特 別 寄 稿
F
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S
p e c i a l
C
o n t r i b u t i o n
東京農工大学農学部獣医学科卒業。デン マーク王立獣医農業大学獣医学部留学。専 門は予防獣医学、臨床繁殖学、ハードヘル ス学。訳著に「カウシグナルズ」(デーリィ マン社)、単著に「乳牛の繁殖成績向上のた めの鍵とは」(酪農ジャーナル)他がある。 P r o f i l e 皆さんの農場にいる牛たちは、今の状況に満足し ているのでしょうか。牛は、餌、ストール環境、気 候などに変化が生じた時、何かしらのサインを出す ことがあります。そのサインを読み取ることで、牛 が満足しているのか、または、もう少し管理上の工 夫が必要なのかを知ることができます。 牛も、人と同じく毎日毎日1日ずつ歳を重ねてい きます。昨日と今日は牛にとっては全く異なる状況 であるかもしれません。仮に1年前と同じ餌を与え ていたとしても、牛は1歳年をとり、牛群の平均産 次数も変化し、牛群構成も変わっていると思います。 さらに、気温や湿度も異なれば、牛は同じ餌を与え られていても食べることができる餌の量は変化しま す。日常的な作業の善し悪しを評価、そして軌道修 正するためにも牛のサインを確認することが大切で す。牛たちの生活環境を改善する努力に終わりはな いのです。 それでは、牛にとって大きな変化について考えて みましょう。皆さんを支える人々は、餌、環境資材、 施設、備品など全て牛に良いと言われているもの、 良いと考えられているものを紹介、推薦してくれま す。皆さんもそれは良いと考えたものを牛たちに使 用していると思います。牛が生活する環境、または 食べるものを変えた時には、牛たちが変えたものを 良いものと受け入れてくれたかを確認する必要があ ります。牛のサインから分かることがあります。そ の確認を早めにできることが、問題があった時の早 めの対処につながります。 皆さんは、自分たちの作業に対する“非常停止ボ タン”を持っていますか。実は、牛のサインが作業 の進め(緑)、注意(黄)、停止(赤)を伝える信号 機の役目を果たします。信号機・信号のことを英語 でシグナルと言います。牛のサイン、すなわち牛が 表現するシグナル“カウシグナルズ”について考え てみましょう。カウシグナルズ
で
定期的に乳牛の
休息環境
をチェック!
酪農学園大学獣医学群教授中田 健
皆さんの作業を見直す、取りやめる、変更する時の 非常停止ボタンを持っていますか? 農業作業の非常停止ボタンは?はじめに
牛が多くの時間を費やす環境に注目してみましょ う。タイストールとフリーストールの区別なく、牛 は1日の半分を横になって生活しています。フリー ストールで飼養されている牛の場合、理想的な1日 の牛の活動は、横臥している時間12時間以上、採 食している時間5時間、搾乳に費やす時間3時間以 内、飲水1時間、牛同士の社会行動1.5時間、作業 休息環境とは、タイストールまたはフリーストー ル問わずに、寝る場所(ストール)がそれに相当し ます。ストールが農場の牛に適しているのか確認す る方法とはどんな方法なのでしょうか。 一般的に、牛がストールに横になっているのか 立っているのか見ることです。では、いつ観察する のが良いのでしょうか。 観察の時期は、午前中の給餌等の作業終了後の1. 5時間から3時間が良いと考えられます。フリース トールで給餌が1日1回のところは、朝搾乳の休憩 後、午前の作業が始まる直前が良いでしょう。その 時が、牛はストールでの横臥率が最も高くなります。 まずは、その時の牛の状況を確認してみましょう。 で拘束する時間1.5時間とされています。横臥して いる時間は農場によって8時間から14時間とばら つきがあることが知られています。皆さんの農場で は、牛は1日何時間横臥しているか知っています か? 今回は、休息環境をカウシグナルズで確認しま しょう。 フリーストールでのストールの利用状況、横臥状況 の確認は、朝の搾乳作業後の休憩後、午前の作業を 開始する時が適しています。自動給餌機を利用して いる時は、朝搾乳後の給餌後、次の給餌の開始前が 適しています。 タイストールでのストールの利用状況、横臥状況の 確認は、午前中の給餌作業終了後、1.5から3時間 後が適しています。 とてもリラックスしている時は、牛は両足を投げ出 して後肢の膝部への負重がかからない姿勢になりま す。
牛の 1 日の生活から注意点を考える
休息環境とは
