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「自分の育て方」をどのように支えるか

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Academic year: 2021

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明星大学発達支援研究センター紀要 MISSION March/2018 No. 3

Takehiko Koto:株式会社ベネッセビジネスメイト

ベネッセビジネスメイトについて

 ベネッセビジネスメイトは、教育や介護などの 事業を展開するベネッセグループの特例子会社と してグループの障がい者雇用を進めている。多 摩・新宿・岡山の3拠点でメール、クリーン、O Aセンター、オフィスサービス等を提供し、多摩 ではベネッセ・スター・ドーム(プラネタリウム)、

教育情報図書館、アルバイトセンターなどの施設 運営も請け負っている。

 障がい者雇用状況は社員数

209

名のうち障がい

136

名で、知的障がい者が半分、残り半分を精 神障がい者と発達障がい者が占めているが、ベ ネッセビジネスメイトは「市場競争力を持つ会社 になる」と明言していることからもサービス品質 には妥協せず、親会社から金銭的補助も受けずに 事業活動を行っている。そのため例えばクリーン は清掃品質で第三者機関から高い評価を得ていた り、スター・ドームは他社とのコンペを経て受託 決定するなど、「障がい者だからこのくらい」と いうことではなく、サービスレベルは市場競争力 のあるレベルを維持している。最近では、ベネッ セグループの間接業務を統合していくシェアード 化の中核会社としての側面も担うようになってき ている。

特例子会社と自分の見つけ方

 いわゆる健常者の一般採用では、多くは総合職 としてまずは採用され、入社後いろいろな業務を 経験しながら最もマッチする業務にあわせていく ケースが多いと思われる。

 一方、障がい者は全く何もできないのとは違う が、何かできないこと・難しいことがあるのであっ て、そうした特性の方に入社後に自分探しをさせ るわけにはいかない。特性上の苦手がメインの仕 事になってしまうと二次障がいも引き起こしかね ない。そのため、入社前にある程度自分を分かっ ておく必要がある。何ができて・何ができないか、

必要な配慮が何か、それらを就職時に会社側に伝 えることができないと、入社後の業務マッチング で大変苦労することになる。

 それは働き方を選ぶことでもある。総合職を目 指すということは競争環境に置かれるということ であり、ハンデがあっても自分で努力して何とか するということである。給料や得られる職種の幅 は広い一方、ストレスや心身の調子を崩してしま いかねないデメリットもある。一方、障がいをオー プンにして働く場合は、自分の強みと弱みを会社 に伝えて、できる仕事をすることになるから、自 分の特性に合う働き方ができる可能性は高い。た だし、やりたい仕事の選択肢は狭まったり、給与 が理想的でないことはあり得る。

 発達障がい者の方は、色々なことができないと

【公開シンポジウム要旨】

発達障がいのある人の「自分の見つけ方」

「自分の育て方」をどのように支えるか

虎 頭 雄 彦

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29 発達障がいのある人の「自分の見つけ方」「自分の育て方」をどのように支えるか

思いこむ方も多いが、できることもある。発達凸 凹と言われるように凹だけでなく凸もあるのであ る。ただし凹をどうするか、自分で埋められるの か、助けがいるのか、その程度によって合理的配 慮や支援の必要度が変わってくる。

 従って、入社前に自分の特性をある程度把握で きていることを前提とした上で、弱みの部分を自 力で補いながらも競争環境で頑張る働き方を選ぶ のか、弱みの部分は明らかにして配慮を得ながら 無理せず長く働く働き方を選ぶのか、ということ になる。

 配慮を得ながら働くことを選択した場合、我々 のような特例子会社も選択肢の

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つである。特例 子会社制度・グループ適用制度は、企業グループ が法定雇用義務を達成するため、特例子会社にて 障がい者の雇用と管理を集中的に行うことを可能 とする制度である。企業は雇用を集中化できるた め効率的であり、障がい者は理解や配慮を得やす い環境が最初からあることがメリットであろう。

