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四位例靖瀞八木伸治瀞尾山光一※ 中田明夫瀞木田

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Academic year: 2021

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(1)

心不全におけるミオシン軽鎖I測定の意義

四位例靖瀞八木伸治瀞尾山光一※

中田明夫瀞木田 寛瀞杉岡五郎※

心筋ミオシン軽鎖I(以下LCI)は、心筋細胞 障害時に筋原線維より解離し血中に逸脱する小分 子蛋白である。このLCIは心筋障害に対する非 常に鋭敏な指標であり、最近急性心筋梗塞の診断 に用いられるようになってきた。一方心不全では、

一般に急性増悪をくり返すごとに心機能は低下す ると考えられているが、その機序に関する検討は 未だ不十分である。そこで今回我々は、心不全患 者12例を対象に、心不全の急`性増悪期と回復期に

LCIを測定し、その意義を検討した。

〔対象と方法〕

心不全の急`性増悪にて入院した12例を対象とし た。その内分けは、陳旧性心筋梗塞(以下OMI)

4例、男3例、女1例、年令57才から80才、平均 66才と高血圧』性心疾患(以下HHD)4例、男l 例、女3例、年令65才から87才、平均78才および 弁膜疾患(以下VHD)4例、男4例、年令72才 から87才、平均78才である。この12例において、

入院当初の急性増悪期および治療1ケ月後の回復 期にLCIを測定した。

〔結果〕

OMI群におけるLCIの推移では、入院時には 1例を除き3例で上昇していたが、回復期には全 て陰性化した(表1)。HHD群でも同様に、LCI は入院時、l例を除き3例で上昇しており、回復 期には全て陰性化した(表2)。VHD群でも、

LCIは入院時、全例で上昇していたが、回復期 には全て陰性化した(表3)。

各群におけるLCIの陽』性率をみると、OMI群 では4例中3例で75%、HHD群でも4例中3例 で75%、VHD群では4例中4例で100%であっ た(表4)。すなわち、基礎疾患にかかわらず、

心不全の急`性増悪期にはLCIの陽性率が著しく 高く、この時期には心筋壊死が生じているものと 推測された。

また、NYHA分類による心不全の程度とLCI の関係を比較すると、LCI陽性例10例のうち NYHAH度が3例、Ⅲ度が7例であり、1度の 症例は1例もみられなかった。一方LCI陰性例 2例では、NYHAI度がl例、Ⅱ度が1例であ

った(表5)。

今回、全症例における心筋逸脱酵素は全例正常 内であり、血清クレアチニン値も2例がl4ng/dl と正常上限であった以外はすべて正常内であった。

従って、明らかな虚血性変化や腎機能低下といっ た病態でLCIが上昇した可能性は否定的と思わ れた。そこで従来の心筋逸脱酵素では検出できな い心筋壊死が、LCIを測定することによって明 らかになったものと推測された。

入院経過中の心機能の変化を、Mモード心エ コー図から求めたFractionalShortening(以下 FS)を用いて比較すると、入院時のFSが23.0

±3.5%、回復期が28.3±3.5%であり、FSは全 例入院時と比し回復期で改善していた。しかし、

入院前,入院時,回復時と経過を追跡し得た3例 における心機能の変化をみると、回復期のFSは いずれも入院前より低下していた(図1)。3例 とも入院時のLCIが上昇しており、この心不全 の急性増悪期に心筋壊死を生じたものと考えられ た。従って回復期の心機能が入院前に比し低下し たのであろうと思われた。

〔結語〕

l)心不全患者12例一OMI4例,HHD4例,

VHD4例一を対象に、急性増悪期と回復期 にミオシン軽鎖Iを測定し、その意義を検討 した。

2)心不全の急性増悪期には12例中10例一OMI3 例,HHD3例,VHD4例一でLCIは有意に 上昇していたが、治療1ケ月後の回復期には 全例正常化していた。

3)FractionalShorteningによる心機能の評価で は、入院時の急'性増悪期に比し回復期でFS は全例改善していた。しかし、入院前,入院 時,回復期の経過を追跡し得た3例では、回 復期のFSはいずれも入院前より低下してい た。

4)以上より、心不全では基礎疾患にかかわらず、

急性増悪期には心筋壊死が生じ、これがその 後の心機能の低下に関与している可能性が示 唆された。

※国立金沢病院循環器科

-21

(2)

ミオシン軽鎖|の推移(OMl) ミオシン軽鎖lの推移(HHD)

No. 入院時 回復期

く2.5

<25

<2.5

<2.5

1234 5.9

5.3

<2.5 17.54

(、g/ml) (ng/ml)

▲表1 ▲表2

ミオシン軽鎖|の推移(VHD)

ミオシン軽鎖Iの陽性率

///

334

OMl

HHD VHD

くくく

75%

75%

100%

111444

入院時 回復期

く2.5

<2.5

<2.5

<2.5

No.

1234 5274●●●●7564

OMI:OldMyocardiallnfarction HHD:HypertensiveHeartDisease VHD:ValvularHeartDisease

(、g/ml) ▲表4

▲表3

心不全の急性増悪前後における心機能の変化(3例)

FS

% 40

30

20

10

入院前入院時

FS:FractionaIShortening

回復期

▲表5

▲図1

-22-

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