周手術期看護における見学と実習のレポート内容分 析による学習効果の検討
著者 酒井 明子, 高柳 智子, 丸橋 佐和子
雑誌名 福井医科大学研究雑誌
巻 1
号 2
ページ 313‑325
発行年 2000‑06‑30
URL http://hdl.handle.net/10098/973
團
福 井 医科 大学 研 究 雑誌 第1巻 第2号(2000)周手 術期看護 におけ る見学 と実習の レポー ト内容分析 による 学習 効果の検討
酒井明子,高 柳智子,丸 橋佐和子
看 護 学 科 臨 床 看 護 学 講 座 (平 成12年4月12日 受 理)
CONTENTANALYSISOFOBSERVATIONANDPRACTICE CONSIDERINGEFFECTSOFLEARNINGIN
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Akiko SAKAI, Tomoko TAKAYANAGI, Sawako MARUHASHI
Department of Clinical Nursing, School of Nursing
Abstract: The aim of this study is to clarify the contents of understanding of students in two activities; that is, observation of operating rooms executed in the second grade a a part of the class of perioperative nursing care, and the practice of entering the operating room with a patient to be operated on as a clinical practice in the third grade that is one year after the above-mentioned observation. The analysis was intended for 38 students in the nursing divi- sion of F University who submitted their reports on the observation of the operating rooms in the second grade and entering the operating room in the third grade. Free-theme reports submitted just after the observation and practice were analyzed. The intention of each sen- tence on the student's reports was extracted as carefully as possible. The contents were ana- lyzed and categorized. As a result, about half of the contents of the reports on the observation of the operating rooms related to anxiety. In reports on entering the operating room, stu- dents wrote about their understanding including difficulties in onversation and awareness of changes in the looks of patients. They could understand well general points in perioperative nursing care in the observation of the operating rooms. In addition, it was confirmed that their understanding was deepened in quality to cope with the situation when entering the op- arating rooms with patients.
Key Words: observation of operating rooms, practice of entering the operating rooms
content analysis, students in the nursing course
酒井 明子,高 柳智 子,丸 橋 佐 和 子 1.緒 言
看 護 教 育 は 実 践 教 育 で あ り,実 践 の場 で 応 用 ・発 展 させ る学 習 形 態 が 必 要 で あ る 。 従 って,看 護 学 生 に どの よ うな活 動 の場 で 何 を どの よ うに 学 ば せ るか と い う教 育 方 法 の 開 発 は 重 要 な 課 題 で あ る。 本 学 で は,急 性 期 看 護 の 講 義 進 行 中 の2年 次 に 患 者 体 験 を 含 む 手 術 室 見 学 を 行 い,3年 次 の 臨 床 実 習 で は,手 術 を 受 け る受 け 持 ち 患 者 と共 に 手 術 室 に 入 室 す る とい う徐 々 に学 び を 深 め て い く学 習 形 態 を と っ て い る 。 そ の理 由 の 一・つ は,術 中 看 護 の 学 び を 深 め る こ とに よ っ て,術 前 ・術 後 看 護 の 重 要 性 が 認 識 で き,周 手 術 期 看 護 へ の 理 解 が 深 ま る こ と で あ り,も う一一つ は,手 術 室 と い う非 常 に 緊 張 度 の 高 い環 境 へ の 学 生 の 適 応 に 対 す る配 慮 で あ る。 つ ま り,学 生 が 術 前 ・術 中 ・ 術 後 の 患 者 と共 に 存 在 す る こ とに よ り,手 術 を 受 け る患 者 の状 況 に お け る学 び が 文 脈 め 中 で構 成
され て い くこ とを 期 待 す る た め で あ る 。 しか し,周 手 術 期 患 者 の 状 態 は 変 化 が 激 し く,効 果 的 な 学 習 に つ な が って い るか,そ の 把 握 は 困 難 な 状 況 が あ る 。 手 術 室 見 学 に 関 す る報 告(1〜6>はい くつ か み られ るが,手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 と い う2つ の 学 習 形 態 が,周 手 術 期 看 護 の学 び と し て どの よ うに継 続 さ れ て い くの か を 明確 に 分 析 した 研 究 は み あ た らな い 。 そ こ で,本 研 究 で は,
