更され,現在においては専 攻科進学予定の本科 5 学年か専攻科生が参加資格と なっている。

 また,平成25年度~平成26年度の 2 年間において 高専機構から国際交流改革推進経費を獲得した八戸 高専が,高専の低学年生を海外に派遣する「シンガ ポールポリテクニック研修プログラム」事業を展開 することになり,本校も参加することとなった。平 成25年度に 3 名,平成26年度に 1 名の本科 1 年生を このプログラムに派遣した。これは,低学年(特に 本科 1 年生が中心)を海外に派遣し,早い段階から 国際的に活躍できる素養を持つ実践的技術者を養成 することが目的であった。参加資格としては,英検 準 2 級相当以上の英語力を持った本科 1 年生であっ た。表 6 における平成25年度以降の数字については,

「シンガポール技術英語プログラム」と「シンガポー ルポリテクニック研修プログラム」両方の派遣者数 を示してある。

 このプログラムでは,本科 1 年生をシンガポール ポリテクニックに約 2 週間派遣し,さまざまなテー マに関して英語で表現し,それを聞き手により効果 的にプレゼンテーションする手法と,シンガポール 表 5 高専機構主催「海外インターンシップ」への

本校の学生派遣実績

年度 所属学科 派遣先 派遣時期 21 5 年電気情報

工学科 森精機  International SA

(スイス) 平成22年 3 月

24 5 年物質

工学科 カネカマレーシア

(マレーシア) 平成24年 9 月 表 6 各学科がシンガポールプログラムへ 派遣した学生の人数

年度 機械 電気情報 物質 環境都市

23 0 0 2 0

24 0 0 1 0

25 1 0 1 2

26 0 2 1 0

  27

注3)

0 0 1 0

(5)

の言葉(一般的に「シンガポール英語」と呼ばれる もの)や文化・慣習を学ぶものである。八戸高専が 立案したこの「シンガポールポリテクニック研修プ ログラム」は,平成27年度には対象学年が高専生全 学年に変更した形式で,高専機構主催で継続して行 われている。

 このシンガポールプログラムに関しては,①フラ ンスの 2 ヶ月という派遣期間に比べると期間が 2 週 間と短いので,学生たちに受け入れられやすい,② 費用がフランスの約半額であるので,金額面におい て保護者からも受け入れられやすい,③学生がシン ガポールに対して良いイメージを持っており,派遣 に関して肯定的である,という 3 つの要因で本校か らのプログラム参加希望者が比較的多い。しかしな がら,このような傾向は他高専にも当てはまるため 競争倍率が高く,高専機構が提示しているプログ ラムへの応募条件となる語学力は TOEIC スコアが 400点以上であるものの,派遣決定者を追跡調査す ると,派遣者として選ばれるためには TOEIC スコ アが500点以上は必須であると思われる。

 しかしながら,このプログラムに参加したほとん どの学生がシンガポールや海外が好きになって帰国 していること,またこのプログラムの参加者は全国 の高専から20人選抜された学生で構成されているた め,シンガポール在住の学生との交流のみならず他 高専の学生との交流も活発に現地で行われ,帰国後 はシンガポールや他高専の学生とのメールのやりと りをしており,仲間のネットワークが国内外に広 がっていることを考慮すると,このプログラム参加 を本校学生に勧める価値は十分にあると思う。

4. シンガポール語学研修

 このプログラムを始めるきっかけは,平成25年後 期に教務主事から「本科低学年生を海外短期派遣す るプログラムを立案して欲しい」と依頼されたため である。確かに本校では,高学年生(本科 5 年生,

専攻科生)を海外派遣するプログラムはあるものの,

低学年生が海外へ短期留学できる機会がなかった。

注4)

これを実施するために 1 年の時間をいただいた。そ の理由は,語学研修を実施するにあたりまず派遣す る可能性のある学年の英語力を底上げし,海外に派 遣した後に学生のコミュニケーション力上昇の効果 がより期待できるものにするため,そして 1 年間を かけてこの低学年短期留学プログラムを学生に広く 告知し,より多くの学生の関心を引きつけようとす るためである。

