樹皮リグニン及び樹皮フェノール類に関する研究 十 河 村 男
StudiesontheBarkLigninandBarkPhenolicCompounds
Murao SoGO
目 次 緒 論 第1章 樹皮のフェノ・−・ル性抽出成分 第1節 低分子■7ェノ−ル類 第2節 タンニン及びフロパフェン 第3節 摘 要 第2章 樹皮のクラ一−ソンリグニン 第1節 樹皮リグニンの構成単位 第2節 樹皮のクラ・−ソンリグニンの定温値と性質 第3節 クラ・−ソンリグニン定量法の検討 第4節 摘 要 第3章 樹皮リグニン及び類似物質の分別 第1節 KuRTH法に準ずる分別 第2節 スルホン化処理によろ分離 額3節 両分離法による分別区分の関連性 第4節 摘 要 第4章 樹皮フェノ−リレ酸 第1節 試料の調製 第2節 化学的組成 第3節 吸収スペクトル 第4節 ニトロベンゼン酸化 第5節 エタノリシス 第6節 水素化分解 第7節 エチル化後の過マンガン酸カリ酸化 第8節 摘 要 第5章 樹皮ジオキサンリグニンと Bi6r・kmanリグニン 第1節 試料の調製1 2 2 7 12 13 14 15 17 22 23 23 24 27 27 28 28 30 32 34 35 37 39 亜 45 45
5 8 1 1 1 2 4 6 7 7 9 3 6 7 9 3 4 4 5 5 5 5 5 5 5 5 5 6 6 6 6 7 第2節 化学的組成及び吸収スペクトル 第3節 構成基本物質 第4節 摘 要 第6章 樹皮の難溶性リグニン 第1節 試料の調製 第2節 残留塩酸リグニンの性質 第3節 亜硫酸塩蒸煮時の難溶性リグニンの性質 第4節 摘 要 第7章 樹皮リグニンスルホン酸及び樹皮フェノール酸スルホン化物 第1節 分別試料の調製 第2節 酒性基と紫外線吸収スペクトル 第3節 分 子二監 第4節 摘 要 絵括及び結論 引 用 文 献 英 文 要 約
−l−一一 緒 木材を用材として利用する場合,一腰に樹皮を除いて用いるが,とくにパルプエ場では樹皮が蒸煮液中の薬品 を消費するのみならず,パルプの品質を低下させるため,樹皮の除去には十分僅意をはらっている”わが国で年 々廃物として生ずる樹皮の盈は使用原木の5−10%であり莫大である.樹皮の利用について,海外では樹皮から 薬品の分離,あるいは樹皮のフミン質を加工して石油搾油用土壌分散剤の製造,合板用熟硬化性接着剤の製造, 土壌改良剤,繊維板などに一部実用化されている(22,95,108)が高度な応用はみられず,わが国では浸近,土壌改良 剤などに利用さればじめたが,ほとんど大部分は燃料にする程度である“これは樹皮利用に関する一傲の関心が 低調で,一顧用材樹皮の化学的性質並びに化学的利用に関する研究が木材の化学にくらべてかなりおくれている ためであるル・−・方,樹皮は樹木生理上極めて重曹な働きをもつ部分であるから,この面からも樹皮の化学的基礎 研究が重要視されねばならない. 用材樹種の樹皮成分に関する系統的研究は,1947年頃からKuRTI−らにより主としてアメリカ合衆国産林木の 樹皮について研究が行なわれ,すでに多くの研究発表がある..わが国の用材樹種の樹皮成分についてほ,1957年 以来,香川大学農学部林産化学研究室において−・連の研究が行なわれてきた..著者は樹皮の化学成分のうち,と くにフェノ−リレ類について朋究を行なった.低分子フ.ェノ一−ル類は樹種によって成分が著しく異なり(58),いわ ゆる特殊成分と呼ばれるもので,数種の樹皮についてのみ物質の分離と同定を行なった..高分子フ.ェノール類で あるタンニン,フロパフ.ェン,樹皮・7.=ノ・−ル酸,リグニンなどは,どの樹皮にも普遍的に存在する樹皮の−・般 成分であるから,針葉樹と広葉樹の数種についてとくにくわしく系統的に研究した..その結果,樹皮フ.ユノー⊥リレ 酸の本質を明らかにし, これがKuRTHらの言う樹皮リグニンと言った特定の化合物ではなく,タンニンの重合 物であることを明らかにし,また樹皮の真正リグニンはジオヰサンリグニン,B匝kmanリグニン,リグニンス ルホン酸などとして分離できることを示した..さらに樹皮の難溶性リグニンについてもある程度その性質を明ら かにすることができた.なお樹皮の組戯嬰素は材と趣を異にして複雑であり(欺116),解剖学的に分別した樹皮試 料を得ることは実際上困難であったので,本研究においては単に,内皮(形成層から木栓形成層までの部)と外 皮(木栓形成層より外側の部)とに分別した試料を用いて研究した..本論文は上記の研究について,すでに発表 した報告を中心とし,さらに一部未発表の成績を加えてとりまとめたものである.なお本研究は香川大学農学部 林産化学研究室において行なったもので,費用の−・部は文部省科学研究費によって支弁されたい 本論文を草するにあたり,終止御懇篤な御指導と御校閲を賜わりました九州大学教授近藤民雄博士,同千手諒 一博士,平素から研究の御指導と激励を戴きました香川大学教授幡克糞博士に深甚の謝意を表します… また研究 途上に種々の御教示と御援助を就きました北海道大学教授榊原彰博士,岐阜大学教授川村一・次博士,徳島大学教 授勝沼信彦博士,農林省林業試験場林産化学部諸技官,香川大学教授福井義明博士並びに香川大学農学部諸教官 に厚く御礼申し上げます.なお実験にさいして協力いただいた本研究室専攻生諸氏に探謝の意を表します.
ー 2 一 第1章 樹皮のフ.ユノーリレ性抽出成分 樹皮の抽出成分はそれ自体薬品,ユ業原料としての応用が可儲であるほか,樹皮の色,耐朽,耐血書などの諸 性質に関係が深く,さらに樹木の識別及び生理作用などに関連している意義は大童いり しかるに,樹皮の抽出成 分についての研究は特殊な薬用樹皮の成分,タンニンなどに限られており,とくに本邦魔の一・般用材樹皮につい ての研究は極めて少ない. 本草ではスギ外皮のヘキサン抽出成分の分離同定(121),ヒメコマツ外皮及び内皮のフ.ェノ−リレ性成分のペ−パ −クロマトグラフイ−・(118),アかマツ,エゾマツ ,アカシヤ,コナラ,クリの樹皮から分離したタンニン,・フロ パフェンの性状(127,128)などについて行なった研究について記述する. 第1節 低分子フェノール類 〔1〕スギ外皮のヘキサン抽出成分 スギ(C†〝わmβr盲αj申彿加DけDoN)はわが国における極めて重要な用材樹種の1っである.スギの樹脂分蘭物 中にカデイネ/,クリプトメリック酸,スギオ・−ルが含まれることば,1937年既に報じられ(る0・67),その後スギ 心材のメタノ′−ル抽出物の石油工一−テル可溶分(72,73・183)からイソデキストロピマ−リレ酸,スギオーソレ,キサント ペロ−ル,β−シトステロ−・ル,フェルギノ−ル,フィロクラダノ・−・ル,イソフィロクラデン,及びクリプトメ リジか−ル,メタノ・−ル抽出物の石油工一−・テル不溶分(31,64)からスギレジノ−ル,ヒドロキシスギレジノ・−・ルが 分離確認された∴またスギ発からはヒノキフラボン,カヤフラボン,シアドピチシン,α−ポドカー・プレン,菓 蝋の中性エストリッドが分離されている(69). コケうブギ スギ外皮は昔から柿茸の材料として利用せられ,現在も建築,造園材料としての利用度は高く,また線香の原 料としてその葉部と共に用いられている..これら利用面からだけでなく,樹木生理上からも樹皮のフ.ェノ−リレ成 分を研究する必要があると考え,外皮のヘキサン抽出物について研究した. 試料:香川県産のスギ(アか心材,樹令約50年)の基部から外皮を剥皮,風乾,粉砕して20−60メッシ.ユの部 分を実験に供した. 抽出物の量:各種有機溶剤による抽出蒐を測定した結果を第1表に示した..同表FP,直接抽出においては各溶 第l表 スギ外皮の抽出物
溶 剤1直接 抽 出l連続 抽 出