フリーストールでの横臥確認 タイストールでの横臥確認 リラックスした横臥姿勢牛が横臥していることは、良いことなのでしょう か。答えは、とっても良いことです。立ち上がれな い、起きられないような状況を除けば、採食・飲水 が問題なく行われている中では、いつでも牛が横臥 しやすい環境がとても良い環境です。 ストールの環境が良い場合、牛は1日に12から14 時間横臥しています。横臥をする回数は1日に10 から15回、1回の横臥時間は60から80分、1回の 横臥時に4から8回の横臥姿勢の変更をすると言わ れています。 それでは、横臥をするメリットについて考えま しょう。 ❶横臥している時には、起立している時より乳房へ の血流量が24から28%増加します。 ➡血中に存在する乳成分の前駆物質が、より多く 乳房に流入することになります。また、乳房を還 流する血流量と乳量は正の相関があり、乳量の増 加が期待できます。 ❷横臥している間は肢蹄の休息時間にもなります。 脚・蹄への負重が緩和され、蹄の乾燥も促進され ます。 ➡成乳牛の場合、立っている時には、1本の肢・ 蹄が150kg以上の体重を支えています。立ち続 けると、蹄の内部で血行障害が起こることがあり ます。また、フリーストールの場合は、通路のス ラリーで蹄角質が柔らかくなり支える強度が弱 まります。多くの時間横臥させることは、蹄の内 部の血行を促進し、また蹄を乾燥させて健康な蹄 の形成・維持につながり、蹄病の予防になります。 ❸反芻・咀嚼時間が増加します。 ➡反芻・咀嚼が十分行われると、唾液のルーメン への流入量も増加し、ルーメン内のpHの安定 化、餌の消化吸収の促進につながります。 ❹乾物摂取量が増加します。 ➡特に分娩直後では、負のエネルギー状態からの 早期の回復につながり、周産期疾病の予防、その 後の繁殖率の向上につながります。当然のことで すが、乳量増加につながります。 ❺妊娠後期の乾乳期では、横臥している時に妊娠子 宮への血流量が10から20%増加します。 ➡妊娠後期の受胎産物、胎子への栄養の供給量が 増加するため、それらの発育が促進され、健康な 新生子娩出につながります。 それらの総合的な結果から、いつもより横臥時間 が1時間増加すると1日の乳量が1から1.5kg 増加 すると言われています。 また、長期的に横臥時間が増加する場合は、乳量 の増加以外にも蹄病の軽減と繁殖率が向上すると考 えられています。 牛が横臥せずに立っていることが多くなる要因と は何でしょうか。ストールの構造、気温、湿度、換 気、病気など様々です。 ストールの構造で問題となるのは、床のクッショ ン性、床のグリップ(滑りにくさ)、敷料の状態(水 分量)、フリーストールの場合はネックレールの高 さと位置、タイストールの場合は馬栓棒の高さと位 置、ストールの長さ、ボディースペースの長さ、ヘッ ドスペースの長さ、ストール幅、隔柵の有無・高さ、 ブリスケットボードの高さ・形状・位置、タイストー ルの場合はストールと飼槽との間の壁の高さ・厚さ など様々なことが関連します。 全てにおいて推奨される基準サイズはあります が、最も大切なことは、今いる牛たちがその状況を 良いと判断してくれているかです。 ストールの基準は、皆さんが飼っている農場の牛 たちで決まるのです。
横臥することの利点とは
横臥時間を減少させる要因とは
❶横臥している牛が最も多い時に、全体の85%以 上がストールで横臥していることが一つの目標 となります。しばらく何もせずに立っている牛が いたら、何かおかしいと思ってください。 ➡休息環境に何か問題が隠されています。近づい て観察を開始しましょう ❷立っている牛のストールの周辺環境、空気の流れ、 日差し、敷料の湿り具合、はっきり分からないけ れども気になることを記録します。その時に、牛 と同じ目線に立って見ること、牛と同じ空気を吸 うこと、牛と同じ行動をとって見ることで解決の ヒントが見つかることがあります。 ➡敷料の状態、換気、空気のよどみ、床の状況、 ストールの構造などの環境側からの問題探しを 行います。牛と同じ目線に立つということは、横 臥した時または起立した時に牛の顔がある場所 の様子を、牛と同じ格好で見て、嗅いで、感じる ことです。特に、空気の流れが悪くなり気にな る臭いがする時は、換気について再確認しましょ う。牛の頭から首、胸にかけての部分の換気、冷 却は牛の体温を調節するために効果的ですので、 換気扇の位置・向き、空気の流れにも気をつけま しょう。 牛の目線になり、ストールの構造物、前方の壁、側 方の柱、ブリスケットボード、床の堅さを確認する と見えなかったことが見えてきます。 風の流れと強さを目で確認できるようにしていま す。とても良いことです。農場内のいろいろな所に 風で容易になびくリボンテープを取り付けていま す。 風の流れ(2m/秒以上)がある場合、クモはクモ の巣を張らないと言われています。牛が生活する環 境内でクモの巣が張っているところは、風の流れが 滞っている場所と考えられます。 牛の目線、牛の吸 う 空 気 を 確 認 す るには、ストール で低い姿勢を取る のが良いです。場 所により異なるの で、何箇所かで確 認 す る と 良 い で しょう。
横臥の状況から改善点をチェック
牛の目線で物事を見る 牛の目線に なるために ちょっと一息 空気の流れをリボンテープで確認 空気の流れをクモの巣で確認次に、ストールの構造物で牛によってきれいに 磨かれている、光沢をもって削れているところを 探します。牛が日常生活する中で頻繁に体が接触 しているところです。構造物と接触する牛の体の 部分が、スレていたり腫れていたら構造物の位置 が適していないことがあります。このことに特に 注意する時は、牛舎の新築、増改築に伴い初産牛 を導入した後の 3 年間、牛群内の産次数が変化 している時、受精卵移植による牛群の改良を行っ ている時などです。乳生産の中心となる牛の体 格・体型が変化する時期ですので、ネックレール の位置など変更できる場合は、牛の体格・体型の 変化に合わせて変更することが考えられます。