この 学 習 形 態 が 周 手 術 期 看 護 の 効 果 的 な 学 び に つ な が って い る か を 学 生 の患 者 に対 す る反 応 に 焦 点 化 して,見 学 と実 習 に お け る学 び の 内 容 を 明 らか に す る こ とを 目的 と し,レ ポ ー ト内 容 分 析 を 行 った 。 レポ ー ト内 容 分 析 は,研 究 技 法 と して 用 い る に は 客 観 性 を 保 持 す る こ とが 難 しい と い う 問 題 も あ るが,レ ポ ー トに表 現 され た 内 容 の微 妙 な ニ ュア ソス や 記 述 内 容 の 真 意 が 読 み 取 れ る と い う点 に お い て は 意 義 あ る技 法 で あ る 。 こ の技 法 を 用 い て 分 析 した 結 果,2つ の学 習 形 態 が 重 層 性 の あ る学 び へ と質 的 に 転 換 され て い る こ とが 確 認 で き た 。
皿.研 究 方 法
1。 ヲ ィ ール ドワー クの 概 要
(1)調 査 対 象 と した 学 習 形 態 は2年 次 に 実 施 して い る手 術 室 見 学 と3年 次 に 実 施 して い る手 術 室 入 室 実 習 で あ り,学 習 の場 は,F県 内 の 大 学 附 属 病 院 手 術 部 で あ る 。 調 査 対 象 者 は,2年 次 の 急 性 期 看 護 の 講 義 進 行 中 に お け る手 術 室 見 学 と,3年 次 の 臨 床 看 護 実 習 に お け る手 術 室 入 室 実 習 の2つ の活 動 を体 験 したF大 学 看 護 学 科 学 生38名 で あ る 。 な お,対 象 学 生 の 手 術 室 入 室 に よ る手 術 経 験 者 は26.1%で あ る 。
(2)分 析 に 使 用 した デ ー タは,手 術 室 見 学 直 後 及 び 手 術 室 入 室 実 習 終 了 直 後 に提 出 した レポ ー トで あ る 。 学 生 に 与 え た テ ー マ は 「手 術 室 入 室 時 の 感 想 」 でA4版 用 紙1枚 に 自由 記 載 させ た 。 これ ら を 研 究 資 料 と して 用 い る こ と に つ い て は 学 生 及 び 施 設 か ら了 承 を 得 た 。
(3)調 査 期 間 は 、 手 術 室 見 学 は,1998年7月 か ら9月,手 術 室 入 室 実 習 は,1999年10月 か ら12 月 の 期 間 で あ る 。
2。 分 析 方 法 一 デ ー タ化 の 手 続 き
学 生 が 自 由記 載 した 内容 を 意 図 的 に3つ の 内 容 に 分 類 した 。 そ れ は,① 見 学 実 習 の 目的 達 成 度
周手 術 期 看 護 に おけ る見学 と実 習 の レポ ー ト内 容 分析 に よる学 習効 果 の 検 討
② ス タ ッフを 通 して の 学 び ③ 患 者 体 験 を 通 して 学 ん だ こ と及 び 患 者 との 関 わ りで学 ん だ こ とで あ る 。 本 研 究 で は,③ の 内 容 に 焦 点 を あ て,学 生 の 記 載 内 容 を 可 能 な 限 り忠 実 に1文 に1つ の意 味 が含 ま れ る よ うに 抽 出 した 。次 い で,抽 出 内 容 の うち 類 似 した もの を 更 に 抽 象 化 した 概 念 で ま と め意 味 の 追 加 や 修 正 を 行 った 。 更 に 共 通 す る 内 容 を 整 理 カ テ ゴ リー化 し,2つ の学 習 形 態 の 関 連 性 を 先 行 研 究 や 内 容 分 析 法 の手 順(7・8)を参 考 に して 分 析 した 。 カ テ ゴ リー化 した 内 容 は,研 究 者 間 で 検 討 した 。
皿.用 語 の説 明 及 び 講 義 展 開状 況 1.手 術 室 見 学
2年 次 の急 性 期 看 護(術 中 看 護)の 講 義 進 行 中(7月)に 学 生 全 員 が3つ の グ ル ー プ に分 か れ て 手 術 室 に 入 室 し,見 学 及 び 患 者 体 験 及 び 看 護 婦 体 験 を 行 う。 目的 は,① 周 手 術 期 看 護 へ の 動 機 づ け とな り看 護 へ の 理 解 が 深 ま る 。 ② 手 術 を受 け る患 者 の 心 理 を 理 解 し術 前 指 導,術 後 看 護 に役 立 た せ る こ とで あ る 。 見 学 及 び 体 験 内 容 は,① 手 術 室 の 環 境(位 置 、 構 造 、設 備 、空 調 、物 品)
② 入室 時 の 患 者 体 験(ハ ッチ ウエ イ体 験)③ 入 室 後 の患 者 体 験(手 術 室 に 入 室 し,手 術 台 に の る, 抑 制 され る,無 影 灯 に 照 ら され る,心 電 計 ・血 圧 計 装 着)で あ る 。
2.手 術 室 入 室 実 習
3年 次,急 性 期 看 護 に お け る 周 手 術 期 の プ ロセ ス に 沿 っ た 看 護 を 学 ぶ た め に,受 け 持 ち 患 者 と 共 に 手 術 室 に 入 室 す る 。学 生 は,原 則 と して 手 術 予 定 の 患 者 を 受 け 持 ち 術 前 か ら援 助 して い る 。 実 習 内容 は,術 前 訪 問,手 術 開 始 前 の 環 境,患 者 入 室 時 の看 護,麻 酔 導 入 時 の 看 護,手 術 体 位 の 介 助,手 術 中 の 看 護,手 術 終 了 時 の看 護 で あ る 。 見 学 が 中心 で あ るが,学 生 が で き る こ とは 可 能
な範 囲 で 間 接 介 助 看 護 婦 の 指 導 の も と で実 施 す る。
W.結 果 及 び考 察
本 研 究 で は,看 護 学 生 が 周 手 術 期 看 護 の2年 次 講 義 進 行 中 に 実 施 して い る手 術 室 見 学 と 同学 生 が3年 次 に 臨 床 実 習 で 手 術 を受 け る 患 者 と共 に 入 室 す る手 術 室 入 室 実 習 の2つ の 活 動 に お け る学 び の 内 容 を 分 析 した 。 そ の 結 果,手 術 室 見 学 か ら手 術 室 入 室 実 習 の体 験 は,① 項 目数 の 比 較 ②2 つ の 学 習 形 態 に お け る学 び の特 徴 ③ 学 び の 共 通 項 目内 容 か ら,重 層 性 の あ る学 習 形 態 で あ る こ と
が 確 認 で き た の で,以 下 にそ の 項 目毎 の 結 果 と考 察 を 述 べ る。
1.項 目数 の 比 較
手 術 室 見 学 に お け る 自由 記G内 容 を1文 に1つ の意 味 が 含 ま れ る よ うに抽 出 した 結 果,文 章 数 と して は119文 で あ り,抽 出 した 意 味 が 類 似 して い る もの や 共 通 す る概 念 は15項 目 に ま と め られ た 。 手 術 室 入 室 実 習 に お い て は,文 章 数 は78文 で 共 通 概 念 は30項 目で あ った 。 これ は,手 術 室 見 学 の 方 が,抽 象 的 な 記 述 表 現 で あ った た め,共 通 概 念 と して 整 理 しや す い と い うこ とが 影 響 して い た 。 一 方,手 術 室 入 室 実 習 の 場 合 は,患 者 個 々 の 状 況 に 応 じた 表 現 が な され て お り、 言 葉 の 用
