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横浜市 横浜市 横浜市 横浜市の の の取組 の 取組 取組 取組み み み み

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認可保育所における保育料改定に着目した政策効果分析-横浜市を事例として-

ま ちづく りプロ グラム MJU11010 佐藤 孝之

1. はじめに

認可保 育所では,国が保 育所徴 収金基 準額を定 め,自治体 が さ ら に 低 い 保 育 料 を 設 定 す る た め,実 質 的 な 価 格 規 制 が 行われ,その弊害として待機児童が発生している.

児童福 祉法第二 十四条 におい て,市町 村は,条 例で定 める 事 由 に よ り,保 育 に 欠 け る 児 童 の 保 育 保 障 に 関 す る 公 的 責 任 を 持 つ,と さ れ て い る.そ の た め,市 町 村 は,待 機 児 童 解 消 を 目指し,認証保 育施設の 整備制 度や保 育料改定 など,現行 の 法 制 度 を 前 提 に 様 々 な 取 り 組 み を 行 っ て い る.横 浜 市 で は,「保育料のあり方検討委員会」を立ち上げ,平成24年度 からの保育料引き上げなどが議論されている.

そこで,本論文 では,現 状の認可 保育所 で実施さ れている 保 育 料 の 価 格 規 制 に 着 目 す る.そ し て , ① 認 可 保 育 所 保 育 料 と需要 量及び 供給量 との関係 ,② 認可保 育所保 育料の引 き 上げ政 策が ,効率 性改善 に与え る効果 を推定 するこ とを 目的とする .

なお,こ れまで の研究で は,仮想 市場法 を用いて 保育需要 の 推 定 を 試 み た 研 究 や,新 た な 保 育 サ ー ビ ス へ の 支 払 意 思 額 か ら 需 要 の 推 定 を 行 っ た 研 究 が あ る. こ れ に 対 し,本 論 文 で は,現 行 の 認 可 保 育 所 に お い て, 認 可 保 育 所 保 育 料 と 需 要 量 及 び 供 給 量 と の 関 係 を 推 定 し,認 可 保 育 所 保 育 料 引 き 上 げ 前 後 に お け る 社 会 的 余 剰 の 変 化 を 定 量 的 に 推 定 す ることに力点を置いている.

2.

認可保育所 認可保育所 認可保育所 認可保育所の の の の現状 現状 現状 現状

こ の 章 で は , 認 可 保 育 所 の 現 状 を 把 握 し , 本 稿 で 取 り 組 む 課 題 の 前 提 を 明 ら か に す る . ま ず , 保 育 料 の 決 定 に 関 連 す る 法 規 制 と そ の 影 響 に つ い て 触 れ , 次 に , 横 浜 市 に お け る 認 可 保 育 所 の 利 用 実 態 を 明 ら か に し , 最 後 に , 横 浜 市 の 取り組み状況を概観する .

2.1

保育料 保育料の 保育料 保育料 の の の決定 決定 決定 決定に に関連 に に 関連 関連する 関連 する する する法規制 法規制 法規制 法規制

市町村の設置する保育所の費用は,児童福祉法第五十一 条第三号において,市町村が支弁するとされている.また, 同法第五十六条第三項では,市町村の長は,家計への影響を 考慮し,児童の年齢などに応じ定める保育費用を保育所利 用者から徴収することができるとされている.

現状では,法律において,市町村の設置する保育所の保育 費用は,市町村とその保護者が負担するとなっているが,具 体的な額やそれぞれの負担割合は定められていない.

法律に保育料が明記されていないため,国が保育所徴収 金基準額を,人件費(俸給,諸手当,社会保険料事業主負担 金),管理費(光熱水費,消耗品費,職員健康管理費など), 及び事業費(給食費,保育材料費など)といった認可保育 所を運営するにあたって必要な額を算出し,市町村に提示 する.そして,市町村は,国から提示された基準額を参考に, 家計に与える影響や地域性を考慮し,入所児童の年齢や世 帯収入に応じ保育料を定める.このような過程を経て,認可 保育所の保育料は決定されている.

