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地域特性に即したインフォーマルケアの実践課題抽出の試み(1)―高齢化が進む大都市近郊の春日井市S地区での調査から―

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日本福祉大学社会福祉論集 第 125 号 2011 年 9 月 要 旨 目的:本論文は, 昭和 30 年代後半から急速に大規模住宅開発がなされた名古屋市近郊 の勤労退職者が多い春日井市 S 地区での, フォーマルケア (以下, FC) の概況ととも に新たなインフォーマルケア (以下, IC) の展開を中心にした地域ケアの取り組みの 現状と課題を明らかにすることが目的である. 方法:S 地区に関わる FC 関係者, IC 関係者への詳細なヒアリング調査を踏まえて, その中心的な関係者 8 名を参加者として, 2 回にわたってフォーカスグループ面接を行 い, その結果を妥当性と信頼性の高い方法により分析した. 主な結果:1) FC で不十分な点として, ①情報周知方法, ②介護保険サービスの内容 と利用回数の制約などがある. 2) IC で取り組む課題として, ①FC では対応できない 柔軟で細かな生活支援, ②認知症高齢者への地域での理解と協力, ③小地域ごとのサロ ンや居場所づくり, ④ひとり暮らし高齢者等への見守り・雑用サービスの拡大, ⑤地域 での多様な取り組みの方法と体制の整備があげられた. また, S 地区のボランティア団 体や NPO が FC では対応できない柔軟で雑多な生活支援を展開していることが, ヒア リング調査およびフォーカスグループ面接を通して明らかとなった. 新たな IC 展開に 向けて, 市社会福祉協議会が, 地区社会福祉協議会や多様な IC 活動をどのように支援 し, 地域の福祉的課題や生活課題に対応していくかが今後さらに重要になってくる. 今 回のフォーカスグループ面接では, NPO, 地区社会福祉協議会, ボランティア団体と

地域特性に即したインフォーマルケアの

実践課題抽出の試み (1)

高齢化が進む大都市近郊の春日井市 S 地区での調査から

民恵子

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いった様々な関係者が集まり, 「横串」 を通して連携していくことの必要性が確認され た. フォーカスグループ面接の場自体が, これらの異なる活動主体が連携・協働できる 可能性があることを示唆している. キーワード:フォーマルケア, インフォーマルケア, ボランティア活動, フォーカスグループ面接, 地域ケア

1. 研究の背景と目的

インフォーマルケア (以下, IC) に関する近年の研究では, 地域ケアシステム及びケアマネ ジメント実践におけるインフォーマル・サポート・ネットワークの現状把握を行ったり (竹内, 2009), 地域における総合的なマネジメント機能を展開するために求められる地域包括支援セン ターとフォーマルケア (以下, FC) の連携の在り方についての調査 (全国社会福祉協議会, 2007) を通して, FC の特性を踏まえた連携の必要性が示されている. また, 平野 (2008) は, IC を中心とした地域の活動は, 単なる非制度としてはとらえきれない独自のフォーマルな内容 として持続している面がある一方で, 地域福祉計画策定のような行政化という意味でのフォーマ ル化も進んでいると指摘している. しかし, IC と FC の協働の取り組みの現状と課題について, 地域の特性と状況に即した分析は十分には行われていない. そこで本研究では, 春日井市 S 地区を対象地域に, 地域の特性と状況に即した分析を通して, 同地区での新たな IC の展開を中心とした地域ケアの取り組みの現状と課題を明らかにすること が目的である. さらに, 地域福祉研究において必ずしも十分ではない実証研究法を活用するとと もに, その結果を地域福祉の実践につなげる方法を開発するという方法上の目的も設定している. なお, 本研究では, FC とは, 介護保険などの制度化された行政・民間事業者によるサービス, IC とは, 家族・地域住民・ボランティア団体等による制度化されないケア・支援を指している. なお, 行政から委託された社会福祉協議会によるサービスは FC と見なし, NPO による制度化 されないケアや支援は IC と見なす.

2. 研究の対象と方法

 春日井市 S 地区の特性 対象地域は, 昭和 30 年代後半から急速に大規模住宅開発がなされた名古屋市近郊の勤労退職 者が多い春日井市 S 地区である. 春日井市は, 昭和 33 年新市町村建設促進法に基づき, 東部の 高蔵寺町と坂下町を合併し, 高蔵寺ニュータウンおよび周辺地域での住宅開発が進み, 平成 13 年 4 月には特例市となり, 名古屋市近郊の中堅都市となった (春日井市企画調整部企画課, 2008).