 海外派遣に最低限必要な英語力は英検準 2 級程度 である。そうした場合,本科 3 学年の始め頃に学生 の英検準 2 級取得率がある一定の割合に達すること から,派遣対象学年を本科 3 年生とした。また英語 科の授業カリキュラムでは,英語会話,英語 LL演 習の授業が本科 3 年生,本科 4 年生の総合英語 Iで

は TOEIC 対策の授業が行われており,派遣対象学

年を 3 学年にすることで,学生たちは英語 LL 演習,

英語会話で発音や実践的な英会話授業を受けた後に 海外を訪問し,帰国後海外で身につけたことを 4 学

年の TOEIC 対策に生かせるという授業カリキュラ

ム上のつながりができることも対象学年決定の要因 となった。派遣地域の選定にあたっては,派遣希望 者の負担金額が大きくなりすぎないこと,そして学 生の多くが行ってみたいと思っている国であること を考慮し,シンガポールとした。平成26年10月に八 戸高専の教員からの紹介を経て,シンガポール・ポ リテクニックにおいて 5 日間,英語でプレゼンテー ションする効果的な方法と,シンガポールの文化・

慣習を学習する「シンガポール語学研修プログラ ム」ができ,平成26年11月に 3 学年の各クラスにプ ログラムの告知と参加募集を行い,それと同時に国 際交流室員からの提案で本科 1・2 学年にも各クラ スに「シンガポール語学研修プログラム」の紹介と 参加資格を告知し,将来参加するための準備を促し た。12月に 3 年生を対象に研修プログラム説明会を 行い,最終的に18名の学生の参加が決定した。

 その後,シンガポールへの短期派遣が決定した学 生に対しては,国際交流室として次のようなサポー トを行った。

  ①航空機チケット,シンガポールで滞在するホテ ルの手配

  ②シンガポールの文化,慣習についてのオリエン テーション

  ③派遣先高等教育機関との連絡   ④海外保険加入手続きの手配

 また,シンガポール・ポリテクニックの教員と,

本校学生の研修をサポートしてくれるシンガポー ル・ポリテクニックの学生に秋田高専と秋田の文化 を紹介することになり,研修参加学生が英語でプレ ゼンするための資料を作成するサポートを行った。

 このプログラムの行程表とシンガポール・ポリテ

クでの英語研修内容は表 7 の通りである。ポリテク

での授業内容が予想以上に濃いものであり,しかも

毎日課題が出たため学生たちは睡眠時間を削りなが

ら次の日の準備をしていたのが強い印象として残っ

ている。その甲斐もあり,5 日間という短い授業日

(6)

程にもかかわらず,学生の英語プレゼンテーション 力が日々良くなっていくのがよくわかり,それに比 例する形で学生たちは英語を話すことへの抵抗感が なくなっていき,最終日にもなると移動手段として 主に利用していた地下鉄の電車内でシンガポール人 に声をかけられても学生たちは普通に英語で応対で きるまでになっていった。シンガポール・ポリテク の学生とも仲良くなり,帰国後の現在でも連絡のや りとりをしているようである。

5. 今後の課題

 本論のまとめとして,国際交流活動における今後 の課題に触れておきたい。カリキュラム上の問題に

おいては,現在フィンランドへの学生派遣に関する 条件がまだ整っていない問題がある。これはフィン ランドとの協定において,学生派遣期間は最低 3 ヶ 月であることが求められているためで,制度上 2 ヶ 月程度が限度となっている本校の現カリキュラムで は対応できない。また,シンガポール語学研修に関 しては,シンガポール・ポリテクの教員からの指摘 もあるが,5 日間の授業日程よりは10日間の授業日 程の方が学生の英語力向上にとってより効果的であ ろうと思われる。

