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国際均衡と国内均衡 : キンドルバーガーとハロッ ドをめぐって

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(1)

国際均衡と国内均衡 : キンドルバーガーとハロッ ドをめぐって

その他のタイトル International Equilibrium and Domestic Equilibrium

著者 木村 滋

雑誌名 關西大學商學論集

4

2

ページ 117‑139

発行年 1959‑06‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00021768

(2)

ーキンドルバーガーとハロッドをめぐって

l

国際均衡と国内均衡の達成維持を論ずるにあたって︑吾々はまず国際収支の自動調整作用︑即ち国際均衡機構の

考察よりはじめる︒

いま一国の国際収支︵経常勘定差額I自生的純資本移動︶が受取超過となるならば︑金の流入や︑外貨︑

形の保有や︑輸出手取金の銀行預金の増加等により対外的支払準備が増加する︒即ち流動性が高まる︒ところでこ

れらは収利性を持つものではないから︑有利な運用をはかるために︑これらを︑コール・ローンや手形割引に廻そ

うとするからコール市場や割引市場の金融を緩め︑短期金利を押し下げて短期資金の運用を不利とするや︑資金は

長期資本市場に流れ長期金利をも引下げ

4 9 0

国際収支が支払超過である国では︑これとは逆に︑流動性が減少し︑金利水準が上昇する︒

国際均衡と国内均衡

為替手

(3)

投資増加の結果︑有効需要が生産能力を超える

( Y d +

! : : , Y d > Y s + / : : , Y s )

1 ! .

いたれば如

国際均衡と国内均衡

利子率のかかる変動は資本移動と︑商品・サービス収支の双方に対して効果を及ぼす︒

まず利子率変動の資本移動に及ぼす効果をみるならば︑受取超過国の金利下落︑支払超過国の金利上昇の結果︑

資本は高い利子率を求めて受取超過国より支払超過国に移動し︑国際収支不均衡是正作用を営む︒

次に利子率変動が商品・サービスの収支に及ぼす効果をみるならば︑受取超過国の利子率下落は︑資本の限界効

率との関係に於て︑国内投資支出を刺戟し︑資本財の輸入増加と︑乗数効果による所得増加を通じて消費財・原料

の輸入増加となり出超差額を匡正する作用を有する︒支払超過国ではこの逆の過程︑即ち利子率上昇︑投資減少︑

資本財輸入減少ならぴに︑所得減少による輸入減少によって入超差額の匡正に向う︒この過程が所謂所得メカーーズ

ムであるが︑国内完全雇用を仮定せる事情の下では投資刺戟は国内生産手段を獲得する競争の激化を通じて貨幣生

産費を高騰せしめ︑これが価格メカーーズムによって︑輸出の減少︑輸入増加にみちびくでもあろう︒

なお上記の所得メカニズムでは︑加速度効果が作用過程を累積的とする︒上述の投資増加は所得増加をもたらす

が︑これが更に誘発的投資増加となって累積過程を辿る︒さて︑かくの如く︑受取超過国の投資刺戟は︑

数効果によって有効需要の増加をもたらし︑他方︑この投資増加は加速度効果によって誘発された投資と相まって

資本財生産或はその輸入に依り一国生産能力の増大をもたらす︒後者を生産力効果という︒前者は国民生産物の需

要側面であり︑後者はその供給側面である︒この需要と供給が一致しない場合に問題が生ずる︒当初に於て有効需

(Y

Sと生産能力

( Y s )

が一致していたと仮定して論を進めてみれば︑

何︒このケースは︑有効需要の増加の速さに比べて︑生産能力の増加は︑投資財生産のための時間的遅れを有する

(4)