現状,自治体が定めた保育料は,国が示す基準額よりもさ らに低くなっている.そのため,自治体が定める保育料は, 認可保育所の需要と供給から決まる価格よりも低い状態 にあると考えられる.この抑制された価格は,実質的な価格 規制として働き,超過需要,すなわち待機児童を生み出して いると考えられる.

2.2

横浜市 横浜市 横浜市における 横浜市 における における認可保育所 における 認可保育所の 認可保育所 認可保育所 の の の利用実態 利用実態 利用実態 利用実態

2.2.1 待機児童待機児童待機児童待機児童 ののの 変遷の変遷変遷変遷

横浜市における待機児童数の変遷は,過去10年間,ほぼ 1000人前後で推移している.また,平成17年度から19年度 にかけて待機児童数が減少しているのは,横浜市において

「子育て支援事業本部」が設置され,認可保育所の積極的 な整備が行われたという特殊事情によるものと推察する. さらに,平成23年度には,待機児童数が,5年ぶりに減少に 転じ,971人となっている.

2.2.2 所得階層別利用者数所得階層別利用者数所得階層別利用者数所得階層別利用者数

平成23年3月の階層区分別の保育所入所児童数を見る と,①入所児童数のうち,世帯年収1100万円以上の階層に該

当するD17~D20が,17.61%と全体のおよそ1/5弱を占めて

い る,② ど の階 層か らも一 定数の入所 児 童 が存在し て い る, の2点が確認できる.

2.2.3 所得階層別料金負担割合所得階層別料金負担割合所得階層別料金負担割合所得階層別料金負担割合

横浜市の認可保育所保育料は,入所が決まった世帯にか かる所得税額と子の年齢により決定される.現在の料金体 系は, 26区分されており,その金額は月額で最低 0円から 最高62,500円である.

保護者の負担部分は,児童1人,1か月あたり平均で,3歳未

満児では32,271円(1人あたり経費の16.5%),3歳以上児

では,20,717円(1人あたり経費の27.2%)である.認可保育 所必要経費 の内,保 護 者の 負 担部 分 以 外は,国 及 び 市 町村 か ら補助金が支出され,認可保育所が運営されている. 2.3

横浜市 横浜市 横浜市 横浜市の の の取組 の 取組 取組 取組み み み み

横浜市では,これまでに認証保育制度の創設や利用料改 定を行なっている.直近では,平成24年4月からの保育料改 定に向け,保育料等のあり方検討委員会を設置し,平成23 年9月には,同委員会から「横浜市の保育料等のあり方に 関する報告書」が横浜市に対し提出されている.

新聞報道によれば,今回の保育所利用料の改定は 7年ぶ り,平均で 8%強の引き上げになるとされている.また,引き 上 げ幅は,家計へ の影響を 考慮し て低所得層は小さく,高所 得層で大きくなり,所得区分により,毎月0~25%程度,金額 で0~1万5千円程度が想定されている.

3

保育料改定 保育料改定 保育料改定 保育料改定による による による による社会的余剰 社会的余剰 社会的余剰の 社会的余剰 の変化 の の 変化 変化 変化 ( ( ( (理論分析 理論分析 理論分析 理論分析) ) ) )

価 格 規 制 を受け て い る 保 育 料 の増額 改 定 効 果 を図 示し た の が,図 1で あ る.こ こ で,BE の 実線が補 助金 を受け た 認 可 保 育 所 の 供 給曲 線,AC の 実線が 認 可 保 育 所 の 需 要曲 線,

(2)

- - 2 - - 価格 p1 が自治体により認可保育所利用者に提示される抑 制価格,価格p1’が自治体により増額改定された認可保育所 利用者に提示される抑制価格,価格p2が認可保育所供給者 の直面する価格とする.

自 治 体 が 定 め る 価 格 を p1 か ら p1’へ と 上昇させ, ラ ン ダ ム効 果 を 考 慮 し た 場 合,消 費 者 余 剰 か ら 政府 支出を差し 引 い て求め ら れ る濃い灰 色の分 だけ,社 会 的 余 剰 は増 加す る と 考 えられる.