 もうひとつは外国人との交流に対する意識の問題 があげられる。海外からの留学生または教員と出 会っても話をしようとしない。これは本校学生の英 語力にも問題があり,語学力強化が急務であるが,

それと同時にもう少し積極的に接しようとする意識 を持つだけで,本校の国際性はもっと向上し,交流 活動が活発になっていくだろう。

謝辞

 本論を執筆するにあたり,国際交流活動に対して 指導・助言をいただいた山田宗慶校長,国際交流活 動に協力していただいた脇野博前教務主事,野坂肇 教務主事,並びに対馬雅己教授,国際交流室スタッ フ,並びに関係教職員に対してここに感謝の意を表 します。

1)   通常フランス・フィンランド高等教育機関のイ ンターンシップ期間は 3 ヶ月間であるが,フィ ンランド・ヘルシンキメトロポリア応用科学大 学のインターンシップ期間が 5 ヶ月プログラム となっているため,当該出身学生の本校の受け 入れ期間は 5 ヶ月間(平成25年 9 月から平成26 年 2 月まで)であった。

2)   これは,フランス・アルトワ大学の付属技術短 期大学であるベトゥーヌ技術短期大学,ランス 技術短期大学で要求される書類であり,その他 のフランス技術短期大学では必要とされない。

3)   平成27年度は,4 月 1 日~ 9 月30日までの期間 の総数を示している。

4)   この教務主事からの依頼の後に,八戸高専から

「シンガポールポリテクニック研修プログラム」

への誘いを受けることになり,1 年生を海外に 短期派遣することができた。

表 7 平成26年度シンガポール語学研修行程表と研修内容 3 月 1 日 秋田空港→羽田空港→(機中泊)→

  2 日 シンガポール・チャンギ空港着→シンガ ポール・ポリテクニック

・オリエンテーション・シンガポールの食 文化について

・シンガポール学生との自己紹介

・プレゼンテーションについての講義

・テーマに沿ったプレゼン原稿の作成①   3 日 ・プレゼンの練習・発表①

・マッシュルームタワー・ハンティング ゲームを使った英会話の実践練習

・シンガポール英語の講義

・ディベートの方法に関する講義

・シンガポールの文化・慣習に関してシン ガポール学生にインタビュー

・テーマに沿ったプレゼン原稿の作成②   4 日 ・プレゼンの練習・発表②

・最終プレゼンテーションに向けた準備

・英字新聞の記事を紹介するポスター作成 と発表

・テーマに沿ったプレゼン原稿の作成③

・映画鑑賞

  5 日 ・プレゼンの練習・発表③

・映画の内容を紹介するポスターの作成と 発表

・日本文化をシンガポール学生に英語で紹介

・近くのフードコートへ行き,現地の生活 様式を見学する

・最終プレゼンテーションに向けた準備

・テーマに沿ったプレゼン原稿の作成④   6 日 ・プレゼンの練習・発表④

・最終プレゼンテーション

・学習内容の総まとめ

  7 日 シンガポール観光(ベイサイドエリア)

  8 日 シンガポール観光(オーチャードエリア)

シンガポール・チャンギ空港→(機中泊)→

  9 日 羽田空港→秋田空港着

参照

関連したドキュメント

る、というのが、この時期のアマルフィ交易の基本的な枠組みになっていた(8)。

*海外派遣にかかる渡航や現地滞在にかかる手配は UNV を通じて行います (現地生活費の支給等を含む)

を派遣しており、同任期終了後も継続して技術面での支援等を行う予定である。今年 7 月 30 日~8 月

 映画「Time Sick」は主人公の高校生ら が、子どものころに比べ、時間があっという間

彼らの九十パーセントが日本で生まれ育った二世三世であるということである︒このように長期間にわたって外国に

12月には、全国で寄付を推進する月間として、「寄付月間Giving December

現を教えても らい活用 したところ 、その子は すぐ動いた 。そういっ たことで非常 に役に立 っ た と い う 声 も いた だ い てい ま す 。 1 回の 派 遣 でも 十 分 だ っ た、 そ