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平成 22 年の総人口は, 約 30 万 8 千人 (12 月末), 高齢化率は 20.1% (10 月末) である. S 地区 (中学校区) は, 高蔵寺ニュータウンの西部に隣接した住宅地域で, 農家・商店が中心 の旧地域およびニュウータウンと同時に開発された新興住宅地が混在している. この地域はニュー タウンと同様, 近年急速に高齢化が進んでいる中で, 春日井市の中でも高齢者医療福祉関係の施 設やサービスが比較的よく進んでいる. S 地区の人口は 17,421 人, 高齢化率は 26.8%と, 市全 体のそれよりも高い. なお, 日本福祉大学は, 春日井市および春日井市社会福祉協議会とは, 以前から研究や職員研 修などで相互協力関係があったが, 今回の研究を進めるのに際して, より正式な協働関係を明確 にするために, 春日井市との間で研究協定を締結した.  研究方法の概要 本研究では, 1) ヒアリング調査と 2) フォーカスグループ面接の 2 つの方法を採用した. フォー カスグループ面接は, 実証的研究方法の一つであり, 本研究の方法上の目的である地域福祉研究 に実証的研究方法の活用を図る上で, この方法を用いることが相応しいと判断した. また, 前段 でのヒアリング調査は, 地域での FC と IC の現状と課題を把握することによって, フォーカス グループ面接の質問内容 (検討課題) の焦点化と面接参加者の選定を行うために実施した. 1 ) ヒアリング調査 ヒアリング調査は, 社会的・経済的・政治的な問題について, その問題・事象の当事者ではな く, 当事者に直接・間接に関わりをもつ関係者・専門家から, その問題・事象の背景・要因に関 する信頼性と妥当性の高い情報・意見を聴き取る方法である. たとえば, 新聞記者等による関係 者・専門家への取材 (川喜多, 1977), 議会における公聴会などがよく知られている. 問題当事者本人 (多くは個人) に対する面接調査法は, 問題・事象に関わる当事者本人から, 本人が認知・感得している事実・経験・意見を聴き取れることが有用とされて, 心理学・教育学・ 社会学などの行動社会科学での主要な調査法の一つとなっている. これに対して, 問題・事象の 背景や要因に関する客観的事実や広範な情報・見解―たとえば, 社会福祉における制度・政策, 運営管理, 地域の特性・資源などに関する事実や情報, および専門家としての見解など―は, 問 題・事象の当事者から得るのは難しいので, その問題・事象や当事者に直接・間接に関わりをも つ関係者・専門家から情報・見解を聴き取れる点に, ヒアリング調査の重要性と有用性がある. 面接法を用いるという点では, 面接調査法と同様であるが, 面接の内容が, ヒアリング調査では, ヒアリング対象者自身の個人的な事実・経験・意見ではなく, 対象者が関わっている問題・事象 に関する情報・見解である. ヒアリング調査は, 実際には社会福祉の実践・研究でも多用されてきたが, 方法的に科学性が 乏しいとされ, 論文等では背景的な情報収集としてしか (例えば, 注で示すなど) 扱われてこな かった. しかし, 政治学における政策形成過程の分析において科学的な研究方法として用いられ

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ているように (キャンベル, J., 1995), この方法を可能な限り妥当性と信頼性の高いものとする ことによって, 社会福祉の研究方法の一つとして確立していくことが課題である. 2 ) フォーカスグループ面接 フォーカスグループ面接は, もともと市場調査の分野で実践的な目的のために開発された. 分 析目的に即して有意抽出された少人数のインフォーマントを対象にした質的研究法の一種であり, 実践的な課題に関係の深い参加者から, 代表サンプルからは得られない具体的で多様な生の意見 を引き出させる点に特徴がある (冷水, 2009). なお, 高齢者に関わる課題にフォーカスグループ面接が適用された近年の先行研究をみると, 保健看護分野では多く使われており, グループホームにおける認知症高齢者の終末期ケア時の看 護連携の体制と課題を明らかにするために行われたもの (平木ほか, 2010), 地域における緩和 ケアの連携を促進するための実践的なフォーカスグループ面接の活用等 (井村ほか, 2010a, b, c) がある. 社会福祉分野ではまだほとんど使われていないが, 地域包括支援センターの地域支援課 題を検討した研究 (平坂, 2008) や, 地域包括支援センターと社会福祉協議会の連携課題を検討 した研究 (平坂, 2010) は, 貴重である.  調査の対象と方法 1 ) ヒアリング調査 ヒアリング調査の対象は, S 地区の FC および IC の主な関係機関・団体をできるだけカバー するため, 春日井市高齢福祉課および同市社会福祉協議会からの情報と助言を得て, 下記のとお りとした. ○ FC 関係 A 居宅介護支援事業所, B 訪問介護事業所, C 訪問看護ステーション, D 特別養護老人ホー ム, E 介護老人保健施設, F 地域包括支援センター, 春日井市市民活動支援センター (ささ え愛センター) ○ IC 関係 春日井市社会福祉協議会, G 地区社会福祉協議会, H 地区社会福祉協議会, I 特定非営利 活動法人, J 特定非営利活動法人, K ふれあい連絡会, S 地区民生児童委員協議会, S 地区 社会福祉協議会 ヒアリング調査によるデータ収集の信頼性と妥当性を高めるために, ヒアリングの聴き手とは 別に記録係が記録に専念した. 記録と提供された資料をもとに, 調査後の早い時期に記録係が記 録を作成し, 聴き手との間で情報の確認と調整をした. 内容的に不明や疑問のある事項に関して は, 市高齢福祉課および市社会福祉協議会に照会して正確な内容に修正補足をした. その上で, 最終的に作成した記録案を, ヒアリング対象の各機関・団体に送付して訂正と補足をしてもらっ た. なお, 一部の機関・団体については, 機関・団体の都合等のためにその確認が十分できなかっ

