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は参考文献,“豊田正, 「情報の物理学」(講談社)” を示します。

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(1)

.

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¤

£

¡

¢

豊田

は参考文献,“豊田正, 「情報の物理学」(講談社)” を示します。

¤

£

¡

¢

長岡

は参考文献,“長岡洋介, 「統計力学」(岩波)” を示します。

¤£ ¡

¢

kittel

は参考文献,“キッテル・クレーマー, 「熱物理学」(丸善)” を示します。

オフィスアワー: 水曜

3

講時,木曜昼休み

url: http://www.math.ryukoku.ac.jp/ iida/lecture/lecture.html

(2)

・熱力学と統計力学

(3)

.

(4)

・熱力学におけるエントロピー

力学的エネルギー保存の法則

d dt

(

K(t) +U(t) )

= 0. (3.1)

ここで

K(t)

は時刻

t

での 運動エネルギー ,V

(t)

は時刻

t

での 位置エネルギー を表す。これは

K(t) +V(t) =

一定

, (3.2)

つまり,エネルギーの総量は時間的に変化せず不変であることを意味する。

また,系が外部に仕事を行う場合は

K(t2) +V(t2)(

K(t1) +V(t1) )

=∆W (3.3)

が成り立つ。ここで系が時刻

t1

から

t2

までに外部に行う 仕事 は

∆W =

t2 t1

F~ ·~v(t)dt (3.4)

となる。

F(t)~

は系が外部に及ぼす力。

(例)

質量

m

の物体の落下運動,z:水平面からの高さ。

K=m

2|v(t)~ |2= m 2

(dz(t) dt

)2

, V =mgz(t) (3.5)

(例)

ばね定数

k

のばねにつながれた質量

m

の物体の水平運動,x:ばねの自然長からの変位。

K=m

2|v(t)~ |2= m 2

(dx(t) dt

)2

, V =k

2x(t)2 (3.6)

(例)

長さ

`

の軽いひもにつながれた質量

m

の物体の鉛直面内の運動

K= m

2|v(t)~ |2=m 2

(

`dθ(t) dt

)2

, V =mgz(t) =mg`(1cos(θ(t)) (3.7)

エネルギーにはいろいろな種類がある:

運動エネルギー,位置エネルギー,電気エネルギー,(光,音などの) 波のエネルギー,熱エネルギーなど。

エネルギーは移り変わるが保存される。

内部エネルギー

¨

§

¥

長岡p.90¦

系の全体としての運動エネルギー

(質量中心の運動エネルギー)

などを除いた,系の内部に蓄えられるエネルギー。

ミクロにみると系を構成する分子の

(質量中心のまわりの)

ランダムな運動のエネルギーの和を表す。

(5)

熱力学の第1法則

¨

§

¥

長岡p.95¦ ¤

£

¡

kittel p.40¢

系が熱平衡状態

a

から熱平衡状態

b

へと変化するとき,内部エネルギーの変化は

UbUa= ∆Q∆W (4.1)

となる。ここで,∆Q は外部から系に入った 熱量 ,∆W は系が外部に行った仕事を表す。

理想気体

理想気体は次の 状態方程式

pV =N kBT =nRT ¨

§

¥

長岡(2.77)¦¨

§

¥

kittel (6.29)¦ (4.2)

を満たす理想化された気体。ここで,p は気体の 圧力 ,V は気体の体積,N は気体中の分子数,T は気体の 温度

(

絶対温度

)

を表す。

kB = 1.38· · · ×1023[J·K1], ¨

§

¥

長岡(1.34)¦¨

§

¥

kittel (2.25)¦ (4.3)

はボルツマン

(Boltzmann))

定数。気体の分子数をアボガドロ

(Avogadro)

NA= 6.02· · · ×1023, ¨

§

¥

長岡(1.1)¦ (4.4)

を単位としてはかった量

n= N NA

(4.5)

を モル数 と呼ぶ。

R=NAkB = 8.31· · · [J/(mol·K)] ¨

§

¥

長岡(2.78)¦ (4.6)

は モル気体定数 と呼ばれる。

また,一般には内部エネルギーは温度

T

と体積

V (と分子数 N)

の関数となるが理想気体では内部エネルギーが 絶対温度

T

のみに依存する:

U =CT C

は定数.

