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(1)

子供服デザインへの試論 第二報

一一

衣服の色の好みと性差を表す色の認識に関する時系列調査

一一

鈴 木 直 恵*

An Approach to Children's Costume Design CPartIT)

一一A

Time Series Survey of Color in Children's Clothing lncluding

a Comparison of Color Preference between Boys' and Girls' clothing一一一

Naoe Suzuki

子供の年令に応じて彼等を取りまく社会環境が変化し, 内的にも成長が見られ, その時々に 応じて彼等が求める衣服にも変化が予想される。

1988年, 4歳児を対象とする衣服の好みの色と, 色の性差区分に関する調査を発表した。 今回も 同一 対象者に同じ調査を試みた訳であるが, それは, 彼等を取りまく環境を一定に保ち, 彼等の内的成長の 把握に焦点をおいたからである。

5歳児は4歳児段階より格段と言語表現が高まっており, 自意識も強まっていた。 彼等は自分に引き つけて衣服の色を判断し始めており, 特に女児については, それが著しく見られた。f似合うJ rかわい し、J rかっこし、L、」などの表現は, その表れであろう。 ところが色の性差区分については, 以前の調主主 と大差がなかったことは注目される。 このことから, 自意識の強まりにもかかわらず, 色の性差区分 が, 4歳児段階で強く定着している事がわかった。

I 緒 Eコ

本報は, 筆者の『子供服デザインへの試論第 一報Jl)における被調査者を次年 度に同一指査 内容で追跡調査を行ったものである。

4歳児は, 一般に想像的な心性を活発に働か せ, 自己表現の欲求を強めているが, その一方 では他人の感情まで細やかに読み取って対応す る年令ではないと言われている2)。 それに対し て5歳児は, 自己抑制のカが増大し, 周囲への より広い関心を示すようになり, そこに新しい 発見を見い出すことに強い興味を示し始めてい る3)。 こうして彼等は, 周聞を取りまく社会的 状況との関連性で, 自分の好みを決定してゆく

本本学講師 服装デザイン

ようになると言わ れている4)。 また, 言語行動 機能の発達においても, 動機づけを意味する

「なぜJ I�だから」の発話が多くなる年令に達 する5)。

そこで, 彼等の言語表現による理由づけから 彼等の色の好みや性差を表す色の分類がどのよ うな過程から生み出されたものなのか明確化す る事も可能と考えた。

本報は 5歳児の衣服の色の好みや色の性差 区分を明らかにし, 更に 4歳児から5歳児に 到る内的成長と彼等の服装観の変化との関連を も明らかにすることを目的としている。

E

調査方法及び調査項目

1. 調査時期

1989 年8 月1 日�13日

) -(

(2)

文化女子大学研究紀要 第22集

ど, 多様な色への好みの変化がみられる。

男女聞の有意差についてみてみると, 4歳児 においては, 12 色のうち 有意差が認められたの は, 背, ピンクの2 色のみであった。 しかし5 歳児にお いては関l に 示 すよ うに, 赤 (p<

0.05) , 黄 (P< O.05), 青 (P< O.05), ピンク (P< O. 05), 赤紫(P< O.05), 黒(P<0.05)

の 6 色に有意差が認められた。 このことは, 彼 等が, より多くの色を 「性j によって区別する 傾向が強まっていることを示している。 男児が 好む寒色系の色や黒は, I男らしさj を意味し,

女見が好む暖色系の色は 「女らしさJ を意味す るのであろう。 このように 4歳児に比較する 5歳児は, 好みの色が多様に分化し, より 多くの色を性差で区分し始めている。 このこと は, 以下に述べる彼等の内的な成長とも関連す 2. 調査対象者

第一報の被調査者と向一幼児, 男児5 1名, 女 児42 名である。 ただ し被調査者の転居等で調査 人数が減少している。

3.

調査項目, 調査方法

第一報の調査と同一調査項目で実施した。 方 法は面接調査とし, その後単純集計, クロス集 計, 及びX2 fl直を求めた。

E

好みの衣服の色に関する調査結果の 時系列的変化・性差についての考察

1. 好きな洋服の色の変化と性差

函1 に示すように 5歳児の男児は 4歳児の 時より赤が27. 4%から3 1.0%へ, 青が15.0%か ら2 3 .0%へと好みの増加がみられる。 また, 赤 紫が5.5%から0.0%へ, ピンクが1. 4%から0 .0

