災害時リハビリテーション支援活動の課題
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(2) 268. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. 図 1 平成 28 年熊本地震での避難所の様子(発災後 2 週間の 熊本県益城町) 廊下部分までが居住空間として利用されていた.. 一方,東日本大震災では,復旧期である発災後 1 ヵ月. 図 2 平成 28 年熊本地震での避難者の様子(発災後 2 週間の 熊本県益城町) 避難所で日中も横になって寝ている高齢者.. 【PT としての活動】. 半の平成 23 年 4 月 26 日からの 5 日間,日本理学療法士. まず,現地活動本部で支援者として熊本に滞在してい. 協会の公募に応じて岩手県陸前高田市で支援活動を行っ. る間の生活についてのオリエンテーションを受け,前任. た。また,復興期にあたる発災後半年の平成 23 年 10 月. の JRAT チームからは支援活動に対する引き継ぎを受. 31 日から宮城県理学療法士会の公募に応じて宮城県石. けた。引き継ぎの内容は,避難所の状況や行ってきた環. 巻市で 7 日間の活動を行った。. 境調整,避難者の個別の健康状態や具体的要求などの情. なお,本研究は第一東和会病院倫理委員会の承認(60). 報,他団体の情報や連携方法など広く詳細であった。筆. を得ている。. 者の活動した 1 日のタイムスケジュールを表 1 に示す。 医療チームや保健師チームの定例ミーティングで避難所. 結 果. の情報を得たうえで,避難所で避難者を予め用意されて. 1.応急修復期(平成 28 年熊本地震) 【活動場所の状況】. いた評価票(図 3)で動作状況を評価した。そして,避 難者の日常での活動と生活への参加を促すために,同行. 平成 28 年熊本地震では,死者 225 人(震災関連死を. する医師の指示のもと生活不活病の発症リスクが高いと. 含む),重軽傷者 2,682 人,住家被害約 19 万棟,最大避. 判断される避難者への運動指導などを行った。また,避. 3). 難者数約 18.4 万人(車中泊含まず) と大きな被害が出. 難所内外の環境整備,福祉用具の選定に関する指導を. た。筆者は,もっとも被害が大きかった上益城郡益城町. 行った。. の避難所(益城町保健福祉センター)で支援活動を行っ. 杖などの必要物資の発注は避難所に保管している救援. たが,避難所の生活スペースは不十分であり,多くの避. 物資や保健師が保有する行政からの配布対象福祉用具リ. 難者が廊下や屋外の軒下で生活せざるを得ない状況で. ストをもとに保健師に依頼し,概ね翌日には物資を避難. あった(図 1) 。また,日中も横になって寝ている高齢. 者に提供することができた。あわせて,段ボールベッド,. 者が多く,活動性低下に伴う生活不活発病のリスクが高. マットレス,立ち上がりのための簡易手すり(図 4) ,段. まっていた(図 2)。. 差が生じた避難所の入り口の簡易スロープ(図 5)といっ た大きな福祉用具は,熊本県庁に駐在する JRAT 調整本.
(3) 災害時リハビリテーション支援活動の課題. 269. 表 1 応急修復期(平成 28 年熊本地震)での支援活動タイムスケジュール 4 月 26 日. 4 月 27 日. 4 月 28 日. 4 月 29 日. 会議①. 会議①. 会議①. 益城町へ移動. 益城町へ移動. 益城町へ移動. 8:30. 会議②. 会議②. 会議②. 9:00. 会議③. 会議③ 活動①. 会議③. 会議⑤. 会議⑤. 活動③. 活動①②. 6:30 7:00 7:30 8:00. 9:30 10:00 10:30. 活動①②. 11:00 11:30 12:00. 熊本着. 12:30. 開始時オリエンテー ション 会議①. 13:00. 会議⑤. 会議⑤. 13:30 14:00 14:30. 活動③. 15:00 15:30. 後続者へ引継ぎ 活動①. 益城町へ移動. 16:00. 前任者から引継ぎ 活動①. 16:30. 会議③. 17:00. 活動③. 帰阪 会議③. 会議③. 会議⑤. 活動③. 17:30 18:00. 活動本部へ移動. 活動本部へ移動. 会議⑤. 会議④. 会議④. 避難所候補施設 の評価. 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30. 活動本部へ移動 会議① 資料作成. 会議① 資料作成. 22:00 22:30 活動① 避難者評価,ADL 指導 活動② 避難所環境調整 活動③ 避難者の生活活動調査. 会議① 資料作成 会議① 大阪 JRAT 会議 会議② 医療班会議 会議③ 保健師会議 会議④ JRAT 活動本部会議 会議⑤ 熊本県庁,DMAT との合同会議. 部を通じて,現地の福祉用具会社へ依頼し,取り寄せて. した生活であり,かつ自立した生活が送られるように,. 設置した。なかには取り寄せに時間がかかる物品もあっ. 避難要援護者の移動能力や日常生活動作(以下,ADL) ,. たので,後続のチームへ申し送ることにより,継続した. 家族による介護度を考慮した活動レベルの調査を,より. 活動を行うことができた。福祉用具の依頼方法や関係団. 詳細に行うなど PT としての役割は増えていった。. 体との連絡手段は具体的に明示されていなかったため, 現地活動マニュアルに追記して後続チームが円滑に活動 できるようにした。さらに,熊本県と益城町合同の避難. 2.復旧期(東日本大震災) 【活動場所の状況】. 所支援チームから二次避難所への移動のための避難者の. 岩手県陸前高田市は当時 24,246 人の市民のうち,死. 生活活動状況の個別調査を依頼された。そのため,安心. 4) 者が 1,757 人(約 7%) ,住民の半数以上が避難生活を.