合 計 剤ごとに試料をかえて抽出し,連続抽出においては同一・試料を順次溶剤をかえて抽出したものである〃 ヘキサン ,ベンゼン及びエーーテルの3溶剤では樹脂,油脂,戚などがほぼ同克抽出され約6%である.抽出物の合計値は 12∴72%を示し,アカマツ外皮の抽出物合計21%(44),エゾマツ ,トドマツ外皮の26%(46),douglas血外皮の 32−40%(52)に比べて少なく,ヒノキ外皮の11%(48)よりやや多い.. 抽出・分離:風乾試料(水分105%)13kgを大型ソックスレ一拍出器にてヘキサンで約30時間軸出し,淡褐−− 3 − 色の抽出液を得た..溶剤を回収後,減圧乾燥して粗抽出物65gを得た.抽出物は淡褐色,やや可塑性,m・p・54− 61◇C,酸価53い2,鹸化価1469,エステル価937である. 第1図の如く,このヘキサン抽出物50gを紛500mJのエーー・テルに溶解し,5%NaHCO8,02%NaOH及び 5%NaOHで順次抽出し,抽出液をそれぞれ酸性としてエ−テルにとってA,B,Cの各部を得た.5%NaOH ヘキサン抽出物50g i エ・−テル
5%Ⅳα〃。。部
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キル 化 0.8g 3−1g O血8g スギオ・−・Iレアセナー・ト 第1図 スギ外皮のヘキサン抽出物の分別 で抽出後エ」−・テルにのこった中性部をDとした.D部はエ・−テルを除去後,10%アルコ・−リレ性KOH300mlと 共に湯浴上で4時間鹸化し,アルコーリレを追い出す一.残液をH2SO4でpHl−2としてエ・−・テル抽出し,エ・−テ ル液(400mJ)を・5%Na2COa,0.2%NaOH及び5%NaOHで順次抽出し,おのおのの抽出液を酸性とした後エ ーテル抽出してE,F,G及び中性部Hに分別した. Bを80%アルコーリレの温溶液に溶解,冷却して得た白色沈澱をアセトンに溶解し,HARRISらの方法(87)でブ タノ−ルアミン塩として沈澱させた.この沈澱を10%HClで分解し,生成した酸を80%アルコ・−ルから再結し, 白色粉状結晶のイソデキストロピマーリレ酸を得た. Cを80%アルコ−・ルの温溶液に溶解,1夜放冷すると淡黄色の結晶を析出,酢酸エチルから再結し白色微細結 晶のスギオ−・ルを得た.この母液を減圧下に乾物とし,酢酸エチルに溶解,冷所に放置して析出した結晶を酢酸 エチル,ついで酢酸から再結して黄色微針晶のキサントベロ・−リレを得た. Eを温アセトンに溶解,放冷すると白色粉状結晶が得られた.アセトン,ついでクロロホルムから再結してど へニン酸を得た. Fを・酢酸エチル,酢酸で再結してキサントベロ・−ルの結晶を得た. Gを80%アルコーーリレ,ついで酢酸エチルから再結してスギオールを分離した.−−
_ ニ イソデキストロピマ・−ル酸 ス ギ オ ー ル キサントベロ・−ル− 4 − これら結晶性物質の分離過程から,スギか−ル,キサントベロ−ルなどのフ,ユノー・ル性ジテルペン物質は外皮 中において,一・部ほ遊離状で,一・部は何らかの成分と結合した状態で存在していると推察される.また,外皮中 の含有盈はスギか−ル0い47%,キサントベロ・−・ル055%であって,これらの盈はスギ心材の場合(72,78)よりも大 であることが明らかになった. 物質の確認:イソデキストロピマ・−ル酸 白色微細結晶.中和価301mp1630C“標品と混蝕して融点降下 しない.元素分析の結果は計算値(C20Hさ002として)に−・致した.紫外線吸収スペクトル及び赤外線吸収スペク トル(第2,3図参照)は文献(11,72)に一哉した..ブタノ−ルアミン塩(アセトンから再結)は白色微細結晶で, 2 0 1 1 吸 光 8 0 6 4 0 0 度 000 20001500 1000 波 数 (cm▼り 第3図 結晶性物質の赤外線吸収スペクトル (Nujol法) 240 280 320 360 400 波 艮 (m/∠) 第2図 結晶性物質の紫外線吸収スペクトル (アルコ−リレ溶液) Ⅰイソデキストロピマ・−リレ酸,Ⅱ スギオーリレ, Ⅲ キサントベロ−ソレ,Ⅳスギオ・−ルアセテ・−ト, Ⅴ キサントベロ・−ルアセテート m」p‖2040C,元素分析の結果は計許値(C24H。108Nとして)に一・致した. スギフトール白色針状結晶.mp」294−50C(分解).標品と混蝕するも融点降下しないい 元素分析の結果は計 算値(C80IT2802として)に−・致した.紫外線吸収スペクトル及び赤外線吸収スペクトル(第2,3図参照)は文 献(72)に−・致した.スギか−ル(200mg)を無水酢酸10mJに溶解し,ビリジン2mJを加えて48時間20−25◇Cに 保った後,水100mJ中に注入,沈澱を80%アルコ−ルから再結する‘とスギれ−・ルアセテ」−トの無色針状結晶 150mgを得た一.m.p.161−20C元素分胡の結果は計算値(C22H8。03として)に一徹した.紫外線吸収スペクトル は258m〃に吸収の極大を示した(第2図参照).. キサントペローール鮮黄色劇状結晶‖mp・256−2650C(分解).標品と混融するも敵点降下しない‘元素分析の 結果は計算値(C20H2608として)に一・致したい 紫外線吸収スペクトル及び赤外線吸収スペクトル(第2,3図参
県)は文献(11・72)に一致したけ キサントベロ−ル(200mg)をスギか−・ルアセテ・−トめ場合と同じように処理して,
キサントペローールアセテーー・トの黄色結晶170mgを得た。m.p‖154−60C‖ 元素分斬の結果は計算イ直(G22H2804と して)に−・致した.紫外線吸収スペクトルは295mJりこ吸収の極大がある(第2図参照)“ どへこン酪 白色粉状結晶.mp∴76−‘70C・・メタノーーリレ,アセトン,ジオキサン,ベンゼン,石油エ・−テルに・− 5 一 冷暗難溶,温時可溶である.LIBERMAN−BtJRCHARD反応は陰性,濃硫酸に温時溶解する.臭素を消費せず,過マ ンガン酸カリ溶液を脱色しない..12%アルコール性KOH溶液で2時間鹸化しても原物質を回収するのみであ るい 水酸基,カルポニル基の検索結果は陰性であるい 中和価:実験値162,理論値1641分子鬼(ラスト法):実験 値338−347,理論値340.、6元素分析:実験値C77.67%,H13.14%..計算値(C22H。402として)C77.158%, H1302%.以上の結果よりどへこン酸である.. 中性部(H)からスギか−・ルアセテ−ト Hほ各樺溶剤によって結晶化を試みたが成功しなかった.これを減 圧乾燥し,その5gを無水酢酸50mJに溶解,ピリジン5mJとともに3日間室温で反応させて後水中に注入,沈 澱をエ・−テルに溶解,濃縮してアセチル化物を得た.この粗物質の紫外線吸収スペクトルはフ.ェルギノールアセ テ・−トの吸収の極大270mJ∠と同じスペクトルが得られた(第4図−Ⅱ). このアセチル化物を酢酸100m仁に溶解し,徐々にCI085gを加え つつ湯煮上で3時間加温した.ここに得られた粗物質を80%アルコ −リレに溶解して放置すると無色針状結晶08gを得た.. m小p‖1610Cい紫外線吸収スペクトルは第4図−Ⅲに示した如くで, スギオ−ルアセテートの吸収スペクトルに一致した.スギオールア セテ−トの標品と混敬するも融点降下しない.アセチル化後,クロ ム酸による酸化処理をしてスギオ−ルアセテ・−・トが得られているこ とから中性部(H)には■7.ェルギノ−リレが存在するものと考えて,近 藤ら(72)の如く中性部のベンゾイル化を試みたが結晶性物質の分離 に成功せず,原目的物質を単離できなかった. 8 6 0 0 敏 光 度 230 250 270 290 310 波 長(m〟) [2]ヒメコマツ外皮,内皮のフェノール成分
第4図雌部クトル