(4.7)

ミクロにみると,理想気体とは気体分子間にはたらく力を無視した気体のモデル。この場合内部エネルギーは気 体分子の運動エネルギーの和となる。

熱容量 と 比熱

系の温度を1

K

上げるのに必要な熱量を熱容量と呼ぶ。物質の単位量あたりの熱容量を比熱と呼ぶ。物質

1

モル あたりの熱容量を モル比熱 とよぶ。

熱容量や比熱はどのような条件で熱を加えるかによって値が変わる。

体積を一定にして熱を加える場合,理想気体は仕事をしないので,(4.1) より

C(TbTa) = ∆Q (4.8)

という関係が成り立つ。従って,この場合のモル比熱

(

定積モル比熱

)CV

CV =C

n (4.9)

となる。

(6)

CV

を用いると理想気体の内部エネルギーは

U =nCVT (5.1)

と表される。 単原子分子 からなる理想気体では

CV =3

2R= 12.5· · · [J/(mol·K)] ¨

§

¥

長岡(2.91)¦¨

§

¥

kittel (6.36)¦ (5.2)

となる。((5.2) は統計力学による結果。)

圧力を一定値

p

に固定して熱を加える場合,気体のする仕事は

∆W =

b a

pdV =p

Tb

Ta

dV

dTdT =p

Tb

Ta

N kB

p dT = (TbTa)N kB = (TbTa)nR (5.3)

となるので,この場合の比熱, 定圧モル比熱 ,C

p

Cp=CV +R ¨

§

¥

長岡(3.95)¦

¨

§

¥

kittel (6.38b)¦ (5.4)

となる。(マイヤー

(Mayer)

の関係)

(7)

.

断熱過程 :∆Q

= 0

の過程 理想気体の断熱過程

理想気体が状態

a

から 状態

b

まで変化したとする。変化の過程で熱の出入りがないとすると

(4.1)

より内部エネ ルギーの変化は

UbUa=nCV

( TbTa

)

=∆W (6.1)

となる。この過程で,常に理想気体が熱平衡状態にあるとすると,理想気体のする仕事は

(4.2)

より

∆W =

b a

pdV =

Tb Ta

pdV

dTdT (6.2)

となるので,次の等式が成り立つ:

nCV

Tb Ta

dT =

Tb Ta

pdV

dTdT . (6.3)

区間

(Ta, Tb)

は任意なので

nCV =pdV

dT =nRT V

dV

dT (6.4)

が成り立つ。

1 V

dV

dT =CV R

1

T (6.5)

を積分して

log (Vb

Va )

=CV

R log (Tb

Ta )

= 1 γ1log

(Tb

Ta )

(6.6)

が得られる。ここで

γ= Cp

CV

= CV +R CV

= 1 + R CV

(6.7)

は 比熱比

(¨

§

¥

長岡p.148¦)

と呼ばれる。単原子分子からなる理想気体では

γ= 5

3

となる。

上で,理想気体が状態

a

から状態

b

に変化する際,変化の途中でも系はいつでも平衡状態にあるとみなした。こ のような極限的な過程を準静的過程,準静的過程を起こす操作を準静的操作と呼ぶ。

準静的過程

体系の状態変化がその熱平衡の状態に無限に近い状態の連続として行われ,しかも一つの方向への変化の道筋で 通るつぎつぎの状態を逆の順序でたどることができるときこれを準静的過程と呼ぶ。準静的過程でない過程を非 静的過程と呼ぶ。

以上より,理想気体の準静的断熱過程では

TaVaγ1=TbVbγ1

準静的断熱過程

¨

§

¥

kittel (6.66)¦ (6.8)

が成り立つ。これをポアソン

(Poisson)

の関係式と呼ぶ。また

(4.2)

より

paVaγ =pbVbγ

準静的断熱過程

¨

§

¥

田崎(4.41)¦ (6.9)

も成り立つ。

なお,準静的過程は可逆過程である。

可逆過程 :一つの体系がある状態から出発して,他の状態に移ったとき,何かの方法によって,この体系と

体系の状態変化に関係した外界のすべての物体が元にもどり,その上,この元にもどすために新しく必要になる

かもしれない他の物体も元の状態に変えるようにすることができるとき,はじめの過程を可逆過程と呼ぶ。可逆

過程でない過程を 不可逆過程 と呼ぶ

(8)