を以って︑生じやすいケースである︒さてかかる場合には企業家は設備の不足を見出し︑注文を増加する︒これは

その時の事情に応じて二様の効果を有する︒

︵ イ ︶ ︑

かかる超過需要︑即ちインフレ・ギャップが︑価格騰貴にみちびくよりも︑例えば統制価格下においてみ

﹁履行せられざる注文﹂の形で存在する場合︑注文に対する引渡期間が延長せられる結果︑外国の

顧客が疎却せられ︑従って輸出が減退し︑他方国内の顧客もその必要をみたすために外国からの輸入に仰ぎ︑かく

︵口︶︑古典学派の調節機構である価格騰貴にみちぴく場合︒この場合には︑要素報酬の増加による貨幣所得の増

加と価格騰貴即ち︑交易条件の改善を通じて輸入増加︑輸出減少を促す︒但しこのことが可能であるためには︑為

︵二︶︑今度は逆に︑有効需要の増加よりも生産能力の増加の方が大である場合

( Y d +

! : ; . Y d A Y s + l : : ; . Y s )

デフレ効果をもち︑失業か︑要素報酬低下により︑貨幣所得減少︑交易条件悪化を通じて︑輸入減少︑輸出増加を

生じる︒これは出超不均衡を加重する︒

︵三︶︑有効需要と生産能力に麒甑を生じない湯合

( Y d + l : : : . . Y d 1 1 Y s + l : : : . . Y s )

には︑上記︵一︶︑︵二︶の作用とは

︵四︶︑支払超過国では投資減少が有効需要減少を生じ︑遊休設備を生じデフレ傾向をもち︑︵二︶と同様な過程に

よって輸出増加︑輸入減少となって支払差額匡正に向う︒② 以上は概ねハロッドの国際均衡機構のシェーマに生産力効果を導入したものであるが︑それは当初に於て有効需

国際均衡と国内均衡

替安定条件が充たされていることを必要とする︒ てこのことは︑価格騰貴に劣らず出超差額是正機能を営む︒

(5)

(2)  (1) 

正策を論ずるハロッドの理論を考察する︒

国際均衡と国内均衡

藤井茂訳﹁ハロッド国際経済学﹂改訂版第六章︒ 要と生産能力が一致していたという仮定にもとづく推論であるにすぎず︑両者が一致していない場合の国際不均衡の問題︑或は︑︵二︶と︵四︶と結合したケースでの衝突︑更にかかる国際収支の自動的調整作用が機能しうるためには︑国際間の資本の自由移動︑利子率にたいする投資の弾力性が大きいという条件が充足されていなければならない︒これらの問題を考える場合︑右の自動的作用を信頼し︑棋手して現実の不均衡を傍観する訳にはゆくまい︒しかも国際不均衡に失業の問題が加わって問題の解決を一層厄介なものにしているのである︒そこで以下吾々は︑国際不均衡の原因にまで掘り下げて分析せるキンドルバーガーの国際不均衡論及び︑貿易不均衡と失業の同時的是

土屋六郎﹁国際収支の理論﹂︱

10

六ーニ︱四頁参照︒

R.F•Harrod:

I n t e r n a t i o n a l   E co no mi cs , 

19 57  Ch ap te r  V I .  

キンドルバーガーは国際経済不均衡の種類を第一表の如く分類する︒まず所得不均衡とは相対価格の著しい変化

を伴わずして国民所得が外国のそれに対して相対的に変化する︵その逆も同様︶不均衡であり︑構造的変化とは国

民所得水準に必ずしも著しい変化を伴わず主として相対価格に於て生ずる変化である︒為替相場の変更又は国内イ

ンフレーションによって生じたる為替相場の過大・過小評価のケース︑及び貨幣所得の増加か物価の下落︑又はそ

の両方を生ずべき組織的技術変化は中間的範疇に属する︒併しこの区分は恣意的なもので︑すべての財の所得弾力

且つ供給曲線が類似していないかぎり所得変化は相対価格の変化を生ずることなしには行われず︑又

輸出入価格の変化は輸出入量の変化を通じて所得の変化をもたらす如く︑総所得水準の変化を伴わずに相対価格が

(6)

