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RbLaTa 2 O 7に関する第一原理バンド計算

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29

RbLaTa 2 O 7

に関する第一原理バンド計算

松嶋 茂憲・植田 泰平

*

・猪原 由香

*

・小畑 賢次

First-principles band calculation of RbLaTa

2

O

7

crystal

Shigenori MATSUSHIMA, Taihei UEDA * , Yuka Inohara * , and Kenji OBATA

Abstract

The electronic structure of RbLaTa

2

O

7

is calcu lated usin g the gen eralized grad ient app roximation (GGA), th e modified Becke-Johnson exchange potential (MBJ), and the PBE0 method. The valence band and the bottom of the conduction band of RbLaTa

2

O

7

mainly result from the interaction between Ta 5d and O 2p states. In addition, Rb 4p and La 4f states appear below the valence ban d and in the conduction band, respectively. The experimental band gap of RbLaTa

2

O

7

is better reproduced by the MBJ method in comparison with the GGA and PBE0 methods.

Key words: RbLaTa

2

O

7

, Ab initio calculation, Energy band, Density of states

1.

緒 言

層状ペロブスカイト型構造を持つ

RbLnTa

2

O

(Ln = La, 7

Pr, Nd, Sm)は、Ta- O

結合の原子軌道の重なりが大き

い た め 、 酸 化 チ タ ン よ り も 大 き な バ ン ド ギ ャ ッ プ を 持 つことが知られている [1]。この特徴を活かして、犠牲 試 薬 を 必 要 と し な い 水 の 光 分 解 触 媒 と し て 注 目 さ れ て き た 。 光 触 媒 の 物 性 は 固 体 電 子 構 造 と 密 接 に 関 わ っ て い る た め 、 そ の 明 確 化 が 第 一 に 不 可 欠 で あ る 。 特 に 、 価 電 子 帯 と 伝 導 帯 が ど の よ う な 原 子 軌 道 の 組 み 合 わ せ から構成され、その間のエネルギーギャップ(いわゆる バンドギャップ)が幾らかであるのかについて情報を得 ることは非常に重要である。

RbLnTa

2

O

7(Ln = La, Pr, Nd, Sm)に関する第一原理バ ン ド 計 算 は 、 一 般 化 密 度 勾 配 法 (

generalized gradient approximation, GGA)の枠内で、 Machida

らによって実施 されている [2]。しかしながら、GGA法では絶縁性固体 の バ ン ド ギ ャ ッ プ が 低 く 見 積 も ら れ て し ま う 。 そ の 原 因 の 一 つ は 、 第 一 原 理 バ ン ド 計 算 で 使 用 さ れ る

Kohn- Sham

方程式の交換・相関ポテンシャルに 電子の自己相 互作用が 含まれるためである[3, 4]。Tran

Blaha

は、

Becke-Johnson

交換ポテンシャル を改良し、sp 電子系絶

縁 体 や 半 導 体 の 正 確 な バ ン ド ギ ャ ッ プ を 見 積 る こ と に 成 功 し た (

modified Becke

Johnson exchange potential, MBJ

法と呼称する)[5]。MBJ法は、GGA法と同程度の 計 算 負 荷 で あ る に も 関 わ ら ず 、 正 確 な バ ン ド ギ ャ ッ プ の見積りができる ことが特徴である。Adamo

Barone

は、Perdew-

Burke-Ernzerhof

によって開発された交換

相関汎関数(PBEと称す)を拡張し、交換汎関数に一定

の割合で

Hartree-Fock

(HF)交換積分を混合した(PBE0

法と称す)[6, 7]。HF法では、 交換ポテンシャルにおけ る電子の自己相互作用が存在しないため、

PBE

交換相関 汎関数と

HF

交換積分を混合することで、 バンドギャッ プの改善が期待できる。但し、HF法では

2

電子積分が 存在するため、計算コストが

GGA

法や

MBJ

法と比較し て桁違いに大きくなるため、大規模な系への適用は難し いことが知られている 。

本研究では、RbLaTa2

O

7を計算対象として取り上げ、

GGA

法,MBJ 法および

PBE0

法による第一原理バンド 計算を実施し、理論的なバンドギャップや価電子帯 と伝 導 帯の特 性を 明らか にする こと を目的 とす る。 さ らに 、

MBJ

法では、スピン-軌道相互作用を考慮し、バンドギ ャ ッ プ や 価 電 子 帯 と 伝 導 帯 の 構 造 に 与 え る 影 響 を 調 べ た。

2.

計 算 方 法

RbLaTa

2

O

7は空間群

P4/mmm

に帰属され、各原子が占

有する

Wyckoff

位置は、それぞれ

Rb

1d,La

1c,

Ta

2g,O1

1a,O2

4i,O3

2g

である(ICSD-

81870)[8]。この値を出発データとして、第一原理分子

動力学法プログラム(CASTEP)を用いて空間群

P4/mmm

を 維 持 し た 状 態 で 、 格 子 定 数 と 原 子 座 標 を 最 適 化 し た

[9]。CASTEP

計 算 で は 、 ウ ル ト ラ ソ フ ト 型 擬 ポ テ ン シ ャ ルと して

OTFG80

を 使 用し 、カ ットオ フエ ネル ギー

630 eV

とした [10]。k点メッシュは

Monkhorst–Pack

法で

7x7x2

とし、10 点の

k

点をサンプリングした

[11]。

第一原理エネルギーバンド計算は、バンド計算法の中

*専攻 科生産 デザイ ン工学 専攻

(2)

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北九州工業高等専門学校研究報告第

52

号(2019

1

月)

Fig. 1 RbLaTa

2

O

7の結晶構造

で 最 も 精 度 の 高 い

Full-potential Linearized Augmented Plane Wave plus local orbital(FLAPW+lo)法により実施

した [12]。FLAPW法では、一電子結晶ポテンシャルを

Muffin Tin( MT)球を中心とした球形領域と格子間領域

に分割して計算を 実施する 。MT球内の基底関数には原 子状波動関数,格子間領域では平面波を用いた。MT 径(

R

MT)は

Rb, La, Ta, O1~O3

に関して 、それぞれ

2.50, 2.50, 1.82, 1.57 a.u.

