松本歯学6:179∼188,1980
積分球標準光源に関する研究
松本歯科大学
橋 口 綽 徳
松本歯科大学 陶材センター(主任 橋口縛徳 教授)
A Study on the Standard Source Light in the Integral Calculus Globe
H I R O Y O S H I H A S H I G U C H I
Poreclain Center,Matsumoto Dental College
( C h i e f : P r o f . H . H a s h i g t e c h i )
Summary
For the dental clinic, the accurate evaluation of color tones of the teeth and of the oral mucous membrane is very significant. Using Model SF65 D−A and a large integral globe model, made by the author, the inner illuminance was measured. The result that the source of light within the integral calculus globe and the reflection were soft and homogeneous was successful、 The details were as follows: 1)On the integral calculus globe Model SF65 D−A, the average value of the source of ロlight D65 was 1176 Lx, and the average value df the source of light A was 838 Lx. The average value of D 65 and A together was 2020 Lx. The illuminance was homogeneous on all parts. 2)D65 was a daylight lamp and A was reddish one. By adding light A to light D 6s,a reddish daylight, being diffUsed and soft, was obtained. 3)The reflection light on an integral calculus globe model, painted the surface with atitanium−dioxide(rutile type)emulsion paint, from ll lamps was 1500∼2000 Lx and was completely diffused and homogeneous. 4)The integral calculus globe did not cause any special noise but a little resound was felt at the center. 5)The calculation fomula of the illuminance in the integral calculus globe is一一晶b2・・鱗;;≡i;;;)
and with the exceptien of the places near the wall, the illuminance is approximately homogeneous. 6)Based upon above mentioned results a clinic room in an integral calculus globe 本論文の要旨は第8回松本歯科大学学会例会(昭和54年6月14日)において発表された.(1980年11月8日受理)titanium−dioxide(ruti】e type)emulsion paint will be painted. As a result, the source of light will be a soft and homogeneous reflection light. 1.はしカS’き 歯牙及び口腔内の粘膜の色調を正確につかむこ とは,日常臨床にあたる歯科医に要求されてくる 重大な課題である. 色彩自体の表現方法は,現在では色相,彩度, 1 明度の三っの組合せとして,1931年CIE(Com− mission Intemational de Leclairage)で決定され たXYZ表色系,また1948年R. S. Hunterが提案 したものでHunterのLab表色系,あるいは1964 年CIEの推奨され, JISにも規定された等色差空