第一表 国際経済不均衡の種類

(I)所 得 不 均00c]1) 謬 認 贔I(][)価格不均衡

,  イソフレージョ 於ける 短 期 的 a)循 環 的 不 均 様I(c)ソ;不適切な為 (e)  00 

替相場変更

(b)長期趨勢的不均 (d)組識的技術変化l(f)悶 認 誌 翡

ざしたる

辿

且つ両国の輸入需要の所得弾力性は共に

1不均衡は存在しな 不況の

cのインフレーション︑不適切な為替相場については︑匡正策はデイスインフレ 策即ちインフレギャッブを消去して有効需要を完全一犀用水準にまで引下げる方法である が︑賃金低下の硬直性のゆえに︑各国のインフレの相異せる割合に為替相場を適応せしめ

⑱の循環的不均衡

(C yc li ca l di se quilibrium)

について︒これは各国の景気循環

の型及び輸入需要の所得弾力性の相違より生ずる︒

は ︑

A国の貨幣国民所得は循環的に変動し︑B

国のそれは安定である︒輸入需要の所得弾

力性はA国では1

で ︑ B国ではA

国と同じか︑或は同じでなくとも所得ほ安定であるから

輸入も一定である︒かかるとき︑A国は好況の時に輸入超過

(B

時には輸出超過

(B 国は輸入超過︶となる︒第

2

図の如く︑両国の所得循環型は同じ径路

い︒第3

図では︑両国の所得循環径路は同じであるが︑輸入需要の所得弾力性は

A国では

1より大でB国では1より小である︵例えば︑

況期にはA国の輸出超過︑

国際均衡と国内均衡

(I

) 

A国の輸入品は奢修品で︑B国の輸入品は必需品︶場合を示し︑

B国の輸入超過︑好況期にはA国の輸入超過︑B国の輸出超過がみられる︒

以上の分析に価格弾力性の考慮を加えれば如何︒物価が好況時に上昇し不況時に下落するとすれば︑価格弾力性

の値によって輸入額は変化する︒景気循環が第一次生産物生産国の国際収支に及ぼす効果を︑

S . G .

Tr ia nt is

ることが必要となる︒

( I I )

 

変化するということは殆んどない︒

AB二国を想定し︑先ず第1

(7)

0 0   5 0  

g9 5l 3. w5 39

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13

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As INCOME  AND IMPORTS 

50 

TIME 

1図 循 環 的 不 灼 衡 所得の型相異

輸入の所得弾力性同じ(=1) 

150 

50 

国際均衡と国内均衡

0 0   5 0  

(39-、名IAV39<•LN3U~I3dNI)

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NATIONAL INCOME  AND IMPORTS 

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TIME 

2図 不 均 街 な き 循 環 所得の型同じ

輸入の所得弾力性同じ (=1)

¥ ,  

\ As IMPORTS 

̀̀ \. 

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DEFICIT 

8 SURPLUS 

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DEFICIT 

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NATIONAL  INCOME 

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四四

TIME 

第 3図 術 環 的 不 均 衡 所得の型同じ

輸入の所得弾力性相異

(8)

国際均衡と国内均衡

5 5 0 5 0 0   E , 2 0 7 5  

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TIME 

4図 循 環 的 不 均 衡 所得の型相異ーイソフレ傾向とデフゾ傾向

輸入弾力性同じ(=1)

NATIONAL INCOME A AND 8 

As IMPORTS 

B§  IMPORTS 

TIME 

第 5図 循 環 的 不 均 衡 所得の型同じ

Bの輸入:膨脹時所得弾力的

縮小時所得非弾力的

(9)

