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自由ヴ アル ドルフ学校 の建築様式 - 校 舎 の フ ォル ム の造 形 -

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(1)

151

自由ヴ アル ドルフ学校 の建 築様 式

‑ 校 舎 の フ ォル ム の造 形 ‑

土 屋 文 明

は じめに

ヴ ァル ドル フ学校 の校 舎 は, 「メタモル フォーゼ」と切 り離 して考 える こ と はで きない。拙稿 「自由ヴ ァル ドル フ学校 の学校建築

(2)

」( 註1 )で示 した よ うに, 本 来 「メタモル フォー ゼ」 を潜在能力 として持 って生 まれた人 間 は,適切 な 環境 の中で初 めて その能力 を顕在化 す る こ とがで きる。就学期 間 につ いてい うな らば,生徒 の持 って生 まれた能力 は,生徒 の発 達 に応 じた教育 内容 ,方 法 と,物 理 的環境 ,す なわ ちメタモル フォー ゼが建 築 として具体 化 され た校 舎 にお いて,最 も有効 に発達 を遂 げる こ とが で きる, この よ うにヴ ァル ドル

フで は考 え られ てい る

「 学校建築

(2)

」で は, ヴ ァル ドル フの建 築運 動 の推進者 の一人

J.Peters

が, ヴ ァル ドル フ学校 考察 のた め に

4

つの観 点 ( 註

2)

を挙 げて い る こ とをみた。 そ して その うちの第

2

の観 点 について次 の よ うに書 いた。

「メタモル フォーゼ」が建 築 の根本原理 で あ る ことは, ゲー テアヌム に も

ヴ ァル ドル フ学校建築 に も共通 してい る

その フォル ム化 について, ゲー

テアヌム に関 して は大 ホール の柱 を通 して既 に少 しだ け触 れた。今後 ,学

校建築 にお いて, 「メタモル フォーゼ」の フォル ムが具体 的 に どの よ うに実

現 され てい るか をみて い く必要が あ る。前述 したが, ヴ ァル ドル フで は,

生徒 は幾度 かの メタモル フ ォー ゼ を遂 げる存在 として とらえ られ てい るの

で,各 学年段 階 にお いて建 築 の フォル ムの違 いが み られ る

( 学校建築 2,

267)(

3)

(2)

引用文 は,本稿 の課題 を述 べ てい る

す なわ ち本稿 で は, ヴ ァル ドル フに お ける校舎 の フォル ムの造形 は, どの よ うな考 え方 か ら行 われ るのか, そ し て具体 的 に どの よ うな フォル ムが生 まれ てい るのか を中心 にみてい く

これ に よって, ヴ ァル ドル フ学校 にお ける人 間形成 の前提 にあ る,人 間 の潜在 能 力 で あ る 「メタモル フォーゼ」 が学校建築 の フォル ムの根本原理 で あ る こ と

を明 らか に した い。

1 ヴ ァル ドル フ学校 建 築 の 理 念 の 具 体 化 と して の 「ゲ ー テ ア ヌ ム 」 ヴ ァル ドル フ学校 の校舎建築 のプ ラ ンに際 して, まず考慮 に入 れ られ るの は, 「ゲ ーテアヌム 」 ( 註

4

)で あ る。 それ は, 「ゲー テア ヌム」が建 築様 式 として 模倣 の対 象 とされ る とい うこ とで はな く, ここには以下 にみ る ようなヴ ァル ドル フの建 築 関係者 ,教育 関係者 に とって共通 テーマ とされ る,建築 上 の理 念 が示 されてい る, と考 え られ てい るか らで あ る。

∫.Peters

に よれ ば, 「ゲー テアヌム」の 中 には,

3

つの理念 が生 きていた。

まず この点 を確認 し, これ らの理念 が ヴ ァル ドル フの学校建築 に どの よ うに 受 け継 が れてい るのか を次 にみてい くこ とに しよ う。

●●●●●● ●●●●●

「ゲーテアヌム」 の中 に生 きていた理念 の

1

は, 「 建 築 は未来 にお いて共 同

●●●●●●

体 の要件 で あ る

」(Kunst,787)

( 註

5

)とい うもので あ る。 これ は, あ る建築物 が特別 な様 式 を持 ってい る とか, あ る建築 家 の特徴 が現 われ てい る とかが重 要 なので はな く,建 築物 は, それ を必 要 とす る共 同体 が まず あ って, その共 同体 が 目標 とす る もの に よって満 た され る ものでな けれ ばな らない, とい う

こ とで あ る。 つ ま り建築 は,建 築 主 が建築 業者 にすべ て任 せ て行 われ る もの で はな く, あ る共通 の 目標 を持 った者 た ち によって,共 同で取 り組 まれ る も ので あ る とい うこ とで あ る。 「ゲーテアヌム」は, シュタイナー の建築 プラ ン の もと, そ して建築過程 において も彼 の全面 的 な リー ダー シ ップの もと, ア ン トロボ ゾ‑ フ ( 人 智学 の信奉 者) を中心 とした人達 の共 同作業 で建 築 され てい る

●●●● ●●● ● ●●●●●●●●●●●●●●●●

2

の理念 は,「 建築物 は,建 築様 式,彫 塑術 そ して絵画 の統合 として新 し

(3)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様 式

153

く理解 され な けれ ばな らない」( 同上 )とい う もので あ る。シュタイナー に よっ て,建 築 は,総合芸術 として意味 づ け られて い る。この理念 の具体化 が,「ゲー テアヌム」 で あったわ けで あ る

3

の理念 につ いて,

Peters

は次 の よ うに書 いてい る。

発達 思想 の造形芸術 へ の導入 は, シ ュタイナー の根 元 的 な業績 で あ る

これ に よって彼 は, ゲーテが練 り上 げた生命界 についての メタモル フ ォー ゼ思想 の後継者 とな り,発 達が起 こる ところで は至 る ところで,形 態 が 内 的法則性 に従 って変化 す る様 子 を示 した

。 (Kunst

,

788)

引用文 にい う 「 発達 思想 」とは, 「ゲー テが練 り上 げた生命界 につ いての メ タモル フォー ゼ思想 」 の こ とで あ る。生命 を持 つ もの は,絶 えず発 展変化 す る, その内的 に起 こってい る変化 は,形 態 に表 われ る, とい うのが ここでい わ れてい る「メタモル フォーゼ思想 」で あ る

シュタイナー は, 「 有機体建 築 」

を 目指 し, その理論 的 な拠 り所 をゲー テの 「メタモル フォーゼ思想 」 に求 め

た ( 註

6

)0

Peters

は, これ ら

3

つの理念 を継承発 展 させ る ことが,ヴ ァル ドル フ学校 建築 の課題 で あ る とい う。確 か に, ヴ ァル ドル フ建 築 の研 究 は,建 築物 の分 析 に よって これ らの理念 を解 き明かす作業 で あ る とい える

「ゲー テアヌム」建 築 の

3

つの理念 は, ヴ ァル ドル フ建築 に どの よ うに受 け 継 がれ て い る ととらえて よいのだ ろ うか。結論 的 にい えば,

3

つの理念 とも ヴ ァル ドル フ学校 の校舎建 築 に多少質 を変 えてい る部分 もあ るが原理 的 に受 け継 がれ てい る とい える

1

の理念 は, 「 建 築 は共 同体 の要件 で あ る」とい う もので あった。 ヴ ァル

ドル フ学 校 に お い て は ひ とつ の核 で あ る 「 共 同体

Lebensgemeinschaft

,

Schulgemeinschaft

」は,校舎建築 の要件 で あ る

ヴ ァル ドル フ校舎 の建築 が

行 われ る ときには,学校 関係者 にお いて また学校 の周辺 な ど との様 々 な レベ

ルで の人 間 の関わ りが生 まれ る。 そ して ヴ ァル ドル フの建 築期 間 は大抵長期

(4)

