Kobe Shoin Women’s University Repository
Title 箴言における釈義上の問題(2)
Exegetical Problems in the Book of Proverbs(2)
Author(s) 勝村 弘也(KATSUMURA Hiroya)
Citation キリスト教論藻,No.33:15-36
Issue Date 2002
Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
箴 言 にお け る釈 義 上 の 問題(2)
勝
村
弘
也
1.は じ め に 1.1.フ ォ ン ・ラ ー トの知 恵研 究 20世 紀 の 旧 約 神 学 を代 表 す るG・ フ ォ ン ・ラ ー トは 、 そ の 最 晩 年 の 著 作 『イス ラ エ ル の 知 恵 』(1)にお い て 古 代 イ ス ラ エ ル にお け る 知 恵 的 伝 承 の 重 要 性 を力 説 した 。こ の著 作 が 刊 行 され て か らす で に30年 以 上 の 時 が 経 過 した が 、 フ ォ ン ・ラ ー トに よ る知 恵 の 価 値 の 再発 見 は 、 そ の 後 の聖 書 学 の発 展 に 多 大 の 影 響 を及 ぼ して きた 。 そ の 影 響 が 旧 約 学 の 内 部 に と ど まる も の で は な い こ と は、 〈知 恵 の教 師 〉 と して イ エ ス を把 握 し よ う とす る最 近 の 新 約研 究 が 物 語 っ て い る よ う に思 わ れ る{2)0 イ ス ラエ ル 周辺 諸 国 、特 にエ ジ プ トの知 恵文 学 が 箴 言 な どの 旧 約 の知 恵 文 学 全 般 に 及 ぼ した 影 響 につ い て は 、20世 紀 前 半 の 「ア メ ンエ ム オペ トの 教 訓 」 の 発 見 以 来 、 常 に 問 題 に な っ て きた(3)0フォ ン ・ラ ー トは 、 こ の よ う な影 響 関 係 に 関 して 十 分 な考 慮 を は らい なが ら も、 こ れ を過 大 に評 価 す る こ と な く、 イ ス ラ エ ル に部 分 的 に移 入 され た 古 代 オ リエ ン トの 知 恵 が 、 旧 約 の 知 恵 以 外 の 領 域 で は 排 他 的 な 性 格 を もつ こ とが 明 ら か で あ る と さ れ て き た く ヤ ハ ウ ェ信 仰 〉 と どの よ う に 関係 す る の か を解 明 し よ う と した 。 そ の際 に研 究 者 に とっ て 大 切 な の は 、 「(旧約 時 代 の)賢 者 の 教 えが そ の 中 で 活 動 して い る、 独 自 の 思考 世 界 と価 値 世 界 の 中 に 、 ま た さ ま ざ ま な緊 張 の 中 に 、 自 ら を置 こ う と企 て る」 よ う な研 究 態 度 で あ る望 古 代 エ ジ プ トの 教 訓 と旧 約 の 格 言 と の 問 に文 学 的 類 似 な い し並 行 関 係 が 認 め られ る よ う な場 合 に 、 従 来 の 宗 教 史 研 究 が とっ て きた よ う な仕 方 で 両 者 の 思想 的 類 縁 関係 を安 易 に 想 定 す る こ とに は た しか に 問 題 が あ ろ う。 双 方 の文 学 の 背 景 とな って い る文 化 的 脈 絡 や宗 教 的 基 盤 が 異 な っ て い る以 上 、 そ れ が ど の よ う に して 可 能 で あ っ た の か を歴 史 的 に 解 明 す る 必 要 が あ る か ら で あ る 。 フ ォ ン ・ラー トの場 合 、 エ ジ プ トか らの 強 い 文 化 的 影 響 が 王 国 時 代 初 期 に 起 こ っ た と想 定 し、 イ ス ラエ ルの 賢 者 た ち は伝 統 的 な ヤハ ウ ェ信 仰 の 強 固 な 基 盤 の うえ に立 っ て 、 こ の よ う な 周辺 文 明 諸 国 か らの 影 響 を受 け なが ら も人 間 の 活 動 全 般 に 関 す る 彼 ら独 自の 知 恵 的 認 識 を築 き上 げ た の だ と主 張 す る 。 「神 へ の 畏 れ 」、 「神 を知 る と い う こ とか ら出 発 して は じめ て 、 人 は 生 の 諸 秩 序 に精 通 し造 詣 を得 る の で あ る」15)と賢 者 た ち は考 え て い た の だ 。周 辺 諸 国 の文 学 か らの影 響 を認 め な が ら も、 な お か つ ヤ ハ ウ ェ信 仰 を基 盤 とす る イ ス ラ エ ル の 知 恵 の 独 自性 を 強 調 す る神 学 者 と して の フ ォ ン ・ラ ー トの 主 張 か ら わ れ わ れ が 今 日 も なお 学 ぶ こ と は多 い 。彼 の 研 究 を彼 よ り も以 前 や 同 時 代 の宗 教 史 的 研 究 と比 較 す れ ば 、 そ の 業 績 の 偉 大 さ は 疑 う余 地 が な い(G)0 しか しな が ら、 フ ォ ン ・ラ ー トが イ ス ラエ ル の 賢 者 た ちの 思 想 を解 明 す る にあ た っ て 前提 と して い た歴 史 的 諸 事 実 に 関 す る判 断 が 、 今 日の わ れ わ れ か ら見 て 適 切 で あ る と認 め ら れ る の か ど うか と な る と、 きわ め て 問題 で あ る と 言 わ ざ る を えな い。 フ ォ ン ・ラ ー トは 、 まず 最 近 の 多 くの 研 究 者 同 様 、箴 言 10-29章 を捕 囚 前 の 王 国 時 代 に 年 代 付 け る(こ れ に は異 論 は な い)。 ま た こ の 格 言 集 の 背 後 に イ ス ラ エ ル 史 の 非 常 に 古 い 時 代 か ら続 く<氏 族 的 知 恵 (Sippenweisheit)〉 の 伝 統 が 存 在 す る こ と も基 本 的 に疑 問 の 余 地 は な い とす る 。 しか しな が ら氏 族 的知 恵 が どの よ う な もの で あ る の か を確 定 す る こ とは 、 あ ま りに も困 難 で あ る か ら こ れ を研 究 対 象 に す る わ け に は い か な い 。 そ こ で 「わ れ わ れが そ の 文 学 的 遺 産 を探 究 して い く時 代 は 、王 国 時 代 初 期 の 学 校 教 育 的 知 恵(Schulweisheit)の 発 生 を もっ て 始 ま り とす る」「71とい う こ とに な る。 この 「王 国 時 代 初 期 の学 校 教 育 的 知 恵 」 とい うの が 曲 者 で あ っ て 、 こ こ に は 明 らか に フ ォ ン ・ラ ー トが 構 築 した 古 代 イス ラエ ル の 歴 史 に 関 す る い く つ か の重 要 な仮 説 が 含 まれ て い る。 彼 の 主 著 『旧 約 聖 書神 学 』18)を も参 照 し なが ら、 問 題 点 を整 理 す る と以 下 の よ う に な る 。 ① 王 国 時代 初 期 、す な わ ち ソ ロ モ ン時 代 に 、 イ ス ラエ ル は エ ジ プ トか らの