間のUVW表色系がある.私は先にCIEに基づ
く三刺激値XYZ表示方法によるMicro Colour Computer I型, II型, III型を考案し,その器械に よって,Shade−Guide 32種類の陶歯と松風既製陶 歯を測定し2),次いで抜去歯牙の歯面の色を数値 によって判定,また健康歯とCariesの診断方法 3),次いで口腔内の各部位における色彩に関する 研究4}を行なった.その結果,Shade Guideの測 定に於いて表わされる座標曲線および分布状態 に自然歯測定の分布状態は一致をみなかった. すなわち,この両数値の対応を行なって見た結果 は,Shade Guideにみられるグラフ状に移行する 数値と,自然歯の測定値の座標とは全く一致した 値を見つけ出し得なかった.光は直進し物体に当 ると物を通過,その物体の種類構造によって屈折 があり反射がある.歯牙とShade Guideではその 構造がちがうゆえに勿論光の状態もことなるのは 当然である.現段階においては歯牙の構造上と Shade Guideの構造上の問題,透過度,屈折率の 問題が解明されなければ数値的な測定値の比較は 不可能という結論に達した.一方眼の構造に関し ては,1604年Johanns Kepler 5)∼7)がCamera obscuraであることを発表してから200年間視覚 理論らしい文献を見ない.すなわち遠近調節は水 晶体の曲率を変化させて焦点距離を調節する事が 出来るということをThomas Youngが発見する まで(1793)2世紀を要した.今世紀に入って, 人間の眼は瞳孔が収縮したり,拡大して網膜面の 調節をするフィールドパック自動制御方式である 事が発見され,カメラに応用されエレクトリック アイ機構の実現を見るに至った.しかし眼には明 順応と暗順応があって人間の眼のLatitudeはせ いぜい自然光の約80dDに及ぶ範囲の照明水準の 変化に順応するにすぎない.人工光源においては このLatitude外にあるので,眼にはキラキラとま ぶしさを伴う.そこで私は歯科診療室での眼の衛 生に主きを置き,また眼での色の判定の条件を一 定に整えるため積分球標準光源による完全拡散照 明光を考え,快適な診療行為の出来るよう,また 人間の眼でより良く色合わせが出来るよう積分球 の模型を作り実験し積分球診療室を作製して見 た. 2.光源について ①白熱電球8レ 白熱電球は1802年Humphry Dauyが白熱現象 を実験で行なったのが始まりで,De la Rueにょ り1820年∼1840年白金コイルを使用した白熱電球 が試作された.その後,炭素電球,真空炭素電球 が研究され,1879年には40時間光り輝く,電球の 実用化が始まった.その後,炭化したフィラメン トの改良研究がなされ1897年Walter Nernstが 酸化ジルコニウムを主体とした混合発光体でネル ソン燈を発見した,その後,オスミウム,タンタ ル,ジルコニウム線を使用した電球が発見された. 1906年Alexander JustとFraug Hanamannに よってタングステンフィラメントを使った,タン グステン電球が発表され,1913年のガス入り電球 の端緒を作った.電球が明るくなると,ランプの 輝度が高くなりまぶしくなる.これをやわらげる には内面につや消しをした電球が1925年不破橘三 とMaruin Pipkinにより研究された.その後,白 熱電球の実用化,電球の効率,フィラメントにつ いて研究がなされ,1959年にGeneral Electric Co.のE. G. ZUblerが石英ガラス球内のタングス テンフィラメントを使用して不活性ガスとともに 微量のよう素を封入した両端子形のよう素電球を 初めて実用化した.その後,よう素電球は臭素 (Br2)塩素(C12)および化合物などにおきかえら比 子 不 ノレ ギ 1
500 600
波長〔nm〕
図1:標準の光A,B, Cの分光分布16) 松本歯学 6(2)1980 れハロゲン電球として発展した. ②標準光源について 1931年のCIE(国際照明委員会)において,色 を議論する照明光として,4種類の標準光源を決 定した.すなわちA,B, C, D光源である. A 光源は色温度2856°Kのガス入りタングステン電 球で規定された電圧で点灯した状態の照明で,B 光源は特別に定められたフィルターをかけて色温 度4870°Kでちょうど平均的な正午の日光に当 る.C光源はA光源にBの場合よりさらに青味の ついたフィルターをかけて作製した光源で色温度 6740°Kである(図1).これは北窓光線と同じで 一般には自然光に最も近いと信じられているが, エネルギー分光分布はかなり異なっている.D光 源はまた別のフィルターをかけて,温度6500°K にした光源で日中の平均の光を表わすものとして 最も重要な照明と思われる.