• 検索結果がありません。

内服抗がん剤治療を受ける患者の実態調査 < 資料 > 内服抗がん剤治療を受けた患者の副作用症状 (Hand-foot-syndrome) と 看護支援に関する実態調査 外来看護援助プログラム開発に向けて Nursing care for cancer patients with hand-foot-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "内服抗がん剤治療を受ける患者の実態調査 < 資料 > 内服抗がん剤治療を受けた患者の副作用症状 (Hand-foot-syndrome) と 看護支援に関する実態調査 外来看護援助プログラム開発に向けて Nursing care for cancer patients with hand-foot-"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

<資 料>

内服抗がん剤治療を受けた患者の副作用症状(Hand-foot-syndrome)と

看護支援に関する実態調査―外来看護援助プログラム開発に向けて―

Nursing care for cancer patients with hand-foot-syndrome caused by oral chemotherapy :

A survey for the development of an outpatient-based nursing intervention

森本 悦子

1)

山田みつぎ

2)

Etsuko Morimoto Mitsugi Yamada

キーワード:内服抗がん剤治療、HFS、有害事象、セルフケア能力、外来看護援助 Ⅰ.はじめに 三大癌治療の一角を占めるがん化学療法は、使用薬剤の 発展とともに副作用をコントロールしながら長期間治療を 継続し、患者のQOL維持や延命に多大な貢献をもたらして いる。がん化学療法の投与法のうち内服による抗がん剤治 療は、従来からの点滴治療と比較して投薬管理が簡便であ るため、外来通院治療を継続できることや、増加の一途を 辿る高齢がん患者であっても管理が可能であること等によ り、今後の更なる普及が予想される。 ティーエスワン® (1999年承認)やゼローダ® (2003年承認) 等のフッ化ピリミジン系経口抗悪性腫瘍薬は、現在多くの 癌腫への治療に用いられているが、口内炎や下痢などの消 化器症状や手足の皮膚剥離といった日常生活を大きく損な う副作用症状をもたらすことが多い1) 。重篤な症状の出現に より休薬に至った場合には、本来の治療効果の発揮が困難 となるため、副作用予防への対策と出現時の早期対処が必 須となり、服薬管理の現状評価2) や情報提供に関する研究3) などが薬学・医学の分野で行われている。看護研究として は、がん化学療法認定看護師が作成したパンフレットの有 用性4) やチーム医療の有効性5) についての研究が行われてい るが、患者自らのセルフケア能力に着目した支援やその成 果については明らかではない。 今後、本研究および実施中の研究の結果を受け、内服抗 がん剤を受ける患者のセルフケア能力を促進する外来看護 援助プログラムが開発されることによって、治療による副 作用症状の予防と早期対処が可能となり、結果として、治 療効果を最大限に発揮させるための休薬期間のない長期の 治療継続や日常生活におけるQOL維持という利点がもたら されると考える。また患者が、自らのセルフケアの実施に よって予防や対処効果が得られることは、がんと共に生き るうえでの大きな自信や、心理的な安定を得ることに繋が る。さらに開発されたプログラムによって、今後は他の内 服抗がん剤治療を受ける患者の援助プログラムへの適応 や、増加が予想される高齢がん患者の援助への応用といっ た発展が期待できる。 そこで内服抗がん剤を受ける患者のセルフケア能力を促 進する外来看護援助プログラム開発のための第一段階とし て、内服抗がん剤治療を受けた患者に生じている副作用症 状やセルフケアの現状等の実態を把握するため、診療記録 および看護記録から情報を収集し、レトロスペクティブ (後ろ向き)にそれらを評価した。そのなかで本論では、 患者の日常生活においてその影響が大きい副作用のひとつ であるHand-foot-syndrome(以降、HFS)が生じた対象者に 着目し、症状出現の傾向や現状について報告する。 なお本研究における内服抗がん剤は、現在多くのがん腫 に対して用いられており、日常生活に困難を来す副作用症 状が高率で発現するティーエスワン®やゼローダ®のフッ化 ピリミジン系経口抗悪性腫瘍薬とした。 Ⅱ.研究方法 1.対象 研究協力施設である首都圏のAがん専門病院において、過 去3年間に①ティーエスワン®あるいは②ゼローダ®による治 療を受けていたがん患者のうち、施設における「教育・研 究における診療情報使用に関するお願い」によって診療情 報の使用に同意している患者の診療記録とした。 2.調査内容 疾病や治療内容(疾患名、レジメン: 用量や用法、治療期 間を明記した治療計画のこと、支持療法薬等)、HFSの出現 受付:2014年 8 月25日 受領:2015年 1 月16日 1)関東学院大学 看護学部 2)千葉県がんセンター 看護部