ヒメコマツ(舘邪神叫物肋MAYR肋β加mα∫畑AKINO)は本邦 特産の五葉松で,立地条件が適当ならば成育速度はアカマツ,クロ マツとさほど遜色がなく,用材としての利用価値も比較的高く洋楽器の響板などにも用いられている.著者は, ヒメコマツの心材成分をしらべると共に,心材成分と同じフ.ユノトール性物質が樹皮にも含まれるか否かについて ペ」−パ−・クロマトグラ■7イ−で研究した. 試料:新潟県産のヒメコマツ(樹令約40年)の胸高部より厚さ約3cmの円板5枚をとり,心材,辺材,内皮, 外皮に分割後,.直射日光をさけて風乾し,それぞれ20メッシふより細かく粉砕して抽出に供した. 成分の抽出及び分別‥粉末試料30gをエL−・テルで6時間軸出後,さらにアセトンで20時間抽出した.各抽出 液の一・部を拝見瓶にとり,乾燥して抽出物の含有量を算出すれば第2表の如くである. 第2表 エ・−テルーアセトン抽出物(連続)* エ・−テル抽出物 l アセトン抽出物 l 合 計 *元の試料に対する百分率 エ・−・テル抽出物から石油エ・−テル可溶分を除いた後,アセトン抽出物に合併した.アセトン抽出液を濃縮し,一 6 − 冷水5m==こ注入して冷水可溶物を去り,生じた樹脂状物を約150mJのエ′−テルに移し,エーーテル不溶物を除 去した.このエ・−テル溶液を濃縮してペ−リヾ・−・ クロマトグラフ用試料とした. フェノール類のペーパークロマトグラフ法:東洋折紙No150に試料を添著し,LINDSTEDTのStandardsoIvent (85)ベンゼンーリグロインーメタノ・−ルー・水(50:50:1:50v/vの上層)を溶剤として,下降法で約100分間展開 した後,ジアゾ化ベンチジン試薬及び塩化鉄液によって顕色し,標品のクロマトグラムと比較することによって,
各成分の検索を行なった..なお,フラボン塑の物質は塩化鉄液によって紫色に呈色され,スチルベン,ジベンジ
ル型の物質は殆んど着色しない.従って,ピノバンクシンー7−メチルエ・−テルとジヒドロピノシルビンモノメ チルエーテル,またはストロボピニンとピノシルビンモノメチルエ」−・テルの場合の如く,R/値は近いが相互に 型を異にする2物質間の判別には,同一・折紙を切半し,その1つばベンチジン液,他のlっば塩化鉄液で発色さ せることによって正確を期し待た. 結果と考察:ペ−・パ−・ クロマトグラフイ・−・によるフふノーール成分の検出結果ほ第3表に示した通りであるり な 第3表 ヒメコマツのフェノ・−ル性成分 物 質 心材 辺材 内皮 外皮什什一+H+H一什十+++什
ピ ノ シ ル ビ ン ピノ シルビンモノ メ チルエ−テル ジ ヒ .ド ロ ピ ノ シ ル ビ ン ジヒドロピノシルビンモノメチルエーー・テル ピ ノ セ ン プ リ ン 十 + + + + + + + ク ピ チ ビ ス シ′ ン ン ン ン ン ン ン 爪切創. 8 0 シニビ仁﹄ ビシシ 匹Rf ク ロ ロ リ ク ピ Ⅰ Ⅱント
トクン.バボス質質ストパボロト物物
ロ ブ ノ ク ノ ト 知知 ト ‖ソ 一十 ︻ + + + + ス タ未未 一+ + 一“=井 お,心材,辺材,内皮,外皮何れの部分にもR/=0・0及びR′=0−83の未知の2物質が検出された.ベンチジン試薬により前者のものは赤色に,後者のものは淡黄色に発色し,何れのスポットも塩化鉄液によって淡紫色を呈
した. 心材については,Haploxylon の心材で認められているフ.ユノーール性の諸成分の存在が碇認され,辺材にも史 的には極く微少であるがピノシルビンモノメチルエ・−テル,ピノシルビン,ピノバンクシンの存在が認められた. 内皮は心材に次いで多くの種類のフェノ・−リレ成分を含有するようで,心材に確認されたフ.ェノ・−ル性成分の殆ん どが検出された… 一・方,外皮からはピノバンクシンのみが検出された.LINDSTEDTらは数種のマツについて実験 し,同一瀾種の外皮と心材には同一ウエノーール成分を含まないで,他の種類の■フェノール成分を含むと報告して いる(1$,呵しかし,ヒメコマツの場合,ピノバンクシンが心材とともに外皮にも存在している.また,アカマツ, クロマツについて研究した結果では,孟的差異はあるにしても心材と外皮に同一ウエノーリレ物質を含んでいた (町恥ヤ.マツ属以外であるがdouglas一触の心材,外皮に多義のタキシホリンを含み(52),また先述のようにスギ 外尿には同樹種の心材7ェノ・−ル成分が多良に含まれていた一.叫 7 一 心材フよノ−リレ成分の生合成が行なわれる部位に関して,妻,形成層,材,内皮と多くの説(57・58,8針目8)があり, また樹皮と木材の組織発生上の経過を考えあわせると,心材フユノーール成分が内皮のみならず外皮にも存在する ことば至極ありそうなことである“従って,一部の樹種における例外あるいは量的な差はあるにしても,一−・般に 樹皮と心材とのフJ・ノ・−ル性抽出成分に類似性があるものと推察される.さらに,内皮からは心材に存在するフ エノ・−ル成分の殆んどの種類を検出でき,−・方,外皮からはピノバンクシンのみが検出されるのみで,内皮に認 められたその他の■7・エノ−ル成分が検出されなかったことから,内皮が外皮へ移行する際にフェノー仙リレ成分はあ る種の変質をうけて高分子化したことが推察される 第 2 節 タンニン及びフロパフェン タンニンは,皮を単にする性質を有する植物成分の総称である.従って,皮のコテーザンとcIOSSlinkageをな すに適当な分子盈(600−2,000(102・107))と水酸基をもつポリフ.ェ.ノ−リレやそのエステルの混合物であり,このタン ニンがさらに縮合して水に不溶となったものはプロパフェンと呼ばれる.タンニンの化学構造について多数の研 究がなされてきたが,構造の確認された例は少なく,また揉皮作用の基本となる構造も不明確である(8g,144).た だ実際上の分類法としてタンニンは加水分解型と縮合型とに大別されている.また,分解生成物の種類によって ピロガロール型,カテコー・ル型に分類される場合もある.その後,タンニンの分類にペ・−パ− クロマトグラフイ ・−の適用が検討され(106),カシワやワットルのタンニンは加水分儲型と縮合塾との混合物であることも知られて いる(144).しかし,針葉樹と広葉樹とのタンニンの化学的性状を系統的に研究,分類する試みはなされず,この 点リグニンの場合と趣を異にしている.著者はタンニンにおいても針葉樹と広葉樹によってある種の差異があろ うと考え,この点を確かめると共に,次章以下で述べる樹皮リグニン棟物質との類似性を検討する目的で,針葉 樹2種,広葉樹3樫の樹皮からタンニン,フロバ■7ェンを分離し,それらの性状,とくにエチル化彼の酸化生成 物について研究したく127・128) [り タンニン,フロパフェンの抽出分離 第4表に記した樹種の樹皮(内皮を含む)を生立木(樹令30−40年)の基部から剥皮し,できるだけすみやか に蒸気殺菌(10分間)して酵素活動を止めた後風乾,20メッシ.ユ以下に粉砕した.樹皮粉末は,先ずベンゼンで 充分抽出した後,タンニン,フロパフェ・ンの抽出に供した“ 第4表 タンニン ,フロバ17ェン抽出用樹種 タンニンの抽出分離:ベンゼン抽出彼の残樹皮(約100g)を蒸潜水約1000mJに約10時間室温で浸駄,済過, 残淀はさらに蒸潜水約800mJ(50−600C)に2時間浸駄,炉過,同様に70−850Cで3回線返して抽出した..全抽 出液をあわせてl夜放置後炉過し,炉液を窒素ガス通気下に500Cの温浴上で減圧氾給し,固形分鮫皮10%とし
ー 8 一 拍 出 液 (固形分10%) よ ̄−;:物 − −・
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た..この粗抽出液を岡村の方法(101,108)を改変して 第5図の如く精製してタンニンを分離した.すな わち,抽出液にアルコーリレを加えてアルコール濃 度を60%とし,1夜放置後,沈毅を遠心分離,ア ルコ−・ル溶液は窒素ガス通気下に400C以下で減 圧汲縮,アルコーリレ分を除き,一5%固形物汲度の 水溶液とし,10%酢酸鉛溶液を過剰に加えて一夕ン ニン鉛塩をつくり,空気に触れないように注意し て炉別,水洗した..鉛塩を稀H2SO4で分解し, 硫酸鉛を遠心分離後,固形食塩を加えてタンニン を析出せしめ,少盈の飽和食塩水で洗った後,デ シケ・−クー中で減圧乾燥した.アルコ−ルでタン ニンを抽出し,10倍患のエー・テル中に注入し,タ ンニンを沈澱させ真空乾燥した.タンニン試料は タンニン鉛塩 濾 液 「  ̄ 硫酸鉛「_−