の空気では︑その点を越えて︑ ADの輸出国は不況時に損失をうける傾向をもち︑BCの輸出国はそう悪化せず︑むしろ国際収支の改善す

さて︑循環的不均衡の対策をみよう︒

金本位制の矯正策たるデフレーションはどうか︒B国が第1

T点でかかる策にまかせるとすれば︑両国の輸

入需要の所得弾力性が共に1であれば︑第2図の結果となり︑国際収支不均衡は除去されるがB国の所得安定は崩

れて景気循環が行われる︒又︑例えば︑輸入需要の所得弾力性がA国では1

B国では1より小であると

いう第3図の如き場合には︑国際均衡をもたらす所得循環変動は︑

B ̀ s  

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S

に名付け替えたものとなる︒かくしてデフレーション策は排斥せられた︒

次に為替相場切下げ策は如何︒これは国際収支の均衡点までの切下げと︑積極的な輸出拡大のための︱つの過小

評価点への切下げとの間の区別がなさるべきで︑第二次大戦後は前者の切下げに関心がもたれたが︑

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政策にいたるものとして排斥された︒

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国際均衡と国内均衡

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(10)

Bは循環の両局面に於て入超となる︒

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)

国際通貨基金

に︑ある与えられた国の循環的不均衡は循環の一週期にわたっては結局均衡するということ︑第二に︑循環的不均

衡は無差別に各国に起る事である︒第一の原則により︑不況期に赤字を持つ国は好況期に黒字となり︑これによっ

て基金よりの借入を返済し︑逆の作用を持つ国も夫々黒字の時に返済する︒第二の原則により︑如何なる国の通貨

もその程度に差こそあれ必要とされるということ︒ところが第4

A国がたえずデフレ傾向をもち︑

B国がインフレ傾向を持つ

(A

Bの輸入需要の所得弾力性を1︑為替相場は両国が完全雇用にある時に国際収支

均衡を与えると仮定︶とすればB国は好不況期共入超で︑基金への返済が不能となる︒更にAの輸入需要の所得弾

力性は1

Bのそれは︑循環の膨脹局面では1より大で︑縮小時には1より小であると仮定すれば︑第5

次に私的長期貸付は︑皮肉なことに︑不況期における輸入超過に資金を給すべき資本移動が存しないということ

以上の如く︑結局有効な対策は存在せず︑結局Aが不況の時Bは輸入制限を強化し︑Aの国民所得及び輸入が上

昇するにつれて︑その制限を緩和するという措置を各国がとったのである︒

(I

)

( I l )

の⑪を考察する段階にいたったが︑⑪の組織的技術変化は

(I

)

的不均衡に関連して述べられている︒され︑長期趨勢的不均衡

( S e c

u l a r

d i s e

q u i l

i b r i

u m )

とは︑経済が︱つの成

長段階から他の成長段階へと進むにつれて︑その経済内部における長期的にして且つ深く根ざしたる変化のために

国際均衡と国内均衡 他方︑輸出制限は世界貿易を破壊し不況を激化する︒

次の二原則に基礎をおいていた︒即ち︑第 したがって国際流動準備が必要とされ︑

(11)

技術変化との関連に於て取り上げる︒

Stage Balance of Indebtedness  │ Balance  of  Payments  Domestic  Investment  on  Current ‑Account │ and Saving 

2 3 4 5 9  

Young debtor(未成人債務国)

Adult debtor (ID<人債務国)

Mature debtor(成熟債務国)

Young creditor(未成人債権国)

Adult creditor(成人債権国)

Old creditor  (老人債権国)

Passive  Balanced  Active  Active  Balanced  Passive 

Id>S  Id=S  Id<S  Id<S  Id=S  Id>S 

国際均衡と国内均衡

何らかの変化は不均衡の徴候である︒ 生ずるところの不均衡である︒キンドルバーガーは経済発展の段階と国際収支及び国内の貯蓄•投資の関係を次の様に示している。又、キンドルバーガーはかかる長期趨勢的な発展段階に則して国際収支均衡をみるとき︑長期動態的均衡の条件が適用され︑輸出

( x )

と輸入

( M )

の差額に等しい自生的長期資本移動が存在

すれば均衡と見倣されると述べている︒さて︑貯蓄をS

I d

で表示す

X+ Id 11 s+ M

X

M=

S

I d

であるべきで︑発

展の初期の段階︵未成人債務国︶ー後進国ーでは︑国内投資は国内貯蓄を超え輸

均衡が生ずる︒更に発展せる段階︵未成人債権国︶ー米国ーでは国内貯蓄が国内

投資機会を超え

( I d A S )

