†障害児教育専攻 障害児教育専修 指導教員:白石惠理子
原 著 論 文
保育者からみた「気になる子ども」についての調査研究
岡
村
裕
子
†Surveillance Study on “Anxious Children” seen from
Child Care Workers
Yuko OKAMURA
キーワード:気になる子ども,アンケート,保育者 1.問題と目的 「気になる子ども」の保育において,悩みや 問題を抱えている保育者も多いが,保育者の 「気になる子ども」としてみる視点や捉え方は 多様である。 「気になる子ども」の行動特徴についての先 行研究は多数存在する。 本郷・澤江・鈴木他 (2003)1),本郷・飯島・ 平川他 (2005)2),飯島・本郷・杉村他 (2007)3) は,子どもに関する姿に関するチェックリスト を用いて,保育者に 1 人の子どもの姿を思い浮 かべて回答してもらう方法をとったもので ある。チェック項目の設定により,「気になる 子ども」の特徴的姿の数値化,データ化をお こなっている。また,田中 (2004)4) や無藤・ 神長・柘植他 (2005)5) は「気になる子」,楠 (2005)6) は「気になる子ども」,別府 (2006)7) は「ちょっと気になる子ども」という言葉を用 いて,各々が関わった子どもの実態や行った対 応・支援の内容をまとめている。これらは,保 育実践のもとでの,子どもの特徴的な姿を示し ているものである。 「気 に な る 子 ど も 」の 実 態 と 保 育 者 が も つ「子どもの気になる点」に着目したものと し て は,池 田・郷 間・川 崎・山 崎・武 藤 他 (2007)8),丸 山 (2008)9),久 保 山・斎 藤・西 牧・當島・藤井・滝川 (2009)10) などがある。 そこでは,保育所・園での 0 歳児から 5 歳児ま でのクラス別の「気になる子ども」の数が明ら かにされているとともに,保育者がどのような 「気になる」視点をもっているか,感じている かの実態をあきらかにしている。保育者の経験 年数,勤務形態など,保育者の属性による違い も示されている。クラス別の違いに着目した久 保山らの調査では,担当するクラス別の「気に なる視点」の違いも示されている。 先行調査で明らかにされた点を踏まえ,再度, 保育者一人ひとりがもつ「気になる子ども」の 尺度や視点を示すもの,0 歳児から 5 歳児クラ スそれぞれの担任保育者の「視点」の違い,ま た,担任保育者以外の視点について調査し,保 育者がイメージする「気になる子ども」の姿が どのようなものであるか,担当する子どもの年 齢によって見方・捉え方の違いがあるのか,0 歳児から 5 歳児までの「気になる子ども」とは どのような子どもかを明らかにしたいと考えた。 また,保育を難しくさせている要因,保育者が 抱える問題は一体何かという点も考察したいと 思い,保育者へアンケート (「保育者からみた『気になる子ども』の捉え方に関する調査」) を 実施した。 本研究では,保育者一人ひとりの回答をもと に,0 歳児から 5 歳児クラスそれぞれの「気に なる子ども」の特徴的な姿について,全クラス に共通する「気になる子ども」の姿についてま とめていく。また,今回の調査では保育上の課 題や保育者が抱える問題や保育者の相談体制の 状況とそれに対しての満足度についても調査し ている。この結果をもとに,「担当するクラス の年齢に関係なく保育者を悩ますことは何か」 「保育者を悩ます要因は何か」について考えて いく。 2.方 法 保育園の保育士へのアンケート ― 『保育者か らみた「気になる子ども」の捉え方に関する調 査』を実施する。 アンケート実施期間 2010 年 7 月中旬〜11 月中旬 実施園 大阪府 I 市内 3 園 S 市内 2 園 兵 庫県 A 市内 2 園 対 象 各保育園の正規・非正規・パート・ア ルバイトを問わず,全職員を対象にし た。 調査項目 Ⅰ 回答者の属性 ・年齢 ・性別 ・経験年数 ・勤務形態 ・障害児保育の経験の有無 ・担当クラスと子どもの数 ・クラス内の障害児・気になる子どもの有無 と子どもの数 Ⅱ「気になる子ども」について ・「気になる子ども」とは? ・「気になる子ども」の保育上の課題に関し て ・「気になる子ども」への対応・試みについ て (具体的な内容と検討の有無など) ・「気になる子ども」の保育においての問題・ 悩みについて Ⅲ 相談体制について ・保育上の悩みなどの相談相手の有無 3.結 果 全体で 139 部配布した。そのうち回収された のは 91 部で,回収率は 65% であった。 3-1.回答者の属性 属性に関する回答から,アンケート回答者全 体の男女の割合は,91 人の回答者のうち 82 人 (90%) が女性であった。 年齢に関しては,20 代が 48 人 (55%) と半 数を占め,次いで 30 代が 24 人 (27%),40 代 が 6 人で全体の 7 % と少なく,50 代が 10 人 (11%) であった。担任保育者の年齢は,20 代 が 47 人 (67%) と約 7 割をしめ,次いで 30 代 が 16 人 (23%) と約 2 割,40 代が 3 人,50 代 は 4 人と,全体の 5 % ほどであった。 役職別回答者の数は,69 人 (75%) がクラ ス担任であった。担任保育者以外の役職として, 給食の職員が 7 人 ( 8 %),園長,フリー保育 者が各 5 人 ( 5 %),主任が 2 人 ( 2 %),看護 師 が 2 人 ( 2 %),そ の 他 が 2 人 ( 2 %) で, 障害児の加配要員の位置づけの保育者の回答者 はいなかった。その他の回答に関しては,役職 が記述されておらず,不明である。 回答者全体の雇用形態は正規職員が 79%, 非正規が 21% であった。