(2)

状況(症状の有無、発現時期、症状の詳細等)、及び看護ケ ア(導入時看護ケアの内容、継続中看護ケア、その他等)、 セルフケア能力の有無の項目からなる調査シートを研究者 らが既存の文献6)7) に基づき独自に開発した。なおセルフケ ア能力の有無に関しては、カルテ上に記載があった場合の み結果を記載した。他に、患者の背景についても項目に加 えた。 なお調査シートの各項目については、研究協力施設以外に 所属するがん化学療法看護認定看護師および化学療法の臨 床に詳しいがん看護専門看護師各1名に、内容の妥当性の検 討を依頼し、確認および修正を複数回行った。 3.データ収集方法および分析方法 調査シートに基づき、対象者の診療記録・看護記録から 抽出した情報を、研究協力施設の研究分担者が調査シート の該当する箇所に記載した。記載されたシートを、研究者 間で検討しながらそれぞれ項目にそって内容を整理し、一 覧表を作成した。 4.調査期間 2012年10月~2013年 2月 Ⅲ.倫理的配慮 本研究は、診療記録・看護記録を用いた記録調査を行う ために個人情報を取り扱う。そのため研究実施にあたって は、研究者の所属した大学(2012年 7 月18日付認証番号 12012)と研究協力施設の倫理審査委員会による承認を受け るとともに、研究協力施設の診療記録、個人情報保護に関 する規定を遵守し、以下のとおり実施した。 1.研究協力施設の個人情報保護規定に基づきデータ収集を 行った。 2.「教育・研究における診療情報使用に関するお願い」に より診療情報の使用に同意している患者の診療記録のみを 分析に使用した。該当する対象の抽出は、研究協力施設の 医事課に依頼し、対象患者一覧表は手渡しで研究分担者で ある施設の看護師が受け取った。なお電子カルテの諸操作 により、「情報使用に承諾している」患者の抽出が可能で あった。 3.カルテ操作は、研究協力施設の職員である研究分担者の 看護師が行った。 4.収集されたデータの保存、分析にはロック式の情報保存 媒体を用いて鍵のかかる場所に保存し、全てのデータ収集 終了後、手渡しにて研究代表者が情報保存媒体を受け取っ た。 Ⅳ.結 果 1.対象の概要 1)ティーエスワン®による治療を受けた対象 調査期間内でティーエスワン®による治療を受けていたも ののうち、対象要件に該当したのは69名(男性44名、女性 25名、平均年齢63.7歳)、平均治療期間は5.9コース(最短 1 コース、最長25コース)であり、このうちGrade1 以上の HFSの症状が出現した対象は 9 名(男性 6 名、女性 3 名)で あった。この9名の患者の疾患や治療内容等に関する概要を 表1に示した。 2)ゼローダ®による治療を受けた対象 調査期間内で対象要件に該当したゼローダ®による治療を 受けていたのは40名(男性11名、女性29名、平均年齢62.9 歳)、平均内服期間は9.6コース(最短 1 コース、最長48コー ス)であり、このうちGrade1以上のHFSが出現したものは 14名(男性 3 名、女性11名)であった。この14名の患者の 疾患や治療内容等に関する概要を表2に示した。 2.HFS症状および看護支援の現状について 1)ティーエスワン®内服患者のHFS症状と看護ケア 表 1.ティーエスワン®内服対象者の概要 対象 レジメン (用量や用法、治療期間を明記した 治療計画のこと) 疾患名 最大量 (mg) 最小量 (mg) 支持療法薬 (N;ノイロビタン、DX;デカドロン、5HT;ナゼア、NK1;イメンド、 B;ビーソフテンクリーム、M;マイザー軟膏、R;ロコイド軟膏) 1 TS-1(2 投 1 休) 胃癌 80 80 B、ビーソフテンスプレー、マグラックス、ラキソベロン、ビオラクティス 2 GS(GEM+TS-1(4 投 2 休)) 胆嚢癌 80 80 B、ワセリン、マイザー、ビーソフテンクリーム 3 GS(GEM+TS-1(4 投 2 休)) 膵臓癌 120 80 DX、プレドニン、プリンペラン、マグラックス、市販の保湿剤 4 TS-1(4 投 2 休) 肝臓癌 100 100 B、ワセリン、M 5 TS-1(隔日、休薬期間なし) 中咽頭癌 120 120 R、ビーソフテンスプレー、リンデロンローション 6 TS-1(4 投 2 休) 胃癌 120 120 妻の保湿剤、M 7 TS-1(隔日、休薬期間なし) 頬粘膜癌 120 120 B、M 8 SOX(TS-1(2 投 1 休)+L-OHP) 直腸癌 120 100 DX、5HT、ロペミン、フェロベリン、ハチアズレ含嗽液、B、M、NK1 9 SP(TS-1(3 投 2 休)+CDDP) 胃癌 120 120 DX、5HT、リンデロンクリーム (TS-1:ティーエスワン、GM:ジエムザール、L-OHP:オキサルプラチン)

