先入先出法と後入先出法 : ペイトンの所説を中心 として
その他のタイトル FIFO and LIFO
著者 清水 宗一
雑誌名 關西大學商學論集
巻 3
号 6
ページ 545‑566
発行年 1959‑02‑28
URL http://hdl.handle.net/10112/00021779
545
︵清 水︶
先入先出法と後入先出法
ペイトンの資産評価に関する見解が時価主義から原価主義へ転向してきたということはおよそ周知のごとくであ るが︑われわれが当面関心をもっているのは︑彼の見解が時価主義から原価主義へ大きく転向した時期における棚 卸資産会計論ではなく︑彼が原価主義を確立するにいたった一九三八年の﹁会計学要綱﹂以後の時期における棚卸 資産会計論である︒とはいっても︑この時期における彼の棚卸資産会計論の展開を綿密にあとづけることは容易な ことではないので︑この小稿では︑彼が先入先出法および後入先出法についてどのように考えているかということ ところで︑彼の一九三八年以後の時期における先入先出法観および後入先出法観の発展は大体つぎの二つの時期
に区分することができると思う︒すなわち︑第一の時期は︑先入先出法を推奨し後入先出法に反対している一九三 八年から四九年にいたる時期であり︑第二の時期は︑激化してきたインフレを背景として︑先入先出法を全副的に 支持する態度を修正してその長所のみならず欠点をも認めると同時に︑後入先出法に反対する態度を修正してその
先入先出法と後入先出法
に主題を限定して若干の考察を企てることにしたい︒ ーーペイトンの所説を中心として
清
水
宗
先入先出法と後入先出法 欠点のみならず長所をも認めるにいたる一九五二年以後の時期である︒小稿は︑彼の棚卸資産会計論を研究する一 斑として︑右のような先入先出法観および後入先出法観の発展のあとを追跡し考察することを主題としている︒
ペイトソの学説は︑わが国では古くから多くの論者によってとりあげられているが︑棚卸査産会計に関する比較的最近の文献としては、根箭重男『損益対応原則と評価原則』(「同志社商学」第二巻•第一
1
一号)、新井益太郎『ペイトソ資産会計』(「一橋論叢」第11一十一巻•第六号)、佐藤好孝『棚卸資産評価と先入先出法』(「会計」第六十七巻•第三号)などがある。なお、このほか︑ペイトンの棚卸資産会計論にふれたものとして渡辺進教授の諸論文をあげうる︒まず三八年の﹁会計学要綱﹂における見解からみていくが︑そこでは︑彼は先入先出法の性格をつぎのようにい
﹁送状原価を見積るもう︱つの方法は︑販売される財貨がつねに在庫品の中の最も古い受入分から先に
山払出されるという︑換言すると︑手許在庫品は最近の受入分からなっているという仮定にもとづいている︒﹂と︒
このような叙述にひきつづいて彼は︑先入先出法が棚卸資産の送状原価を評価する他のすべての方法よりも優先 的に採用されるべきであるとし︑その長所としてつぎのものをあげている︒
( 1 )
棚卸品の原価が実際の記録から組織的な方法でひき出される︒
( 2
いの場合において現在の市場価格の合理的な基準である︒ そのひき出された結果である原価は︑明らかに︑未実現損益を認識しない原価価値であるが︑それにもかかわらずたいて
)
( 3 )
物の動きに関する仮定ー継続的な順序正しい流れーは経営者ができるだけ厳重に固守しなければならない一条件をあらわ② すものである︒品質の低下や流行の変化を来しがちな物品の場合にはとくにそうである︒
って いる
︒
ここでは︑まずペイトンの先入先出法について検討しよう︒
二
︵清 水︶
一 四
547
そこでは︑彼は先入先出法の性格をつぎのようにいっている︒
すなわち︑原価要素は兵隊の縦隊のように行列をなして企業内部を動いていくのである︒その上に︑仮定されてい6 る動きは規則正しくて︑落伍するものはいないのである︒﹂と︒
出される点に着目して先入先出法を行列法として理解しているように思われる︒
先入先出法と後入先出法
ろう
か︒
︵清 水︶
て一層明瞭な形であらわれる︒では︑
はた
して
︑
一 五
最も古い受入分が最も早く払 ﹁この概念は文字通り︱つの流れを仮定している︒ ﹁序説﹂において彼は先入先出法にどのような見解を示したであ 出法の長所とみなすことには大体異論はないだろう︒
︵以下︑序説とよぶ︶にいたっ さて︑第一のことは︑彼が原価主義を論ずるさいにのべた﹁原価の使用に賛成するさほど重要でない考慮は︑③ 般に原価が記録から実際にひき出される価値をあらわすという事実の中にみられる
C
﹂彼においてもあまり重要視されていないようである︒また︑第二の前の部分にのべられているところは︑第一のこ