%へと好みの減少がみられる。 そ れに対して,

5歳児の女児は, ピンクを42 .0%から3 4.0%へ とやや減少しているが, 高い率で好んでいる。

た だ し, 一極集中の傾向 は多少弱まり, 黄で 6.0%から26.0% , 赤紫が4 .0%から12 .0% な

ると考えられる。

2. 好みの理由と性差

4歳児での調査では, I何故その色の洋服が 好きなの」という閉し、かけに対して, ほとんど 答えが返ってこなかった。 まれに, 女児におい て 「かわL 、し、から」とし、う答が返ってきたが,

100%

ピンク1. 4

4歳男児

赤川

4歳女児

20.0 18.0 16.0 1.14.014.01 ,,門凶

5歳男見

31.0' ,, , , , ,, ,, ,F ,,

5歳女児

26.0'

青m , , --- --ー -- --- --- --- --

ピンク* 34.0

"P<Ü.01 2.0

P<Ü.05

図1 好きな洋服の色

( 2 )

(3)

それも全体のうち 1 %にも満たない 解答率であ った。 5歳児に成長した彼等は, 好みの理由に ついて, だ い ぶ流暢に説明するようになった 。

その理由 を次に示す 。 男児

。赤の洋 服 を好む理由: かっこし、し、 から(26

%), きれいだから(9 %), 赤い色が好きだ から(9 %), 無回答(56%)

。青の洋服 を好む理由 ・ かっこし、 L 、 から(2 5

%), よく着るから は %), きれい(9 %),

無凹答(58%) 女児

。 ピンクの洋服 を好む理由 ・ きれいな色( 1 4

%), \,、し、 色だから( 7 %), 小さい 頃 から好 ( 7 %), きれいで女の子に似合う( 7 %),

かわし、L 、 (22%), 無回答( 43%)

。黄色い洋服 を好む理由:きれい( 36%), ピ ヵ ピカにひかっている(9 %) , かわし、し、(9

%), ミカンの色だから(9 %), クレヨンと 同じだから(9 %), 無回答(28%)

以上のように 「何故この色の洋服が好きなの かj という理由づ け を彼等なりにあげている

が, 全体としてその理由づけは, 1" かっこいい」

「かわし、しづ 「きれし、 J の 3 つの婆素に集約でき る 。 また, 1" かっこし、L 、 」は男児のみの理由づ けに 使用され, 1" かわし、し、 」は女児のみの理由 づけとして 使用されている 。 従って, この2 つ の用語は, あきらかに性差 を表わす表現として

使用されている事がわかる 。

3.

嫌いな洋服の色の変化と性差

嫌いな洋服の色は, 図2 に示すように, 男児 は, 白(28 .0%) ピンク(22 .0%) 黒( 16.0%) を嫌い 4歳児当 時より白を嫌う率の増加がみ られ, 黒だけを嫌う傾向がうすれた 。 また, 赤 は9 .2%から0.0%へと減少している 。 女児は,

黒(3 4.0%) 白(20.0%) と, この2 色を集中 して嫌う傾向にあり, 白は8 .0%から20.0%へ と嫌う率の大幅増加がみられた 。 5歳児全体で みると, 黒(28.0%) は 4歳児同様に一番嫌 L 、 な色になっている 。

X2値を求めると, ピンク(P<0 .05) 及び 黒(P<0.05) に有意差が認められた 。 4歳児 当時は, 黒は男児女児共に非常に嫌われ, 有意、

差も認められなかった 。 今回の調査では, 全体

様1.3

100%

4歳男児

黒川

4歳女児

I 8.0 I 12.0 IJ 12.0 I! 12.0 16.0 14.01.1

比L

5歳男児

5歳女児

、一-r'nu­守ji-­同ZOR= ''山 内dF …,i ; '; '; 、/一車用M一J Jj 司ハwu-J En‘u問、\同nu­ ': : : 一nu一向r町一w-

34.0 囚

ピンク

22.0'

43.0合 20.0

合P<Ü.05

図2 嫌いな洋服の色

( 3

(4)

文化女子大学研究紀要 第22集 的には黒が一番嫌わ れているのであるが, 女児

が嫌う割合がさらに深まり, 有意、差が認められ 7こ。

4. 嫌う理由と性差

「何故この色の洋服が嫌いなの」とし、う質問 に対して 5歳児は, 具体的にその理由を説明 している。

男児

。 祭の洋服を嫌う理出:つまらない( 1 2%),

かっこ悪い( 13%), 暗くていやだ( 38%),

パパがし、やだと言うから ( 1 2%), 無回 答 ( 25%)

。 自の洋服を嫌う理由 - おもしろくない( 7

%), 色がないのでつまらない(57%), 無回 答( 36%)

。 ピンクの洋服を嫌う理由:女の子の色だから ( 2 3%) , 女だから( 15%), 無回答(6 2%)