(3)

ティーエスワン®による治療を受けていた69名のうち、副 作用出現の予防あるいは対処として、各種の支持療法薬 (ノイロビタン、デカドロン、ナゼア、イメンド、ビーソ フテンクリーム、マイザー軟膏、ロコイド軟膏)が処方さ れていたのは55名であった。そのうちHFSに関して皮膚保 護・治療のために薬剤を使用していたのは39名(処方9名、 市販の保湿剤使用30名)であった。 副作用(HFS)が出現したと記録されている 9名の平均症 状出現時期は3.3コース目であった。Grade1* 以上のHFS症 状は、乾燥、発赤皮疹、指先亀裂が生じており、これら全 員に対して皮膚への支持療法薬が処方されていた。 治療導入時のHFSの予防・対処に関する看護支援とし て、製薬会社が開発した患者向けパンフレットと研究協力 施設が独自に作成したオリエンテーション資材を活用して いた。症状が出現してからの支援としては、対象者との面 談の場を持ち、日常生活上の工夫点の指導と支持療法の変 更や薬剤等の使用法の指導を行っていた。 その他、セルフケア能力の記載では、「セルフケア能力あ り」と判断されたものは9 名中 4 名であり、「セルフケア能 力は低く、面倒くさがり」が2 名、「セルフケア能力は低 く、家族任せ」等であった。(表3) (* Gradeとは治療等によって生じる有害事象の重症度を 表す用語であり、Grade1 ~ 5 で表現される。CTCAEv4.0日 本語訳JCOG版による基準ではGrade1 を、「疼痛を伴わない わずかな皮膚の変化または皮膚炎」、Grade2を「疼痛を伴う 皮膚の変化、身の回り以外の日常生活動作の制限8) と定義し ている。) 2)ゼローダ®内服患者のHFS症状と看護ケア ゼローダ®による治療を受けていた40名のうち、副作用出 現の予防あるいは対処として、各種の支持療法薬(ノイロ ビタン、デカドロン、ナゼア、イメンド、ビーソフテンク リーム、マイザー軟膏、ロコイド軟膏、ワセリン、ヒルド イドソフト)が処方されていたのは28名であった。そのう ち、HFSに関して皮膚保護・治療のために薬剤を処方され ていたのは27名であった。 HFSがGrade1 以上出現したと評価された14名における平 均症状出現時期は2.28コース目であった。Grade1 以上の HFS症状は、色素沈着や乾燥、発赤、表皮剥離、亀裂、爪囲 炎、水疱形成まで現れており、全員に皮膚への支持療法薬 が処方されていた。 治療導入時の看護支援として、製薬会社作成の患者向け パンフレットと独自に作成したオリエンテーション資材を 活用しており、症状が出現した際の支援としては、対象者 との面談の場を持ち、日常生活上の工夫点の指導と支持療 法の変更や使用法の指導を行っていた。また治療継続中に は、その施設独自に開発した副作用セルフモニタリング シートの記載を促し、看護面談と支持療法の調整を適宜 行っていた。 その他、セルフケアの記載では、セルフケア能力が「あ り」との記載があったのは7名であり、残りの 7名について は記載が無かった。(表4) 表 2.ゼローダ®内服対象者の概要 対象 レジメン (用量や用法、治療期間を 明記した治療計画のこと) 疾患名 最大量(mg) 最小量(mg) 支持療法薬 (N;ノイロビタン、DX;デカドロン、5HT;ナゼア、NK1;イメンド、 B;ビーソフテンクリーム、M;マイザー軟膏、R;ロコイド軟膏) 10 XELOX/BEV 結腸癌 3000 2400→1800 DX、N、5HT、B、M、R、ビーソフテンスプレー、ナウゼリン 11 XELOX/BEV 結腸癌 3000 3000 DX、N、5HT、B、M、R、ユベラ軟膏 12 XELOX/BEV 直腸癌 3600 3600 DX、N、5HT、B、M、R、ワセリン、アローゼン、マグラックス 13 XELOX/BEV 結腸癌 2400 1800→1200 DX、N、5HT、B、M、R、N 14 XELOX/BEV 結腸癌 2400 2400 DX、N、5HT、B、M、R、ヒルドイドソフト 15 XELOX/BEV 直腸癌 3000 2400 DX、N、5HT、B、M、R、リンデロンローション 16 XELOX 直腸癌 3000 2400 DX、N、5HT、B、M、R、ナウゼリン、ミヤ BM、ロペミン 17 ゼローダ B 法+タイケルブ 乳癌 2400 2400 B、M 18 ゼローダ B 法+タイケルブ 乳癌 2400 2400 B、M、R、フェロベリン 19 ゼローダ B 法 乳癌 2100 2100 ヒルドイドソフト、M、ドレニゾンテープ 20 ゼローダ B 法+タイケルブ 乳癌 2400 1200 M、ゲンタシン軟膏 21 ゼローダ B 法 乳癌 2400 2400 ワセリン 22 ゼローダ B 法+タイケルブ 乳癌 3000 3000 M、ワセリン 23 ゼローダ B 法 乳癌 3600 1800 B、M (XELOX/BEV:ゼローダ/アバスチン、ゼローダ B 法:服用量を 1 日 2 回、14 日間連日経口服用しその後 7 日間休薬する方法)

(4)