カルノーサイクル サイクル

ある体系が一つの状態から出発し,いろいろな状態を通ったのち元の状態にもどるときこの体系は循環過程

(サイ

クル) を行ったという。サイクルでは

∆Q∆W = 0

サイクル

(7.1)

が成り立つ。

カルノー

(Carnot)

サイクル

¤

£

¡

kittel p.197¢

¨

§

¥

田崎p.77¦

準静的等温過程と準静的断熱過程を組み合わせた可逆サイクル 理想気体のカルノーサイクル

¨

§

¥

田崎p.78¦ ¨

§

¥

田崎p.84¦

¨

§

¥

田崎p.79¦ aq:

準静的断熱過程,iq: 準静的等温過程

Q=

V1

V0

pdV =nRT

V1

V0

1

VdV =nRTlog (V1

V0 )

. (7.2)

(9)

準静的断熱過程について成り立つ

(6.8)

より

T V1γ1=T0(V10)γ1, T V0γ1=T0(V00)γ1 (8.1)

なので,

V1

V0

= V10

V00. (8.2)

従って

Q0=

V10 V00

pdV =nRT0

V10 V00

1

VdV =nRT0log (V10

V00 )

=nRT0log (V1

V0

)

. (8.3)

これより

Q

Q0 = T

T0 . (8.4)

熱機関の 効率

¤

£

¡

kittel p.192¢

¨

§

¥

田崎p.83¦

熱機関とは熱の形でエネルギーを受けとってそれ

(の一部)

を仕事

(力学的なエネルギー)

に変換する装置である。

熱機関が

1

つのサイクルの間に高温

(TH)

の環境

(熱源)

から正の熱

QH

を吸収し,低温

(TL)

の環境に正の熱

QL

を放出する場合,外界に行う仕事

W

は熱力学の第1法則

(4.1)

から

W =QHQL (8.5)

となる。

²= W QH

= 1 QL

QH

¨

§

¥

田崎(5.33)¦ (8.6)

を熱機関の効率とよぶ。

カルノーサイクルの効率は

²=W

Q0 =Q0Q

Q0 = 1 T T0

¨

§

¥

kittel (8.7)¦¨

§

¥

田崎(5.34)¦ (8.7)

となる。

熱力学の第2法則

¨

§

¥

長岡p.95¦ ¤

£

¡

kittel p.40¢

気体にはその体積を増加しようとする傾向がある。また,熱は温度の高いところから低いところに流れる傾向が あり,その逆には流れない。一方の向きにのみに変化が起きるというこのような熱現象の特徴を熱力学の第2法 則は表しており,いろいろな表現がある。

クラウジウス

(Clausius)

の原理

一つの体系がサイクルを行って,低温の物体から熱を受け取り,高温の物体にこれを与える以外に何の変化も残さ ないようにすることはできない。

従って,高温の物体から熱を受けとり,低温の物体にこれを出す以外に何の変化も伴わないサイクルは不可逆で ある

ケルビン

(Kelvin)

の原理

(あるいは トムソン(Thomson)

の原理)

ある一定の温度にある熱源から正の熱を取り出し,これに相当する正の仕事を外に向かって行うようなサイクル

は存在しない。

(10)

2

種永久機関

(熱をすべて仕事にかえる機関)

は存在しない。

上の原理より,温度

TH

TL (TH> TL)

2

つの熱源と熱のやりとりをするサイクルについて以下が導かれる:

・可逆サイクルの効率は全て同じで

²可逆= 1 TL

TH . (9.1)

(参考)可逆サイクルの効率が(9.1)

となることは理想気体の性質を使わずに導ける。((9.1) が成り立つように

絶対温度を定義する。)

・不可逆サイクルの効率は可逆サイクルの効率より小さい:

1 QL

QH 1 TL

TH

等号は可逆サイクルの場合

. (9.2)

(9.2)

を次の形,

QH TH

+(QL)

TL 0

等号は可逆サイクルの場合

(9.3)