(4) 270. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. 図 3 平成 28 年熊本地震で使用した評価票 JRAT で実際に使用したものを一部改変.. 図 4 福祉用具の配備①(発災後 2 週間の熊本県益城町) 段ボールベッド,マットレス,立ち上がり用の柵.. 図 5 福祉用具の配備②(発災後 2 週間の熊本県益城町) 避難所の入り口にスロープを設置..
(5) 災害時リハビリテーション支援活動の課題. 271. 強いられるという甚大な被害を受けた。発災 1 ヵ月以上. 前任 PT から 2 時間程の引き継ぎを受けた後,要援護者. 経っていたが,同市の最大の避難所である高田第一中学. 情報用紙と保健師からの情報を頼りに避難所での支援活. 校でも上下水道は未だ復旧しておらず,手洗い用に消毒. 動を開始し,5 日間の活動を行った(表 2) 。積極的に動. 用アルコールが設置されているだけであった。また,仮. かないために ADL 能力が低下した避難者には運動指導. 設トイレも屋外の和式トイレのみであり,拭き取りに使. と動作訓練を行い,必要に応じて救援物資として避難所. 用した紙も流すことができず,衛生状態はきわめて不良. に保管してあった杖などを,避難所を管轄する保健師の. であった。中学校内の避難所は狭く,避難者と支援者で. 許可を得て,その日のうちに支給と調整,使用方法の指. 混雑しており,不特定多数の人が出入りするなど,同一. 導を行った。不足する救援物資の調査依頼が岩手県理学. 空間・同一時間に多くの人々が生活しているにもかかわ. 療法士会からあったが,その時点では避難所の救援物資. らず,お互いの視線や会話を遮る間仕切りなどもなかっ. は充足していた。また,仮設住宅への入居がはじまって. た(図 6)。一方,一般の避難者とは別に,要介護と判. いたが,避難所から仮設住宅へといった度重なる生活環. 断された避難者を他の一室で受け入れていた。. 境の変化と慣れない環境による活動性低下や孤立が危惧. 【PT としての活動】. されたので,仮設住宅へ入居した避難者への訪問も行. 高田第一中学校内の教室に PT2 名が協力する保健師. い,新しい住宅団地内のコミュニティ再構成と孤立対策. チームの活動拠点が置かれた。支援初日に岩手県理学療. のために集団体操を行った。さらに,再開が確認できた. 法士会から組織図,連絡手段,国際生活機能分類(ICF). 通所施設などの地域での既存のリハビリテーションサー. に準じた活動指針が記載されたマニュアルが支給され,. ビスの利用も勧めたが,筆者の活動期間中にはそれらの 利用はなく,後続の PT と保健師に申し送った。介入し た避難者は 1 日 6 名程度と,PT2 名で十分対応できたが, 活動を終了した 5 月 1 日の時点での同市の全避難者は 15,804 人. 5). であり,リハビリテーション支援の対象と. なる避難者が,実際にはもっと多かった可能性は否定で きない。対象者のほとんどは活動量が低下し,生活不活 発の状態であったが,被災前に骨折して,松葉杖を処方 されたものの使用方法がわからないということで対応し た事例もあった。 3.復興期(東日本大震災) 【活動場所の状況】 宮城県石巻市は地震と津波により死者は 4,000 名近く 図 6 東日本大震災での避難所の様子(発災後 1 ヵ月半の岩 手県陸前高田市) 狭い空間で間仕切りがなく,プライバシーが守れない.. にも及び,破壊された住家は 5 万棟以上と非常に多くの 被害を受けた. 6). 。しかし,東日本大震災発災半年後の街. 並みは,瓦礫の山がまだ残っているもののスーパーマー. 表 2 復旧期(東日本大震災 岩手県陸前高田市)での支援活動タイムスケジュール 4 月 27 日 8:00. 4 月 28 日. 4 月 29 日. 4 月 30 日. 5月1日. 連絡②. 連絡②. 連絡②. 連絡②. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 保健師と情報交換. 保健師と情報交換. 保健師と情報交換. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 避難所巡回避難者 評価・ADL 指導. 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00. 陸前高田市着 前任者から引継ぎ. 14:00 15:00. 連絡①. 連絡①. 連絡①. 連絡①. 16:00. 会議①. 会議①. 会議①. 会議①. 17:00. 会議②. 会議②. 会議②. 会議②. 会議① 要介護者避難室の会議 会議② 保健師会議. 連絡① 理学療法士協会への活動報告 連絡② 代表保健師への活動計画報告. 後続者へ引継ぎ 帰阪.