表 3.ティーエスワン®内服対象者の HFS 症状と看護ケア 対象 HFS の詳細 継続中看護ケア 症状時看護ケア セルフケア能力 その他 1 乾燥(G2) 医師診察同席時に症状確認、 診察後看護面談 支持療法の使用法の指導、日常生活 上の工夫点の指導、栄養士と精神腫 瘍科医師の介入を調整 あり ケアに熱心、 胃ろうより経管栄養中 2 発赤(G2)、 乾燥(G2) 化学療法室にて症状観察、 日常生活上の工夫点の指導 支持療法の変更や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 低い、 面倒くさがり 近在の娘が毎日訪問して ケアを介助 3 皮疹(G1) 化学療法室にて症状観察、 日常生活上の工夫点の指導 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 あり 間質性肺炎合併(TS-1 単剤へ) 4 皮疹(G1)、 乾燥 医師診察同席時に症状確認、 診察後看護面談 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 低い、無頓着 ネクサバールで下痢 5 皮疹(G2) 診察前面談、支持療法の調整 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 あり 6 皮疹(G1) 医師診察同席時に症状確認、 診察後看護面談 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 あり 高脂血症 7 指先亀裂(G3) 医師診察同席時に症状確認、 診察後看護面談 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 なし、家族任せ 仕事復帰へ 8 発赤(G1)、皮疹(G2)、 表皮剥離(G3) 化学療法室にて症状観察、 日常生活上の工夫点の指導 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 低い、 ストーマケアで手一杯 家族協力的、仕事に没頭、 ストーマあり 9 発赤(G2) 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談、支持療法の変更 日常生活上の工夫点の指導、 支持療法の変更や使用法の指導 あり、 やや妻任せ 心配性 (G:治療等によって生じる有害事象の重症度を表す用語であり、Grade1~5で表現される) 表 4.ゼローダ®内服対象者の HFS 症状と看護ケア 対象 HFS の詳細 継続中看護ケア 症状時看護ケア セルフケア能力 その他 10 色素沈着、痛み(G1) 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の変更や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 甲状腺機能亢進 11 色素沈着、亀裂(足踵)(G2) 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の変更や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 12 乾燥(G1)、Day68~表皮剥離(G2)、 亀裂(G2) 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 13 発赤(G1)、Day50~G2 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の追加や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 14 乾燥・発赤(G1)、 Day92~水疱(G2) 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の追加や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導、皮膚科受診 あり 関節リウマチ、 専業主婦 15 発赤(G1)、乾燥 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の追加や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 嘔気強い、 専業主婦 16 表皮剥離(G2)、 乾燥 2 クール目以降 HFS なし 副作用セルフモニタリングシート記載、 看護面談・支持療法調整 支持療法の追加や使用法の指導、 日常生活上の工夫点の指導 あり 元々皮膚 疾患あり 17 不明 不明 不明 18 指先の発赤(G1) 不明 不明 不明 19 指先の亀裂(G2) 不明 不明 不明 美容師 20 発赤(G1)、15 コース時に爪囲炎(G3) 不明 不明、皮膚科受診 不明 体育教師 21 手指先の痛み(G3)、乾燥 不明 不明 不明 22 G1(医師カルテ記載のみで詳細不明) 不明 不明 不明 23 発赤、水疱形成(G2) 不明 不明 不明 (G:治療等によって生じる有害事象の重症度を表す用語であり、Grade1~5で表現される)

(5)