ニ軍
タンニン沈澱物 ⅣαC上洛液 アルコ・−ル ・エーテリレに注入 「 タン.ニン 「 ̄ エ.、一テル溶液 第5図 タンニンの分離精製 酸化を避けることに留意して(101)真空デシケー・クー中,50C以下で保管した. フロパフェンの抽出分離;人工的にタンニンを酸性下に加熱して得られる水に不溶の物質も■7ロバフ.ェ.ンと呼 ばれるが,ここでは樹皮中で天然に存在す−るフロバtアユンをHERGERTらの方法(54)を1部改変して,樹皮から抽 出分離した.すなわち,ベンゼン抽出残樹皮(約30g)をソックスレ一拍出許でq5%アルコールで抽出,これを 約30mJに濃縮して,水100mJ中に注入,生じた赤褐色の沈澱を遠心分離してとり,再びアルコ・−ルに溶解し て水に注入,生じた沈澱を少量のアセトンに溶解し,10倍量の乾燥エ・−テルに注入してフロバ■7ェンを沈澱せし め,軒別,減圧デシケ・−・タ−中で乾燥した. [2]タンニンの純度と多糖類含量 得られたタンニン試料を皮粉法(90)で定畳した結果は第5表に示した如く,その純度はおよそ95%であった. 第5表 樹皮タンニン試料の分析結果種 圭仝水溶性固形物(a)iタンニン(b)i非タンニンl純 度b′a
次にこのタンニン試料中に含まれている多糖類をしらべた.試料(0”2g)をIN−H2SO4で1000C,5時間処理 後,72%H2SO‘で常法により完全に加水分解した.BaCO8で中和し,それに酢酸鉛を加え,生じた沈澱を分離 した.糖溶液中に残った過剰の酢酸鉛をH2Sで除いた後,減圧汲縮してペ・−パーー クロマトグラ■7用試料とした. 東洋折紙No.51に一・定温を添着.キシローーズ,グルコーズ,ガラクトーズの定量にほ,ブタノーーリレ−ベンゼ ンービリジンー水(10:2:15:5v/v)で3回多重展開,マンノ・−ズの定盛には上記溶媒で1回展開後フェノ・−・ ルー水(4:1v/v)で展開,アラピノーズはフ,ユノールー水(4‥1v/v)で展開した..0い3%クーアニシジン HCl液(7)で顕色,自記式デンシトメ・−クーで各単糖を定盈した.これを多糖類に換算し第6表に示した.クンニ− 9・− 第6表 樹皮タンニン試料中の多糖類 ン試料に含まれる糖類は畠的には少ない.その糖組成ほ主にグルカンからなり,少塁のキシラン,アラバンも存 在するが,マンナン,ガラクタンは検出されなかった. [3]タンニン,フロパフェンの化学的組成 タンニン,・7ロバフ.ェン試料のメトキシル基と元素組成を測定した..タンニンには上述の如く多糖類を含むの で,それに基づく誤差を補正して第、7表に示した.フロバ17.ェンについては糖分を測偏していないので補正して 第7表 タンニン,フロパフ.ェ.ン試料のメトキシル基と元素組成 樹 種‡メトキシル基l炭 素 水 素 酸 素IH/C *2 0/C *1多糖類を含まない試料に換簸 *8 原子数の比 いない..メトキシル基はタンニン,プロパフェン共にリグニンの場合(第37表参照)に比して非常に少なく2、0 −3い7%で,針葉樹と広葉樹による差は判然としない.ただコナラ,クリのタンニン,プロパフェンは,ややメト キシル基が多いようである.この結果は,コナラ,クリのタンニンをエチル化した後,過マンガン酸カリで酸化 した場合,他のタンニンよりも多くのグアヤシル,シリンギル誘導体を生ずる結果(第8表参照)と符号する. フロパフェン中には分離の操作から,当然BIaunSの天然リグニン(8)が混入してくることが想像される.しかし, フロパフェン試料のメトキシル基是がタンニンのそれよりもやや少ない傾向を示したことから,天然リグニン混 入史はタンニンの場合よりも少ないと考えられる. タンニン及びフロバ・7ェンの元素組成は,針葉樹と広葉樹とで差異がみられず,リグニンの場合(第37表姦照) と趣を異にしていた.フロパフェ.ンは同じ樹皮のタンニンよりもー般に炭素,水素が多いようであるが,樹種に よっては反対であり,とくにクリのフロパフェンほ他の樹種と異なっていた..
ー10■− [ヰ]タンニン,フロパフェンの吸収スペクトル 紫外線吸収スペクトル:タンニンの紫外線吸収スペクトルは,その水溶液調製後時間をへると酸化作用をうけ るため,吸収の極大の波長は変わらないが,極大と極小の吸光度差が減少する(102・1叫試料を70%メチルセロソル ブ液に溶解して吸収スペクトルを測定した場合も,1日後には吸収のピ−・クが不明瞭になったい従って,タンニン とフロパフ1エンの70%メチルセロソルブ溶液を調製後,30分以内に220m/∠から360叫∠の吸光度を測定し終え るように留意した・その吸収スペクトルを例示すると第6図の如くである.タンニン試料の場合,アかマツ,エゾマ ツ,アカシヤでは,−一・般に㌻オキシフェニル核に基づくといわれる278− 280m/∠の極大,257−260m′Jの極小を示すが,クリではピー・クが全くみ とめられず,コナラでは極大,極小の吸光度差が微少であった.300m/∠ 付近の共役系にもとづく吸収は,タンニン,フロパフェンでは不明瞭で あった.クリ樹皮タンニンの吸収については岡村の結果(104)と−・致し, 加水分解型タンニンの特徴を示した.フロパフェンの場合も同樹皮のタ ンニンと同様であるが,−・般にタンニンより極大,極小の差が小さい. UV・diぽerencespe¢tra:ポリフ,エノ」−リレ類の吸収は,中性域からア ルカリ域へ移るにつれて増大し,かつ長波長へ移動する.この中性域と アルカリ域での吸光度差は,多くのモデル化合物について測定され,フ ユノーール性水酸基の定量にも用いられている(32・88・143)い タンニン,フロパ フェンについて次の操作によってUV−di鮎renceスペクトルを測定比較 した.先ず各試料(10mg)を50mgの70%含水メチルセロソルブ液に 溶解して試料原液を調製したい(刃アルカリ溶液一原液1mgをメチル セロツルブ4mほpH12のカンショウ液15mJで稀釈して調製した.(B) 240 260 280 .300 320 波 長(叫J) ー =ゾマックンニン エゾマツフロバ■7・エン ート・クリタンニン ーーーク リフロバ■アユン 第6図 タンニン,フロパフ.=.ン の紫外線吸収スペクトル (70%メチルセロソルブ溶液) 中性溶液一原液1m=こ順次メチルセロソルブ4mJ,pH12のカンショ ウ液0・5ml,Ol05N−H2SO40”5miを加えた後,pH6”0のカンショウ液4mlで稀釈して調製した小(B)をブラ ンク溶液として刷の吸収率を220m′‘から380叫Jまで直接法で測定した..その1例をエゾマツ,アカシヤの 場合について図示すると第」7図の如くである.すべての試 料で250m/ノ,295−300m〃に極大点を示し,さらに試料に よっては330m/ノ,360m/ノ,あるいはその両者にも極大を示 した.250m/∠と360m/∠の極大は共役型のフ.ェノ−ル性 水酸基に,295−300m/∠と330m/ノの極大は非共役型のフ ヱノ・−・ル性水酸基にそれぞれもとづく(32)従って,全試料 に非共役型のフユノーー・ル性水酸基が存在するが,フロパフ 1 00 2 †ュ 5 2 9 110 −ハ仙叫鳶叫已○ぷ﹃q \_/ ̄\
\ \−・・・り−・−1−、、▲1、・・、. ヽ 、
、−こミ1エンはタンニンに比べてその水酸基は少ないようである“ 330m/∠の極大はコナラ,アカシヤのタンニン,フロパフ ェンに示され,360m/∠付近の極大はエゾマツのタンニン, フロパフェンにのみ認められたい すなわち,同一・樹皮から 得たタンニンとフロパフェ.ンにおいて,それらの∠∈債は フロパフェンがタンニンより小さいが,極大点の波長は同 じであった・教程の辺材寧j6rkmanリグニンは,すべて250250 270 290 310 330 350 370
