学位研 究 第10号 平成11年6月 (論文) [学位授 与機構研究紀要]
アメ リカにおける学外学位課程の動 向
TheDe ve l o pme ntofExt e ma lDe gr e ePr ogr a msi nt heU. S.Hi ghe rEduc a t i on
江原 武一
Ta k e k a z uEHA R A
Re s e a r c hi nAc ade mi cDe gr e e s , No. 1 0( J u n e ,1 9 9 9 ) l t h ea r t i c l e ]
Th eJ o u ma lo fNa t i o n a lI n s t i t u t i o nf o rAc a d e mi cDe g r e e s
アメ リカにおける学外学位課程 の動 向
江原 武一*
1 .学外学位課程の特徴
本稿 の 目的は,アメ リカの高等教育 にお ける学外学位課程 の動 向を明 らかにす ることである。
この研 究テーマ につ いては,す でにい くつ かの邦文の先駆 的な先行研究が ある (金子忠史,
1 993
年 ;舘 昭,1994
年 ;森利枝, 1996
年)。本稿 ではそ うした先行研 究やその他 の関連文献か らえ られ る知見 と現地調査の結果 をふまえて,学外学位課程 の動 向をその特徴や定着 と発展の 背景,普及状況な どを中心に整理 してみたい。サ リバ ンらによれば,学外学位課程
( e x t e ma lde gr e epr ogr a m)
は,大学にフル タイムの学生 として2年間な り4
年間継続 して在籍す る代わ りに,多様 で柔軟 な就学形態 を利用 して学士や修 士な どの学位 を取得す る,主に成人 を対象 に した課程である。 アメ リカで も学生は所属大学の キャンパスにある教室に出席 して学習す るのが原則だが,主にキャンパスの外側,つま り学外 で学んだ成果 にもとづいて学位 を取得す る課程なので, この よ うに呼ばれている( Sul l i va n e t a
l一, 1 997,pp. 5 ‑ 6)
。 日本 でいえば,放送大学や通信制の大学教育,あるいは1993
年 に設置 され た学位授与機構 による 「単位累積加算」制度にもとづいた学位取得な どをさらに発展 させ た, 新 しいタイプの教育機会 を総称す る言葉だ といって よいだろ う。この学外学位課程 には, (1)キャンパ スに在学 して学習す る期 間が短期 間で済むか不要であ る,(2)学習時間や学習場所 の制限が少 な く (週末開講 の授業,学生が 自主的に編成す る 自立 学習,学生の職業 に関連 した学習 な ど),学生の学習では多種多様 な コミュニケーシ ョン技術 が使 われ る (テ レビや ラジオの放送教材 ,郵送 され る ビデオや 印刷教材 ,イ ンターネ ッ トな ど), (3)学生の過去の学習が大学 の単位 に相 当す るか どうかを評価 して認 定す る,(4)専攻 に ついては学生 自身が計画 を立て,大学教員 はそれ を承認す る,(5)大学教員 の役割 は講義 をす ることよ りも学生の学習 を促進 した り指導す ることであるといった特徴がある。
学外学位課程は軍隊や企業な ども開設 しているが,主 として大学が提供す る高等教育機会で あることも大 きな特徴 として指摘 してお こ う。 ただ しその設置形態は非常 に多様で,学外学位 課程 のみ を提供す る独立の機 関があった り,大学内に設置 されている場合 で も, この課程 が学 内の主要な部局を構成 しているところや,学内の独立 した大学構外教育部, あるいは特定の学 科や部門が担 当 しているところな どがある。 しか しいずれ の場合 も, この課程 の管理者の主要
*京都大学大学院教育学研究科 ・教育学部教授
‑5 7‑
な関心は,その大学教育 としての質や水準 と,成人学習者 のニー ズにみあった利用方法や課程 編成 とのバ ランスをどのよ うに して適切なものにす るか とい うことである。
したがって この課程の多 くはもともと,かつて大学に在籍 してなん らかの単位 を取得 した こ とのある成人の大学中退者が学位取得 をめざす課程 として設置 された ものであ り,学外学位 は その質や水準の点では伝統的な学位 と同 じだが,多種多様 な非伝統的な学習手段 によって取得 できる学位 だ と考 え られ ている。 また大部分の課程 は学士取得用だが,修士や博士の学位取得 をめざす課程 も急速 に増 えている。専門分野で近年増加 したのは経営学,教育学,保健医療 関 係,一般教育な どである。
2.学外学位課程の基本的な手段
この よ うな特徴 を もつ学外 学位 課程 を構成 す る基本 的 な道 具 立 て と して,サ リバ ン らは (1)過去の学習の評価,(2)契約学習, (3)能力 にもとづいたカ リキュラム と学位取得,(4)学習 成果,
( 5 )
遠隔教育の5つをとりあげている( Sul l i va n e ta 1
.,1 9 9 7,pp. 6 ‑ 1 2;なおS t e wa r ta ndSpi l l e
,1 988
,訳94‑ 1 06
頁 も参照)0は じめに (1)過去の学習の評価
( a s s e s s me n tofpr i o rl e a ni ng)
についてみ る と,学外学位課程 に入学す る学生は,入学前 にすでになん らかの学習経験がある。それ は他 の大学での授業であ った り,軍隊や企業,労働組合,政府機 関,専門職団体な どが提供す る教育であった り,ある いは労働経験や読書,旅行, 自己学習 といった個人的な学習であった りす る。受 け入れ大学 は 体系的な評価 によって, これ らの過去の学習が大学 レベル での学位取得 に適用できるか どうか を決定す る。そのために学生はそ うした学習経験 を示す成績証明書や修了証明書等の証拠書類 を提 出 し,受 け入れ大学 は所定の手続 きに従って,それ らが中等後教育の水準であるか ど うか を評価す る。評 価 法 と して最 も よ く用 い られ るの は, 大 学 レベ ル 試 験 プ ログ ラ ム (
Col l e ge Le ve l Exa mi na t i onPr o gr a m)
のよ うな標準試験である。 この他 に個別の学科や大学教員が開発 した読 験 も使 われ る。 またアメ リカ教育協議会( ACE)
のよ うな第三者機 関による評価 も行われてい る。 この第三者評価 は,基準認定 を受 けた正式 の中等後教育機 関以外 の組織や機 関,た とえば 軍隊や企業な どが主催 した教育 を利用 した過去の学習を評価す る際に行われ ることが多い。 さ らに評価 を実施す る資格 のある大学教員が,職業資格証明書や免許証 を評価 した り,学生の知 識や技術,能力を実地に評価す る場合 もある。学生が過去 に在籍 した大学の既修単位 も,受 け入れ大学の規定に従 って評価 され る。そ して こ うした手続 きによって大学の単位 として認定 された過去の学習は,受 け入れ大学の正式の単 位 として成績証明書に記載 され ることになる。