牛 舎の新築、増改築の際には、数年後の牛群のこと を考えて、変更が必要になる構造物については微 調整ができるように工夫することも必要です。 ネックレールの高さは、平均的な牛たちの体高に合 わせます。ブリスケットボードの上部に位置してい る時は、体高の85%の高さが目安です。牛の首の部 分のスレや腫れに注意します。 ネックレールの上に頭が来ています。寝起きの時の 動作を確認して、ネックレールの位置、高さを検討 する必要があるかもしれません。 ストールのボディースペース(体 が接地する長さ)が短い、ネッ クレールが低い、ストール床面 が滑りやすいなど、寝起きの動 作が行いづらい場合、後肢をス トールの外に置きこのような姿 勢をとります(パーチングとは、 鳥が木に止まっている姿勢の意 味です)。 ネックレールの高さ ネックレールの上に牛の頭 パーチング姿勢
❸立っている牛に共通すること、牛の体型、牛の姿 勢、呼吸の数、肢の状態、飛節部分のスレ、膝の スレ、体の汚れなどを注意して観察します。 ➡牛の体型、産次数、分娩後日数、妊娠日齢、B CS(ボディーコンディションスコア)、RFS (ルーメンフィル(充満度)スコア)、糞の状況な どを考えながら牛の共通項目からストール環境 の問題を考えるヒントを探します。 フリーストールで体の大きな牛が後肢を通路にお いて立っている(パーチング姿勢)時、ストール のボディースペースが十分な場合には、ネック レールの位置、高さを確認し変更できる場合は変 更しましょう。 体重の重い牛、妊娠後期の牛では、飛節のスレ など注意し、敷料を多めに入れてストール床面の クッション性、グリップの確保をします。 産次が増加し牛群の体格が大きくなり、ネックレー ル(1)が低くなったことと、もともと設置したブ リスケットボード(2)が高い(20cm)ため、牛 の寝起きの動作がしづらくなってきました。 ストール上でこのような姿勢を取っていることは良 いことです。3本肢で起立し、安定してトリミング を行っています。床が滑らない牛のシグナルの一つ です。 ネックレールは単管を接続し高くしています(1)。 ブリスケットボードは、木製であったため、固定部 を除き高さを10cmに切り落としています(2)。 ブリスケットボードに角材が使われている場合、起立 時に前肢を1歩前に出す時に蹄冠の部分をブリスケッ トボードの端にぶつけていないか確認します。ぶつけ ている牛が多く、傷を持つ牛が多い場合、ブリスケッ トボードの角の処理について検討します。 1 2 1 2 ネックレールとブリスケットボード改造前 このようなストール環境は? ネックレールとブリスケットボード改造後 角材ブリスケットボードと前肢の傷
牛の呼吸数が増加している時は、換気不足、暑 熱対策が十分でないことがあります。風の流れに 注意します。 牛の背中が丸まり、後肢の飛節の位置が股関節 部分より前方で蹄を着いている場合、蹄の先端付 近に痛みがあり、または後方で蹄を着いている場 合、蹄のかかと付近に痛みを持っていることがあ ります。蹄を確認し治療が必要な場合は、獣医師 タイストールで見られる前膝の腫れは、前の餌を食 べようと前膝をストールと飼槽壁の角にぶつけて起 こることが多いです。まずは、餌押し回数を増やし て、いつでも餌が目の前の飼槽内にあるようにしま す。 左の牛は、右後肢の飛節が腫れています。そのため、 負重が左後肢にかかり、少し左に傾いています。右の 牛は、左後肢を前に出して、負重を右後肢にかけて右 側に傾いています。蹄や肢の問題が増えてきた場合、 蹄病の病名を確認し、負重性の血行障害による蹄病が 多い場合は、起立時間、起立している床の堅さや滑る ことが要因である場合があります。伝染性の蹄病の場 合、ストールの除糞回数、敷料の交換回数を増やすな ど衛生環境に注意する必要があります。 飛節と飛端にかさぶたを伴う擦り傷があります。また、 右後肢を後ろに引いているため、蹄の踵の部分に痛み があるようです。そのため、痛い肢である右後肢を下 にしてずっと寝ていたため、スレがひどくなっていた ものと考えられます。ストールのクッション性、敷料 の不足でこのようなことが起こる場合があります。 牛の左側に汚れが付いています。また、左後肢を少 し前に出しているので蹄の先の部分に痛みがあるよ うです。牛は痛い肢を下にして横臥するため、左側 の汚れが顕著になっていました。蹄病の治療を行う ことと、ストール上の除糞回数を増やすことが必要 です。 飛節と飛端の擦り傷と蹄のつき方 前膝の腫れと飼槽壁 飛節の腫れと不均等な負重 牛体の汚れと左後肢の位置
に相談してください。 飛節部分にスレが目立ち、飛節部分の腫れが多 くなった場合は、ストールのクッション性を高め るため、後肢の部分の敷料を増やすようにしま す。 タイストールで前肢の膝部のスレ、腫れが目 立つ場合は、飼槽とストール間の壁の角でこす ることで起こります。まずは、餌押し回数を増 やし、餌を牛に近いところに寄せて牛が餌を食 べやすい環境を維持するようにしてあげましょ う。 牛体が汚れ湿っている場合には、ストールのフ ン尿による汚れ、敷料の水分が高いことが考えら れます。牛床の清掃回数を増やす、敷料の交換回 数を増やすなどの検討が必要です。ストール構造 の問題やカウトレーナーの不適切な使用で、糞尿 がストール内に落ちてしまう場合は、それらの問 題を解決しましょう。 牛によって、臀部の背部に汚れを背負っている牛がい ます。