文 化 的 影響 を受 け て一 種 の 啓 蒙 時 代 を経 験 した 。 人 々 が 平 和 と繁 栄 を享 受 し た こ の 時代 に は、 世 俗 的 な価 値 の発 見 が 起 こっ た に違 い な い 。 ② ソ ロモ ン時 代 にモ ー セ五 書 や サ ム エ ル 記 に 保 存 され て い る 歴 史 叙 述 な どの 本 格 的 な文 学 活 動 が 始 ま っ た 。箴 言 の最 古 の 層 を形 成 す る 格 言 の収 集 ・ 加 工 と文 書 化 が 開始 され た の も この 時 代 で あ る 。 ③ この 時 代 に 出 現 した く賢 者 〉=〈 知 恵 の 教 師 〉は 、当 然 宮 廷 に も活 動 の 基 盤 を もっ て い た が 、 エ ル サ レム な どの 都 市 に お い て は 〈 学 校 〉 を設 け て 、 新 し く出現 した 市 民 階層 の 子 弟 の 教 育 に携 わ っ た は ず で あ る 。 こ う して イ ス ラエ ル 社 会 に は 一 定 規 模 の 教 養 層 が 形 成 さ れ る こ と に な っ た 。 ④ この よ う な学 校 教 育 に は 当 然 教 材 が 必 要 で あ った 。 知 恵 の 教 師 た ち は 、 シュ メ ー ル や エ ジ プ トの場 合 と 同様 、教 訓 文 学 を利 用 した は ず で あ る。 箴 言 の 最 古 の 層 に は 当 時 の 教 材 が 保 存 され て い る 。 ⑤ 知 恵 の 教 師 た ち は 、 イ ス ラエ ル古 来 の 氏 族 的 知 恵 や エ ジ プ ト等 か ら新 し く流 入 した教 訓 文 学 を そ の ま ま利 用 した の で は な く、 文 書 化 に際 して は ヤ ハ ウェ 信 仰 を基 盤 と しなが ら再 解 釈 を行 い 、 文 学 的 に も洗 練 す る な ど相 当 の加 工 を施 した。 最 近 の歴 史研 究 に よれ ば 、 ダ ビデ ・ソ ロ モ ン時代 に大 規 模 な エ ジ プ トか ら の文 化 的 影 響 が パ レス チ ナ に 及 ん だ文 献 学 的 お よ び 考 古 学 的 証 拠 は な い91 王 国 時代 に学 校 が 存 在 した の か ど うか に関 して は 、 激 し く論 争 さ れ て お り決 定 的 な こ と は言 え ない 。 ま して 王 国 時代 初 期 とな る と きわ め て 問題 で あ る 。 王 国 時 代 初 期 に強 固 な ヤ ハ ウ ェ信 仰 が 十 分 な 社 会 的 基 盤 を も っ て 存 在 した の か ど うか に関 して も最 近 の 歴 史 研 究 は 否 定 的 な 結 論 を引 き出 して い る110)0 1.2.問 題 設 定 先 に1994年 発 行 の 本 誌 に お い て 、箴 言 を解 釈 す る 上 で の 若 干 の 基 本 的 問題 につ い て論 じた こ とが あ る 。本 論 考 は 、 フ ォ ン ・ラー トの 知 恵 研 究 が 提 起 し た問 題 点 を視 野 に入 れ なが ら、 先 の 拙 論 と は別 の角 度 か ら箴 言 解 釈 の 問 題 に つ い て論 じ る もの で あ る。 こ の 間 に相 当 の 時 間 が 経 過 して い る が 、 箴 言 研 究
を打 遣 って お い た の で は ま っ た くない 。 本 誌 以 外 の様 々 な場 で そ の研 究 成 果 を発 表 して きた に過 ぎ な い 。 この 間 の 箴 言 研 究 の 主 要 な も の を以 下 に挙 げ な が ら、 本 論 考 で扱 う問 題 に つ い て簡 単 に述 べ て お く。 王 国 時 代 に 学 校 が存 在 した か を主 要 な 問 題 とす る 箴 言 の 〈生 活 の 座(Sitz imLeben)〉 に 関 して は 、1994年10月 の 日本 旧約 学 会 総 会 の シ ンポ ジ ウ ム に お い て 口頭 発 表 して い る 。 また 『現 代 聖書 講 座 第2巻 』 に お い て こ の問 題 の 要 点 を ま とめ て お い た91)本 論 考 で は特 に箴 言10章 以 下 の 格 言 に 関 して 、 そ の 生 活 の座 が 問 題 に な る 。 イ ス ラエ ル の 賢 者 に独 自の 思 考 法 が 存 在 した の か ど うか に 関 して は、K・ コ ッ ホが 提 起 した い わ ゆ る く行 為 ・帰 趨 連 関(Tun-Ergehen-Zusammenhang) 〉 をめ ぐ る問 題 が あ る 。 これ に 関 し て は 、1997年10'月 の 日本 旧約 学 会 総 会 の シ ン ポ ジ ウ ム に お い て 口 頭 発 表 の 後 、 一 年 後 「応 報(vergeltung)か 、 行 為 ・帰 趨連 関 か?」 と して 論 文 に ま と め た921 また 箴 言 の生 活 の 座 と応 報 思 想 の 両 者 に関 連 して 、古 代 イ ス ラ エ ル(特 に 王 国 時 代)と エ ジ プ トとの 間 に存 在 した文 化 交 流 の あ りか た に つ い て根 本 的 に考 え直 す必 要 が あ る と考 え て 、1997年12月 の 京 都 大 学 キ リス ト教 学 教 室 ク リス マ ス 会 にお い て 「エ ジ プ ト学 と 旧約 研 究 」 と題 して 口頭 発 表 を行 な っ た 。 本 論 考 に お い て は 、 この よ うな大 き な テ ー マ は直 接 扱 わ な い け れ ど も、 具 体 的 に箴 言 テ ク ス トを精 査 す る 中 で 、 エ ジ プ トの 教 訓 文 学 と王 国 時 代 の イ ス ラ エ ル の格 言 と の係 わ りにつ い て 再 考 す る 。 『新 共 同訳 旧 約 聖 書 注 解 』(13)お よ び 『新 共 同訳 旧 約 聖 書 略 解 』(111に お い て は 、箴 言10章1節 一22章16節 お よ び25章1節 一29章27節 の 格 言 集 を 扱 う 際 に 、 従 来 ほ とん ど問 題 に さ れ な か った 個 々 の 格 言 の 文 脈 性 や 配 列 に も 注 意 を 喚 起 した 。 た だ し、紙 面 上 の制 約 が 大 きか っ た た め に十 分 な 説 明す る こ とが 出 来 な か っ た 。 本 論 考 に お い て は 、 一 見 様 々 な格 言 が 雑 多 に収 集 され て い る よ う に思 わ れ る テ クス トに 関 して も、文 脈 性 が 十 分 に存 在 す る こ とが あ る こ と を例 証 す る 。 こ の点 に関 して は、A・ マ イ ン ホ ル ドの注 解 が 非 常 に 参 考 に な っ た こ と を こ とわ っ て お きた い(15)0