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たところもあった. 2 ) フォーカスグループ面接 フォーカスグループ面接の参加者は, 上述のヒアリング調査から得られた結果を踏まえて選定 した. 参加者は, S 地区社会福祉協議会 (会長), 同地区社会福祉協議会いきいきサロン (管理 者), I 特定非営利活動法人 (理事長), J 特定非営利活動法人 (理事長), K ふれあい連絡会 (リーダー), S 地区民生児童委員協議会 (同委員 2 名), F 地域包括支援センター (社会福祉士) の 8 名である. 参加者への参加依頼にあたっては, フォーカスグループ面接の目的, 方法について説明した上 で, 参加は自由意思であること, 参加を断っても不利益を受けないこと, 結果は匿名性を確保し た上で, 研究目的で発表することがあることを説明し, 了承を得た. 司会は同様の経験が数回あ る研究メンバー (冷水) が担当した. 面接中の記録は, 後の結果分析を担当する研究メンバーが兼ねることが望ましいとされており (S・ヴォーンら, 1999), 本研究においても 3 名の研究メンバーが記録と分析の担当を兼ねた. 記録は, 参加者から承諾を得た上で IC レコーダー録音から起こした逐語録とともに, 上記の 3 名の研究メンバーが面接会場に同席し, 分析にとって重要と思われる発言 (分析ポイント) につ いて, 発言の簡単な内容と発言者を書きとめた 「メモ記録」 を作成した. 3 名でデータ収集を行 うことは, データ収集の信頼性を高めるためである. 面接は, 2010 年 5 月と 6 月の 2 回実施した. 1 回当たりの時間は, 約 2 時間であった. 会場は, 2 回とも S 地区にある N 新興住宅団地の集会所であった. 質問内容 (検討課題) は以下の通りである. ①は FC に関すること, ②∼④は IC に関するこ とである. IC に関する質問が多い理由は, このフォーカスグループ面接が, S 地区での新たな IC の展開に焦点を当てているためである. ①現在, この地域での高齢者へのケアや支援に対するニーズや課題の中で, 介護保険などの FC の側の改善で対応してほしい課題にはどのようなことがありますか. ②一方, FC によっては適切に対応できない, または FC によって対応しない方がよく, ボラ ンティア, 地区社協, NPO など IC によって対応した方がよいニーズや課題にはどのよう なことがありますか. ③IC によって対応すべきニーズや課題のうち, 当面この地域でできるだけ早く対応すべき, または対応できると思われる課題には, どのようなことがありますか. ④その当面 IC で対応すべき, あるいは対応できると思われる課題を, この地域でどのような 方法と体制で取り組むとよいと思いますか. 分析は, 原則として冷水 (2009) が示している 4 段階の方法に沿って行った. 第 1 段階では, 3 名の分析者 (兼記録者) がテープ起こしから作成された逐語録を読み返しながら, 逐語録の右 欄に 「メモ記録」 と各人の 「分析ポイント」 を簡単に記入した. 第 2 段階では, 3 名分の 「分析

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ポイント」 が加えられた逐語録を共有した上で, あらためて 3 名が個別に見直し, データ単位に 当たると判断した逐語録の部分に下線で印をつけた. 第 3 段階では, 3 名が個別に自分で引き出 したデータ単位にコード名を付した. その上で, やはり各人が個別にこれらのコードを比較して 類似していると判断したものを集めて 1 つのカテゴリーにまとめ, カテゴリー名を付した. 第 4 段階では, 3 名が個別で行ったコード化, カテゴリー化の結果を司会者も含めて 4 人で精査し, 本研究の全体研究会でも検討を加えた上で, 共通のコードとカテゴリーにまとめた. 以上のコード化, カテゴリー化を行うプロセスを例によって示す. こうしたプロセスを明確に することは, 質的研究法であるフォーカスグループ面接における分析の信頼性と妥当性を高める とともに, 社会福祉の研究・実践においてフォーカスグループ面接が広く活用されるための一助 となると考えるからである. 1 つの例を, 質問内容③ 「当面この地域で対応すべき, 対応できると思われる IC 課題」 にと ると, 表 1 に示すように, 逐語録の該当部分から分析者の A と C は 3 つのコード, 分析者の B は 2 つのコードを引き出した. コード化の対象となる発言は, 逐語録にあるような生の言葉であ るが, 言葉の順序を変えたり, 別々に表現された言葉を結びつけたりする作業を通して, コード 化を行った. 次に, 各分析者は 3 つないし 2 つのコードが類似した内容であると判断して, 表 1 の最下段に示すそれぞれ 1 つのカテゴリーに集約し, カテゴリー名を付した. その際, コードについては, 出来る限り発言者の生の言葉を生かし, 抽象度をあげすぎないこ とを原則にして, 表 1 に示す 「協議後のコード」 に集約した. 一方, カテゴリー化については, 3 つないし 2 つのコードに共通する内容を吟味した上で, それを適切に表しかつできるだけ簡明な カテゴリー名とすることを原則にして, 表 1 の最下段に示す 「協議後のカテゴリー」 に集約した. なお, この例では, 各分析者ともに非常に近似したカテゴリー名を付していたので, 比較的簡単 に 「協議後のカテゴリー」 に集約できたが, 中には 3 名の分析者の間での違いがあるために集約 するのに難航するカテゴリー化もあった. そうした場合には, そのカテゴリーに含まれるコード に戻って検討し, 一部のコードをそのカテゴリーから外して他のカテゴリーに移すなどの作業も 行なった.

3. 春日井市 S 地区における FC と IC の現状と課題

―ヒアリング調査の結果―

まず S 地区における FC と IC の全般的現状と課題を簡単に整理した上で, 次に S 地区での取 り組みの背景にある春日井市での主要な IC である社会福祉協議会 (以下, 社協), ボランティ ア活動, および NPO 法人などによる市民活動についての動向を整理し, 最後に, S 地区での新 たな IC の展開について説明する.