輸出は輸入を超過する

(M AX )

衡は長期資本流出が超過貯蓄に足りないか︑超過貯蓄が海外の投資機会の量を超

えているためにおこるものである︒なお一層後の段階︵成人債権国︶では貯蓄ほ

国内投資に等しく長期資本移動の残高零である

( I d 1 1 S , X 1 1 M )

さてキンドルバーガーは長期趨勢的不均衡を資本形成︵貯蓄との関係にて︶と

先ず前者について︑長期不均衡の存在は︑国内投資と貯蓄の差が資本の流れと無関係で且つこれらの差が組織的 入は輸出を超える

(M

>X )

不均 入超が資本流入より大きい場合に不

(12)

る ︒

その場合輸入増加か輸出減少を要求する︒ 旧商品の偏輸出品的革新であれば輸出を増し︑ る ︒

一連の技術変化が であることより生ずる︒低開発国では充分の投資機会があり︑更に道路︑鉄道︑港︑電力︑土地開墾︑教育等が有利な投資に対する機会を作り出している︒他方︑デモストレーション効果は︑先進国の消費.^クーンの直接模倣により消費水準に新しい項目を加える消費に於けるデモストレーション効果と︑労働が豊富であるにも拘らず労働節約型装置使用のために投資を増すという生産に於けるデモストレーション効果により消費は上昇し貯蓄は減少す

一方老人債権国ー英国ーは︑技術革新者としての地位より脱落し海外の技術を模倣する段階に至り︑その国が

新しい商品の生産の用意をしている間に︑その商品を消費すれば︑消費は高まり貯蓄は減少する︒この段階の不均

衡は正の対外投資よりも小さい国際収支差額という形をとるか︑或は極端な形として収支赤字の形態をとる︒

次に技術変化に関してであるが︑困難は革新が成人国に集中しているという歪みより生ずる︒

停止した場合︑海外では投資が貯蓄を越え︑国内では逆の傾向に導くということ︒又は︑長期不均衡は常に同一方

向における一連の一時的な不均衡の累積を表わすかもしれない︒例えば均衡から出発すれば︑革新が新商品か或は

旧商品の偏輸入品的革新であれば輸入は減少する︒新しい均衡は

比較生産費の原理が一時的赤字をもつてこれをもたらすことができる

が︑新しい均衡が出現するや他の革新が生じると︑又新たな赤字が最初のものに附加され累積される︒

又︑技術が一定か︑緩慢に変化している場合︑資本の限界効率は発展の遅れている国の方が高いので革新国の資

本輸出は容易であるが︑技術進歩が急速であれば︑資本は国内で吸収されその輸出は行われ難く長期不均衡を高め

初、以上の長期趨勢的不均衡の匡正策は、対外貸付.借入を変更する対策か、国内の貯蓄•投資を変える貨幣・

国際均衡と国内均衡

(13)

面の構造的不均衡は︑ 続的な赤字に資金を給するというよりも︑ヨリ大胆な支出を鼓舞して長期的不均衡を増大したともいえよう︒

(I BR D)

が期待された︒又国連に於て︑主に米英の拠出により

( S p e

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国際均衡と国内均衡

財政政策に頼ることになるが︑もしもこれらが欠如している場合には︑為替切下げ策も悪くはないが︑

他の国に於けるよりもヨリ急速である技術進歩が価格の可成り急速な低下という形をとるという限られたケースで

のみ適切である︒又関税については幼稚産業保護論はさておき︑限界貯蓄性向の低い低開発国では︑支出を外国品

から国内品に転換させても多くの貯蓄を生むとはみえない︒対外貸付.借入の公的貸付としては国際復興開発銀行

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‑絲盆延国に開発資金の贈与を行う基金ーの設置が考えられたが実現しなかった︒