2.〈 ソ ロ モ ンの 第 一 詞 集 〉 に収 め られ た 格 言 の 生 活 の座 と文 脈 性 箴 言10章1節 か ら22章16節 に は 、王 名 ソ ロ モ ン を ア ル フ ァベ ッ ト表 記 した 時 のslmhの ゲ マ トリア 数 で あ る375(=300+30+40+5)と 同 じ数 の格 言 が 収 集 され て い る。10章1節 に は 「ソ ロ モ ンの 詞(ミ シ ュ レ ー ・シ ェ ロ モ ー)」 とこ の 集 成 の 表 題 が 掲 げ られ て お り、 宮 廷 で 編 集 が 行 な わ れ た こ と を示 して い る よ う に思 わ れ る 。 しか しな が ら個 々 の格 言 の生 活 の 座 に 関 し て は 、 別 の 考 察 が必 要 で あ る 。 勤 勉 な 労働 を勧 め る 格 言 は数 多 くあ るが 、そ の 労 働 の 内 容 を み る とほ と ん どが 農作 業 で あ る と判 断 さ れ る 。 た る ん だ 手 は貧 乏 をつ く り出 す 。 だが 、勤 勉 な手 は豊 か にす る 。 夏 の うち に 集 め る 者 は 、 賢 明 な 息 子 。 収 穫 の 時 に 眠 りこ け て い る者 は 、 恥 さ ら しの 息 子(10・4-5)。 義 人 は 、 自分 の 家 畜 の 命 に配 慮 す る。 だが 、邪 悪 な者 ど もの 腹 は 、残 忍 で あ る 。 自分 の土 地 を耕 す 者 は 、 パ ンに飽 き足 りる 。 だが 、 空 疎 な もの を追 い 求 め る者 は 、 思 慮 に欠 け る 者(12・11>。 牛 が い な い と飼 い葉 桶 は 、 空 で あ る 。 多 くの 収 穫 は、 雄 牛 の 大 力 に よ る(14・4)。 怠 け者 は 、 秋 か らは 黎 耕 しな い 。 彼 は 収 穫 の 時 に求 め る だ ろ う が 、 何 もな い(20・4)。 これ らの 格 言 で は 、 明 らか に農 業 労 働 が 問 題 に な って い る 。 最 初 の10章 4節 の場 合 に は 明確 で は な い が 、5節 との続 き具 合 か らみ る と や は り まず 農 作 業 、特 に収 穫 が 考 え られ る。20章4節 は 怠 け 者 が 農作 業 を始 め るべ き時 機 を失 す る こ と につ い て 述 べ る 。パ レス チ ナ の 農 民 は 秋 の収 穫 後 、 雨 の 降 る の を待 っ て柔 らか くな った 畑 に黎 を入 れ 、大 麦 、小 麦 等 の種 を播 く(ll月 か ら
1月 頃)。 怠 慢 な 者 は 、 こ の 大 切 な時 に 仕 事 を始 め な い 。 な お 、 牛 に よ る 黎 耕 は 王 国 時 代 に 始 ま っ た と考 え られ 、 この こ と に よ っ て 生 産 力 が:著し く増 大 した 。14章4節 は こ の よ うな 農 民 の経 験 につ い て 述 べ て い る の だ が 、この 格 言 を単 に素 朴 な狸 諺 とみ る こ と もで きな い 。 ヘ ブ ラ イ語 文 は 、 きわ め て 技 巧 的 な の で あ る。 子 音 ア ル フ ァベ ッ トで 表 記 す る と次 の よ う に な る。 b'jn'1pjm'bwsbr/wrbtbw'wtbkhswr 前 句 の 最 後 の語 バ ー ル の元 の意 味 は 「純 粋 」 で あ る。 飼 い 葉 桶 が 「よ ごれ て い な い」 こ と を言 う。 また 「た だ飼 い 葉桶 が あ る だ け だ」 と も訳 せ る 。 さ らに バ ー ル に は 「穀 物 」 の 意 味 も あ る 。 この 語 は 、 後 句 の 冒頭 の 語 、 ラ ー ブ 「多 い 」 と語 呂合 わ せ に な っ て い る。b音 が 前 句 に3回 、 後 句 に3回 現 わ れ て韻 を踏 ん で い る。 ま た文 字 の ア レ フが4回 出現 す る うえ に、「牛(複 数 形)」 は ヘ ブ ラ イ語 で ア ラ ー フ ィー ム(単 数:ア レフ)で あ る。 た しか に この よ う な技 巧 的 な格 言 は、 氏 族 的 知 恵 で は な くて教 養 の あ る 人 の 推敲 を経 た 作 品 な の で あ ろ う。 怠 慢 を戒 め た り、勤 勉 と怠 慢 を対 照 的 に描 くよ うな格 言 で は 、労 働 の 内容 が 明 ら か で は な い こ とが 多 い(12・24、13・4、15・19、19・15、24、21・ 25)(1&)0しか し、明 確 に 農作 業 以 外 の勤 勉 な労 働 が 問 題 に な って い る よ う な格 言 は 、 探 す の に苦 労 す る 。27章23節 以 下 に は 羊 飼 い の 労 働 に つ い て 語 っ て い る 箇 所 が あ るが 、 こ れ は 今 回取 り上 げ て い る く ソ ロ モ ンの 第 一 詞 集 〉 に は 属 さ な い。 投 機 的 な企 て に対 す る 批 判 的態 度 は 、随 所 に見 られ る 。 上 記 の12 章ll節 の 格 言 の 「空 疎 な もの を 追 い 求 め る 」 は 、怠 慢 を 意 味 す る の で は な くて 、 確 実 に利 潤 を得 られ な い よ う な活 動 、 つ ま り投 機 的 な企 て に手 を 出 す こ とを さ して い る と思 わ れ る。 こ の よ う な行 為 が 、 「自分 の土 地 を 耕 す 」 こ と と対 照 的 に述 べ られ て い る の で あ る 。穀 物 の 買 い 占 め な どに よ っ て急 速 に 利 潤 を あ げ よ う とす る よ う な行 為 は 、常 に批 判 的 に見 ら れ て い る。 穀 物 を 売 り惜 しむ者 、 彼 を 人 々 は呪 う。
だ が 、 売 り に 出 す 者 の 頭 に は 、 祝 福(1ユ ・26)。 急 い で 得 た 財 産 は 、 減 少 す る 。 だ が 、 手 の 上 に 集 め る 者 は 、 増 し加 え る(13・11)。 最 初 に 急 い で 得 た 財 産 は 、 そ の 終 わ り に は 祝 福 さ れ な い(20・21)。 勤 勉 な 者 の 計 画 は 、 利 益 と な る 。 だ が 、 す べ て 急 ぐ者 は 、 損 を す る だ け(21・5)。 一 見、農 業 とは 関係 が ない よ う に 思 わ れ る格 言 の 背 後 に も農 民 の 経 験 が 隠 され て い る よ う な格 言 は多 い。 農 業 の イ メ ー ジ が 一 定 の 範 囲 に 集 中 して 現 わ れ る箇 所 を2例 あ げ て お く。 義 人 は 、 と こ し え に 揺 る が な い 。 だ が 、 邪 悪 な 者 ど も は 地 に 住 む こ と が 出 来 な い 。 義 人 の 口 は 、 知 恵 を 育 て る 。 だ が 、 ね じ れ た 舌 は 切 り取 ら れ る 。 義 人 の 唇 は 、 満 足 を 湧 き 出 す(170) 邪 悪 な 者 ど も の 口 は 、 ね じ れ て い る(10・30-32)。 30節 で まず 「土 地 」 に言 及 した 後 、 「知 恵 を育 て る」 とい う表 現 を用 い て い る 。 動 詞 「育 て る」(nwb>は 、元 来 植 物 の生 育 と関 係 す る 語 で あ る 。 他 動 詞 と して 「知 恵 を育 て る」 「知 恵 を実 らせ る 」 と訳 す か 、 自動 詞 と して 「知 恵 に よ っ て 生 育 す る」 と訳 す か 、 どち ら も可 能 で あ る 。 「ね じれ た舌 は 切 り 取 られ る」 の よ う な表 現 か ら、 身体 障 害 者 に対 す る差 別 的 表 現 を読 み 取 る の は見 当 はず れ で あ る 。 こ こ に は 、果 樹 栽 培 の 比 喩 が 隠 され て お り、 曲が った 果 樹 の 枝 が 勇 定 で 切 り取 られ る様 子 が イ メ ー ジ され て い る の で あ る。32節 の 「ね じれ て い る」 も 同様 の イ メ ー ジか ら来 て い る。ll章24節 以 下 の 格 言 も 農 民 的 な もの で あ る(26節 は先 述)。