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表 1 コード化とカテゴリー化の具体例 【コード 1】 逐語録の該当部分 高齢者がある一定の所へ集まって, お茶を飲んだり, 雑談したりという場所があっ たりすると良いわねという話しがよく出るんです. …シャッターの閉まったお店 がいっぱいあるので, そこの 1 軒を借りれたらええのになぁと本当に思うけども, それは当然お金がありませんのでね (K ふれあい連絡会) 分析者 A のコード ・高齢者が集まってお茶を飲んだり雑談したりする場所があればという話が出る 分析者 B のコード ・シャッターが閉まった店を利用し, 高齢者が集まってお茶・雑談できる場所が ほしい 分析者 C のコード ・高齢者がお茶飲みや雑談できる場所が求められている 協議後のコード ・高齢者が集まってお茶飲みや雑談できる場所が求められている 【コード 2】 逐語録の該当部分 先ほど S さんがチラッと言われたけども, シャッターが閉まっているような所 で, 集まる場所という, 高齢者が集まってお茶を飲む場所という, そういうもの ができたらいいなぁとは私も思います. (司会との短いやり取り) 結局数をある 程度作っていく, あの地域地域にそういうのがあると, そういう所に集まって話 をされる, いろんな話をされる. そういうのを吸収すると, いろんな, それから もう一歩前進というのができてくるんじゃないかと思うね (S 地区民生児童委員 協議会) 分析者 A のコード ・各地域に高齢者が集まってお茶を飲む場所がある程度の数できればよい 分析者 B のコード ・シャッターが閉まった商店街などを活用し, 高齢者が集まる場をある程度の数 ほど設けたい 分析者 C のコード ・高齢者が集まってお茶を飲む身近な場所がいくつもできたらよい 協議後のコード ・高齢者が集まってお茶を飲む身近な場所がある程度の数できたらよい 【コード 3】 逐語録の該当部分 やっぱり人とのつながりを皆さん欲しいというところがあるものですから, そう いったところでそういうサロンの方にお誘いをかけて参加させていただくことで, 閉じこもりを予防するということが=外に出て行くということで, 介護予防にも つながっていくことになります (F 地域包括支援センター) 分析者 A のコード ・居場所づくり. 人とのつながりがみんな欲しいと言っている 分析者 B のコード ・なし 分析者 C のコード ・居場所作りが閉じこもり予防や介護予防につながる 協議後のコード ・人とつながれる居場所づくりによって閉じこもりの防止や介護予防につながる 【カテゴリー】 分析者 A のカテゴリー 小さな地域での居場所づくり 分析者 B のカテゴリー 近場で高齢者の居場所作りが必要 分析者 C のカテゴリー 地域ごとの小規模な居場所づくりの必要性 協議後のカテゴリー 小地域での居場所づくり

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 S 地区における FC と IC の全般的課題 FC に関しては, ①医療依存度の高い高齢者の増加に対応するショートステイが非常に不足し ている, ②介護家族者による虐待の増加に対応した支援・相談体制が不十分, ③地域包括支援セ ンターの周知度がまだ低い, ④介護老人保健施設での本来の課題である在宅復帰が十分行えてい ない, ⑤医療施設と介護施設との連携が不十分, などが指摘されたが, 短期間にしかも市レベル で改善できる FC の課題は非常に限られていることが分かった. IC に関しては, 施設でのボランティア活動や在宅でのレクリエーション中心のボランティア 活動はあるが, 在宅の介護や生活を支援するボランティア活動, とくに介護保険では対応できな い通院や買物のための移動支援が, ニュータウン地域を中心に非常に乏しい. そうした中で, 一 部の NPO が, 通院・買物支援や福祉有償運送サービスを行っているが非常に限られている. な お, 市社協では, 市からの受託事業として, 住民参加型の家事援助サービスや配食サービスを実 施しているが, 全体的には限られており, 上記のようなニーズには十分には対応できていないこ とが明らかになった.  春日井市における主な IC の動向 同市社協は, 2008 年の社会福祉法人設立 30 周年を機に, 社会福祉事業団 (民間社会福祉事業 の経営団体) と合併したが, それ以前は, 社会福祉事業経営よりもボランティア活動や住民参加 の地域福祉活動に特化していた. その特徴を引き継ぎ, 現在も小地域ごとの住民による IC 活動 の組織である地区社会福祉協議会 (以下, 地区社協) の支援, およびボランティア活動の普及啓 発と支援を行うボランティアセンター事業に重点が置かれている. 地区社協は, 町内会・自治会やボランティア・民生児童委員活動などを基盤に市内 40 地区に 組織されている. 地区社協の運営費は, 住民や団体などからの会費を集めた市社協により, 各地 区社協の実績に基づいて配分されている. 主な活動は, 敬老会・子ども会・地域まつりなどの一 般事業のほか, 乳幼児とその保護者を対象とした子育て支援サロン, 高齢者向けのミニデイサー ビス, ひとり暮らし高齢者などへの見守りネットワーク事業などである. その課題としては, 地 区による差があるが, 全般には自主的な活動の担い手が少ないこと, また市社協による運営費配 分とそれに関連した支援のあり方の再検討などがある. 一方, ボランティアセンターは, ボランティア活動の紹介, 担い手と受け手の調整, 活動の器 材・集会所の提供, 講座・交流会の開催などを行っている. 同センターに登録しているボランティ ア団体は, 2011 年 4 月現在 144 団体で, 高齢者分野では入所・通所施設での活動が多く, 地区 社協のような小地域ごとの住民活動とは異なり, 活動の目的や対象に即して, 地域横断的に組織 されていることが多い. 他方, NPO 法人を中心とした市民活動は, 一部は社会福祉分野にも関連しているが, 全体的 には, 防災・防犯, 環境, 文化・スポーツなど, 社会福祉以外の分野に関わる活動をしている. その意味では, インフォーマルではあるがケアよりも広い分野での市民活動と言える. これらの