(6) 272. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. ケットなどの商業施設は通常通りに営業しており,一見. ADL 指導や生活不活発病の予防のための運動指導など. すると平常の生活が営まれているようだった。仮設住宅. を行った(図 7,表 3)。. は世帯ごとに区分されており,風呂,トイレ,空調設備. 考 察. も完備されて,スロープや手すりなどの安全面にも配慮 されていた。ただし,仮設住宅は震災前の居住地とは離. 阪神淡路大震災の教訓から,災害派遣医療チーム. れた場所に建てられ,交友関係のある他の被災者と同じ. (Disaster Medical Assistance Team:DMAT)が整備. 仮設住宅団地に入居できた被災者は 20%だったという. され,発災直後から組織的な医療支援が行われるように. 7). もあり,入居後に慣れない環境と新しいコミュ. なったが,東日本大震災では,長期の避難生活による震. ニティの中で行き場を失い孤立しているケースが多かっ. 災関連死の予防や生活不活発病に対して十分な対策をと. た。また,在宅避難世帯のなかで,実際には約 3,000 世. ることができなかったという課題が残った。リハビリ. 帯に医療や福祉,精神的なケアや生活支援が必要だった. テーション医療関連団体も 10 団体が共同して活動を. 報告. との報告. 8). もあり,支援が必要なのは仮設住宅世帯だ. けではなかったことが明らかになった。. 行った. 1). が,早期から支援チームを派遣ができず,活. 動地域も限定的であった。そこで発災早期から組織的な. 【PT としての活動】. リハビリテーション支援を行うための平時からの体制づ. 発災後半年が経過していたが,現地のリハビリテー. くりと人材育成を目的に,東日本震災時に共同して活動. ション関連専門職だけでは足りず,被災地外からの支援. したリハビリテーション医療関連の 10 団体は平成 25 年. が必要であった。具体的には,地域包括支援センターに. に JRAT と名称を変更のうえ,組織改編を行い. て,長期滞在型支援 PT 1 名と短期滞在型支援 PT 複数. 成 27 年関東・東北豪雨や平成 28 年熊本地震では,発災. 名で構成するチームが,保健師や介護支援専門員からの. 直後から支援活動を行った(表 4)。. 依頼を受けて自宅や仮設住宅や施設を訪問し,要援護者. まず,被災混乱期・応急修復期では避難所内は混沌と. 情報用紙をもとに健康状態のチェックを行ったうえで,. しており,人が密集した劣悪な環境で避難者が生活して. 2). ,平. 9) いることが想定され,避難所の環境整備が重要である 。. この場合,限られた広さの避難所,物資供給の遅れや電 気・水道などといったライフライン破綻など,様々な問 題が日々発生しながらも,難民支援時の国際基準である スフィア基準. 10). を参考に居住スペースの面積やトイレ. の個数などを決め,高齢者や障がい者なども安全に生活 できるような避難所環境を整備していくのが PT の役割 と考える。坪田ら. 11). は東日本大震災後の被災混乱期・. 応急修復期に PT は必要ないと判断し,災害後早期から の被災地支援に関与していなかったため,いざ,PT が 必要となったときに適切な支援ができず,初動の遅れが 後の活動にも影響したと述べている。現状では災害時の リハビリテーション支援活動の歴史が浅く,専門的な知 図 7 東日本大震災後の仮設住宅での動作指導(発災後半 年の宮城県石巻市). 識と経験を有した人材が少ない. 12). こともその原因と考. える。そこで,避難所運営をシミュレーションするため. 表 3 復興期(東日本大震災 宮城県石巻市)での支援活動タイムスケジュール 10 月 31 日 9:00 10:00 11:00. 11 月 1 日. 11 月 2 日. 11 月 3 日. 11 月 4 日. 11 月 5 日. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 宮城着 オリエンテーション. 12:00 13:00. 後続者へ引継ぎ. 14:00. 個別訪問 運動・ADL 指導. 15:00. 集団体操指導(施設). 16:00. 会議・カルテ記載. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 個別訪問 運動・ADL 指導. 集団体操指導(施設) 会議・カルテ記載 会議・カルテ記載. 会議・カルテ記載. 会議・カルテ記載. 帰阪.