24播 き散 ら し て 、 な お 増 し加 え る 者 が い る が 、 過 度 に も の 惜 し み を して 、 か え っ て 欠 乏 す る 者 も い る 。 25祝 福 す る 魂 は 、 肥 え 太 る 。 潤 す 者 は 、 彼 も ま た 潤 さ れ る(11・24-25)。 24節 の 「播 き散 ら」 す と は 、浪 費 す る の 意 味 で は な くて 、慈 善 な どで 金 を 出 す べ き時 に は 、 き ち け ちせ ず に金 を使 うの 意 味 で あ ろ う。播 く と増 し加 わ る とい う表 現 に は、 穀 物 の播 種 か ら収 穫 にい た る まで の過 程 が 反 映 され て い る 。 植 物 に水 を与 え る こ と を惜 しめ ば 、収 穫 は減 る 。25節 の 「肥 え太 る」 に は 栄 養 の 良好 な家 畜 が 太 る イ メ ー ジ が 、 「潤 す 」 に は畑 や 果 樹 園 の 灌 概 の イ メ ー ジが 反 映 して い る 。 乾 燥 した パ レ ス チ ナ で の 農 耕 生 活 にお い て は水 が 決 定 的 な役 割 を演 じた 。 他 者 の 土 地 に水 を与 え る とい うの は 、他 者 を祝 福 す る 典 型 的 な行 為 で あ る 。 この よ う な人 は 、祝 福 さ れ る と い う の で あ る。 この 互 恵 性 の 論 理 こ そ が 、 本 来 的 な 意 味 で の く 応 報 〉 な の で あ る(18)(ル カ 福 音 書 6・38を 参 照)。 こ の よ う な応 報 な い しく行 為 ・帰 趨 連 関 〉 を表 現 す る に は 、 果 樹 栽 培 や果 実 を食 す る比 喩 が よ く用 い られ る 。 (191 人 の 口 の 果 実 に よ っ て 、 〔人 は 〕 良 い も の で 満 た さ れ る 。 人 の 手 の 業 は 、 自 分 に か え る(12・14)。 人 の 口 の 果 実 か ら 、 〔人 は 〕 良 い も の を 食 べ る(13・2前 半)。 人 の 口 の 果 実 に よ っ て 、 そ の 腹 は 満 た さ れ る 。 そ の 唇 の 産 物 〔に よ っ て 〕、 彼 は 満 足 す る120)0 死 と生 と は 、 舌 の 支 配 下 に あ る 。 こ れ を 愛 す る 者 は 、 そ の 実 を 食 べ る(18・20-21)。 以 上 の よ う に 、〈 ソ ロ モ ンの 第 一 詞 集 〉 に は 農 民 の生 活 体 験 を反 映 した よ う な格 言 が 随所 に見 られ る。 こ の こ と を もっ て 直 ち に この 詞 集 の 生 活 の 座 が 学 校 で は な い と は言 え な い が 、 少 な く と もあ ま り都 市 的 で は な い格 言 が 多 数 含 まれ て い る こ と に は 注 意 が 必 要 で あ る 。 む しろ個 々 の 格 言 の 生 活 の 座 を氏
族 な い し部 族 にお く見 方 に分 が あ りそ うで あ るi210)農業 的 な イ メ ー ジが 連 続 して 現 わ れ る 場 合 に は 、編 集 者 が 関係 して くる か ら問 題 は単 純 で は な い 。 3.ヤ ハ ウ ェ に関 す る格 言 と王 に 関 す る格 言 こ こ で は 箴 言 第16章1節 以 下 につ い て考 察 す る 。 一 見 して 、 ま ず1節 か ら7節 まで と9節 、11節 に 〈 ヤ ハ ウ ェ に 関 す る格 言 〉が 並 べ られ て い る こ と が分 か る。 後 述 す る よ う に8節 も内 容 的 に は く ヤ ハ ウ ェ に 関す る格 言 〉 に き わ め て 近 い 。10節 と12-15節 に は く王 に 関す る 格 言 〉が 並 ぶ 。 こ の よ う に、 〈 ヤ ハ ウ ェ に 関 す る格 言 〉 とく 王 に 関 す る格 言 〉 と は 、互 い に融 合 す る よ う に 緊 密 に結 合 して い る。 こ の こ と は 、2種 の 格 言 が 内容 的 に も深 く関 連 して い る こ と を物 語 っ て い る。 まず 、9節 ま で を一 つ の 小 段 落 と して 扱 い 、 以 下 に訳 文 を掲 げ る 。 1心 の 備 え は 、 人 に あ る が 、 舌 の 答 え は 、 ヤ ハ ウ ェ か ら 〔来 る 〕。 2人 の 道 は 、 み な 、 自 分 の 眼 に は 潔 い 。 だ が 、 精 神 を 試 験 す る の は 、 ヤ ハ ウ ェ 。 3お ま え の な す こ と を ヤ ハ ウ ェ に 委 ね よ 。 そ う す れ ば 、 お ま え の 計 る こ と は 固 く 立 つ 。 4ヤ ハ ウ ェ は 、 す べ て の も の を 自 分 の 目 的 の た め に 造 っ た 、 邪 悪 な 者 を も 、 災 い の 日 の た め に 。 5心 の 傲 り高 ぶ る 者 は 、 み な 、 ヤ ハ ウ ェ の 嫌 悪 す る も の 。 た しか に 、 罰 を 免 れ ら れ な い 。 6友 愛 と真 実 に よ っ て 、bは 覆 わ れ る 。 ヤ ハ ウ ェ を 畏 れ る こ と に よ っ て 、 〔ひ と は 〕 悪 か ら 離 れ る 。 7人 の 道 を ヤ ハ ウ ェ が 気 に 入 る な ら ば 、 そ の 人 を 彼 の 敵 と さ え 和 解 さ せ る 。 8義 の う ち に あ る 僅 か な も の の 方 が 、
不 正 な方 法 に よる 多 くの 収 入 よ り もよ い 。 9人 の心 は 、 そ の 道 を考 え出 す が 、 そ の 歩 み を導 くの は 、 ヤハ ウ ェで あ る 。 1節 は 、 人 が 心 の 中 に あ る 思想 を こ とば と して 表 現 す る際 に 、 ヤ ハ ウ ェが 人 の 心 に働 きか け 介 入 す る の だ と言 う。 も ち ろ ん こ こで 問 題 に な っ て い る の は 、 賢 者 の こ とば で あ る。 人 々 に善 を もた らす 賢 者 の こ とば は 、 根 底 にお い て ヤ ハ ウ ェ の働 き に支 え られ て い る との確 信 が こ こ に は あ る 。 この 節 の ヘ ブ ラ イ 語 文 は 、前 句3語 と後 句3語 の6語 か ら な る が 、 き わ め て技 巧 的 に組 み 立 て られ て い る 。 原 文 を子 音 ア ル フ ァベ ッ トで 表 記 す る と次 の よ う に な る 。 1'dmm`rkjlb/umjhwhm`nhlswn 人 に 備 え 心 の だ が ヤ ハ ウ ェ か ら 答 え 舌 の ま ず前 句 の 冒頭 の 「人 に」 に対 応 して後 句 の 冒頭 に は 「だが ヤ ハ ウ ェ か ら」 が 配 置 さ れ て い る。 