( 2)
契約学習( c on t r a c t l e a r ni ng)は教員 と学生が個人的に交わす協約 ( a gr e e me n t )
にもとづ いて行われ る学習である。 この協約文書には通常,①学習内容,②学習方法,③学習の評価法, 評価時期,評価者,④学習教材,⑤学習の修了 日が記載 され る。 なお こ うした契約 は成人学生‑58一
向けの非伝統的な課程だけでな く,伝統的な教室での授業でもよく使 われ るよ うになってきて いる。
大学 によっては
,( 3 )
能力にもとづいたカ リキュラム と学位取得( c o mp e t e n c y ‑ b a s e dc u 汀i c u l a a n dd e g r e e s )
を提供 しているところもある。 この課程 では受講 した科 目の数や取得 した単位数 は とくに考慮 され ない。学生はその代わ りに,その課程 の卒業にふ さわ しい能力があることを 証明 しなけれ ばな らない。学生の能力は特定の知識や技術 について評価 された り,一般的 な能 力や個人的な特徴や特質について評価 され る。評価 は明確 な基準 にもとづいて,実技や実演 を 含 めた さまざまな技法や方式によって行われ,その結果,その課程の修了者 にふ さわ しい能力 があることが証明 されれ ば,学位 を取得できることになる。( 4 )
学習成果( l e a ni n go u t c o me s )
は学生がモジュールや科 目,課程,その他 の学習活動 を修 了す るために習得 しなけれ ばな らない知識や技術,能力 を文章やプ ログラムの形で明示 した も のである。学生はこの学習成果 を参照す ることによって,過去の学習 との重複 をさけた り,学 位取得 のためにこれか ら学ぶべ きことを知 ることができる。たいていの大学では,学習成果 の評価 はモジュールや科 目,課程 の内容 について行 われ るC 学部 (学士課程)教育 レベルの評価で最 もよく使 われ るのは,多項式選択 問題やエ ッセイ とい った筆記試験である。 この他 に成人学生 を対象 に した評価では,学生が共 同 して作成 したプ ロ ジェク トや報告書,実技や実演,制作な どもよく使われ るが,いずれの評価で も,合格のため の基準はあ らか じめ明示 されてお り,担 当教員 によって学生に周知 され る。
( 5 )
遠隔教育( d i s t a n c ee d u c a t i o n )
は学生が系統的に組み立て られた 自習用の学習教材 を提供 す る大学 に在籍 し,大学か ら送 られてきた教材 を利用 して 自宅や職場な どで 自習す る学習方法 である。学生はあるレッスンが修 了す ると,それ を郵便や ファックス, コンピュータな どのメ デ ィアを用いて大学に送 り,その科 目を担 当す る教員か ら訂正や コメン トを受 けた り,採点や 履修指導 を してもらう。そ してその結果 は再び,郵便や ファックス, コン ピュータな どによっ て学生に返 され る。 こ うした直接 の出会いではな くメデ ィアを通 じて,教員 と学生が個人的な コミュニケー シ ョンを行 うのが遠隔教育の大きな特徴 である。この遠隔教育では,大学教員は教室で直接の対面による授業 をす る代わ りに,個々の学生に ついて,その学習 を促進 した り指導す ることを期待 され てい る。 また学生 の事情に応 じて 自習 のための時間 と場所 を決 めることができるので,経済的 にも時間的 にも教室に出かける余裕 が ない成人学生に とって,非常に利用 しやすい学習方法である。
コンピュー タやインターネ ッ ト,イー メイル な どの情報技術が
9 0
年代以降飛躍的に発展 した ため,遠隔教育は学外学位課程 を支 える主要な手段 として,ます ます注 目され るよ うになった。とい うよ りも最近では,学外学位課程の代わ りに,遠隔教育 とか遠隔学習
( d i s t a n c el e a ni n g )
とい う言葉が使われ ることも多い。 これ らの言葉 の厳密 な意味や範 囲は定義の仕方によって当 然異 なるが,いずれ もほぼ同 じ教育機会 をあ らわす言葉 として使 われ てい る。‑59 ‑
3. 学外学位課程の発展 とその背景
アメ リカの高等教育 は第二次大戦後,その規模 を飛躍的に拡大 した。 とくに急激 に伸びて多 くの人び とが大学で学ぶ よ うになったのは
,1 9 6 0
年代か ら7 0
年代前半の期 間である。学外学位 課程 は, この高等教育が急速 に大衆化 した6 0
年代 に大学改革の革新的な試み としてあ らためて 注 目された後,7 0
年代 に入 ると具体的な制度 として高等教育に導入 され,定着 ・発展 していっ た (金子忠史,1 9 9 3
年,4 4 ‑ 4 5
頁 ;舘 昭,1 9 9 4
年,5
頁)。その背景 を簡単 に現在 までた どって み ると,次のよ うにま とめ られ る。まず第 1に,学外学位課程は当初,高等教育機会 を拡大,充実す るための有力な方策 の1つ と して注 目され,その導入 がはか られた。 アメ リカの高等教育の大衆化 は主 として,教育中心の
2
年制大学, とくに公立の コミュニテ ィ ・カ レッジ と,修 士課程 をもつ州立大学 を中心 とした 総合大学に大量の学生 を受 け入れ ることによって達成 されてきた。 しか し学生数 の急増に直面 して,多 くの大学関係者 は新 しい大学教育の方法 を開発す る必要 に迫 られ たO伝統的な大学教 育の方法に頼っているだけでは,つま り高校 を卒業 したばか りの若いフル タイムの学生がキャ ンパ スにある教室に出席 して,大学教員の指導 を直接受 けなが ら学習す る方式だけでは,大挙 して押 し寄せ る多様化 した学生の受け入れ に適切 に対処できなかったか らだ。そのため多 くの大学では,入学者選考 を改善 してそれ まで高等教育の門戸が閉 ざされていた 学生を受 け入れた り,学習方法の強化 と簡易化 をはかった り,卒業後の就職 に役立つカ リキュ ラムを開発 した りした。学生の多様化 に対応 して,特定の学生を受 け入れ て革新的な大学教育 を行 う非伝統的な大学 も数多 く設置 され てい る。学外学位課程 は こ うした革新的な試みの1つ として位置づけ られ る。 もっとも学外の成人向け課程その ものはアメ リカで も,すでに
1 9 3 0 ‑ 4 0