これは、尻尾をストール内に置くのが下手な牛 に見られます。フリーストールの場合、そのような牛 の通路の除糞回数を増やすか、通路に敷料を置くこと で汚れを軽減できます。 タイストールの場合は、左の牛のようにバンクリー ナー内に尻尾を落としてしまう牛で良く見られま す。尻尾を吊り下げるか、そのような牛のバンクリー ナー内に少し多めの敷料を入れておくと汚れが軽減 します。 ストール内の乾燥を保ち、牛体の汚れ を減らすためには、カウトレーナーの 利用は欠かせません。牛の体高、体長 に合わせて、カウトレーナーの位置、 高さを調節し、尿をストール内にさせ ないようにします。現在は、写真のよ うに、前後上下できるカウトレーナー があります。 背中の汚れ:フリーストール カウトレーナーの適正な使用 背中の汚れ:タイストール
❹横臥している牛も、横臥の姿勢、寝起きをする時 に行動が流れるように止まることなくできてい るか確認しましょう。伏臥時に前肢を折曲げて床 に着いた後に、なかなか後肢を折曲げることがで きない、起立時に前膝をついて何回も何回も後肢 を置き替えてから立ち上がることはないか注意 します。 ➡牛の寝起きの行動を観察し、敷料の状況、床面 の乾燥状況、行動を妨げるストール構造を考えま す。 牛は、伏臥または起立時に前肢の膝部を支点に 体重移動をし、後肢の蹄の先をついて後肢を移動 させます。ストール床面が滑りやすい、または堅 い場合に、伏臥または起立をする時に1回で動作 が終了せずに、後肢を何回も踏み替えて肢の置き 場所を決めます。 そのため、蹄が物理的な損傷を受けやすく、負 重性の蹄葉炎、蹄底潰瘍、白線病の原因となるこ とがあります。 ストール上での長時間の起立だけではなく寝起 きの動作が行いづらいストールは、蹄病の発生割 合を増加させる一つの要因となります。 ストールの基本は、乾燥していて、牛たちが寝起 きがしやすいことです。 ストールを乾燥させるためには、畜舎の換気を行 うのはもとより、湿度が高まる初夏では牛たちの寝 ている環境の気温・湿度を基準に、暑熱対策用の扇 風機を早めに使用することが、畜舎の乾燥につなが ります。扇風機使用の気温の目安は、北欧では17 から18度です。日本では、北欧より湿度が高いので、 15度をひとつの目安とし、ストールにいる牛たち の間に人が入ってストール上の湿度と温度を確認し てから、扇風機の使用の開始を決めると良いでしょ う。 牛に対するストール構造を確認するためには、ス トールのサイズを先に測るのではなく、飼っている 中心的な牛のサイズを先に測りましょう。 首の付け根からおしりの端までの長さが、牛がス 伏臥する時、起立する時に、前肢の膝部分で支点を とり、後肢を立てている時には、負重を後肢の蹄の 先端に移動しています。ストール構造が寝起きしづ らい場合、床が滑る場合に何度も後肢の位置をずら して時間をかけて、伏臥または起立します。そのよ うな場合、蹄への負重性のストレスがかかり、蹄病 の危険性が高まります。 牛は、寝起きの際に後肢の蹄先に負重がかかります。
基本は飼っている牛たち
伏臥時の後肢の蹄の使い方(1) 伏臥時の後肢の蹄の使い方(2)トールの床面に着く長さ(ボディーサイズ)です。 牛の腰角幅(腰骨の幅)の2倍が、牛が横臥した時 に床に接地するのに必要な幅(ストール幅)です。 牛の体高(腰の十字部の高さでよい)の85%が前 に行かないようにする棒(ネックレール)の高さで す。 常に基本は、自分で飼っている牛を中心に考える ことです。日本全国を考えた場合、それぞれの農場 で飼われている牛は同じではありません。皆さんが 酪農を続けている中で、その農場の地域の気候、生 産形態、飼養環境、牛群管理、搾乳手順などに適応 した牛が育っています。自分の農場で飼養している 牛をもう一度見直して、その牛にあった管理をする ことが生産性を高める一つの方法なのです。 デンマーク留学中に、カウシグナルズという本と 出合いました。主としてフリーストール牛群の健康 管理を行うための基本となる牛の見方が、豊富な写 真とともに説明されています。私が、2007年に日 本語に翻訳し、日本でも販売されています。興味の ある人は、こちらの本もご覧ください。現在、私た ちの研究室では、牛の3大環境、すなわち休息環境、 採食環境、搾乳環境の状況を牛から評価できるよう に、日本にあったカウシグナルの見方をするように 仕事を進めています。また、エクステンション活動 の一つとして、道内の酪農場の牛群診断も行ってい ます。毎回、訪問した農場でそれぞれの工夫とそこ で飼養されているたくましい牛たちから、新たな知 恵と新たな発見をしています。ご興味のある方は、 いつでもご連絡ください。 最後に皆さんに今一度お伝えしたいことは、それ ぞれの農場、そこで飼われている牛は、それぞれ違 うということです。それぞれの農場で、そこの管理 形態に適した、それぞれの牛にあった飼い方があり ます。その基本は、やはり自分の牛を良く観察する ことにあります。できることから始めて、1 つでも 多く牛たちが喜ぶことをしましょう。また、牛を観 察しながら調整していくことが生産性を向上させる 基本なのです。 今回の寄稿では、もっとも大切な休息環境につい て紹介しました。皆さんの日々の作業の参考になれ ば幸いです。
中田先生は弊社でも講演されています!