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団体の一部は, 市社協のボランティアセンターに登録していたが, 2007 年に市が直営の市民活 動支援センター (ささえ愛センター) を設置したことによって, ほとんどの団体がこのセンター に登録することになった. 社会福祉分野のボランティア団体の一部も, 社協のボランティアセン ターと両方に登録している. それらを含めると同支援センター登録団体は, 2011 年 4 月現在 156 である. 大半の福祉分野のボランティア団体は, 市社協のボランティアセンターのみに登録して いる. 市民活動支援センターの目的は, 多様化する市民ニーズに柔軟に対応できる NPO・ボランティ ア団体などを支援することを通して, 市民協働のまちづくりを推進することにある. 主な事業は, 市民活動情報の提供, セミナー・講座の開催, 活動資料作成のための備品提供, 活動のための相 談などである. このように, 社会福祉に関わる IC は, 地区社協とボランティア団体が社協により組織化され, 他方で, 社会福祉以外の市民活動は, 市の市民活動支援センターの支援のもとで活動していると いう, いわば 2 本立ての構造になっている. このことについては, 2008 年度に策定された市社 協の地域福祉活動計画で, 「ボランティア・NPO の活動への支援にあたっては, 市民活動支援セ ンターと連携する中で, 市社協ボランティアセンターが培ってきたノウハウを市民にいかに分か りやすく提供するかが当面の課題」 とされている. そこで, 以下のフォーカスグループ面接によ る分析では, 以上の同市における IC 活動の特徴と課題を踏まえ, それとの関連で分析結果の解 釈や考察を行う.  S 地区における新たな IC の展開 以上の春日井市における IC の動向のもとで, 次のような都市型の新しい IC が, S 地区で進 展していることが分かった. ①介護保険の訪問介護も提供しているが, 制度や行政の枠組みに当 てはまらない支援を重視し, 会員制で入院中の買物・洗濯, 保育園の送迎, 介護保険以外の家事 援助, ミニデイなどを行っている (I 特定非営利活動法人). ②介護保険のデイサービス以外の 在宅支援にも力を入れていて, 通院付き添い, 保険外家事援助, 草取り, 庭木剪定, 電球取替え などをしている. 福祉有償運送も行っている (J 特定非営利活動法人). ③N 分譲住宅団地では, 団地住民が自主的に組織した 6 つのボランティアグループと趣味の会などが K ふれあい連絡会 を作って定期的に情報交換とメンバー間の活動交流をしている. 世代も子供から高齢者まで多世 代にわたっている. その中の一つに 「お助けマン」 という雑用サービス (草刈り・電球取り替え など) のボランティア活動を男性中心のメンバーで行っている (K ふれあい連絡会). ④認知症 高齢者を在宅で支援するためには, 認知症サポーター養成や地域での見守りが必要. N 分譲住 宅団地の住民は子供の通学見守りなどを行っているが, 認知症の見守りもしてくれるといい (F 地域包括支援センター). ⑤S 地区の民生児童委員が呼びかけて, 地域包括支援センターと定期 的な連絡会をもち, 情報交換や勉強会をしている (S 地区民生児童委員協議会). 以上のヒアリング調査結果を踏まえると, 最後に説明した S 地区での新しい IC の展開を中心

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とした地域ケアの現状と課題について, それに関わる機関・団体の代表者などを参加者として, フォーカスグループ面接を実施することが適切であると判断した.

4. 新たな IC の展開を中心とした地域ケアの課題

―フォーカスグループ面接の結果―

分析方法で述べたように, 実際の分析ではまずコード化, 次にカテゴリー化といった順に行っ たが, ここでは先にカテゴリーを示した上で, それに属するコードを示すという順に説明する. ,  は質問内容 (検討課題), ①, ② はそれに該当するカテゴリー名, 「 」 はそのカ テゴリーに属するコード名 (全部または一部) を指している. なお, 本研究でのフォーカスグループ面接の主要な課題は, 上述してきたように, S 地区での 新しい IC の展開を中心にした地域ケアであるので, その点に焦点を当てて結果を分析する.  FC の不十分な点・改善すべき課題 本課題については, 5 つのカテゴリーに分類・整理したが, 本分析の焦点である新たな IC の 展開とは異なり, 主に FC の側の課題であるため, ここでは①∼④はカテゴリーだけを列記する こととした. ⑤については IC と関連する内容であるため, それに属するコードを含めて説明す る. ① 介護保険以外の FC が必要 ② 介護保険のケア内容と利用回数の制約 ③ FC の側でのサービス情報周知の方法の改善 ④ FC が利用されにくい要因に着目した情報周知の改善 ⑤ IC の側でのサービス情報活用の方法の改善 「配食サービスなどのサービス情報を自治会がつかんでおけば活用できる」 との意見がだされ た. また, そうした情報を周知していくにあたり, 「住民へのサービス情報は広報だけでなく自 治会の回覧も活用する必要」 も指摘されたが, それだけでは不十分であり, 「回覧してもフェイ ストゥフェイスでないと情報は伝わらない」 との IC の特徴を示す意見も出された. 一方で, 「必要な人に情報が伝わりにくい背景にあるプライバシーの問題に対処する必要」 が指摘され, それらにどう対処していくかも課題であるとの意見が示された.  IC によって対応した方がよいニーズや課題 この課題に対する分析結果は, 表 2 のとおり, 4 つのカテゴリーに分類・整理した. ① FC では対応できない柔軟で細かな生活支援 IC によって対応した方がよいニーズや課題に関しては, NPO 団体が介護保険以外で取り組ん でいる支援として, 「入院中の洗濯物や日用品の買出し」 「若い人で赤ちゃんの世話や沐浴, 保育

