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〈新刊紹介〉『不屈の棋士』大川慎太郎著『イギリスはいかにして持ち家社会となったか:住宅政策の社会学』スチュアート・ロー 著

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Academic year: 2021

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彦根論叢 Autumn / Sep. 2018 / No.417 136

新刊紹介

過去約2年間に発行された書籍の中から時事的で 話題性があり内容豊かなものを会員のご要望に応 えながら編集委員会が選択して紹介いたします。

『不屈の棋士』

大川慎太郎 著|講談社、2016、318pp.

『イギリスはいかにして持ち家社会となったか

:住宅政策の社会学』

スチュアート・ロー著(祐成保志 訳)| ミネルヴァ書房、2017、336pp.  

1980

年代のいつだったか、デパートの店先にコン ピュータ将棋が置いてあり、小学生だった私が指す とひどい手を指して弱かった。  それから三十有余年、コンピュータ将棋は人間よ りも強くなってしまった。  本書はちょうど、このことをプロの将棋棋士を含め て人間側が認めなければならなくなった時に、トップ 棋士から若手棋士まで

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人の棋士に対して行われた インタビュー集である。  本書で興味深いのは、自らの存在に直結する問題 として、利害関係の当事者として、棋士たちが深刻に 真剣にインタビューに答えていることである。彼らの 直面している事態は、他人事ではない。

AI

導入によ る人員削減や店舗削減が、メガバンクによって発表 されたことは記憶に新しい。学生の皆さんは卒業後 の自らの存在を、教員や職員は将来の自らの存在を 想像してみるといい。  様々なことを考えさせられると同時に、将棋界は、 私たちにとって利害関係のない他人事でもある。気 楽に読みながら考えさせられることの多い本書は、 将棋に関心のない人にも興味深く読むことができる。 なお本書の出版後、将棋界は現在、空前の将棋ブー ムに沸き返っている。   評/『彦根論叢』編集委員/鍋倉聰  本書は、ハウジングを社会政策の中に位置づけ、 国際比較の観点を取り入れながら英国の住宅政策 の歴史と現在を描き出した一冊である。  単に英国の住宅政策を取り上げるだけでなく、福 祉国家の変容を捉えその未来を構想する上で、ハウ ジングを理解することがいかに重要かを説いている。  本書は英国のハウジングの歴史を遡ることから始 め、かつては同じ住宅問題に直面していたドイツと

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世紀末に分岐が起こったこと、英国では世界大戦 の戦間期に既に持ち家社会が発達していたこと等を、 公営住宅の興亡とともに明らかにする。  さらに住宅を社会権として捉え持ち家が優勢でな いドイツ等との違いを明らかにし、それとの比較の中 に英国の持ち家社会の特性を示す。その上で本書 は、ハウジングがグローバル資本と直接結びつくこと で一層重要になっていることを示し、アセットベース 型福祉国家について論じている。  ハウジングについて幅広い視点とともに歴史を踏 まえて厚く論じている本書は、一方で社会政策や住 宅政策の研究者や関係者から、他方で単に公営住 宅を見て喜んでいる団地マニアまで、意義深く読める 一冊である。   評/『彦根論叢』編集委員/鍋倉聰

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