波 長 (m〃) ーエゾマックンニン エゾマツフロパフェン ート・ アカシヤクンニン ー1−−アカシヤフロバフェン, 第7図 タンニン,フロパフェンのUV−di翫IenCe SpeCtIa−11− m〃,300m/′及び360m〃付近に極大をもち,330叫ノの極大を示さなかった結果(第19図参照)と趣を異にして いた. 赤外線吸収スペクトル‥KBr・錠剤法(1mg/300mgKBr)で赤外線吸収スペクトルを測定した∴アカマツ,クリ のタンニン,フロパフェンの赤外線吸収スペクトルを第8図に例示した タンニンは全体的によく似たスペクト ルを与え,フェニル核(1,510cm ̄1,1,600cm ̄1),フェノ ・−・ル性水酸基(3,400cm一 ̄1)の強い吸収とCH2或はCH3 (1,370cm ̄1∼1,460cm ̄1)の吸収がみられるカルポニル 基(1,720cm ̄1)の吸収が,クリ,コナラとくに前者で強く あらわれたいクリのタンニンのこの吸収は加水分解型タン ニンの特徴として認められているものであり(104),コナラ のタンニンにも加水分解型が含まれているようである仙 フ ロパフ.ェンではカルポニル基の吸収がタンニンに比較して 強く,とくにクリの吸収は強大である1.しかし,この1,720 Cm ̄1の吸収の差異をのぞけばタンニンとフロパフェンの 吸収は類似している,.アカマツのタンニンを 01N−HCl で800C,30分間加温して生じた,いわゆる人工・プロパ17 JLンの吸収スペクトルをしらべたが(第8図参照),もと のタンニンの吸収とかわらず,とくに1,720cm ̄1附近に 変化がみとめられない(1$0).従って,タンニンから酸性下 の加温のような単純な過程で生じた人工フロパフェンほ, 天然フロパフ.ェンと性状を異にしていると考えられる. [5]タンニンのエチリレ化後の過マンガン酸カリ酸化 タンニンがポリヒドロキシフラパン,デブシドなどの混 合あるいは縮合物であることばすでに明らかにされており (26・144),ヒドロキシスチルベン誘導体も関与していると考 えられている(39)..そして,カテコ・−ル,ピロガローール, レゾルシノ」−リレ,クーオキシ■7.ユニル核などがそれぞれ主要 第8図 タンニン,■フロパフェンの赤外線 吸収スペクトル(KBr錠剤法) 基本骨格をなしており,そのほかリグニンの構成単位であ るグアヤシル核及びシリンギル核も考慮する必要を認めた(47).これらの骨格からなった物質をエチル化後,過 マンガン酸カリで酸化すると,第9図の如く〃−エチルバニリン酸(Gl),3−メトキシー4一エトキシイソ17タ−ル 酸(G2),¢−エチルシリンガ酸(S),4−エトキシ安息香酸(Hl),4−エトキシイソフタ・−ル酸(H2),エトキシトリメシ ン酸(吼),3,4−ジュトキシ安息香酸(C),2,4−ジュトキシ安息香酸(R),3,4,5−トリエトキシ安息香酸(P)の諸 物質を巷ずる筈である. 種々のタンニン試料の骨格についてより詳細な知見を得るため,タンニンをジエチル硫酸と苛性カリでエチル 化した後,温和な条件下に過マンガン酸カリで酸化し,エーーテル可溶性酸化生成物中のGl∼Pの諸物質をガスク ロマトグラ■7イ」−で定量したい実験の詳細ほ第4章で記述する得られた結果は.第8表に示した通りである.Gl ∼P諸物質のほかに数個の未知物質がガスタロマトグラム上で検出されたが,それらについては精査しなかった.
一12 − グ1アヤシル核 シリンギル核p−オキシフェニル核 力訂三㌧ゾノ㌣えビワ_ガP ’‘ハ ール棲ノ・−ル核・−ル核 F し㌧ (、、 しl− 。 c
あ。〃る0笠。る。〃
′C′品\ “U ′C、品U“ob品
エチル化, 過マンガン酸カリ酸化 ≠COOH COOHCOOI]COOHCOOH coOH COOHCOOllCOOH
鮎鮎鮎鮎鯵鮎2〃5
。 Gl (;2 S ガ.ガ2 .偽 C β P 第9図 タンニン,リグニンの構成核のエチル化一 過マンガン酸カリ酸化生成物 第8表 エチル化タンニンの酸化生成物の収遺*1 A の 成 分 *2 全エノーテル 樹 種 アカマツ エゾマツ アカシャ コ ナ ラ ク リ 可溶物 因I Gl G2 S HI H2 H8 C % + + + + 十 % 0 1 3 9 9 7 4 ウJ ︻hJ 4 0 L O l l % 0 0 0 0 0 9 0U 8 2 1▲ 0 6 2 6 5 % 一+一+ + % % 4 2 2 5 0 3 4 3 3 3 0…05% 23.72% 0い09 27.72 − 10…50 − 18い39 + 9‖09 % 一一85 23 09 6 2 q︶ % 一一58一一 っ 0.31 0.47 0.39 *1 +:極微盈 −:無し *2 Gl∼Pは第9図参照 針葉樹樹皮タンニンは多量のCを与え,広葉樹樹皮タンニンは主にCとP,さらにアカシヤ樹皮タンニンは Rをも与え.た.従って一本実験に供した樹種の範囲内においては,針葉樹タンニンはカテコーリレ核が,広葉樹タン ニンではそのほかにピロガロ・−ル核,さらに樹種によってレゾルシノール核が,それぞれ主要構成核要素であるこ とが明らかになったい なお,ミモザやワットルのタンニンをメチル化した後に過マンガン酸カリ酸化して,ベラ トリル酸とトリメチル投食子酸を待た例(1り18)はあるが,過マンガン酸カリ酸化生成物中にレゾルシノー・ル核誘 導体考険出した報告はみられないい そのほか,すべてのタンニン試料にグアヤシル核,クーオキシフ.ェニル核,さ らに広葉樹のタンニンではシリンギル核の存在が示され,樹皮タンニンにリグニン構成核要素が少鼻(全構成核 の7−11%)存在することを認めたり しかし,樹皮Bj6rkmanリグニンにタンニンの主構成核要素が全く認めら れないこと(第5筆参腰)を考慮サーると,タンニンとリグニンの化学結合の存在を推定するよりも,むしろタン ニン試料から認められたリグニン構成核要素は樹皮の易溶性低分子リグニンが混入したことにもとづくものと考 えるべきである..このように考えると,広葉樹の樹皮タンニンで樹種をとわず普遍的に認められた主構成核要素 のうち,ピロガロ一−ル核が針葉樹の樹皮タンニンからは検出されず,針葉樹と広葉樹による主構成核要素上にお ける差異が推定された.. 第3節 摘 要 (1)本邦産用材樹種の1つであるスギ外皮のヘキサン抽出物の成分をしらべ,遊離状で存在するイソデキスト ロピマーー・ル酸,スギか−ル,キサントベロ・−ル,何らかの物質と結合しているどへニン酸,スギオ・・−ル,キサン トペローー・ ルを結晶として分離した.結晶状に分離した収品は遊離状,結合状態のものをあわせて,外皮に対してー13− スギオ−ルは0・47%,キサントペロ−ルは055%であって,これらフ.ェノ−ル性ジテルペンの盈はスギ心材の 場合よりも多いことを明らかにした. (2)ヒメコマツの外皮,内皮,辺材,心材に含まれるフェノ′−ル性物賓をペー・パ・− クロマトグラフ法でしらべ た… 内皮には心材■7.ユノーリレ成分の大部分を・含み,外皮からもピノバンクシンが検出された… 樹皮と心材との組 織発生上の経過などを考慮すると,一・般に樹皮と心材とのフ.ェノ−・ル性抽出成分における類似性のあることが推 定された. (3)アカマツ,エゾマツ,アカシヤ,コナラ,クリの樹皮からタンニン,フロバ7、エンを抽出分離し,元素組 成,メトキシル基,光学的性質,エチル化タンニンの過マンガン酸カリ酸化生成物の定量などをおこない,それ らの結果を検討した. タンニン,フロパフェンについては,リグニンの場合に示される針葉樹と広葉樹による化学的組成上における 特徴は認められないり しかし,主構成核要素として,針英樹タンニンからはカテコ・−ル核,広葉樹タンニンから ほカテコール核,ピロガロ・−ル核,さらにアカシヤではレゾルシノール核が認められた..