206 (86) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
カ トウ タツ ヤ加藤辰也(昭和27
医学博士 乙第900.号昭和63年2月19日
学位規剥第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 虚血心筋における心筋マグネシウム含量の変化とその意義について (主査)教授 広沢弘七郎 (副査)教授 降矢 榮,教授 福山 幸夫論文 内 容 の 要 旨
目 的 近年,循環器疾患,とりわけ虚血性心疾患と心筋マ グネシウム(Mg)量との関連が注目されている.しか しながら心筋虚血時のMg量の経時的変化や,再灌流 が心筋Mg量に及ぼす影響については,今日なお,か ならずしも明確ではない.そこで,雑種成犬を用い, 冠動脈閉塞例・再灌流例で実験的に,心筋虚血が心筋 Mg量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし た. 対象および方法 体重9~16kgの雑種成犬40頭を使用した.レントゲ ン透視下にフォガティー・バルーンカテーテルを左前 下行枝第一対角枝部に挿入した.実験は以下の3群で 行なった.1群:冠動脈閉塞実験(16頭),II群:再灌 流実験(14頭),III群:MgSO4投与実験(10頭).1群 では心電図記録下に前下行枝を15,30,60,120分間閉 塞し,II群では上記時間後,更に15分再灌流し屠殺後, 心摘出を行なった.心筋Mg量は虚血領域,及び非虚 血領域より試料を得,乾式灰化後,原子吸光計を用い て測定した.また光顕にて組織所見を検討した.III群 では60分冠動脈閉塞を行ない,その間MgSO、を持続 注入し,組織所見に及ぼす影響を検討した, 結果 1)非虚血部心筋のMg量は109.2±1.2mic. g/100mg dry weightであった.冠動脈閉塞30分までは心筋Mg 量は対照と有意の変化はなく,60分で!05.1±1.4mic。 g/100mgと有意に減少した(p<0.05).再灌流をした 例では,30分閉塞でも99.8±2.3mic. g/100mgと対照 に比し有意に減少した(p<0。01). 2)対照の非虚血部心筋Mg量は心内膜側,心外膜 側との間で有意差はなかった.虚血心筋の心内膜側, 心外膜側心筋のMg量も冠動脈閉塞後60分以降,経時 的に減少したが,両者間に有意差はなかった. 3)心電図上,ST上昇の程度と心筋Mg量を対比す ると,ST上昇が二郎なものほど心筋Mg量は低値を 示した. 4)光顕像から,MgSO4の静注が及ぼす影響を検討 したが,冠動脈閉塞例でも,再訴流例でも,MgSO、投 与例,非投与例の間に差を認めなかった.再灌流をし た例でも3例中2例にcontraction bandの形成を認 め,MgSO4投与は再灌流による心筋細胞障害を抑捌出 来なかった. 結論 1)心筋Mg量は,冠動脈閉塞後60分以降有意に減 少し,再灌流例では30分閉塞でも有意に減少していた. 2)冠動脈閉塞による心筋Mg量の減少は,心電図 上ST上昇の著明なものほど有意に低値であった. 3)MgSO、投与例の組織像は光顕上, Mg非投与例 と明らかな差はなく,またMg投与によっても再灌流 障害を完全には抑制できなかった。 一870一207