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ブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスの線維化と免疫異常の病態に対してレチノイドAm80が及ぼす影響についての検討

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Academic year: 2021

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[課程-2] 審査の結果の要旨 氏名 遠山哲夫 本研究は、レチノイドAm80 が全身性強皮症に対する新たな抗線維化薬になりうるのか明 らかにするために、BLM 誘発強皮症モデルマウスにおいて、免疫細胞、血管内皮細胞、皮 膚線維芽細胞に対する作用を解析したもので、下記の結果を得ている。 1. BLM 誘発強皮症モデルマウスの皮膚厚は PBS 投与マウスよりも肥厚したが、 Am80 投与により BLM 投与による皮膚肥厚は軽減された。皮膚肥厚と同様に、Am80 は BLM 投与による皮膚のコラーゲン含有量増加も軽減した。BLM 誘発強皮症モデルマウス の皮膚における細胞外マトリクスに関連した遺伝子のmRNA 量を検討したところ、Am80 は Col1a1, Col1a2, Col3a1 と Col5a1 遺伝子の mRNA の発現量を減少させ、matrix metalloproteinases の一つであるMmp13遺伝子のmRNA 発現量を増加させた。また Am80 はTgfb、Ctgf、Tnfa、 Ifng、Ccl2、Il4、Il10、Il13、Il17a遺伝子のmRNA の発現を抑 制した。

2. PBS と比較し、BLM 投与により所属リンパ節での CD4 陽性 T 細胞の IFN-、 IL-4、 IL-17A 発現 CD4 陽性 T 細胞数は増加したが、Am80 によりその数は減少した。BLM は T-bet、GATA-3、 ROR-t,といったそれぞれ Th1、Th2、Th17 に分化する際の master regulator である転写因子の発現が亢進させたがそれらを Am80 はすべて抑制した。さらに、 Am80 は BLM 投与マウスでの Foxp3+CD4+CD25+ 制御性 T 細胞の発現も減少させた。 Am80 は CD4 陽性細胞中のナイーブ T 細胞(CD62L+CD44low cells)の割合を増加させ、一 方でエフェクターメモリーT 細胞(CD62L-CD44high cells)の割合を減少させた。

3. BLM 誘発強皮症モデルマウスの皮膚において Am80 は Ym1、Fizz1 遺伝子の mRNA 発現を抑制した。Am80 は in vitro において IL-4 で刺激したマウス腹腔内マクロフ ァージのYm1、Fizz1遺伝子のmRNA 発現を抑制した。さらに Am80 は M2 マクロファ ージの細胞表面マーカーであるCD204、CD206 の発現を抑制し、とりわけ CD206 につい てはAm80 の用量依存性に抑制した。M1 マクロファージは INOS や IL-12 を発現するこ とが知られているが、Am80 は BLM 誘発強皮症モデルマウスの皮膚おいて、これらの mRNA の発現を促進した。また in vitro では Am80 は、IFN-とlipopolysaccharides で刺 激したTHP-1 細胞におけるINOSとIL12p35遺伝子の mRNA の発現を亢進した。 4. Am80 により BLM 投与マウスの皮膚におけるICAM1遺伝子のmRNA 発現は減 少した。免疫化学染色にて、皮膚微小血管内皮細胞におけるICAM-1 発現は BLM 投与で 亢進し、その増加はAm80 投与で緩和することが示された。Am80 は TNF-にて刺激した

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HDMEC において、そのICAM-1 遺伝子の mRNA 発現を抑制した。また、BLM 投与マウ スの皮膚における細胞浸潤について免疫化学染色にて調べたところ、Am80 投与により、マ スト細胞、マクロファージ、CD4 陽性 T 細胞、CD8 陽性 T 細胞の浸潤が抑制された。 5. Endothelial-to-mesenchymal transition (EndoMT)に対する Am80 の影響を調べ るため、BLM 誘発強皮症モデルマウスにおいて、VE-cadherin と FSP1 の二重蛍光染色を 行った。BLM 投与により VE-cadherin/FSP1 double-positive の細胞が増加し、EndoMT が 起こ ってい るこ とが示 唆さ れた。 一方 Am80 投与によりその VE-cadherin/FSP1 double-positive の細胞が減少した。

6. Am80 は TGF-β1 によるCOL1A2 遺伝子の mRNA 発現亢進と、MMP1遺伝子の mRNA の発現の減少を Am80 の用量依存的に緩和させた。また、TGF-β1 刺激で皮膚線維 芽細胞はⅠ型コラーゲンの蛋白量が増加するが、Am80 投与によりその増加が緩和された。 加えて、Am80 は TGF-β1 で刺激したヒト正常皮膚線維芽細胞において CTGF 遺伝子の mRNA 量も減少させた。Luciferase assay を行い Am80 がCOL1A2遺伝子の転写活性に 与える影響を調べたところ、TGF-β1 刺激で上昇したCOL1A2遺伝子のプロモーター活性 はAm80 投与により抑制された。さらに、Am80 投与でCOL1A2遺伝子のmRNA の安定 性が低下した。 本研究により、レチノイドAm80 が BLM 誘発強皮症モデルマウスにおいて、免疫細胞、 血管内皮細胞、皮膚線維芽細胞に作用し、BLM 誘発強皮症モデルマウスへの抗線維化作用 を有することを示された。これまで Am80 の全身性強皮症に対する作用は明らかにされて いなかった。本研究は、Am80 が BLM 誘発強皮症モデルマウスの線維化を改善させること を示した、初めてのものである。

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