間 にな るが, ここで はそれが マ イナ ス要 因 にな らない。 ヴ ァル ドル フで は学 校建築 が共 同体 成 立 の重 要 な契機 とされ て い るか らで あ る ( 学校建 築 2,

268)

ヴ ァル ドル フにおいて建築物 は,教育 の理念 や 目標 な ど と無 関係 に建 設 され る もので はな く, 学校 関係者 が 「 共 同体」 として一丸 とな って行 われ る もので あ る とい うこ とに, この第

1

の理念 を とらえ る こ とがで きるだ ろ う。

2

の 「 建築 物 は,建築様 式,彫塑術 そ して絵 画 の統合 」 で あ る とい う理 念 は, ヴ ァル ドル フ校舎建 築 にその まま受 け継 がれ てい る

ヴ ァル ドル フ建 築 関係 の論文 や著書 の中で は,校舎 にたい して しば しば総合芸術 品

Gesamt

kunstwerk

とい う表現 が な され る。総合芸術 品 としての校 舎建築 の成 果 は, 例 えば引用文献

3

に示 され てい る。本稿 も, この理念 を明確 にす る作業 で あ

る と言 え る

3

の理念 「メタモル フォーゼ思想 の造形芸術 へ の導入」は, シュタイナー が 「ゲー テアヌム」 において実現 しよう とした こ とで あった.本稿 で は,主 に この理念 を解 き明 かす作業 にな る。

ヴ ァル ドル フの学校建築 にお ける 「メタモル フォー ゼ」 の意味 に は,相互 に関連 す る 2つ の側面 が あ る

まず 「ゲーテ アヌム」 で示 されてい る ように,建築 全体 が無機 的 な もの と い う印象 を見 る者 に与 えないた めに,静 的 な フ ォルム に動 的 な要素 を混ぜ合 わせ,全体 として動 きの あ る もの にす る ように建築 フォル ムが造 形 され る と い う側 面 で あ る

これ は,後述 す る ような表情 のあ る建物 にす るた めの,校 舎 の 「ポーズ」 の問題 として次節以下 で詳 述 す る

この側 面 は, ヴ ァル ドル

フの校舎 で は 「ゲー テアヌム」 か らその まま受 け継 が れて い る。

もうひ とつの側郵 ま,人 間観 としての それで あ る

ヴ ァ) I ,ドル フ校舎 で は, 生徒 の 「メタモル フォーゼ」 の フォル ム化 が追求 され てい る

3

の理念 についての先 の

Peters

の引用文 の中 に,シュタイナー は,「 発達

が起 こる ところで は至 る ところで,形 態が 内的法則性 に従 って変化 す る様子

を示 した」, とあった。 「ゲ ーテアヌム」で, 「 発達」す るの は, 自然及 び 自然

に内包 され る人 間で あった とい える

これ に対 して ヴ ァル ドル フ学校 の内部

(5)

自由ヴァル ドル フ学校 の建築様式

155

において 「 発達」 す る もの は,学校 内で成長 す る生徒 で あ る

したが って, ヴ ァル ドル フ学校 にお ける 「メタモル フ ォーゼ

は,生徒 の人 間観 ,発達観 を意味 す る とい え る。生徒 が,校舎 の中で生命 を もち, 「メタモル フォーゼ」

す る とす るな らば,校舎 の形 態, フォル ム は,生徒 の 「メタモル フォー ゼ」

を表 わす もので な けれ ばな らない。第

3

の理念 か らすれ ばそ うな る。 この理 念 を達成 す るた め には,校舎建 築 の前提 として生徒 が どの よ うに 「メタモル フォー ゼ」す るのか の理解 が必 要 で あ る。 それ ゆえ, ヴ ァル ドル フ関係者 が, 校舎建築 にあた って まず最初 に拠 り所 に した ものが, シュタイナー の講 演集

『 教育 の基礎 としての一般人 間学』( 註7 )で あ った,

(Kunst,799)

とい うの は理 解 で きる。周知 の ように,この中 には誕生 か ら成人 に至 る まで の シュタイナー の発達観 も含 まれ てい る

。Peters

は この書 の中で も,特 に「 身体 の形 態発達」

についての記述 に注 目す る

それ は次 の よ うな理 由か らで あ る。

シュタイナーが多 くの機会 に聴衆者 ,す なわ ち教育者 , 医者 ,芸術家 な どに繰 り返 し呼 びか けた こ とは,頭骨 か ら四肢骨 へ の メタモル フ ォー ゼ と い う くきわ めて分 か りに くい)表 象 に取 り組 む こ とで凄) つた。 とい うの は, そ うす る ことで有機体 の発達 の謎 を形 として理解 す る ことがで き, 内面 的 に直観 す る ことがで きるか らで あ る

( 同上 )

生徒 の内面 的 な発達 とい うの は, もとも と目に見 えない もので あ る

そ こ に教育 の難 しさが あ る

しか しシュタイナー は,誕 生 か ら成人 に至 るまでの 人 間 の発達 を, 「 頭骨 か ら四肢骨 へ のメタモル フォーゼ」として イメー ジす る こ とに よって, 「 形 として」理解 で き, その発達 の本質 が 「内面 的 に直観 」で きる, とい うので あ る

。Peters

は,くきわ めて分 か りに くい〉表 象 として取 り 組 むべ きシュタイナーの発達観 を,次 の よ うに要約 す る。

身体 の発 達 は まず球状 の頭部形 態 か ら出発 し( 第

1

七 年期 ),次 に胸部 に

おいて肋骨 と脊髄 の伸 張 に形 を変 える ( 第 2七 年期 )。上級学年 で は ( 第 3

(6)

七年期 ), とりわ け四肢 の領域 が,今 や 〈活動範 囲〉が空間的 に広 が るよ う に完成 され る

( 同上)

ヴ ァル ドル フ関係者 が シュタイナーの発達観 を拠 り所 に し,校 舎 の フォル ム造形 に取 り組 んだ とい う ことは上 の記述 か らも分 か る。 しか しヴ ァル ドル フ建 築 に関す る論文 にほぼ共通 してい る ことは, そ こで研究 され検 討 された ことの内容 が詳細 に報告 され る こ とはな く, それ につ いて は上 の ような要約 程度 しか言及 しない とい う ことで あ る

その第 1の理 由 は, ヴ ァル ドル フの 学校建築 は, シュタイナーが理念 的 に述 べた ことを手 が か りに した試行錯誤 が繰 り返 され てい る, とい う ことで あ ろ う。 したが って, その発達 の具体 的 な発 現 は子 どもに よって多様 に異 な って くる。また

Peters

も書 いてい る よう に, 引用文 の ような発達観 は,生徒 の発達 を 「 形 として イメー ジす る」 た め の もので あ り, それが校舎 の フォル ム として具体化 され る場合 には,事実 そ うで あ るが,多様 な在 り方が考 え られ る。 つ ま り, シュタイナーの「 発達観 」 が手 がか りにはな ってい るが,現在 多様 な フ ォルムで存 在 してい るヴ ァル ド ル フ校舎 は, シュタイナーの遺 志 を受 け継 いだ建築 家 や ヴ ァル ドル フ学校 関 係者 た ち との共 同作業 に よる創造 的造形 で あ る。