「心 の 備 え(マ ア ル ケ ー ・レー ブ)」 に は 、 「舌 の 答 え(マ ア ネ ー ・ラ ー シ ョー ン)」 が 対 応 す る。 こ こ に 語 呂合 わせ が 存 在 す る こ と は 明 ら か で あ る 。 前 句 に は1、m音 が 各2回 、 後 句 に は ユ音 が1回 、m音 が2 回 出 現 す る が 、 そ の う ち5回 ま で が 語 頭 に現 わ れ て い て効 果 を発 揮 して い る。 な お 〈マ 〉 で始 ま る語 は 、こ の後 も3節 の 「お ま え の な す こ と」マ ア セ ー カ ー 、 「お ま え の 計 る こ と」 マハ シ ュ ボ テ ー カ ー 、4節 の 「彼 の 目的 」 マ ア ネ フ ー と連 続 して 現 わ れ る 。16章1節 の 格 言 は 、内 容 的 に2節 以 下 に 続 く と と も に 、 9節 と も深 く関 連 して この 小 段 落 を囲 い込 む 。 さ らに神 の 決 定 に つ い て 語 る 33節 の と も対 応 して 、 この 章 全 体 を囲 い 込 ん で い る と見 る こ と もで き る 。 く じ は 、 衣 の 膨 ら み の 中 に 投 げ られ る 。 だ が 、 そ の 事 の 決 定 は み な ヤ ハ ウ ェ か ら 〔来 る 〕(16・33>。 箴 言16章1節 と類 似 の 思 想 を表 現 す る格 言 は、 周 辺 諸 国 に も見 られ る 。
彼 が 神 々 に 愛 さ れ て い る の な ら 、 神 々 は よ い こ と を彼 の 口 の 中 に 入 れ て 発 言 さ せ る 。 「賢 者 ア ヒ カ ル の こ と ば 」ll51221 お ま え の 心 を 堅 く強 くせ よ 、 お ま え を 、 お ま え の 舌 の 舵 取 り に し て は な ら な い 。 人 の 舌 が 舟 の 舵 で あ る な ら ば 、 万 物 の 主 が そ の 舵 取 り で あ る 。 「ア メ ン エ ム オ ペ トの 教 訓 」(23)20・3-& 人 間 の 内 面 に対 す る神 の 働 きか け につ い て語 る1節 を受 け て 、2節 で は ヤ ハ ウ ェが 外 面 に現 わ れ た 人 間 の 行 為 の 善 し悪 し を評 価 す る の み で は な く、 そ の行 為 の 根 底 に あ る 動 機 や意 図 を も問題 にす る こ と を語 る。 人 は ま っ た く利 己 的 な 動 機 か ら〈 よい 行 為 〉 を なす こ とが あ る か も知 れ な い 。 そ の よ う な場 合 に 、行 為 者 自 身 に は 正 しい と評 価 さ れ た と して も、 ヤ ハ ウェ に は何 事 も隠 さ れ て は お らず 、 す べ て の事 態 が 明 らか で あ る。 な お 「潔 い」 と訳 した 語 ザ ク は 、元 来 、 油 な どが 「純 粋 で あ る」 こ と を示 す 用 語 で あ るが(レ ビ記24・ 2等)、 箴 言 で は倫 理 的 に 「純 粋 で あ る」 「正 しい」 の 意 味 で 使 用 さ れ る(20・ 11、21・8)。 な お 「精 神 」 と訳 した語 は 、 ル ア ハ の 複 数 形 で あ る 。 3節 は 、 よ い こ と を企 て る人 間 の 意 図 を最 終 的 に実 現 す る の は ヤ ハ ウ 〕・で あ る とい う。1節 や9節 と共 通 す る思 想 に基 づ く格 言 で あ る 。 こ こ で 「委 ね る」 と訳 した動 詞 の 元 の 意 味 は 「転 が す 」 で あ る。 この語 の 同様 の 用 例 は 、 詩 篇22篇9節 、37篇5節 に見 ら れ る(ペ テ ロ第1の 手 紙5・7を も参 照)。 4節 の 解釈 は容 易 で は な い 。 「目的」 と訳 した 語 マ ア ネ は 、1節 で 「答 え」 と訳 し た語 と同 じで あ る 。 この 語 に は 、 人 称 接 尾 辞 「彼 の」 が 付 い て い る 。 こ の 「彼 」 は 「ヤ ハ ウ ェ」 と も 「す べ て の も の(コ ル)」 と も解 釈 し う る 。 さ らに 厄 介 な こ と に コ ル は 「す べ て の もの 」、 「各 人 」、 「全 体 」 の い ず れ の 意 味 に も取 る こ と が で き る 。 した が っ て 論 理 的 に は 何 通 り もの 解 釈 が 可 能 に な っ て し ま う。 マ イ ン ホ ル トは 、 「各 人 」 「答 え」 の 組 合 せ を採 用 す るが 、そ
の 場 合 で も 「各 人 が 神 に 応 答 す る た め に」 な の か 「神 が 各 人 に応 答 す る た め に」 な の か2通 りの解 釈 の 可 能 性 が 生 じる。 神 は 万 物 を そ れ ぞ れ の 目 的 に 適 合 す る よ う に秩 序 正 し く創 造 した の 意 味 に とる こ と もで き る。 世 界 の全 体 を ヤ ハ ウェ の 目 的 に か な う よ うに造 っ た の意 味 か も知 れ な い 。 後 半 の 「災 い の 日」 は 、邪 悪 な者 が神 の 審 判 を受 け る 日の こ とで あ ろ う。 しか し、 こ こ に は 終 末 論 的 な意 味 は な い。 〈予 定 の 教 説 〉 の よ う な もの を読 み込 む こ と もで き な い 。 この 小 段 落 全 体 の文 脈 か ら判 断 す る と、 万 事 が 神 の決 定 に よ っ て起 こ る とい う預 言 書 な ど で周 知 の 思 想 を表 現 した もの と一 応 解 釈 さ れ る(ア モ ス 書3・6、 イザ ヤ書45・7参 照)。 9節 は1節 以 下 の 思 想 を発 展 させ た もの で あ る。後 述 す る よ うに こ の格 言 は 、 1-15節 の 中段 落 の 中 で 重 要 な 位 置 を しめ る。 人 間 の計 画 を ヤ ハ ウ ェ が 実 現 へ と導 い て 完 成 させ る とい うの で あ る 。 この 場 合 の 計 画 は 、 神 の 意 志 に従 う よ い計 画 で あ ろ う。 こ の格 言 と比 較 され る次 の2つ の 格 言 で は 、 人 の 思 い と神 の計 画 との 間 の 緊 張 関係 が よ り一 層 明 確 に な っ て い る 。 多 くの は か り ご と が 人 の 心 の 中 に あ る 。 だ が 、 ヤ ハ ウ ェ の 計 画 、 そ れ が 立 ち 行 く(箴 言19・21)。 ま す ら男 の 歩 み は 、 ヤ ハ ウ ェ か ら 〔来 る 〕。 ひ と が ど う し て そ の 道 を 洞 察 で き よ う か(箴 言20・24)。 N・ シ ュ パ ク に よる と、す で にエ ジ プ トの新 王 国 時 代 に 〈神 の 計 画(shrntr) 〉 と人 間 の 思 い と の 間 に は 一 定 の 緊 張 関 係 な い し対 立 関係 が 存 在 す る と い う思 想 が 生 ま れ た と さ れ る 騨 人 々 の 語 る こ と ば(=思 想)と 神 の な さ れ る こ と は 別 で あ る 。 「ア メ ン エ ム オ ペ トの 教 訓 」19・16以 下 ま こ と に 、 お ま え は 神 の 計 画 を 知 ら な い 。 だ か ら 、 お ま え は 明 日 の ゆ え に 泣 く こ と は な い 。