現在、民間企業での雇用障がい者数約

45

万人に 対し、特例子会社は全国に約

420

社であり、そこ で働く障がい者は

2.4

万人である。

入社後の育成、特例子会社の育て方

 特例子会社では障がいをもったメンバーに安心 して長く働き続けてもらえるよう、業務開拓、制 度整備、支援体制に日々力を入れている。

 業務開拓では、親会社が外注している業務を引 き取り内製化することが基本の考えであり、業務 を障がい者個々の特性に合わせて分解し、適材適 所に配置してゆく。そのため、マニュアルやチェッ クシート、支援ツールも必要になる。配置の例 では発達障がいの方で電話が苦手な方には電話対 応はさせないとか、視覚情報に強い方には口頭 指示だけにはせず文字で書いたり図で示す場合も ある。優先順位をつけられない方が多いため業務 は基本的に一つずつ渡していく。雑音が気になっ てしまう方には支援機器でノイズキャンセリング ヘッドホンなども渡している。

 支援体制では、障がい者には入社後指導員が付 いてサポートする体制をとっている。ベネッセビ ジネスメイトの場合、指導員は業務OJTを兼任 しているケースが多い。障がい者が指導員とのコ ミュニケーションに困るケースも想定し、会社で は相談箱やヘルプデスクも設置して、指導員以外 の相談先も確保している。コミュニケーションと そのツールは色々用意しながら、例えば日報、日 常のコミュニケーション、第三者面談など、障が い者本人がとりやすいコミュニケーションで意思 表示や相談できる体制を作っている。また、会社 外の支援体制としては月

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回の臨床心理士との定 期面談や産業医面談を設けている。その他には、

入社時には必ず支援機関登録してもらい、プライ ベートでの相談に乗ってもらえる体制を整えてい る。

 人事制度では、ベネッセビジネスメイトでは障 がいの有無に関係なく人事制度は一本となってお り、障がい者と健常者で評価を分けてはいない。

従って頑張り次第では障がい者も管理職になるこ とが可能である。ただそのベースとしてまずは業 務を安定遂行できることが必要である。通常入社 後しばらくはベースをしっかり作ることに時間を かけ、徐々に業務拡大しながら、管理職に向かう のか、自分の強みを活かせる領域でもっと伸ばし ていくのか、キャリアアップを検討していくこと になる。その他、勤務時間は基本は日7時間のフ ルタイムだが短時間勤務制度もあり、通院休暇も 取得できる。

最近の傾向

 最近面接をしていると、いわゆる「就労準備性 ピラミッド」のベースにある気力、体力、生活面 などがまだ十分でない方も見かける。資格やスキ ルよりも、長く働き続ける意欲・体力・ペースが 何より大事である。特に日常のストレス対処や、

困難に遭遇して落ち込んだ時に自分で気を取り直 して戻ってこられる回復力(レジリエンス)が重 要ではないかと考える。なぜなら、重い病状から

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の回復期を経て社会復帰し、知らない人たちと新 しい環境で働く、ということはそれだけでも十分 ストレスであるが、加えて会社や仕事は常に動い ているので、大なり小なりのストレスに毎日さら されることになるからだ。会社に入ってからレジ リエンスを鍛えるのは難しく、困ったときに相談 できる方法を知っている、自分なりのリラックス 法を持っている等がないと、安定して働き続ける ことができない。そうした力をなんとか入社前後 で高められないか、今地域の支援機関と一緒に研 究をしている。

 また、障がい者の働き方では東大先端研の近藤 先生が「超短時間勤務」を提唱され、法定雇用率 にはカウントされなくても、

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時間だけでも 働ける機会提供を呼びかけられている。この考え はベネッセビジネスメイトのアルバイトセンター で実践可能である。親会社から業務を既にアルバ イトセンターに集約済であり、現在そこで地域の 主婦、学生中心に働いてもらっているが、障がい 者の方に短いシフトから入っていただくことが可 能だからである。明星大学様にもご協力いただき ながら、発達障がいのある学生にアルバイト登録 してもらいシフトに入ってもらっているが、働く 経験、学業とアルバイトの両立、仕事での成功体 験などを積み重ねることができ、よい社会経験、

よい就活につながればと考えている。

「自分の見つけ方」まとめ

 入社前に、特性からくる自分の凸凹を把握し、

凹を自分で埋められるか、助けが要るか、どのく らいかを考えることが第一で、その上で自分に あった働き方を選んではどうかと提案したい。入 社後は早く先輩のようになりたいと焦らずに、ま ずは安定勤務のペースをつくり、その上で一つず つできることを増やしていけるとよい。そのため には、日常のストレス対処法をしっかりと身に付 けながら、会社の制度や社会資源もうまく活用し ていくことが大事と考える。

参照

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