現在では,主にA光 源とD光源が代表光源として使用されている. ③A光源について 電球の種類には,一般照明,自動車,投光映写 真,赤外線,測光用標準電球がある.測光標準と しては,均一性と安定性が要求されている.測光 用標準電球としては,全光束測定用,水平光度測 定用があり,単コイル平面形フィラメン5を用い ている.また,光高温度用は光高温度計の示度検 査用に使用されるもので,温度による特性変化を 少なくするために,特殊な形状に成形して,ガラ ス球による射像と重ならないように型付けしでい る.測光用標準電球はCIE色度測定用A光源電球 30 25 20 150 300 400 500 600 700 図2:白熱電球色ランプの分光分布15) 300 400 500 600 700 図3:昼光色螢光ランプの分光分布15) ※縦軸:分光放射束〔μW/10mm/lm〕 横軸:波長[nm〕 で,CIE色度測定用A光源が指定されている.今 日ではハロゲン電球が一般に使われている(図2). ④螢光ランプについて 螢光ランプは今や白熱電球にとって変らんとす る勢いで照明光源の主役になっている.点燈装置 を必要とするという欠点以外には,効率が高いこ と,光が拡散光で柔らかく,線光源で光の分布が 一様であり,照明器具によっては広く面光源にも 利用出来ること,寿命が長く,熱対射も少ないな ど,よい事ずくめである.螢光ランプには昼光色 (D),白色(W),温白色(WW)の3種類があ り,色温度は昼光色が6500°K 白色が4500°K 温白色には3500°K,3000°Kの2種類がある.JIS およびCIEでは色度図上での色度許容範囲が規 定されている. ⑤昼光色D,D65光源について 多くの自然昼光の分光分布の実測値から統計的 処理によって定めた分光分布で高効率形の明るさ と経済性に富み一般の事務所,工場,家庭の門灯 などに使用され太陽の日中の光に似ている.昼光 色(D)は標準光源であり,合成昼光ともよばれ る.D65はCIEの標準光源である(図3). ⑥積分球の球面内の相互反射9} 反射率が一様な完全拡散性の球面内に光源を置 くとき,球面上の1点(x)における照度E(x)は, 光源の直射照度E。(x)と球面内の相互反射によ図4:球面内の相互反射図 る相互反射照度E々との和 E(x)=Eo(x)十E々 である.直射照度E。(x)は一般には球面上の位置 に無関係に一定となる.球面全体の光度は半径R, 球面の反射率ρ,光源の全光束をF,光源から受け る照度E。Cv),球面上の1点P(y),を含む微小面 dSとすると
E一ζ五恥)・・一ξ・
で,第1回の反射度は,球面上P,Qの位置には 無関係に一定である.そこで第2回の反射による 直射照度E、は,式中のE。(y)の代わりにE,を置 き換えれは E・一ξf. ・,dS−9t・ となり,同じようにして第3回,第4回,……第 n回の反射による直射照度E,E、……Enはそれぞ れ瓦÷,瓦÷・……・・En一ご・
したがって相互反射照度E々は,反射回数をn →∞とする直射照度の無限級数E・一ぷ一鷺ρ〃一ξ(1与
となり球面上の位置には無関係に一定である. したがって球上の1点における全照度E(x)は・・…−E・・…1(1≒・
となる(図4). 3.実験,ならびに考案方法 まず初めに,①積分球標準光を調べるために MODEL SF65PtA型(スガ試験機製作)(図5, (内面硫酸バリウム塗布) 図5:構造 試料 図6 SF65D−A型 図6)を使用し,大型模型積分球内で光源点灯し て,完全拡散照明光を作り,各部分(内部5ケ所) を選定し(図10)の光量を測定してみた.光源に はCIEの決定に基づく, D65光とA光源を使用し た.照度計は横河電機製の法定照度計3284を使用 した. 仕様 (1)色温度:約6500k (2)試料面照度:約1000Lx (3)試料台寸法:約幅450×奥行360(mm) (4)外形寸法:約幅760×奥行700×高さ 830(mm)1
1 平 面 図 | 1 sひ 8 べ.. 璽 E 蔓 ・ i 正 面 図 図7 積分球診療室模型 (5)内面に硫酸バリウム塗布 ②次いで積分球の小型模型(図7,図8,図9) を作製して見た. 照明室内寸法一床はφ1500mm,広さが1,766 M2 C高さは部屋の中央で1000 mmで直径は積分 球診療室の約1/3(内径はφ1430mm,表面積 1/5)のものであり,球型で白色塗料と,ルチー ルタイプ酸化チタン工業学的白色塗料を内装し た.まず,ガラスファイバー積分球原型時に,照 度計(横河電機製の法定照度計3284)で照度を, 騒音計で騒音を測定し,白色塗料で塗装した後φ 5mmの穴を多く開け,照度と騒音を測定,ルチー ルタイプ酸化チタン工業学的白色塗料で塗装した 後,照度と騒音を測定した.