すなわち,広英樹タン ニンで樹種をとわず普遍的に認められたピロガロ−ル核が針葉樹タンニンでは検出されず,針葉樹と広葉樹によ る構成核要素上の差異が推定された.上記構成核のほか,微盈のリグニン構成核要素も検出されたが,樹皮 B匝kmanリグニンからタンニンの主構成核が全く検出されないことを考慮し,タンニン試料で認められるリグ ・ニン構成単位は,樹皮の易溶性低分子リグニンの混入にもとづくものであると推定した.. タンニンの赤外線及び紫外線吸収スペクトルは,リグニンで認められている針葉樹と広葉樹による特徴を示さ ず,従来から認められている縮合型,加水分解塑にもとづくスペクトル上の特徴が認められた.すなわち,アカ マツ,エゾマツ,アカシヤの樹皮タンニンは縮合型に,クリの樹皮タンニンは加水分解型に,それぞれ属するこ と,さらにコナラの樹皮タンニンは両型の混合していることを推定した. さらに,天然フロパフェンばタンニンに類似した性状を示すが,カルポニル基が多いようであり,タンニンを 酸処理して牛じたいわゆる人工■フロパフェンと性状が異なることを示した.. 第 2 章 樹皮のクラーソンリグニン 木材リグニンの定量法として,クラーソン法は長い歴史をもって−おり,また木材リグニンがグアヤシル核,シ リンギル核,♪−オキシフユニル核の3種類の構成核要素からなることば,すでによく知られている(8・9〉.一・方, 樹皮にクラ−ソン法を適用して分離した樹皮クラ」−ソンリグニンは非常に複雑である..すなわち,樹皮にほスベ リン(52′58),樹皮フ.ユノーール酸(68)などが含まれ,これらの物質はアルコー・ル・ベンゼン,アルコーール,熱水で前 抽出処理しても除くことができないで,クラ−ソンリグニン中に混入し,棉皮リグニン定立偽を過大にする..こ のことについては,すでにWeSternWhitepine,douglas−6r,pOnderosapineの樹皮について報告されてきた(17・68 76・97).しかるに,樹皮リグニン定立法ばまだ確立されないままである. 著者は,■まず数種の針葉樹,広葉樹の内皮,外皮(アルコ・−ル・ベンゼン,熱水抽出残法)のニトロベンゼン 酸化生成物をしらべることによって,間接的に樹皮クラ・−・ソンリグニンの構成核要素に関する知見を求めた(119) また,樹皮とその1%NaOH処理残放とについて,それぞれクラ・−ソンリグニンを定立して,本邦産主要樹種の 樹皮リグニン含有塩を推定すると共に,樹皮クラーー・ソンリグニンの性質をしらペた.−・方,1%NaOH処理によ って溶出する物質のうちで,クラ・−ソン法でリグニンとして走塁される物質(主に樹皮フ.ェノ−リレ酸とスベリン) が樹皮にどの程度の嵐存在するかを推定したト スベリンは勿論のこと,樹皮フェノ・−ル酸も後述するようにリ
ー14 − ダニンとして取扱いえないので,樹皮クラーー・ソンリグニンを定放する場合,これら樹皮に含まれる非リグニン物 質を前抽出処理によって除去しておく必要がある..もちろん,前抽出処理中におけるリグニンの溶出と変質を最 小限におさえる必要がある.このような観点から,樹皮lダニンの足袋法を確立する目的で,上記非リグニン物 質を前処理で除去する方法を検討した.また,ジオキサンリグニンを標準物質として使用し,アセチルブロマイ ド法による分恍学的な樹皮リグニン定員法についても研究した(180). 第1節 樹皮グリニンの構成単位 試料樹皮の調製:針葉樹としてアかマツ,ヒノキ,スギ及びイチョウ,広葉樹としてバツコヤナギ,ヤマザク ラ,クスノキ及びセンダンを9月伐採直後,地上より約15m上部から内皮,外皮を取得して風乾し,各試料を それぞれ粉砕,20−40メッシュ.の部分をアルコ」−・ル・ベンゼン,熱水で充分抽出した残法を試料とした.比較の ために用いた辺材も同様に前処理したい ニトロベンゼン酸化生成物の検索:試料(約2gのリグニンを含む)を2N−NaOHlOOml及び・ニトロベンゼ ン10mgと共にステンレス管に入れ,1650Cで3時間回転しながら酸化し,冷却後水蒸気蒸溜,再び冷却,辞退, 炉液を稀H2SO4でpH20とし,500C以下で100mgまで濃縮,エ・−テルで60時間軸軋 工」−テル溶液を20% NaHSO8で分液炉斗にて4回抽出,稀H2SO4で酸性とし,エ−・テルで60時間抽出した“∴エ−テル抽出液を汲結 し,クロマト用試料とした..酸化生成物の検出同定には,標準物質のR/値,2,4−ジェトロフュエルヒドラジン, ジアゾ化ベンチジン,l%托CIB,及びNH3蒸気による皇色,紫外線下の色調などと比較した.第9表に標準物質 第9表 標準物質のペ−パ・−・クロマトグラフイ−・(リグロイン:ベンゼン:メタノ・−−・ル=5:5:1,2lOC) 紫外線下の色 および螢光 試 薬 に よ る 顕 色 2,4−ジニト ロフ.ユニル ヒドラジン ジアゾ化ベ ンチジン NHさガス 処理後 無処理 のまま NH8ガス 1%Fec18 黄 褐 赤 橙 黄 橙 暗 赤 赤 禍 黄 橙 赤 橙 橙 赤 橙 紫 淡 橙 線 宵 暗 橙 淡青紫 淡赤紫 淡 背 骨 紫 淡 宵 淡 宵 淡 橙 紅→褐 褐 黄 褐 黄 橙 橙 褐 赤 褐 淡 黄 橙 褐 黄 褐 淡 橙 淡 紫*2 淡黄灰 紫 褐 紫 灰*2 黄 灰*2 淡 灰 浪 褐 緑 黄■*1 淡紫灰*2 紫 *1 暗 褐 5−カ ルポキ シバニリ ン シ リ ン ガ 酸 プロトカテクアルデヒド バ ニ リ ン 酸 5−ホル ミ ルバニリ ン酸 ♪−オキシベンズアルデヒド シリ ン グ アルデ ヒド 5一 ホ ル ミ ル バ エリ ン バ リ ン ア セ ト グ ア ヤ コ ン ♪−オキシアゾベンゼン 一 触色 *1強い螢光, *2 弱い螢光, のクロマトグラ■7の結果を示したい 全試料に対する検索結果は第10表に記滅した通りであるい そのほかに未知物 貿(R′0・0と0」95)も検出されたが精査しなかった. ニトロベンゼン酸化生成物の比較:辺材の場合は,従来認められている結果(8・9)と一哉した.すなわち,針葉 樹材リグニンはグアヤシル核が主であり,クーオキシフ・ユニル核,グアヤシル核の縮合型も存在すること,広葉樹 材リグニンは針葉樹材の場合のほかにシリンギル核が主構成核要素の1つに加わっていることを再確認した.し かし,グアヤシル核のジ■フュエル型(デヒドロジバエリンの生成)は本実験では確認できなかった. 樹皮の場合の結果をみると,多並のカテコ・−ル核が全樹種の内皮,外皮のリグニンに存在し,木材リグニンと
15 第10表 樹皮,辺材のニトロベンゼン酸化生成物 (ペ−・パー クロマl、グラ■アイ′−) *ァルコ−ル・ベンゼン,熱水抽出残法 明らかに異なることをみいだした.また,針葉樹と広葉樹による特徴は,先述の木材リグニンの場合と−・致して おり,樹皮独特のものは認められなかった. なお次章以下で述べるように,このカテコ・−・ル核は,樹皮クラーーソンリ1ダニンに混入してくる棉皮フェノ・−ル 酸の構成核要素であるい従って,樹皮フェノール酸が樹種をとわず樹皮に普遍的に存在することを示唆している.. 第 2 節 樹皮のクラーソンリグニンの定量値と性質 第1節で用いた樹種のほかに針葉樹としてエゾマツ,ヒマラヤシ・−ダ,広葉樹としてコナラ,ニセアカシヤ, クリをえらび(但し,サクラは除外),それらの外皮と辺材を供試した.そのほか市販のアベマキコルク(徳島県 寵)も試料としたい 各試料を粉砕し,40−80メッシュ.の部分をアルコーー・ル・ベンゼン(1:1),熱水で充分抽出, 残漆を風乾して供試した..この試料についてクラ・−ソンリグニン(Ll)競を測定した.一斉,1%NaOH水溶液 (試料の50倍蛍)で沸とう湯浴上で1時間加温した後,その残捷についてクラ・−ソンリグニン(L2)長を測定す ることによって,1%NaOH可溶物質(主に棉皮フェノ・−・ル酸,スベリン)の:硫を推定しようと考えた.その結 果は第=表に示す通りである.