女児

。 黒の洋服を嫌う理由:きたない( 6 %), 変 だから( 6 %), お葬式みたい( 6 %), 女の 子に似合わない( 6 %), 暗くていや( 13%),

黒だから( 38%), 無回答( 25%)

。 自の洋服を嫌う理由 . 似合わない( 13%),

お母さんが嫌い( 13%), 色がないからつま らない( 37%), おもしろくない( 13%), 無 回答( 24%)

以上のような理由をあげているが, その他の 色に関しても, 嫌う理由を次のように説明して いる。

男児

。 緑( はではで) 。 赤紫( 女の子みたい, かっ こわるし、)

女児

。 燈( うすし、から) 。 青( 赤ちゃんの噴よく着 ていたから) 。 緑( 色が男の子っぽL 、) 。 赤 ( はでだから) 。 紫 ( 暗い, いつも着ていな

このように5歳児は, r何故好きなのか」と いう問L、かけよりも, r何故嫌いなのか」とい う間L、かけに関して, はっきりした答えを出し ている。

( 4 )

嫌いな理由の中で特に自立つのは, 次のよう なものであった。 男児の中では, r ピンクエ女 の子の色z嫌いな色」とし、う等式が成り立って おり, また女児でも, r黒=女の子に似合わな いコヱ嫌いな色」とし、う等式が成り立っており,

そのため, 黒は男の子の色として椀曲に敬遠さ れているのである。 このことから, 5歳児は,

色の区分において, 性差を強く意識し始めてい る事が, 明らかになった。

5. 着装イメージと性差

「好きな洋服の色j, r嫌いな洋服の色」とい う相対する 2 つの質問に対して, 女児は, r似 合うから好きj, r似合わないから嫌L 、」という 発言をしている。 単に, rこの色は好きだからJ というのではなく, 衣服を装う事を想定して,

f好き」と答えている訳である。 つまり, 色 自 体を 「好きj, r嫌し、j と判断するのではなく,

「似合うj, r似合わない」とし、う着装イメージ を前提条件とし始めている。 この事は, 4歳児 の女児には見られなかった5歳女児の大きな特 徴である。 また, 男児も, r女の子の色だから 嫌いj, rかっこし、L、から好き」とし、う発言が示 すように, 集団活動の中で性差による役割の違 いが強く影響を及ぼし始めている。

一般に5歳児は, 自己像を確立する時期にさ しかかっているといわれている。 この事は, 本 研究の結果ともよく一致しており, 衣服の色の 選択の過程の中にも表れている。 逆にこれを見 れば, 衣服の判断や選択が彼等の 自己像の確立 に大きな役割を果しているのかもしれない。

N

性差を表す企についての結果と考察

1. 時系列的変化

性差を表す色のとらえ方について時系列的に みてみると, 図 3 に示すように4歳児と5歳児 では, そのとらえ方に大きな変化がなかった。

このことをどう考えるべきであろうか。 一般的 に, 性別役割習得プロセスの中で現れる性差 は, 生物学的な違いというよりも, 社会的 ・ 文 化的作用が, 大きな役割を果たしていると

(5)

第二報

100%

先引1+1士

男児

女児

男児

女児

男児

女児

男児 4歳

4歳

ヰ歳 4歳

5歳

5歳

5歳

5歳 女児

**p<0.01 下<0目05

男の子らしい色 女の子らしい色

医図

性差を表す色

等においては必ずしも一致していなし、。 たとえ ば男児が一番好んだ 赤は, 両性具有の色として 理解されており, 嫌いな色としてあげた黒は,

男の子らしい色と把握されている。 つまり, 彼 等は, 自分の好き嫌いの感覚を離れて, 男児­

女児としての性別行動様式として色の区分をな しとげているのである。

次に注目すべきことは, 色の性差区分につい ては時系列的にほとんど変化が見られなかった

( 5 )

殴3

れている6)。 また, 4 , 5歳になると 自己の性 別の認識が現れ始め, 性別行動様式について習 得するようになるとも言われている7)。

この事は, 本研究の色の性差区分に関する結 果とよく一致する。 この区分には, 個々の幼児 の好き嫌いの感覚が作用するというよりは,

「性差についての社会的な区分」の影響が強く 作用していると考えられる。 つまり, I好きな 洋服の色」と 「 自分が属する性の色J とが, 彼

(6)

( 9 )

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(7)

ートよりも, rひらひらしてj, r明るくj, r夢」

があり, そして 「彼等の年令にそうj と考えて し、るようだ 。

衣服の色の貯みと色の性差区分との 関連性についての時系列的考察

4歳児と5歳児とでは, 衣服の色の好みと彼 等がとらえる性差との開に, どのような類似点 や相違点があるのであろうか。

赤を女の子らしい色とするのが 4歳女児の 場合16.3% , 5歳女児の場合19. 1% と2.8%増 加している。 にもかかわらず, r好きな洋服の 色」として赤を選択するのは, 20. 0%から7. 0