年代 に普及 していた。 この高等教育の影 に隠れ てみ えなかった教育機会 が,学生の急増期 に, 多様 化 した学生 の新 しい受 け皿 と して あ らた めて注 目され るよ うにな ったので あ る (Hall,1 9 91
,pp, 31 ‑ 3 3;Ca r d o z i e r ,1 9 9 3
,p.1)0この課程 を通 じて,それまで さまざまな理 由で伝統的なキャンパスでの大学教育を利用 でき なかった人び とにも,学位 を取得できる道が大 き く開かれた。た とえば軍人 は軍隊勤務 中に さ ま ざまな トレーニングを受 けるが,そ うした学習経験 も大学教育 と同 レベル だ と認 め られれ ば, 大学の単位 として認定 され る。 また職場 を離れ られ ない企業マ ンや子育てに忙 しい専業主婦 は,
この課程 を利用 して職場や家庭で学びなが ら学位 を取得す ることができるよ うになった。
第
2
に,アメ リカの多 くの大学 は大学経営の面で も,学外学位課程 に強 い関心 を示 した。 と くに7 0
年代後半以降一転 して,学生人 口の長期的な減少 に直面す ると, どのタイプの大学 に と って も自分の大学にふ さわ しい学生を確保 し,大学経営 を安定 させ ることが重要な課題 になっ た。そのため2
年制大学 と総合大学 を中心に,数多 くの大学が伝統的な大学観 か らみれ ば大学 教育 に とって必ず しもふ さわ しくない,非伝統的な新 しい学生( n e w s t u d e n t s )
を積極的 に受 け入れたのはよく知 られ ている。新 しい学生 とは,学生の属性 か らいえば女子学生 ・マイ ノ リ テ ィ学生 ・成人学生であ り,その就学形態でいえば短期教育 ・パー トタイム就学 を希望す る学ー60‑
生である。学外学位課程 はこれ らの特徴 をもつ新 しい学生の うち, とくに成人学生マーケ ッ ト の開拓 に役立つ課程 と考 え られ,多 くの大学がその開設 を積極的に押 し進 めてきた。
ところでこ うした背景 に加 えて
,9 0
年代 に入 る と,学外学位課程 を とりま く環境 は大 き く様 変わ りした。 まず第 1に, コン ピュー タやイ ンターネ ッ ト,イー メイル, グラフィック ・イ ン ター フェイスな どの情報技術が飛躍的に発展 し,遠隔教育が手軽で身近な ものになったために, この課程 は学生を獲得す る手段 として,いっそ う大学関係者 に注 目され るよ うになった。新 し い情報技術は通常のキャンパスでの大学教育で も大幅 にとりいれ られ, さま ざまな場面で活用 されている (放送教育開発セ ンター,1 9 9 6
年,3ト3 2
頁)。 しか し情報技術 の発展は,遠隔教育 を主要な手段 に してきた学外学位課程 にとって,その飛躍的な拡大 を促す強力な追い風 となっ た。 た とえば遠隔教育課程 を開設 している大学は,1 9 9 3
年 の9 3
校が3
年後の1 9 9 6
年 には7 6 2
校 ま で急増 している( Bi mba um ,1 9 9 7 ,p
.3)0第2に,高等教育に対す る公的な財政援助 が限 られ てい るため,学外学位課程の拡大 は低 コ ス トで高等教育機会 をいっそ う拡大す る有力な方策だ とみな され るよ うになってきている。学 歴 の高度化は どの国で も,個人 のキャ リア形成 と社会の発展 に とって不可欠 だ と考 え られてい る。経済大国 として今 日の世界経済 を リー ドしてい るアメ リカも例外ではない。 ク リン トン大 統領 は再選
2
期 日の9 7
年初頭 の 「一般教書」で,アメ リカの将来に とって最 も重要な課題 は, すべ てのアメ リカ人が世界最高の教育を受 け られ るよ うにす ることだ と宣言 したが,その背景 には こ うした事情がある。そのために 「一般教書」では,21
世紀 までに大学の前期2
年 間の高 等教育機会 をすべてのアメ リカ人 に開放す るだけでな く,就学に対す る経済的な障害 を除 く措 置 として,奨学金 の増額や授業料税控除な どの施策 を実施す ることが提案 され た0しか しその一方で,高等教育 に配分できる公的資金は限 られているため,低 コス トで実現で きる高等教育機会の拡大が構想 され,州政府 主導の大規模 な学外学位課程 の設置が脚光 を浴び るよ うになった。従来型 の大学の新設 には,施設設備 の整備拡充や大学教員の確保 をは じめ, 膨大な経費がかかるか らだ
( Mi ngl e ,1 9 9 8 ,p p . 7 ‑ 8 )
O アメ リカの1 8
歳人 口の規模 は1 9 7 9
年 に ピ ークの4 3 2
万人に達 した後,9 2
年 の3 3 0
万人まで減少 を続 けたが,その後は微増 に転 じ,2 0 0 0
年 には3 9 4
万人,2 01 0
年 には4 3 6
万人まで回復す る と予測 されている( Ande r s e n e ta 1
.,1 98 9 ,p. 1 3
;Ande r s e n ,1 9 9 8 ,p . 8 )
。 したがって州 によって対応 は違 うが,若年人 口増 に伴 う在籍学生数 の 増加 が見込まれ る州 は,高等教育機会 を効率的 に拡大す る有力な方策 のlつ として,大規模 な 学外学位課程の設置 に大 きな関心 を寄せてい る。 た とえば 「高等教育新 聞」の9 8
年9
月1 1
日号 は,次のよ うな2
つのバーチャル大学の動 きを伝 えている。1つはカ リフォル ニア ・バーチャル 大学が,前ペンシルバ ニア大学副総長のチ ョ ドロー( S. A. Cho do r o w)
を初代 の最高経営責任 者( CEO)に任命 した こと, も う1
つ は長 い間その開校が待 たれていた ウェスター ン ・ガバナ ーズ大学が,い よいよ学生登録 を開始 した ことである。カ リフォルニア ・バーチャル大学は州内にある
98
校 の公私立大学が参加す る大規模 な遠隔教 育事業であ り, ウェスター ン ・ガバナーズ大学 は コロラ ドやユ タな どの西部15州の州知事が支 援す る遠隔教育のみを提供す る大学である。 どち らも現在 は試運転の段階だが,典型的な学外ー61‑
学位課程の特徴 をもってお り, 自前のキャンパスや大学教員 をとくにもたず,学生には他 の大 学で開発 された学習教材 が ビデオやイ ンターネ ッ トによって提供 され る。 カ リキュラムは企業 等の雇用者の要請 を強 く反映 した職業専門教育が主体であ り,学生はそのなかか ら自分の必要 に応 じて学びたい科 目を選択 し,学生の学習成果 は主に能力試験 によって評価 され る ̀l)。
これ に関連 して,米連邦議会が営利的な職業学校