また,回答者のうち, 担任保育者だけを取りだしてみたところ同様に 78% が正規で,22% が非正規の職員であった。 今回のアンケートの配布に際して,職員全体 への配布を考えていたが,結果として,クラス に配属されている職員への配布という形になっ た。そのことにより,正規職員の回答者のほと んどが,常勤職員であり,午前だけ,午後だけ, 夕方 (延長保育) のみを担当する,パート・ア ルバイトの短時間勤務を行っている保育者の回 答は得られなかった。 クラス別の担任保育者の数は,1 歳児クラス の保育者が,18 人 (26%) と一番多い回答を 得 た。次 い で,0 歳 児 ク ラ ス は 17 人 (24%) で,2 歳児クラスは 15 人 (21%) であった。3 歳児と 4 歳児が 7 人 (10%) であり,5 歳児ク ラスの保育者の回答が 6 人 ( 9 %) と一番少な かった。今回の調査では,0 歳児から 5 歳児ま
での担任保育者から回答を得ることでき,0・1 歳児の保育者からの回答を多く得た結果となっ た。 3-2.年齢別の子どもの数と障害児の数 調査した 7 園の保育園の年齢別の子ども数と 障害児数を表 1 に示した。 全体で男児が 324 人,女児が 263 人で合計が 665 人 (性別がわからなかった 3 歳児から 5 歳 児の 78 人を含む) の子どもが在籍する。 うち,障害児は,0 歳児女児 1 人(1.0%),1 歳児男児 1 人(0.8%),2 歳児は 0 人,3 歳児男 児 1 人(1.0%),4 歳児男児 2 人(1.8%),5 歳児 男 児 1 人 (0.8%) で,全 体 で は,男 児 6 人, 女児 1 人の 7 人 (1.2%) であった。 障害児の在籍数は,クラス担任保育者でクラ ス責任者の回答をもとに計上している。クラス 責任者の回答がないクラスは,クラス責任者で はない保育者の回答を計上した。 障害児の割合が少ないのは,アンケートを依 頼したのが民間保育園であり,公立保育所と比 較すると少なく,その結果が表れたと考えられ る。 3-3.「気になる子ども」の数 各保育園の,クラス担任,園長,フリー保育 者,主任それぞれの回答より得られた,0 歳児 から 5 歳児までの「気になる子ども」の数とそ のクラス内での割合を表 2 に示した。*各保育 園別の表を 2-①から⑦で示す。 まず,「気になる子ども」の数の男女比にお いて,ほとんどの保育者が男児をあげており, 「気になる姿」は男児に多くみられていること がわかった。 子どもの年齢別の数をみると,「気になる子 ども」はどの保育園も 0 歳児の段階から存在し, 乳児期から,何らかの問題・課題をもつ子ども が存在することが読みとれる。 しかし,保育者があげる「気になる子ども」 の数は,どの保育園においても保育者間で異な る結果を示していた。 表 2 に示した通り,保育者一人ひとりが見て いる,あるいは関わっているクラスにおいて, ほとんどの子どもが「気になる子ども」である としている保育者と,クラス内の数人の子ども が「気になる子」であるとしている保育者,ク ラスには「気になる子ども」はいないとする保 育者といった,「気になる子ども」の数の違い があること.また,クラス内に「気になる子ど も」数は 1 人と回答していていたとしても,一 方は男児 1 人とし,もう一方は女児 1 人として いるといった,性別の違いが見られ,同じ子ど もを「気になる子ども」として見ているわけで はないという状況が読みとれる。 具体的にみると,A 保育園では,担任保育 者と園長との数の違いがみられ,B 保育園では, 0・1 歳児の担任保育者間で「気になる子ども」 の数が異なっている。C 保育園の園長の回答を みると,全クラスに「気になる子ども」がいる ということがわかるが,主任やフリー保育者が あげた数よりは少なかった。また,担任保育者 があげている数よりも少なかった。C 保育園の 全クラスを担当するフリー保育者の回答をみる と,園長と主任があげた数よりも明らかに多い 結果であり,2 歳児・3 歳児・5 歳児は,クラ スの 6 割が「気になる子ども」であるとあげて いる。この回答は担任保育者より多かった。 D 保育園では,0・1・2 歳児の担任保育者間 の違いがみられる。D 保育園の 0・1 歳児担当 フリー保育者の回答をみると,0 歳児に男女そ れぞれ,クラス全体において 3 割の子どもが 「気になる子ども」としてみていることがわか る。1 歳児担任保育者と一致する結果もあった が,それ以外の 0・1 歳児クラスの保育者が示 す数,男女は一致しなかった。共通認識として 同じ子どもを「気になる子ども」としている可 78 263 324 計 子ども数 障害児数 クラス 表 1 クラス別の子どもの数と障害児数 45 4 歳児 0.8% 1 0 1 113 26 36 51 5 歳児 1.0% 7 1 6 665 1.0% 2 0 2 111 26 38 47 3 歳児 1.8% 2 0 2 110 26 39 0 1 115 54 61 1 歳児 0 0 0 0 123 51 72 2 歳児 計 性別 不明 女児 男児 1.0% 1 1 0 93 45 48 0 歳児 0.8% 1 計 女児 男児