以 上 の ように, ヴ ァル ドル フ学校 にお ける 「メタモル フォーゼ」 は,第 1 に,校舎 全体 が動 的 な もの として,生 きた 「 有機体 」 として認識 し体 験 され る ように, フ ォルムが工 夫 され てい る とい う側 面が あ る。 これ は, 次節 で詳 述 す る校舎 の 「ポーズ」 とい う問題 につ なが る

「メタモル フ ォー ゼ」の もう 一 つ の側 面 は,生徒 の発達観 とい うことで あ る

ヴ ァル ドル フで生徒 の内面 で起 こる 「メタモル フォーゼ」 に応 じた校 舎 の フォルム を, どの よ うに造形

しよう としてい るか は,

3

節以 降で みて い くこ とにす る

2

建 物 の ポ ー ズ とい う視 点

大戦後 の ドイ ツの ヴ ァル ドル フ建築 の推進 的役割 を果 た した の は,最初 は

教 師 を含 まない シュ トウツ トガル トの人智学建 築家 サー クルで あった.彼 ら

(7)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様 式

157

が校舎 の形態 を考 える際 に手 がか りに したの は,前節 でみた ようにシュタイ ナーの 『 教育 の基礎 としての一般人 間学』で あった。 この本 が徹底 的 に議論 された, と

R.Raab

は書 いてい る

。(Baut,19)

そ して彼 らが校舎 の形態 の創 造 に際 して, もう一方で考察 の対 象 とした ことは,校舎 のポーズ とい う問題 で ある

この間題 もじつ は, ヴ ァル ドル フ関係者 に とって は, シュタイナーが先駆 者 であ る

. Raab

は, 「ゲーテアヌム」を通 して,特 にその支柱 の特別 な造形 に即 して,建築様 式 の中 にポーズ を作 り出すエネル ギーの存在 を発見 してい る

そのエネル ギー を彼 は,「 上 か ら下 へ と相互 に志 向 し,届 き合 い,複合作 用 し,生命 を創造 す るように広が り,寄せ合 わせ,抱擁 しあい,絡 み合 い, 心 を打 ち明 ける

( 同上), と表現 してい る

この ように,無機 的建造物 が, ポーズ とい う視点 を持 つ こ とによって,有機体建築 に変 わ り,人 間 に作 用す る校舎 とい う視点が得 られ る

それ に よって例 えば,校舎 の フォルム と教育 論 や生徒 の発達観 との関係性 を議論 した り,生徒 や教 師が校舎 にアイ デ ン

テ ィテ ィを感 じる場所 にす るための建築様 式 を構想 す る可能性が生 まれたの で ある。

生徒 に対 す る校舎 の影響 を大学 で長年研究 してい る

C.Rittelmeyer

も, 同 様 のアプローチの仕 方で校舎 の フォルム に関 して述 べ ている。彼 は,校舎 は

「 言語」で あ る とい う

建物 には固有 のポーズが あ り, それ は見 る者 に対 して 語 りか ける と考 えるか らであ る

建物 ない し建物 の構成要素 は,生徒 に対 して活気 を与 え,拒絶 し,解放 し,皮 肉 を与 え,個性 をな くし,生命 を与 え,冷淡 に作用す る。 それ ゆえ

●●● ●●●

校舎 は,く 言語〉であ る。校舎 は,身振 りや振舞 いで作用す る

校舎 は,一

種 の魂 の表現 をす るように見 える

あ るい は性格 や顔 のない,無表情 で あ

るように見 える

それ によって校舎 は,教師や生徒 に対 して例 えば友好 的

だ った り,押 しつ けが ましか った り,あるい は敵対 的 な関係 とな る

。(Schul bauten,739)

(8)

Rittelmeyer

は,多 くの建 築家 ,そ して生徒達 が繰 り返 し現在 の学校建築 に 対 して不快感 を表 明 して きた に もかかわ らず, この間題 に関 して ほ とん ど手 が つ け られて こなか った とい う

そ して この校 舎 の 「ポーズ」 の問題 を議論 す るにあた って, ヴ ァル ドル フ学校建築 が大 きな示唆 を与 え る もので あ る こ

とを指摘 す る。

Rittelmeyer

は,心理学受講 者 を対 象 に,実験 を行 って い る。それ は,多様 な校舎 の写真 を学生 に見 せ て,特殊 な装 置 で,最初 の

20

秒 間の視線 の流れ を 把握 す る とい う実験 で あ る

また同時 に被験者 に対 して確認 の意味 でイ ンタ ビュー を行 ってい る。 この実験 分析 の結果,人 間が建物 を どの よ うな感覚 で 知覚 す るか について,欠 くこ とので きない

3

つ の観 点が あ る と,彼 はい う

(Schulbauten,7412)

そのひ とつ は, 「 建 物 を 〈 見 る こと〉は,単 に視覚 だ けの孤立 した活 動 で は

●● ●●●●●●●●●●●●●●● ●●●

な く,少 な くとも視覚 ,自己運動感 覚 そ して平衡感 覚 の総合作 用で あ る」, と い うこ とで あ る

2

の観 点 は,「 建物 の フ ォル ム を見 る ときに は,常 に多少 ともはっ き りと

●●●

その フ ォルム との関係 の中 に 自身 の身体性 をお き,建 物 の フ ォル ムが人 間 に

●●●●●

ふ さわ しい こ とを, す なわ ち 自分達 の基本 的 な身体 的欲 求 にあ ってい る こ と

●●●●●●●●●●●

を, あ るい は人 間 にはふ さわ し くない こ とを発 見 す る」 とい うこ とで あ る

0

●● ●●●●●●●●●

3

の観 点 は, 「 上 の

2

つの見方, す なわ ち知 覚 ・ 運動両器 官 の協力性 とい

●●●●●

う側 面 か らの分析 は,建物 の社会 的印象 の分析 に よって補 われ な けれ ばな ら ない

,

とい うこ とで あ る。

1

2

の観点 は,実験 結果 の運動生理学 的分析 で あ る。但 し, この

2

つ の 観点 は, 引用 した論文 の中で は実験 結果 が簡 潔 に ま とめ られ てい るだ けで あ る。 この論文 で は,第

3

の観 点 が重視 されてい る こ とは明 らかで あ る。 この

●●●● ●

観点 で いわれ てい る 「 建物 の社 会 的 印象」 とは,要 す るに建物 の ポーズの問 題 の こ とで あ る

この間題 と正面 か ら取 り組 んでい るヴ ァル ドル フ建 築 に,

Rittelmeyer

は注 目す る

彼 は, ヴ ァル ドル フの校 舎 に関 して は重 要 な

2

つの本質 的 な原理 が あ る と

(9)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様式

159

い う

そのひ とつ は, 「 建築 の フォルム のメ タモル フォーゼ」の原理 , そ して

●●●●●●●●

もうひ とつ は,「 建 物 を人 間 にふ さわ しい よ うに構想 す る」とい う原理 で あ る

(Schulbauten,7467)

Rittemeyer

が第

1

に挙 げて い る原理 は,ヴ ァル ドル フ学校 の校 舎 を「 有機 体 」 に してい る もので あ る

彼 に よれ ば, この原理 は建 物 の 中 に具体 的 な形 で容易 に発見 で きる とは限 らないが,恒 常 的 に発展 し変化 す る形態 の総体 を 創 り出す。彼 は,次 の ように続 け る。