との当然の結果であるが︑原価主義を論じた箇所で﹁他のどのような基準を用いても必然的に未実現の損益を認識④ する結果になる﹂とのべているところからみて︑先入先出法が原価主義の評価方法であって未実現損益の認識とい
う困難な問題を生じないということを確認したのであると解せられる︒しかし︑それにしても︑彼が長所としての
べている右のことがらが原価主義の長所であって︑先入先出法に固有の長所ではないということを注意すべきであ
る︒つぎに︑第二の後の部分にのべられているところは︑期末棚卸品が時価に近い原価で表示される点をさすので
あり︑さらに︑第三のことは︑先入先出法の仮定と実際の物の動きとの一致に関することであり︑これらを先入先
固﹁会計学要網﹂の中でみられる右のような説明は四0年の﹁会社会計基準序説﹂
この叙述によると︑ という言葉から推察して︑
実現損益を認識しない原価である︒
( 1
)
多くの企業分野においては︑実際の物の流れは大ざっぱにいって仮定された流れに一致しており︑しかして︑経営管理上の蜆点からはもっと密接に一致することがしばしば望ましいだろう︒
( 2
)
この概念の下では︑棚卸品は最近に取得された要素の原価すなわち時価になんらかの関連を有する原価によって表示される︒
( 3
て確定的に測定されるようになる︒ 6
)
先入先出法は︑適用の点で簡単で明瞭であり︑しかして︑期末棚卸品と売上品原価とが帳簿記入原価によっ適用の点での簡単明瞭ということが有力な特色として考えられていることがすなわちこれである︒もっとも︑この
特色は﹁上級会計学﹂では明言されていないし︑また︑
されているにすぎず︑彼にあってはあまり重要視されていない︒
つぎに︑われわれは︑四一年の﹁上級会計学﹂に拠りつつ彼の先入先出法観を解明してみることにする︒ここで
彼が先入先出法の性格についてのべているところは従来と同様であるので︑早速︑その長所としてのべているとこ
ろをみると︑彼は︑送状原価を評価する方法としての先入先出法には技術的その他の面で重大な反対はなく多くの
重要な長所があるとして︑その長所をつぎのように要約している︒
( 1
)
棚卸品の原価が実際の記録から組織的な方法でひき出され︑そして︑そのひき出された結果である原価は未 以上の所論は﹁会計学要綱﹂のそれと同趣旨であるが︑ 彼は︑
先入先出法と後入先出法
︵清 水︶
﹁資産会計﹂でもうっかりすると見落すような箇所で論及 ﹁序説﹂を特色づける所論が認められないわけではない︒ つづいてさらに︑先入先出法の有力な特色について大要つぎのようにのべている︒
一 六
549
目を蔽うているのである︒
︵清 水︶
少し冗長かと思われるほどに︑ をさすのであり︑従来からの所説と変ったところはない︒
七
( 2
)
この方法によって得られる棚卸品の評価額は通常現在の市場価格とかなりに調和している︒( 3
条件をあらわすものである︒
m )
企業内部における物の動きに関する仮定は︑経営者が一般的にできるだけ厳重に固守しなければならない一﹁会計学要網﹂においては﹁ひき出された結果である原価は未実現損益を認識しない原価価値である﹂と⑧ いうことが第二にあげられていたが︑ここでは第一の中にはめこまれて叙述が著しく純化されている︒しかして︑
第二の長所としてあげているところは︑現在の財政状態の報告書としての貸借対照表に重点をおく側から原価主義
にあびせかけられる反対にも先入先出法が或る程度応酬しうるということを考えた上での主張であると推察される︒
第三の長所としてあげているところは︑物の動きに関する先入先出的仮定が経営管理上の要請に合致していること
﹁上級会計学﹂にいたるまでのペイトンの見解を検討してきたが︑以上でもって
先入先出法にまつわる問題がすべて解決されたわけではない︒というのは︑棚卸資産会計を論ずるときには︑損益
計算書と貸借対照表との両側面を念頭において論理を構成しなければならないにもかかわらず︑これらの著作を通
じて︑期末棚卸品の見地からの先入先出法の長所が強調されており︑損益計算書の観点からのその欠点が無視され
︐
ているからであが︒つまり︑彼は先入先出法が収益に現在の原価を対応させることができないということに対してO l h u
しかも︑このような問題点は四九年の﹁会計学要網﹂改訂版においても未解決のまま放置されているのである︒
l l
h u
最後に︑われわれは︑五二年の﹁資産会計﹂に拠って彼の先入先出法観を解明してみよう︒彼の見解は︑インフ
先入先出法と後入先出法
さて
︑
の中でこういっている︒ ち
︑彼
は︑
﹁先入先出法対後入先出法﹂という項目 る︒すなわち︑その一っは︑ ぜんとして前記の長所が語られているのであるが︑﹁上級会計学﹂と相異する若干の点があることに気づくのであ
さて
︑
