170 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(72) サ サ キ アツ コ佐々木淳子(昭和3
博士(医学) 乙第1236号平成3年12月20日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Impression cytologyによるアデノウイルス角結膜炎の迅速診断 (主査)教授 内田 幸男 (副査)教授 内山 竹彦,武田 佳彦論 文 内 容 の 要 旨
目的、 アデノウイルス角結膜炎の病因的迅速診断は感染防 止のため重要であるが簡易に行える方法が望まれる. 著者は,impression cytologyを応用したウイルス抗 原検出法が,本症の迅速診断法として有用であるか否 かを検討した. 対象および方法 臨床的にウイルス性角膜結膜炎が疑われた急性濾胞 性結膜炎患者64例を対象とし,結膜からのウイルス分 離と,impression cytologyによるアデノウイルス抗原 の検出を行った. 1)検体の採取:immunoblotting用のニトロセル ロール膜の小片を,球結膜または瞼結膜に載せ,軽く 圧迫して標本を採取した.2)染色:アデノウイルス抗原検出にはPAP法
(peroxidase-antiperoxidase)による酵素抗体染色を 行った.一次抗体には群特異性のマウス抗アデノウイ ルス抗体を用いた. 3)ウイルス分離:結膜拭い液をMK細胞, HEL細 胞に接種し,分離同定を行った. 4)培養細胞コントロールの作製:単層培養したヒ ト咽頭類上皮癌由来細胞にアデノウイルス37型を接種 し,変性出現後,ニトロセルロース膜上に感染細胞を 採取した.ウイルスを接種しない培養細胞を対照とし た. 結語ならびに考察 1)PAP法による染色の結果:ウイルスを接種した 培養細胞中に,赤褐色の抗原陽性の所見が認められた. 非接種培養細胞では,陰性であった.臨床検体では一 層または二,三層に結膜上皮細胞が散在性に採取され, 抗原陽性細胞は核も細胞質もともに染色され,変性が 進み輪郭が不明瞭のものが多かった. 2)PAP法と分離培養との比較:アデノウイルスは 64例中35例に分離され,PAP法では25例が陽性であ り,分離培養陰性の29例中,PAP法陰性は28例で,そ れぞれ陽性一致率は69%で陰性一致率は97%であっ た. 3)アデノウイルス血清型別抗原検出率:アデノウ イルス分離陽性の35例について,血清型別検出率は, 高い方から37型,8型,4型,3型の順で,それぞれ 100%,91%,75%,33%であった.3型の検出率が全 体の感度の低下に強く影響していた. 4)病日別の抗原検出状況:PAP法陽性例は第2病 日から第15病日の間に分布していた.従って急性期を すぎた症例の病因診断にも有用と考えられた. 5)検体採取の部位別陽性率の検討:球結腸の陽性 率は90%,瞼結膜は60%であり,検体採取の部位とし ては球結膜がより適していた. 結語 本法は特異性が高く,検体採取から光顕による判定 まで約90分と短時聞で完了する.簡便であり,アデノ ウイルス結膜炎の迅速診断に有用と考えた. 一774171