この原理 が厳 密 に適 用 され る場 合 には,窓 の正 面 の単調 さ,正立 方体 の 部屋 の フ ォルム,建築 要素 の付 け足 し的 な並置, フ ァサー ドの連続 的 な造 形,厳 密 な対称性 , これ らは存在 しない。 だか らヴ ァル ドル フで は,静止 状 態 に対 して絶 えず発 展 す る ものが対 置 され る。訊 ねた生徒達 の感想 に よ れ ば, この こ とは,大抵豊 か な刺激 や活気 の印象 を喚起 す る

それ ゆ えメ タモル フォーゼ は, あ る種 の教育 の光景 の中で は常 に変化 し発展 す るプ ロ セス を もた らし,それ に よって教育 の模範 を揮供 す る

。(Schulbauten,746)

ここでいわれてい る 「メタモル フォーゼ」 は,生徒 の発達観 とは と くに関 係 な く,建物 の フ ォルム 自体 が生 み出す 「 常 に変化 し発 展 す るプ ロセス」 の こ とで あ る。 この フォル ムの特徴 の例 として,窓 の正面 に変化 を持 たせ る こ と,教室 を正立 方体 に しない こ と,厳密 にシ ンメ トリックな フォル ム に しな い こ と, な どが挙 げ られ てい る。 引用文 にあ るよ うに,微妙 にバ ラ ンスの と

られた静 と動 を示 す フ ォルム の混在 が, ヴ ァル ドル フ建 築 の大 きな特徴 のひ とつ とな ってい る

2

Rittelmeyer

が挙 げてい るヴ ァル ドル フ校 舎 の本質 的 な原理 は, こ

こで は建 物 を 「 人 間 にふ さわ しい よ うに」構想 す る とい うこ とで凄) る。 これ

には

2

つの側 面 が あ る。 ひ とつ は,生徒 の発 達段 階 に応 じて校舎 を造形 す る

とい う ことで あ る

す なわ ち上 で みた,生徒 の 「メタモル フ ォーゼ

の フォ

ル ム化 で あ る

したが って,発達段 階 によって, それ ぞれ異 な るフォル ムが

(10)

適合 す る とい う前提 が あ り, それ を満 たす よ うな校舎 を構 想 す る こ とが

,

こで い う 「ふ さわ しい」 のひ とつの側面 で あ る

これ について は後 ろの節 で 詳 し く触 れ る こ とにす る。

● ●●●●●●● ●●

もうひ とつ は, 「あ らゆ る面 の感覚教育

」(Schulbauten,747

) とい うヴ ァ ル ドル フ教育 の基本 原則 に応 じる校舎 とい う側 面 で あ る。但 し, このた めに は,上 の引用文 に少 し例 が あ るよ うな多様 な フォル ム を持 たせ た り,本稿 で は触 れていない色彩 的 に造 形 され る校舎 だ けが含 まれ るので はない。 ヴ ァル ドル フで は よ く使 われ る蜜 蟻 の ロウ ソクの香 りや,季節 に応 じて よ く飾 りた て られ る果物 ,あ るい は透 明塗料 が塗 られ る壁 や その他装飾 な ども含 まれ る。

これ らが校舎 と相互 に作 用 しあって, 「あ らゆ る面 の感覚教育」とい う基本 原 則 に応 じた教育 が可能 とな る

Rittelmeyer

は,先 に挙 げた

3

つの観点 を留意 しなが ら建 築 を行 うな らば, 教育 姿勢 を校舎 とい う具体 的 な形 に表 す ことが で きる とい ってい る。

‑‑建築形 態 は,子 どもの. 直観 のた め に意味 のあ る基礎 的 な社 会 的 ポー ズ

●●●●●● ●●

にな りうるだ ろ う。す なわ ちいわ ば教育 姿勢 と結 びついた客観化 されたく 教 育者 の形 〉,教育 の具体像 を提供 す る こ とがで きるだ ろ う

。(Schulbauten

,

753)

校 舎 は, ヴ ァル ドル フにおいて も教育 のた め に利 用 され る建築 で あ る こと には変わ りが な い。 しか し,校 舎 は教 育 の手段 として対 象化 され る もので は ない。校舎 その ものが いわ ば 自律性 のあ る もので あ り, それ ゆ えヴ ァル ドル フで は 「 有機体 建築 」 としての校舎 が 目指 され てい るのだが,校舎 は教 師や 生徒 に対 して語 りか ける。 いわ ば校舎 とそ こに住 む者 との対話 によって,坐 活 ( 教育 ) が成 立 す る

これ は, 自覚 す る しない にかかわ らず,事実 として あ る。例 えば,巨大 な近代 的 な大学 の建物 が,人 に よって は何 か馴染 めない, 冷 や やか な感 じがす る とい う ことはあ りえる ことで あ る。 で あ る とす るな ら

ば,校舎 の建築様 式 に も目を向 け,その中で行 われ る教育 実践 と,校舎 の フ ォ

(11)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様 式

161

ルムが示 す メ ッセー ジ を一致 させ る努力 を し,教育作用 に一貫性 を持 たせ る とい うのが ヴ ァル ドル フの意 図で あ る。次節以下 で もみ るよ うにヴ ァル ドル フで は, 「ポーズ」を生 み出す もの としての フォル ムが,校舎建築 の重要 な研 究 テーマ となってい る。

3

教 室 の フ ォル ム とそ の 作 用

ヴ ァル ドル フ学校 において,校舎 の フォル ムが どの ような考 え方 に基 づ い て造形 され てい るか, そ して どの ような フ ォル ム にな ってい るか につ いて, 教 室 に焦 点 を当てて よ り具体 的 にみて い くことに しよ う。

Raab

は,ヴ ァル ドル フ学校建築 において,校舎 の フ ォルム に注 目され る以 前 にお いて一般 的 で あ った教 室 の性格 を

3

点 に ま とめ る。

(Baut

,

198)

( 1) 舵 長長 方形 の フォル ム 。( 2) 生徒 の机 椅子 が教卓 ,黒板 の方 に向 くよ うに固定 さ

れ てい る 。( 3) 権威 の表 現 として教 師 の位 置 が空間 的 に強調 され る。

Raab

に よれ ば

,30

年代

40

年代 に校舎 のス タイル の改革計 画が行 われ た と きには,基本 的 には,上 の

3

つの性格 か ら離 れ る努力が な された。 しか し彼 は, この

3

つの性格 は, マイナス な もの として初 めか ら退 け られ るべ き もの で はな く,学校環境 や生徒 の状 況 に応 じて 自由 に解釈 され るべ きで あ る とい う

( 同上)す なわ ち, これ らの性格 も選択肢 のひ とつ として あって よO とい うこ とで あ る。教 室 の フォル ム形成 にあた って は,形式 的 な固定化 や ドグマ 化 が行 われ ない ことが必 要 で あ り, そのた め には教 室 で実際 に何 が起 こるか とい うこ とを明確 にす る こ とで あ る。 それ によって その時々 の機能 や事象 に ふ さわ しい教 室 の フォル ムが発見 で きる, その よ うに

Raab

はい う。

校舎 造形 の研究 に際 して は, ヴ ァル ドル フ学校建 築計 画 グルー プ は,前節 で みた よ うに 「ポーズ」に注 目す る

Raab

は, ポーズ についての研 究 か ら得

られた,教室 フ ォルム の考 え方 を紹介 してい る

。 (Baut,199)