ここでは︑先入先出法は︑ 先入先出法と後入先出法
レ事情を反映して﹁上級会計学﹂と﹁資産会計﹂との間において著しい発展のあとを示している︒
﹁原価要素が順序正しい行列をつくって日付順に押し合いすることもおきかえられた
q
^ i
U U
りすることもなく前に移動する仮定﹂にもとづくものであり︑﹁行列﹂手続であると考えられている︒
﹁上級会計学﹂で先入先出法の長所として考えられていた事柄に関する説明に眼を転ずると︑本書でもい
﹁上級会計学﹂にもみられる﹁この方法には技術的その他の面で重大な反対はなく︑⑳
nu
多くの重要な長所がある﹂という言葉のすぐ前に﹁期末棚卸品というただそれだけの見地からは﹂という言葉が附
加されている点である︒したがって︑もしも期末棚卸品という見地とは異なった別の見地に立つならば︑先入先出
法には欠点が認められることに示唆を与えているのである︒前掲の言葉は︑本書で従来の熊度をあらためて︑損益
計算書の観点から先入先出法の欠点を論じようとする彼の主張の︱つの表われとして見逃してはならないだろう︒
とこ
ろで
︑
いま︱つは︑期末棚卸品が時価に調和しているという長所が一層強調されていることである︒すなわ
﹁上級会計学﹂におけると同じ言葉でこの長所をのべたのち︑
﹁先入先出法が採用されるときには︑棚卸資産は大ていの場合大体現在原価で価格づけさ
れる︒それゆえ︑その結果は手持品の価値の意義のある基準である︒現在原価は運転資本の構成要素としての棚卸
資産を報告する唯一の健全な甚準であり︑利用できる財貨の利用計画を立案するさいに経営者にとって有用な唯一
ハ
の基準でもある︒﹂と︒このように彼が本書にいたって貸借対照表の観点よりの先入先出法の長所を強調していることは︑彼が本書にいたって後入先出法を採用するときの貸借対照表上の棚卸資産が運転資本の不正確な表示に帰着
︵清 水︶
一 八
SSI
先入先出法と後入先出法
にあ
る︒
︵清 水︶
九
産原価の期間的配分の結果を同一にするという事実を説明し︑先入先出法が異なる解釈や結論をうけにくい明確な
n u
明瞭な方法であることをのべている︒そして︑このことは︑適用の点での簡単明瞭ということをあげていた﹁序説﹂
a "
h u
・﹁先入先出法を弁護する重要でない論議がここにみられる﹂という言葉から推察して重
とこ
ろで
︑
﹁資産会計﹂の所説を特色づける最も重要な点は︑損益計算書の観点からの先入先出法の欠点が明瞭
﹁先入先出法は︑最近に発生せる原価を期末棚卸品の中に保持することにより比較的古い原価
を帳簿上収益に賦課されるべき費用とする︒換言すると︑先入先出法は︑収益と現在の原価とを対応させることが
できないので︑損益計算書の観点からは後入先出法ほど満足なものではない︒この点は回転率が高い場合にはあま
り重要ではないが︑或る場合には先入先出法を採用する結果ほ純利益の重大な過大表示または過小表示になるだろり
hu
う︒﹂と︒要するに︑彼の見解では︑先入先出法は収益に比較的古い原価を対応させる方法であるから︑価格変動
時には収益と費用とを同一価格水準的に対応させることができないと考えられている︒このように彼が本書にいた
って損益計算書の観点から先入先出法の欠点を認めていることは︑本書にいたって損益計算書の観点からの後入先
出法の長所すなわち価格変動時に収益と費用とを同一価格水準的に対応させる長所を認めていることと表裏の関係 ようにのべている︒ に認められているということこれである︒すなわち︑彼は︑﹁先入先出法対後入先出法﹂という項目の下でつぎの 要視されていないようである︒ の所論と同趣旨であるが︑ ついで︑彼は﹁先入先出法による貯蔵品の出庫﹂という項目の下で︑先入先出法は適用の仕方が変っても棚卸資
t
U
することを説いていることと表裏の関係にある︒
(8
)
(6
)
( 7 )
註
( 1 )
( 2 )(3
)
( 4 )
(5
) 先入先出法と後入先出法
以上で︑先入先出法に関するペイトンの所論を考察してきた︒しからば︑これといわば対賠的な後入先出法がい
かに解されるかは︑およそ想像がつくであろうが︑次項で後入先出法に関する彼の所論を考察することにする︒
W. A. Pa to ǹ Es se nt ia ls of A cc ou nt in g, 9 3 1 8 , p . 4 8 3 .
ibid••p.484.
ibid••p.482.
i b i d . , p . 4 8 1 . W. A. Pa to n a nd A. C. L i t t l e t o n
An ,
I nt r o du c t io n to Co rp or at e A cc ou nt in g S t an d a rd s 1 9 , 4 0 .
