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Title
Cigarette smoke condensate modulates migration of human gingival epithelial cells and their
interactions with Porphyromonas gingivalis Author(s) 今村, 健太郎
Journal , (): ‑
URL http://hdl.handle.net/10130/3647
Right
氏名 今村 健太郎
学位 博士(歯学)
学位記番号 第2078号(甲 第 1291 号)
学位授与年月日 平成27年 3月31日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項 論文審査委員 主査 村松 敬 教 授
副査 新谷 誠康 教 授 副査 齋藤 淳 教 授 副査 石原 和幸 教 授 副査 加藤 哲男 教 授
学位論文名 Cigarette smoke condensate modulates migration of human gingival epithelial cells and their interactions with Porphyromonas gingivalis
学位論文内容の要旨
1.研究目的
喫煙は歯周病の重大なリスクファクターである。喫煙が歯周組織に及ぼす影響については、主にニ コチンを中心に研究がなされてきた。しかし、タバコ煙が宿主細胞に及ぼす影響、とくに歯周病原細 菌の存在下における影響については、未だ明らかにされていない。そこで本研究では、タバコ煙濃縮 液への暴露とPorphyromonas gingivalis 感染がヒト歯肉上皮細胞の機能、とくに遊走能および細菌 の宿主細胞への侵入能に及ぼす影響を検討した。
2.研究方法
ヒト歯肉上皮細胞 Ca9-22 を 10% FBS 添加 MEM にてコンフルエントに達するまで培養した。各種濃 度のニコチンまたはタバコ煙濃縮液 (CSC) を 24 h 作用させた後、細胞の生死をトリパンブルー排除 試験、細胞増殖能を WST-1、創傷閉鎖能(遊走能)を wound healing assay にて評価を行った。細胞 形態の変化は、位相差顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡 (CSLM) にて解析した。また、integrin の 発現局在を CSLM にて観察し、mRNA 発現を real-time RT-PCR を用いて定量した。以上の実験は、P.
gingivalis ATCC 33277 の感染下 (MOI= 100、 2 h ) でも行った。P. gingivalis の Ca9-22 への侵入 能は antibiotic protection assay および CSLM にて評価した。
3.研究成績および結論
喫煙者の唾液中濃度に相当するニコチン濃度の範囲において、Ca9-22 の細胞生死と増殖能に変化は認め られなかった。CSC 濃度 0.1-50 µg/ml では遊走能に濃度依存性の促進が認められ、位相差顕微鏡では細胞 形態に、CSLM では細胞骨格に変化が観察された。250 µg/ml (ニコチン濃度約 6.0 µg/ml ) 以上の CSC 濃 度では遊走能の抑制が認められたことから、CSC は濃度により歯肉上皮細胞に二相性の影響を及ぼすことが 示唆された。一方、P. gingivalis を感染させると遊走能は全体的に抑制され、CSC による促進傾向は認め られなかった。また、遊走能を促進させた CSC 濃度において、scratch 側に近接した細胞における integrin α3 の発現の亢進が観察され、さらに mRNA 量も約 2 倍の増加を示した。一方、P. gingivalis を感染させ ると遊走能、integrin α3 の発現は全体的に抑制され、 CSC による促進傾向は認められなかった。低濃度 CSC の暴露により P. gingivalis の Ca9-22 への侵入は亢進した。
以上の結果より、CSC は濃度によりヒト歯肉上皮細胞の遊走能に二相性の影響を及ぼし、これには細胞骨 格と integrin 発現の変化が関与していることが示唆された。さらに、このような影響は P. gingivalis 感 染により修飾されることが確認された。
最終試験の結果の要旨および担当者
報 告 番 号 甲 第1291号 氏 名 今村 健太郎
最終試験担当者
主 査 村松 敬 教 授 副 査 新谷 誠康 教 授 齋藤 淳 教 授 石原 和幸 教 授 加藤 哲男 教 授
最終試験施行日 平成26年 4月22日
試 験 科 目 歯周病学
試 験 方 法 口頭試問
試 験 問 題 主題ならびに関連問題
結 果 の 要 旨
本審査委員会は主題ならびに関連問題について最終試験を行った結果、十分な学識を 有することを認め、合格と判定した。
学位論文審査の要旨
本研究は、歯周炎の環境面でのリスクファクターとして重要な喫煙が歯周病原細菌と宿主細胞との相互 作用に及ぼす影響について検討することを目的に行われた。その結果、タバコ煙濃縮液(CSC)は濃度に よりヒト歯肉上皮細胞の遊走能に二相性の影響を及ぼし、そのメカニズムとしては細胞骨格とintegrin発 現の変化が関与していることが示唆された。さらに、この影響はPorphyromonas gingivalis 感染により修 飾されることが明らかとなった。
本審査委員会では、1. 参考とした唾液中のニコチン濃度は喫煙後、どれくらいで測定されているのか、 2.
アクチンのリアレンジメントの関与について、阻害実験は行ったか、3. CSC添加なしでP. gingivalis感染
によりwound closureの減少がみられないのはなぜか、4.高濃度CSCでP. gingivalisの侵入が減少して
いるが、これは喫煙の利点と考えてよいか、5. 他の細胞では同様の結果が得られるか、といった質問およ び指摘があった。これらに対して、1. 引用文献では最後の喫煙から9時間後に測定されており、これはニ コチンのhalf-lifeを考慮したwash-out periodとされている、2. Cytochalasin D等を使用した阻害実験が 考えられるが、これについては講座の過去の研究および他の研究で既に確認されている、3. 減少はみられ たが有意差はなかった。P. gingivalisのstrainの違いや感染時間等の影響もあると考える、4. 細菌の侵入 が減少したとしても、高濃度CSCでは細胞骨格や形態自体が著しく変化し、遊走能も低下しており、これ らの点からは生体には負の影響であると認識している、5.CSC の影響は細胞の種類により異なる可能性 があり,今後他の細胞を使用し検討する必要がある、と概ね妥当な回答が得られた。さらに用語の統一や 論文の構成、とくに考察の論理展開についての指摘があり、修正が行われた。
以上より、本研究で得られた結果は今後の歯学の進歩、発展に寄与するところ大であり、学位授与に値 するものと判定した。