ヴ ァル ドル フ学校 で も低学年 と中学年 にお いて は,黒板 が重要 な役割 を占 め る

したが って,黒板 の あ る前 の方 に生徒達 の注 目を集 め る必要 が あ る

そのた め に,教室 として どの よ うなポー ズが必要 か とい う問題 がで て くる。

(12)

Raab

が紹介 してい る例 で は,教 室 の両側 にあ る壁 を どの よ うに造 形 す るか に よって,様 々 なポーズが生 まれ る とい う。

もし長 方形 の フォルム で あ るべ きでな い とす るな らば,完全 に左右対称 で あ る もの とそ うで ない もの,黒板 に向か って幅が狭 くな るか, あ るい は 広 くな る もの, 当然 の こ となが らそ の間 に あ るあ らゆ る多 角形 の ヴ ァ リ エー シ ョンの可能性 の あ る教室 の中か ら,基本 的 な選択 が行 われ る。( 同上)

この うち, 教 師 か ら生徒 の学習活 動 をよ くみ る とい う視点 を優先 させ る と, 教 師か ら見 て教室 の後 方 に向か って幅 広 くな るフォル ムが選択 され る。 この 場合 は,教 師 の統制 が行 いやすいだ ろ うし,逆 に生徒 の側 か らみれ ば,教 師 の方 に意識 を集 中 しやす い フォル ムで あ る とい える

上 と逆 に教 室 の前 方 に 向か って幅広 くな る ような フォル ム も考 え られ る

。Raab

に よれ ば,この場合

は,新 しい ものへ子 どもの感 受性 を喚起 で きる こ とが論証 されてお り, 多 く の ヴ ァル ドル フ学校 で優先 されて い る教室 の フォルムで あ る とい う。 ( 同上)

Raab

と同 様 に大 戦 後 の ヴ ァル ドル フ 学 校 建 築 の リーダーの 一 人

W.

Seyfert

も,教 室 の フォルム を模 索 した。彼 の論文 で は

,Raab

の記述 よ りも, 学 年 に よ り異 な る教室 の フォルム の相違 が よ り明 らか にされ てい る。彼 は,

Bochum

の校 舎 建 築 にあた って,多 くの試 み をす るが, その 中 で も教 室 の フォル ムの造形 は重要 なテーマのひ とつで あった。彼 が建築計画 に先立 って まず最初 に行 った こ とは,ヴ ァル ドル フ学校 教 師 との徹 底 した討論 を通 して, 生徒 の発達 につ いての考 え方 とヴ ァル ドル フ教育 につ いて知 る とい う ことで

あった。 もっ とも

Seyfert

自身 ヴ ァル ドル フ学校 の卒業生 で あった。

‑‑・ 同年齢 の クラス編成 とい うヴ ァル ドル フ学校 の重 要 な原理 のた めに,

異 な る年齢段 階 にふ さわ しい教 室 の フォル ム を探究 す る ことか ら始 め られ

た。最初 の作業段 階 として共 同 の協 議 の中で,多様 な発達段 階 を持 つ子 ど

もや青少年が どの ような特性 を もつか とい うこ と, そ して それ に教育 的 に

(13)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様式

どの よ うに対応 すべ きかが研究 された

。 (Klassenraum,761

)

163

「同年齢 の クラス編 成」は, ヴ ァル ドル フで試験 を しない とい うこ ととも関 連 す るのだが, 要 す るに落第 が ない とい うこ とで あ る

これ が ヴ ァル ドル フ の 「 重 要 な原理 」 で あ る と引用文 で も強調 されて い る。 したが って,学力 や 諸能力 の差 が ク ラス編成 を作用 す る ことはない。 クラス編成 の基 準 は唯一暦 年齢 にあ る( 註8 ) 。同年齢 か ら構 成 され る学 年が,段 階 に よって どの ように特性 の違 いが あ るのか, そ して それ に対応 す るた め に どの ような環境 が必要 とさ れ るか な どにつ いて, ヴ ァル ドル フ学校教 師か ら建築家 へ と詳細 に説 明 され

。Seyfert

は,こうした こ とを基礎 に しなが ら,学年 に応 じた教室 の フォル ム を構 想 す る

まず大 き く,

1

年生 か ら

8

年生 まで, す なわ ち下級学年 の教室 の グループ とそれ以 降 の上級学年 の教室 グル ープ とに,教室 の フ ォルム の特徴 を分 け る こ とが で きる

1

年 と

2

年生 の教 室 は, まだ収容 とか保 護 の性質 の強 い教室 の フォルム で あ る

丸 い壁 で建 築 した幼稚 園 とは対 照 的 に, ここで は教室 の形 が,塞 本 的 な丸 みが角 ぼ った輪郭 の あ る もの に されて い る。丸 みの特徴 が余 り強 す ぎる と,子 ども達 は ここで夢想 しす ぎる こ とにな るだ ろ う

ごつ ごつ し た角 は,子 どもの意識 に よ り強 く作 用す る。

(Klassenraum,762)

教室 の輪郭 は正

6

角形 で,壁 の部分 が正

6

角柱 , そ して壁 か ら上 は,天井 が

1

辺 の長 さが底 面 のお よそ

2

分 の

1

の正

6

角形 とな っていて,天井 が床面

よ り半分 ほ どの広 さになってい る

8

年 間 クラスの メ ンバ ーが変 わ らず, また担任教 師 も変 わ らないヴ ァル ド

ル フにおいて は, まず,教 師 と生徒 との信頼 関係 の土台 を築 くこ とが この段

階 の重要事項 のひ とつで あ る

6

角形 の輪郭 は,引用文 に もあ るよ うに,

子 ども達 を外 の世 界 か ら保護 す る とい う性格 を持 つ。 また この形 は,教 師 と

(14)

生徒 とが距 離 的 に離 れず に,密着 して一緒 に何 か をす るの に適 した形 で あ る

円 に近 い フォル ムで あ るので,教 師対 子 ども達 とい う図式 にな りに くい。教 師が子 ども達 に何 か説 明す る ときには,教 師が 中央 にいて,子 ども達 が その 周 りを囲 む とい う形態 や,教 師が子 ども達 と対 置 す る場合 に も,子 ども達 は 教 師 にか な り接近 して取 り囲む形 態 にな りやす い。 この よ うに,正

6

角形 の 教室 の フ ォルム は,両者 の精神 的 なつ なが りを助 長 させ るフォル ムで あ る。

前 の

2

つ の学年 とあ る程 度 まだ類 似 して い る

3

年生 と

4

年 生 の教 室 で は,教 師が いて黒板 が あ る前方 の領域 が よ り強調 され る。す なわ ち学習が, よ り強調 され る

1

,

2

年生 の教室 の よ うな,教 師 と子 ども達 との融和 , 相互 の愛情 の こもった基礎 的雰 囲気 の中での共存 は,確 か に まだ残 って は

い るが,教 師 と生徒 との対置 は,既 に よ り強 く表 れて い る。 ( 同上)

1

,

2

年生時 は, 「 教 師 と子 ども達 との融和」 が図 られ, 「 相互 の愛情 あ る 雰 囲気 の中での共存」 が行 われ る時期 で,上 に書 いた ように, そのた めに は 正 6角形 とい う教室 のフォルムが適 してい る, と考 え られてい る。 3, 4年 生 にな る と,教 師 の生徒全体 に対 す る説 明や生徒 の学 習活 動が よ り本格化 す る