酒 井 明 子,高 柳 智 子,丸 橋佐 和 子
い 方 が 具 体 的 で多 様 で あ っ た 。 この 表 現 の 微 妙 な違 い を あ りの ま ま に 受 け 止 め ,可 能 な限 り学生 の 言 葉 に 忠 実 に 整 理 した 結 果,手 術 室 見 学 との 項 目数 に 差 が み られ た と い え る 。
2 2つ の 学 習 形 態 に お け る 学 び の 特 徴 体験した身体症状 術後看
看 護婦 の位 3%
そばにいることの さ 3%
窓者を察する思し 9%
の 原 因 6%
一 般 的 援 助 方 法 10曳
恐 怖 軽 誠 へ の 援 助19%
1
安 心 感 へ の 援助 11%
図1手 術 室見学 にお ける学 習の 内容(総 文章数119に 対 する割 合)
手 術 室 見 学 に お け る 自 由記 載 内 容 の 文 章 数119文 、 共 通 概 念15項 目の うち 一 番 多 く抽 出 さ れ た の は,「 不 安 の 原 因 」 の32文 で 全 体 の 文 章 数 に 対 す る割 合 は26.9%で あ っ た 。 次 は ,「 不安 の 軽 減 へ の 援 助 」 で23文(19 .3%)で あ った 。 こ の よ うに 不 安 に 関 す る 内 容 が 全 体 の半 数 近 くを 占 め て い た 。 そ こで,不 安 の原 因 を 学 生 は ど の よ うに 受 け 止 め て い るのカ㍉ そ の内 容 を キ ー ワー ドで拾 っ て み る と,手 術 室 の 環 境(特 に 無 影 灯)や 看 護 婦 の マ ス クや 敏 速 な 動 き,移 動,声 か け の少 な さ, 手 術 室 の 環 境 や 器 具 の冷 た さを 原 因 と して あ げ て い た 。 そ して,こ れ らの 不 安 の原 因 に対 して,
ゆ っ く り した 移 動,言 葉 か け と タ ッチ,保 温 音 楽,マ ス クを は ず す こ との 大 切 さが 援 助 方 法 と して 学 べ て い た 。
記 載 内 容
・搬 送 の ス ピー ドが 速 くて ,周 囲の様子 が流 れ る景 色だ った り,少 しの ス トレチ ャーの揺 れ も 不 安 を 増 強 さ せ る 。
・移 動 させ られ る とい う不 安 ,身 体が不 安定 であ るとい う不安,こ れ か ら手 術を うけ る不 安 。
・移 動 時 常 に 天 井 を み て い る の で とて も不 安 に な る。
・自分 が 今 ど こへ ど の よ うに運 ば れ て い くの か ,何 を今 して い るのか 言 って くれ ない とただ で さえ これ か ら手 術 を 受 け な け れ ば な らな い患 者 に 多 大 な 不 安 を 与 え て し ま う。
・患 者 に と って は 行 為 の 一 つ一 つ が わ か ら な い こ とだ ら け で 不 安 の 原 因 に な る。
・冷 た い もの を 着 た り,冷 たい ものをか け られ た ら,よ り不安 が増 して しま う。
・患 者 に と って は ,大 きい 小 さいに関係 な く,手 術 とは大変 な不 安 を伴 うもので あ る。
周 手 術 期看 護 にお け る見学 と実 習 の レポ ー ト内容 分 析 に よ る学 習 効 果 の検 討
・不 安 は
,言 葉,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ソ で か な り取 り除 け る も の だ と 感 じた 。
「安 心 感 へ の 援 助 」 は,約10%で あ り,そ の 内 容 は,支}る,確 認 す る,顔 が見 え る,温 か さ, 頭 側 に 立 つ,言 葉 を か け る こ と で あ っ た 。
記 載 内 容
・見 え る位 置 に 人 が い る と安 心 す る 。天井 を見つ め るだけ の患者 の視界 に人 がい る と安心 す る の は,当 然 の 心 理 で あ る 。
・体 験 時 タ オ ル が 少 し冷 め て い る とい わ れ た が,そ れ で も私 に は 十 分 温 か い と感 じ,安 心 感 を 得 る こ とが で き た 。 十 分 に温 め られ た タ オ ル は ど ん な に 安 心 す る だ ろ う と嬉 し く思 え た 。
・患 者 が い つ もお 世 話 に な っ て い る 医療 従 事 者 が 患 者 の 視 界 に 入 る と安 心 す る。
・体 験 時 ,足 を ぎ ゅっと押 さえて くれ た。 それ は とって も安 心感 を感 じる もの であ った 。身体 を しっ か りと押 さ え 支 え て あ げ る こ とが 大 切 。
・身 体 を軽 く触 っ て も ら うだ け で 安 心 した 。
「恐 怖 の 原 因 」 も約10%で あ り,恐 怖 感 を感 じ るの は,入 室,無 影 灯,固 定,抑 制,仰 臥 位 と い う視 野 が制 限 され た 状 態 で 上 か ら覗 き込 まれ る時 で あ った 。
記 載 内 容
・手 を 台 に 縛 られ て 電 気 の つ い て い る無 影 灯 で照 ら され た と き に は ,本 当 に怖 いな と思 った 。
・手 術 台 を 上 げ 下 げ され た とき も怖 い な と思 った。
・上 か ら覗 き込 まれ た と きは 本 当 に 怖 い と思 っ た 。
「一 般 的 な 援 助 方 法 」(10.0%)と して は,声 か け,触 れ る,支 え る,手 を 握 る,具 体 的 な 説 明,音 楽 が あ げ られ て お り,「患 者 を 察 す る思 い 」(10.0%)に は,不 安,恐 怖 な どの 患 者 の 心 理 を 察 す る思 い が 表 現 され て い た 。 健 康 な 自分 で さ え こ の よ うに不 安 な の に 手 術 を 受 け る患 者 さ ん は ど の よ うな 気 持 ち だ ろ うか と,健 康 な 自分 を 通 して 患 者 を 察 す る 思 い が 記 載 され て お り,こ れ は 手 術 室 見 学 に 特 徴 的 に み られ た 表 現 で あ っ た 。 次 い で,「 そ ぼ に い る こ との 大 切 さ」(3.4%),
「看 護 婦 の 位 置 と 目線 」(2.5%),r術 前 ・術 後 看 護 の 必 要 性 」(1.7%),痛 み や 手 掌 発 汗 な ど 「体 験 した 身 体 症 状 」(1.7%)が あ り,「体 位 の工 夫 」,「今 後 の 実 習 へ の 決 意 」 な ど を 含 む 下 位 の5 項 目は 全 て1.0%以 下 で あ った.