光源はCIEの決定に 基づくD65光に最も近似した標準光源を,積分球 内に点灯し,完全拡散照明光を作った. 騒音はその後外壁に吸音材(アコスティック シート)を張った後と,3回にわたり Jeic製 Sound Level Meter Type 1015で,’sサクラガサ イタ”と“アイウエオ”の会話と小型エンジン機 械を回転させ騒音を測定した. 図8:積分球診療室模型(%) 図9:積分球診療室模型 (吸音材外壁貼) 4.実 験 成 績 1・積分球模型SF65D−A型の室内照度を5ケ所 選定(図10参照)測定したところD、、点灯の場合 Ocm(底面)では1100 Lx∼1170 Lxの間にあり 平均値は1144Lxであった.20 CInの位置の照度 は1190Lx∼1230 Lxの間であり,平均値1208 Lxであった・A光源点灯ではOcm(底面)では, 770 Lx∼880 Lxの間にあり,平均値820 Lxであ り・20cmでは830 Lx∼870 Lxの間にあり平均 値は856Lxであった. D65とA光源を同時点灯す るとOclnでは1860∼2000 Lxの間にあり,平均. 値は1954Lxであり,20 cmでは2050∼2080 Lx の間にあり平均値は2058Lxであった(表1). 2.積分球模型%を作製して室内の騒音を測定し て見ると,会話サクラが咲いたでは,模型原型の 場合71∼77dBの間にあり,模型内に硫酸バリウ ムを塗装した場合は65∼78dBの間にあり,吸音 材をはった場合は66∼73dBの間にあった.アイ(硫酸バリウム内装) 測定位置 測定高さicm) iLx)D65 A(Lx) D65十A iLx) ① 020 1,150 P,200 880 W70 2,000Q,050 ② 020 1,150 P,210 820 W70 Q,0801,960 ③ 020 1,150 P,190 800 W70 1,950Q,050 ④ 020 1,100 P,230 770 W30 1,860 Q,060 ⑤ 020 1,170 P,210 830 W40 2,000 Q,050
0㎝の平均値
1,144 820 1,95420㎝の平均値
1,208 856 2,058 平 均 値 1,176 838 2,006 ×5Nol
×
x4
叉r▲叉
、 ノ 、 ! 、 、、_一ノノ 図IO:積分球模型SF65D−A型における明 度の測定位置 ウエオの場合は無処理74dB,塗装時70∼73 dB, 吸音材をはった場合64∼74dBの間であった.対 照として積分球外の騒音はサクラが咲いたは63 ∼75dB,アイウエオの場合68∼72 dBであった (表2). 3.積分球診療室模型原型の照度を測定してみる と中央の部分の床は2,400Lxで,周床は2,200 Lx であり,2,200∼2,400Lxの間にあった.一般診療 室内の光は最も明るい所で900Lxである(表3). 4.積分球診療室模型の原型を騒音の関係でφ5 mmの大きさに多く穴をあけ,その上に白ペンキ を塗り照度を測定した結果,床から20cmの高さ 間の光量は1,600∼1,950Lxの間にあり,平均値 は1,759Lxであった.30∼50 cmの高さ間では 1,650∼2,150Lxの間にあり,平均1,875 Lxで あった.60∼80cmの間では1,750∼3,000 Lxの 間にあり,平均2,493Lxであった.又,床上では 1,600∼1,800Lxの間にあり,平均1,712 Lxであ り,30cm(診療位置90 cm)の高さでの照度は 1,650∼1,980Lxの間にあり,平均値は1,866 Lx であった(表4). 5.次いで積分球診療室模型の内壁にルチールタ イプ酸化チタン工業学的白色塗料を塗装し照度を 測定した結果,床から20cmの高さ間の照度は 1,950∼2,200Lxの間にあり,平均値は2,107 Lx であった.30∼50cmの高さ間では2,050∼2,450 Lxの間にあり,平均2,217 Lxであった.60∼80 表2.積分球診療室模型内騒音計測値(単位dB) 直径1/3(内径φ1,430mm) 表面積1/5 模型内無処理 模型内h装
模型内z音材 積分球内会話 サクラが咲「た
Aイウエナ H.H.71∼74 m.S.76∼77 f.0. s.M. m.A.74 i.A. s.M. 74∼78 V5 U5 V3 V3 V0 73 V4 V2∼74 U6∼69 V2∼74 V2∼74 U4∼67 無 負 荷 演ラ(ラウン hバー) 演ラ(カーポ 宴塔_ムポィ 塔g) 74 V6 V4∼77 72 V1∼73 V1∼76 74 V2∼76 V3∼77 表3.対照積分球外(ラウンドパー−70∼74) T.M H.H G.0 サクラが咲いた 63 75 71 ア イ ウ エオ 68 71 72 積 分 球 一般診療室 積分球診療室模型内の光量 ’ (単位=Lux)周床2,200Lux