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園の送迎」 という具体例が示された. また, K ふれあい連絡会に属する 「お助けマン」 という雑用サービス提供の活動の 1 つとし て, 依頼があった高齢者の自宅の庭の草刈りを 3 日間かけて行った際に,“こんなきれいな月を 見られたのは 8 年ぶりだと. こんな嬉しいことはない. だから草がきれいになったということに とどまらず, その人の心に何かがホっと湧いて出たのかなとものすごく思ったんですね.”とい うエピソードが紹介され 「ひとり住まい宅での草刈りなどが心のケアになる」 ことが示された. ② 潜在しているニーズの掘り起こし 本カテゴリーは 4 つのコードから成り立っているが, 「ニーズの掘り起こしはまずインフォー マルの側で担う」 ことではないか, そのためには, 近所づきあいや地域住民の自主的な働きかけ が不可欠との意見などが出された. ③ 認知症高齢者への地域での理解と協力 F 地域包括支援センターからの参加者より, 実際にこの地区における徘徊の事例について話が 出され, 認知症の徘徊への対応などの必要性が示された. それらに関連して, 実際に母親が認知 症である参加者からは, 「家族より近所の人の方が認知症高齢者への目が行き届く」 との意見が 出された. 表 2 IC によって対応した方がよいニーズや課題 (質問内容) カテゴリー コード ①フォーマルケアでは対 応できない柔軟で細か な生活支援 ・入院中の洗濯物や日用品の買出し ・若い人で赤ちゃんの世話や沐浴, 保育園の送迎 ・ひとり住まい宅での草刈りなどが心のケアになる ・草の根で起きていることを一つずつ拾って助けている ②潜在しているニーズの 掘り起こし ・ニーズの掘り起こしはまずインフォーマルの側で担う ・ニーズ発見には近所づきあいや地域住民の自主的な働きかけが不可欠 ・地域のつながりがないと自分たちのニーズに気づかない ・シャットアウトしているとニーズの発見が遅れる ③認知症高齢者への地域 での理解と協力 ・認知症高齢者への正しい理解と見守りや少しの手伝いが必要 ・周りの人や商店からの理解と協力があれば認知症の人でもぎりぎりまで自 宅で暮らせる ・徘徊者への住民の目配りと虐待発見時の通報が必要 ・家族より近所の人の方が認知症高齢者への目が行き届く ・サロン活動へのボランティアの参加が認知症理解につながる ・認知症徘徊についての接し方を知っている人を増やす ④サロン事業の多様な役 割と小地域ごとの展開 の必要 ・サロンヘの参加は認知症の兆しが見える人が外出する機会になる ・サロンヘの参加は介護予防にもつながる ・サロン事業に人とお金をつけて回数を増やす必要 ・小地域ごとのきめ細やかなサロンが必要 ・お互いの情報交換ができ元気になれる居場所が必要

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④ サロン事業の多様な役割と小地域ごとの展開の必要 いきいきサロンの管理者である参加者からは, 「サロンヘの参加は認知症の兆しが見える人が 外出する機会になる」 ことが指摘され, もっと参加しやすくなるために 「小地域ごとのきめ細や かなサロンが必要」 との意見が示された. また, 他の地区社協が実施しているサロンに 1 年間通っ た経験のある I 特定非営利活動法人の参加者から, サロンの機能の重要性を指摘する意見も出さ れた.  当面この地域で対応すべき, 対応できると思われる IC の課題 本課題は, 2 回目のフォーカスグループ面接での最初の検討課題であった. 上記のより広い 観点からの IC が対応した方がよいニーズ・課題については多様な意見が出されたので, 当該地 域で当面取り組む課題についても積極的な具体案が出ることが期待されたが, 下記の 2 つのカテ ゴリーに分類される内容にとどまり, それに含まれるコードも非常に限られていた. ① 小地域での居場所づくり 当面この地域で対応すべき, あるいは対応できると思われる IC 課題として, 「高齢者が集まっ てお茶飲みや雑談できる場所が求められている」 こと, それに関連して, 高齢者は移動に伴う困 難を持っていることが多いため, 「高齢者が集まれる場所が身近な所にある程度の数できるとよ い」 との指摘がなされた. また, サロン活動等に関わる参加者から 「人とつながれる居場所づく りによって閉じこもりの防止や介護予防につながる」 との意見が出された. これらは, いずれも 上記の検討課題で整理されたカテゴリー 「④サロン事業の多様な役割と小地域ごとの展開の必 要」 とほぼ同様であり, 必ずしもそれをこの地区での取り組みとしてより具体化させた内容では なかった. ② ひとり暮らし高齢者等への見守りや雑用サービスの取り組み S 地区民生児童委員協議会の参加者から, 信用金庫に電気が 2 日もこなく振込みができていな いかもしれないと相談にきていた 90 代の高齢者 (のちにブレーカーが落ちていたことが判明) に遭遇し, ちょっとしたことの相談等に乗って対応してくれる活動が重要だと感じた場面が紹介 され, 「お助けマンの様なちょっとした支援が他の地域に広がってほしい」 との意見が示された. また, 「ひとり暮らしの人の見守りや日常の困り事への支援が必要」 といった意見も示された. これらの意見も, この地区で新たに取り組んで行こうという提案では必ずしもなかった.  IC で対応すべき, あるいは対応できる課題の取り組み方法と体制 この検討課題に対する分析結果は, 表 3 のとおり, 4 つのカテゴリーに分類・整理された. こ こでは, 「居場所作り」 に関しては具体的な取り組み方法が出されたが, それ以外に関しては, 当該地区で当面 IC によって取り組むための方法と体制ではなく, 当該地区の IC 全般に関わる 内容となる傾向があった.