神 の 御 腕 の 中 に 腰 を お ろ せ 、 お ま え の 沈 黙 が 、 彼 ら を(=敵 を)没 落 さ せ る で あ ろ う 。 「ア メ ン エ ム オ ペ トの 教 訓 」22・5-8 す べ て の 人 は 、 運 命 と 神 の 手 の 中 に あ る 。 す べ て の 病 は 悲 惨 で あ る 。 だ が 、 賢 者 は 病 気 で あ る こ と を悟 る 。 す べ て の 行 為 は 、 そ の 行 為 者 に戻 っ て く る 。 神 は 心 の 中 を 見 通 す 。 …(中 略)… 神 の 計 画 と 人 々 の 思 い と は 別 の も の で あ る 。 「オ ン ク ・シ ェ シ ョ ン ク イ の 教 訓 」{25)445--451 人 の 計 画 は 成 功 し な い 。 い の ち の 主 の 計 画 は 、 ま っ た く別 の も の な の だ か ら 。 「ア ニ の 教 訓 」(26)8・9-10 こ こで 「計 画 」と訳 され て い る 語SIICは 、ほ ぼ ヘ ブ ラ イ 語 の エ ー ッ ァー(`sh) に相 当 し、 そ の 意 味 領 域 は きわ め て 広 い 。 「助 言 」 「計 画 」 「命 令 」 等 の 他 に 「考 え」 「思 想 」 「意 図」 等 を も意 味 す る こ とが で きる 。 次 に挙 げ る 箴 言 の 格 言 は、 人 間 の 知 恵 、 思 い はか り、計 画 とヤ ハ ウ ェ の そ れ との 著 しい 緊 張 関 係 を表 現 して い る。 ヤ ハ ウ ェ に 対 し て は 、 知 恵 も な け れ ば 、 英 知 も助 言(エ ー ッ ァ ー)も あ り は し な い 。 馬 は 戦 い の 日 の た め に 備 え ら れ る 。 し か し 、 勝 利 は ヤ ハ ウ エ に あ る(21・30-31)。 8節 は 〈 比 較 の 詞 〉 に属 す る。 前 半 の 「義 の う ち に あ る」 は 、「正 当 な方 法 で 獲 得 した」 の 意 味 で あ る 。 この 格 言 は 、 同様 に 比 較 の詞 に属 す る15章16 節 と比 較 され る。 内 容 的 に連 続 す る17節 と と も に 引用 す る。
ヤ ハ ウ ェへ の 畏 れ の うち に あ る僅 か な もの の方 が 、 多 くの財 宝 とそ の 中 に騒 動 が あ る よ りも よ い 。 愛 の こ も っ た野 菜 料 理 の 方 が 、 憎 しみ の こ もっ た肥 え た 牛 の料 理 よ りも よい(箴 言15・16-17)。 こ こ で は 「義 の う ち に あ る」 が 、 「ヤ ハ ウ ェ へ の 畏 れ の う ち に あ る」 と入 れ 替 わ っ てい る こ とが 注 目 され る 。 この よ うに16章8節 は 、別 の く ヤ ハ ウ ェ に 関す る 格 言 〉 と密接 に関 連 して い るの で あ る。 こ の こ と は 、 同 じよ う に富 の 価 値 の 相 対 化 に つ い て 敬 神 との 関連 で 語 る次 の エ ジ プ トの 格 言 と比 較 す れ ば 、 一層 明 らか に な る。 神 の 手 の う ち に あ る 貧 乏 の 方 が 、 倉 庫 の 中 に あ る 富 よ り も よ い 。 心 の 楽 しい 時 の パ ン の 方 が 、 悲 しみ の と も な う 富 よ り も よ い 。 「ア メ ン エ ム オ ペ トの 教 訓 」6・9 神 が お ま え に 与 え る1イ ペ トi27)は 、 不 正 に よ る5000イ ペ ト よ り も よ い 。 「ア メ ン エ ム オ ペ ト の 教 訓 」8・19-20 こ こで16章8節 で は 、 なぜ 「ヤ ハ ウ ェ へ の畏 れ の う ち に あ る」 で は な く て 、 「義 の う ち に あ る 」 が 表 現 と して 選 ば れ た の か を考 え て み よ う。 そ の 一 つ の 理 由 は 、後 半 の 「不 正 な 方 法 に よる 」 との対 照 を鮮 明 にす る た め で あ る 。 しか しそ れ だ け で は な い 。 こ こ で10節 以 下 を も視 野 に入 れ る必 要 が あ る。 10託 宣(28>が 王 の 唇 に あ り 、 裁 き の 時 に 、 彼 の 口 が 誤 る こ と は な い 。 11天 秤 と公 正 な 天 秤 皿 と は 、 ヤ ハ ウ ェ の も の 。 袋 の 重 り石 も み な 、 ヤ ハ ウ ェ の 業 。
12邪 悪 な 行 い は 、 王 の 嫌 悪 す る も の 。 ま こ と に 、 義 に よ っ て 王 座 は 堅 く立 つ 。 13義 し い 唇 は 、 王 の お 気 に 入 り。 率 直 に 語 る 者 を 、 彼 は 愛 す る 。 14王 の1責 りは 、 死 の 使 い 。 だ が 、 賢 い ひ と は 、 彼 を な だ め る 。 15王 の 顔 の 光 に は 、 い の ち が あ る 。 彼 の 好 意 は 、 春 の 雨 の 雲 の よ う だ 。 ま ず10節 か ら は く 王 に 関 す る 格 言 〉 が 並 ぶ が 、11節 に は 〈 ヤ ハ ウ ェ に 関 す る 格 言 〉 が 入 り込 ん で い る 。 古 代 オ リ エ ン ト肚 界 で は ど こ で も度 量 衡 の 操 作 に よ っ て 欺 目苗的 な 商 取 引 を 行 な う こ と は 、 神 に 許 さ れ な い 恥 ず べ き行 為 で あ る と 考 え ら れ た 。 「ア メ ン エ ム オ ペ トの 教 訓 」17・18以 下 で は 、 特 に 農 民 か ら税 を 徴 収 す る 官 吏 に 対 し て 、 天 秤 、 重 り、 容 量 升 の 不 正 な 操 作 を厳 し く 戒 め て い る(29!0正 しい 度 量 衡 を 用 い て 取 引 を せ よ と イ ス ラ エ ル の 賢 者 も 預 言 者 も く り返 し教 え て い る(箴 言11・1、20・10、23、 ア モ ス 書8・5、 ホ セ ア 書12・8、 ミ カ 書6・10以 下 、 エ ゼ キ エ ル 書45・10以 下 参 照)。ll節 の 「袋 の 重 り 石 」 は 、 行 商 人 な どが 持 ち 歩 く も の で 、 や ろ う と 思 え ば 容 易 に 操 作 で き た に 違 い な い(ミ カ 書6・11)。 「公 正 な 」 と 訳 し た ミ シ ュ パ ー トは 、 す ぐ 前 の10節 で は 「裁 き」 と訳 さ れ た 語 と 同 じ で あ る 。 こ の 語 は8節 で も 用 い ら れ て い る 。 「不 正 な 方 法 に よ る 」 は 意 訳 で あ っ て 、別 訳 す れ ば 「公 正 さ(ミ シ ュ パ ー ト)の 欠 け る 」 と な る 。 こ の 節 に は ミ シ ュ パ ー トの 類 義 語 「義 」 ッ ェ ダ ー カ ー一も あ る が 、 こ の 語 は12節 の 「義 」、 さ ら に13節 の 「義 し い 」 ッ ェ デ ク と 対 応 し て い る 。16章1-15節 の 中 段 落 の ほ ぼ 中 央 に 思 想 的 に き わ め て 重 要 な9節 が 来 て い る が 、 以 下 に 示 す よ う に こ の 格 言 を ツ ェ ダ ー カ ー と ミ シ ュ パ ー トが 囲 い 込 ん で い る 。 8節 「義 の う ち に あ る 」 ビ ツ ェ ダ ー カ ー 、 「公 正 」 ミ シ ュ パ ー ト 9節 の 格 言