本書はリトルト
ソとの共著であるので︑ペイトソ自身の見解の表明であると断定することはできないが︑小稿の主題に関する限り︑
﹁会計学要綱﹂における考え方との論理的継ぎ目において矛盾がなく︑ペイトソ自身の見解がつよく押し出されている
ように思われる︒ちなみに︑﹁序説﹂と同じ年の小冊子
W. A. Pa t o n, Re ce nt n a d Prosp ec ti ve De ve lo pm en ts n i Ac co un ti ng T he or y, 9 4 1 0 . では︑後入先出法については詳細な説明を試みているが︑先入先出法については直接これ
を説明していないので︑この著作はここでは一応看過されてよい︒
Pa to n a nd Li t t l e t o n , o p . cit••p.78.
中'卑〖宰 gH 口訳「今 K社今 t
計基準序説」一三六頁。W. A. Pa t o n, Ad va nc ed Acc ou nt in g, 19 4 1 , p . 1 4 2 . 彼のつぎのような叙述をわれわれは第二の長所に関する説明とし
て把握しうるだろう︒すなわち︑﹁この原価評価方法によると︑回転の早い在庫品の場合には期末棚卸品は最近の二︑
三日または二︑三週間前の仕入品のみの価格で表示されることになるということが強調されねばならない︒換言すると︑
回転率が高い場合には︑先入先出法は最近の原価すなわち再調達原価の使用に近い︒﹂
( i b i d . , p . 1 4 2 . )
と︒しかして︑第
三の長所については︑彼はさらにつぎのような言葉を附加している︒﹁最後の点がとくに重要になるのは︑ゴムクイヤ
のように品質の低下を来しがちな物品の湯合である︒このような性質の物品は大体において受入順に販売または消費し︑
さもなければ発生するかもしれない品質低下にともなう損失を回避することが︑在庫管理上よい政策である︒﹂
( i b i d . , p . 1 4 2 . ) と ︒ もっとも︑このことを先入先出法の長所と考えることに問題があることはすでに指摘したとおりである︒なお︑このこ
︵清 水︶
四〇
553
先入先出法と後入先出法 ( 1
6 ) ( 1 7 )
( 1 2 )
( 1 3 )
( 1 4 )
( 1 5 )
( 1 1 )
(9 ) 0 ) ( 1
︵消 水︶
四
とに関連して参考までに附言しておくが︑ペイトンは︑再調達原価主義を採用すると︑価格が騰貴しておるときには未
実現利益を認識することになり︑価格が低落したときには未実現損失を記帳することになるとのべ
( i b i
d . ,
p . 1 5 1 .
)
︑ま
た︑低価法を採用すると︑未実現利益は一般に損益計算書から除かれる反面︑未実現損失ほ会計記録に入れられること
になるとのべている
( i b i
d . ,
p . 1 5 3 .
)
︒それゆえ︑損益計算書の観点からの先入先出法の欠点にも鋭く注視されなければならない︒
W. A. Pa
to
n,
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se
nt
ia
ls
o f Acco
un
ti
ng
, r e v. e d.
1 9 4 9 .
も︑いやしくも先入先出法に関する限り︑三八年の初阪と
同一視することができるのである︒
ペイトンはこの間の事情を大要つぎのようにのべている︒貨幣単位の経済力の重大な変動は利益計算の正当性をそこな
うがゆえに撹乱的である︒インフレ期には外見上の企業利益の大なる部分が架空的な性格をおびてくる︒通常の会計計
算によって示されるごとき企業利益は︑購買力の観点からみれば︑戦後の数年間を通じて幾十億も過大表示されてきた︒
かかる過大表示された利益額に課せられる税金は真実の利益からよりもむしろ菩稜資本から支払われてきたのである︒
(W
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,
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ic
s,
1 9 5 2 , p p . 1 5 9 1
6 0 . )
W. A. a P
to
n a nd W. A. Paton,
Jr . A,
ss
et
Acco
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,
1 9 5 2 , p . 6 0 .
i b i d
. ,
p . 6 3 .
i b i d
. ,
p . 6 9 .
i b i d
. ,
p . 6 7 .
このように︑本書において︑運転資本という面に眼を向けて先入先出法および後入先出法を論じているこ
とは︑﹁棚卸資産を論ずるさいには︑棚卸資産会計が二つの主要な面︑すなわち
(1 )
運転資本の測定におよぽす影響
(2
)期間的利益の測定に及ぼす影響︑をもっていることを認識しなければならない︒﹂
( i b i
d . ,
Pr
ef
ac
e
p
. 6 . )
という緒
言における意見の具体的展開とみてよいだろう︒
i b i d
. ,
p . 6 4 .
i b i d
. ,
p p
. 6
9 7
0 .