(7) 災害時リハビリテーション支援活動の課題. 273. 表 4 大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)年表 平成 7 年 1 月 17 日. 阪神淡路大震災. 平成 17 年. 災害派遣医療チーム(DMAT)発足. 平成 23 年 3 月 11 日. 東日本大震災 東日本大震災リハビリテーション支援関連 10 団体が活動. 平成 24 年. 大規模災害リハビリテーション対応マニュアル発刊. 平成 25 年. 大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)発足. 平成 27 年. 関東・東北豪雨 JRAT が活動. 平成 28 年. 熊本地震 JRAT が活動. に開発された避難所運営ゲーム(Hinanzyo Unei Game: 13). HUG). や災害支援や人道支援の基本的な心構え. 10). ,. サイコロジカルファーストエイドと呼ばれる精神保健・ 14). る. 17). 。そのためにも,平時からの地域リハビリテーショ. ンの充実とリハビリテーション関連専門職の災害支援へ の関与が望まれる。. などを事前に学習する機会. これまでの 3 回の支援活動を通じて,大災害時にはリ. を平時から設け,いざという場合に発災後早期から活動. ハビリテーション支援が長期に及び,また,発災後の時. できる人材を育成しておくことを提案する。次に,復旧. 期に応じて必要とされる事項が変化していくことを体験. 期は避難所が集約され仮設住宅への移動がはじまる時期. した。そして,変わるフェーズに応じて PT に求められ. であり,長期化する避難生活により避難者は心身とも疲. る能力や役割は数多くあることがわかった。身体機能の. 弊し,既存疾患の悪化,感染症やストレス関連疾患の発. 評価やその障害に対応する PT の専門性は,発災直後の. 症などの問題が生じてくる。東日本大震災での災害関連. 環境や個人の状況変化によって起こる生活不活発病の対. 死でもっとも多い死因は,避難生活での身体・精神的ス. 策に発揮される。また,PT は復旧期から復興期にかけ. 心理社会的支援の心構え. トレスであったと内閣府が報告している. 15). 。さらに,. ても孤立対策のためのコミュニティ構築などの場面で,. 復旧の遅れや補償問題,救援内容の格差など被災混乱. 活動と参加を評価,支援できるため,あらゆるフェーズ. 期・応急修復期とは異なった問題が浮かび上がる時期で. での災害支援活動に貢献できる人材であるといえる。し. もあり,被災地は未だ安定していないので支援のあり方. かし,そのような能力を備えた人材はまだ少ないので,. も長期化,複雑化してくる。そのため,支援組織の体制. 今後は災害時リハビリテーション支援の必要性の啓発と. を含め,支援活動全体をマネージメントしながら,発生. フェーズに応じた支援活動ができるリハビリテーション. した問題をひとつずつ解決して被災地の安定化に寄与す. 関連専門職の育成が必要である. ることが必要である。平成 28 年熊本地震では JRAT が その役割を担い,発災直後から 3 ヵ月にわたり全国から の支援と熊本現地での受援を JRAT 東京本部が調整し た. 16). 。個人の限定的なボランティア活動とは異なり,. 12). 。. 結 論 1.東日本大震災と平成 28 年熊本地震の 3 つの異なる フェーズのリハビリテーション支援活動に PT として参. 組織的で継続性があり,他団体との連携も行われ,活動. 加した。. 内容がより明確になっていた。ただし,東日本大震災の. 2.応急修復期での避難者の生活環境の改善と生活不活. ような大規模災害となると,より多くのリハビリテー. 発病予防,復旧期での複雑化する問題へ柔軟な対応,復. ション支援が必要となるので,今後の JRAT の規模拡大. 興期での地域住民が自ら支えあうための支援など,災害. と組織の充実は喫緊の課題である。そして,復興期では. フェーズに応じた PT の果たすべき役割は非常に多いこ. 仮設住宅や自宅での生活となるが,環境が常に変化する. とがわかった。. ため実施された支援が適切かどうかを再評価して必要に. 3.今後の課題は,より多くの災害時リハビリテーショ. 応じて修正していくことが大切である。まず,外部から. ン支援活動ができる PT の育成,JRAT の規模拡大と組. の多職種が共同で現地でのリハビリテーション供給体制. 織の充実,復興期における支援終了後の受け皿としての. を整え,コミュニティの再構築を推進して孤立への対策. 平時からの地域リハビリテーションの充実とリハビリ. や住民が自ら支えあうための仕組みづくりを行う。最終. テーション関連専門職などの災害時リハビリテーション. 的に,現地の医療・福祉・介護スタッフとともに地域の. 支援への関与などである。. リハビリテーション資源に移行させることがゴールであ.