昨夏、弊社の中堅営業担当者も、「カウシグナル ズから生産者を支援する̶牛とのコミュニケー ション̶」と題して、中田先生から、牛のサイン について研修を受けました。おわりに
酪 農 講 演 会 開 催 レ ポ ー ト
弊社技術顧問の瀬野豊彦畜産コンサルタントを講師とする講演会が、7月に奈良県で、
9月に鹿児島県で、それぞれ行われました。その様子をご紹介します
開 催 日 開催場所 聴 講 者 平成23年7月29日 奈良県葛城市 若手酪農家・後継者の皆様 レポーター/奈良営業所松岡仁輝
暑熱対策を講演する瀬野畜産コンサルタント 牛舎内での研修 オープンリッジ と扇風機 風通しの良い牛舎 この日のテーマは暑熱対策。最初に、参加者の農 場に実際に赴き、簡易環境測定器で、牛舎内の気温、 湿度、風速を測定して、牛舎内の空気の流れや換気 扇の効果について説明したり、細霧装置の効果的な 設置方法について検討したりといった、現場での参 加型実地講習が行われました。 次に、場所を移動しての講演会では、瀬野畜産コ ンサルタントより、暑熱期における牛体の反応の解 説や牛舎環境、飼養管理における暑熱対策のポイン ト等について、国内外の事例等をまじえて講演され、 参加者の皆様から数多くの質問が出たり、若手酪農 家同士の交流がなされたりと、非常に活発な講習会 となりました。 また講習会終了後しばらく経っても、参加者から 更に質問が寄せられたり、次回開催の希望が上がる などの良い反響も頂きました。 簡易環境測定器は、西南暖地にある弊社営業所に は常備してありますので、関心のある方は、遠慮な く営業担当者にご相談下さい。 簡易環境測定器実践的な参加型講習会
奈良県
講演会は、微量ミネラルと繁殖についての関係を 中心とした「健康な乳牛の飼養管理」をテーマに、 各種ミネラルの過不足、乾物摂取量の向上、粗飼料 の働きの再認識、暑熱対策など様々な分野の話が盛 り込まれた内容の濃いものとなりました。 特に鹿児島においては、特有のシラス台地によ り、自給粗飼料のミネラル含量が低い場合もあると のデータに基いて、給与ミネラルに対する注意が喚 起されました。 また参加者より、分娩後の立ち上がりを良くする ための管理方法に関する質問が出され、真剣で活発 な質疑応答が交わされました。ご参加いただいた皆 様、ありがとうございました。 開 催 日 開催場所 聴 講 者 平成23年9月7日 鹿児島県志布志市 志布志地区青年部の皆様 レポーター/九州支店
奥田和綱
プロジェクターを使いなが ら解説していく瀬野畜産コ ンサルタント 講 演中は熱 心に 耳を傾 け、 講 演 後は質 疑 応 答 や意見交換に意欲を見せ る志 布 志 地 区青年部の 皆様冬期の風邪・下痢対策に!