それ に よって,教 師対 生徒 とい う図式 が よ り強 まる

教 師 は, それ まで よ り生徒 の全体 に対 す る働 きか けが必 要 とな り,生徒 の側 は教 師 の説 明 に対 して よ り集 中 しな けれ ばな らな くな る。 この教 師生徒 の関係 を維持 す るた め には,教室 が正

6

角形 とい うフォル ムで はや りに く くな る。 そ こで正

6

角形 の両側 の角 の角度 が よ り広 くな り,長 方形 に近 い

6

角形 が生 まれ る

その方 が相互 に対 置 しやす い。 す なわ ち教 師が生徒全体 に対 す る統制 が しや す くな

る。

5

年生 の教 室 のた め に私達 が試 みた こ とは, それ まで の よ うな対人 的 な

関係 だ けか らは決 して生 まれ ない,別 の物 的 な作用 に由来 す る融和 を促進

す るよ うな部 屋 を計 画 す る こ とで あ った。 ( 同上)

(15)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様 式

165

5

年生 の部屋 は, それ まで中央部分 にあった両側 の角が,前方部分 に移動 している。 これ によって,教師 の側,教室 にお ける教 師の存在領域 が物理 的 に強調 されてい る

しか も天井部分 は後 ろか ら前 に向か って狭 くなってい る ので,生徒 の視線 や気持 ちが前方 に向か うように,教室 の フォル ムが工夫 さ れてい る。

6

年生 にな る と大抵 の子 ど もの場 合 この年齢 に典 型 的 な激 しさ

Harte

が, よ り強 く学校生活 に入 り込 む。 その傾 向 は

7

年生 まで高 まる。事 の大 小 を問わず遊 び衝動 か ら くる悪 ふ ざけは,周辺 との人々 との対立, すなわ

ち学校 で は教 師 との対立 に発展 す る。 ( 同上)

6

年生 の教室 は,

5

年生 のそれ と比較 して, ます ます教師 のい る前方 の領 域 が強調 され る。教 師 は, ます ます 自己主張 し始 める生徒 に対 して, 日常 的 な言動 に由来 す る 「 権威」 な くして, うま く処理 す る ことはで きない。 この 権威 を建物 が提供 す る ことはで きないが,多少 とも支 えにな るように とい う 意 図の もとに,教 師のい る領域 を広 くした り, この部分 の天井が高 くされて い る。生徒 は この よ うな教室 の フォルム に よって,「 無意識下 で く 指導〉が強 化 され るの を体験 す る」 ( 同上) ので ある。

8

年生 の教室 にあ る固い支柱 は, ひ とつ に ま とめ,元気 づ け, そ してい くらか圧迫感 のあ る く 束縛 の棒 )が はめ込 まれてい る とい うイメー ジで語 る ことがで きる。 ( 同上)

ヴ ァル ドル フ学校 の クラス担任制 は, 8年 で終 了す る。 この学年 は,下級 段 階の最終学年 にあた る。 この学年 の教室 の基本形 は,直方体 で ある

す な わ ち教 師の側 が空 間的 に とりわ け強調 されてい るわ けで はないので,空 間構 成 において床 と天井部分共 に教師 と生徒 は同等で あ る。 しか し,教室 の回 り

にあ る 「固 い支柱」 は,生徒 のエネルギーが無制 限 に発散 しないた めの もの

(16)

で あ る。 また この学年 は, これ まで の学 習や精神 的成長 の ま とめ をす る と同 時 に,次 のステ ップ に向 けてエ ネル ギー をた めな けれ ばな らない。 シュタイ ナー に よれ ば,次 の上級学年 にメ タモル フォーゼす るか らで あ る。「囲い支柱 」 は, このた めの支 え ともな る。

9

年以 降 は,生徒達 はク ラス担任 か ら解放 され,メタモル フォー ゼ を経 て, それ まで とは違 った存在 として学校 生活 を送 る こ とにな る

したが って,教 室 の フ ォル ム に も本質 的 な変化 が起 こる。

9

年生 の教室 は

5

つの角 を持 ち,大抵 は無意識 下 で体験 され るのだが, 同時 に特別 に厳 しい しか し明解 で もあ るフ ォル ムで\ ある

。(Klassenraum

,

763)

9年生 は上級学年 としての旅立 ちが始 まる学年 であ る。 8年生 の教室 は, それ までの教 室 の多角形 か ら長 方形 の フォル ム にな ったが,

9

年生 の教室 は 再 び多 角形 にな る。 しか もその角 は, た いへ ん明解 に造形 されて いて,学校 生活 の環境 が変 わ った とい うこ とを生徒 に実感 させ る。 しか し, クラス担任 教 師か ら解放 された半面 ,責任 や義務 を自 ら負わ な けれ ばな らない立場 で も

あ る。「 教 室 の

5

つの角」は, 生徒 にあ る種 の 自律 の厳 しさのメ ッセー ジ となっ て作 用 す る ように意 図 され てい る

10

,11

年 そ して

12

年生 の教室 で は,フ ォルム の本質 的 な変化 が生 じる。

この前 の学 年 まで の教室 は, すべて シンメ トリックに造形 され てい る

れ らの フ ォル ム に共通 す る こ とは,人 間 を外側 か らよ り強力 に形成 し,支

える とい うこ とで あ る

この よ うな介添 えを断 る とい うな らば,個人 は自

ら王導的 に拠 り所 と方向性 を開発 しな けれ ばな らない。青少年 は今 や 自立

した責任 を持 ってい る。 この立場 か ら彼 らは, それ まで とは違 ったや り方

で学 習す る

(Klassenraum,7634)

(17)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様 式

167

9

年生 とい う過渡期 を経 て

,10

年生以 降 はいわ ば本格 的 に 自立 の道 を歩 ま な けれ ばな らない。9 年生 の教室 まで の フ ォルム はす べて,「シンメ トリック に造形 されて い る。」引用文 にあ る ように, この フ ォルム は,教 師が教育 的意 図 を持 って外側 か ら生徒 を指 導 し, 方 向づ け るの を助 ける

学年 に よ り教 師 の指導性 の度合 い と方 向性 は異 な り, そのた めに フォル ムの相 違 が生 まれ る が

,

「シ ンメ トリックに造形 されて い る」とい う点 で は,下級学年 の教 室 の フォ ル ム に共 通 していた。 これ に対 して

,10

年生以 降 の教室 の フォル ム は,多角 形 で はあ るが対称性 はな くな る。 また回 りの壁 の方 向や天井 の形 が多様 にな り,様 々 な教 室環境 の中か ら自分 の場所 を自分 で選択 す る こ とがで きる。教 節,及 び生徒達 は どこに位置 して も授業 や 自主 的学習が成立 す る

生徒 はい か な る圧 迫 や強制 を感 じる こ とな く自分 の学校 生活 や学 習活動 がで きる よう に,教室 の フォル ムが造形 されて い る。 そ して この非対称 の多角形 の フ ォル ム は,最終学年 の

12

年生 の教室 にな る と,多角形 で はあ るが,緩 や か に再 び 1年生 の教室 の よ うに円の フ ォルム に近 づ く。 この教室 の フォル ム は,生徒 同士が相互 に独 自の道 を歩 み なが らも,学年 の最後 にひ とつ の高 まった共 同 体 とな るよ うに,支援 してい るよ うに思 われ る。