と し た 。 平 面 波 の カ ッ ト オ フ は

R

MT

*K

max

= 7.0

とした。状態密度に対する計算では、第 一ブリルアン・ゾーン(

Brillouin zone, BZ)内で 56

k

点を選択した。

3.

結 果 及 び考 察

実験で得られたRbLaTa2

O

7の格子定数 は、a = 3.882,

c

= 11.1053 Å

である。構造 最適化によって、

a = 3.901, c = 11.2759 Åと わ ず か に 増 加 し た 。 実 験 値 と 理 論 値 の 差 は 1.6%未満で、両者の 一致は非常によいことがわか った。

Fig. 2には、 GGA計算から得られたRbLaTa

2

O

7の全状態

密度(total density of states, TDOS)と原子ごとの状態密 度(

partial density of states, PDOS

)を示している。-

8.92

~-8.48 eVのエネルギー領域は

Rb 4p状態,-5.52~0 eV

はTa 5d状態とO 2p状態間の結合 的相互作 用に伴う 価電 子帯に主に帰属される。

2.43 eV以上は伝導帯に帰属され

Fig. 2 GGA

計 算 か らの

RbLaTa

2

O

7の状態密度

Fig. 3 MBJ

計算か らの

RbLaTa

2

O

7の状態密度

D O S / s ta te s eV

-1

a to m

- 1

Energy / eV

D O S / s ta te s eV

-1

a to m

- 1

Energy / eV

(3)

北九州工業高等専門学校研究報告第

52

号(2019

1

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るが 、伝導帯 底付近は

Ta 5d状態 と O 2p状 態間の反 結合

的相互作用で形成され ている。

4.20 eV付近に最大値を持

La 4f

状態が観察される。バンドギャップは

2.43 eV

見積もられるが、この値は実験値よりも小さい。これは、

前 述 し た よ う に

GGA法 で は 電 子 の 自 己 相 互 作 用 を 回 避

できないことに由来する。

Fig. 3には、MBJ法から得られたRbLaTa

2

O

7のTDOSと

原子ごとのPDOSを示 している。

GGA計算と比較 して、

価電子帯幅が

0.18 eV

狭くなっているものの、状態密度の 形状には目立った変化は見られなかった。しかしながら、

MBJ

計算から得られるバンドギャップは

3.73 eV

であり、

実 験値3.9 eVと ほ ぼ一 致するこ とが わかっ た

[1]。 この

ようなバンドギャップの理論値の改善は、光学物性の予 測において重要である。

また、エネルギーギャップの大きさは、スピン-軌道 相 互 作 用 を 加 味 す る こ と に よ っ て 変 化 す る 可 能 性 が あ

る。

Fig. 4

には、二次摂動法によりスピン-軌道相互作用

を 取 り 入 れ た

MBJ計 算 で 得 ら れ た 状 態 密 度 図 を 示 し て

い る。ス ピン -軌道 相互作 用の 付加す るこ とによ って 、

Rb 4p

状態および

La 4f

状態を示す状態密度ピークがより

複 雑に分 裂し ている ことが わか る 。バ ンド ギャッ プは 、 スピン-軌道相互作用の考慮することで

0.2 eV

減少する のみであった 。

Fig. 4

スピ ン-軌 道相互 作用を 考慮し たMBJ計算 か ら得ら れたRbLaTa2

O

7の 状 態密 度

Fig. 5 PBE0計算 からのRbLaTa

2

O

7の状態密度

Fig. 5には、PBE0法から得られたRbLaTa

2

O

7のTDOSと

原子ごとの

PDOS

を示 している。

GGA

法と比較し て、価 電子帯の形状は類似しているものの、その幅が0.36 eV増 加した。また、バンドギャップは5.11 eVとなり、実験値 を上回ることがわかった。これは、

HF

法には相関効果が 含まれていないためと考えられる。

4.

結 言

本研究では、 構造最適化されたRbLaTa2

O

7結晶に関す る第一原理バンド計算を実施し、以下の知見を得た。

1) RbLaTa

2

O

7の格子定数および原子座標は、構造最適

化前後においてよく一致した。

2

RbLaTa

2

O

7の価電子帯および伝導帯の底は、

Ta 5d

状態とO 2p状態間の相互作用で構成され、伝導帯 にはLa 4f状態が強く局在化した。

3

GGA

法,

MBJ

法,

PBE0

法の中で、

RbLaTa

2

O

7の実 験的な光学バンドギャップ はMBJ法によって最も よく再現された。

[References]

[1] M. Machida, J. Yabunaka, and T. Kijima, Chem.

Mater., 12, 812 (2000).

Energy / eV

D O S / s ta te s eV

-1

a to m

- 1

D O S / s ta te s eV

-1

at o m

-1

Energy / eV

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52

号(2019

1

月)

[2] M. Machida, K. Miyazaki, S. Matsushima, and M. Arai, J. Mater. Chem., 13, 1433 (2003).

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(2018

11

月 5日 受 理)

Fig. 3    MBJ 計算か らの RbLaTa 2 O 7 の状態密度 DOS / states eV-1 atom-1
Fig.  3には、MBJ法から得られたRbLaTa 2 O 7 のTDOSと

参照

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