Ⅴ.考 察 1.HFS症状の出現状況と看護支援について 本研究を実施した施設の当該期間にHFS症状が出現した と記録されていた患者は、ティーエスワン®では13%(69名 中9名)、ゼローダ®では35%(40名中14名)であった。この HFS症状出現率の割合は、対象者各々の癌の進行度やレジ メン内容の違い等によって一般に比較することは難しい が、ティーエスワン®での乳癌治療における出現率21.8%9) や、ゼローダ®単剤使用による出現率59.1%10) あるいは進行 大腸癌患者での58%11) 等の報告と比較すると低い結果とい える。このことは、元々の調査対象施設が1施設に限られて いることで、該当する対象数そのものが少なく、かつある 程度の疾患の偏りが避けられなかったことと関連するかも しれない。副作用の出現率が低かった他の要因としては、 当該施設にはがん化学療法看護を専門とする看護師が配置 されており、外来で化学療法を開始する患者に対する事前 のオリエンテーションにはじまり、その後の継続ケアに至 るまでの支援体制がほぼ確立できていることが大きいと考 える。研究者らが2011年に実施した全国調査12) において、 外来にがん化学療法を専門に扱う看護師を配置している施 設は3割に満たなかった結果と比較しても、調査施設では比 較的恵まれた支援体制が整備されていたともいえる。ただ 看護記録への記載状況やその内容は看護師間で十分に統一 されていない部分があるため、その改善が今後の課題とい える。 内服抗がん剤2種が処方された対象患者の半数以上に、 HFS症状出現の予防や対処として、各種の支持療法薬が処 方されていた。そして看護師は、治療開始時のオリエン テーションでこれらの使用目的や方法などをパンフレット 等のマテリアルを用いて指導し、その後は継続して面談の 場を持つなどの関わりを続けていた。これら治療の早期か らの皮膚保護剤などを用いた予防・対応策を継続したこと もまた、症状出現の抑制の要因となったのかもしれない。 ティーエスワン®内服の対象患者のうち、看護師の主観的 な判断としてセルフケア能力の有無をみたところ、セルフ ケア能力が低いと判断された患者の方が、高い患者よりも やや症状の重い傾向が出ていた。これは対象数が少ないこ とに加え、あくまでも看護師の主観による判断であるため 一般化はできない結果である。しかし、日常生活を自宅で 過ごす上で避けられない手足を意識し、主体的に皮膚の保 護や観察を行っていかなければならない患者のセルフケア 能力の程度は、今後の患者支援を構築するための判断材料 として、指標のひとつとなるかもしれない。すなわち日常 生活行動におけるセルフケア能力が低い傾向にあると判断 された患者には、高いと判断された患者よりも内容の充実 した指導とより頻回な面談の設定や診察時以外にもコンタ クトを取るなどの支援策のバリエーションを用意する必要 があると考えられる。