いる
︒
いっ
てい
る︒
と ︒
先入先出法と後入先出法 前項でみた先入先出法につづけて︑ここでは彼が後入先出法をいかに考えているかを検討しよう︒
まず︑三八年の﹁会計学要綱﹂における見解はどうであろうか︒そこでは彼は後入先出法の性格について﹁この
①
方法を採用することによって手許在庫品はつねに最も古い在庫品からなると仮定されている︒﹂といっている︒
彼はこの叙述にひきつづいて後入先出法に対する反対意見をおよそつぎのようにのべている︒
後入先出法の特有の長所は営業純益の安定化であると主張されている︒最近の受入分を売上原価に課することは︑
価格の騰貴時には︑売上原価を増大させて純利益を減少させる傾向があり︑価格の下落時には︑売上原価を減少さ せて営業成績の表示を一層よくする効果がある︒後入先出法のいわゆる長所に関するこの言葉はその本質的弱点を 示している︒すなわち︑後入先出法は変動しつつある営業のさいに安定化の外観を人為的にもたらす傾向がある︒
こうして︑ここでは︑もっばら損益計算書の観点から利益の人為的な安定化を理由に後入先出法に反対している
ので
ある
︒
つぎに︑四0
年の﹁序説﹂において後入先出法にどのような見解を示したかをみるに︑その性格をつぎのように
﹁この概念の下では棚卸資産ほ本質的に固定資産であり︑当期の費用の流れと無関係と考えられてい る︒すなわち︑棚卸資産の溜りが一度満たされると︑すべての原価要素は棚卸資産を通り抜けて直ちに販売に附着
② すると仮定されている︒﹂
この言葉の中に後入先出法が﹁通り抜け﹂仮定にもとづくとする考えがあらわれて ︵清
水︶
四
555
彼は
︑
︵清 水︶
つづいてさらに︑後入先出法に対しておよそつぎのような反対意見をのべている︒
四
( 1 )
一般の企業についてこの概念が物の実際の事情と一致しないことはいうまでもない︒その上︑もし財の流れ
が実際にそのような型に従うとすれば棚卸資産中品質低下による損失は莫大なものとなるだろう︒
( 2
報告書で補充することによって解決できるのである︒ ③
)
人為的に平準化された利益は特定の年度の利益として報告されてはならない︒年次報告書を累積的︒平均的これからみると︑後入先出法による利益の人為的な平準化に反対するだけにとどまらないで︑累積的報告書の利
用が提唱されているし︑また︑後入先出法の仮定する原価の流れが物の実際の動きと一致しないという重要な反対
理由が追加されている︒けれども︑これによって後入先出法をめぐる問題がすべて解決されたのではない︒という
のは︑後入先出法を採用する場合の棚卸資産の貸借対照表価格が古い時期の原価しか表示しないという点について
は︑ここでは︑ペイトンから直接なにも聞くことができないし︑また︑後入先出法支持者の論拠である後入先出法
が現在収益に現在的費用を対応させる方法であるということがどのように考えられているかという点も明らかでな
しかるに︑このような﹁序説﹂の所論を補充しているのが四0年の﹁会計理論の最近および将来の発展﹂である︒5 凶ここでも︑前記の不一致を説明しているし︑また︑利益の人為的な安定化に反対しているが︑それだけではない︒
すなわち︑彼は︑収益に最近の原価を対応させることによって一層意義のある営業資料が示されるとなす後入先出
法支持論に異論をとなえ︑後入先出法は年度末の価格を収益に賦課することにはならないのであり又管理上最近の山原価を売上品よりも手持品に対して適用する方が一層有用であると主張している︒また︑後入先出法によると期末棚
先入先出法と後入先出法
いか
らで
ある
︒
先入先出法と後入先出法︵清水︶
卸品は時価に比べて過大表示または過小表示されるとして貸借対照表の観点からの後入先出法の欠点を認めている︒
さらに︑出庫品の価格づけにさいし後入先出法が当該年度を通じて継続的に払出のつど適用されるときと全体とし
ての当該年度の資料によって適用されるときとでは異なった結果が生じるという事実を技術的な反対理由にあげて固いる︒総じて本書における見解は﹁上級会計学﹂のそれにかなり接近している︒
そこ
で︑
つぎに︑四一年の﹁上級会計学﹂における後入先出法観を少したちいって検討することにしよう︒
ここでは彼は後入先出法の性格についてこういっている︒
最近に発生した費用をもって構成されることを仮定している︒換言すると︑その方法は︑在庫高が蓄積されてしま
うまでは在庫品のために財貨が取得または製造されるということ︑また︑その後は発生した原価全部がすぐに営業6 費となるということを仮定している︒﹂と︒この叙述によると︑
さて︑彼は種々の観点から後入先出法に徹底的に反対しているので︑以下それらを順次考察することにしよう︒
まず︑彼は﹁期間的費用および収益に及ぼす後入先出法の効果﹂という項目の下で損益計算書の観点から後入先
出法を考察し︑真実の利益を算定するために期末の一般価格水準により測定される費用すなわち時価
(c
ur
re
nt
pr
ic
es
).