(8) 274. 理学療法学 第 46 巻第 4 号. 利益相反 申告すべき利益相反はない。 謝辞:本研究(活動)に対して,ご協力いただきました 皆様,ならびに,現地にてご指導くださいました日本理 学療法士協会関係の皆様,JRAT 関係の皆様,さらに派 遣に際してご支援いただきました第一東和会病院の皆様 に深く感謝いたします。 文 献 1)東日本大震災リハビリテーション支援関連 10 団体『大規 模災害リハビリテーション対応マニュアル』作成ワーキン ググループ編:大規模災害リハビリテーション対応マニュ アル.医歯薬出版,東京,2012,pp. 5‒29. 2)冨岡正雄,佐浦隆一:災害時こそチーム医療が機能する― ひろがった専門家の連携の輪 リハビリテーション専門職 の活動,多職種で支える災害医療 身に受けるべき知識・ スキル・対応力.小井土雄一,石井美和子(編) ,医学書院, 東京,2017,pp. 20‒23. 3)前原潤一:2016 年熊本地震後の肺血栓塞栓症例について. 血栓止血誌.2017; 28: 675‒682. 4)陸前高田市ホームページ 陸前高田市の被害状況.http:// www.city.rikuzentakata.iwate.jp/shinsai/oshirase/hazard1. pdf(2017 年 8 月 1 日引用) 5)いわて防災ポータル 平成 23 年 5 月 1 日 17:00 現在の避 難場所一覧.http://www2.pref.iwate.jp/~bousai/taioujouk you/201105011700hinanbasyo.pdf(2018 年 11 月 11 日引用) 6)石巻市ホームページ 東日本大震災 石巻市のあゆみ. http://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10151000/1501/2431.pdf(2018 年 5 月 2 日引用). 7)中島正裕,川副早央里,他:宮城県石巻市における仮設 住宅団地の生活実態─東日本大震災発生から 1 年半後の コミュニティに着目して─.農村計画学会誌.2015; 34: 167‒176. 8)武藤真祐:宮城県石巻市における在宅避難世帯の訪問調査 と支援活動.学術の動向.2013; 10: 72‒76.http://www. jrat.jp/images/PDF/pdf_20171106.pdf(2018 年 2 月 20 日 引用) 9)藤本侑大,戸松好恵,他:平成 29 年熊本地震における大 阪 JRAT 第 5 次隊の活動報告―亜急性期のリハビリテー ション支援活動について―.大阪作業療法ジャーナル. 2018; 31: 99‒102. 10)The Sphere Project(編) ,難民支援協会(訳) :スフィア・ プロジェクト 人道憲章と人道対応に関する最低基準. 2011. 11)坪田朋子,黒木 薫,他:職能団体としての組織的な理 学 療 法・ 士 の 災 害 支 援 活 動.PT ジ ャ ー ナ ル.2012; 46: 215‒219. 12)冨岡正雄,佐浦隆一,他:リハビリテーション関連職への 災害支援活動に対する教育システム─大阪での取り組み. 地域リハ.2015; 10: 112‒116. 13)林 繁久:避難所運営をゲームで学ぶ―静岡県で開発され た HUG の普及啓発の取り組み.保健師ジャーナル.2012; 68: 874‒879. 14)原田奈穂子:WHO 版サイコロジカルファーストエイド研 修の取り組みと評価.日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2015; 38: 170‒175. 15)復興庁:東日本大震災における震災関連死に関する報告. http://www.reconstruction.go.jp/topics/3-2_siryou1.pdf (2018 年 4 月 30 日引用) 16)熊本地震災害リハビリテーション支援活動報告書:大規 模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT), 平成 29 年 3 月. 17)田代桂一:熊本地震における災害リハビリテーション支援 ―発災から復興へ.臨床リハ.2017; 26: 49‒55..
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