能性も考えられるが,保育者それぞれの見方の 違いもあきらかであった。E・F・G 保育園で は,園長と担任保育者との「気になる子ども」 のあげる数と違いがあったことより,「気にな る子ども」としてみている視点の違いがみられ る結果であった。 担任保育者らがあげている数と同じであった り,異なったりしていることから,園長と各ク ラス担任保育者との見方に違いがあり,必ずし も同じ子どもを「気になる子ども」としてみて いるわけではなく,それぞれの見方をもったう えで,保育を行っている状況が推察できる。 今回の調査において,「気になる子ども」の 数,性別の違いは,クラス責任者とそうでない 保育者との担任保育者間,クラス担任と園長, 園長と主任,フリーの保育者と担任との間で存 在していた。 このことから,保育者それぞれに,「気にな る子ども」が存在し,明らかに見方に違いがあ ることが考えられ,それぞれの見方の違いが 「気になる子ども」の数の大きな開きを生じさ せているのではないかと考えられる。しかし, 「気になる子ども」の数と性別が同じという, 園長と担任保育者,フリーの保育者と担任保育 者,担任保育者間で回答が一致している状況も みられた。これは,A 保育園の園長とフリー 保育者との間,F 保育園の 2 歳児クラスの回答, G 保育園の 0 歳児クラスの回答からも読みとれ る。数字だけで判断することでの不十分さはあ るものの,担任保育者同士,クラス担任とフ リーの保育者との間,園長と担任保育者との間, 園長と主任,フリー保育者との間で,同じ子ど もを「気になる子ども」として捉えている,共 通認識をもって保育にあっていることが推測で きる。 今回の調査では,A 保育園と C 保育園の 4・ 5 歳児クラスの担任保育者の回答では,「気に なる子ども」としてあげている数が多く,クラ ス内にみられる「気になる子ども」の割合も大 きかった。具体的にみていくと,A 保育園の 園長の回答では,0 歳児が 1 人,1 歳児は 2 人, 2 歳児は 4 人,3・4 歳児は 6 人で,5 歳児が 7 人と最も多くあげている結果から,子どもの年 齢があがるにつれて,「気になる子ども」の数 が増えていくという結果がみられた。C 保育園 の主任の回答をみると,3 歳児と 5 歳児に多く いると回答し,特に,5 歳児は,男児がクラス 内の 4 割,女児が全員を「気になる子ども」と してみている結果であった。 このことより,年齢が大きくになるにつれて 保育者が「気になる」姿も増え,「気になる子 ども」の数が増加していることも推測できる。 しかし,先行調査で明らかにされた「気になる 子ども」の数が,年齢とともに増加していると いう結果がどの保育園においてもみられるとい うことはなかった。 これは,「気になる子ども」として捉える見 方が保育者それぞれで明らかに違っていたため と考えられる。 調査するにあたり,筆者は,保育経験が長く なるにつれて子どもの姿や状態をみたり,接し ていく中での「気になる」点,「なぜ」「もしか したら障害があるのでは」とより強く感じ, 「気になる子ども」をより多くあげるのではな いかと考えていた。しかし,結果として,保育 経験年数が増えることによって,「気になる子 ども」としてみる子どもの数が増えているとい う結果ではなかった。 たしかに,1 年未満の保育経験では,「気に なる子どもはいない」と回答している保育者が 多いが,必ずしも保育年数が増えると「気にな る子ども」の数が増えるという,比例関係をみ せている結果ではなく,保育経験年数 1 年以上 の保育者については,保育経験の長さに関係な く,保育者の一人ひとりの子どもを見る意識の 違いによって,「気になる子ども」の数が変化 していることがわかった。 3-4.クラス担任保育者が思う「気になる子 ども」の特徴 今回の調査の項目Ⅱにあたる,「気になる子 ども」について,保育者それぞれに記述しても らった。その記述から,子どもの年齢別に特徴 的な姿を分類し,0 歳児から 5 歳児までのクラ ス担任各々が,どのような子どもを「気になる 子ども」とみているかの分析を行った。結果は 以下の通りである。 0 歳児 0 歳児において,身体の状態において,
身体が固い,あるいは,柔らかすぎることを 「気になる姿」としてみせている子どもをあげ ている保育者が多かった。対人面で気になる点 をあげる保育者も多く,「目のあいにくさ」や 「人見知り」がつよいかあるいはまったくみら れないことを気になる点として挙げていた。認 識面において,認識の弱さ,場面や状況の入り にくさがあることや,発達の遅れがあるのでは 16 (1) 正 20〜30 年 5 歳児 A 園長 6 (23.0%) 0 6 (40.0%) 正 10〜20 年 A15 担任責 3 (11.5%) 表 2-① A 保育園 表 2 保育者別「気になる子ども」の数 (1) A13 担任責 4 (16.0%) 0 4 (30.7%) 正 3〜5 年 A14 担任 7 (34.6%) 0 7 (46.6%) 27 (1) 11 26 (1) 12 14 (1) 正 20〜30 年 4 歳児 A 園長 7 (28.0%) 1 (8.3%) 6 (46.1%) 正 5〜10 年 1〜3 年 A11 担任責 3 (12.5%) 1 (7.1%) 2 (20.0%) 正 1〜3 年 A12 担任 6 (24.0%) 0 6 (46.1%) 2 (14.2%) 4 (40.0%) 25 (1) 14 11 (1) 正 20〜30 年 3 歳児 A 園長 5 (20.8%) 2 (14.2%) 3 (30.0%) 正 8 非 10〜20 年 A 9 担任責 1 (8.3%) 0 1 (12.5%) 正 1 年未満 A10 担任 6 (25.0%) 10〜20 年 B10 フリー A 7 担任責 2 (16.6%) 0 2 (28.5%) 正 1〜3 年 A 8 担任 2 (16.6%) 0 2 (25.0%) 12 4 1 (11.1%) 3 (27.2%) 20 9 11 正 5〜10 年 5 歳児 B13 担任責 4 (20.0%) 1 (11.1%) 3 (27.2%) 正 24 9 15 正 20〜30 年 2 歳児 A 園長 1 (8.3%) 0 1 (14.2%) 12 5 7 正 1〜3 年 9 正 5〜10 年 4 歳児 B12 担任責 3 (17.6%) 2 (25.0%) 1 (11.1%) 正 10〜20 年 B10 フリー 4 (20.0%) 1 年未満 A 6 担任 2 (10.0%) 0 2 (22.2%) A 3 フリー 4 (16.6%) 0 4 (26.6%) B11 担任責 4 (22.2%) 1 (12.5%) 3 (30.0%) 正 10〜20 年 B10 フリー 3 (17.6%) 2 (25.0%) 1 (11.1%) 17 8 0 2 (22.2%) 正 1〜3 年 A 5 担任責 2 (10.0%) 0 2 (22.2%) 正 正 10〜20 年 B10 フリー 4 (22.2%) 1 (12.5%) 3 (30.0%) 18 8 10 正 5〜10 年 3 歳児 9 正 20〜30 年 1 歳児 A 園長 5 (25.0%) 1 (9.0%) 4 (44.4%) 正 3〜5 年 A 4 担任 2 (10.0%) 3〜5 年 B 8 担任責 2 (10.5%) 0 2 (16.6%) 正 3〜5 年 B 9 担任 2 (10.5%) 0 2 (16.6%) A 2 担任 1 (6.6%) 0 1 (10.0%) 正 3〜5 年 A 3 フリー 2 (10.0%) 0 2 (22.2%) 20 11 0 2 (16.6%) 19 7 12 正 5〜10 年 2 歳児 B 7 担任 2 (10.5%) 男女の内訳 不明 正 正 10〜20 年 A 1 担任責 1 (6.6%) 0 1 (10.0%) 正 3〜5 年 非 1〜3 年 B 5 担任 3 (16.6%) 0 3 (37.5%) 正 3〜5 年 B 6 担任 2 (10.5%) 1 (6.6%) 0 1 (10.0%) 15 5 10 正 20〜30 年 0 歳児 A 園長 2 (13.3%) 1 (20.0%) 1 (10.0%) B 3 担任 3 (16.6%) 0 3 (37.5%) 18 10 8 正 3〜5 年 1 歳児 B 4 担任責 5 (27.7%) 1 (10.0%) 4 (50.0%) 気になる女児 人 (%) 気になる男児 人 (%) 在籍数 (障害児の数) 雇用 形態 保育経験 年数 クラス 回答者 計 女児 男児 正 20〜30 年 B 2 担任 0 0 0 正 1 年未満 気になる子ども の合計 人 (%) 表 2-② B 保育園 1 (6.6%) 1 (12.5%) 0 15 8 7 正 5〜10 年 0 歳児 B 1 担任責 1 (6.6%) 0 1 (14.2%) 0 3 (20.0%) 正 5〜10 年 A16 担任
正 5〜10 年 C10 担任責 4 (40.0%) 2 (50.0%) 2 (33.3%) 正 10〜20 年 C 4 フリー 4 (30.7%) 1 (25.0%) 表 2-③ C 保育園 表 2 保育者別「気になる子ども」の数 (2) 3 (30.0%) 1 (25.0%) 2 (33.3%) 正 20〜30 年 C 主任 2 (20.0%) 0 2 (33.3%) 正 10〜20 年 C 4 フリー 1 (10.0%) 0 1 (16.6%) 10 4 6 正 1 年未満 4 歳児 C 園長 C 8 担任 3 (25.0%) 0 3 (37.5%) 非 3〜5 年 C 9 担任責 8 (66.6%) 3 (75.0%) 5 (62.5%) 3 (37.5%) 正 20〜30 年 C 主任 5 (41.6%) 1 (25.0%) 4 (50.0%) 正 5〜10 年 未記入 正 10〜20 年 D11 フリー 3 (11.5%) 0 3 26 未記入 正 10〜20 年 5 歳児 D11 フリー 正 10〜20 年 C 4 フリー 1 (8.3%) 0 1 (12.5%) 12 4 8 正 1 年未満 3 歳児 C 園長 5 (41.6%) 2 (50.0%) 3 歳児 D11 フリー 未記入 26 未記入 正 10〜20 年 4 歳児 D12 担任 4 (15.3%) 1 3 26 2 (16.6%) 1 (16.6%) 1 (16.6%) 正 3〜5 年 C 7 担任責 7 (58.3%) 3 (50.0%) 4 (66.6%) 3 (25.0%) 正 10〜20 年 D10 担任 7 (26.9%) 2 5 26 未記入 正 10〜20 年 6 6 正 1 年未満 2 歳児 C 園長 3 (25.0%) 1 (16.6%) 2 (33.3%) 正 20〜30 年 C 主任 正 20〜30 年 D 4 フリー 1 (4.1%) 0 1 (8.3%) 24 12 12 正 1〜3 年 2 歳児 D 9 担任責 7 (29.1%) 4 (33.3%) C 6 担任 4 (30.7%) 2 (40.0%) 2 (25.0%) 正 10〜20 年 C 4 フリー 1 (8.3%) 0 1 (16.6%) 12 未記入 正 1〜3 年 D 8 担任責 3 (12.0%) 0 3 (17.6%) 5 (62.5%) 正 20〜30 年 C 5 担任責 4 (30.7%) 0 4 (50.0%) 非 1〜3 年 正 1〜3 年 D 6 担任 (14%) 0 1 (5.8%) 非 1〜3 年 D 7 担任 正 1 年未満 1 歳児 C 園長 2 (15.3%) 0 2 (25.0%) 正 20〜30 年 C 主任 5 (38.4%) 0 D 4 フリー 3 (12.0%) 0 3 (17.6%) 25 8 17 正 10〜20 年 1 歳児 D 5 担任責 未記入 4 (36.3%) 2 (40.0%) 2 (33.3%) 正 10〜20 年 C 4 フリー 1 (7.6%) 0 1 (12.5%) 13 5 8 3 (27.2%) 非 1〜3 年 D 3 担任 6 (35.2%) 2 (33.3%) 4 (36.3%) 正 20〜30 年 正 20〜30 年 C 2 担任責 6 (54.5%) 3 (60.0%) 3 (50.0%) 正 5〜10 年 C 3 担任 非 1 年未満 0 歳児 D 1 担任責 2 (11.7%) 2 (33.3%) 0 正 3〜5 