これは、今後の増加が予想される高 齢の独居患者についても、セルフケア能力の判断に基づい た同様の支援の方策が当てはまるかもしれない。 2.内服抗がん剤治療を受ける患者の看護援助プログラム 開発に向けて 多様な抗がん剤による治療によってもたらされる各種の 副作用症状を完全に避けることは難しい。副作用の重篤化 は治療中断をもたらすと共に、患者のQOLを著しく阻害す ることにもつながる。そのため医療者としては、治療によ るメリットを最大限に引き出すためにも、出現することが 予想される副作用症状については、可能な限りの予防と早 期発見およびそれらへの早期対処を念頭に支援することが 求められる。薬剤師らが、治療開始からの定期的な面談、 その際の服薬状況や有害事象発現の確認と評価、そして不 安に対する電話相談の実施によって、副作用の早期発見や 重篤化の回避、至適投与量での治療の継続等に有用であっ たことを報告している13) 。今回の調査施設においては、内 服抗がん剤導入時から看護支援がはじまり、その後は治療 経過に沿って継続されていた。対象数の少なさから本研究 結果の一般化は困難とはいえ、治療導入時から始まる看護 支援の効果も大きいことが示唆された。HFS等の副作用症 状の重篤化を抑えることは中断のない治療の継続をもたら し、結果として患者の日常生活行動をできるだけ妨げず、 かつ治療効果を最大限に発揮できることにつながるといえ る。看護援助として、外来での治療開始前からの継続した 関わりは有効であり、それによって身体的な症状のみなら ず、心理的な側面への影響や対処を把握することも可能で あろう。 また、本研究の結果では、患者のセルフケア能力に着目 することの重要性が示唆された。がん治療が外来通院で実 施される割合が増加しており、外来がん看護の質向上が求 められているが、がん看護専門看護師やがん看護分野の認 定看護師の配置は進んでいない12) 。ある一定の援助の質を 維持するためには、外来看護師の人的配置といったシステ ムの改善に加えて、患者のセルフケア能力を発揮できる援 助の内容や方法をより充実していくことが必要と考える。 疾患の進行度や、年齢、住まい方などによって、個々の患 者が発揮するセルフケア能力には差があるとはいえ、予測 される副作用を予防、早期発見するために必要なケアの内 容の理解を高め、実際の行動を評価して見守る支援は必須 の内容の一つであろう。 今後は、実際に内服抗がん剤治療を継続している患者や 家族との面接調査によって、治療を受けながらの日常生活 上の困難や取り組みの内容についての調査を進め,援助プ ログラムの開発を行っていく。 Ⅵ.おわりに 本研究は、ティーエスワン®あるいはゼローダ®による内 服抗がん剤治療を受けていたがん患者に着目し、HFSとい