に書くと,Q

H

,−

QL

はそれぞれ温度

TH

,T

L

の熱源からサイクルを行う系に入ってくる熱量を表す。

¨

§

¥

原島p.44¦

サイクルが

2

つ以上の熱源と熱のやりとりをする場 合にも温度

Ti

の熱源から系に入ってくる熱量を

Qi

とすると

n i=1

Qi

Ti 0

等号は可逆サイクルの場合

(9.4)

が成り立つ。

エントロピー

(entropy)

の定義

2

つの熱平衡状態

a,b

を可逆過程でむすぶことにより,

エントロピー

(の差)

が定義できる:

SbSa=

i:可逆

Qi

Ti . (9.5)

【注】

a

b

の間をどんな可逆過程でむすんでも,(9.4) の等 号の場合により,S

bSa

の値は同じとなる。

¨

§

¥

田崎p.108¦

aq:

準静的断熱過程,iq: 準静的等温過程 エントロピーの定義

(9.5)

より,次が成り立つ:

SbSa

i

Qi

Ti

等号は

a

b

が可逆過程でむすばれる場合

. (9.6)

(11)

熱力学的変化の進む向き

熱平衡状態

a

から

b

へ断熱過程で移る場合,(9.6) 左辺で

Qi= 0

なので

SbSa

等号は

a

b

が可逆過程で結ばれる場合

(10.1)

となる。つまり 不可逆な断熱過程ではエントロピーは増加する。

ヘルムホルツ

(Helmholtz)

の自由エネルギー

F =UT S (10.2)

不可逆な等温等積過程では

Helmholtz

の自由エネルギーは減少する。

∆F = ∆UT∆S= ∆QT∆S0

等号は可逆過程の場合

(10.3)

等温過程で系が仕事

∆W

を行う場合は

∆F = ∆UT∆S=∆W+ ∆QT∆S≤ −∆W

等号は可逆過程の場合

(10.4)

より

∆W ≤ −∆F

等号は可逆過程の場合

. (10.5)

つまり,温度を一定に保って系が熱平衡状態

a

から

b

に変化した場合,

この過程で系が行うことのできる最大の仕事量はヘルムホルツの自由エネルギーの減少分

FaFb

となる。

熱平衡状態にある系を準静的に

(従って可逆的に)

微小変化させたときの内部エネルギーの変化は

∆U =p∆V +T∆S ¨

§

¥

kittel (3.34a)¦¨

§

¥

長岡(2.73)¦ (10.6)

となる。なお,系の状態が変化すると系の圧力や温度も

p+ ∆p , T + ∆T

と変化するが上では

2

次の微小量は無 視している。エントロピーを

T

V

の関数

S(T, V)

と考えると

∆U = (

T∂S(T, V)

∂V p )

∆V +T∂S(T, V)

∂T ∆T (10.7)

となるので,

∂U(T, V)

∂T =T∂S(T, V)

∂T , ∂U(T, V)

∂V =T∂S(T, V)

∂V p ¨

§

¥

長岡p.90¦ (10.8)

が成り立つ。

・理想気体のエントロピー

¨

§

¥

長岡§2-2¦ ¤

£

¡

kittel p.135¢ (10.8)

U =nCVT

を代入すると

∂S(T, V)

∂T =nCV 1

T , ∂S(T, V)

∂V = p

T =nR1

V (10.9)

となるなので,

S(Tb, Vb, n)S(Ta, Va, n) =nCV log (Tb

Ta )

+nRlog (Vb

Va )

=nCV log [

Tb

Ta (Vb

Va )γ1]

(10.10)

が成り立つ。(気体分子数は一定とする。)

(12)

(例)

断熱壁で作られたシリンダー中の理想気体の 体積を

Va

から

Vb

に増加させた場合のエント ロピーの変化

¨

§

¥

田崎p.44¦ (a)

ゆっくり

Va

から

Vb

に増加させた場合。

準静的断熱過程で成り立つ

(6.8)

より

TbVbγ1=TaVaγ1 (11.1)

なのでエントロピーの変化はない。この過程は可逆過程。

(b)

急激に

Va

から

Vb

に増加させた場合。(気体の自由膨張)

この場合は気体は仕事をしない

(∆W = 0)。また熱の出入りもない(∆Q= 0)

ので,熱力学の第

1

法則

(4.1)

より 気体の内部エネルギーは変化しない:U

b=Ua .