年 D 2 担任 5 (29.4%) 2 (33.3%) C 1 担任責 1 (9.0%) 2 (18.1%) 2 (40.0%) 0 12 (1) 6 (1) 6 正 1 年未満 0 歳児 C 園長 0 1 (16.6%) 表 2-④ D 保育園 0 0 0 17 6 11 気になる女児 人 (%) 気になる男児 人 (%) 2 (33.3%) 在籍数 (障害児の数) 雇用 形態 保育経験 年数 クラス 回答者 非 計 女児 男児 3〜5 年 非 20〜30 年 C12 担任 9 (69.2%) 3 (75.0%) 6 (66.6%) 正 10〜20 年 C 4 フリー 2 (18.1%) 1 (20.0%) 1 (16.6%) 正 20〜30 年 C 主任 3 (27.2%) 1 (20.0%) 気になる子ども の合計 人 (%) C 主任 8 (61.5%) 1 (25.0%) 7 (77.7%) 正 3〜5 年 C11 担任責 12 (92.3%) 4 (100.0%) 8 (88.8%) 3 (33.3%) 13 4 9 正 1 年未満 5 歳児 C 園長 8 (61.5%) 4 (100.0%) 4 (44.4%) 正 20〜30 年
ないかと感じること,意欲・気力がよわいこと, 感覚の過敏さをもつ子,行動面にも気になる姿 がある子などを「気になる子ども」であるとし ていた。 1 歳児 1 歳児においては,行動面においての 記述が多くみられた。自分の思いを出す行為で はあるものの,頭を床に打ち付けて癇癪をおこ す,泣き崩れる,友だちを叩く,噛みつくなど の姿が気になるとしていた。落ち着きがなく動 き回るかじっとしていて動かないなどをあげて 正 5〜10 年 4 歳児 F11 担任 1 (9.0%) 0 1 (14.2%) 正 20〜30 年 F 園長 2 (16%) 0 表 2-⑤ E 保育園 表 2 保育者別「気になる子ども」の数 (3) 1 (8.3%) 0 1 (16.6%) 正 20〜30 年 F 園長 2 (18%) 0 2 (28%) 11 4 7 正 20〜30 年 F 園長 0 0 0 12 6 6 正 5〜10 年 3 歳児 F10 担任 F 8 担任 1 (8.3%) 0 1 (12.5%) 非 1〜3 年 F 9 担任 2 (16.6%) 0 2 (25.0%) 1 (12.5%) 12 3 9 (1) 正 20〜30 年 2 歳児 F 7 担任責 0 0 0 非 1 年未満 非 1〜3 年 F 6 担任 2 (16.6%) 1 (12.5%) 1 (25.0%) 正 20〜30 年 F 園長 1 (8.3%) 0 0 0 0 非 1〜3 年 F 5 担任 2 (16.6%) 0 2 (50.0%) 正 20〜30 年 F 園長 1 (8.3%) 0 1 (25.0%) 12 8 4 正 10〜20 年 1 歳児 F 4 担任責 正 20〜30 年 5 歳児 G 園長 F 2 担任 いると回答 正 5〜10 年 F 3 担任責 0 0 0 2 (10.0%) 1 (9.0%) 1 (11.1%) 正 20〜30 年 G 園長 1 (6.6%) 0 1 (9.0%) 15 4 11 1 (33.3%) 11 8 3 正 5〜10 年 0 歳児 F 1 担任 0 0 0 非 1〜3 年 正 20〜30 年 G 園長 3 (15.0%) 1 (9.0%) 2 (22.2%) 20 11 9 非 10〜20 年 4 歳児 G 6 担任 正 1〜5 年 E 4 担任 表 2-⑥ F 保育園 1 (9.0%) 0 2 歳児 G 園長 4 (22.2%) 1 (16.6%) 3 (25.0%) 18 6 12 非 1〜3 年 3 歳児 G 5 担任 4 (22.2%) 1 (16.6%) 3 (25.0%) 1 (7.6%) 0 1 (10.0%) 正 1〜5 年 E 3 担任責 0 0 0 1 (11.1%) 正 20〜30 年 G 園長 0 0 0 19 11 8 正 20〜30 年 正 5〜10 年 E 2 担任責 0 0 0 13 3 10 正 20〜30 年 2 歳児 E 園長 正 10〜20 年 1 歳児 G 3 担任責 いると回答 正 1〜3 年 G 4 担任 2 (12.5%) 1 (14.2%) 1 歳児 E 園長 1 (10.0%) 2 (20.0%) 1 (25.0%) 1 (16.6%) 10 4 6 正 20〜30 年 0 歳児 E 園長 1 (25.0%) 0 1 (7.6%) 0 1 (20.0%) 正 20〜30 年 G 園長 0 0 0 16 7 9 気になる女児 人 (%) 気になる男児 人 (%) 0 11 (1) 在籍数 (障害児の数) 雇用 形態 保育経験 年数 クラス 回答者 4 7 (1) 正 計 女児 男児 20〜30 年 8 5 非 10〜20 年 0 歳児 G 1 担任責 1 (7.6%) 0 1 (20.0%) 非 3〜5 年 G 2 担任 1 (10.0%) 1 (25.0%) 0 正 3〜5 年 E 1 担任責 1 1 気になる子ども の合計 人 (%) F 園長 表 2-⑦ G 保育園 1 (7.6%) 0 1 (20.0%) 13 2 (66%) 12 9 3 正 3〜5 年 5 歳児 F12 担任 3 (25.0%) 1 (11.1%) 2 (66.6%) 正 20〜30 年