4

「メ タ モル フ ォー ゼ 」 の 具 現 化 と して の 校 舎 の フ ォル ム

前節 で は,学年 に応 じた教室 の フォル ムの造形 の例 をみた。 ここで は,校 舎全体 の フォルム に視 点 を当 てて み よ う

建 築家

E.Berger

の報告 で は,発達段 階 の違 いに応 じた校 舎 の フォル ムが どの よ うな基本 的 な考 え方か ら構想 され,具体 的 に どの ような フ ォルム の違 い にな って現 われたかが,明確 に示 され てい る。

ドイ ツの

Dortmunt

にあ るル ドル フ ・シュタ イ ナー学 校 は,

Erziehungs kunst

誌 で建築 活動報 告が行 われた

1976

年 当時,同 じ敷 地 内 にあ る独立 した

主要 な

3

つの建物 か ら構 成 され て いた。 その うちの

1

つ は幼稚 園で,他 の

2

つが校舎 で あ った。以下校舎 につ いてみてみ るが,一方 は

8

年生 までの下 級

学年 のた めの校 舎 で, もう一 方 は, それ以 降 の上級学年 のた めの教室 や施 設

(18)

とフェス トホール ( 大 ホール) か らな る校 舎 で あ る。前者 は,敷地 内で は東 側 に位置 し, 「 東校舎 」 と呼 ばれ,後者 は敷地 の西側 に位 置 し, 「 西校 舎」 と 呼 ばれて い る。 そ して両者 は, 中庭 を挟 んで向か い合 うように建 ってい る。

Berger

の報 告 で は,東校舎 と西校舎 との特徴 の違 いが明確 に示 され てい る。

東校舎 は, 中央 に表玄 関が あ り, そ こを中心軸 に して ほぼ左 右対称 の翼 か ら構 成 され る地 下

1

階 を付設 す る

2

階建 ての建 物 で あ る

。Berger

は,この建 物 について次 の よ うに書 いてい る

〈 東校舎 〉は, その空 間性 によって下級段 階 の諸 要求 に完全 に適合 してい る

その長 く横 たわ る形 態 は, 中庭 の方へ開 いてお り,左右対称 の中央軸 に造 られた表 玄 関 に よって,生徒達 を愛情深 く招 き入 れ るよ うに迎 える

それで生徒達 は, 中 に入 る際 に正面 を見 る とき, この建 物 をいつ も全体 的 に体験 し, その構 造 を直接 的 に自分 の中 に受 け入 れ る 。 この建 物 の幅広 い ポーズ は, 中庭 を包 み込 もう とす る

。 (Gestalt

,

299)

引用文 か ら読 み取 る こ とので きる東校舎 の期待 されてい る作 用 は, まず第

1

に,生徒 達 が登校 の際学校全体 か ら 「 愛情深 く招 き入 れ るよ うに迎 え」 ら れ てい る とい う感情 を持 て る とい う ことで あ る。 この段 階 は,先 にみた よう に教 師 の権威 に身 をゆだね る時期 で あ り, この権威 は,生徒 の教 師 に対 す る 絶対 的 な信頼感 か ら生 じる もので な けれ ばな らない。 そ して この信頼感 は, 教 師 か ら生徒 に対 して温 か く迎 え入 れ る とい うメ ッセー ジ を送 る こ とが成功 した ときに生 まれ る

校舎 の形 態 は, この よ うな教 師 のメ ッセー ジが生徒 に 届 きやす い よ うに作 用す る。 このた め東校舎 は, 中央 に表 玄関が あ り, それ を中心 に した左 右 ほぼ対称 の翼 で構成 され てい る

しか も翼 の両側 が, 中央 にあ る表玄 関 よ りも前 に突 き出た形 にな ってい る

この形 態 か ら, いわ ば建 物全体 が手 招 きしてい る よ うな印象が送 り出 され る。生徒達 は,登校 の際 に 毎 日校舎 の形態 か ら,愛情 深 く受 け入 れ られ る とい う感情 を持 て る とい うこ

とが,東校 舎 の形態 で意 図 され てい る こ とで あ る

(19)

自由ヴァル ドル フ学校 の建築様式

169

引用文 に続 いて, この東校舎 の ポーズ は,新 た な校舎 を待 ち望 む ポーズで もあ る とい う趣 旨の こ とが書 かれ てい るが, この

Dortmunt

のヴ ァル ドル フ 学校 は,上級学年 のた めの西校舎 は,東校舎 が完成 され てか ら数年後 になっ

て建 て られた。

東校舎 と校庭 を介 して向か い合 う形 で建 て られて い る西校舎 は, どの よう な形 態 なのだ ろ うか。建 築家 としての (もち ろんヴ ァル ドル フ教育 学 を学 ん で はい るが,)上級学年 の生徒 に対 す る発達観 は,次 の よ うに表 現 され てい る 。

その多様 な体格 と顔 立 ち は, 自立心 を得 よ う とす る人格 に向 けての魂 の 変化 の あか しで あ る

この人格 は, 自由空 間 と自分 の判 断 を要求 す る。 関 心 は,学校 の枠 をは るか に越 え,世界 に向 け られ る

それが上級学年 の生 徒 で あ る。彼 は,信頼 す る担任教 師か ら離 れ, 自立 した活動 を行 うた めの パ ー トナー と助 言者 を見 つ けよ う とし,今 それ を上級学 年 の世話人 に兄 い だす。 この段 階 の生徒 は,責任 を引 き受 け よう とし,習熟 した ことに沿 っ て 自分 の頭 で芸術 的 に表現 しよ う とす る。彼 が少 年期 と担任教 師か ら離 れ た と同 じように, この後 の彼 の学校 生活 の建 物 は,く 西校舎 )す なわ ち 自由 裁量 に任 され る建 物 にな る。 ( 同上 )

引用文 の文脈 は,建物 の形態 の大枠 を述 べ てい る ところなので, それ に応 じて生徒 の発達観 自体 も概 略 的 に述 べ られ てい る。 しか し,校 舎 の形 態 の違 い とその根拠 を知 る とい う目的 のた めには十分 で あ る とい えるだ ろ う。既 に 書 いた ように, クラス担任 時代 ( 小学校 ) で は,生徒 と担任教 師 との厚 い信 頼 関係 で結 ばれ て,生徒 が教 師 の権威 に導 かれ る とい う教育 の構 図で あった。

上級 学年 で は, この権威 か ら解 き放 たれ て, 自立 す る時期 で あ る。 そのた め に は,生活空 間 は 「自由空 間」で あ り, 「自分」で 「 判 断」で きる空 間で あ る

こ とが必 要 とされ る。

上級学年 の生徒 は, いわ ば この ようなメタモル フォー ゼ を遂 げるので あ る

が, それ に対応 す るた めの校舎 の フ ォル ム は どの よ うに構想 され てい るのだ

(20)

ろ うか。

Bergar

はい う

く 西校舎 〉 は,〈東校舎 ) の メタモル フォーゼで あ り,東校舎 と同様 にそ の内的有機体 に基 づ いて造形 され てい る。幅広 く横 たわ り, 向か い合 って い る 〈東校舎 〉 の特性 は, ここで は直立 にな り,確 か な 自覚 を示 し, 自由 に直立 して い る ことを主張す る。〈東校舎 〉の対称軸 に対 して,適 当 に曲が っ た独 自の軸 が対 置 され る。 それ に よって 2つ の校舎 の関係 の体 験 が 明確 に

され る

(Gestalt,300)

西校舎 それ 自体 は,いわ ゆ る「ホール学校

」(Hallenschule)