従って,理想気体の場合,温度も変化しないことがわかる:

Tb=Ta. (11.2)

Vb> Va

なので,理想気体のエントロピーの変化は,

S(Tb, Vb, n)S(Ta, Va, n) =nCV log [(Vb

Va )γ1]

>0 (11.3)

となり,この過程でエントロピーは増加する。気体の自由膨張は不可逆過程である。

(例)

温度が一様になる過程

断熱壁で仕切られた体積

V

の部屋にそれぞれ温度

T1

T2

の理想気体が

n

モル入っている。このときの系のエ ントロピーは

Si = S(T1, V, n) +S(T2, V, n) = 2S(T1, V, n) + (

S(T2, V, n)S(T1, V, n) )

= 2S(T1, V, n) +nCVlog (T2

T1 )

(11.4)

となる。次に,壁を取り去って十分時間が経過すると,気体の温度は

(T1+T2)/2

となる。このときの系のエント ロピーは

Sf = 2S

(T1+T2

2 , V, n )

= 2S(T1, V, n) + 2 {

S

(T1+T2

2 , V, n )

S(T1, V, n) }

= 2S(T1, V, n) + 2nCVlog

(T1+T2

2T1 )

(11.5)

となる。この過程でのエントロピーの変化は

SfSi= 2nCV log

(T1+T2 2T1

)

nCVlog (T2

T1

)

= 2nCV log

(T1+T2 2

T1T2

)

(11.6)

となる。T

16=T2

のとき

(T1+T2)/2>

T1T2

なので

Sf > Si (11.7)

となる。異なる温度の系が接触して温度が一様になる過程は不可逆過程である。

(13)

(例)

気体と液体の共存曲線 蒸気圧曲線

G L

¤

£

¡

kittel p.236¢

G L

VL VG

¤

£

¡

kittel p.234¢

この過程は等温等圧力で準静的

温度

T

と圧力

p

に一定の関係があるとき,液体と気体は共存できる。液体と気体が共存する点を

T-p

平面上に 描いた曲線を蒸気圧曲線とよぶ。この曲線を表す式

p=p(T)

を求める:

蒸気圧曲線上の点

(T, p(T))

n

モルの水の体積を準静的に

VL

から

VG

に変化させると

(10.6)

より

U(T, VG(T))U(T, VL(T)) =p(T)(VG(T)VL(T)) +

(

S(T, VG(T))S(T, VL(T)) )

T (12.1)

という関係式が得られる。ここで分子数は

n

モルに固定しているので,n は式中から省いた。両辺を

T

で微分す ると

∂U(T, VG(T))

∂T +∂U(T, VG)

∂VG

dVG(T)

dT ∂U(T, VL(T))

∂T ∂U(T, VL)

∂VL

dVL(T) dT

= dp(T) dT

(

VG(T)VL(T)

)p(T)

(dVG(T)

dT dVL(T) dT

) +

(∂S(T, VG(T))

∂T ∂S(T, VL(T))

∂T )

T

+

(∂S(T, VG)

∂VG

dVG(T)

dT ∂S(T, VL)

∂VL

dVL(T) dT

)

T+S(T, VG(T))S(T, VL(T)) (12.2)

が得られる。(10.8) を用いて整理するとこの等式は

0 =dp(T) dT

(

VG(T)VL(T) )

+S(T, VG(T))S(T, VL(T)) (12.3)

となるので,関数

p(T)

が満たす微分方程式

dp(T)

dT =S(T, VG(T))S(T, VL(T)) VG(T)VL(T)

¨

§

¥

長岡(6.42)¦ (12.4)

が得られる。∆Q

=T∆S

より,温度

T

1

モルの液体が気体になるときの 気化熱 を

L0(T)

とすると

T

(

S(T, VG(T))S(T, VL(T)) )

=nL0(T) (12.5)

となり,(12.4) は

dp(T)

dT = nL0(T) T(VGVL)

¨

§

¥

kittel (10.15)¦ (12.6)

と表せる。(12.4) や

(12.6)

はクラウジウス

(Clausius)-クラペイロン(Clapeyron)

の式と呼ばれる。

(14)

.