( f or ‑ pr of i tt r a de s c hool s )
を正式 の高等教 育機 関に含 める方向に動いてい ることも指摘 してお こ う (た とえば 「高等教育新聞」98年9月4日号,A47を参照)。 中等教育修 了後進学す る営利 的な職業学校 は現在 ,非営利 的な高等教育 機 関ではな く,非大学中等後教育機 関 として位置づ け られ ている。高等教育法による奨学金や
ロー ンな どの学生の財政援助 も,非営利的な高等教育機 関 とは別扱 いである。
しか しこ うした営利的な職業学校 を正式 に高等教育機 関に含 めるとい うことは,大学教育 を ビジネスに して利益 をあげる行為 を公認す ることを意味す る。 この措置 によ り,た しかに高等 教育機会 は一挙 に拡大 され るが,それ と同時に,大学教育にも今 まで とはちがった形 の競争原 理が もちこまれ,通常の大学 と職業学校 とは学生の獲得 をめ ぐって競合す ることになる。そ し てその際に,学外学位課程 のノウハ ウが コス トを削減 して利益 を生み出すのに大いに役立つ と 考え られているのはい うまでもない。
第3に,学外学位課程‑ の入学 を希望す る成人学生が増 えてきた ことも重要な条件 である。
アメ リカは個人のキャ リアに とっても学歴 が大 き くものをい う国だ といって よい。 日本 では学 歴 主義の弊害が よく問題 になる。 しか しアメ リカでは,学歴 は個人の能力 をあ らわす 1つの指 標 として 日本 よ りも重視 されてお り,実際に学歴 の違 いは失業率や職種,年収 を大き く左右す る
( Snyde re ta 1
.,1 997,p. 420,p. 422;De c ke r ,1 997,ppふ 7)
。多 くの人び とが学外学位課程で よ り高い学位 を取得 しよ うとす るのは,そ うした実益があるか らである。企業で働 きなが ら学ぶ 成人学生のなかには, 自分の学歴 を レベルア ップ して,職場での昇進 をはかった り, よ り有利 な職場‑の移動 をめざす者 も少 な くない。就業中であることや育児 に時間をとられ るな ど,社会生活 の制約 が多い成人に とって, 自分 の都合 にあわせ て学習の時間や場所 を選べ る多様で柔軟な学習機会は大 きな魅力である。高等 教育機会 はその規模 が拡大す るほ ど,就学 しに くい人び とを対象 にす るよ うになるが,大衆化 の進 んだアメ リカの高等教育はそ うした局面 に さしかかっている。 また最近では,高等教育 を 特定の 目的,た とえば職業 と結びつ ける傾 向がますます強ま り,何かのための手段や道具 とみ なす よ うになってきているが,そ うした人び との要求は,学外学位課程 の将来の発展 に とくに 大きな影響 を及ぼす と考 え られ る。
4. 現 況一遠隔教育課程 を中心 に
国立教育統計セ ンター
( NCES)
は1 995
年9
月 に,遠 隔教育課程 の現状 に関す る最初 の全 国 調査 を実施 した( Le wi se ta 1
.,1 997;NCES,1 998)
。 この調査では学外学位課程の代わ りに,逮 隔教育 について調べているが,調査対象が2年制大学 と4
年制大学なので,ほぼ実質的 に大学が‑62‑
提供す る学外学位課程 に関する調査だ と考 えてよいだろ うC また各大学には,遠隔教育 を 「オ ーデ ィオや ビデオ, コンピュー タ ・テ クノロジー によって, (学外の)遠 隔地 に配送 され る教 育課程 または訓練課程」と定義 して,回答 を求 めている ̀2)。 この調査の結果 によれば,アメ リ カの大学が提供 している遠隔教育課程 には,次の よ うな特徴がみ られ る。
大学のタイプ別開設状況
は じめに遠隔教 育課程 の開設状況 をみ る と (表
1 ), 1 9 95
年秋 の時点で,3,46 0
校 の大学 の う ち推計で1, 1 3 0
校,つま り3 3%の大学が遠隔教育課程 を開設 していた。25%の大学は今後3
年間 の間に遠隔教育課程 を開設す ることを計画 していたが,残 りの42%の大学は とくにそ うした計
画はない と回答 している。表1 遠隔教育課程 の開設状況
( 1 9 95
年)( %) 3
年以内に3
年以内に 現在開設 中 開設す る 開設す る計画がある 計画はない 全大学
大学のタイプ 公立2年制大学 私立2年制大学 公立4年制大学 私立4年制大学 大学の所在地域
北東部 南東部 中央部 西 部 在籍学生数
3 , 00 0
人未満3 , 0 0 0‑9 , 9 9 9
1 0, 0 0 0
人以上3 00 2 2 2 3 5 ′LU 1 0 1 0ノ 0 2 3 3 4
25 00 4 3 7 2 1 2 2 7 00 4 3 2 つ 一 2 つム 7 4 4 2 つ▲ l
42 4 4 4 1 1 00 1 ′0 3 1 7 7 5 4 3 3 ′0 5 0 5 1 1
注 :比率の総計等 には丸めのための誤差がある (出所)Le
wi se ta 1
.,1 9 97 ,p. 6.
設置者別 にみ ると,すでに遠隔教育課程 を開設 している大学には,私立校 よ りも公立校 の方 が圧倒的 に多い。公立2年制大学の58% (校数 は5
6 0
校),公立4年制大学 の62% ( 38 0
校)が開 設 しているのに対 して,私立2年制大学で開設 しているのはわずか2%( l o
枚),私立4年制大学で も1
2% ( 1 8 0
校)にす ぎない。大学の所在地域別 では,開設 している大学が20%の北東部 (校数 は
1 8 0
校)や31%の南東部 ( 26 0
校) に比べ ると,39%の中部( 3 60
校)や40%の西部( 330
校)の方が普及 している。 ま た在籍学生数 でみた大学の規模 が大 きくなるほ ど,開設 している大学は多 くなる。在籍学生数 が3,0 0 0
人未満 の小規模大学では,その16%
(校数 は380
校)が遠隔教育課程 を設置 しているが,‑ 63 ‑
中規模大学 (
3, 000‑9, 999
人) は61% ( 460
校),大規模大学( 1 , 0000
人以上) は76% ( 290
校) である。遠隔教育課程 の規模
全米 の大学が1
9 94‑ 95
年度 に開設 していた遠隔教育課程 の推計総数 は25,730
課程で ある。 そ の うち45%は公 立4年制大学,3 9%は公 立2
年制大学,16%は私立4
年制大学 で開設 され ていた (私立2年制大学は該 当校 の数 が少ないので省略)095
年秋 に遠隔教育課程 を開設 していた大学 を,その94‑ 95
年度の開設課程数 で分類す ると, 1‑4
課程24%,5‑ 10課程21%,l I 〜25
課程25%,26課程以上26%に,ほぼ4分 されてい る