中央2,400Lux
900Lux表4.積分球診療室模型の室内照度(1) (内壁に白ペンキ塗料塗装) 位置
bウ
i㎝) 1 2 3 4 5 0 1,760 1,600 1,800 1,750 1,650 10 1,750 1,600 1,850 1,830 1,700 20 1,850 1,600 1,900 1,950 1,800 30 1,900 1,650 1,900 1,980 1,900 40 1,960 1,700 1,800 1,900 1,700 50 2,040 1,750 1,900 2,150 1,900 60 2,220 1,750 2,500 2,650 2,700 70 2,400 1,800 3,000以上 3,000以上 3,000以上 80 2,400 不可能 不可能 不可能 不可能 数字はLxを現わす 表5.積分球診療室模型の室内照度(2) (内壁にルチールタイプ酸化チタン工業学的 白色塗料塗装) 位置 ai㎝) 1 2 3 4 5 0 2,100 1,950 2,100 2,ユ00 2,050 10 2,150 2,000 2,150 2,150 2,100 20 2,200 2,000 2,200 2,200 2,150 30 2,250 2,050 2,200 2,200 2,200 40 2,300 2,200 2,150 2,100 2,100 50 2,450 2,200 2,350 2,200 2,300 60 2,500 2,250 2,800 2,700 2,750 70 2,550 「 2,300 3,0(X〕以上3,㎜以 3,㎜以上 80 2,550不可能 不可能 不可能 不可能 数字はLxを現わす cmの高さ間では2,250∼3,000 Lxの間にあり,平 均2,673Lxであった.又,床上では1,950∼2,200 Lxの間にあり平均2,060 Lxで,30 cm(診療位置 90cm)の高さでの照度は2,050∼2,250 Lxの間に あり,平均値は2,180 Lxであった(表5,図12). 6.積分球内の照度の物理学的観察(図13). ・(の一∬二・・R・…Rd・一∬
dθ2πIR2 sinθ R2十4z十2R2 cosθj
…Lr______________
0 10 20 80 40 50 60 70 床からの高さ一一一 (個) 図ll:積分球診療室模型の室内照度 (内壁に白ペンキ塗料塗装) ’°°k_____.
0 10 20 30 40 50 60 70 80 床からの高さ Ca)一 図12:積分球診療室模型の室内照度 (内壁にルチールタイプ酸化チタン 工業学的白色塗料塗装)一2;R・・ぱ)
球の中心0から垂直にeだけ下がった点へ,その 点を通る水平面の上部の球面から与えられる光に よる照度Eupと下部の球面から与えられる照度ECoは
1 Eup =EQo=−E(2) 2 球の中心0からhだけ下がった位置にある水平面度はみな等しい.図のrとhで決まる1っのリング上 における照度E(h,r)は E・(・,r)一
リ1・(:票)
h=aR,_b暦・−b/膏R
Rsm
まるリング上の照度E(a,b)は ・(…b)≒≒、tn(}+iiiii…裟)
の式であらわされる(図14,表6). 、一∼._旦二聖レノ 図13半径⑫=CRの球面上の任意の一点P 図14 での照度E(の E(a,b)− ≠Q+…芸ぴ表6:積分球内の照度
i・(十till=31 Zi≡il・il;) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0 4π1 4.0547π1 4.0134π1 4.1269π1 4.2365π1 4.3944π1 4.6210π1 4.9560π1 5.4931π1 6.5432π1 0.1 4.0134π1 4.0269π1 4.0683π1 4.1404π1 4.2505π1 4.4084π1 4.6354π1 4.9710π1 5.5086π1 6.5611π1 0.2 4.0547π1 4.0683π1 4.1100π1 4.1828π1 4.2932π1 4.4524π1 4.6805π1 5.0174π1 5.5574π1 6.6127π1 0.3 4.1269π1 4.1404π1 4.1828π1 4.2562π1 4.3675π1 4.5285π1 4.7586π1 5.0990π1 5.6429π1 6.7052π1 0.4 4.2365π1 4.2505π1 4.2932π1 4.3675π1 4.4810π1 4.6438π1 4.8771π1 5.2212π1 5.7716π1 6.8417π1 0.5 4.3944π1 4.4084π1 4.4524π1 4.5285π1 4.6438π1 4.8097π1 5.0476π1 5.3976π1 5.9562π1 7.0391π1 