4

保育料改定 保育料改定 保育料改定 保育料改定による による による社会的余剰 による 社会的余剰 社会的余剰 社会的余剰の の変化 の の 変化 変化 変化 ( ( ( (実証分析 実証分析 実証分析 実証分析) ) ) )

この章 では ,第 3 章 の理論分 析結果 を受け ,横 浜市と制 度 的背景が同じ 政令市 を対象に ,認 可保育 所保育 料が需要 量及び供給量に与える効果をOLSにより推定する . 4.1

推定 推定 推定に 推定 に に使用 に 使用する 使用 使用 する する するデータ データ データ データ

推 定 に使用 す るデータは,厚生労 働 省及 び各政令市 のホ ームページから,過去 10年分の情報を収集した.また,入園 申 込み数な どホーム ページに掲 載さ れ て い な い情 報は,各 自治体へ調査票を送付し回答を得た.

需 要曲 線の被 説明 変数は,保 育 料 改 定 に よ り 認 可 保 育 所 へ の入所申 込み数が 変 化 す る と 一般的 に は 考 え ら れ る た め,入所申 込み数を採用 し た.ま た,需 要曲 線の説明 変数に は,認可保 育所利 用者の決 定に影 響を与 える指標として,一 人 当 た り 保 育 料 金 支 払 額,0〜5 歳児 の 人口,世 帯収入,認 可 保 育所の追加サー ビス数を用い る.ここ で,一人 当たり 保育 料 金 支 払 額 に は,各自 治 体 の 保 育 料 金 収入を 認 可 保 育 所 利 用 児童数で除して算出し た値を 利用し ている.これは,現状 の 認 可 保 育 所 保 育 料 は,世 帯収入や子供 の 年 齢 な ど に 応 じ 決定され,利用者の負担額が異なるためである.

一方,供 給曲線の被説明 変数は,供給者 が直面する価格に 応 じ て 定 員 を 決 定 す る と 一般的 に は 考 え ら れ る た め,認 可 保 育 所 定 員 を採用 し た.ま た,供 給曲 線の説明 変数は,認 可 保 育 所 供 給 者 の 決 定 に 影 響 を 与 え る 指標と し て,自 治 体 の 保育関係経費(1人あたり),認可保育所の追加サービス数 を用いる.ここで,保育関係経費(一人あたり)は,各自治体 の 保 育 関 係経費 を 利 用 人数で除し て算 出し た値を 利 用 し ている.

各データの基本統計量は,表4.1の通り.

4.2

政令市 政令市 政令市における 政令市 における における認可保育所需要曲線 における 認可保育所需要曲線の 認可保育所需要曲線 認可保育所需要曲線 の の推定 の 推定 推定 推定

4.2.1 需要曲線需要曲線 の需要曲線需要曲線のの 推定の推定推定推定 モデルモデルモデルモデル

需 要曲 線は,認 可 保 育所 へ の入所申 込 数(APPL)を被 説明 変数とし,①式と仮定する.

APPLit=α

FEEit+α

POPit+α

EARNit

+α

SERVit+cD+ε … ① こ こ で,説明 変数の FEE は 一 人 当 た り 保 育 料 金 支 払 額,POPは0〜5歳児の人口,EARNは世帯収入,SERVは認可 保育所の追加サービス数とする.αは係数,cDは需要曲線に おける定数項,εは誤差項を表す.なお,添え字iは都市,tは年 度を表す.

4.2.2 需要曲線需要曲線 の需要曲線需要曲線のの 推定結果の推定結果推定結果推定結果

政令市パ ネ ル データを 用 い て,年 度ダ ミー 及 び都市ダ ミ ー を加え,OLS 分 析を 実 施 し た.需 要曲 線の 推 定結果 は,表 4.2に示す通りとなった.