を当期収益に賦課しなければならないという見解を引合いに出す後入先出法支持論に反対意見をのべてい
る︒いま︑彼の所説の真意を害しない程度に自由に解体して彼の考え方を示すとつぎのとおりである︒
収益に賦課されるべき原価は当該期間中およびそれ以前に発生せる実際原価であって再調達現在原価ではない︒
また︑後入先出法を採用したからといって年度末の価格水準にもとづく原価を収益に賦課することにはならない︒ 考えられている︒ ここでも後入先出法は通り抜け仮定にもとづくと ﹁後入先出法は︑使用または販売される財貨の原価が 四四
557
︵清 水︶
四五
それゆえ︑後入先出法が再調達原価主義であるかのように解して後入先出法を支持するのは誤りである︒後入先出 法によると︑最近の原価を収益に課することになるが︑経営管理目的の上からは最近の原価を売上品よりも棚卸品
に適用する方が有用である︒
つづいてさらに︑同じ項目の下で︑純利益の期間的変動を減ずるのに役立つという見解に立つ後入先出法
﹁会計学要綱﹂以来のべられてきた意見であり︑その内容にはここでた ちいるいとまがないが︑会計は客観的事実をありのままに把握すべきであるのに後入先出法は人為的に利益を平準
⑧
化する会計方法であるということがますます強調されているのである︒
つぎに︑彼は︑先入先出法の採用は﹁単なる棚卸資産値上り﹂の形での未実現利益を認識することになるので後 入先出法の方が好ましいとする後入先出法支持論に反対意見をのべているので︑それをみておこう︒
彼は︑先入先出法を採用すると価格の騰貴する時期には期末棚卸品が期首と同一数最であるのに期末棚卸品原価 は期首のそれよりも多くなり未実現利益を認識することになると考えることに異論をとなえるのである︒
つま
り︑
彼によると︑現品数量が変らないのに期末棚卸価格が増額することは一層多くの資本が投下されたことを意味する
︐
のであって未実現利益の認識とはかかわりのないことであるというのである︒しかして︑彼は﹁期末棚卸価格の増 額分だけ利益が多くあるにもかかわらずこの利益部分を直ちに現金配当に利用しえない﹂がゆえに先入先出法によ ると未実現利益を認識することになると考えることにも異論をとなえる︒
つまり︑彼にあっては︑現金形態で資産
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が増加するのでなければ未実現利益を認識することになるという見解は誤りであると考えられていな︒このようなl l
Hu
意見はそのまま先入先出法への弁護論とみなしてよいのである︒
先入先出法と後入先出法
支持論に反対意見をのべている︒それは︑
彼は
︑
準的実践中には後入先出法の採用を助長するものは全然ない︒ い
る︒
先入先出法と後入先出法
さらに︑彼は︑物の実際の動きと物の使用順序についての後入先出法的仮定とが一致しないとの理由で後入先出
物の実際の動きの意味での後入先出ということは確立せる政策としては望ましいことは稀であるし︑また︑実践
上後入先出的順序での使用方法が長期にわたって実施されることは稀である︒事実もしこのような財貨取扱方法が
採用されるとすると品質低下による損失は莫大なものとなるだろう︒他の条件が全然同一であるならば︑外部の諸
O l hu
条件すなわち諸資産の客観的管理方法と調和する会計上の概念と方法を採用する方がよいであろう︒
さて︑この所論をさきにみた所論と比べると︑そこには微妙な変化が認められる︒他の条件が全然同一である限
り物の実際の動きと一致する仮定を設ける方がよいという意見が語られていることこれである︒それゆえ︑もしも
他の条件が加わるならば︑
d .