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北海道支店札幌営業所
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カナダ酪農と
ロイヤル・ウインター・フェア
∼海外視察レポート∼
カナダは、世界で二番目に面積の 大きな国で、日本の約27倍以上も の広さであるが、人口は約3,411万 人と日本の3割程度しか住んでおら ず、「世界で最も一人当たりの面積 が大きい国」である。国土は広大だ が、大半は北極圏やツンドラ地帯の 為、人口の8割近くは比較的温暖な アメリカ国境から150km圏内で暮 らしており、農業地帯も人口の集中 地帯と同様に南部に集中して、広大 な国土の割には、農業規模はそれほ ど大きくはない。 カナダの酪農は、生産規模において日本とそれほ ど大きな差はなく、酪農家戸数と乳牛頭数の傾向も 日本と良く似ている。 カナダの酪農家戸数は約13,000戸で、直近の10 年で6,100戸(33%)減少し、乳牛頭数は約98万 頭で、これも直近の10年で11万頭(8%)減少し ている。 ただ、生乳生産量は日本と異なり増加傾向にあ り、直近の10年で約65万t(8.5%)増加している。 これは一戸当たりの飼養頭数増加に加え、給餌技術 や疾病対応、遺伝的改良の効果があってのものと考 えられる(表1)。 カナダの酪農はケベック州とオンタリオ州に集中 しており、この2州で農家戸数、生産量共にカナダ 2011年11月8日から14日までの7日間、デーリィマン社と北海道ホルスタイン農協の共同企画による「第 40回カナダホルスタイン酪農視察旅行」が実施され、弊社から2名参加した。内容は、カナダの酪農家4戸 の視察とトロントで行われたロイヤル・ウィンター・フェア(正式名称:Royal Agricultural Winter Fair)の 視察である。今回の視察を通して感じたカナダ酪農について報告する。 バンクーバー トロント◉
広大な国、カナダ
◉
生乳の生産地と消費地が一致
カナダ酪農事情
■今回訪問した都市 ケベック州 オンタリオ州の80%以上を占めている。一方、一戸当たり生産 量は、この2州がカナダの中では最も少ないという 特徴がある。2州の中においても酪農が集中する地 帯は、「メープル街道」で有名なセントローレンス 川沿いに集中している。 次に、生乳生産と消費の関係であるが、表2の通 り、生乳生産量と人口の分布が一致している。つま り、人口が多いほど消費量が多いと仮定すると、カ ナダでは生乳の生産地と消費地が一致しているとい う事になる。また生産地は東西2つに大きく分かれ ており、乳価もそれぞれの地域によって設定されて いる(表2)。 農家戸数(千戸) 搾乳牛頭数(千頭) 生乳生産量(千t) 一戸当たり頭数 一戸当たり生産量(t) 一頭当たり生産量(t) ニューファンドランド ラブラドール プリンスエドワードアイランド ノバスコティア ニューブランスウィック ケベック オンタリオ マニトバ サスカチュワン アルバータ ブリティッシュコロンビア 計 ※カナダの乳価格:約55円/kg カナダ 日 本 北海道 アメリカ 13 981 8,353 74 632 9 35 213 253 231 6,492 4,243 388 202 615 542 13,214 0.3% 1.6% 1.9% 1.7% 49.1% 32.1% 2.9% 1.5% 4.7% 4.1% 100.0% 51 111 184 144 3,202 2,724 332 233 683 689 8,353 0.6% 1.3% 2.2% 1.7% 38.3% 32.6% 4.0% 2.8% 8.2% 8.2% 100.0% 1,457 521 727 623 493 642 856 1,153 1,111 1,271 632 513 135 908 729 7,237 11,410 1,120 979 2,975 3,908 29,914 1.7% 0.5% 3.0% 2.4% 24.2% 38.1% 3.7% 3.3% 9.9% 13.1% 100.0% 21 999 7,631 48 363 8 8 479 3,897 60 487 8 65 9,203 85,881 142 1,321 9 酪農家 生乳生産量 農家規模 人口(2001) 州 名 戸 数 構成比 量(千t) 構成比 一戸当たり 生産量 /年(t) 人 数 構成比 表1 表2
カナダではクオータという制度によって需要と供 給を調整し、乳価安定と供給安定を図っている。こ のクオータは厳格に決められた生乳生産枠で、その 生産数量は「産業用生乳(飲用、生クリーム以外)」 の需給状況に合わせてその時々で変化・調整が行わ れる。 例えば、カナダで酪農する場合、まずこのクオー タを確保しなければならない。また、もし増産をし たいのであれば、他の農場が持つクオータを買い取 る必要がある。今回、我々が訪問した牧場での話 によると、その価格は乳牛1頭当たり300万円、農 地1反当たり30万円程度になるとのことであった。 その牧場の生産規模から計算すると、牛乳1kgの クオータは約250円となる。クオータの伴わない農 地や乳牛は価値を成さないため、クオータのコスト は牛乳生産量当たりではなく、土地面積当たりと言 う考えを持っている様であった。クオータはカナダ の牧場価値の75%程度を占めていることもあると のことであった。 視察した4戸の牧場は、タイストール、大規模の フリーストール、乳量重視と体型重視と、飼養形態 も経営方針も異なる、それぞれ個性的な牧場であっ たが、どの牧場でも驚いたことは、その牛群の素晴 らしさはもちろん、牧場の清潔さ、綺麗さであった。 