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① 居場所と活動を手伝ってくれる人の確保の方法 上記ののコード① 「小地域での居場所づくり」 に関して, それを実現していくための場所と 人の確保の意見が出された. 一方, 居場所での集いの活動の担い手に関しては, これまでの NPO や自主的なボランティア活動の経験を踏まえて, 「呼びかけすれば手伝ってくれる人を確保 することはできる」, 「活動を継続していれば必ず気づいて仲間になる人がいる」 という実践に基 づいた力強い発言があった. ② 居場所活動のきっかけ作りの方法 小地域での居場所づくりに関して, どのようにきっかけ作りをしていけばよいかに関して, 身 表 3 IC で対応すべき, 対応できる課題の取り組み方法と体制 (質問内容) カテゴリー コード ①居場所と活動を手伝っ てくれる人の確保の方 法 ・NPO のデイの休業日にその場所を使う ・集会所は住民でないと利用できないことを踏まえる必要 ・閉まった商店の跡を借りる ・商店跡を借りるには費用がかかるので公民館や民家を借りる ・歩いて行ける場所に作る必要 ・介護予防教室とのつながりで場所を見つける ・呼びかけすれば手伝ってくれる人を確保することはできる ・活動を継続していれば必ず気づいて仲間になる人がいる ②居場所活動のきっかけ 作りの方法 ・信用がある民生児童委員やその友人が集会所などで始める ・市の講座を受けた人達が受講後自主的にグループを作って ・まずは集会所などでの小さな集まりから始める ・介護予防教室で顔見知りの人がその後誰かの自宅等に集まって ・他の地区社協の活動を市社協のワーカーを通して教えてもらう ・始めるのは誰でもいい, 大上段に構えるのはよくない ③地域での多様な取り組 みの方法と体制の必要 ・各活動団体・組織の連携(横串を入れること)が必要 ・まず活動の核を作り別の活動とつなげ徐々に広げていく ・自治会の後押しで民生児童委員が地域の人に接しやすくなる ・自治会長らが他の地域の活動に参加して良いものを持ち帰る ・近隣のリーダーがサロンなどに参加して参考にしてもらう ・旧地区から新興地区への声かけの方が関わりの輪が広がる ・地域の人との関係を築くには足繁く通ってつながりをつける ・活動の芽を出すためには人脈が一番大切 ・活動を地域の人に知らせるための広報が必要 ・ボランティア活動の中のエピソードを仲間に伝えるとグループのエネルギー 源になる ・IC で対応できなくなれば FC に繋げられる連携体制が必要 ④社協や NPO のあり方 ・地区社協の発展には, 市社協のリーダーシップが必要 ・この地域の地区社協の発展にはリーダーの固定化とブロック分けが必要 ・NPO は介護保険にしばられない良さがあるが継続が必要 ・NPO も地域の団体との垣根を越えて連携していく

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近な人が小さくても始めることがよいという意見が出された. また, その他に, 居場所づくりと いう点で, 他の地区社協で活発に行っている活動のプロセスなどを市社協のコミュニティワーカー が知っているので, 「他の地区社協の活動を市社協のワーカーを通して教えてもらう」 とよいと の意見も出された. ③ 地域での多様な取り組みの方法と体制の必要 このカテゴリーに集約された内容は, S 地区やその周辺で各参加者が実際に行っている活動の 経験に基づいて幅広く出された意見で, 「各活動団体・組織の連携 (横串を入れること) が必要」, 「まず活動の核を作り別の活動とつなげ徐々に広げていく」 ことの重要性が示された. これらは, 地域に根ざしたボランティア活動に取り組んでいる K ふれあい連絡会のリーダーにふさわしい 発言であった. また, 既存の自治会と民生児童委員との連携においても, 「自治会の後押しで民 生児童委員が地域の人に接しやすくなる」 といった意見が民生児童委員から示された. その他 「自治会長らが他の地域の活動に参加して良いものを持ち帰る」, 「近隣のリーダーがサロンなど に参加して参考にしてもらう」 といった, 活動リーダーの役割への期待を示す意見も出された. ④ 社協や NPO のあり方 IC で対応すべき, あるいは対応できる課題に対して, 社協や NPO の存在の重要性が指摘さ れた. ただし, 社協においても課題があり, S 地区社協の会長から 「地区社協の発展には, 市社 協のリーダーシップが必要」, 「この地域の地区社協の発展にはリーダーの固定化 (毎年交替しな いこと) と (広い地区なので 3∼4 に) ブロック分けが必要」 との意見が出された. NPO におい ても, 「NPO は介護保険にしばられない良さがあるが継続が必要」 や, 今後さらに 「NPO も地 域の団体との垣根を越えて連携していく」 必要性が示された.

5. 考察

 新たな IC 展開の可能性 S 地区に根ざしたボランティア団体や NPO が FC では対応できない柔軟で細かな生活支援を 展開していることが, ヒアリング調査およびフォーカスグループ面接を通して明らかとなった. とくに, 「お助けマン」 という柔軟な雑用サービス提供の活動に伴なって, 庭の月のエピソード のような心のケアも支援していける可能性が示された. また, 「 お助けマン のようなちょっと した支援が他の地域に広がってほしい」 という意見は, 参加者の一人である お助けマン を立 ち上げた人ではなく, 民生児童委員から出された. このような地域に根ざしたボランティア活動 が広がることを期待した意見である. また, IC が対応した方がよいニーズ・課題については, 「ニーズ発見には近所づきあいや地域 住民の自主的な働きかけが不可欠」 や 「地域のつながりがないと自分たちのニーズに気づかない」, また 「認知症高齢者への地域での理解と協力」 が必要, といった意見が出された. これらは, FC による専門的なニーズ発見やケアとは別に, 早期のニーズの掘り起こしや住民の間での理解と協