いる保育者もみられた。身体面,姿勢・運動面 においては,歩行の不安定さ,這い這いの仕方, 歩き方,手指の状態,猫背になっているなどを あげていた。集団の中への入りにくさがある, 集団から離れていくなどの記述や,言語面に関 する記述がみられるようになった。言葉を用い ての表出の少なさをあげたり,表情の乏しさな ど感情表現手段の乏しさを気になる姿としてあ げる記述もみられた。0 歳児と同様の対人面に おいての「目のあいにくさ」をあげる記述も あった。1 歳児では,子ども自身の状態だけで なく,友だちとの関わり方,集団でする活動す る時に姿などにおいて,気になる状況がある子 どもが「気になる子ども」としてあげられてい る。 2 歳児 2 歳児においては,行動においての記 述や,言語面に関する記述が多くみられた。気 持の切り替わりにくさをあげる記述もあった。 行動に関しては,奇声を発する,落ち着きがな く動き回っていることがあげていた。集団に関 することとして,集団に入らず,一人で遊ぶ子 や集団生活での見通しがもちにくい子をあげる 記述,認識面において,こだわりが強い記述も あり,言語面においては,言葉を発しないこと, 声かけが入りづらいこと,時折訳のわからない ことを言っているなどの記述がみられた。2 歳 児では,言語表出やコミュニケーション時に不 自然さがみられたり,自分の思いや居た堪れな さを奇声や多動といった形で表出する子どもが 「気になる子ども」としている。 3 歳児 3 歳児は,3 歳児担任の回答者が少な く,「気になる子ども」に関する記述もすくな かった。その中で,保育者が思う「気になる子 ども」は,2 歳児にみられる「気になる子ど も」と同様の記述がみられた。目のあいにくさ, 落ち着きがないこと,こだわりが強い,見通し がもてない,集団から離れていく,コミュニ ケーションがとりづらいなどの記述がみられ, 行動面,対人面,言語面において気になる状態 をもつ子どもを「気になる子ども」としていた。 4 歳児 4 歳児は,行動面・認識面・対人面と 集団にかかわることの記述が多くみられた。行 動に関しては,集団の中において,友だちとの トラブルがある,一緒に絵本をみることができ ない,自分の思い通りにならないとパニックに なる,自分の要求通りになるまで動かないと いった姿の記述がみられた。認識面においては, 周りの状況がつかめない,注意散漫といったも のであり,言語に関しては,話からイメージを 持ちにくい,自分の思いを言葉で伝えられず, 手が出てしまう,言葉がでにくいといったこと をあげていた。気持ちの切り替えにくさをもつ 子,奇声を発することで自分を落ち着かせてい る子などをあげている記述もみられた。4 歳児 では,保育者や他児との会話が十分にできるよ うになるが,自分の思いをうまく出せずに,結 果的に叩く,蹴る,奇声を発する,暴言をはく などの姿がを見せる子どもや,集団の中に入り 込めない子どもが「気になるこども」であると していた。 5 歳児 5 歳児は,3 歳児や 4 歳児にみられた 「気になる子ども」の記述と同じような記述が 多かった。特に,集団活動時,対人面において, 集団の中にいて,ルールが守れない,やりたい 気持ちがあるが,友だちの輪の中に入りにくい, 衝動的にキレる子,気持を上手く言えずに暴力, 暴言になってしまうなどの記述がみられた。5 歳児も4 歳児にみられる人との関わりの中でみ せる姿を気になる姿としており,就学にむけて 期待される集団の中でルールを守ること,周 り・状況をみて行動すること,見通しをもって 活動すること,そして役割分担をしながら,集 団づくりを行っていくことから,離れていく子 ども,逸脱する子どもが「気になる子ども」と していた。 3-5.園長・フリー保育者・給食の職員・看 護師が思う「気になる子ども」 担任保育者以外の記述を取り出し,担任保育 者との共通点,違い等がみられるかどうかを分 析しまとめた。 園長が思う「気になる子ども」では,担任保 育者と同様に,身体の状態 (固い・柔らかい) や,姿勢・運動面についての記述がみられた。 また,対人面においての人見知りの有無や視線 のあいにくさをあげており,集団の中でみられ る行動面においての気になる姿をあげていた。 担任保育者の記述においてあまり見られなかっ
た,生活面においての記述 (家庭の状態,生活 習慣) をあげる記述がみられた。 フリー保育者の記述では,フリーで,クラス に入る保育者であることから,担任保育者があ げていた内容と同じ記述がみられた。担任保育 者の多くがあげていた「視線の合いにくさ」を フリー保育者の多くもあげており,どの保育者 も感じ,保育園においてよくみられる子どもの 姿であると考えられる。また,行動面において, 奇声,多動,こだわりのきつさ,言葉の表出の しにくさなどをあげており,どの保育園におい ても同様な子どもの姿があることがわかった。 給食の職員は,子どもたちとの日常的な関わ りが他の職員に比べて少ないながら,担任保育 者があげていた子どもの姿と同様の姿をあげて いた。これは,給食の職員が,給食場面での関 わりや,誕生会・クッキングなどの行事ごとで のやりとりの中,また,日常的な子どもとの触 れあいの中で,感じていることが,結果的に保 育者の「気になる子ども」の認識と同じあった ためと考えられる。担任保育者と同様,「なぜ こういう行動や姿を見せるのか」と感じながら 接していると考える。 看護師の記述においても,担任保育者が記述 したものと同じ記述がみられた。看護師は看 護・養護・医学的処置を行うためだけに配置さ れているわけではない。クラスに入り,保育を 行うこともあるため,看護師自身が感じる「気 になる子ども」は担任保育者と同じであったり, 異なっていると考えられる。子どもの姿を見た 時に,給食の職員と同様に「なぜこのような姿 がみられるのだろう」と感じているからこそ, 率直な「気になる子ども」の姿を記述されたと 考える。 3-6.「気になる子ども」の全体的特徴 今回の記述を全体的にみると,集団活動時の 姿において,落ち着きがないこと,人との関わ りや場面転換の際に,気持ちの切り替えにくさ があり,他児とのトラブルがみられるといった ことを「気になる点」であるとする回答は,1 歳児から 5 歳児の保育者から多くみられた。 また,保育者が担当する年齢に関係なく,0 歳児から 5 歳児まで,「目をあわさない」「視線 があいにくい」ことをあげる保育者が多かった。 