10節 「裁 き」 ミ シ ュ パ ー ト、11節 「公 正 」 ミ シ ュ パ ー ト、12節 「義 に よ っ て 」 ビ ッ ェ ダ ー カ ー 、13節 「義 しい 」 ツ ェ デ ク 9節 を1-15節 の 中 心 と 見 る と 、 「嫌 悪 す る も の 」 トー エ バ ー(5節 と12 節)と 、 こ れ と は 対 照 的 な 意 味 の 「気 に 入 る 」(7節)「 お 気 に 入 り 」(13節) 「好 意 」(15節)ラ ツ ォ ー ン に 関 し て も 囲 い 込 み が 存 在 す る 。 な お 、7節 の 「気 に 入 る な ら ば 」 ビ レ ッ ォ ー トの 場 合 は 、 名 詞 の ラ ツ ォ ー ン で は な く て 動 詞 の 不 定 詞 が 用 い ら れ て い る 。 トー エ バ ー は 、元 来 、祭 儀 用 語 で あ っ て 、い わ ゆ る 〈 破 廉 恥 〉 を 意 味 す る130)0 偶 像 礼 拝 や 神 殿 男 娼(列 王 記 上14・24)、 獣 姦(レ ビ 記18・22-30)な ど に 関 連 し て 使 用 さ れ て い る 。 箴 言 で は 他 に3章32節 、6章16節 、11章1節 、 20節 、12章22節 、15章8節 以 下 、26節 、17章15節 、20章10節 、23節 に 用 例 が あ る が 、 こ れ ら は す べ て 「ヤ ハ ウ ェ の 嫌 悪 す る も の 」 に つ い て 語 っ て い る 。8章7節 で は 擬 人 化 さ れ た 知 恵 が 「わ た し の 唇 の 嫌 悪 す る も の 」 に つ い て 語 り、13章19節 に は 「愚 者 た ち の 嫌 悪 す る も の 」 の よ う な 用 例 が あ る が 、16章12節 の 「王 の 嫌 悪 す る も の 」 と い う 表 現 は 、 や や 特 殊 な 用 法 で あ る と 言 え る 。 ラ ツ ォ ー ン は 、 動 詞 ラ ー ツ ァ ー 「気 に 入 る」 「好 意 を も つ 」 か ら の 派 生 語 で あ る1310)王 な ど 人 間 が 主 語 の 用 例 も あ る が 、 注 意 を 要 す る の は 神 の ラ ツ ォ ー ン に つ い て 語 っ て い る 場 合 で あ る 。 ド イ ッ 語 で は 、 訳 語 に Wohlgefallenが 選 ば れ る こ と が 多 く、 不 十 分 で は あ る が 神 学 的 概 念 と し て も 定 着 し て い る よ う に 思 わ れ る 。 しか し な が ら 、 わ が 国 の 神 学 界 で は 明 ら か に ラ ツ ォ ー ン を 術 語 と して す ら 意 識 し て い な い よ う に 思 わ れ る 。 し た が っ て 、 従 来 の 翻 訳 聖 書 の 訳 語 に は ま っ た く統 一 性 が な い 。 こ の 語 に つ い て の 用 例 は か な り 多 い か ら 、 今 後 時 間 を か け て 精 査 す る 必 要 が あ る 。 箴 言 で は 、 し ば し ば トー エ バ ー と対 照 的 に 用 い ら れ て い る(1ユ ・1、20、12・22、15・8)。 箴 言 で は 度 量 衡 に 関 連 し て 、 多 く の 箇 所 で 「ヤ ハ ウ ェ の 嫌 悪 す る も の 」 に つ い て 語 ら れ て い る 。 二 種 類 の お も り、 二 種 類 の 升 、
こ れ ら は 、 ど ち ら も ヤ ハ ウ ェ の 嫌 悪 す る も の(20・10)。 偽 り の は か り は 、 ヤ ハ ウ ェ の 嫌 悪 す る も の 。 だ が 、 正 し い お も り の 石 は 、 彼 の お 気 に 入 り(11・1)。 こ の よ う な 用 例 を 参 照 す る と 、 箴 言16章11-12節 は 、 一 応2つ の 別 の 格 言 と見 て よ い が 、内 容 的 に は 相 互 に 深 く 関 連 し て い る 。12節 の 王 の トー エ バ ー と な る 「邪 悪 な 行 い 」 と は 、 ヤ ハ ウ ェ の トー エ バ ー で も あ る 度 量 衡 の ご ま か し に よ る 不 正 で あ る と 、読 み 手 に 強 く意 識 さ せ る こ と に な る 。12節 後 半 は 、 王 権 を 堅 固 な も の に す る の は 、 暴 力 の 行 使 で は な く て 、 社 会 正 義 の 遂 行 で あ る と い う(20・28、25・4以 下 、29・14参 照)。 一 箇 所 の み 引 用 す る 。 友 愛 と真 実(32)と が 王 を 守 る 。 彼 は そ の 王 座 を 友 愛 に よ っ て 堅 持 す る(20・28)。 12-15節 の 各 節 の ヘ ブ ラ イ語 文 は 、 次 の よ う に 「王 の … 」 とい う 表 現 で 開始 され て い る 。12節 「王 た ち の嫌 悪 す る もの」/13節 「王 た ち の お 気 に入 り」/14節 「王 の1貢り」/15節 「王 の 顔 の 光 に」。 一 連 の く 王 に 関 す る 格 言 〉 が、王 権 の 絶 対 性 を保 証 す る よ う な性 格 の もの で あ る こ とは 明 らか で あ るが 、特 に こ れ らの 格 言 の 最 後 に 置 か れ て い る15節 は、 思 想 上 、 注 目す べ き もの で あ る。 「春 の 雨 」 は 、 穀 物 の 収 穫 の 前 に 降 る 雨 で あ っ て 、 大 地 に豊 か な実 り を も た らす 。 王 の 「好 意 」 ラ ッ ォー ンが 、 こ の 雨 雲 の よ う に国 に富 と繁 栄 を も た らす と言 う。 この よ うな 王 を地 上 にお け る神 の代 理 者 と考 え る 思 想 は 、宮 廷 的 な文 体 で 書 か れ た 詩 篇72篇 の 王 へ の 祈 りを思 い 出 させ る(33)0 彼(=王)が 牧 草 の 上 に 降 る雨 の よ う に 下 り、 しの つ く雨 の よ う に地 を潤 します よ う に。 彼 の世 に は義 が 萌 え い で よ、 豊 か な 平 安 もま た 、 月 の 消 え る と き ま で(詩 篇72・6-7)。