u
であ
る︒
不一致にこだわって後入先出法を非難することができないということを示唆しているの
最後に︑彼は貸借対照表の観点から後入先出法を考察し後入先出法に対して大要つぎのような反対意見をのべて
( 1
)
後入先出法の支持者は︑棚卸資産は正常在高までは固定資産でありそのように評価されなければならないという︒しかるに︑後入先出法が固定資産に適用されるとその後の固定資産原価が当初の原価とどれだけ変っても固
定資産の期末棚卸高は当初の原価に釘づけされる︒このような処理はよき実践に反する︒また︑固定資産会計の標
( 2
後入先出法を採用して誘導される棚卸資産原価は時価を上廻りまたは下廻る︒重要な資産が後入先出法によ
)
法におよそつぎのような反対意見をのべている︒︵清 水︶
四六
559
ない
ので
︑
︵清 水︶
引
Hu
って評価されている貸借対照表は信頼できるはずの現在状態を正しく表示するものではない︒
四七
こうして︑ペイトンは﹁上級会計学﹂においては叙上のようなあらゆる観点から後入先出法に徹底的に反対するハのである︒このような態度は四九年の﹁会計学要綱﹂改訂版でも変らないのである︒
しからばつぎに︑五二年の﹁資産会計﹂における後入先出法観はどうであろうか︒彼の見解はインフレを反映し
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hui て著しい転換を示しているのである︒後入先出法が﹁通り抜け﹂仮定にもとづくと考えられていることには変りが
﹁上級会計学﹂においてのべられていた反対意見がここでいかに考えられているかについて検討しよう︒
まず︑前述の不一致についてみるに︑
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されているのである︒しかし︑反面︑ ﹁物の実際の流れと原価の流れ﹂という項目の下でほぼ同様の所説が展開
﹁最終のテストはつねに有用性である︒物の実際の配列や連続を或る程度無
視する財務資料の配列から一層意義のある有用な結論を導き出しうることを証明できるとすれば︑かかる配列が不り
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適当もしくは無価値であると主張してさしつかえないわけではなかろう︒﹂と附言していることは注意すべきであ
ろう︒この言葉から︑彼はインフレ時に後入先出法によって一層有用な結果を導き出しうることが明白であるのな
ら前記の不一致を理由にして後入先出法を排撃できないと考えていると解さなければならない︒
つぎに︑貸借対照表の観点からの後入先出法の欠点に関する説明に眼を転ずると︑ここでも︑後入先出法によっ砂
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て誘導される棚卸資産の原価が手持品の時価をはるかに上廻りまたは下廻ることがあると説いているのであるが︑
しかし︑この欠点は本書にいたって一層強調されている︒すなわち︑後入先出法を採用するときの棚卸資産は︑価餅格の下落期にほ運転資本の過大表示となり価格の上昇期には運転資本の過小表示となるので︑貸借対照表目的のた
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めには全く誤解に導くものであり︑予算活動および関連活動において経営者によって無視されなければならないと
先入先出法と後入先出法
以上
で︑ 先入先出法と後入先出法
﹁期間的売上原価および利益に及ぼす後入先出法の効果﹂という項目の下で損益計算書の観点から後入
先出法を考察しているので︑それをみておこう︒本書で﹁後入先出法は︑最近の取得品の原価を収益に賦課するけ
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売上高に年度末の再調達原価を賦課しようとするものではない︒﹂とのべているところは︑後入先出法を
れど
も︑
再調達原価主義であるかのように解してこれを支持することに異論をとなえていた﹁上級会計学﹂の所説と同趣旨
であるが︑最近の原価を売上品よりも棚卸品に課する方が有用であるとする考えをあらためて︑最近の原価を収益
に課することを後入先出法の長所として認めているのである︒いまこれを彼の説明にきけば︑
と︑帳簿原価の中の最近の原価が当期収益に賦課される結果︑収益と費用との両方が大体一般価格水準によって表
示されている︒価格変動が実際在高の持続ということに及ぼす影響が利益計算のさいに除去されるか最小にされね
ばならないとすればこれが望ましい︒この点がとくに重要になるのは︑価格変動が一般的であって結局貨幣価値の
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変動になるような時期である︒﹂と︒上述のことから︑彼は︑後入先出法は収益に最近の原価を賦課せしめるから閾価格変動期には収益と費用とを同一価格水準的に対応させる長所を有していると考えていると解すべきであろう︒
最後に︑報告利益の期間的変動を人為的に減ずるのに役立つという見解に立つ後入先出法支持論に対しては︑こ鴨こても︑利益の人為的な安定が望ましくないことを説いているが︑しかし︑その反面︑インフレ状態の下での後入
先出法の重要性は︑利益の期間的変動を最小にするという後入先出法の悪い面に立ちまさるものがあると考えられ
四
ているように思われる︒さら
に︑
﹁資産会計﹂における後入先出法観を﹁上級会計学﹂におけるそれと比較検討したのであるが︑つぎに︑
いう
ので
ある
︒
︵清 水︶
﹁後入先出法による 四八
561
先入先出法と後入先出法
( 3 )
( 2 )
( 1 )
︵清 水︶
﹁後入先出法の適用から生ずる棚卸資 五五年の﹁株式会社の会計と財務諸表﹂における後入先出法観はどうであろうか︒
まず︑貸借対照表の観点からの後入先出法の欠点については︑ここでも︑
四九 産は往々時価と著しくかけはなれている︒説明または限定なしに貸借対照表においてかかる棚卸資産を用いること⑳ は非難をうけやすい︒﹂ということを指摘しているが︑この欠点はそれほど強調しておらない︒