( 4%の大学 は9 4‑ 95
年度 に未開設)a Lたがって約 半数の大学の遠隔教育課程 は,10
課程以下の比較的小規模 な課程である。また9
4‑ 95
年度の在籍学生数 で大学 を分類す ると,5 0
人以下23%,51‑200
人24%,201‑8 00
人27%,801
人以上22%なので,学生数か らみて も約半数の大学の遠隔教育課程は200人以下で, 比較的小規模 である。遠隔教育のテ クノロジー
95
年秋 に遠隔教育課程 を開設 していた大学 を対象 に,遠隔教育用の情報技術の使用状況 を聞 いた結果 による と,最 も多 くの大学で使 われ ていたのは,双方 向イ ンタラクテ ィブ ・ビデオ( 5 7%)
と一方向録画 ビデオ( 52%)であるO この2
つ に次いで,双方 向オーデ ィオ と一方 向 ビデオの併用( 24%)
と,双方向オンライ ン ・イ ンタラクシ ョン以外の コン ピュー タ ・テクノ ロジー (た とえばイ ンターネ ッ ト)( 22%)が多い。 この他 に少数 だが,双方向オンライ ン ・
イ ンタラクシ ョン( 1 4%)や双方向オーデ ィオ ( 1
1%),一方向オーデ ィオ( 1 0%)
,一方向ラ イブ ・ビデオ( 9%)
,オーデ ィオ ・グラフィックス( 3%)
な ども利用 され ている。こ うしたテ クノロジーの うち,今後3年 間に導入 した り増や したい とい う回答が多かったの は,双方向オンライン ・イ ンタラクシ ョン
( 71
%)や,双方向オ ンライ ン ・インタラクシ ョン 以外 の コンピュータ ・テ クノロジー (た とえばイ ンターネ ッ ト)( 79%)
,双方向イ ンタラクテ ィブ ・ビデオ( 79%)である。 これ らの双方向で教員 と学生がや りとりできる情報技術 は, メ
デ ィアを通 じて個人的なコミュニケー シ ョンを行 う遠隔教育に とってきわめて有効だ と考 え ら れている。また遠隔教育課程の開設大学 を対象 に,その学外 の配送先 を聞いた結果 に よると,最 も多い のは学生の 自宅
( 49%)であ り,以下,大学の分校 ( 39%)
と他大学のキャンパス( 35%)
が 続 くo さらに24%の大学は初等 ・中等学校 に, 18%の大学は企業等の職場 に も配送 している。
この他 に大学 によっては,図書館
( 1 0%)や , YMCA
の よ うな地域組織( 4%)
な どにも配送 している。教育課程 の特徴
95
年秋 に遠隔教育課程 を開設 していた大学に, どのよ うな学生 を対象 に した課程 を開設 して‑6 4‑
いたかを尋ねた結果 によれ ば,大部分 の大学 は,主に学部学生 と大学院学生 を対象 に してお り,
81 %の大学は学部学生向けの課程 を,また3 4%の大学 は大学院学生向けの課程 を開設 していた。
この2つ に比べ る と,職業専 門教育のための継続教育
( 1 3%)や その他 の継続教育 ( 6%)
, 初 等 ・中等教育( 6%)
,成人 のための基礎教育( 2%)用 の課程 を提供す る大学は少 ない。
学部学生向け課程 の開設 大学 を設置者別 にみ る と,公 立2年制大学
( 97%)
,公 立4年制大学( 75%)
,私立4年制大学( 47%)の順 に少 な くなる。 それ に対 して,大学院学生向け課程 を開
設 している大学 は公立2年制大学 (3%) にはほ とん どな く,公立4年制大学( 6 6%)や私立4
年 制 大学( 6 0%)
に多 い。 ま た職 業専 門教 育 のた めの継続 教 育課 程 の開設 は,私 立4年制 大学( 1 1
%)や公立2年制大学( 5%)
よ りも公立4年制大学( 26%)
に多い。ところで,多 くの大学が学生募集 のター ゲ ッ トと考 えてい るのは,免許証 の更新 をめ ざす専 門職業人
( 3 9%)
と,最新 の技術 の習得や再 訓練 をめ ざす就業者( 49%)である。 とくに6
割 を越 える公立4年制大学は, この2つのタイプの学生 に対す る関心が高い。 その他 に学生募集 の ターゲ ッ トとして注 目され てい るのは,障害者( 1 6%)や 軍関係者 ( 1 2%)
,ネイテ ィブ ・ア メ リカ ン( 7%)
,非英語使用者( 3%)な どである。
在籍学生数 と修 了音数
1 9 9 4‑ 95
年度 に遠 隔教育課程 に在籍 していた学生の推計総数 は75万3, 6 40
人 である (表2)094 年秋 の高等教育在籍学生数 は全体で1 , 42 6
万2, 0 0 0
人 だか ら,その うち53%の学生が遠隔教育課 程 に正式 に在籍 していた と考 え られ る。設置者別 にみて遠隔教育課程 の学生が最 も多いのは公 立2年制大学 で,半数 を越 え る55%の学生 ( 41
万4, 1 60
人) が在籍 していた。 また公 立4年制大 学 は31%の学生 ( 2 3
万4,0 20
人) を,私立4年制大学 は1 4%の学生 ( 10万4,9 6 0
人) を引き受 けて
いたか ら,大多数 の遠隔教育課程 の学生 ( 8 6%)は公立校 で学んでいた ことになる。
表2 遠 隔教育課程 の在籍学生数 と修 了者数
( 1 9 94 ‑ 9 5
年) 在籍学生数 学位 取得者数 修 了証 明書(比率) 取得者数
全大学 大学のタイプ
公立2年制大学 公立4年制大学 私立4年制大学 大学の所在地域
数部部部部生東東央学北南中西籍在
3 , 00 0
人未満3 , 00 0‑9, 9 9 9
1 0, 00 0
人以上75 3, 6 40( 1 0 0) 3
,43 0 41 4, 1 6 0( 55 )
23 4, 0 2 0( 31 ) 1 0 4 , 9 6 0( 1 4 ) 1日..1 日一1..11 nH1Ei ‑ ー nu 0 7 7 7 1 2 2 3 ■ⅦdU iZq nrLU 3 0 0 0 0 ′0 3 3 2 0ノ 2 0 4 ' ■7 ヲ ' 2 0 5 5 7 0 0 7 2 2 2
EiidIUー れu
514
13 5
ロトtィはしp iZq 0 0 0 2 5 7 3 7 5
′02 4 1 3 0 1 2 4
1 7 0 2, 1 8 0 1 , 08 0 9 0 1 , 08 0 5 60 1 , 70 0 1 , 08 0 71 0 1 , 6 40
0 0 0 0 7 5 7 6 9 7 1 1 1 0 0 0 0 1 4 6 6 2 2 4 1
敬の校当諺ま劉大刺午
2
立私注 が少 ないので,大学のタイ プについては
推計値 の算 出 を省略。 ただ し全大学の総計,大学の所在地域別,在籍 学生数別 の推計 では,私立2年制大学のデー タ も含 めて算 出C また総 計等 には丸 めのための誤差が ある。
(出所)Le
wi se ta 1
.,1 9 97 ,p . 2 2 ,p . 2 4.