手 術 室 見 学 に お い て は,実 際 の 患 者 と 直 接 話 した り,援 助 す る こ とは な く,患 者 役 ・看 護 婦 役 とい う役 割 の 中 で の 体 験 とな る の で,周 手 術 期 看 護 に お け る術 中 看 護 の 学 び の 文 脈 か らは 切 り離 さ れ て い る 。 しか し,手 術 室 の環 境 を 自分 の 肌 で 感 じ取 り,患 者 側 か らみ た 不 安 や 恐 怖,安 心 感 な どが 実 感 で き,看 護 の大 切 さが 身 を も って 感 じ取 れ る とい う特 徴 が あ る 。 こ の た め,手 術 室 見 学 で は,主 に患 者 の 心 理 を 理 解 す る項 目 と一 般 的 な援 助 方 法 に関 す る項 目が 記 載 され て い た と考
酒 井 明子,高 柳 智 子,丸 橋 佐 和 子 }ら れ る
。 学 生 の 自由 記 載 内 容 に は,患 者 体 験 か ら不 安 や 恐 怖 の原 因 を追 求 した り,自 分 の 身 体 で痛 み を 感 じ取 る こ と で,患 者 の 思 い を 察 して 援 助 方 法 を 考 え て い た 。 そ れ が ,今 後 の実習 への 決 意 に もつ な が っ て い た 。 従 っ て,手 術 室 見 学 で患 者 体 験 を 行 い 、 そ こ で 感 じた 不 安 や恐 怖 を 自 分 で 認 め られ る よ うに な る と,患 者 の つ ら さ,苦 しみ,心 配 を ど うに か した い とい う思 い に 自分 で 気 づ け る(9)ように な る た め,今 後 の 看 護 の 方 向 性 を 見 出 して い く こ とに つ な が っ て い く こ と が 期 待 で き る 。
(2)手 術 室 入 室 実 習 に お け る学 び の 内容(図2)
手 術 室 入 室 実 習 に お け る 自 由 記 載 内 容 の文 章 数 は78文 で あ り,共 通 す る概 念 は30項 目であ った 。 分 析 内容30項 目 の うち一 番 多 く抽 出 され た の は,「 言 葉 か け に 対 す る葛 藤 」 が9文 で 全 体 の 文 章 数
に対 す る割 合 は11.5%で あ っ た 。 葛 藤 が 生 じる状 況 と して は ,深 く考 えす ぎ るこ とや 緊張 して 言 葉 に な らな い が あ げ られ て い た 。
記 載 内 容
・不 安 が 少 しで も な くな る よ うに 声 か け し よ う と思った が,あ ま りに 日常 的 な話 は で きな い し 手 術 の 状 況 に つ い て 細 か い こ とは 言 え な い の で,結 局 痛 み の 有 無 や 寒 さ の程 度 に 限 られ た が 葛 藤 した 。
・何 と声 を か け れ ぽ い い の か,同 じこ とを 何 度 も聞 くの は患 者 に と っ て 苦 痛 に な らな いか と考 え 積 極 的 に な れ な か った 。
・情 報 を 聞 く こ とが 患 者 の 不 安 を 増 さな い か と考 え 質 問 で きな か った。
・ 「大 丈 夫 です よ」 と い うの も手 術 を経 験 した こ と の な い私 が 言 うの もお か しい し
,ど うい え ば い い か と葛 藤 した 。
次 い で,「 強 い 印 象 が あ り実 感 した 体 験 」 が8文(10.3%)で あ る 。 実 際 の 場 面 で 強 く実 感 し て い る 内 容 は,自 発 呼 吸 の 停 止 や 麻 酔 覚 醒 不 良 と い った 麻 酔 に 関 す る こ と,手 術 に最 初か ら最後 ま で つ け た こ と,実 際 の患 者 が 訴 え た 不 安 で あ った 。
記 載 内容
・看 護 婦 は 一 つ 一 つ 声 か け を しっか り して い て
,患 者 の 不 安 が 安 ら い で い くの を 感 じた 。
・挿 管 の 様 子,自 発 呼 吸 が 止 ま る瞬 間 を 実 際 に 見 て,な る ほ ど と感 じた 。
・教 科 書 を 読 む だ け の勉 強 よ りも実 際 に み る の は 感 じ る もの が 多 く
,患 者 さ ん の 術 後 の 大 変 さ も も っ と近 くに 感 じた 。
・手 術 を 最 初 か ら最 後 ま で 見 れ た の で
,流 れ が し っか りと頭 に 残 って い る 。
・神 経 質 な 患 者 で 不 安 が 高 ま っ て い た 。 なん とか した い と思 い,不 安 の強 い患者 に手 を握 った り声 を か け た り した 。
・患 者 さ ん が 覚 醒 され ず もの す ご く不 安 に な った。 思 い が け な い ハ プ ニ ン グに 足 が 震xた 。 先 生 の 真 似 を して 深 呼 吸 を ほ ど こ した り、 一 生 懸 命 に 呼 び か け た 。
周手 術 期 看 護 に お け る見 学 と実 習 の レポ ー ト内 容 分析 に よる学 習効 果 の検 討
こ の言 葉 か け に 対 す る 葛 藤 この 「言 葉 か け に対 す る葛 藤 」 と 「強 い 印 象 が あ り実 感 した 体 験 」 2つ の項 目以外 は,す べ て10%以 下 で あ り,全 体 的 に 実 践 す る こ とで学 ん だ 具 体 的 な 内 容 が含 ま れ て い た 。
「声 か け の 方 法 」 は,約8%で あ り,そ の 内 容 は,何 気 な い一 言 や 声 か け の タ イ ミ ン グ で あ っ た 。
記 載 内 容
・ 「気 分 は ど うです か 」 「寒 くな い で す か 」 な どの 何 気 な い 一 言 が 大 切 だ と思 っ た 。
・た だ ,声 をかけ るの ではな く,声 かけ に もタイ ミソグが重 要 だ と思 った 。
「患 者 の 表 情 の 変 化 へ の 気 づ き 」(6.4%)な ど は,手 術 前 に 接 し て い る と き に は 見 ら れ な か っ た 患 者 の 不 安 の 表 情 を 捉 え た も の で あ る 。
記 載 内 容
・手 術 部 へ の お 迎 え の 場 面 で,患 者 さ ん は い つ も よ り硬 い 表 情 を さ れ て い て,視 線 が 遠 くに い っ て い た り 目 を 閉 じ て い た り と 普 段 と違 う表 情 だ っ た 。
コミュニケーション時間 1%
気配 り 1%
信頼関係 1%
説 明の大切さ 言葉かけに対する葛藤
3% .11%
タッチの効果 一r:・'.
3%翻
髄 さが患者に与え .強 い印響 感体験
る 影 響 〃.・
3%顯 獄髭男〃〃
....
見 学 時 との 比韓...