注) ***, **, *はそれぞれ有意水準1, 5, 10%に対応する

需要曲線の推定結果から,認可保育所保育料が 1 単位増 加すると,入所申込数が13.378単位減少することが確認で きる.このことは,認可保育所保育料を 1,000 円上昇させる と,入所申 込数が,少なくとも 13 人減少するこ とを意味す る.こ こ で,係数の有意 性 が示さ れ な い の は,変数の内生 性 が影響を与えるためと考えられる.

ま た,各自 治 体 が 認 可 保 育 所 で 行う 追 加サ ー ビ ス の種 類 が1単位増えると,入所申込数が1549.2単位増加すること が確認できる.このことは,自治体がサービスを1つ増やす こ とで,認 可保育 所への入所申込 数が,少なくとも 1549 人 増加することを意味する.

4.3

政 令 市 政 令 市 に お 政 令 市 政 令 市 に お に お に お け る け る け る 認 可 保 け る 認 可 保 認 可 保 認 可 保

育所供給曲線 育所供給曲線 育所供給曲線 育所供給曲線の の の推定 の 推定 推定 推定

4.3.1 供給曲線供給曲線供給曲線供給曲線 ののの 推定の推定推定推定 モデルモデルモデルモデル

供 給曲 線は,認 可 保 育 所 の 定 員 数(CAPA)を被 説明 変数と し,②式 に表わされると仮定する. CAPAit = β

BUDGit + β

SERVit + cS +ε … ② ここで,説明変数のBUDGは自 治 体 の 保 育 関 係経費 (1 人 あ た 表4.1 基本 統計量

変数 単位 平均値 標準偏差 最低値 最高値 観測数

入園申込み数 人 19,350 8,525.1 7,796 44,094 115 認可保育所保育料 千円 227.81 70.266 24.121 309.04 69

0〜5歳児人口 人 89,308 43,956 47,089 200,762 93

世帯収入 千円 574.46 29.745 516.5 619.5 121

追加サービス数 個 7.1477 2.4660 1 12 88 認可保育所定員 人 21,169 10,133 7,603 44,085 116

保育関係経費

1人あたり)

千円 976.04 588.80 15.764 2,062.1 87

表4.2需要曲 線の推 定結果

(被説 明変数 :入所 申込数)

変数 係数 標準偏差 有意水準

認可保育所保育料 -13.378 26.587

0〜5歳児人口 0.0643 0.1156

世帯収入 -23.497 30.749

追加サービス数 1549.2 278.18 ***

定数項 28903 32101

年度ダミー yes

都市ダミー yes

自由度調整済決定係数 0.9874

観測数 64

図3.1 価格改定による 余剰の変化

(3)

- - 3 - -

り ),SERV は認 可保育 所の追加サー ビス数とす る.βは係

数,cSは 供 給曲 線に お け る 定数項,εは誤 差項 を表す.な お, 添え字iは都市,tは年度を表す.

4.3.2 供給曲線供給曲線供給曲線供給曲線 のののの 推定結果推定結果推定結果推定結果

政令市パ ネ ル データを 用 い て,年 度ダ ミー 及 び都市ダ ミ ー を加え,OLS 分 析を 実 施 し た.供 給曲 線の 推 定結果 は,表 4.3に示す通りとなった.

供給曲線の推定から,保育関係経費(1人あたり)が1単位 増加すると,認可保育所の定員が,1.6511単位増加すること が確認で きる.こ のことは,保育関 係経費 (1 人あ たり)を 1,000 円 増 加させる と,認 可 保 育 所 の 定 員 が,少なくとも 1 人増加することを意味する.

ま た,各自 治 体 が 認 可 保 育 所 で 行 な っ て い る追 加サ ー ビ スの種類が1単位増えると,入園申し込み数が,909.77単位 増 加する ことが確認で きる.この ことは,自治体 がサー ビス を 1 つ増やす予算を確保することにより,認可保育所の定 員が,少なくとも909人増加することを意味する.

注) ***, **, *はそれぞれ有意水準1, 5, 10%に対応する

5

考察 考察 考察 考察

この章では,第4章でのOLS推定結果を受け,横浜市の保 育料改定による効果を推計した.