的投資は戦後は大部分直接投資で借手に歓迎されなかった︒問題は︑国際銀行やポイソトフォアは︑未成人国の継

最後に︵直︶の構造的不均衡について︑

自由主義者の主張は︑ キンドルバーガーは言う︑これは価格体系の悪調整であると︒@の財の

一般に国際貿易商品の需要もしくは供給の変化から生じている価格に対する資源の悪配置で

ある︒簡単な例を挙げてみよう︒趣好の変化のためにスイス刺繍に対する世界の需要が減少したとせよ︒この価格

は低下し輸出金額は下落するであろう︒この部門に従事していた生産資源は他の部門ヘシフトし且つ︑支出を減少

させるのでない限り国際収支の構造的不均衡を生ずるであろう︒この対策は︑価格システムの有効性を信じている

イソフレを停止し為替相場を調整することである︒為替切下げは国内財に比べて国際財の価

格を高め︑資源は他の輸出財か輸入競争財部門ヘシフトする︒他方計画主義者は︑資源は移動し難く︑生活水準は

容易に圧縮されず︑又価格弾力性は小として為替切下げを斥け輸入制限を主張する︒キンドルバーガーの主張ほ折

衷的で︑計画主義的方法は不均衡の著しい段階で妥当するが︑調整が進むにつれて徐々に自由主義的処方へと移行

五〇

(14)

は︑経済的変化と並んで社会的変化が必要とされるのである︒ .   練度の劣る労働を体化している財が輸出財となるという変化がおこるべきであったが︑これらの如何なる変化も起らず︑機械を労働に代えることもせず︑乱と相まって独乙の国際収支を著しく逆調化した︒対策は要素価格の匡正ー高利子︑低賃銀︑即ち一般的デフレ︑及び要素賦存量の匡正ー移民と資本輸入或はその折衷策である︒

なお︑同一国内に二組の要素比率と二組の要素価格が併存している二重経済

( d u a

l

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o n

o m

y )

が存在する場合

がある︒例えば︑低開発地域でみられるところの︑外国資本とその国の特殊要素としての労働と土地とが結びつい

た輸出部門と、国内資本と労働•土地が結びついた部門、その結果は労働と資本の限界価値生産物は両部門で大幅

に相異し︑賃金の差を生ずる︒二重経済は国際収支の構造的不均衡を招来する︒例えば︑右の国内部門が輸出部門

を模倣し︑資本家的労働節約的技術を使用しようとして外国資本を近ずけもせず又貯蓄も不足しているのに資本を

作らうとして︑過剰投資︑イソフレを招き長期的不均衡にみちぴく︒対策は国内部門への公的長期資本輸入である

︱つの市場経済への発展転換を以てすれば単一の組の要素価格と要素賦存が可能であり︑

すべしとする︒

Sの要素面における構造的不均衡ほ︑要素価格が要素賦存量を反映していないことより生じる︒例えば要素比率

の変化のために生ずる構造的不均衡の例として︑戦後西独乙では︑資本は二五形減少したが︑人口は避難民により

ニ四形増加した︒この要素比率の変化は︑賃金低下︑利子率謄貴︑労働による資本の代替︑又︑労働構成について

l四五才間の壮健な人口層の減少及び青少年︑老人︑婦人の増加がみられたのであるから︑

国際均衡と国内均衡

ヨリ熟

いぜんとして資本集約的な独乙特産品を作っているが︑このことは貨幣攪

この実現のために

(15)

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国際均衡と国内均衡

C.P•Kidleberger"International

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即ほ4土に19581翫~

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2527 

J 1i

国際不均衡論のすぐれた体系的労作は前記土屋六郎氏の﹁国際収支の理論﹂である︒片山貞雄氏には︑氏の﹁キンドルバーガ

ーの国際収支不均衡論﹂彦根論叢五十五号を通じて︑又直接本人よりも御教示を受けたことを付記して謝意を表したい︒

ハロッドは﹁国際経済学﹂改訂版第七章で不均衡の是正を論じている︒政策の目標は対外収支の均衡と同時に国

内における完全雇用の維持である︒総需要

( Y

d )