つぎに︑彼は︑ここでも損益計算書の観点から後入先出法を考察している︒いま︑その所説を自由に解体して彼
の考え方を示すとつぎのようになる︒後入先出法を採用したからといって︑再調達原価を収益に賦課させることに
はならないし︑また︑そうかといって現在のドル貨幣に換算した実際原価を収益に賦課させることにもならないが︑
後入先出法によって︑比較的最近の原価が収益に賦課されることになる関係で︑後入先出法はイソフレ期には利益り
n 3
の過大表示を防止しえて損益計算上再調達原価主義の効果を発揮するのである︒
W. A. Pa t o n, E ss e n ti a l s o f Acc ou nt in g, 19 3 8 , p . 4 8 4 .
ほぼ同じ時期にメイですら利益の平準化の傾向を後入先出法の大きな長所であると考えていた(拙稿『メイの後入先出法観』(「企業会計」第十巻•第七号))ところからもペイトソのこ
の見解ほ首肯しうる︒そして︑ペイトン自身︑言明しているわけではないが︑かかる平準化が行われるさいには企業が市
場価格の変動を利用してえたる投機的活動成果は各期間損益に大部分反映されないことになるわけである︵植野郁太﹁企
業会計理論﹂一四八頁︶︒
W. A. Pa t o n, an d A .C . L it tl et on
̀A n I n tr o d uc t i on f o Co rp or at e A cc ou nt in g S t an d a rd s , 1 9 4 0 ,
pp~78~79.
訳書、
︱︱
︱一 六ー 一三 七頁
︒ i b i d . , p . 7 9 . 訳書︑一三七頁︒さらに彼が後入先出法概念がすべての発生原価についてコンシステントな取り扱いを仮定
するものでないと説いている点
( i b i
`
d .p . 7 9 .
訳書︑一三七頁︶もまた後入先出法に対する反対理由として把握しうるだろ
562
( 1 3 )
( 1 4 )
( 1 2 )
( 9 )
( 1 0 )
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( 4 ) ( 5 )
( 6 ) ( 7 ) ( 8 )
先入先出法と後入先出法
W. A. Pa t o n, Re ce nt an d Pr os pe ct iv e D ev el op me nt s i n A cc ou nt in g T he or y,
1巻
,
p . 1 5 . i b i d . , p . 1 6 . W. A. Paton,
Ad va nc ed Ac co un ti ng , 1 9 4 1 , p . 1 4 3 . i b i d . , pp .1 45 1 46 . i b i d . , pp .1 46 1 47 .
なお︑参考までに附言しておくが︑彼が基礎在高法を論ずるさいにのべた﹁企業の技術的活動に由来
する損益を一般価格水準および他の経済状態の変化に帰因する損益から区分することは原則的に望ましいけれども︑ひど
く人為的であるということもなくまた誤りに導くということもないようなやり方でこのような区分を行うことはほとんど
不可能である︒﹂
( i b i d . , p . 1 6 0 . )
という言葉もそのまま後入先出法への批判としてきくことができる︒
i b i d . , pp .1 47 1 48 . i b i d : , p . 1 4 8 .
いま問題とする点についてほ︑彼は﹁会計理論の最近および将来の発展﹂においても︑すでにかなりの検討をなしていた︒
すなわち︑そこでは彼は︑後入先出法の採用によって棚卸資産価格の変動の影響を報告利益から除外し︑それゆえ︑利益
の表示をば企業がその真の営業機能の遂行を通じて実現した金額に制限することができるという見解に異論をとなえる︒
彼の考え方でいくと︑売上高がかかる売上高に負担させうる発生原価を超過するときはいつでも認識できる利益が実現し
ているのであり︑しかして︑この利益ほ或る一部が一層高い価格での新しい原価要素の取得に使用されるという事実によ
ってなくされたり変えられたりするものではないというのである
( P a t o n , Re ce nt an d Pros
pe ct iv e D ev el op me nt s i n Ac co un ti ng Th eo ry , p . 1 5 .
) ︒こうして︑彼は先入先出法を採用すると未実現利益を認識することになるという考えを言
外に否定している︒
﹁上級会計学﹂におけるこのような見解は︑かかる不一致にもとづく後入先出法非難を緩和している﹁資産会計﹂におけ
る見解と対比すると興味ぶかい︒
W. A. Pa to ǹ Ad va nc ed Ac co
且
t i n g , pp .1 49 1 50 .
四九年の﹁会計学要綱﹂改訂版における後入先出法の取り扱いは三八年の旧阪におけるとほぼ同一である︒ただその相異
は︑改訂版においては︑物の動きが後入先出法の基礎をなす仮定にめったに一致しないという理由で後入先出法に反対す
︵清 水︶
五〇