論文審査の結果の要旨
氏名:山 本 崇 申
博士の専攻分野の名称:博士(歯学)
論文題名:Effect of barrier permeability on rat calvarial guided bone augmentation model
(ラットGBAモデルにおけるキャップ天蓋の透過性が骨増生に及ぼす影響)
審査委員:(主 査) 教授 米 原 啓 之
(副 査) 教授 佐 藤 秀 一 教授 髙 橋 富 久
教授 本 田 和 也
重度歯周病等によって歯を喪失すると, インプラント埋入を行うための十分な骨量が不足するた めに, 骨増生を必要とする症例が数多く認められる。とくに, 垂直方向に増生させることは臨床的に 非常に困難とされている。その原因の一つに, 垂直方向ではスペースの確保が困難であることや骨再 生に必要な血液や幹細胞などの再生に必要な因子が供給されにくくなるためではないかと考えられる。
そこで, 本研究ではラット頭頂骨 guided bone augmentation (GBA) モデルを用いて, キャップ天蓋 の透過性を変化させ, 天蓋部から再生に必要な因子が供給される条件下での垂直方向 (骨外側方向) の骨増生について放射線学的および組織学的に検討した。
実験に用いたキャップは, 天蓋の透過性を変化させるために以下の方法で作製した。(1) 天蓋をす べて除去し, キャップを円柱状にした開放 (OP) 群 (透過性:100%), (2) 天蓋にラウンドバー (No.4) を用いて 3 つ孔を形成した (TH) 群 (透過性:30%), (3)天蓋をそのまま保存した閉鎖 (OC) 群 (透過性:0%) の 3 群である。それぞれのキャップを接着性レジンで移植部に固定し, 骨膜でキャ ップが完全に覆われるように骨膜を慎重に縫合した後, 皮膚を縫合した。
キャップ内の骨増生の観察は, 術直後を 0 週とし, 2 週ごとに実験動物用 3D マイクロ CT によ る画像解析を 12 週間行った。関心領域を画像化し, i-View ソフトウェアを用いて画像を再構成した。
関心領域内における増生骨量 (BV) は, 骨体積計測ソフトを用いて定量的に評価した。組織学的解析 は, ヘマトキシリン-エオジン (HE) 染色, または, 層板骨および軟組織の観察のためにマッソント リクローム (MT) 染色し増生骨を評価した。定量分析は, 光学顕微鏡下で各群の HE 染色および MT 染色切片中のキャップ内組織をデジタル画像化した後, 画像解析ソフト ImageJ を使用してキャップ 内における増生骨と層状骨の面積をそれぞれ算出した。さらに, 増生骨の組織切片において光学顕微 鏡下に骨芽細胞数を計測した。
その結果, 以下の結論を得ている。
1. HE 染色および MT 染色切片の組織像からキャップ天蓋の内面に沿って増生骨が OP 群以外の群で 観察された。
2. OP 群ではキャップ内への軟組織侵入が最も多く観察され, 増生骨はほとんど認められなかった。
3. MT 染色における濃赤色部の面積は TH 群で有意に増加することが認められた。
4. 骨芽細胞は, OC 群およびTH 群において OP 群と比較して有意に多く観察された。
以上のように, 本研究は, 垂直方向の骨増生を促進させるためには, 骨増生に使用する遮蔽膜に 適度な透過性が必要なことを明らかにしたものであり, 歯周病学ならびに関連歯科領域分野に寄与す るものと考えられた。
よって本論文は, 博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。
以 上 平成30年3月7日