曝 し 方 羅 羅.声 か騨
援棚 噺の灘 懸 臨; ・ 儲 嘱鰹{ヒ へ
6%
情けない ・残念な思い
3%そ ばにいることの大切さ
深呼吸 の大切さ5%
3%
術後への影響 環境 作り
5×3%
不安軽減 への援助 継続看腹
5%4%
自分の状況 が患者に 与える影響
4%
体位固 定による影響 4%
図2手 術 室 入 室 実 習 に お け る学 習 内 容(総 文 章 数78に 対 す る割 合)
酒 井 明子,高 柳 智 子,丸 橋佐 和 子
・表 情 が こ わ ば っ て い て,と て も 不 安 そ う な 表 情 だ っ た 。 性 格 も 神 経 質 な と こ ろ が あ り,不 安 が 高 ま っ て い る 様 子 だ っ た 。
「術 後 へ の 影 響 」(約5%)は,手 術 中 の 体 位 や 使 用 した 薬 剤 の副 作 用 ,手 術 中 の患 者 の 状 況 か ら術 後 へ の影 響 を予 測 す る 内 容 が 記 載 され て お り,「術 前 看 護 の必 要 性 」 で は ,麻 酔 導 入 ・覚 醒 の 実 際 を 見 る こ とで,術 前 の 呼 吸 訓 練 の必 要 性 を 感 じて い た 。
記 載 内 容
・体 位 固 定 の際 ,術 後 に悪 い影響 を残 さない よ う,可 動 域 内の動 きに無理 がかか っていないカ㍉
圧 迫 は な い か 気 を配 っ て い た 。 今 後 の 生 活 面 に 障 害 を 残 さず 生 活 が 快 適 に な る よ うに 援 助 す る こ とが 大 切 。
・手 術 中 に こ の よ うな薬 を 入 れ て
,術 後 に この よ うな 薬 を 入 れ るか らそ の副 作 用 に も注 意 して み て い く こ とが わ か った 。
・術 前 の 深 呼 吸 の練 習 が こ こで 生 か され るの だ とわ か った
。
そ の 他,実 習 と い う体 験 を 通 して 感 じた 自分 自身 の 存 在 の あ り方 に 関 す る記 載 内 容 と して は, 私 の 不 安 が っ て い る様 子 が 患 者 に 伝 わ る とい け な い と思 っ て必 死 に 自分 を 落 ち着 か せ よ う と した な どの 「自分 の状 況 が 患 者 に 与 え る影 響 」,あ ま りに 緊 張 しす ぎて 声 が 出 な く て 手 を 握 る こ と が 精 一 杯 だ った,患 者 の 力 に な れ な い 自分 が 情 け な い と感 じた な ど 「情 け な い ・残 念 な 思 い 」 が あ
り,学 生 自身 の感 情 が 表 現 され て い た 。 記 載 内 容
・声 を か け よ うと思 って い た が 、私は ただ 、見て い るだ けに な って しまって とて も残念 に思 っ た 。
・緊 張 して しま い 声 か け を ず っ と行 お うと決 め て い た の に 言 葉 が で て こず 、手を握 ってい る こ とが 精 一 杯 だ った 。患 者 さん の 力 に な れ な い 自分 が 情 け な い と思 った 。
・自分 が 落 ち 着 い て い な け れ ば 、患 者 さん に何 もす るこ とが で きず 、かえ って患者 さんの緊張 を 高 め て しま うの で は と思 った 。
手 術 室 入 室 実 習 で は,学 生 は 受 け 持 ち 患 者 と共 に 手 術 室 に 入 室 す る。 患 者 の状 況 に よ っ て,患 者 が 関 わ るす べ て の 医 療 従 事 者 と場 を 共 有 し,そ の 一 員 と して 実 践 す る こ と の意 味 を学 ん で い く。
自分 で で き る範 囲 の こ と は 実 際 に患 者 に 働 きか け て い く実 習 方 針 の た め,学 生 は患 者 へ の 直 接 援 助 す る体 験 か ら,葛 藤 や 実 感 満 足 感 や 情 け な さ,残 念 さ な どの 特 徴 的 な学 び を表 現 して い た 。 実 際 に 不 安 そ うな 表 情 の 患 者 を 目の 前 に して,頭 の 中 で は 何 か 言 葉 を か け よ う と思 うが 、 ど の よ うに 言 葉 を か け れ ば よい の か 混 乱 し言 葉 に な らな い 状 況 が 起 こ って い る。 また,自 分 自身 の存 在 や 不 安 定 な 自分 が 患 者 に 及 ぼ す 影 響 に 対 す る 思 い も湧 い て い る 。 しか し,自 分 の 内 面 の葛 藤 を 抱
周 手 術 期看 護 にお け る見学 と実 習 の レポ ー ト内容 分 析 に よ る学 習 効 果 の検 討
え なが ら も患 者 の ぞ ぽ に い る とい う,こ の 言 語 化 で き な い で い る葛 藤 の段 階 が,内 面 的 に非 常 に 豊 富 な 体 験 を して い る と考 え られ た 。
また,受 け 持 ち患 者 の手 術 に 最 初 か ら最 後 ま で つ い た こ とで 手 術 の流 れ が頭 に 焼 きつ い た り,自 発 呼 吸 の 停 止 や 麻 酔 覚 醒 不 良 の 状 態 を 目に して,術 前 ・術 後 の 看 護 の 重 要 性 を 実 感 して い た 。 さ ら に,術 前 の 患 者 の 表 情 と手 術 室 入 室 時 の 表 情 は 異 な っ て お り,患 者 の 不 安 の 感 じ方 や 患 者 へ の 言 葉 の か け 方 も実 感 で き て い た 。
この よ うな手 術 室 入 室 実 習 にお け る学 び の特 徴 は 図3の よ うに ま とめ られ る 。 例 え ぽ,麻 酔 覚 醒 不 良 の 患 者 に 出 会 い,何 とか して あげ た い とい う思 い で,必 死 に な って 呼 び か け る体 験 を した り, 不 安 の 強 い患 者 に接 して,何 とか 軽 減 して あげ た い と思 い,学 生 は 声 か け を 実 施 して い る 。 学 生 は ど うにか した い とい う思 い か ら行 動 を起 こ し,自 分 の 考 え や 感 じた こ と を 問 い 直 しな が ら,受 け 持 ち 患 者 の看 護 を具 体 的 に考 え は じめ て お り,こ の 一 連 の 行 動 は,満 足 感 に もつ なが って い た 。