(4)G・ フ ォ ン ・ラ ー ト=注(1127頁 。 (5}G・ フ ォ ン ・ラ ー ト=注(1)111頁 。 (61例 え ば 、神 的 実 体(Hypostase)の 概 念 を 用 い て ユ ダ ヤ 的 な 知 恵 の 思 弁 に つ い て 語 るR・ ブ ル トマ ン の 有 名 な 論 文 、 杉 原 助 訳 「ヨ ハ ネ 福 音 書 の 序 文 の 宗 教 史 的 背 景 」 『ブ ル ト マ ン 著 作 集7』 新 教 出 版 社(1982、 原 著1923)37頁 以 下 。Hans H.SchmidWesenandGeschichtederWeisheit:BZAW101(1966)は 、<世 界 秩 序 〉 と し て の 古 代 エ ジ プ ト の マ ア トの 概 念 を 旧 約 の 知 恵 に 適 用 す る 。 し か し な が ら 、 エ ジ プ ト学 者J・ ア ス マ ン に よ る 画 期 的 な マ ア ト研 究 に よ っ て シ ュ ミ ッ ト の 研 究 は す っ か り 色 槌 せ て し ま っ た 。JanAssma皿,Ma'at-Gerechtigkeit andUnsterblichlceitimAltenAgypten‐,C.H.Beck{19952) (7)G・ フ ォ ン ・ ラ ー ト=注(1)28頁 。 (8)G・ フ ォ ン ・ラ ー ト著/荒 井 章 三 訳 『旧 約 聖 書 神 学1』 日 本 基 督 教 団 出 版 局 (1980)、 『旧 約 聖 書 神 学H』(1982) (9)例 え ば 、PaulS.Ash,David,SolomonandEgypt‐AR」eassessment-,JSOTS297 (1999) !io)B・ ラ ン グ 編/荒 井 章 三 ・辻 学 訳 『唯 一 な る 神 』 新 教 出 版 杜(1994) (11)拙 論 「第 七 章 知 恵 文 学 一 知 恵 の 基 本 的 性 格 、 表 現 形 態 、 生 活 の 座 を 中 心 と し て 」 『現 代 聖 書 講 座 第2巻 聖 書 学 の 方 法 と 諸 問 題 』 日 本 基 督 教 団 出 版 局 (1996)182頁 以 下 。 (12)拙 論 「応 報 か 、 行 為 ・帰 趨 連 関 か?」 『基 督 教 学 研 究 第18号 』(1998年12月) 京 都 大 学 基 督 教 学 会 発 行 、1頁 以 下 。 f13)拙 論=注(3)182頁 以 下 。 f14)拙 論 「箴 言 」 日 本 基 督 教 団 出 版 局(2001)674-705頁 。 {15}A.Meinhold,DieSpruche,Teil1(ZiircherBibelkommentare:AT16.1)Zurich(1991} ;ders.,DieSpruche,Teil2(1991)な お 、 以 下 の 叙 述 に 際 し て 参 照 し た 注 解 書 は 、 本 誌 第26号38頁 の リ ス ト に 掲 載 し た 以 外 の も の と し て 、R.N.Whybray,Prov-erbs:NCB(1994)が あ る 。 (1G,1詳 し く は 、 拙 論 「10約 釈 義 、 箴 言5勤 勉 と 怠 慢 」 『聖 書 と 教 会 』1992年2月 号 、34頁 以 下 を 参 照 。
!17)マ ソ ラ を 直 訳 す る と 「知 っ て い る 」。15章2節 お よ び28節 を 参 照 し て 「湧 き 出 す 」 に 読 み 替 え た 。 ⑱ 拙 論 一 注(12)16頁 以 下 。 (191翻 訳 の 都 合 上 、 補 っ た 語 を 〔 〕 で 示 す 。 ⑳ 口 か ら 出 て 行 く こ と ば が も た ら す 結 果 と し て 、 食 物 を 得 て 腹 を 満 た す と い う 。 こ こ に は 職 業 的 な 教 師 の 経 験 が 含 ま れ て い る の だ ろ う か 。 な お 、 こ の よ う な 表 現 は 逆 説 的 で も あ る 。 イ エ ス が 同 じ 論 理 を 用 い た こ と は き わ め て 興 味 深 い(マ タ イ 福 音 書15・ll)。 (21)大 家 ヴ ェ ス タ ー マ ン が 、 最 晩 年 の 研 究 で 箴 言 の 格 言 は 、 本 来 、 民 衆 の 経 験 を 表 現 し た 偲 諺(Sprichwort)で あ る と 執 拗 に 繰 り 返 し て い る こ と は 、 注 目 に 値 す る 。C.Westermann,ForschungsgeschichtezurWeisheitsliteratur1950-1990,Calwer (1991) 画H.Gressmann,AltorientarischeTextezumAltenTestament,Berlin(1926)459.お よ び 杉 勇 訳 「賢 者 ア ヒ カ ル の 言 葉 」 『古 代 オ リ エ ン ト集 』383頁 を 参 照 。 ㈱ 「ア メ ン エ ム オ ペ ト の 教 訓 」 か ら の 引 用 に 際 し て は 、 屋 形 禎 亮 訳=注{3似 外 に 、 H.Brunner,DieWeisheitsbucherderAgypter,ArtemisVerlag(1991)234ff.1. Shirun-Grumach,DieLehredesAmeuemope,in:WeisheitstexteII,TUATBand111/2 (199ユ)222ff.を 参 照 し た 。 (2sllNiliShupak,WherecanWisdombefound?‐TheSage'sLanguageintheBibleand inAncientEgyptianLiterature‐:OBO130(1993)367. ㈱ こ の 文 書 は 、1955年 に は じ め て 知 ら れ る も の と な っ た デ モ テ ィ ッ ク 文 学 で あ る 。 引 用 に 際 し て は 、H.Biunner一 注(23)257ff.杉 勇 訳 『古 代 オ リ エ ン ト集 』560頁 以 下 の 他 に 、H.J.Thissenの 訳(TUArBand皿12,251ff.)を 参 照 し た 。 (zs)H.Brunner=注 ㈱209.こ の 文 書 は 、 第18王 朝 時 代 の ア マ ル ナ 時 代 よ り も 前 に 成 立 し た と さ れ る 。 公 的 生 活 の み で は な く私 生 活 に も 関 心 を 示 し て い る 。 書 記 を 養 成 す る た め の 学 校 の 教 材 と し て 用 い ら れ た 。 伽 穀 物 の 容 量 を 測 る 単 位 。1イ ペ ト は 約18リ ッ トル 。 ㈱ ケ セ ム は 、 他 の 箇 所 で は 「占 い 」 な ど 否 定 的 な 意 味 合 い で 用 い ら れ て い る が 、 こ こ で は 神 意 に か な う 判 決 の 意 味 で 肯 定 的 に 用 い ら れ て い る 。
`抽 信坤 働 卿 屋 形 禎 亮 訳=注 制555頁 以 下 を参 照 。 」¢r}ni1W¢5【㎝ 皿n.ThH!¥r臼d.皿,1051π: =注 聞910Eな お 、この語 に対晦 す る ギ リシャ語 はエ ウ ドキ ァ{ξ お 郎 面)で あ る4 へ 七 ドと エ メ トの 賠 の 結 合 は 、 蒔 鯖 で 周 知 の も の で あ る が 、 箴 言16・6、3・5 に も 見 ら れ る。 拙 論r時 篇 注 解 」 リ ー フ ・バ イ ブ ル ・コ ン メ ン タ リ ー シ リ ー ズ 、 日本 晶 督 教 団 出 版 局 〔1992)123頁 以 下 参蝋 。