‑6 5
‑95
年秋 に遠隔教育課程 を開設 していた大学の うち,23%の大学は遠隔教育課程 を履修す るだ けで学位 を,また7%の大学 は遠隔教育課程 を履修す るだけで修 了証 明書 を取得できる道 を開 いていた。そ うした履修方法で取得できる学位数 は690
,修了証明書数 は17 0
にのぼ る。ただ しこのルー トで実際に学位や修了証 明書 を取得 した者 はそれ ほ ど多 くない。 とい うの も,
9 4‑ 95
年度 に遠隔教育課程の履修だけで学位 を取得 した学生の推計総数 は3, 430
人,修 了証明書を取得 した学生 の推 計総数 は1
, 97 0
人 にす ぎないか らだ。 また これ らの数値 を (やや乱暴 だ が),93 1 9 4
年度の準学士以上の学位取得者221
万7,4 00
人,92 ‑ 9 3
年度 の1年未満 の修 了証 明書取 得者7万2,0 0 0
人で除す る と,それぞれ0.1 5%,2. 7 4%である。 したがって遠 隔教育課程 が急速
に拡大 しているのはた しかだが,学位や修 了証 明書の取得者 でみた現在 のシェアはきわめて限 られている。遠隔教育課程の 目標
学生のアクセスの拡大は遠隔教育課程 に とって,非常に重要な 目標 である。 た とえば8
2%の
大学は学生が学びやす い場所 を整備す ることによって,また63%の大学は履修上の時間的制約 を減 らす ことによって,学生のアクセスを拡大す ることが非常に重要だ と考 えてい る。 さらに49%の大学は,教育機会を学生に とって もっ と手頃な ものにす ることが非常に重要 だ と考 えて
いる。この他 に大学の在籍学生や視聴者の数 を増やす の も,非常に重要な 目標 である。 た とえば6
4
%の大学は新 しい視聴者 に対す る自校 のアクセスを増やす ことが,また5
4%の大学 は 自校の在
籍学生数 を増やす ことが,それぞれ非常 に重要だ と考 えている。学生 1人 あた りの経費 を節減 す ることは,遠隔教育 を開設す る重要な理 由 としてよく指摘 され るが, この調査では,非常 に 重要だ と回答 した大学は20%
にす ぎない。 また地域の雇用者 の要求 に応 えることが非常に重要 だ と回答 した大学は38%, さらに教育課程 の質 の改善が非常に重要だ と回答 した大学は46%で ある。遠隔教育課程の障害条件
ところで,政策担 当者 に とって重要なのは, どのよ うな要因が遠隔教育課程 の開設や拡充 を 妨 げているのか,その障害になる条件 を知 ることだろ う。 この調査では,そ うした障害条件 と してあ らか じめ1
6
の要因をあげて各大学の回答 を求 めてい る。その結果 によれば, 「非常に障 害 になる」 とい う回答 が多かったのは教育課程 の開発経費( 43%)
,不十分な技術的基盤整備( 31
%),設備備 品の不足 と維持費( 23%)な どである。
しか しあ らか じめ障害になるのではないか と予想 して回答 を求めた要因のほ とん どは,主要 な障害 とみな され ていなかった。つま り州 の認 可 をえ られ ない こと
( 7 9%)
,連邦政府や州政 府,地方政府 の引き締 め政策 (学生が取得 できる遠隔教育の単位数 の上限や奨学金受給の制 限 な ど)( 58%)
,法的な利害関係 (知的所有権や著作権法な ど)( 5 7%)
,大学管理者 の支援不足( 6 0%)
,大学の使命 との不整合( 58%)
といった条件 については,それぞれ 「まった く障害‑66‑
にな らない」 と回答 した大学が多かったのである。
5.課題 と展望
学外学位課程は9
0
年代 に入 ってか ら急速 に変わ りつつ あるが,その将来 にお ける発展 の方向 を展望す る際には, さま ざまな課題や問題 について検討す る必要がある。最後 に,そのポイ ントをい くつか指摘 してみ よ う。
第 1は,学生が学ぶ高等教育機会 として,学外学位課程 をどのよ うに位 置づ けるか とい う問 題である。学外学位課程の在籍学生数や修 了者数 については, この課程のモニター役 の一翼 を 担 っているアメ リカ教育協議会
( ACE)
もその全貌 を把握 しているわけではない。そのため, 大学が開設 している遠隔教育課程 のみ の数値 だが, 1994 ‑ 95
年度 の在籍学生の推定総数 は75万 人で,94年秋 の高等教育在籍学生数1 , 426
万人 の うち5.3%の学生が遠 隔教育課程 に正式 に在籍 していた と考 えられ る。 この他 に軍隊や企業な ども学外学位課程 を開設 しているので,それ を 加 えれ ば実際の学生規模 は さらに大きくなるが,いずれ に しても高等教育在籍学生数全体 に占 める比率はそれほ ど大 きくない。在籍学生数の規模 でみれ ば,非大学中等後教育機 関の専門学 校 とほぼ同規模 とみてよいだろ う。学生の特徴か らみ ると,学外学位課程 は非伝統的な新 しい学生, とくに成人でパー トタイム 就学 を希望す る学生に とってアクセス しやすい高等教育機会である。高等教育はその規模 が拡 大 して大衆化す るほ ど,就学 しに くい人び とを対象 にす るよ うになるが,社会生活 の制約 が多 い成人 に とって, 自分の都合 にあわせて学習の時間や場所 を選べ る学外学位課程は利用 しやす い学習機会だ といってよい。 ただ し学生の社会経済的背景の点では,必ず しも低所得層 出身者 やマイ ノ リテ ィが多いわけではない。
また遠隔教育課程 を履修す るだけで学位や修 了証明書 を取得できる道が開かれているけれ ど も,実際の取得者数 は94‑
95
年度で も,準学士以上の学位3,430
人,修 了証明書1 , 970
人だか ら, 決 して多 くはない。その主な原 因の1つ は従来の通信制の大学教育 と同 じよ うに,学習意欲や 経費,学習時間の確保 な どの都合 で学業の継続 を断念す る中途退学者 が多い ことだが,資格の 取得 をめざしていない学生が少 な くない ことも反映 しているO したがって学外学位課程 は,坐 涯学習 にふ さわ しい高等教育機会 としての性格 も備 えているO こうした特徴やその他 の条件 も ふまえて,学外学課程の高等教育機会 にお ける位置 と役割 を明確 にす ることは,今後の発展の 方向の展望に とってきわめて重要な作業である。第2は,学外学位課程での学習方法の問題 である。 これ は伝統的な大学教育の方法,つま り 高校 を卒業 したばか りの若 いフル タイムの学生がキャンパスにある教室に出席 して,大学教員 の指導や助言 を直接受 けなが ら学習す る方法 との関係 で議論 され ることが多い。それ に関連 し て,学生同士の接触が乏 しいこともよ く問題 に され る。 もちろん人生経験 の豊かな成人学生に とって,そ うした人間関係 の経験 はあま り意味がない とい う立場か らの発言 も当然考 え られ るO また学外学位課程 によって しか学ぶ機会のない人び とに とっては, この課程で学ぶ ことは非常
‑67‑
に価値のあることであ り, ある種の知識 の習得や実務的な訓練は十分行 うことができる。た と えば知 っているか どうか とか,できるか どうかな どといった外部の基準によって簡単に判定で きる事実に関す る知識や標 準化 された技能 な どを学ぶ ことは,それ ほ ど難 しい ことではないか もしれない。
しか し批判的な学習者 になるために時間をかけて考え抜いた り,特定の問題 について十分な 情報 にもとづいて 自分で判 断できるよ うになるためには,あるいは 自分の人生のあ り方 とか, 他の人び ととともに働 くことの意味な どについて議論 を とお して考 えた りす るには,学外学位 課程での学習だけでは必ず しも十分ではないだろ う。つま り伝統的な大学教育では教員 と学生, 教員同士,学生同士が直接 に対面す る相互作用が非常に重視 されて きたが,学外学位課程 には, そ うした機会がほ とん ど用意 されていないのである
( Bi mba um,1 997,p. 7)
。その意味では,双 方向のコミュニケー シ ョンを可能 にす る情報技術の進歩が大いに期待 されているが,それで も 実際 には,そ うした情報技術の支援だけで直接 の人間関係 か らえられ る学習や相互交流のメ リッ トを完全に代替す ることはできないだろ う。
第
3