(6)

う有害事象の症状出現の傾向や現状について、診療記録お よび看護記録からレトロスペクティブに評価し、報告した ものである.治療開始前からの面談を伴う関わりに始ま り、その後の治療経過に即した継続的な支援の充実と、セ ルフケア能力に着目した援助内容およびその充実の必要性 が示唆された。 なお本研究は、JSPS科研費24593339の助成を受け実施し た。 Ⅶ.引用文献 1) 藤井千佳子ら(2008).Capecitabine投与患者における手 足症候群のマネジメント,癌と化学療法,35(8),1357-1360. 2) 佐々木治一郎(2011).がん化学療法の整備に向けて,化学 療法の領域, 27増刊, 1098-1103. 3) 遠藤葉子ら(2010).医・薬・薬連への取り組み 内服抗 がん剤の指導情報提供の開始,新潟県立病院医学会誌, 58, 46-50. 4) 片方容子,濱口紀子(2011).XELOX療法におけるチー ム医療の関わりの検討-手足症候群の対策を中心に -,第25回日本がん看護学会誌,103. 5) 渡壁美香,國次葉月,三上寿美恵,他(2011).手足症 候群に対する県内共通パンフレットの有用性の検討, 第25回日本がん看護学会誌,147. 6) 田口哲也,西村元一監修(2009).手足症候群アトラス ゼローダ®投与のマネジメント.第3版.東京,中外製 薬株式会社. 7) 有働みどり,山口友紀,浅井美幸,他(2010).パクリ タキセル+カペシタビン療法で出現した手足症候群の セルフケア支援について.第18回日本乳癌学会総会プ ログラム抄録集.424. 8) CTCAEv4.0-JCOG2013年4月9日版. http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv4J_20130409_mieke shi.pdf(参照2014-1-6) 9) ティーエスワン配合OD錠T20/ティーエスワン配合OD 錠T25. www.info.pmda.go.jp/go/pack/4229101F1026_1_02 (参照2014-8-19) 10) ゼローダ錠300. www.info.pmda.go.jp/go/pack/4223005F1022_1_17 (参照2014-8-19)

11) Wainberg ZA, et al.(2010) . Phase Ⅱ study of front-line Capecitabine(CAP) and Bevacizumab(BEV) in frail and elderly patients with metastatic colorectal cancer,2010 Gastrointestinal Cancers Symposium.

12) 森本悦子,井上菜穂美(2014).カペシタビンによる手 足症候群予防のための看護支援の現状―全国のがん化 学療法看護認定看護師に対する実態調査より―,日本 がん看護学会誌,28(1),30-36. 13) 蔵王なお,高良美紀,笹原徳子,他(2012).診察前面 談と電話による服薬支援「XELOX療法サポート」の有 用性,日本病院薬剤師会雑誌,48(12),1461-1465.

参照

関連したドキュメント

54. The items with the highest average values   were:  understanding  of  the  patient's  values,  and  decision-making  support  for  the  place  of 

Development of an Ethical Dilemma Scale in Nursing Practice for End-of-Life Cancer Patients and an Examination of its Reliability and Validity.. 江 口   瞳 Hitomi

2.認定看護管理者教育課程サードレベル修了者以外の受験者について、看護系大学院の修士課程

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

の 立病院との連携が必要で、 立病院のケース ー ーに訪問看護の を らせ、利用者の をしてもらえるよう 報活動をする。 の ・看護 ・ケア

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

口文字」は患者さんと介護者以外に道具など不要。家で も外 出先でもどんなときでも会話をするようにコミュニケー ションを

②障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分 における区分1以上に該当するお子さんで、『行動援護調 査項目』 資料4)