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力を, 地域でのインフォーマルな関わりを通して展開する必要があることをグループで確認した ことを意味している. このように, 新たな IC 展開の可能性は, 従来の地区社協やボランティア団体を含めて, 自主 的な取り組みが拡大することを通して IC 活動全体が活性化されること, また, 地域での日常的 な IC の関わりを通して, ニーズの掘り起こしや認知症への理解や協力を進めるなど, FC には ない IC の独自の役割を開発していくことに見出せることが示された.  当該地区で当面 IC が取り組む具体的課題 新たな IC 展開の可能性が示されたものの, 当該地区で当面取り組む課題については, あまり 多くの意見が出されなかった. その理由としては, フォーカスグループ面接の参加者は, 同じ地 域で活動しているものの, 日頃ほとんど一緒には活動をしている訳ではないため, フォーカスグ ループ面接という場ですぐに 「この地域で対応すべき, あるいは対応できる」 ことがらを発言す ることに無理があったのではないかと推察される. そうした限界が想定される中で, 当該地区で当面 IC によって取り組める課題としては, 「小 地域での居場所づくり」, 「ひとり暮らし高齢者等への見守りや雑用サービス」 があげられた. こ れらはとくに新規性はないものの, 実際にこの地区で IC に関わっている参加者から具体的に提 案された意義は少なくない. また, それらの課題に取り組むための方法と体制に関しては, 「居 場所と活動を手伝ってくれる人の確保」, 「活動のきっかけ作りの方法」 のほか, 広い意味での地 域での IC 活動を進めるための方法と体制として, 「団体・組織の間に横串を入れる」 (連携) の 必要や, 地域の人との関係づくり, 活動リーダーの役割などが指摘されたことにも, 一定の意義 があった.  活動組織・団体間の支援・連携とフォーカスグループ面接の場の意義 春日井市では, 地区社協の課題とともに, 社協のボランティアセンター登録のボランティア団 体と市民活動支援センターに登録の NPO などの市民活動団体との連携が課題になっている. 今 回のフォーカスグループ面接では, そのことを直接の検討課題にはしなかったが, 参加者の構成 を考える際, S 地区での新たな IC の展開の中心にある K ふれあい連絡会のほかに, NPO 法人, 地区社協を重視したことは確かである. 地区社協に関しては, S 地区社協の会長から 「地区社協の発展には, 市社協のリーダーシップ が必要」, 「この地域での地区社協の発展には, リーダーの固定化 (毎年交替しないこと) と (広 い地区なので 3∼4 に) ブロック分けが必要」 という課題が出された. また, 居場所づくりに関 しても, F 地域包括支援センターの参加者からの 「他の地区社協の活動を市社協のワーカーを通 して教えてもらう」 との意見が出された. 市社協が, 地区社協や多様な IC 活動をどのように支 援し, 地域の福祉的課題や生活課題に対応していくかが今後さらに重要になってくると考えられ る.

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NPO に関しては, やはり社協が支援を行っていくことが地域福祉活動計画にも示され, 今後 の課題とされている. 今回のフォーカスグループ面接では, NPO, 社協, ふれあい連絡会といっ た様々な関係者が集まり, 「横串」 を通して連携していくことの必要性が確認された. フォーカ スグループ面接の場自体が, これらの異なる活動主体が連携・協働できる可能性があることを示 唆しており, その意義は大きかったと言える.  本研究の課題と今後の展望 本研究では, 地域福祉研究では必ずしも十分ではなかった実証的研究方法の活用を図るため, フォーカスグループ面接を行った. 方法としての信頼性と妥当性を高めるための分析プロセス等 を具体的に示すことができた意義は大きい. また, フォーカスグループ面接が, 「横串を入れる」 「フェイストゥフェイス」 などの実践を踏まえた生の発言を引き出すことができ, 実践を質的に 把握する点で有効な方法であることを示すことができた. 今後, 地域福祉研究において実証的研 究方法の活用を図っていく上で, 本研究がその一助になれば幸いである. 一方, フォーカスグループ面接の結果を, S 地区の参加者に対して報告をする会を開いた際, 市と市社協にオブザーバー参加してもらった. しかし, 研究成果を地元地域の地域福祉の実践に 具体的に活用するという点では不十分であったと言える. 今後, 研究成果を踏まえた話し合いを 春日井市および同市社協と行い, 市の高齢福祉総合計画, 市社協の地域福祉活動計画の改訂等の 際に活かしてもらうための方策について具体化していく予定である. 付記:本研究は, 日本福祉大学公募型研究プロジェクト研究助成を受けて実施した 「地域福祉研 究における実証的方法の活用促進プロジェクト」 の成果の一部である. 文献 キャンベル, J. (1995) 日本政府と高齢化社会―政策転換の理論と検証 中央法規出版. 平木尚美・百瀬由美子 (2010) 「認知症高齢者グループホームの終末期ケアにおける連携体制と課題」 日 本看護福祉学会誌 16 (1), pp. 53-64. 平野隆之 (2008) 地域福祉推進の理論と方法 有斐閣. 平坂義則 (2008) 「地域包括支援センターにおける地域支援の方向性―実践者による フォーカス・グルー プ・インタビュー調査 をとおして」 日本の地域福祉 21, pp. 19-30. 平坂義則・吉川琢夫・染野徳一 (2010) 「地域福祉実践における専門職の連携に関する研究―実践者主体 による実践的研究の試み―」 地域福祉実践研究 創刊号 pp. 24-33. 井村千鶴・古村和恵・末田千恵ほか (2010a) 「地域における緩和ケアの連携を促進する取り組み フォー カスグループの有用性」 緩和ケア 20 (2), pp. 204-209. 井村千鶴・古村和恵・末田千恵ほか (2010b) 「地域における緩和ケアの連携を促進する取り組み フォー カスグループの有用性)」 緩和ケア 20 (3), pp. 308-312. 井村千鶴・古村和恵・末田千恵ほか (2010c) 「地域における緩和ケアの連携を促進する取り組み フォー カスグループの有用性 (3)」 緩和ケア 20 (4), pp. 417-422. 春日井市企画調整部企画課 (2008) 「第 5 次春日井市総合計画 新長期ビジョン 2008−2017」

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川喜多二郎 (1977) 知の探検学―取材から創造へ 講談社. 冷水豊編著 (2009) 「地域生活の質」 に基づく高齢者ケアの推進 有斐閣. 竹内美保 (2009) 「ケアマネジメントにおけるインフォーマル・サポート・ネットワーク構築の可能性― 地域包括支援センター, 社会福祉協議会へのインタビュー調査から―」 社会福祉学部研究紀要 12, pp. 243-252. S・ヴォーン, J・S・シューム, J・シナグブ著, 井下理監訳, 田部井潤・柴原宜幸訳 (1999) グループ・ インタビューの技法 慶應義塾大学出版会. 全国社会福祉協議会地域福祉部 (2007) 「地域包括支援センターとインフォーマルサポートの連携の在り 方に関する調査研究事業」 報告書

表 1 コード化とカテゴリー化の具体例 【コード 1】 逐語録の該当部分 高齢者がある一定の所へ集まって, お茶を飲んだり, 雑談したりという場所があっ たりすると良いわねという話しがよく出るんです

参照

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