これは,対人面においては,0 歳児のころから 「気になる姿」としてみせ,年齢を重ねていく 中で消失するものではなく,ずっと継続してみ られることであると考えられる。 対人面においては,乳児期に,誰に対しても ニコニコしている子,あるいは,この人ではな いとダメというくらいの人への固執がみられる といったことが保育者にとって「変だな」と感 じさせる子どもであり,その状態の子どもが, 他者との関係の土台形成時期にみられているこ とがわかった。 乳児期は,身体の状態,姿勢・運動面の状態 から生じる行動上の問題が保育者にとっての 「気になる点」になっており,幼児期になり, 人との関わりが言葉を介した形になってくると, 言葉の表出のあり方,自分の思いの出し方にお いて,保育者は気になる姿を捉えていることが わかった。 子ども同士での関わり合いが増えていくと, トラブルが絶えない子どもや,集団の場を苦手 として敢えて他児と関わろうとしない子,周り の状況がつかめず,今何をする時か把握しきれ ていない子,落ち着きがなく他児にちょっかい をかけている子などが「気になる子ども」と なっていた。 保育者が「気になる子ども」か否かを感じる のは,集団の中においての子どもの状態からで あり,他の子どもと「何か違う」ということを 感じるからこそ,その子どもを意識的にみるよ うになり,「気になる子ども」として捉える形 になっていると考えられる。 保育者の保育経験年数をふまえて記述をみる と,保育経験が 3 年未満の保育者は「気になる 子ども」の姿に関する記述が少なかったが,保 育経験年数 3 年以上の保育者については,保育 経験の長さに関係なく,保育者の一人ひとりの 子どもを見る意識の違いによって,「気になる 子ども」の姿の記述がみられた。 保育経験の長さによって,「気になる子ども」 の姿を回答する量が比例して増加するとはいえ ないことがわかった。接した子どもの多少に よって,保育経験に量によって,保育者が気に なる点の量が変化している面はあるが,保育者
が子どもに求める姿「こうあってほしい」「こ うあるはずでは」という思いが,「気になる子 ども」の記述に影響していると考えられる。 3-7.保育者が抱える問題や悩み 今回の調査において,保育者が抱える問題・ 悩みにおいても保育者それぞれの状況がどのよ うなものであるかを回答してもらった。 まず,「気になる子ども」の保育をする上で 問題や悩みの有無について,回答者 82 人中 77 人 (94%) が,問題や悩みが「ある」と回答し ていた。 「気になる子ども」の保育を行っていく上で の悩みや問題の中身を調査する上で,「気にな る子どもに関すること」「気になる子ども以外 の子どもに関すること」「クラス・集団づくり に関すること」の 3 分類を設け,分類ごとの複 数回答可の選択項目により,回答してもらった。 図 1 には,保育者が選択した項目より 3 つの 分類ごとの合計数とその平均を示し,図 2-①, 2-②,2-③には 3 つの分類からの保育者が選ん だ項目ごとの合計数とその平均を示した。 結果としては,「その他」を選択している回 答はなく,回答者の全員が,筆者の設けた選択 項目を選んでいるという結果であった。 図 1 にあるとおり,問題・悩みが「ある」と 回答した 77 人は,「『気になる子ども』自身に 関すること」の選択項目から多く選んでおり, 「クラス・集団づくりに関すること」の中では, 少なくとも1 つを選んでいる結果になった。 「『気になる子ども』以外の子どもに関するこ と」においては,10 人中 6 人がこの中の項目 を選んでいる結果であった。 図 2-①に示したとおり,「『気になる子ども』 自身に関する」項目において,「気になる子ど も」への対応や支援に対して迷いをもっている 保育者が回答者の半数以上であった。課題や要 求の見極めが困難と 36 人(約 47%) が感じて いる。また,「気になる子ども」の保護者の対 応 に お い て 問 題 や 悩 み が あ る と 29 人 (約 38%) が選択している。 図 2-②,2-③にあるとおり,「気になる子ど 図 1 「気になる子ども」の保育上の問題・悩みの内容 図 2-① 「気になる子ども」に関する問題・悩み 図 2-② 「気になる子ども」以外に関する悩み・問題 図 2-③ クラス・集団づくりに関すること
も」以外の子どもへの対応や支援において悩ん でいる保育者,クラス内の子ども同士の関係づ くりをどのようにしていけばいいかと難しさを 感じている保育者が回答者の 3 割〜4 割ほど存 在している。「気になる子ども」がクラス内に 多く存在しその子ども個々への対応に追われ, 「気になる子ども」以外の子どもに向き合いき れていないことが悩みであるという回答もみら れた。「気になる子ども」以外の子どもの保護 者への対応を悩みとする保育者は,回答者の 5 人に 1 人いるという結果であった。 保育者間の保育を行っていく上での共通理解 や,保育の方向性・目標の確認,他クラスとの 連携等が難しいとし,保育者同士のやりとりに おいての困難性を,27 人 (35%) と回答者の 10 人のうち 3 人が感じているという結果で あった。 「気になる子ども」の対応,「気になる子ど も」以外の子どもの対応,気になる子どもの保 護者への対応と課題など,保育者がしなければ ならないことが多く存在していることが,保育 者の抱える問題や悩みの要因であると考えられ る。 4.考 察 今回の調査において,筆者は,保育者が抱え る問題や悩みは,「気になる子ども」の保育以 外での問題・悩みについての回答もあることを 想定していたが,実際は,保育者自身が担当す るクラス全体の保育運営にかかわるものであっ た。