推定の結果,統計上有意性を示さない 係数も,内生性 を解 決 した場 合,その絶対値はより大きいと予想さ れる.そ のた め,以降の 考察で は,推定 で得られ た有意 性を示さない 係数 は,下限を示す指標として用いる.

5.1 政令市政令市 における政令市政令市におけるにおけるにおける 価格価格価格価格 とととと 需要量需要量 ・需要量需要量・・ 供給量・供給量供給量 の供給量のの 関係の関係関係関係 4.2 に示し た 推 定 の結果 か ら,政令市 に お け る 認 可 保 育 所 を 利 用 す る親が直 面す る 価 格 と 認 可 保 育 所 へ の申 込 数 の関係は,以下の③式で示される.

q = -13.38p + 28903

ま た,4.3 に示し た 推 定 の結果 か ら,政令市 に お け る 認 可 保 育 所 の 供 給 者 が直 面す る 価 格 と 認 可 保 育 所 の 定 員 の 関 係は,以下の④式で示される.

q = 1.651p + 4346 … ④ 5.2

横浜市 横浜市における 横浜市 横浜市 における における における政策効果分析 政策効果分析 政策効果分析 政策効果分析

5.2.1 平成平成平成平成24年度年度年度年度 におけるにおける 価格規制におけるにおける価格規制価格規制 の価格規制ののの 状態状態状態状態

政令市 に お け る 価 格 と 需 要 量 及 び 供 給 量 の 関 係 を 基 に, 平成24年度の横浜市における価格と需要量及び供給量の 関係を推定する.

推定に利用する平成24年度のデータは,表5.1の通りで あ る.こ のデータは,収集し た 横 浜 市 のデータを 基 に,OLS に よ り 前 年 度 の 実績 値か ら 当該年 度 の 実績 値を 推 定 し,平 成24年度となるまで推計を繰り返すことにより算出され た.こ こ で,追 加サ ー ビ ス数は,公表さ れ た 横 浜 市 の 平 成 24 年 度予 算 案を確認 し,新 規 サ ー ビ ス が確認 さ れ な か っ た た め,平成23年度と同じ数値を利用している.

表5.1 推定 された データ(平成24年 度)

変数 単位 推定値

認可保育所保育料 千円 285.64 保育関係経費

1人あたり)

千円 2099.1

0〜5歳児人口 人 193197

世帯収入 千円 609.20

追加サービス数 個 9

表5.1のデータを用いると,平成24年度時点での横浜市 に お け る 価 格 と 需 要 量 及 び 供 給 量 の 関 係 は,そ れ ぞ れ以 下 の⑤及び⑥式で示される.

q = -13.38p + 44421 … ⑤ q = 1.651p + 14108 … ⑥

⑤及び⑥式から,推定された平成24年度における横浜市 の 認 可 保 育 所 市 場 に お け る均 衡点 は,( p , q )=( 2017.0 ,

17438 )となる.平成24年度の横浜市が定める年間の認可保

育 所 保 育 料 は,285.64[ 千 円 ]に な る と 推 定 さ れ る.そ の た め,横浜市 が定め る認可保 育所保 育料は,横浜市 が保育料を 定 めない場 合に決定さ れる価格と比較して,約 1/7 と大幅 に低い状態にある.

5.2.2保育料改定保育料改定保育料改定 による保育料改定によるによるによる 効率性改善効果効率性改善効果 の効率性改善効果効率性改善効果ののの 推計推計推計推計

ここでは,推定された平成24年度における横浜市の価格 と 需 要 量・供 給 量 の 関 係 (⑤及 び⑥ 式) を 用 い て,死 荷 重 の 計算を 行う.横浜 市が,認 可保育 所保育料 を定め ない場 合, 社会的総余剰 SS は,43353828[千円*人]と計算される.この 状 態と横 浜市が 価格を 定める以 下の 3 つ のケー スを比較 し,保育料改定による効率性の改善効果を検証する.

なお,横 浜市の 保育料改 定幅は,平均で 8%強引き上げら れるという新聞報道による.