%へと激減傾向を示している。

このことから 5歳児としての 「 自意識j の 成長が作用していると考えられる。 つまり, 赤 は女の子らしい色としては認めるが, 自分が着 る衣服としての赤は, もはや選ぶところではな い, という訳である。 こうして, 黄色や赤紫の 衣服へと5歳女児は好みを移行させている。

ところが, 黄色について見ると, 全く反対の 現象があらわれている。 4歳女児と5歳女児と では, r女の子らしい色」として見る比率が,

1 4. 5%から12.7%へと微減しているのにもかか わらず, r好きな洋服の色」として, 6.0%から 12.7%へと顕著な増加を見せている。 ここに も, r黄色い服を着てみたいj, r黄色い服はか わいしづという 自意識が反映していないだろう カミ。

男児については, 以上のような傾向はほとん ど見られない。 すなわち 4歳と5歳とでは,

f男の子らしい色」の比率も, r好きな洋服の色」

の比率も大差が見られなかった。

四 結 至五ロロ

今回の調査結果から, つぎの事が明らかにな った。

1. 好きな洋服の色は, 男児は赤, 青への好 みが強くなり, 女児は依然、 ピンクを高い率で好

んではいるが, 演や赤紫など多様な色も好むよ うになった。

2. 好きな理由として, 男児は「かっこし、 し、 」 女児は 「かわし、し、j rきれし、」などの理由をあ げている。

3. 嫌いな洋服の色として, 男女共に黒, 白 をあげ, さらに男児は ピンクをあげている。

4. 嫌う理由として, r性J を意識した理由 をあげている。 つまり, r男の子の色j=嫌い,

F女の子の色j=嫌いとはっきりと説明してい る。

5. 女児には, 白分にとって 「似合うj, r似 合わ ない」という着装イメージ が芽生えてい る。

6. r好きな洋服の色」と 「 自分が属する性 の色j が必ずしも一致しない。

7. 性差を表す色は時系列的に変化がなかっ た。 この事は, 4歳児段階ですでに 「性差につ いての社会的区分J が定着していることを意味 している。

8. 性を表す色は, 大人の色彩観念の影響が 作用しており 5歳児にとって, ピンクとフソレ ーの世界が確立している。

9. 女児が好む衣服デザイン は 4歳児の時 と変わらない。 しかし, 好む理由として, 洋服 の全体的イメージよりも細いディテールに対し て注目している。

10. 衣服の色の好みと彼等がとらえる性差と の関には, 自意識が働いている。

以上のような結論を得た。 前報において 4 歳児は, 自己の 「好み」を強く働かせて衣服の

色や形を認識しているとし 、う結論を得ている。

本報においては 5歳児に成長した彼等は, 衣 服の色の選択過程に性別行動様式を反映させ始 め, r性差J や周聞の状況との関連の中で, 判 断し始めているとし 、う結論を得た。

199 0 年, 彼等は, 学校集団に所属した。 学校 集団という 「競律」のある集団の中で, 彼等は 今後どのように衣服に対する感覚を展開するの であろうか。

今後も, 学校集団とし、う枠組みの中で, 学年

(8)

文化女子大学研究紀委 第22集

を追って時系列調査を行い, 彼等の内的成長と 達と指導, 家政教育社, p. 299�301, 1983年 ともに, 彼等の服装観がどのように変化・成長

してゆくのを明らかにしてゆくつもりである。

最後に調査に御協力いただ いた被調査者の皆 さんと, 関係諸機関の皆様に, 心から感謝致し ます。

j主

1)鈴木護恵著:二子供服デザインへの試論第 1報- 4歳児の色と形に対する認識と好みの傾向一, 文 化女子大学研究紀要第20集, 1989年

2) A . ゲゼノレ著, 依田新, 岡宏子訳:乳幼児の発

( 8 )

3)浜田寿美男訳編. ワロン/身体-自我 社会,

ミネノレヴァ書房, p. 31 �66, 1986年

4)大伴茂箸 ・ ピアジェ幼児心理学入門, 同文書 続, 1970年

5)村田孝次著:幼稚園期の言語発達, 培風館,

p. 139�164, 1982年

6) J . ブノレッグスコガン, w. シェンプ・ マチュ ウズ箸, 遠藤由美訳:性別役割 その形成と発 達, 家政教育社, p.97, 1985年

7)向上著, p. 97�126 8)向上著, p. 83

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