「気になる子ども」を含めた子どもの対応 はもちろんのこと,保護者への対応,複数担任 で保育をおこなっていく上での保育者間の連携, 意思統一と共通認識をどうはかっていくかなど が,保育者の頭を悩ませていることであること がわかった。 保育者が抱える問題・悩みは様々であり,自 分自身の力量が足りないこと,保育そのものの 勉強不足であることを反省しながらも,「『気に なる子ども』の対応を含めて保育をどう行って いくか」「保護者とのやりとりをどうしていけ ばいいか」「クラスづくり・集団づくりのあり 方」「活動や遊びの中でどう子どもたちの力を 引き出していくか」などが保育者が抱える悩み の内容であった。 保育者がなぜこんなにも悩みをもっているの かを考えると,子どもとその保護者の最善を考 え,実際に取り組まれていることが,クラス内 に「気になる子ども」や何らかの支援を必要と する子どもが多く存在していることで,結果的 に上手くいかない,今までのやり方では通用し ない,かえってまとまりにくくさせてしまった などの状況をうみ,その状況にまた悩むという 保育の現状が存在するからではないだろうか。 今回の調査で,保育者たちは,自分たちが抱 える問題や悩みを職場内の会議や休憩の場など で相談し,ある程度,問題や悩みは解決してい ると感じている保育者が多いことがわかった。 「気になる子ども」への保育以外でも,仕事, 保育を行っていく中での問題・悩みをもちなが ら,全体的には解決しているという回答が多 かった。 これは,「気になる子ども」,何らかの支援を 必要とする子どもの増加に伴って,より保育者 集団で連携しながら保育を行っていくことが必 要になったためであり,そのことより,会議や 休憩中に話し合いを設けていること,1 人で抱 えないように,保育士集団で子どもをみつめ, 対応している状況なっていると考えられる。 しかし,「解決に向け,園内での話し合いを 設けているが難しい」という回答が多かったこ と,「一人で抱えている」という回答があった ことから,保育者が抱える問題や悩みの深刻さ, 根深さが存在し,保育の中で欠かせない,保育 者間での話し合いや共通認識や意思の統一をは かり連携していくことを難しくさせている状況 があると考える。「保育者集団で保育を行って いきたい」「話し合い,連携していくことがこ れまで以上に必要」と保育経験年数が長い保育 者ほどと強く感じている。しかし,その困難性 を強く感じている保育者は多く,保育者の抱え る問題や悩みが保育者同士の関係の中でも存在 しているのではないかと考えられる。 それは,相談体制の調査結果から推測できる。 相談している相手が職場内の同僚保育士だけ, 主任だけ,園長だけといった保育者がいたこと, 職場にはいないという保育者がいたこと,会議
時に話すのではなく,休憩時のみ,職場以外の 場で相談しているなどの結果をみると,解決が できているという回答が多い結果であったとは いえ,保育を行う上で,他の保育者の目,園長 や主任などの管理職の目,保護者の目などが気 になってしまうのは事実であり,保育者も,保 育に関しての他者からの評価を気にせざるをえ ない状況があることが推測できるからである。 「間違っていないか」「そのあり方が不十分で はないか」「保育ができていないと他の保育者 に見せたくない」などの思いもまた,保育者が 抱える悩みの一つではないだろうか。そのこと が,保育士間の話し合いを難しくさせているの ではないかと考えられる。新任の保育士が,何 もわからないまま,保育に関して聞くことがで きないような雰囲気があったり,中堅の保育者 も保育上の再度確認したいこと,手伝ってもら いたいことがいえない状況があることなど,結 果的に,一人で抱えてしまう状態になってし まっていることも否めないと考える。 今回の調査で,保育者が抱える悩みが多岐に わたっていること,根深く存在することがわ かった。しかし,子どもとその保護者の最善を 考えて,「気になる子ども」への対応を含め, より質の高い保育を行っていく上では,保育者 それぞれが職場内で,「思っていること,抱え ていること」を何でも打ち明けられ,保育者同 士が保育の知識や技術を高めあえる保育者集団 の形成が重要であることもわかった。 注 1 ) 本郷一夫・澤江幸則・鈴木智子・他:保育所に おける「気になる」子どもの行動特徴と保育 者の対応に関する調査 (発達障害研究 25 (1) 50-61 2003) 2 ) 本郷一夫・飯島典子・平川昌広・他:「気にな る」子どもの保育支援に関する研究 1 ― 子ど もの行動チェックリストについて ― (日本発 達心理学会 第 16 回大会発表論文集 670, 2005) 3 ) 飯島典子・本郷一夫・杉村典子・他;「気にな る」子どもの保育支援に関する研究 17 ― ク ラス集団の変化と保育環境の関連 ― (日本教 育 心 理 学 会 第 49 回 総 会 発 表 論 文 集 218, 2007) 4 ) 田中康雄:「わかってほしい!気になる子」(学 研 2004) 5 ) 無藤隆・神長美津子・柘植雅義・他:「気にな る子」の保育と就学支援 ― 幼児期における LD・ADHD・高機能自閉症等の指導 ― (東洋 館出版社 2005) 6 ) 楠凡之:気になる子ども・気になる保護者 (か もがわ出版 2005) 7 ) 別府悦子:「ちょっと気になる子ども」の理解, 援助,保育 (ちいさいなかま社 2006) 8 ) 池田友美・郷間英世・川崎友絵・山崎千裕・武 藤葉子:保育所における気になる子どもの特 徴と保育上の問題点に関する調査研究 (小児 保健研究 66 (6);815-820 2007) 9 ) 丸山美和子:保育現場に生かす「気になる子ど も」の保育・保護者支援 (かもがわ出版 2008) 10) 久保山茂樹・齊藤由美子・西牧謙吾他:「気に なる子ども」「気になる保護者」についての保 育者の意識と対応に関する調査 (国立特別支 援教育総合研究所 研究紀要 36. 55-76. 2009)