と潜在的供給力

( Y s )

ー完全麗用所得水準ーは意図されたるも

の即ち事前的概念で︑実現された所得

( Y )

との関係ほ次の如く示される︒HEKをもってそれぞれ国内向消

費財生産︑輸出向生産︑新投資財生産より得られる所得をあらわし︑h

. t Sをもってそれぞれ国内産消費財消

費性向︑輸入性向︑貯蓄性向をあらわし︑Nを以って資本財輸入額をあらわすとすれば︑

しかるに

Yd

Ys

を超過する場合には

(H

d̀

Ed

Kd

Ya

に応ずるものである︶

Yd

Ys

より小なる場合yはまた

Ys

Yd

11

Ys

は完全雇用均衡であり︑国際均衡は

E1

1i

Y+

N

という貿易均衡で示される︒ところで︑

Yd

11

Ys

が存

すると否とに拘らず事後的には

Y1

1H

+E

+K

=(

h+

i+

s)

Y で ︑

H=

hY

E+

K=

(i

+s

)Y

Nを両辺

(16)

必然的に国内貯蓄(sY)と国内投資(K+N)は等しくない。しかしながら雇用不均衡即ち、Yd~Ys

t i 全く事情

が異なり︑対外均衡の場合でもインフレか失業の形で雇用不均衡があり︑雇用均衡下でも対外不均衡はありうる︒

つの種類の不均衡に対する正しい救済策でも他の種類の不均衡も存在するか否かを考慮して政策を樹立しなければ

Yd

Ys

iY

+N

E即ち失業と出超がある場合︒例えば︑

政策︑換言すればリフレーション︒これにより投資

( K )

を増し︑従って所得

( Y )

を増し︑雇用を増加すると共

に︑消費財輸入

( i Y )

 

の見地よりみても︑ 一九三一ー一二九年のアメリカ︒対策は拡張

と投資拡張に伴う資本財輸入

( N

)

を増して貿易差額の均衡をはかりうる︒古典学派の金

流入ー物価騰貴ー輸出減少・輸入増加は︑貿易均衡を計って国内失業を高める結果となる︒右の拡張政策は善隣性

アメリカの失業を救済すると共に︑

及することになる︒又︑このケースはケインジャソ理論が妥当し︑且つニューディルの拡張主義政策の正しいこと

を論証するものであろう︒

ところでハロッドのこのケースをキンドルバーガーの循環的不均衡に則してみれば如何︒アメリカが不況で且つ

出超という事態を有するのは︑景気の始発国であるためと考えられる︒蓋し︑かかる未成人債権国(young

c r e d

i t o r

)  

の所得は最低生活水準を超えて高く︑且つ貯蓄率は高いと同時に私的国内投資を超えているので不況に陥り易く︑

借入国は国内貯蓄よりも国内投資率が高いという逆の傾向にあり易く︑米国からの資本輸入が中断した場合インフ

国際均衡と国内均衡

そこで︑国内均衡

(Y

d1

1Y

s)

と国際均衡

(E

11

iY

+N

輸入 )

( i Y )

の増加により外部世界についても回復力を波 の同時的達成のための救済策を考察するに当っては︑

E(iY+N)11sY(K+N)が成立する。即ち︑輸出

(E

)

が輸入

(i

Y+

N)

に等しくないならば

(17)

︵ 三

是正のための拡張政策は貿易差額不均衡を拡大し︑貿易差額改善のためのデフレ政策は失業を激化する︒対策は要

素報酬の引下げか通貨価値の切下げであるが︑前者の困難性のゆえを以てハロッドは後者を説く︒

Yd 八

Ys

NVE失業と対外不足に悩んでいる場合︒ みならず︑世界経済に対しても有利であるからである︒ 諸国︒対策はデイスインフレ政策︒デフレーションは投資

( K )