( 註9 )と呼 ばれ る タイ プ に近 い。 中心 にフェス トホールが あ り, その周 りに教室 やオ イ リュ ト

ミー な どの部屋 が配 置 されてい る

建 物 は

3

階 で あ るが, 中心 に大 ホールが あ る関係 で,分 厚 い屋根 の構造 にな ってい るの と,一部 屋根裏部 屋 もあ る関 係 で,

4

階建 て分 の屋根 の高 さにな ってい る

東校舎 との共通性 は,屋根 と 外壁 の素材 と色 彩 が 同様 の もので,窓 も同 じ形状 で はないが全体 か ら受 ける 印象 は同様 の もので あ る。これ らの ことが,外見 的 に両建物 が つ なが りを持 っ た もので あ る こ とを感 じさせ る。

西校舎 は, 中央 が フェス トホール と舞台 にな ってい るが,東校舎 に近 い方 は

2

階部分 が会議室,

1

階部分 はオ イ リユ トミーの部 屋 になってお り, これ らの部屋 が東校 舎 の方 を向いて,前 に突 き出た形 となって いて,緩 や か な対 称性 を示 す短 い翼 ( 教室群 )が左右 につ いてい る

そ して翼 の付根部 分 に左 右

2

箇所 の玄関が つ いてい る。

両校舎 の視覚 的印象 の大 きな違 い は,東校舎 が対称 的 な翼 か らな る低 い横 長 の建物 で あ るの に対 して,西校舎 は, わずか な対称性 を示 す縦 長 の建物 で あ る とい う点 で あ る

これ に よって,東校舎 は, ま とま りや規律 を連想 させ るの に対 して,西校舎 は,規律 か らの解放 を連想 させ る。 また,東校舎 が比 較 的厚 くない屋根 が左右対称 に横 に長 くつ いて い るので,秩 序正 しい とい う

印象 を与 えるの に対 して,西校舎 の屋根 は,不規則 な厚 さを持 ってお り, し

(21)

自由ヴ ァル ドル フ学校 の建築様式

171

か も中央 の フェス トホール を中心 とした建物群 の屋根 の厚 さが極 めて強調 さ れ てい る こ とか ら,この校舎 が 自己主張 を して い る ような印象 を強 く受 ける

これ らの こ とか ら,先 の引用文 にあ った,フォルム によ り与 え よう とす るメ ッ セー ジについての記述 は, その まま首肯 で きるよ うに思 われ る。

また上 の引用文 で重要 だ と思われ る ところは, 「(西校 舎〉は, く東校舎 〉の メタモル フ ォーゼで あ り,東校舎 と同様 にその内的有機体 に基 づ いて造形 さ れ てい る」, とい う ところで あ る

シュタイナーの い う有機体建築 は, 「メタ モル フ ォーゼ」 す る

フォル ムが変化 す る。 そ して その フォルム は, 内的必 然性 を持 って変化 す る。 なぜ な ら, フ ォルム は引用文 にあ る ように, 内的有 機 体 が形 となった もの だ か らで あ る

ヴ ァル ドル フで は,生 徒 はメ タ モ ル フォーゼす る

ここで考 え られて い るメタモル フ ォーゼ の中身 は,既 にみた ように シュタイナーの理念 として示 され てい る発達観 で あ る。生徒 は,下級 学 年 か ら上級学年 にな りメタモル フォー ゼす るた めに,校舎 の フ ォルム 自体 もそれ に応 じて メタモル フォーゼ しな けれ ばな らない。 この よ うな建築観 か ら,東校舎 と西校舎 の フォル ムが造形 されて い る

おわ りに

ヴ ァル ドル フの校舎 の フォル ムが構想 され る ときに前 もって主 に研 究 され る こ とは,第 1にシュタイナーの人 間観 を基礎 に した,生徒 の発達段 階, そ して第

2

に,有機体建築 として校舎 のポーズが どの よ うな作 用 をす るか とい うこ とで あ る

これ らについて,建 築家 とヴ ァル ドル フ学校教 師 の間で,徹 底 した情 報交換 が行 われ る。 これ を基礎 に して,校 舎 フ ォル ム造形 のた めの 創意工夫 が行 われ る

この よ うに して生徒 の発達等 に応 じた校舎 の フォルム とい う建 築理念 が,ヴ ァル ドル フにお いて は実現 されて い る。本稿 で は,ヴ ァ ル ドル フ学校 にお ける人 間形成 の前提 にあ る 「メタモル フォーゼ」 が学校建 築 の フォル ムの重 要 な原理 で ある ことを明 らか に した。

この ような ヴ ァル ドル フの学校建築 は,以下 の点 で ヴ ァル ドル フ以外 の学

校建築 の在 り方 に も重要 な示 唆 を与 える もので あ る。第

1

に,校舎 は, そ こ

(22)

で学 習 す る生徒 と無 関係 に造形 され るべ きで はない とい うこ とで あ る。建 築 設計者及 び建築業者 が,教育 や生徒 につ いての認識 や理解 を持 って仕事 にあ た る こ とが,校舎 を教育 の場 としてふ さわ しい もの にす る前提 で あ る

この 前提 をふ む こ とが,校舎建 築 に必要 で あ る こ とを, ヴ ァル ドル フは問題提起

してい る。

次 に,その生徒 にふ さわ しい校舎 についての理念 として ヴ ァル ドル フで は,

「メタモル フ ォーゼ」が挙 げ られ てい る。 このメタモル フ ォーゼ は,既 にみた よ うに校舎建築 の フォル ム造形 の指針 とな る もので あ る。 この理念 の是非 は さてお き, この よ うなヴ ァル ドル フの建築 の在 り方 は,生徒 に とって どの よ うな フォルム等 が校 舎 としてふ さわ しいのか についての理念 を持 ち, それ を 形 として具体化 す る方法論 を議論 し,確立 す る ことの必要性 を提起 してい る。

この こ とは,上 の点 とも含 めて,学校 関係 者 が校舎建 築 を通 して教育 や生徒 につ いて理解 を深 めた り,共通 理解 を持 つ こ とを も要請 す る もので あ る

3

に, ヴ ァル ドル フ建 築 は,校舎 の フォル ムが教育観 や教育 姿勢 の現 れ で あ る, とい う視 点 を提供 して い る

この視 点 に立 てば,一様 に特徴 のな い, 画一化 された校舎 の フォル ム は,そ こで行 われ る教育 も,一様 に特徴 のない, 画一化 された教 育 が行 われ る とい う こ との現 れ で あ る( 註

lo)

。 ヴ ァル ドル フ学 校建 築 の多 くの実践 例 が示 す よ うに, ここで は, それ ぞれ の学校 が独 自の個 性 あ るフ ォルム を創造 す るよ うに努力 され てい る

校舎 は,教育 姿勢 の具体 的 な現 れで あ る こ とを,我 々 は肝 に銘 じる必要 が あ る。 それ に よって,生徒 の発達段 階や個性, あ るい は地域 の状況 に対応 す る学校 教育 とい う視 点 を得 る こ とが で きるだ ろ う。

く証 〉

1

引用文献

1

2

1

の観 点 は, 「 材料 一機能 的」観 点で あ る。 この観 点 か らは,建 築材料

の選択 において, また建 築 の プロセス において,環境保護 を配慮 す る とい

うヴ ァル ドル フの学校建 築 の側面 が見 えて くる。第

3

の観 点 は,「 心理学 的」

参照

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