1) ケースケースケースケース1::::供給者補助削減供給者補助削減供給者補助削減供給者補助削減,認可保育所 の認可保育所認可保育所認可保育所のの 利用の利用利用利用 がががが 支払意支払意支払意支払意

思額思額

思額 の思額のの 高の高高高 いいい 順い順順順 にに 決にに決決決 まままま るるるる 場合場合場合場合

ケース 1 は,保育料の引き上げ方を供給者への補助額を 削 減し 供 給 量 が 一 定 と な り,か つ 認 可 保 育 所 の 利 用 が 支 払 意志額の高い順に決まる場合を想定し,試算を行う.

このケースでは,保育料 の改定 前後で,消費者 余剰と政府 支出が変化する.また,社会的余剰SScは,保育料の改定前後 で 変 化せず,33251834[千 円*人]と な る.ま た,消 費 者 か ら 政

府に401565[千円*人]の所得が移転することが確認できる.

2) ケースケースケースケース2::::供給量一定供給量一定供給量一定供給量一定,認可保育所 の認可保育所認可保育所認可保育所ののの 利用利用利用 が利用ががが ランダムランダムランダム にランダムににに

決決

決決 まるまるまるまる 場合場合場合場合

ケース 2 は,保育料の引き上げ方を供給者への補助額を 削 減し て 供 給 量 が 一 定 と な り,か つ 認 可 保 育 所 の 利 用 がラ ンダムに決まる場合を想定し,試算を行う.

表4.3 供給曲 線の推 定結果

(被説 明変数 :認可 保育所定 員)

変数 係数 標準偏差 有意水準

保育関係経費

1人あたり)

1.6511 0.5165 ***

追加サービス数 909.77 186.84 ***

定数項 4346.1 874.38 ***

年度ダミー yes

都市ダミー yes

自由度調整済決定係数 0.9916

観測数 77

(4)

- - 4 - - このケースでは,保育料 の改定 前後で,消費者 余剰と政府 支出が変化する.

保育料改定前の社会的余剰SScは,28049411[千円*人]と 計算さ れ,保 育 料 改 定 前 の死 荷 重は,15304417[千 円*人]と な り,自 治体が 価格を 定めな い場 合の約 35.301[% ]にな ると推定される.

保育料改定後の社会的余剰SScは,28267779[千円*人]で あ り,死 荷 重は,15086049[千 円*人]と 計算さ れ る.死 荷 重の 割 合は,自治体 が価格 を定め ない 場合の約 34.798%になる と推定される.

よって,ケース2での平成24年度の認可保育所の保育料 増額 改定 に より 改 善さ れる 効率 性 は,218368[千円*人]で あ り,その改善割合は0.5030[%]になると考えられる. 3) ケースケースケースケース 3::::供給者補助一定供給者補助一定供給者補助一定供給者補助一定,認可保育所 の認可保育所認可保育所認可保育所ののの 利用利用利用 が利用ががが ランダランダランダランダ

ム ム ム

ム ににに 決に決決決 まるまるまる 場合まる場合場合場合

ケース3では,保育料の引き上げ方を,供給者への補助額 が 一 定 と な り,か つ 認 可 保 育 所 の 利 用 がラ ン ダ ムに 決 ま る 場合を想定し,試算を行う.

こ のケー ス で は,保 育 料 の 改 定 前 後 で,消 費 者 余 剰,生産 者余剰,及び政府支出が変化する.

保育料改定後の社会的余剰SScは,28238476[千円*人]で あ り,死 荷 重は,15115352[千 円*人]と 計算さ れ る.死 荷 重の 割 合は,自治体 が価格 を定め ない 場合の約 34.865%と推定 される.

よって,ケース3での平成24年度の認可保育所の保育料 増額 改定 に より 改 善さ れる 効率 性 は,189065[千円*人]で あ り,その改善割合は0.4360[%]になると考えられる.

3 つ のケー ス で 推 計 し た結果 と 認 可 保 育 所 保 育 料 の 改 定による効率性改善効果を,表5.2に示す.