を減少させ︑貯蓄性向

( S )

を増加させ︵その逆

膨脹した利潤から貯蓄がなされて貯蓄性向

( S )

的供給力

s ) ( Y

まで引下げる︒他方︑このケースの如き場合には︑実現された所得

( Y )

は潜在的供給力

( Y s )

を超

ええないからこのインフレ・ギャップは価格騰貴か︑履行せられざる注文の形をとり︑レ・ギャップはむしろこの後者の形をとる︶

輸出

( E )

を増し︑輸入性向

( i )

したがって輸入

( i Y )

を減少せしめもって入超を修正する︒

又︑このデフレ政策は善隣性よりみても有益であろう︒世界が一般的に好況にあるならば︑この処方は当該国の

一九三一ー三九年の多数諸国︒この場合失業 デフレ政策は価格を引下げるか︑ のインフレの時は︑

︵ 二

デフレの場合はその逆︶

︵戦後ヨーロッパのインフ 一九四六ー五二年のヨーロッパ 国際均衡と国内均衡② レを惹超し易い理由を以て米国は景気の始発国と見傲され︑それは︑景気伝播のクイム・ラグのゆえに︑不況期にも出超をみる︒これ以外にも理由があるであろうが︑右のことが可能であるためには︑それらの理由が︑米国の輸入がその所得弾力性が比較的小である︵ヒンショウ一

O

︑チャング一・ニ七︑③ 

0 )

ということを打消すだけのものであらねばならないであろう︒

Yd

>Y s

NVE国内インフレ圧力があり︑

0・九九︑世界平均一・

かつ対外入超の場合︒

一般消費者は高価格が生産者にインフレ利潤をもたらす間は所得はそんなに高まらず︑他方︑

もって総需要

( Y d )

を潜在

履行せられざる注文を減少させ︑ 五四

(18)

ばるべきものである︒ が考えられている︒

の減少は全経済に対しEの増加と同じ効果をもっと考えてよい︒︶とられる手段が輸出を︑

て対外貿易が均衡する水準

(E

+b

.E

)

まで高めるごときものであるとする︒

誘発せられ︑これによってインフレ庄力を引きおこす可能性がある訳で︑これに対する対策として次の四つの対策

一︑輸出を必要額

( . 6 E

)

を忍ぶ方法︒この方法の難点は︑

に不利な影響をおよぼし︑初期の有利な効果を一部相殺することであり︑

二︑黒字財政︑購買税︑賦払購入の制限等の方法で一時国内消費を抑制し︑

国内需要

(A H)

国際均衡と国内均衡 だけ高めるに必要な手段︵例えば通貨価値切下げ︶をとり︑それに伴うインフレ圧力

インフレーションがそれの価格および引渡遅延におよぼす効果を通じて対外差額

インフレ圧力の発生を阻止する方法で︑長期的趨勢よりみて投資水準が低いと判断され 匡正手段の全効果が輸出を

6 . E

輸入性向

(i

)

国内の完全麗用を伴っ

インフレ圧力が短命と思われる場合に忍

輸出増加

(6

E)

に相当するだけの 輸出増加によって新投資

( L : ,

. K )

への効果がゼロであると仮定する︒ ところで善隣性の見地よりみれば︑この場合には一国の立場と世界の立場とに衡突がある︒もし世界が尖鋭化した不況に悩んでいるならば一国が価格引下げによる輸出増進策をとれば︑外国の困難を加重することになる︒国際通貨基金は^ロッドによれば︑この両者を調和させる国際信用の拡大のために十分ではない︒

さてハロッドはこのケースに成長理論を適用する︒輸出増加又は輸入品に代替する新国内需要に応ずるために新

投資が誘発せられるいわゆる加速度効果の問題である︒︵われわれが既に第一節で分析したところの有効需要

( Y d + 6 . Y d )

が生産力

( Y s + 6 . Y s )

を超えインフレ圧力を醸出するケースに類比すべきものと思われる︒︶

1

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