0.6 4.6210π1 4.6354π1 4.6805π1 4.7586π1 4.8771π1 5.0476π1 5.2910π1 5.6486π1 6.2186π1 7.3175π1 0.7 4.9560π1 4.9710π1 5.0174π1 5、0990π1 5、2212π1 5、3976π1 5.6486π1 6.0177π1 6、6008π1 7、7232π1 0.8 5.4931π1 5.5086π1 5.5574π1 5.6429π1 5.7716π1 5.9526π1 6.2186π1 6.6008π1 7.2071π1 8.3583π1 0.9 6.5432π1 6.5611π1 6.6127π1 6.7052π1 6.8417π1 7.0391π1 7.3175π1 7.7232π1 8.3583π1 9.5545π1松本歯学 6(2)1980 5.総括並びに考案 人間が火を発見してから何10万年の歴史を経 てきている.燈火の歴史は人間社会の歴史そのも のである.照明があらゆる科学,工学医学に取入 れられ確立されたのは今世紀に入って電燈が現わ れてからである.火の発見の初期においては狩猟, 調理,時には戦闘に用いられてきた.19世紀末か ら20世紀にかけて石油ランプとガス燈が発明さ れ照明は世の中でクローズアップされだし,その 上白熱電球の発明と電気技術の発達は電気エネル ギーの光エネルギーへと変換する大いなる役割を はたしてきた.一方,電球の普及はめざましく, 幾多の改良進歩が加えられ,世の中は20世紀の半 ばまでに白熱電球に移行した.また放電ランプも 19世紀の初頭に現われ,実用的に普及をみたのは 1920年頃G.Claudeのネオン管が始めてで,その 後封入ガスの種類を加え光の色彩も豊富になり, 今世紀半ぽ以後の光ランプにより放電ランプが普 及するに至った、以上のような発達の段階で,社 会の機構,生活様式,光に対する親和感のために 多種多様の選択が行なわれた.それに高度の科学, 生産技術,照明器具,測定器の発達に伴って種々 変化発達した.それに加え照明設計理論の発展, 生理学的研究,心理学的考え方の変化発達と相 まって今日の様な照明工学が確立され,体系化を 見るに至った.照明工学の理論と技術は,自然科 学と共に近年100年の間に驚くべき発展をなしと げ,電気は安定したエネルギー供給,発光とその 制御,測定などに欠かせないものであり,最たる 機能として照明の源となった.照明の人に与える 重要な影響力の一面である快・不快に関する生理 的,心理的効果については未だ不明な点が多い. 外界の刺激に対する人間の感受性,情報処理がど の様に行なわれているかは未だに判明していな い.特に人体にきわめて強い関係を持つ医療に関 して照明とのかかわり合いは,不明な点が多くこ れを解決するのが急務と言わざるを得ない.また 特に歯科医学においての心理的な影響効果につい ては,奥行きの深い問題を残している. 歯科診療室の照明は,それにたずさわる人達と, 患者がお互いに快適な治療を施し得られる様設計 されるべきである.また作業的に十分に最も敏速 適切に活躍できる様照明は全般的に明るくしなけ ればならない、積分球模型の基礎的実験では,歯 科治療作業位置において,1500∼2000Lxの照度 を得る事ができた.歯科治療は最近予約診療が多 く,長時間作業をしなけれぽならないため,照明 器具は拡散性の高いものを使用し,軟らかい光を 得る様努力すべきである.均一な軟らかい光を得 るには,積分球の中に光源を置くのが最も良く, 法則にも示したごとく,反射率が一様な完全拡散 性を得ることができる.ただ診療室の床の位置, 積分球をどこで切るかが問題であるが,基礎実験 では作業位置においては均一になる事がわかっ た.また,積分球の中に搬入される医療機器具の 大きさ,形,色が問題であると思う.歯科診療室 内では精密な作業が強要されるので無影である事 が望ましい.さらに,照明光線に含まれている熱 線をできるだけ除去するためにハロゲン光源(A 光源)多燈式が良く,配光の優れた演色性の良い 螢光燈,特に昼光色D光源,CIEに基づくD65光 源が最適であると判明した.一方,歯科の診療に おいては歯牙全体の歯冠色を考察したり,歯牙の 表面から反射する光の影響,それを補綴する Porcelain類の製作や,口唇の色,皮膚の色との関 係,年齢的な歯の色相,明度,彩度の表現,また 充填物,補綴物等との関係等複雑な様相を呈して いる.色は光による網膜の感覚であるといわれる 様に,人間の色感覚によって個々に感受されるの であるから,常に一定の均一な標準光が必要であ る.以上総括すると,積分球標準光源の実験とし て使用したMODEL SF 651)−A型は,完全拡散 照明光を作り得た.日中,屋外で観察するときの 条件を忠実に再現する事ができ,D65光により自 然に近い影の無い昼光が得られる事がわかった. 積分球診療室を製作するにあたり,歯科診療内で の色合せに最適である事の足がかりが得られたと 思考する.また積分球診療室の模型(1/3の大き さ)では,歯科診療作業位置で,均等な1500∼2000 Lxの拡散された軟らかい,無影の光を得る事が でき,最初懸念した騒音も無く,長時間の診療と 精密な作業に快適な環境を作りだすのではないか と予想できた.塗料としては拡散性があるルチー ルタイプと硫酸バリウムが最もすぐれている事が 判明した.積分球内の照度は物理学的計算による と,どの点をとっても均一であるが積分球診療室 内では壁の近く以外はおよそ均一であることが