は,学外学位課程で学んだ ことの効用の問題 である3)。学生 自身の満足度 についてみ る と (全米規模 の意識調査 にもとづいてい るわけではないが),彼 らは多 くの場合,学ぶ ことを と お してよい経験がえ られた とプラスに判断 している。彼 らに とって学外学位課程で学ぶ ことは 快適であ り, 自分の興味や 関心にあった コースや,職業 に直接関係 した役 に立つ コースを比較 的 自由に とることができる。 またその機会 は限 られているけれ ども,大学教員や他 の学生 との 相互作用 をもっ こともできないわけではない。通学 しないで 自宅や職場で学べ るの も大 きなメリッ トである。 さらに首尾 よく学位や修 了証明書 を取得すれ ば,収入や昇進 の機会が増 えた り, 他のよ り優位 な職種や地位 に就 く機会が増 える と考 えているので,全体 としてみれ ば学生は満 足 しているとみてよいだろ う。
また学外学位課程 で取得 した学位や修 了証明書の扱いがよく問題 になるが,資格 としては と くに著 しく不利 な扱 いを受 けているわけではない。 た とえば大学院‑の進学で学士の取得が資 格要件 になる際にも,ハーバー ド大学やイ ェ‑ル大学な どのよ うな威信 の高い大学は ともか く, 他の多 くの大学では通常の学士 と同等 に受 け入れ られ ることが多い。 ただ し実際の社会生活 で
の効用についてみ ると,学外学位課程で取得 した資格 は学生 自身が期待す るほ ど昇進 に有利 で もな く,収入 もそれ ほ ど増 えないのが実情である。常識的にみて も,社会 の人び とが学外学位 課程で取得 した資格 を大学が授与す る通常の資格 とまった く同等に扱 っているとは思われない。
第4は,学外学位課程で行 われ ている教育の質 の問題 である。す でに述べた よ うに, この課 程の管理者 はその大学教育 としての質や水準 と成人学習者 のニーズにみあった利用方法や課程 編成 とのバ ランスについて,常に神経 を とが らせ ている。それだけでな く, この課程は大学の 他 に軍隊や企業な どによっても開設 され ているが,学外学位 は基本的に質や水準の点では伝統 的な学位 と同 じだ と考 え られているので, この間題 に どのよ うに対処す るかは高等教育全体 に とって も重要な検討課題 である。
た とえば高等教育基準認 定協議会
( CHEA)
は情報技術 を用 いた遠隔教育課程 を対象 に して,168‑
その教育の質 を保証す るための方策 について予備 的な調査 を実施 している
( Phi ppse ta 1
.,1 998
,pp. 1 7‑ 24)
。 その結果 によれ ば,遠隔教育課程で も従来の大学や課程 と同様 に,次の4つの側面につ いて評価 (レビュー)す る方策 を採 用 してい るところが多い。 (1)大学教員 の資格,新任 教員の採用,教員研修,
( 2)
学生の学習時間 (週 あた りの最小学習時間や宿題 量,学生 と教員 や学生同士の相互作用の頻度 な ど), (3)学生向けの支援サー ビス と情報提供,( 4 )
課程 の 目標と学習成果。
この うち従来の大学や課程 と比べて とくに重視 されているのは,大学教員の資格 と学生向け の支援サー ビスに関す る評価である。 また大学教員 による同僚評価 よ りも,大学管理者主導で 外部 のコンサル タン トや評価の専門家 に依頼 して評価す る傾 向が顕著 にみ られ る。 さらに①教 授 ・学習課程の評価 を最 も重視 している,②顧客 としての学生の要求 を重視 している,③ カ リ キュラムの内容や編成 に対する大学教員 の関与が少ない,④学習の過程 よ りも学習成果 の評価 を重視す る,⑤教授 ・学習過程 に直接 関連 しない業務 は外部の組織 と契約 して委託す る, とい った違い も指摘 されている。
第5に,大学教育 にお ける情報技術 の利用 に関連 した問題 につ いて も, ごく簡単に触れ てお こ う。すでに述べたよ うに,情報技術 を大幅 に とりいれ た新 しいタイプの大学教育の導入 は, 低 コス トで高等教育機会 を拡大す る有力な方策だ とみな され るよ うになってきている。州政府 主導の大規模 な学外学位課程設置‑の動 きは,その一例 だ といってよいだろ う。政治家や教育 行政 関係者 だけでな く,多 くの一般 の人び とも,従来型 の大学の新設 には膨大な経費がかかる ので, こ うした状況 を望ま しい と考 えている。 とい うの も高等教育の整備拡充はた しかに重要 な政策課題だが,連邦政府や州政府の政策のなかでは公共交通網 の整備や福利厚生の充実な ど と競合関係 にあ り,教育の分野でもその優先順位 は就学前教育や初等教育 よ りも低い位置 にあ るため,限 られた公的資金 を効率的に活用す る方策が求 め られてい るか らである。
新 しい発想 は積極的に導入 して, とりあえず試 してみ る価値がある。その結果役 に立たない ことが分かれ ば,その時 に廃止すればよいか らだ。少 な くともアメ リカの大学改革はこれ まで, そ うした考 え方で進 め られ てきたよ うに思われ る。 しか しアメ リカで も今 の ところ,新たに開 発 された情報技術 の導入 によって質の高い教育 を低 コス トで提供できるとい うのは,あくまで も希望的な仮説であ り, これか ら研究 を とお して検証すべ き課題 である。 また遠隔教育課程の 開設や拡充の障害になる条件 として,教育課程の開発経費や不十分 な技術的基盤整備 な どが指 摘 されているが,情報技術 の導入が実際 に今後 どの よ うな付加的な コス トを伴 うのかもよく分 かっていない。
大学教員の 目か らみ る と, こ うした情報技術 をベースに した大学教育の導入 は従来の大学教 員の役割 を大 き く変え,その地位 を不安定な ものにす ると予想 され るか ら,必ず しも積極的 に 対処 しない恐れ がある
( Le vi ne
,1 997
,pp.1 4‑ 1 5)
。 さらに どのよ うな革新的な試みの導入 につ いてもいえることだが, とくに膨大な コス トがかか る情報技術の導入では,財源や人的資源の 豊かな大学ほ ど,そのメ リッ トを効果的 に活用す ることも予想 され る。そ うした観点か ら大学 教育の将来 をイ メージす ると,情報技術環境が整備 され, しか も伝統的な大学教育 によ り人間‑69‑
的な コンタク トも豊かな少数 の大学が ある一方 で,人間的な コンタク トの乏 しい大学教育 を不 十分 な情報技術環境 で補 う形式的な学習機会 しか学生に提供 できない大学が数多 くでて くるよ
うに思われ る。
注
(1)カ リフォル ニア ・バーチ ャル大学の概要 につ いては,h
t t p: / / www. c a l i f bmi a . e d u ( 1 998
年1 0
月8
日) を, ま た ウェ ス ター ン ・ガ バ ナ ー ズ 大 学 の概 要 につ い て は ,ht t p: / / www. wg u. e du
( 1 9 98
年1
0月8日)お よびPhi p p se ta 1
.,1 9 98 ,pp1 2 ‑ 1
3,p. 21
を参照。( 2)
調査対象 は総計1 , 2 7 4
校 の2年制お よび4年制 の高等教育機 関で,各大学では,その大学の遠 隔教育 の現状 について最 もよ く知 ってい る人 に回答 を依頼 してい る。 この郵送法 による調 査 の有効 回収率 は94
.4
%, また集 計 の際 には,回答 のかた よ りを さけるために ウエイ トづ けを して,全米 レベル の推 計値 を算 出 してい る( 1 995
年9月時点 の高等教育機 関の総数 は 約3, 4 60
校)。 なお この調査 では (い くつか例外 はあるが),調査用 に設定 した遠隔教育の定 義 に従 って,その大学 のキャンパ ス内でのみ実施 され ている遠 隔教育課程や ,従来型 の郵 便 のみ の通信教育課程 ,教員 が遠 隔地 に出か けて個人教授 を行 う遠 隔教育課程 は,調査 の 対象 か ら除外 され てい る( Le wi se ta 1
.,1 9 97,p p. 48 ‑ 5 0,p. B‑ 3)
。(3)アメ リカ教育協議会
( ACE)
・成人学習教育資格セ ンター のEuge n e Su1 1 i va n
博 士( 1 9 98
年9 月8日)お よびメ リー ラン ド大学 ・大学院研 究開発部のTimo t h y ∫ .Ng
教授 (同年9月9日) と のイ ンタ ビュー による。引 用 文 献
<英文 >
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An d e r s e n , C. J . Fa c tBo o ko nH7 ‑ ghe rEdu c at i o n.1 9 9 7Edi t i o n.Ph oe ni x:Th eOr yxPr e s s ,1 9 98.