一 方,緊 張 が高 ま る と,ど の よ うに声 を か け よ うか と葛 藤 し,結 局,行 動 で き な か った こ とが 残 念 な 思 い や 情 け な い 思 い とな って い る。
葛 藤 や 実 感 な どの 感 情 は す べ て 本 質 的 に は 行 動 を起 こ そ う とす る衝 動 で あ り,進 化 の過 程 で 脳 に 刻 み つ け られ た反 射 的 な 行 動 指 針 で あ る とい わ れ る(1°)。また,学 習 に お け る意 味 や 価 値 に気 づ く の は,感 性 の 働 き で あ り,新 しい も の を 作 り出す エ ネ ル ギ ー も 自分 の 課 題 を 追 求 した い欲 求 も感 性 か ら生 まれ る と いわ れ る(11)。従 っ て,こ の よ うな 満 足 感 や 情 け な い 思 い な どを 体験 す る こ とが, 感 性 を 育 て る こ と に な り,体 験 ・経 験 を 通 して培 った 能 力 が 自然 な 形 で 行 動 と な って 現 れ る よ う に な っ て い く とい え る。 そ して,患 者 へ の 関 心 を も った 行 動 は,学 生 の 言 葉,態 度 雰 囲 気 と し て 患 者 に伝 わ り,学 生 と患 者 との 相 互 作 用 が 作 られ,信 頼 関 係 へ とつ な が っ て い く こ とが 期 待 さ れ る 。
状況
':憾 情: .行動
麻酔覚醒不良の 患者
何 と 郷:諸 た レ{・:・:・:・:
あげ 必死で呼びかけ 一 魎
る
不安の強い患者 何 忠 が 纏 減 じセ 肉 げ た̀):::::::::
声かけを行 う
魎
学生 自身の緊張 が高 まる
:ξ壷よ う:に声:を 委 げよ:う力瀦 藤
行動で きない
圏
魎
図3手 術室入室 実習 におけ る学 びの特徴
酒 井 明子,高 柳 智 子,丸 橋 佐 和 子 3.手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 に お け る学 び の 共 通 内 容 と質 的 変 化
手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 の 学 び の 共 通 項 目は 「不 安 軽 減 へ の援 助 」 「そ ば に い る こ と の 大 切 さ」 「患 者 を 察 す る 思 い」 「術 後 看 護 の 必 要 性 」 「体 位 の 工 夫 」 「術 前 看 護 の 必 要 性 」 の6項 目で あ った 。項 目 と して は 、 共 通 して い る が,そ の 学 び の 内 容 に は 質 的 な 変 化 が み られ た 。
「不 安 軽 減 へ の 援 助 」 は,手 術 室 見 学 の 場 合 は ,一 般 的な不 安軽減 への援助 項 目と して,声 か け,タ ッチ,移 動 時 の 注 意,保 温 な どが あ げ られ て お り,手 術室 入室実 習 では,患 者 の不 安 内容 に 的 を あ て る こ とや,不 安 の強 い 患 者 へ の 援 助 方 法,横 に手 を 添 え て 支 え る な ど実 際 に 即 した 内 容 が 表 現 され て い た 。 「不 安 」 は,対 象 が 漠 然 と して い て 特 定 で き な い 場 合 の感 情 と言 わ れ る が , 手 術 を 受 け る動 機 や 身 体 症 状,予 後 な どに よ っ て も異 な り,手 術 を 受 け る 患 者 が 抱 く不 安 は,多 様 で あ り複 雑 で あ る 。 手 術 に 対 す る一 般 的 な不 安 ・心 配 に は,① 手 術 の 成 功 に 対 す る不 安 ② 麻 酔 に 対 す る不 安 ③ 術 後 の 状 態 ・経 過 に 対 す る不 安 ④ 生 活 へ の 影 響 に 対 す る不 安 ⑤ 手 術 の 大 き さ に 対 す る不 安 ⑥ 痛 み に対 す る不 安 ⑦ 傷 跡 に 対 す る不 安 ⑧ 偶 発 事 故 に 対 す る不 安 な どが 挙 げ られ るが(1°)、 学 生 が まず,手 術 室 見 学 で 感 じた 不 安 は,手 術 室 の環 境 に影 響 され る もの が 多 く,環 境か ら患者 が どの よ うな 影 響 を 受 け るの か を 健 康 な 自分 の 感 覚 で確 認 し,患 者 の手術 に臨 む思 いを察 しよ う
とす る こ こ ろ の動 き が 表 現 され て い た 。 しか し,手 術 室 入 室 実 習 で は ,手 術 の複 雑 な思い を事前 に 情 報 と して 捉 え て い る こ と も あ り,患 者 の 不 安 の 内 容 に 的 を あ て て 効 果 的 な 援 助 に結 び つ け よ
う とい う思 い が 実 感 と して 出 現 して いた 。
「そ ば に い る こ と の大 切 さ」 に お い て も学 び の 深 ま りが 感 じ られ る 。 手 術 患 者 は ,声 を出す こ とや 身 体 を 動 か す こ とに よ っ て,手 術 に 影 響 が あ る の では な い か と 自分 の 意 志 を 伝 達 す る こ とを 制 限 す る状 況 に あ る(1°)。また,手 術 室 に お い て は,手 術 を 受 け る とい う状 況 に あ る た め ,患 者 は 不 安 を 伴 っ て い て 自分 の気 持 ち を う ま く表 現 で きな い こ とが あ る。 このた め ,患 者は言語的 コ ミュ
ニ ケ ー シ ョ ソ よ り も非 言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを 用 い る こ とが 多 い
。 従 って,看 護 者 が 必 要 な と きに 近 づ い て こ とば を か け る の み で は な く、 患 者 を 見 守 り、患 者 が こ とぽ を か け や す い よ うな 状 況 へ の 配 慮 も必 要 で あ る 。 学 生 は 手 術 室 見 学 で は,と に か く声 を か け る こ との大 切 さを 不 安 軽 減 へ の 援 助 と して あ げ て い た 。 しか し,手 術 室 入 室 実 習 で は,声 を か け るだ け で は な くて,患 者 の ぞ ぽ に い て 見 守 る こ との 大 切 さ を表 現 して い る。 つ ま り,看 護 者 は常 に患 者が ことぽ をかけ や す い 位 置 に い る こ と,看 護 者 が そ ば に い る こ との 大 切 さが 実 感 で き て お り,患 者 の 立 場 を考 え て の援 助 の 姿 勢 に 切 り替 わ っ て い る。