どの牧場も舎内換気が行き届いており、明るく、 乾燥した牛舎、ゆったりとした毛艶の良い牛群は 日々の徹底した管理を感じさせた。 1939年 に 旧 チ ェ コ ス ロ バ キ ア か ら 移 住 し、 1947年より酪農を始める。現在は経営者、息子、 叔父と2人のフルタイム従業員の5人で管理を行っ ている。搾乳時のみ9人のパートを雇用している。 当牧場は、今回の視察牧場の中では珍しく、体型 ではなく高い生産性(高乳量)を重視した経営を行っ ている牧場で、3回搾乳を行っており、搾乳管理は イスラエル製のコンピューター管理システムを導入 していた。特にパート従業員による搾乳作業につい ては、個々の搾乳の結果を1週間ごとにデータで示 すことで、徹底した従業員管理を行っているとのこ とである。 また、ストールの敷料に砂(25kg/日/ストー ルで年間5万ドル)を使用する、牛舎の梁に鳥が止 まれないようにするなど、衛生管理についても徹底 した工夫とこだわりを感じた。 更には、高乳量とともに長命連産も目標としてお り、それを象徴するように13産で156,000kgの牛 もいるとのことであった。 最後に、年をとった牛に対しては「とにかくリラッ クスさせてやること」との経営者の言葉が印象的に 残った。言葉の通り、牛群は非常にゆったりとして いた。 ハイモイスチャーコーンの巨大なバ ンカーサイロ(サミットホルム牧場) ストールに敷き詰められた砂、牛 の寝起きを妨げないよう、ません 棒を設置していない(サミットホ ルム牧場)
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カナダの生乳需給調整について
牧場視察
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概観
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サミットホルム牧場
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搾 乳 牛 平均乳量 耕地面積 330頭(フリーストール:泌乳前・中・後期および乾乳2 群の5群管理) 12,500kg/頭(305日乳量) 初産 11,000kg/頭 300ha(うち借地80ha) デントコーン、ルーサン、ハイモイスチャーコーンを栽培、外 部に委託して作付け、収穫しているオーナーはフランク・ドンカー氏。兄弟とそれぞ れの息子二人の4人で経営。カナダの代表的なブ リーダーのひとりでもあり、「良い体型には高能力 が伴ってくる」という考えのもと高体型牛群を主軸 に飼養している。使用する精液の80%は後代検定 で体型重視、残りの20%はヤングサイアーでレッ ドの因子を持つものを多用しているとのこと。牛舎 は築100年に近いかそれ以上とのことだが、牛舎内 は非常に明るく、綺麗で、牛群の手入れも行き届い ていた。 飼料は90%が自給飼料で、購入はストローと蛋 白源程度、刻んだストローを繊維源として飼料の調 整に使用しているとのこと。 EX牛が33頭、VG牛も40頭以上いるとのこと で、牛舎の美しさにも、並んでいる牛群にも圧倒さ れた牧場であった。 1948年にオランダから移住。兄弟経営(4兄弟 とその息子3名、フルタイム従業員1名で計8名)。 こちらもEX牛を50頭、VG牛を110頭所有して いる牧場で、牛群はもちろん素晴らしく、牛舎につ いても、6年程前に新設した4列のタイストール牛 舎に非常に驚かされた。管理については、分娩後は 乾乳前まで繋ぎっぱなしとのことであったが、その 築 100 年近くなるという牛舎 ( フラドン牧場) 牛の手入れも非常に行き届いている ( フラドン牧場) 築 100 年でも、牛舎内は明るく清潔に保たれている ( フラドン牧場)
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搾 乳 牛 平均乳量 耕地面積 60頭タイストール(別牧場でも70頭搾乳しているとのこと) 10,000kg/頭(305日) 約220ha(うち借地120ha) デントコーン、ルーサン、グラスの他ハイモイスチャーコー ン、大豆を栽培◉
フラドン牧場
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ボスデール牧場
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搾 乳 牛 平均乳量 耕地面積 150頭タイストール 10,500kg/頭(305日) FAT4.2% P3.3% 440ha(うち借地80ha) デントコーン、ルーサン、小麦、ハイモイスチャーコーン、大 豆を栽培。購入飼料は、なしとのこと分、照明、換気が非常に行き届いていた。 また、搾乳は16台のユニットを2人で使い、1 時間半で済ませてしまうとのこと。自動離脱、ミル カー移動用のレール、3インチのパイプライン等、 速やかに搾乳するための工夫はされていたが、それ でもにわかには信じがたい話であった。 1960年代にクオリティーシードという種苗会社 からスタートした牧場。オーナーのポール・エクス タイン氏が、酪農家に種子を販売しながら良い牛を 見つけると買ってきて牧場に預け、それらの牛と種 子販売の資金を元に酪農を開始したというエピソー ドを持つ牧場。 作業者は3人で、全て従業員。視察は受け入れる が、他の牧場と異なり、なかなか質問に答えてくれ ない牧場ということで、場内では、視察のみでほと んど牧場の方に話を聞くことができなかった。 また、ロイヤルに出品するため、良い牛は会場に 行っているとのことであったが、それでもEX牛が 多数並んでおり、牛名盤と搾乳風景を見ているだけ でも圧倒された。 今回は、フェアで行われるカナダ・ナショナル・ ホルスタイン・ショーをメインとした10日、11日 の2日間のみの視察であったが、このフェアは11 月4日から13日の10日間に渡って行われる世界で も最大規模の屋内農業関係イベントであり、1922 年から行われている伝統のある農業ショーである。 入場してまず驚いたのはその規模の大きさであっ た。 牛舎天井に設置された大きな換気扇、牛舎天井の通気口から強く吹き込んでくる風 が非常に印象に残った。また牛舎は珍しい4列のつなぎ牛舎だった(ボスデール牧場) EX牛が多数並び、牛名盤と搾乳風景を見ているだけでも圧倒された(クオリティ牧場) まだ入場者の少ない早朝の会場の展示ブースの一部