6

おわりに おわりに おわりに おわりに

本稿では,4.2及び4.3において,政令市パネルデータを用 い OLS に よ る 推定 を 行 った.そ の結果,① 認可 保 育所 保 育 料が 1000 円 増加す ると,認 可保 育所へ の入所申込数が,少 なくとも13人減少すると推定される,②保育関係経費(1人 あたり)が 1000円増加すると,認可保育所の定員が,少なく とも1人増加すると推定される,の2点が確認された.

ま た,5.1 に お い て,政令市 に お け る 価 格 と 需 要 量 及 び 供 給量の関係から,平成24年度の横浜市における価格と需要 量 及 び 供 給 量 の 関 係 を 推 計 し た.こ の 関 係式を 用 い て, 5.2 では,平成24年度に予定されている,平均8%強の認可保育

所 保育料 の増額 改定に よる効果を 3 つのケース で推計し た.

そ の結果,認 可 保 育 所 の 利 用 にラ ン ダ ム効 果 を 仮 定 す る と,認可保 育所保 育料の増額改定 により,効率性 の改善が確 認 さ れ た.ま た,そ の 改 善幅は,供 給 者 へ の補 助金 額 を 一 定 と す る の で は なく,供 給 量 が 一 定 と な る よう政府か ら 供 給 者 へ の補 助金 額 を削 減す る こ と で 最も 大きくな る こ と が 確認 さ れ た.こ の 政 策 に よ り 改 善 さ れ る 効 率 性 は,最大で 218368[千円*人],0.5030[%]と推計された.

こ の 推 計結果 か ら,現 行 制 度下に お い てラ ン ダ ム効 果 を 仮 定すれば,認可 保育所保 育料は 引き上 げるべき であり,保 育 料 を 引 き 上 げ た分政府か ら の補 助金 は削 減す る必要 が ある,と言える.

今後 の 課 題 と し て,実 証分 析に よ り 推 定 さ れ た 係数の有 意 性 と 認 可 保 育 所 に 対 す る補 助金 額 の妥当 性 の 検 討 を挙 げ る.推定 の結果有意性が得られ なかっ た係数に 対して は,

①操 作変数を 用 い て内生 性 を 解 消 す る,②データの 観測 数 を多くし 推定の精度を上 げる,と いった 対応が考 えられ る. ま た,本研 究では 現行制度 を前提 に考察を進めた が,保育制 度 の有す る外 部性 を評価 し,補 助金 額 の妥当 性 を 議 論 す る 必要があると考える.

参考文献 参考文献 参考文献 参考文献

(1) 周,大石(2003)「保育サービスの潜在需要と均衡価格 」

(2) 鈴木(2008)「保育制度 への市場原理導入の効果に関

する厚生分析」『季刊社会保障研究』Vol.44,pp. 41~58

(3) 村井,古坂,中野(2009)「少子化時代における中小企業と

子育て関連ビジネスに関する調査研究」

(4) 八田達夫(2008)「ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱ」東洋経済新報

(5) 八代尚宏編(2000)「社会的規制の経済分析」,(2005)『「官 製市場 」改革』(シリーズ・現代経済研究) 日本経済新 聞社

(6) 横 浜 市 保 育 料等の あ り 方 検 討 委 員 会(2011)「 横 浜 市 の 保育料等のあり方に関する報告書」

(7) 朝日新聞(2011)「保育料値上げへ 横浜市」

(8) 各政令市ホームページ (9) 厚生労働省ホームページ

表5.2 保育 料改定 による効 率性改 善効果

変数 単位 価格規制なし ケース1 ケース2 ケース3

改定前

社会的余剰 千円*人 43353828 33251834 28049411 28049411

死荷重 千円*人 - 10101985 15304417 15304417

割合 % - 23.301 35.301 35.301

改定後

社会的余剰 千円*人 - 33251834 28267779 28238476

死荷重 千円*人 - 10101985 15086049 15115352

割合 % - 23.301 34.798 34.865

効果

死荷重 千円*人 - 0 218368 189065

割合 % - 0 0.5030 0.4360

参照

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