「患 者 を 察 す る 思 い 」 の 手 術 室 見 学 で は,学 生 が 患 者 役 を して い た の で ,健 康 な 自分 の体験 を 通 して 患 者 を 察 して い た が,手 術 室 入 室 実 習 で は,術 前 の 患 者 情 報 か ら患 者 の心 理 を 察 し よ う と
して い た 。
「術 後 看 護 の 必 要 性 」 で は,手 術 室 見 学 時 の 術 後 の 合 併 症 予 防 の大 切 さ と い う抽 象 的表 現か ら, 今 後 の 生 活 面 に 障 害 を 残 さ な い よ うに す る,術 中 の薬 剤 とそ の た め に 術 後 に 入 れ る 薬 剤 が あ る か らそ の 副 作 用 に 注 意 した 術 後 観 察 が 必 要 な ど の 具 体 的 な 表 現 へ と変 化 して い た 。
周手 術 期 看 護 に おけ る見 学 と実習 の レポ ー ト内容 分 析 に よる学 習 効果 の検 討
「体 位 の 工 夫 」 に お い て は,手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 で は 学 び の 表 現 が 異 な っ て い た 。 手 術 室 見 学 で は,安 楽 な 体 位 の 大 切 さ を 感 じて い た が,手 術 室 入 室 実 習 で は,体 位 へ の細 か い 配 慮 が 具 体 的 に 学 べ て い た 。 内 容 と して は,四 肢 の 流 れ が 自然 か ど うか を 見 極 め る こ とは,術 後 に 影 響 を 与 え る の で い ろ い ろ な 方 向 か ら体 位 を 見 な け れ ぽ な らな い 、 神 経 が 圧 迫 され て い な い か,下
に敷 い て い る も の に しわ が で きて い な い か,と て も小 さ な しわ も見 逃 さ な い よ うに 気 配 りさわ て い た な どの 表 現 が み られ た 。
「術 前 看 護 の 必 要 性 」 に お い て も一 般 的 な 術 前 看 護 の 必 要 性 で は な く,そ の 中 で も特 に 重 要 な 深 呼 吸 の 大 切 さを 実 感 す るな ど術 前 看 護 の ポ イ ン トが押 さ え られ て い た 。
この よ うに,こ の2つ の 活 動 に 影 響 を 与 え て い る大 き な 原 因 は,手 術 室 見 学 の よ うに 対 象 が 患 者 役 と して の学 生 か,手 術 室 入室 実 習 の よ うに 実 際 の患 者 か,そ の 対 象 に よ る違 い で あ ろ うと推 察 され る 。 手 術 室 見 学 で は,健 康 な 自分 を 通 して 対 象 の 思 い を察 し よ う とす る時 に,今 ま で学 習 して き た知 識 を 用 い よ う とす る 。 そ して,手 術 室 入 室 実 習 で は,学 習 して きた 知 識 を個 々 の 患 者 に即 して 応 用 し学 び 直 さ な け れ ば な らな い こ とを 実 感 す るの で こ こに 正 の学 習 の転移(11)が起 こっ
実 感
共通性
○ 不 安 軽 減 へ の 援 助
(ゆ っ く りした移 動 ・声か け ・タ ッチ)
○ 体 位 の 工 夫(安 楽 な体 位)
○ 患 者 を 察 す る 思 い(不 安 ・恐怖 ・気持 ち)
○ 術 後 看 護 の 必 要 性(術 後 の合併 症予 防)
○ 術 前 看 護 の 必 要 性
(最 良の状 態 で手術 に臨 む こ と)
○ そ ば に い る こ と の 大 切 さ
(そ ばに い る ・心の 支 え ・話 しか け る)
△ 不 安 軽 減 へ の 援 助
(不安 に的 をあて る ・不安 の強い患者 への援助)
△ 体 位 の 工 夫(細 かい配慮 ・具体的 な観察方法)
△ 患 者 を 察 す る 思 い
(大 手術 を受 け る患 者 ・神経 質な 患者)
△ 術 後 看 護 の 必 要 性
(体位 ・薬剤 ・後遺症 ・手術 中の状 況に よる影 響)
△ 術 前 看 護 の 必 要 性(術 前訓練 ・深呼吸の大切さ)
△ そ ば に い る こ と の 大 切 さ
(何 も しな くて もそば にい る ・一 人 に しない)
特殊性
○は手術室見学
△は手術室入室実習
察 知
図42つ の学習形態 の分析 枠組み
酒 井 明子,高 柳 智 子,丸 橋 佐 和 子
て い る と考 え られ た 。
手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 とい う2つ の 学 習 形 態 は,一 方 が 手 術 を受 け る患 者 に 「共 通 す る 一・般 的 看 護 」
,も う一 方 は 個 々 の 患 者 の 「状 況 に 応 じた 特 殊 な 看 護 」 が 含 まれ て い る と 言 え る 。 更 に概 して 言 えぽ,2つ の 学 習 形 態 は,一 方 が 「察 す る看 護 」,も う一 方 は 「実 感 す る 看 護 」 で あ り,重 層 性 の あ る学 習 形 態 で あ る こ とが 示 唆 され た 。
これ ま で の 共 通 項 目の 分 析 結 果 か ら,こ の2つ の学 習 形 態 を2つ の軸 に よる 分 析 枠 組 み で ま と め 図4に 示 した 。○ が 手 術 室 見 学 の項 目,△ が 手 術 室 入 室 実 習 項 目で あ る。