16 第11表 クラ・−ソンリグニン塵と稀アルカリ可溶物* 1% NaOH 処理残法 リグニン(L畠) クラ−ソンリグニン(Ll)
試ニ
55.8% 41.8 48。6 57 2 59。7 46 7 34.1% 31 2 21.9 35 7 22.3 29.8 21.7% 10.6 26.7 21.5 37 4 16..9 ア ニ ス ヒ 針 葉 ヒマラヤシーダ イ チ ョ ウ 2 0J 6 0 0U 7 2 3 0 2 8 7 8 L 莫J 5 4 3 qJ 3 6 7 ハ 8 p 3.ノ 岬 7′ 0 0 6 4 0 2 3 3 2 2 3 ︻ユ O lい lL 3 nO 5 0 8 1 5 0 2 1 1 1 バ ッ コ ヤナギ コ ナ ラ ア カ シ ヤ ク ス ノ キ ク リ セ ン ダ ン アベマキ コルク 9 5 4 1 1 ■へJ ﹁つ 4 1L 9 0 りん 2 2 3 2 3 3 L5 1.5 0.6 2.3 0い4 0.0 ア カ マ ツ エ ゾ マ ッ ス ギ ヒ ノ キ ヒマラヤシ・−・ダ イ チ ョ ウ 27.4 26.0 32.0 31.4 30.5 32.5 23.4 2l.6 23“0 24い7 24.3 25.2 0 5 0 4 7 9 −17′ 3 3 9 3 2 1 2 2 1 2 2 4 0 L 4 L 4 1 0 3 6 3 バ ッ コ ヤ ナ ギ 斗ノ ラ ヤ キ リ ン シ ノ ダ カ ス ン ア ク タ セ 葉 樹 *元の試料に対する首分率 木材リグニンについても,稀アルカリ可溶分が少盈存在することばすでに知られている.本実験でも,稀アル カリ可溶性のリグニンの存在を認めたが,その丑は樹種によって差異があり,−・般に針葉樹よりも広英樹に多い 傾向が示された.. 外皮の場合,タラ・−ソンリグニン(Ll)量は,33−61%に達し,木材の場合に比べて非常に高い値を示し,樹種 によって相当異なった値を示したり 一方,1%NaOH処理した残睦についてのクラ−ソンリグニン(L2)蕊は22− 36%であって,l%NaOH処理によって樹皮リグニン定義値は著しく低下する1.外皮を1%NaOH処理するこ とによって容易に溶出除去される物質のうち,クラーーソン法でリグニンとして定義される物質は主に樹皮アユノ 」−リレ酸とスベリンであると考えられるい 従って(Ll−L2)の低から,外皮中の樹皮フ.ユノ−リレ酸とスベリンとの合 計並の大約を・推定できるり すなわち,樹皮■ブコ=ノ・−ル酸とスベリンをあわせた韮は,樹種によって相当な差異の あることを知ることができた‖ また,アカマツ外皮のクラ」−ソンリグニン(Ll)と1%NaOH処理残遮のクラーーソンリグニン(L2)のメトキシ ル基蕊は,それぞれ4・1%,78%であって大きな差異がみられたが,辺材リグニンのそれらは149%,14い8% であって殆んど差異が認められない.すなわち,辺材のクラ・−ソンリグニン(Ll)にほ非リグニン物質の混入しー17 一 ないことを知ることができ,一・方,樹皮の場合には1%NaOH処理することによって樹皮フェノ」−ル酸やスベリ ンが溶出除去されるため,クラーソンリグニン(L2)のメトキシル基童が高くなったものと考えられる.なお,樹 皮クラ−ソンリグニン(L2)のメトキシル基量が辺材リグニンよりも相当少ないが,これは樹皮リグニンを分類し た場合におけるメトキシル基魔の少ない難溶性リグニン(第6章参照)と樹皮の真正リグニン(第5章参照)と がクラ・−ソンリグニンとして一・持分離されたことに基因し ていると考えられる. 次にアカマツの辺材,外皮,アベマキコルクのクラ・−ソ ンリグニン(Ll)の赤外線吸収スペクトルをKBr錠剤法 (1mg/200mg KBT)で測定し比較した(第10図参照). アカマツ外皮リグニンの吸収スペクトルは,1,000−1,500 Cm ̄1の吸収ピ−・クを鮮明に示さず,1,720cm ̄1(C=0伸 縮)の吸収が強いが,その他の波長領域では辺材リグニン の吸収スペクトルに比較的近似している∴アベマキコルク リグニンの場合ば,アカマツ外皮,辺材のリグニンと異な った特徴ある吸収スペクトルを与え,2,920cm ̄1(C−H伸 縮),1,720cm ̄1の吸収が強く,l,000−1,300cm ̄1の吸収 ピ・−クは不鮮明であった.これら樹皮リグニンの木材リグ ニンとの差異は,非リグニン物質の混入に基づくものと考 えられる… 従って,木材分析法によって樹皮のクラL−・ソン リグニンを測定することの不適当であることは明らかであ る− ____
 ̄ ̄=喜
500 4000 2000 1500 1000 波 数 (cm ̄【1) 第10図 クラL−ソンリグニン(エ1)の 赤外線吸収スペクトル(K】∋r鐘剤法) 第 3 節 樹皮のリグニン定量法の検討 [り クラーソン法による樹皮リグ=ンの定盤 前節で記述したように,樹皮に存在する樹皮フェノーーリレ酸,スベリンはアルコール・ベンゼン,熱水で前抽出 しても溶出除去されないで樹皮クラ・−・ソンリグニン中に混入するために,リグニン定墓催は過大に示される..本 節では,リグニンの変質や溶出を最小限におさえ,しかも樹皮フふノーール酸やスベリンを溶出除去せしめるよう な前抽出処理について,木材の場合とも対比しながら検討した小 さらに,アセチルブロマイド法(68)によって−分 光学的に樹皮リグニンの定義を試みた結果についても記述する.. 試料にはアカマツ,エゾマツ,コナラ及びクリの外皮,辺材さらにアベマキコルクの粉末(40−60メッシュ) を用い,先ずアルコーー・ル・ベンゼン ,95%アルコール,熱水で順次抽出した..その抽出物の盈は第12表に示し た如くで,木材においてもアルコ−ル・ベンゼン抽出彼のアルコ−ル,熱水抽出で溶出する物質が存在するが, 外皮の場合は著しくその孟が多い.このアルコ」−・ル,熱水抽出物中には,クラ・−ソンリグニン定虫値に影響を与 えるフロパフ.ェ.ン,タンニンが存在す−ることば云うまでもない“木材の場合から考えると,このほかに低分子並 のいわゆる易溶性リグニンの溶出する危倶があるが,前章で記述したように樹皮タンニン,フロパフ.‡.ンから微 少ながらリグニン構成単位が認められたことからもリグニンが僅少ながら溶出するものと考えられる. 次に,これら一遜の抽出残淀(Rl)についてクラ・−ソンリグニンを足長した結果を第i3表に示した.この結束 を第11表のアルコ・−ル・ベンゼン,熱水抽出残淀のリグニン定義値と比較すると,外皮においてはリグニン定18 第12表 外皮と辺材の抽出物(連続)* *元の試料に対する百分率 第13表 前抽出残珪(Rl*1)のクラーー・ソンリグニン リグニン(の童*2 β中のメトキシル基 利 *1ァルコ・−リレ・ベンゼン,95%アルコ・−・ル,熱水抽出の残娃 *2 元の試料に対する百分率 虫偶の著しい低下が認められ,微少塩のリグニンの溶出も考える必要はあるにしても,フロパフェンなどが樹皮 リグニン定遺偶に大きく影響を与えることは明らかである.しかし,この一・連の前抽出処理によってもスベリン や樹皮フ,エノ−・ル酸は溶出除去されないで樹皮クラ−・ソンリグニン中に混入しているために,そのメトキシル基 蛍は木材リグニンの場合よりも著しく少ない.従って,樹皮リグニン定長に際しては,樹皮フユノーーリレ酸やスベ リンを除去し,しかもリグニンの変質や溶出を最小限におさえる前抽出処理が不可欠である. ZETSCHE(146)はコルク質試料のスベリンについて研究し,中性亜硫酸ソーーダ水溶液で前処理後,3%アルコ・−・ ル性KOH液で数時間鹸化してエ・−テル可溶の粗スベリンを足長した.その後,JENSEN(62)はアルカリによる鹸 化所要時間短縮の可能性を指摘している.樹皮フェノL−ル酸は次章で述べるように中性亜硫酸ソ・−・ダ液に易溶で あり,スベリンがアルコーール性アルカリ液で鹸化溶出するとすれば,この一・連の処理をへた残故についてクラ・−・ ソンリグニンを測定することによって,より正確な樹皮リグニン定量個が期待できると考え,樹皮クラ・−ソンリ グニン定立に際してのより温和な前処理条件について検討した. アルコーー・ル・ベンゼン抽出したアベマキコルクを試料として,先ず50倍並の3%Na2SO8液で逆流冷却下に沸 とう湯浴中で2時間加熱後,軒別,新3%Na2SO8液で再び加熱処理してタンニン,樹皮フェノーール酸を溶出せ