Bi mb a u m,R." Cu r r e n tI n no va t i onsi nU. S.Hi ghe rEd uc a t i o n:Te c h no l o g ya n dt h eVi r t ua lUni ve r s i
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Ca r do z i e r ,V. R.
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De c k e r ,P. T. Fi n di n gsf r o m Edu c at i o nan dt heEc o no my:AnI n di c at o r sRe po r t .( NCES9 7‑ 939 )・
Wa s hi n g t o n,D.
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‑70‑
Mi n gl e ,J .
R.1 ' Th eGr owt h ofTe c h nol o g y‑ Ba s e dEdu c a t i o n a lDe l i ve r ya ndi t sl mpl i c a t i o n s f orDa t a Sys t e msa ndPol i c yAna l ys t s . ' 'I nPa n e lCo n t r i b u t o r sf わrt h eCo u nc i lo ft heNa t i o na lPos t s e c o nda I y Edu c a t i o n Coo p e r a t i ve Su bc o mm it t e e o n t he Pol i c y Pa n e lo n Te c hn ol o g y.Te c hnol o g y an d i t s Ra ml j i c at i o n sj T o rDat aS ys t e ms :Re po r to ft hePol i c yPa ne lo nTe c h nol o g y.Wa s hi ng t o n,D.
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,1 98 8(
喜多村和之 ・加滞恒雄 ・坂本真理子 ・石塚公康訳 『学歴産業‑学位 の信用 を いかに守 るか』玉川大学 出版部,19 90
年)Sul l i va n,E. ,St e wa
rt,D. W・ ,a ndSpi l l e ,H. A. Ext e r n alDe gr e e si nt heI n j T o r ma t i o nAge :Le gi t i mat e Cho i c e s .Phoe ni x. ITh eOr yxPr e s s ,1 99 7.
<邦文 >
金子忠史 「オ フ ・キャンパスの高等教育の発展一 経験学習 と単位認 定」現代ア メ リカ教育研 究 会編 『生涯学習 をめざすアメ リカの挑戦』教育開発研究所,1
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No. 1 4 40,1 9 96
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99 6
年 ,133 ‑ 1 5 6
頁。‑ 7 1 ‑
〔 ABSTRACT]
TheDe ve l o pme ntofExt e ma lDe gr e ePr og r a msi nt heU・ S・Hi g he rEd uc a t i o n
Ta ke ka z uEha r a*
Thi sp a p e rt a k e si s s uewi t ht hed e ve l o p me n to fs o ‑ c a l l e d‑ e x t e ma lde gr e epr og r a ms ‑i nt h eU. S.
hi g h e re du c a t i o ns i n c el a t et h e 1 9 7 0sf o c us l n gO ndi s t a n c ee d u c a t i on.I nt h et e n t a t i vede f i ni t i o n , ' e x t e ma ld e gr e ep r o g r a m‑i sac ol l e gi a t ed e gr e ep r o gr a m ma d emo r ea c c e s s i bl et oa d ul t sb yme a nso f ne xi bl es c h e d ul i n g c l a s s e sa nd c r e a t i vea p pr o a c he st ot het e a c hi n g a nd l e a ml n g P r o c e s s .Ba s i c i ns t r u me n t so fe x t e ma lde g r e ep r o g r a msi nc l u dea s s e s s me n tofp r l Orl e a ml n g,C O n t r a C tl e a ml n g , c o mp e t e nc y‑ b a s e dc u 汀i c ul aa ndd e gr e e s ,1 e a ml n gO 山c o me s ,a n ddi s t a nc ee d u c a t i o n.Amo ngt he m di s t a nc e e du c a t i o n
,whi c h me a n s t he a c q ui s i t i o n o f kn owl e d g e a n d s ki l l s t h r ou gh me di a t e d i
nf o r ma t i ona n di n s t r u c t i o n,e nc o mpa s s i n ga l lt e c hno l o gl e Sa ndo t h e rf or msofl e a ml n ga tadi s t a nc e , i sb e c o ml n gmo r ea n dmo r ec o mmo no ve rt hep a s tde c a d e .
I nf a l l1 9 95 ,3 3p e r c e n to fU. S.hi g he re du c a t i o ni ns t i t u t i o nsof fe r e ddi s t a nc ee d uc a t i o nc ou r s e s .I n a c a d e mi cye a r1 9 9 4 1 95 ,25 , 7 3 0di s t a nc ee du c a t i o nc ou r s e swe r eo f f e r e da nd758 , 6 4 0S t ud e n t sf o r ma l l y e n r ol l e di nt ho s ec o u r s e s .81pe r c e n tofi ns t i t u t i o nsr e por t e do f fe r i n gc ou r s e sd e s i gn e dp r i ma r il yf わ r u n de r g r a du a t es t u d e n t s ,a n d3 4p e r c e n tf わrgr a d ua t es t ude n t s .
Ma j orf a c t o r swhi c hke e pi ns t i t u t i onsf T r o m s t a r t i n go re x pa ndi ngdi s t a nc ee d uc a t i o nc ou r s e sa r e p r o gr a m d e ve l o p me n tc o s t s ,l i mi t e dt e c h no l o gi c a li nf r a s t r u c t u r e ,a nde qul Pme n tf a i l u r e sa n dc o s t so f ma i n t a ini n ge q ui pme n t .Pr o gr a m a d mi ni s t r a t or sa r ea l s os e r i ou s l yc o nc e me da b ou tba l a n c i ngq u a l i t y a n ds t a nd a r dswi t ha c c e s sa n dpr o g r a m de s i gnt ome e ta dul tl e a me r s ‑ne e ds .
* Pr o f e s s o r ,Gr a d ua t eSc hoo lofEdu c a t i o n,Kyo t oUni ve r s i t y
1 72 ‑