2つ の 学 習 形 態 を 軸 上 で視 覚 的 に 表 した と ころ,「 共 通 性 」 と 「特 殊 性 」 及 び 「察 知 」 「実 感 」 の2つ の 軸 が 見 出 せ た 。 手 術 室 見 学 で は,患 考 体 験 か ら,健 康 な 自分 を通 して 患 者 の 状 態 を 察 し よ うとす る と き に,今 ま で学 習 して きた 知 識 を 用 い よ う とす る た め,学 生 は 共 通 した 一 般 的 な 看 護 を学 ぶ こ とか ら,手 術 室 見 学 を共 通 性 ・察 知 の 軸 に 置 い た 。 そ の 後 の 手 術 室 入 室 実 習 で は,学 習 して きた 知 識 を 個 々 の 患 者 に 応 じて 問 い 直 す た め 学 生 個hに 特 殊 な 内 容 を学 ぶ こ とか ら,手 術 室 入 室 実 習 を 特 殊 性 ・実 感 の 軸 に 置 い た 。 つ ま り,2つ の 学 習 形 態 は,共 通 性 か ら特 殊 性 へ,察 知 す る こ とか ら実 感 す る こ とへ と学 び が 継 続 され て い る こ とが 視 覚 的 に も確 認 で きた 。
V.結 論
手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 の2つ の学 習 形 態 に お け る 学 生 の 自 由 記 載 レポ ー ト内 容 の うち, 学 生 の 患 者 に 対 す る反 応 に 焦 点 を あ て て 分 析 した 結 果,次 の こ とが 明 らか に な った 。
1.手 術 室 見 学 で は,不 安 に 関 す る内 容 が 半 数 近 くを 占め,抽 象 的 な 言 葉 を 用 い た 学 び の 内 容 が 記 述 され て い た 。一 方,手 術 室 入 室 実 習 で は,多 様 な 言 葉 を 用 い て の 実 践 的 な学 び の 内 容 が 記 述 され て い た 。
2,体 験 を 通 して 感 じた 葛 藤 や 実 感 な どの 感 情 は,自 然 な形 で行 動 とな っ て 現 れ,自 分 自身 を 問 い 直 しな が ら,患 者 の看 護 を 具 体 的 に 考 え る原 動 力 とな る こ とが期 待 で き る 。
3.手 術 室 見 学 と手 術 室 入 室 実 習 に お け る学 び の 共 通 項 目に お い て,項 目は 共 通 で あ る が,学 び の 内容 表 現 は 異 な っ て お り,手 術 室 見 学 で は,悪 者 体 験 か ら,健 康 な 自分 を通 して患 者 の状 態 を察 し よ う とす る と きに,今 ま で 学 習 して きた 知 識 を 用 い よ うとす るた め,学 生 は 共 通 し た 一 般 的 な看 護 を 学 ん で い た 。 そ の 後 の 手 術 室 入 室 実 習 の方 で は,学 習 して きた 知 識 を 個h の 患 者 に 応 じて 問 い 直 す た め 学 生 個 々 に 特 殊 な 内 容 を 学 ん で お り,1つ の 活 動 が 次 の 活 動 に 正 に 転 移 して い る と推 察 され た 。
4.以 上 の よ うに手 術 室 見 学 か ら手 術 室 入 室 実 習 の 学 習 は,重 層 性 の あ る学 び に つ なが っ て い く 学 習 形 態 で あ る と い え る 。
W本 研 究 の 限 界 と今 後 の 課 題
急 性 状 況 に あ る患 者 の看 護 の 実 習 時 期 は3年 次 と4年 次 で あ る が,今 回 の 分 析 は3年 次 の 学 生
周手 術 期 看 護 に お け る見 学 と実 習 の レポ ー ト内容 分 析 に よる学 習 効 果 の検 討
を対 象 と して お り,学 年 全 体 の 傾 向 は 捉 え られ て い な い 。 また,学 生 の レポ ー ト内 容 す べ て を 分 析 対 象 と して い な い た め,学 習 形 態 に お け る学 習 効 果 を 総 合 的 に 判 断 で き な い こ とが 本 研 究 の 制 約 で あ る。 今 後 の 課 題 は,実 習 の 目的 ・目標 の達 成 度 とス タ ッ フか らの 学 び を 含 め て分 析 し,よ
り効 果 的 な 学 習 形 態 を 再 編 成 す る こ と で あ る 。
レポ ー トの 内 容 を 本 研 究 の資 料 とす る こ とを 了 解 して くだ さ った 学 生 の 皆 様 ,見 学及 び実 習 に ご協 力 い た だ い た 手 術 部 の 婦 長 及 び看 護 婦 の 皆 様 に 感 謝 致 します 。
W.参 考 ・引 用 文 献
1)伊 藤 真 理 子:本 学 に お け る手 術 室 実 習 の 成 果 第13回 日本 看 護 学 会 集 録(看 護 教 育)P30‑33,1982
2)照 井 美 津 子:手 術 室 実 習 に お け る 「手 術 を 受 け る患 者 の 看 護 」 の 展 開 とそ の 評 価 第13回 日本 看 護 学 会 集 録(看 護 教 育)P212‑215,1982
3)粟 生 田友 子:手 術 室 見 学 実 習 の あ り方 を 考xる 第22回 日本 看 護 学 会 集 録(看 護 教 育)P139‑142,1991 4)照 屋 洋 子:手 術 室 見 学 実 習 方 法 の検 討 看 護 教 育 の研 究Vo115,P243‑248,1998
5)山 崎 加 代 子:周 手 術 期 看 護 実 習 の教 育 評 価 一 手 術 室 を キ ー ス テ ー シ ョソ と した実 習 方 法 を 振 り返 っ て 一 福 井 県 立 大 学 短 期 大 学 部 論 集8号P65‑76,1998
6)利 木 佐 起 子:周 手 術期 看 護 実 習 に お け る 自尊 感 情 を 考 慮 した指 導 方 法 の 一 考 察 日本 看 護 学 教 育 学 会 誌 Vo18.2,P151,1998
7)三 上 俊 治 他 訳:メ ッセ ー ジ 分 析 の 技 法 「内 容 分 析 」 へ の 招 待 勤 草 書 房P21‑26,1995 8)坂 江 千 寿 子:内 容 分 析 方 法 を 用 い た 実 習 レポ ー ト評 価 に 関 す る基 礎 的 研 究
日本 看 護 研 究 学 会 雑 誌Vol22,No4,P49‑61,1999
9)縄 秀 志 二臨 床 実 習 の 意 味 に つ い て の一 考 察QualityNursingVol4,No2,P26‑29,1998
10)寺 崎 明 美:考 え 、 感 じ る心 を 培 う看 護 基 礎 教 育 日本 看 護 学 教 育 学 会 誌Vol9,No3,P29‑41,1999 11)佐 藤 み つ 子:看 護 教 育 に お け る授 業 設 計 医 学 書 院P123,1993
12)数 間 恵 子:手 術 患者 のQOLと 看 護 医 学 書 院P7,1999