6.結 論 積分球内の光源および光の反射は,均等な軟ら かい光であることがわかり,MODEL, SF 65 D−A 型と,大型模型積分球模型を作製して内部の照度 を測定したところ, 1)MODEL, SF 65 D−A型積分球で, D65点灯平 均値1176Lxであり, A光源では838 Lxの平均 値であり,D6にA光源を加えると2020 Lxにな り,各場所で均等な照度が得られた. 2)D65光源は昼光, A光源は赤みの帯びた光で, D光源にA光源が加わると昼光色に赤みの加わっ た拡散された均等な軟らかい光が得られた. 3)次いで積分球模型を作製してランプ台11基に 昼光色ランプを取付け,積分球の表面に,ルチー ムタイプ酸化チタン工業学的白色塗料を塗布,そ の反射光を調べたところ1500∼2000Lxの完全 拡散された均等な照明光を得ることができた. 4)積分球の騒音はあまり気になる様な条件は出 なかったが,中央部においていくらかの反響を感 じ取った. 5)積分球診療室の照度は 2πI E(a,b)= ・ a2十b2−a2b2 ㍑G奎i;圭;導1;) の式で表わされ,壁の際以外はおおよそ均一な照 度であることが判った. 6)以上の事柄を総合して,積分球診療室を作製 する事に決定した、光源はD6s,昼光色, A光源を 取付ける事とし,内面にルチールタイブ酸化チタ ン工業学的白色塗料を塗布,反射光による軟らか い均一な光源とする事とした、 稿を終わるにあたり御協力いただきました松 本歯科大学 大島和成教授(物理学),味木 博 教授(数学)に深甚なる謝意を表します. 43. 2)橋ロ紳徳,須賀長市,益田善任,平川昭二(1980) 口腔内の色彩に関する研究,第1報 歯科用マイ クロカラーメーターの考案と陶歯の色の測定,松 本歯学,6:59−67. 3)橋口紳徳,神津瑛(1980)口腔内の色彩に関する 研究,第2報 抜去歯牙の色彩,松本歯学,6: 68−73、 4)橋口紳徳,田村睦,長野朱実,須賀長市,益田善 任,平川昭二(1980)ロ腔内の色彩に関する研究, 第3報 口腔内の測定値.松本歯学,6:74−80. 5)Wyszecki, G. and Stiles, W.(1967)Color Seien− ce, John Wiley&Sons. 6)Judd, D. H. and Wyszecki, G.(1975)Color in Business, Science and Industry 3 rd ed, Jo㎞ Wiley&Sens. 7)金子隆芳(1978)色の科学.みすず科学ライブラ リー4,東京. 8)日本電球工業会編(1942)日本電球工業史. 9)重台五郎(1978)基礎照明工学,東明社,東京. 10)Baumgratner, W. J., Weis, R. P. and Reyher, J. L,(1969)The diagnostic value of redness in− gingivitis. J. Perodont.37:294−297. 11)Comlnitte on Colorimetry Optical Society of America(1953), The Seience of Color Thomsy. CrowellCo, New York. 12)須賀長市(1977)耐候光と色彩.スガ試験機株式 会社,東京. 13)茶木清(1979)色の測定にっいて,DE,50:34−39. 14)川上元郎(1978)色の常識,日本規格協会,東京. 15)照明学会編(1979)Lighting Handbook,オーム 社,東京. 16)大山松次郎(1980)新編照明講義案(第2版),オー ム社,東京. 17)小堀富次雄(1977)照明システム基礎と応用,東 海大学出版会,東京. 18)角取猛司(1978)照明設計の実際と考え方,東京 電機大学出版局,東京. 19)奥田毅,真室哲雄(1971)基礎物理学中巻,内田 老鶴圃新社,東京. 20)橋口緯徳(1980)積分球標準光源に関する研究会 松本歯学,6:123. 参 考 文 献 1)Wyszecki, G.(1970)Development of New CIE