(12.6)

の左辺で,気体の体積

VG

に比べて液体の体積

VL

を無視し,気化熱の温度依存性がないと近似する:

VGVLVG=nRT

p, L0(T) =

一定

(13.1)

dp(T) dT = L0

R p T2

dp p = L0

R

dT

T2 log(p) =L0

R 1

T +

定数

(13.2)

より,蒸気圧曲線の近似式として

p(T) =p0exp (

L0 RT

) ¨

§

¥

kittel (10.21)¦ (13.3)

が得られる。

¤

£

¡

kittel p.239¢

【問】

¨

§

¥

田崎p145¦

温度が

98

℃と

102

℃ の場合の水の蒸気圧はそれぞれ

p(98

℃) = 9.43

×104 Pa, p(102

℃) = 1.09

×105 Pa (13.4)

となる。ここで

1Pa = 1N/m2

は圧力の単位。

(1

気圧は

1.013×105Pa。)

これらと,気体定数の値

R= 8.31 J/(mol·K)

100

= 373 K

を用いて,100 ℃付近での水

1

モルの気化熱を概算しなさい。

【答】(13.2) の第

1

式より,

L0= RT2 p

dP(T)

dT (13.5)

となる。上式右辺の微分を差分

dp(T)

dT p(102)p(98)

4 = 3.68×103 Pa/K (13.6)

で近似し,p の値としては

p= p(102) +p(98)

2 1.02×105

を用いると

L08.31×(373)2

1.02×105

(1.090.943)×105

4 4.18×104J/mol (13.7)

が得られる。なお,100 ℃での水

1

モル

(18g)

の気化熱の実測値は

4.07×104J/mol

である。

(15)

・統計力学におけるエントロピー

熱平衡状態では系の微視的状態は時間とともにいろいろ変化する。物理量

f

の観測値は,適当に長い時間につい ての

f

の時間平均と考えられるが,統計力学では,この時間平均が系の微視的状態についての統計平均

(期待値)

に等しいと仮定する。つまり,ある微視的状態

i

の現れる確率を

P(i)

とすると,

1

∆t

t0+∆t t0

f(t)dt 仮定= hfi=

i

fiP(i) (14.1)

∆t

が大きいときに成り立つと考える。熱力学で現れる内部エネルギーなどは微視的状態についての期待値であ らわされる。

・内部エネルギー:エネルギーの期待値

U =

i

EiP(i). (14.2)

ここで

Ei

は状態

i

が持つ力学的エネルギー

・エントロピー

S=kB

i

P(i) logP(i). (14.3)

・ 孤立系

:

外部とエネルギーや物質の交換をせず,孤立している系

孤立系ではエネルギーや分子数が一定となる。これらの条件を満たす微視的状態の数を

g

とすると,

P(i) =

1

g ;

微視的状態

i

が条件を満たす

0 ;

微視的状態

i

が条件を満たさない

(14.4)

と仮定する。すなわち,孤立系ではエネルギーや分子数などの条件を満たす実現可能な微視的状態はすべて同じ 確率で現れると仮定する。 等確率の原理

¤

£

¡

kittel p.23¢

¨

§

¥

長岡§1-3¦ (14.4)

(14.3)

に代入すると孤立系のエントロピーは

S =kB1 g

g i=1

log (1

g )

=kBlog(g) ¨

§

¥

kittel (2.21)¦

¨

§

¥

長岡(1.33)¦ (14.5)

となる。

・温度

T

の熱源と接して熱平衡状態にある系。外部とエネルギーの交換はするが,物質の交換はしない。

この場合,系の微視的状態は次の カノニカル

(canonical)

分布 と呼ばれる確率分布に従って現れる:

P(i) = 1

Z exp(βEi), β = 1 kBT

¨

§

¥

kittel (3.11)¦¨

§

¥

長岡(3.7)¦. (14.6)

ここで

Z=

i

exp(βEi) ¨

§

¥

kittel (3.10)¦¨

§

¥

長岡(3.8)¦ (14.7)

は 分配関数 あるいは 状態和 と呼ばれる。

(参考)

系の状態密度が普通のふるまいをする場合,(14.6) は

(14.4)

から導くことができる。

参照

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