62 (14) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ノウ ミ ノブ コ伸子(昭和28
医学博士 乙第828号昭和62年7月10日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 心血管系病変を伴うマルファン症候群の自然歴と手術予後 一臨床・病理学的検討一 (主査)教授 広沢弘七郎(副査)教授高尾篤良,教授平山峻
論 文 内 容 の 要 旨
目的 僧帽弁逆流の増悪または心不全のため7例に僧帽弁置 マルファン症候群に合併してみられた心血管系病変 換歯(平均15歳),5例に僧帽弁置換とBentall術(平 の自然歴について手術例を含めて臨床病理学的に検討 均28歳)が施行されたが6例が死亡した.III群:AAE し病態の進展機序と手術適応時期を明らかにする. は多くの症例で乳幼児期より認められ,加齢とともに 方法 増大した.大動脈弁閉鎖不全の出現時期は大動脈起始過去21年間に心研綬漏しマルファン高高と診断 鰹が50mm轍,両性血脈瘤出現時期は60㎜
された134例(平均23±15歳,男85・女49例)を対象と 前後で年齢は20歳以後(平均34歳)であった.81例旧 した。自然生および手術予後について診断時の主要心 13例が自然経過中に死亡,死亡時平均年齢は37歳で 血管病変により下記の4群に分けて検討した.1群: あった.増悪する大動脈弁逆流,狭心痛,心不全,お 先天性心疾患合併8例,II群:僧帽弁逸脱症(MVP) よび解離性大動脈瘤出現のため,53例にAAE修復術 合併41例,III群:大動脈弁輪拡張症(AAE)合併81例, が施行されたが(平均34歳),圃19例が死亡した. IV群: IV群:AAE以外の嚢状動脈瘤,ないしは解離性大動 AAEを合併しない嚢状動脈瘤,ないし解離性大動脈 脈瘤4例. 瘤4例の自然歴,手術予後は不良であった. 大血管および冠状動脈の病変度分布については剖検 2.1)大血管中膜病変(嚢胞性変化,および弾性線 29例を対象とした,AAEの最大径とAAE中膜病変度 維の断裂・消失)は大動脈起始部で最も高度であり次 との関係については手術時生検または剖検例より採取 いで腹部・肺動脈に中等度認めた.2)冠状動脈中膜に した44例について検討した.解離性大動脈瘤の発生機 も嚢胞性変化を認め冠状勤脈入口部に近い程高度で 序に関しては解離発生部位を確認できFた11例を対象と あった.3)AAEの最大横径と大動脈中膜病変との間 した. に嚢胞性変化でr=0,79,弾性線維の断裂・消失でr= 結果及び考察 0.83の正の相関を認めた.4)AAEに合併してみられ 1.1群:先天性心疾患合併8例の自然歴および手 る解離発生部位は中膜病変が軽度でより高度に障害さ 術予後は良好であった.II群:MVPは乳幼児期より れた部位との境界部に近いところで発生し易いことを 増悪することが多く,41例の自然経過中僧帽弁腱索断 確認した. 裂を4例に,感染性心内膜炎を3例に認めた.心不全 結語 出現時の平均年齢は19歳であり,3例が平均22歳で死 マルファン症候群にみられる僧帽弁逸脱症で閉鎖不 亡した,10年以上自然経過を観察し得た22例中,AAE 全を明らかに認める場合には,僧帽弁腱索断裂,心不 の増大を12例に,大動脈弁逆流の出現を8例に認めた. 全が起こる前の20歳前後に,大動脈弁輪拡張症では大 726一63 動脈弁輪径が50mmを越えて,心不全,大動脈解離が 生じるのを防ぐため,また病理組織学的にも中膜病変 が高度に進展しないうちに手術を施行することが,長 期予後を改善する上で重要である,
論 文 審 査 の 要 旨
循環器病学の側から見て,Marfan症候群は頻度の多いものではないが,かなり多彩な障害を起こ
し,生命予後の悪い疾患である.本邦におけ’るその自然歴は,一施設で多数を集めて調べるというわ けにいかない実情のために詳しくは分っていない. 本研究は21年間134例という多数例につき臨床と病理の両面より調査し,その自然歴,なかんずく生 命予後と手術適応の決定に至るまで事実と意見とを述べたもので,臨床循環器病学的に価値高ぎもの である. 主論文公表誌 心血管系病変を伴うマルファン症候群の自然歴と手 術予後 一臨床・病理学的検討一 脈管学 第27巻 第4号 263~292頁 (昭和62年4月25日発行) 副論文公表誌 1)マルファン症候群の重症度と予後 一品に非手術例と手術例を比較検討して 東女医大誌 55(6)490~495(1985)2)Annulo aortic ectasiaを伴うマルファン症候 群の自然歴一臨床・病理学的検討一 脈管学 25(8)597~603(1985) 3)マルファン症候群の重症度と予後 一目に手術施行例65例の検討 脈管学 25(12)1315~1321(1985) 4)Marfan症候群にみられた解離性大動脈瘤の臨 床・病理学的検討 ’心・臓 19 (3) 313~322 (1987) 5)僧帽弁逸脱で発見され,感染性心内膜炎に罹患 後,Bentall法と僧帽弁置換術を同時に施行 し,順調に経過し得たMarfan症候群の1例 ・[〉粗服 18 (10) 1218~1224 (1986) 6)甲状腺疾患における高比重リボ蛋白コレステ ロールの検討 動脈硬化 11(2)305~310(1983) 7)陳旧性心筋梗塞患者における血清HDL亜分画