−・19− しめた.この処理によって試料の14小3%が溶出した,残淀を水洗した後風乾,3u倍盈の3%アルコ−・ル性NaOH 液を加えて湯浴上で逆流冷却下,所定時間鹸化,炉液を酸性にし,ユンーテルで抽出して粗スベリン墓を測定し, 第11図に示した.さらに鹸化時のアルカリ濃度を4%から0.5%と変化して10分間鹸化した場合の結果を第12 図に示した.その結果,スベリンは鹸化処理によって急速に低分子化して溶出するので,樹皮クラ・−ソンリグニ nU O O つJ 2 4 スベリン代地 ︵%︶ 4 2 0 8 3 3 3 2 スベリン蛍 .0・甘Otii・●○ ○ 〇
か志
0− 051 2 3 4 ∧旭0〃濃度 (%) (鹸化時間10分・) 第12図 スベリン定最低に及ぼす アルカリ濃度の影響 0 510 30、 瞼化時間 (分) (3%NaOH−EtOHで鹸化) 第11図 スベリン定盈備に及ぼす 鹸化時間の影響 ン定量に際する前処理としては,3%Na2SO3液による処理後,2%アルコ−ル性NaOH液で10分間鹸化する ことで充分前処理の目的を果しうることが示唆された‖ そこでこの条件下に前処理した残液(R2)についてクラ ーーソンリグニンの定量を試みた.さらに,前処理の操作を簡易化するためにアルコ・−ル・ベンゼン抽出残淀を, 亜硫酸ソ・−ダ処理することなく,2%アルコ−リレ性NaOH液(50倍量)で湯浴上10分間鹸化,炉別,水を500倍 量加えて湯浴中で2時間処理した残法(R3)についてもクラーー・ソンリグニンを定遺した..それらの結果は第14表 に示した通りである. この結果を第13表に示した定盈結果と比較すると,中性亜硫酸ソー・ダーアルコ−ル性NaOH処理によって, 第14表 前処理試料(R8,Rる)*1のクラー・ソンリグニン リグニン(L)量*2 L中のメトキシル基 試 料 R2 Rさ R2 R∂ 27‖1% 28い2% 24.8 28.1 20小4 24.2 17.7 19 1 121 13い4 8り82% 8い67% 7.93 8 16 12.う7 11.36 1l“87 10.88 9.01 9▲06 ツ ツ ラ ‖ソ ク レ ノ コ マ マ ナ キ カ ゾ マ ベ アエ コ ク ア 6 0 7 1 6 4−∴ 0 2 2 1 2 EJ 4 8 1 9 3 6 0 2 2 1 2 1341 13い61 1269 13.83 15.69 17∴77 1628 18小90 ツ ツ ラ *1R2:アルコ・−ル・ベンゼン抽出後,3%Na8SO8液−2%アルコ・−ル性NaOH処理した残沈 R8:アルコーール・ベンゼン抽出後,2%アルコ・−ル性NaOH一熱水処理した残泣 *2 元の試料に対する百分率ー20一 辺材の場合においてもリグニン盈とそのメトキシル基盈に微少ながら減少がみられ,その減少量は針葉樹よりも 広葉樹で明瞭に認められた..一九 コルクや外皮の場合には−・連の前処理によって樹皮●7、ユノー・ル酸やスベリン が溶出された結果,リグニン定盈値は著しく低下し,そのメトキシル基嵐の増大が明らかに示された… なお,こ のメトキシル基盈は木材リグニンに比べてかなり少ないが,このことについては前節で述べたように,樹皮クラ −・ソンリグニンの特徴である.さらに,R8のクラーソンリグニン定蕊値は,R2のそれに比べて,一般に僅かな がら高い値を示し,メトキシル基量においては近似していた.従って,樹皮クラー・ソンリグニン定温時の前処理 としては,アルコール・ベンゼン抽出後,2%アルコ−ル性NaOH液で10分間鹸化,熱水処理することで充分 であって,前哩理行程として中性亜硫酸ソ−・ダ処理を加える必要性は認められない. もっともこの前処理によって,樹皮リグニンのうちの易溶性区分の溶出する危惧が木材についての結果からも 推察される.しかし,易溶性リグニンの溶出丑は非リグニン物質の溶出量に比べるとはるかに少是であり,また 非リグニン物質混入によるクラ−ソンリグニン定量値への影響を考慮すれば,易溶性リグニンにもとづく定量借 への影響は無視しうる盈であると考えられる. また,アルコーソレ・ベンゼン抽出…2%■アルコ−ル性NaOH−−熱水処理残漆(R$)から分離したタラーソ ンリグニンの赤外線吸収スペクトルを測定した結果を例示 すると第13図のようである.これを第10図と比較するこ とによって,前処理によるリグニンの性状への影響につい てしらべたい 木材リグニンの場合,前処理によって1000− 1500cm ̄1の吸光度が全般的に僅か減少するが,その他の 領域では変化は認めがたい∴アカマツ外皮リグニンでは前 処理によって3,400cm ̄1(OH基)の吸収が弱くなったが, 全般的には吸収のピー・クが明瞭になって,辺材リグニンの 場合に近似するようになった.アベマキコルクリグニンは ・アカマツ外皮リグニンよりも吸収スペクトルはシヤ・−プで あって,むしろ辺材リグニンの場合に近似したスベタl、ル を示した.従って,上記の前抽出処理行程におけるリグニ ンの変質は微小であると考えられる∴すなわち,樹皮リグ ニン定立の際における前抽出処理としては,アルコール。 ベンゼン抽出−2%アルコ・−ル性NaOH液で10分間 鹸化一熱水抽出の一題の処理が安当であると考えられ る.
.ノ/ ̄ヽ へ. ∴・.・一. ̄ ̄ ̄ … 」 ’’アカマソ辺材
4000 2000 1500 1000 500 波 数 (clれl) 第13図 クラ・−・ソンリグニン(RB)の赤外線 吸収スペクトル(KBr錠剤法) [2]アセチルブロマイド法による樹皮リグニンの定量 次に,JoHNSONらによるアセチルブロマイド法(68)によって樹皮リグニンの定超を試みたい標準リグニン試料 として用いたジオキサンソリグニンの分離は,外皮の場合は前抽出処理残淀(R8)を,辺材の場合はアルコール ・ベンゼン抽出残淀を,それぞれN2ガス通気下に0け4%塩酸含有ジオすサツ液で還流加熱(1・5時間×2回),抽 出液を濃蘭,水ついでエーテルに注入してジオキサンリグニンを分離した, ジオキサンリグニンの20年含水メチルセロソルブ溶液およびジオキサンリグニンのアセチルブロマイド処理 物の酢酸溶液についての紫外線吸収スペクトルは,第1咽に例示した如くで,同樹種のリグニンの吸収スペクトー・21− ルは極めて近似しており,樹種によって吸収スペクトルの極大点 の波長は27ト282m/∠の範囲内で変異がみられた.ジオキサンリ グニン試料についてのメトキシル基量,紫外線吸収スペクトルの 極大点における吸光係数は第16表に示した通りである. 先ず,アかマツ外皮から分離した樹皮フ、エノ・−ル酸,タンニン, ジオキサンリグニンなどにつしゞてアセチルブロマイド法を適用し た場合の結果を検討した(第15表参照).タンニン,ジオヰサンリ グニン,ホロセルロースのアセチルブロマイド処理物は酢酸に完 全に溶解するが,樹皮■アユノ・−ル酸や前抽出処理残法(R8)では アセチルブロマイド処理物の一・部が酢酸に溶解しないで沈澱した.. 辺材リグニンにおいても塩酸法,クラーー・ソン法で分離したリグニ ン試料では不溶物を多量に生じた.また.樹皮フ,エノール酸やタ ンニンでは,ジオキサンリグニンと同様に280m〝に極大をもつ 40 260 280 300 320 340 波 長 (叫り 一20%含水メチノレセロソルブ溶液 −−−−CH3COBI処理一酢酸溶液 第14図 外皮ジオ■キサンリグニンの 紫外線吸収スペクトル 第15表 アカマツから分離した試料にアセチルブロマイド法を適用した結果 * 元の試料に対する百分率 吸収スペクトルを与えた.これらの結果を考慮して,アセチルブロマイド法による場合においてもクラーソン法 による場合と同様に,樹皮フこLノ・−リレ酸やスベリンを溶出除去せしめるために−・連の前瀾出処理した残淀(Rき)を 供試し,酢酸溶液としたときの不溶物を沈降させた後の上泣液について吸収スペクトル測定した.辺材の場合は アルコ・−リレ・ベンゼン抽出した残液を供試した..このようにして測定したリグニン定員値を第16表に示した. アセチルブロマイド法による木材=ダニン定丑値は,アルコ・−ル・ベンゼン抽出残淀のクラ−・ソンリグニン孟 (第13表参照)よりもー・般にやや高い値が示された、.この事実は,クラ・−ソン法においては−■・部易溶性リグニン の溶出する危倶を示唆しているものと考えられる.山方,外皮のリグニン定量値ほ,先述したアルコ・−ル性アル カリ液で前処理した残淀(R8)のクラ・−ソンリグニン定量値(第14表参照)よりも,すべての樹種で著しく低い 結果が示された..この差異の生ずる原因として,外皮試料(R8)のアセチルブロマイド処理物を酢酸溶液にした ときの不溶物を検討する必要があると考えられる..すなわち,アカマツ外皮(R8)の不溶物は,もとの未抽出外 皮に射し12小1%(第15表参照)であって,この量は樹皮の難溶性リグニンの量(第42表参照)に近似してい る..また,樹皮のクラ・−ソンリグニンは樹皮の真正リグニンと難溶性リグニンが一・括されていることを考慮する