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クオリティ牧場
ロイヤル・ウィンター・
フェア視察
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概観
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搾 乳 牛 平均乳量 耕地面積 70頭タイストール 9,000kg/頭(305日) FAT4.2% P3.3% 40ha敷地内を大まかに分類すると、牛や馬、羊等の家 畜舎やショー会場が複数あり、さらに農畜産物加工 品等の展示・物販ブース、食育等に関するイベント が行われるブース、フードコート等が全て屋内に設 置されていた。カナダ・ナショナル・ホルスタイン・ ショーはその中のイベントのひとつであるが、乳牛 の共進会も、ホルスタインだけでなく、ジャージー、 ブラウンスイス、エアシャーの審査も行われていた。 入場するには大人で22ドルの入場料が必要だが、 それでも場内は一般客で埋め尽くされていた。先生に 引率された小学生の姿も多く見られ、このフェアは 学校の授業の一環にもなっているとのことであった。 食育・展示ブースについては、実際にいろいろな 動物(アルパカやラマなどもいた)に触れられる他、 動物の生態について解剖模型を展示しているブース もあり、酪農については、ミルカーの使用方法から 飼料の説明まで、子供を対象にしているとは言いな がらも、かなり本格的で、かつ解りやすく展示され、 農畜産業全体についての理解を深めてもらう工夫が されていた。 チーズのセミナーや料理講習会も行われており、 農場から食卓までを網羅したイベントの数々にカナ ダの農業振興に対する関係者の熱意と、このフェア の歴史の深さを感じた。 10日と11日の2日間に分けて行われ、初日はメ イン会場内に設置された共進会場である Ring of Excellence にてレッド&ホワイトとブラック&ホ 搾乳を説明するブースでは、5つの品種の乳牛が展示されていた ナショナル・ホルスタイン・ショーの審査風景 ナショナル・ホルスタイン・ショーの審査風景 カナダ生乳100% 消 費 推 進 ブ ー ス、 リアルな乳牛の模 型での搾乳体験が 子供たちにとても 人 気 が あ り、 順 番 待ちで多くの子供 たちが並んでいた
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ナショナル・ホルスタイン・ショー
カナダ滞在中、宿泊先のトロント、バンクーバー それぞれにおいて、系列の違うスーパーマーケット に行き、乳製品売り場を調査した。 各店舗で共通していたのは、乳製品売り場が2カ 所あり、1カ所は日本と同じような全国共通の商品 を売っている乳製品売り場、もう1カ所はバラエ ティ豊かなナチュラルチーズ専門売り場であった。 全国共通の商品を売っている乳製品売り場は、そ の容量や容器が違う以外は基本的に日本と変わりな かったが、飲用乳の構成が日本と大きく違っており、 成分無調整牛乳は非常に少なく、低脂肪タイプやフ レーバー牛乳が多くを占めていた。カナダではダイ ワイトのジュニア審査が2部まで行われた。 翌日、会場をプロアイスホッケーチーム「トロン ト・マーリーズ」のホームリンクであるリコースタ ジアムに移し、3部からJr.チャンピオン、そして シニアから本命のグランドチャンピオンまでの審査 が行われた。 会場内は、天井から大きな4面モニターがぶら下げ られ出品牛の姿を映し出していた。特に、グランド チャンピオン戦の演出は、まさにショーと呼ぶにふ さわしく、会場内の照明が落とされ、派手なBGM が流される中、チャンピオン牛がスポットライトに 照らし出され、ものすごい拍手と歓声が場内を埋め 尽くすなど、鳥肌が立つくらいの演出がされていた。 グランドチャンピオ ン牛の様子が映し出 される会場中央天井 の大きなモニター スーパーマーケット 内の牛乳乳製品売場 スーパーマーケット 内のチーズ売り場 グランドチャンピ オン牛 人気のチョコレート牛乳
スーパーマーケット訪問
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低脂肪乳が多数
短い滞在期間ではあったが、酪農家訪問・フェア の視察を通してカナダ酪農の一端に触れることがで きた。 訪問したスーパーマーケットでの乳製品の種類の 多さと棚を占める割合の大きさや、ロイヤル・ウイ ンター・フェアという大きな農業の祭典を90年近 くも行ってきているカナダに、日本との食生活の違 いは当然ながらも、その文化的背景の違いを大きく 感じた。しかし、その酪農先進国であるカナダでさ えも消費拡大や国際化対応は大きな問題となってお り、牛乳の消費推進活動や普及活動を積極的に行っ ている現状を目の当たりにして、日本においてもま だまだやるべきこと、やれることがたくさんあると 感じた。 酪農関係者の一員として、日本の酪農産業の維持 発展に甚だ微力ではあるが、少しでもお役立ちでき ればと、あらためて意を強くした。